説明

自照式ボタン装置

【課題】操作ボタンの識別性を向上する。
【解決手段】光源装置16には、電源ボタンの隣にランプ点灯ボタン29が設けられている。ランプ点灯ボタン29は、凹部34の底に配されており、背後に設けたLED41の発光により透過照明される自照式のボタンである。凹部34の表面には、ランプ点灯ボタン29を露呈する穴37を除く範囲に反射層39がメッキ処理等により施されている。ランプ点灯ボタン29から放たれる光の一部は、反射層39で反射するとともに凹部34の湾曲面により前方に向けて屈曲され、ランプ点灯ボタン29の発光に加えてその周りの周辺部34aが光る。これにより、他の自照式ボタンよりも照明範囲が広くなり識別性が高まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の電気機器に用いられ、透明な操作ボタンの背後に設けた照光部から放たれる光により前記操作ボタンを透過照明する自照式ボタン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケースの表面から露呈する透明なボタンの背後に導光部を設け、導光部の背後に設けたLED等の照光部から放たれる光を前記ボタンに導いて、ボタン全体を発光させる自照式ボタン装置が知られている(特許文献1)。また、操作ノブの前面を、透明な絵文字や数字等の意匠表示部やインジケータ部の輪郭形状を除いて黒色に塗布処理を施し、操作ノブの背後に設けた照光部から放たれる光を利用して意匠表示部やインジケータ部を透過照明するプッシュ式スイッチ装置も知られている(特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−171595号
【特許文献2】特開2007−149610号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ボタン自体、意匠表示部、及びインジケータ部等を透過照明しても暗闇の環境下では、ボタンの位置は認識できてもボタンの種類までは、照明範囲が狭いため迅速に識別することができないおそれがある。操作ボタンには重要なボタンがあり、医療用機器、例えば内視鏡用の光源装置等では、他のボタンと間違えて操作を行うと、重大な問題を生じさせるおそれがある。
【0005】
本発明は、ボタンの位置に加えてボタンの種類を確実に識別することができる自照式ボタン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の自照式ボタン装置では、外カバーに設けられた断面お椀状の凹部と;前記凹部の内部に露呈して設けられた透明な操作ボタンと;前記操作ボタンの背後に設けられ、前記操作ボタンを透過照明する照光部と;前記凹部の表面に設けられ、前記操作ボタンを透過する光のうちの一部を反射する反射部と;を備えたものである。
【0007】
反射部としては、操作ボタンを除く凹部の範囲に、鏡面を蒸着やスパッタリングで施した反射層、あるいは、反射率の高い色、例えば銀色や金色等の色をメッキ処理や印刷により施した反射層を設けるのが好適である。また、反射率の高い色を透明なフィルムシートの上に印刷して反射層を作り、そのシートを凹部に貼り付けてもよい。また、鏡面フィルムを貼り付けてもよい。さらに、フィルムシートとしては、操作ボタンを含む凹部の大きさで作るのが貼り付けやすいので好適である。この場合には、操作ボタンを覆う範囲を印刷せずに、透明のまま残しておけばよい。また、凹部としては、操作を行う方向、例えば前方に向けて反射する曲面形状、例えばお椀状にするのが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自照式ボタン装置によれば、操作ボタンを内部に配した凹部の表面に反射部を設けたから、自己照明ボタンに加えてその周辺部も照明される。これにより、照明範囲が広がるため、他の自照式ボタンと容易にかつ迅速に識別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施形態を示す自照式ボタン装置は、内視鏡用の光源装置に用いられている。光源装置は、通常、カートに載置して使用される。カート10は、図1に示すように、3枚の棚11〜13を一対の支柱14で垂直方向に所定間隔離して支持し、最下段の棚13の底面の四角にキャスター15を取り付けた構成になっている。このカート10には、光源装置16以外に、観察用TVのモニタ17、内視鏡18、及びプロセッサ装置19等がセットされる。
【0010】
内視鏡18は、カート10に取り付けられているハンガー20に吊持される。光源装置16には、コネクタ23が接続される。このコネクタ23は、内視鏡18の操作部21から延出するケーブル22に取り付けられている。内視鏡18の挿入部24の先端部24aには、被写体を照明するために、ライトガイド、及び照明光学系が内蔵されている。また、被写体像を観察するために、先端部24aには、対物光学系、撮像センサ、及びデジタル変換器も内蔵されている。光源装置16は、ランプ、光源制限フィルタ、及び、絞り等を内蔵しており、ランプから放たれる光を前記ライトガイドに入射させる。ランプは、白色光を出射する、例えばキセノンランプ等である。
【0011】
コネクタ23にはサブコネクタ25が設けられ、サブコネクタ25はプロセッサ装置19に接続される。先端部24aに内蔵した対物光学系は、被写体を反射する光を撮像センサに結像する。撮像センサは取り込んだ光を電気信号に変換し、デジタル変換器は電気信号をデジタル変換して伝送する。このデジタルの電気信号がサブコネクタ25を介してプロセッサ装置19に入力される。プロセッサ装置19は、デジタルの電気信号をビデオ信号に変換してモニタ17に画像を表示する。
【0012】
光源装置16の前面には、図2に示すように、右寄りに電源ボタン27が設けられている。電源ボタン27は、プッシュ式の押しボタンスイッチになっており、誤操作を防止するために、凹部28の底に設けられている。電源ボタン27のオン/オフ操作をすることにより商用電源から光源装置16への電力の供給及び停止が行われる。電源ボタン27の左横には、ランプ点灯ボタン29、明るさ調整ボタン30、光量制限ボタン31、透過照明ボタン32、及び送気ボタン33等が順に並んで設けられている。
【0013】
ランプ点灯ボタン29は、電源ボタン27と同様に一段凹んだ凹部34の底に配されている。このランプ点灯ボタン29もプッシュ式の押しボタンスイッチとなっており、オン/オフ操作をすることにより、前記ランプの点灯、及び消灯を行う。明るさ調整ボタン30は、アップボタン30a、及びダウンボタン30bとで構成されており、絞りの開口口径を制御して照明光の明るさを、例えば10段階で調整する。なお、絞りの代わりに、減衰フィルタの挿入、あるいは光源ランプの点灯電流の調節等によって明るさ調整をすることもできる。光量制限ボタン31は、プッシュ式の押しボタンであり、オン/オフ操作をすることで、照明光の光路上に光量制限フィルタを挿脱して白色光の所定波長域の光量を制限するか否かを選択する。
【0014】
ところで、各ボタン27,29〜33は、位置、及び種別を容易に識別させるために、各ボタン27,29〜33の背後に設けたLED等の照光部による点灯により、ランプ点灯ボタン29はボタンそのものが、また、他のボタン29〜33は前面に設けた光透過性の識別表示がそれぞれ透過照明される。識別表示としては、例えば、図3に示すように、アップ・ダウン用の矢印記号や、絵文字、あるいは文字等である。透過照明ボタン32は、すべての照光部の点灯を行うか否かを選択するボタンである。なお、光源装置16には、内視鏡18の内部に設けた送気管路に空気を送るためのポンプ、及びバルブが内蔵されている。送気ボタン33は、送気圧が、例えば弱、中、強の3段階のうちのいずれかになるように前記バルブを調節するためのボタンである。
【0015】
内視鏡18を用いて検診あるいは観察する前には、患者のデータや、診断や観察部位に応じて、ランプの明るさや照明光の波長の指定を行う。例えば、光源装置16では、電源ボタン27をオンし、次に、患者のデータを登録する。その後、ランプ点灯ボタン29をオンし、被写体の明るさが適切になるように、明るさ調整ボタン30で調整し、光量制限ボタン31のオン/オフを決定する。最後に、送気ボタン33で送気圧を選択する。
【0016】
ランプ点灯ボタン29は、内視鏡で診察あるいは観察している時に、誤って触れてオフにしてしまうと体内の観察像が得られなくなる等の重大な不都合が生じるため、重要なボタンである。この点は、電源ボタン27も同様である。そこで、これらボタン27,29は、誤って触れないように、凹部28,34の底に設けられている。しかも、これらボタン27,29は、隣同士に配されている。そこで、暗闇の環境下でも容易に識別が付くように、ランプ点灯ボタン29は、ボタン自身が発光するのに加えてその周りの周辺部34aが光る。
【0017】
周辺部34aとしては、ボタン29を取り巻く範囲であれば、矩形でも円形、あるいは三角形の範囲としてもよい。本実施形態では、同図に示すように、ボタン29を除く凹部34の表面(二重円のうちの外側円の範囲)に合わせた円形状の範囲を周辺部34aとしている。そして、凹部34は、電源ボタン27の凹部28よりも正面から見た範囲が大きくなっている。なお、同図では、薄墨の色が濃い範囲がボタン29の自己照明範囲であり、また、薄い色の薄い範囲が周辺部(反射部)34aの範囲である。
【0018】
凹部34は、図4に示すように、光源装置16の前カバー36に作られている。凹部34の底には、ランプ点灯ボタン29を露呈させる穴37が形成されている。穴37を除く凹部34の表面には、反射層39が設けられている。反射層39としては、光の波長に近い反射層を持った「顔料」を塗布しても良いし、アルミニウム、銀等の高い反射率を有する金属薄膜層をメッキ処理などにより施してもよい。ランプ点灯ボタン29は、拡散性を有する透明材料、例えばアクリルやABS等の樹脂やシリコーン等の材料で作られており、絶縁性の材料で作られたボタンベース40により穴37から出入り自在に支持されている。ボタンベース40の背後には、LED41や一対の接点42,43を実装したプリント基板44が所定間隔離して配されている。
【0019】
ボタンベース40には、ランプ点灯ボタン29を支持する底の中央に円形の開口部45が設けられ、開口部45の背後には縁を取り巻くようにリング状に作られた導通性ゴム46が取り付けられている。ボタンベース40は、導電性ゴム46が一対の接点42,43に接触してこれらを導通させるオン位置と、一対の接点42,43から導通性ゴム46を離すオフ位置との間で、ランプ点灯ボタン29を移動自在に保持している。ランプ点灯ボタン29の表面は、球面29aとなっており、オン位置のときには、球面29aが穴37から突出し、オフ位置のときには穴37の内部に向けて僅かに退避する。そして、ボタンベース40とプリント基板44との間には、バネ等の付勢部材47が介在されている。この付勢部材47は、ランプ点灯ボタン29をオフ位置に向けて付勢している。一対の接点42,43を導通するごとに、ランプの点灯を制御する信号として出力され、ランプの点灯/消灯が繰り返し行われる。
【0020】
透過照明ボタン32で点灯が選択されているときには、LED41が点灯する。LED41から放たれる光は、導通性ゴム46の開口46a、及びボタンベース40の開口部45を通ってランプ点灯ボタン29の内部を透過する。ランプ点灯ボタン29は、拡散性を有し、かつ透明な材料で形成されているので、内部で光りが拡散されて、ボタン全体が発光する。
【0021】
また、ボタン29から外部に透過する光のうちの一部は、凹部34の表面に設けた反射層39で反射する。この反射は、凹部34が湾曲形状をしているため、前方に向けて反射する。よって、正面から見ると、図3で説明したように、ランプ点灯ボタン29の周辺部34aまでも光ってランプ点灯ボタン29よりも照明範囲が広がって見える。これにより、暗闇でも確実に位置が分かり、しかも、電源ボタン27との識別も確実に行える。
【0022】
図5及び図6に示す別の実施形態では、光源装置16の前カバー36の表面の一部に、パネルシート50を貼着し、パネルシート50の内部にボタン29〜33を配している。前カバー36に形成した凹部34には、ランプ点灯ボタン29を露呈させるための穴51と、その穴51を中心とする同心円上の等分割位置に設けた3つの小穴52〜54とが形成されている。パネルシート50は、透明なフィルムシートの透明部55〜58及び反射層59を除く範囲の上に、光を透過しない色を印刷している。パネルシート50の透明部(同図で黒塗りを施した範囲)55〜58は、透過照明するための識別表示やインジケータ部、及び、穴51、及び小穴52〜54の上を覆う部分に施されており、印刷を施さないで透明部を作っている。また、反射層(同図で薄墨を施した範囲)59は、凹部34のうちの透明部55〜58を除く周辺部を覆う部分に施されている。この反射層59はパネルシート50の上に、金色インキ、銀色インキ等の反射率の高い色を印刷することで作っている。
【0023】
ランプ点灯ボタン29は、拡散性を有する透明な材料、例えばシリコーン等の材料で作られている。このランプ点灯ボタン29には、3つの小穴52〜54を背後から覆う円盤状の支持部61が一体的に形成されている。この支持部61は、ボタンベース62に取り付けられている。ボタンベース62は、中央が開口62aされ、支持部61の外周のみを保持する形状になっている。ボタンベース62の背後には、所定間隔離した位置に、スイッチ(以下「SW」と称す)63や3つのLED64を実装したプリント基板65が配されている。ボタンベース62は、支持部61の背面でSW63をオンするオン位置と支持部61をSW63から離してSW63をオフするオフ位置との間で、ランプ点灯ボタン29を移動自在に支持しており、バネ等の付勢部材66によりオン位置に向けて付勢されている。3つのLED64は、小穴52〜54の後方に配されている。
【0024】
3つのLED64から放たれる光は、支持部61、及びランプ点灯ボタン29に入射して拡散される。パネルシート50を正面から見ると、図7に示すように、ランプ点灯ボタン29の範囲、及び、3つの小穴52〜54が、パネルシート50が透明部55〜58になっているので明るい発光部として視認される。そして、周辺部には反射層59が施されているので、反射層59が前記透明部55〜58から放たれる光の一部を、凹部34の湾曲により前方に向けて反射する。このため、ボタン29の周辺部も光って視認される。特にこの実施形態では、ボタン29自身が照明し、かつその周りの凹部34も光るのに加えて、その凹部34の中の3つの小穴52〜54が発光する形態となる。これにより、照明範囲の拡大に加えてこの中に3つの発光部が小円でアクセントとして視認されため、ボタンの識別性がさらに向上する。
【0025】
なお、上記各実施形態では、ボタン29の背後に配する照光部としてLED41,64を用いているが、代わりに、有機ELや電球を用いてもよい。また、透過照明ボタン32を省略し、ランプ点灯ボタン29をオンすることに応答して背後のLED41,64が発光し、オフすることでLED64が消灯するように構成してもよい。さらに、本発明は、ランプ点灯ボタン29に用いることに限定されるものではなく、周知のボタンであればいずれにも採用することができる。また、本発明は光源装置16に用いることに限定されるものではなく、例えば、内視鏡用のプロセッサ装置19、パーソナルコンピュータ、プリンタ、電話機、及び制御機器等を含む電気機器のいずれにも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】内視鏡システムを搭載したカートを示す斜視図である。
【図2】本発明を採用した光源装置を示す斜視図である。
【図3】光源装置の操作部の要部を示す説明図である。
【図4】ランプ点灯ボタンを示す断面図である。
【図5】パネルシートを用いた操作部の別の実施形態を示す説明図である。
【図6】図5で説明した操作部のうちのランプ点灯ボタンを示す断面図である。
【図7】図6で説明したランプ点灯ボタンを点灯した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
10 カート
16 光源装置
27 電源ボタン
29 ランプ点灯ボタン
34 凹部
41,64 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外カバーに設けられた断面お椀状の凹部と、
前記凹部の内部に露呈して設けられた透明な操作ボタンと、
前記操作ボタンの背後に設けられ、前記操作ボタンを透過照明する照光部と、
前記凹部の表面に設けられ、前記操作ボタンを透過する光のうちの一部を反射する反射部と、
を備えたことを特徴とする自照式ボタン装置。
【請求項2】
前記反射部は、透明なフィルムシートと、その上に反射率の高い色を印刷した反射層とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の自照式ボタン装置。
【請求項3】
前記フィルムシートは、前記操作ボタンを覆う範囲が透明になっていることを特徴とする請求項2記載の自照式ボタン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−3476(P2010−3476A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159936(P2008−159936)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】