説明

自発光型表示装置、プラズマディスプレイパネル、CRT表示装置

【課題】輝度を低下させることなくコントラストを向上させた自発光型表示装置を提供する。
【解決手段】映像信号に基づいて発光する複数の発光素子1が配列された自発光型表示装置であって、発光素子1は、自発光型表示装置に入射する可視光を再帰反射する。これにより、自発光型表示装置に対して斜め方向から入射する外光を再び同じ方向に反射させるので、反射光が観察者に到達することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自発光型表示装置に関し、より特定的にはコントラストを向上させた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自発光型の表示装置は、優れた色再現性や動画に適した応答性、さらに視野角の依存性が無いことから、表示装置として広く普及している。また、自発光型表示装置は、バックライトを必要としないので薄型化を実現することができる。その結果、近年では薄型でかつ大画面のプラズマディスプレイが普及しつつある。
【0003】
しかしながら、このような自発光型表示装置は、液晶ディスプレイと比較してコントラストが低いことが問題とされている。特に、自発光型表示装置が明るい環境下に設置されるとコントラストの低下が大きい。
【0004】
例えばプラズマディスプレイパネルでは、反射率の高い蛍光体層が形成された放電セル内部に外光が入射して観察者側に反射されるのでコントラストが低下する。これに対して、蛍光体層よりも観察者側に透過率の低いフィルターを配置してコントラストの低下を抑制する技術が知られている。かかる技術により、外光はフィルターを透過して蛍光体層に到達して反射された後、再度フィルターを透過して観察者側に出射される。一方、放電セルからの映像光はフィルターを一度だけ透過する。したがって、フィルターによる光量低下は映像光よりも外光の方が大きくなるので、明るい環境下におけるコントラストの低下を抑制できるとしている。
【0005】
また、明るい場所でも高いコントラストを実現する他の方法として、例えば特許文献1のカラープラズマディスプレイパネルが提案されている。特許文献1のプラズマディスプレイパネルは、対応する画素毎にカラーフィルターを設けている。すなわち、特許文献1のプラズマディスプレイパネルは、誘電体層に接するか、あるいは誘電体層の内部に無機顔料微粒子を主成分とする膜厚の薄いカラーフィルター層が形成された構成を有している。これにより、特許文献1は外光の反射を抑え、明るい場所でもコントラストの低下が軽減されたプラズマディスプレイパネルを提供できるとしている。
【特許文献1】特開平10−69859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、蛍光体層で反射され観察者に到達する外光の光量を減少させるために、透過率の低いフィルターを蛍光体層よりも観察者側に配置すると、観察されるべき映像光もフィルターにより減衰されるため、パネル輝度が低下するという問題があった。
【0007】
また、特許文献1のプラズマディスプレイパネルについても同様に、放電セルで発光した映像光は、各画素に設けられたカラーフィルターを通過することになるので、パネル輝度が低下するという問題があった。このように従来の技術によると、明るい環境下におけるコントラストの低下を抑制すると、映像光も暗くなってしまい、品質の高い映像を提供することができなかった。
【0008】
また、コントラストの低下は、プラズマディスプレイパネルに限られず、CRT表示装置等の他の自発光型表示装置においても同様の問題がある。
【0009】
そこで本発明の目的は、上記課題に鑑みてなされたものであり、輝度を低下させることなくコントラストを向上させた自発光型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、以下の構成を備える自発光型表示装置によって達成される。
映像信号に基づいて発光する複数の発光素子を含む自発光型表示装置であって、
発光素子は、自発光型表示装置に入射する可視光を再帰反射する。
【0011】
好ましくは、発光素子は、自発光型表示装置に入射する可視光を透過し、
自発光型表示装置は、さらに、発光素子を透過して入射する可視光を再帰反射する再帰反射層を発光素子の背面側に備える。
【0012】
本発明の目的は、以下の構成を備えるプラズマディスプレイパネルによって達成される。互いに離隔して配置される前面板及び背面板と、前面板と背面板との間に形成される放電空間を区画する隔壁と、隔壁により区画された放電セル内で放電を発生させるための電極と、放電によって発生した紫外線により励起されて発光する蛍光体層とを備えるプラズマディスプレイパネルであって、
蛍光体層は、前面板から入射する可視光を再帰反射する蛍光体を含む。
【0013】
好ましくは、蛍光体層は、前面板から入射する可視光を透過し、
プラズマディスプレイパネルは、さらに、前面板からの可視光を再帰反射する再帰反射層を蛍光体層の背面板側に備える。
【0014】
本発明の目的は、以下の構成を備えるCRT表示装置によって達成される。
電子ビームを出射する電子銃と、電子ビームを偏向する偏向ヨークと、電子ビームが照射されて発光する蛍光体とを備えるCRT表示装置であって、
蛍光体は、CRT表示装置に入射する可視光を再帰反射する。
【0015】
好ましくは、蛍光体は、CRT表示装置に入射する可視光を透過し、
CRT表示装置は、さらに、蛍光体を透過して入射する可視光を再帰反射する再帰反射層を蛍光体の背面側に備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、輝度を低下させることなくコントラストを向上させた自発光型表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る自発光型表示装置について図面を参照しながら説明する。室内の照明や太陽光が入射する明るい環境下において、自発光型表示装置には全方位からの外光が入射するが、その中でも特に斜め方向から入射する外光がコントラストの低下に大きな影響を与える。そこで、本実施の形態の自発光型表示装置は、斜め上方から入射する外光が発光素子に入射しても、反射光が観察者に入射することを防止して、コントラストを向上させる点に特徴がある。以下、本実施の形態の自発光型表示装置について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る自発光型表示装置の構成を示す概略図である。図に示すように、自発光型表示装置は複数の発光素子1とフェースプレート2と映像信号出力部3とを備える。
【0019】
発光素子1は、映像信号出力部3から出力される映像信号に応じて発光強度を変化させるとともに、再帰反射性を有する素子である。フェースプレート2は、発光素子1よりも観察者側に配置され、発光素子1を保持している。
【0020】
映像信号出力部3から映像信号が出力されると、発光素子1は映像信号に応じて励起されて映像光を出射する。出射された光は、フェースプレート2を透過して観察者に到達し、映像が観察される。
【0021】
一方、自発光型表示装置に対して斜め上方から入射する外光の反射によるコントラストの低下は、次のように抑制される。すなわち、斜め方向から入射した外光は、フェーズプレート2を透過して発光素子1に入射し、入射面で屈折作用を受けた後、入射面と対向する面に到達し反射する。図2は、外光が入射する発光素子1近傍を拡大した概略断面図である。図に示すように、発光素子1に入射した外光は、入射面で屈折作用を受けて、入射面と対向する面に到達し反射する。反射光は発光素子1から出射されるときに再び屈折されて、ほぼ入射した方向と平行に出射される。このように、自発光型表示装置に斜め方向から入射した外光は、入射した方向と平行に反射されるので、観察者が存在する方向に到達することがない。
【0022】
以上のように、本実施の形態に係る自発光型表示装置は、再帰反射性を有する発光素子を備えることにより、自発光型表示装置に対して斜め方向から入射する外光を再び同じ方向に反射させるので、反射光が観察者に到達することがない。したがって、照明や太陽光等の外光が入射する明るい環境下であっても、輝度を低下させることなくコントラストの高い自発光型表示装置を提供できる。
【0023】
(実施の形態2)
実施の形態2に係るプラズマディスプレイパネルについて図を用いて説明する。実施の形態1と同様に、室内の照明や太陽光が入射する明るい環境下において、プラズマディスプレイパネルには全方位からの外光が入射するが、その中でも特に斜め方向から入射する外光がコントラストの低下に大きな影響を与える。そこで、本実施の形態のプラズマディスプレイパネルは、斜め上方から入射する外光が蛍光体層に入射しても、反射光が観察者に入射することを防止して、コントラストを向上させる点に特徴がある。以下、本実施の形態のプラズマディスプレイパネルの構成について説明する。
【0024】
図3は、本実施の形態のプラズマディスプレイパネルの構成を示す概略断面図である。プラズマディスプレイパネルは、離隔して配置される前面パネル100及び背面パネル200を備えている。前面パネル100と背面パネル200との対向間隙にはXe、He、Ne等の放電ガスが封入されている。
【0025】
背面パネル200は、蛍光体層211と、隔壁210と、誘導体層220と、背面基板230とを有する。より詳細には、例えばガラス基板からなる背面基板230の観察者側表面に図示しない各電極及び誘電体層220が形成され、さらに誘電体層220の観察者側に突出するように隔壁210が形成される。隔壁210は前面パネル100と背面パネル200との間隙に形成された放電空間を区画して放電セル300を形成する。さらに隔壁表面は、頭頂部を残して蛍光体が塗布され、蛍光体層211が形成される。ここで、本実施の形態の蛍光体は再帰反射性を有しており、蛍光体層211は入射光と同じ方向に光を反射させる。
【0026】
前面パネル100は、前面基板101と、対向電極102と、誘電体層103と、保護層104とを有する。より詳細には、例えばガラス基板からなる前面基板101の背面パネル側表面に、透過率の高い透明電極及び抵抗値の低いバス電極を含む対向電極102が形成される。誘電体層103は対向電極を被膜し、さらに誘電体層103の背面パネル側表面には、例えば酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層104が形成される。なお、前面パネル100及び背面パネル200の構成は一例であり、これらに限られるものではない。
【0027】
背面パネル200と前面パネル100との間に形成された放電空間には、Xe、He、Ne等の放電ガスが封入される。このように構成されたプラズマディスプレイパネルにおいて、放電セルの対向電極にパルス状AC電圧が印加されると、表示放電が起こり紫外線が発生する。発生した紫外線は、背面パネルに形成された蛍光体層211の蛍光体を励起して可視光を発生させ、映像光として観察者側に出射する。
【0028】
また、プラズマディスプレイパネルに対して斜め方向に入射する外光の反射によるコントラストの低下は、次のように抑制される。すなわち、斜め方向から入射した外光は、前面基板101、誘電体層103及び保護層104を透過して、放電セル300内に入射する。より詳細には、放電セル300内に入射した外光は蛍光体層211に入射し、入射面で屈折作用を受けて、入射面と対向する面に到達し反射する。反射光は蛍光体から射出するときに屈折されて、ほぼ入射した方向と平行に出射される。このように、放電セル300内に入射した外光は、入射した方向と平行に反射されるので、観察者が存在する方向に到達することがない。
【0029】
なお、本実施の形態における蛍光体の形状は球形であることが好ましい。また、蛍光体の直径は放電セルの大きさの1/5以下であることが好ましい。このように構成することにより、放電セル内の空間を確保することができ、良好な放電特性を得ることができる。
【0030】
さらに、蛍光体の屈折率は1.8〜2.3の範囲にあることが好ましい。これにより、蛍光体に入射する光と蛍光体で反射される光との角度差を小さくすることができ、観察者に到達する反射光を低減させることができる。
【0031】
以上のように、本実施の形態に係るプラズマディスプレイパネルは、放電セル内に再帰反射性を有する蛍光体層を備えることにより、プラズマディスプレイに対して斜め方向から入射する外光を再び同じ方向に反射させるので、反射光が観察者に到達することがない。したがって、照明や太陽光等の外光が入射する明るい環境下であっても、輝度を低下させることなくコントラストの高いプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
【0032】
また、従来のプラズマディスプレイパネルと比較して、再帰反射性を有する蛍光体を塗布するだけでよいので、簡易な構成でコントラストの向上を図ることができる。
【0033】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係るCRT表示装置について図面を参照しながら説明する。図4は本実施の形態に係るCRT表示装置の構成を示す概略図である。CRT表示装置は、蛍光体10と真空容器20と映像信号出力部30と偏向ヨーク40と電子銃50とを備える。
【0034】
蛍光体10は、CRT表示装置の前面側に配置され、電子ビームが照射されることによって光を発するとともに再帰反射性を有している。電子銃50は、映像信号出力部30からの映像信号に応じて蛍光体10を発光させる電子ビームを出射する。偏向ヨーク40は、真空容器20のネック部に配置され、電子銃50から出射された電子ビームを上下左右に偏向させる。電子銃50から出射された電子ビームは、偏向ヨーク40により偏向されて発光すべき蛍光体10に照射されることにより、CRT表示装置の画面上には映像が表示される。
【0035】
一方、CRT表示装置に対して斜め上方から入射する外光の反射によるコントラストの低下は、次のように抑制される。すなわち、斜め方向から入射した外光は、蛍光体10に入射し、入射面で屈折作用を受けた後、入射面と対向する面に到達し反射する。反射光は蛍光体10から出射するときに再び屈折されて、ほぼ入射した方向と平行に出射される。このように、CRT表示装置に斜め方向から入射した外光は、入射した方向と平行に反射されるので、観察者が存在する方向に到達することがない。
【0036】
以上のように、本実施の形態に係るCRT表示装置は、再帰反射性を有する蛍光体を備えることにより、CRT表示装置に対して斜め方向から入射する外光を再び同じ方向に反射させるので、反射光が観察者に到達することがない。したがって、照明や太陽光等の外光が入射する明るい環境下であっても、輝度を低下させることなくコントラストの高いCRT表示装置を提供できる。
【0037】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係る自発光型表示装置について図面を参照しながら説明する。図5は本実施の形態の自発光型表示装置の構成を示す概略断面図である。図に示すように、本実施の形態の自発光型表示装置は、実施の形態2の自発光型表示装置とほぼ同様の構成を備えるが、発光素子1の背面側に再帰反射層4をさらに備えるとともに、可視光が発光素子1を透過する点で異なる。以下、実施の形態2と同様の構成要素については同じ参照符号を付し、異なる点を中心に説明する。
【0038】
自発光型表示装置は発光素子1とフェースプレート2と映像信号出力部3と発光素子1の背面側に再帰反射層4を備える。再帰反射層4は、例えばガラス球を用いたコーナーキューブアレイや微小球アレイ、マイクロレンズアレイである。
【0039】
このように構成された自発光型表示装置において、斜め上方から入射する外光は、フェーズプレート2及び発光素子1を透過して、再帰反射層4に入射する。し、入射面で屈折作用を受けた後、入射面と対向する面に到達し反射する。そして入射した外光は、再帰反射層4により入射した方向と平行に反射される。したがって、自発光型表示装置に対して斜め上方から入射した外光は、再帰反射層4により斜め上方に反射されるので、観察者に到達しない。
【0040】
以上のように、本実施の形態に係る自発光型表示装置は、発光素子の背面側に再帰反射層を備えることにより、自発光型表示装置に対して斜め方向から入射する外光を再び同じ方向に反射させるので、反射光が観察者に到達することがない。したがって、照明や太陽光等の外光が入射する明るい環境下であっても、輝度を低下させることなくコントラストの高い自発光型表示装置を提供できる。
【0041】
なお、再帰反射層4を構成する各ガラスの直径は発光素子1のサイズの1/5以下であることが好ましい。またガラス球の屈折率は1.8〜2.3の範囲であることが好ましい。これにより、外光が再帰反射層4に入射して屈折されても再帰反射層4からの反射光が入射光とがほぼ同じ経路で反射されるので、効果的にコントラストを向上させることができる。
【0042】
(実施の形態5)
図6は、実施の形態5に係るプラズマディスプレイパネルの構成を示す概略断面図である。本実施の形態のプラズマディスプレイパネルは、実施の形態1のプラズマディスプレイパネルとほぼ同様の構成を備えるが、蛍光体層311の背面パネル側に再帰反射層350を備える点で異なる。以下、実施の形態1と同様の構成要素については同じ参照符号を付し、異なる点を中心に説明する。
【0043】
実施の形態1と同様に、隔壁210は前面パネル100と背面パネル200との間隙に形成された放電空間を区画して放電セル300を形成する。隔壁210の頭頂部及び側面を残して放電セル300の内壁部に再帰反射層350が形成された後、放電セル300の頭頂部を残して赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各蛍光体が色分け塗布され、蛍光体層311が形成される。このように、本実施の形態では、蛍光体層311の背面パネル側に再帰反射層350が形成される。再帰反射層350は、例えばガラス球を用いたコーナーキューブアレイや微小球アレイ、マイクロレンズアレイである。
【0044】
ここで、蛍光体層311の厚みは従来のものよりも薄いため、入射した可視光は蛍光体層311を透過する。蛍光体の粒子は光を透過させる性質を有するが、蛍光体の粒子が多数集まった集合体に入射した光は、透過を繰り返して乱反射され、拡散反射されることになる。そのため、蛍光体層を透過する光量は減少する。かかる拡散反射を抑制して、透過率を増大させるためには蛍光体の厚みを薄くすればよい。
【0045】
このように構成されたプラズマディスプレイパネルにおいて、外光は前面パネル100及び蛍光体層311を透過した後、再帰反射層350に入射する。そして入射した外光は、再帰反射層350により入射した方向と平行に反射される。したがって、プラズマディスプレイパネルに対して斜め上方から入射した外光は、再帰反射層350により斜め上方に反射されるので、観察者に到達しない。
【0046】
なお、再帰反射層350を構成する各ガラスの直径は放電セル300のサイズの1/5以下であることが好ましい。またガラス球の屈折率は1.8〜2.3の範囲であることが好ましい。これにより、放電セル内の空間を確保し、良好な放電特性を得ることができるとともに、外光が再帰反射層350に入射して屈折されても再帰反射層350からの反射光が入射光とがほぼ同じ経路で反射されるので、効果的にコントラストを向上させることができる。
【0047】
以上のように、本実施の形態に係るプラズマディスプレイパネルは、再帰反射性を有する蛍光体を備えることにより、斜め上方から入射する外光を再び同じ方向に反射させるので、反射光が観察者に到達することがない。したがって、照明や太陽光等の外光が入射する明るい環境下であっても、輝度を低下させることなくコントラストの高いプラズマディスプレイパネルを提供できる。
【0048】
(実施の形態6)
図7は、実施の形態6に係るCRT表示装置の構成を示す概略断面図である。本実施の形態のCRT表示装置は、実施の形態3のCRT表示装置とほぼ同様の構成を備えるが、蛍光体10の背面側に再帰反射層60をさらに備える点で異なる。以下、実施の形態3と同様の構成要素については同じ参照符号を付し、異なる点を中心に説明する。
【0049】
図に示すように、CRT表示装置は蛍光体10と、蛍光体10の背面側に配置された再帰反射層60と、真空容器20と、映像信号出力部30と、偏向ヨーク40と、電子銃50とを備える。再帰反射層60は、例えばガラス球を用いたコーナーキューブアレイや微小球アレイ、マイクロレンズアレイである。
【0050】
このように構成されたCRT表示装置において、斜め上方から入射する外光は、蛍光体10を透過して再帰反射層60に入射する。そして入射した外光は、再帰反射層60により入射した方向と平行に反射される。したがって、CRT表示装置に対して斜め上方から入射した外光は、再帰反射層60により斜め上方に反射されるので、観察者に到達することがない。
【0051】
以上のように、本実施の形態に係るCRT表示装置は、蛍光体の背面側に再帰反射層を備えることにより、CRT表示装置に対して斜め方向から入射する外光を再び同じ方向に反射させるので、反射光が観察者に到達することがない。したがって、照明や太陽光等の外光が入射する明るい環境下であっても、輝度を低下させることなくコントラストの高いCRT表示装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、コントラストの向上が要望されるCRT表示装置やプラズマディスプレイ等、種々の映像表示装置等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施の形態1に係る自発光型表示装置の構成を示す概略断面図
【図2】実施の形態1における発光素子近傍を拡大した概略断面図
【図3】実施の形態2に係るプラズマディスプレイパネルの構成を示す概略断面図
【図4】実施の形態3に係るCRT表示装置の構成を示す概略断面図
【図5】実施の形態4に係る自発光型表示装置の構成を示す概略断面図
【図6】実施の形態5に係るプラズマディスプレイパネルの構成を示す概略断面図
【図7】実施の形態6に係るCRT表示装置の構成を示す概略断面図
【符号の説明】
【0054】
1 発光素子
2 フェースプレート
3 映像信号出力部
4 再帰反射層
10 蛍光体
20 真空容器
30 映像信号出力部
40 偏向ヨーク
50 電子銃
60 再帰反射層
100 前面パネル
101 前面基板
102 対向電極
103 誘電体層
104 保護層
200 背面パネル
210 隔壁
211 蛍光体層
220 誘電体層
230 背面基板
300 放電セル
311 蛍光体層
350 再帰反射層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号に基づいて発光する複数の発光素子を含む自発光型表示装置であって、
前記発光素子は、前記自発光型表示装置に入射する可視光を再帰反射する、自発光型表示装置。
【請求項2】
前記発光素子は、再帰反射性を有する球状の蛍光体である、請求項1に記載の自発光型表示装置。
【請求項3】
前記発光素子は、1.8〜2.3の屈折率を有する、請求項1に記載の自発光型表示装置。
【請求項4】
前記発光素子は、前記自発光型表示装置に入射する可視光を透過し、
前記自発光型表示装置は、さらに、前記発光素子を透過して入射する可視光を再帰反射する再帰反射層を前記発光素子の背面側に備える、請求項1に記載の自発光型表示装置。
【請求項5】
前記再帰反射層は、再帰反射性を有するガラス製球体を含む、請求項4に記載の自発光型表示装置。
【請求項6】
前記再帰反射層は、屈折率が1.8〜2.3である再帰反射性を有するガラス製球体を含む、請求項4に記載の自発光型表示装置。
【請求項7】
前記再帰反射層が、コーナーキューブアレイ、微小球アレイ、マイクロレンズアレイのいずれか1つである、請求項4に記載の自発光型表示装置。
【請求項8】
前記再帰反射層は、再帰反射性を有するガラス製球体と、前記ガラス製球体の背面側に形成され可視光を反射する反射層とを含む、請求項4に記載の自発光型表示装置。
【請求項9】
互いに離隔して配置される前面板及び背面板と、前記前面板と前記背面板との間に形成される放電空間を区画する隔壁と、前記隔壁により区画された放電セル内で放電を発生させるための電極と、前記放電によって発生した紫外線により励起されて発光する蛍光体層とを備えるプラズマディスプレイパネルであって、
前記蛍光体層は、前記前面板から入射する可視光を再帰反射する蛍光体を含む、プラズマディスプレイパネル。
【請求項10】
各前記蛍光体の平均粒径は、前記放電セルの大きさの1/5以下であることを特徴とする、請求項9に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項11】
前記蛍光体層は、前記前面板から入射する可視光を透過し、
前記プラズマディスプレイパネルは、さらに、前記前面板からの可視光を再帰反射する再帰反射層を前記蛍光体層の背面板側に備える、請求項9に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項12】
前記再帰反射層は、平均粒径が前記放電セルの大きさの1/5以下である再帰反射性を有するガラス製球体を含む、請求項11に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項13】
前記再帰反射層が、コーナーキューブアレイ、微小球アレイ、マイクロレンズアレイのいずれか1つである、請求項11に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項14】
前記再帰反射層は、前記前面板からの可視光を再帰反射するガラス製球体と、前記ガラス製球体の背面側に形成され可視光を反射する反射層とを含む、請求項11に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項15】
前記再帰反射層は、前記前面板からの可視光を再帰反射するガラス製球体と、前記ガラス製球体の背面側に形成され、入射する紫外線を反射して前記蛍光体層に導く紫外線反射層とを含む、請求項11に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項16】
電子ビームを出射する電子銃と、前記電子ビームを偏向する偏向ヨークと、前記電子ビームが照射されて発光する蛍光体とを備えるCRT表示装置であって、
前記蛍光体は、前記CRT表示装置に入射する可視光を再帰反射する、CRT表示装置。
【請求項17】
前記蛍光体は、入射する可視光を透過して、
前記CRT表示装置は、さらに、前記蛍光体を透過して入射する可視光を再帰反射する再帰反射層を前記蛍光体の背面側に備える、請求項16に記載のCRT表示装置。
【請求項18】
前記再帰反射層が、コーナーキューブアレイ、微小球アレイ、マイクロレンズアレイのいずれか1つである、請求項17に記載のCRT表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−309937(P2008−309937A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156359(P2007−156359)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】