自走式破砕機
【課題】 表示灯の視認性を高めることができ、かつ、表示灯の地上高さを抑える。
【解決手段】パワーユニット10の幅方向の一側(左側)に第1の表示灯32を配設し、幅方向の他側(右側)に第2の表示灯34を配設する。この場合、第1,第2の表示灯32,34を、建屋カバー16の上面16Aよりも低い位置に配置すると共に、パワーユニット10の長さ方向に対して互いに異なる位置に配置する。これにより、第1,第2の表示灯32,34の視認性を高めることができ、木材破砕機の周囲に存在する作業者は、第1,第2の表示灯32,34のいずれか一方を確実に目視することができる。また、木材破砕機1を車両に積載して輸送するときの輸送高さ制限内に、第1,第2の表示灯32,34を常に収めておくことができる。
【解決手段】パワーユニット10の幅方向の一側(左側)に第1の表示灯32を配設し、幅方向の他側(右側)に第2の表示灯34を配設する。この場合、第1,第2の表示灯32,34を、建屋カバー16の上面16Aよりも低い位置に配置すると共に、パワーユニット10の長さ方向に対して互いに異なる位置に配置する。これにより、第1,第2の表示灯32,34の視認性を高めることができ、木材破砕機の周囲に存在する作業者は、第1,第2の表示灯32,34のいずれか一方を確実に目視することができる。また、木材破砕機1を車両に積載して輸送するときの輸送高さ制限内に、第1,第2の表示灯32,34を常に収めておくことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば廃木材、建築廃材等の被破砕材料を破砕して再利用可能な小さな破砕物を生成するのに好適に用いられる自走式破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、森林での間伐作業によって発生する間伐材、木造家屋の解体作業によって発生する廃木材等の木材は、例えば発酵処理等を施すことにより肥料等として再利用される。そして、これら間伐材、廃木材等の大きな木材を作業現場において肥料等に適した小片状に破砕するため、木材破砕機が好適に用いられている。また、建築物の解体作業によって生じるコンクリート塊等の建築廃材を、地面の舗装材等として再利用するため、作業現場において建築廃材を細かく破砕するジョークラッシャを備えた破砕機が知られている。
【0003】
ここで、これら廃木材、建築廃材等の被破砕材料を破砕する自走式破砕機は、通常、自走可能な走行体と、該走行体上に設けられたベースフレームと、該ベースフレームの長さ方向一側に設けられたフィーダと、ベースフレームの長さ方向他側に設けられたパワーユニットと、フィーダにより搬送された被破砕材料を破砕する破砕装置と、該破砕装置の下側からベースフレームの長さ方向他側に向けて延びる排出コンベヤと、破砕装置の動作状態を報知する表示灯とにより大略構成されている。
【0004】
そして、自走式破砕機は、解体作業等の作業現場まで自走した後、廃木材や建築廃材等の大きな被破砕材料をフィーダによって破砕装置に供給し、この被破砕材料を破砕装置によって破砕する。これにより、再利用可能な小さな破砕物が生成され、この破砕物は排出コンベヤによって所望の集積場所に排出される。
【0005】
ここで、例えば固い被破砕材料や大量の被破砕材料が破砕装置に供給された場合には、破砕装置に過剰な負荷が作用して円滑な破砕動作が妨げられてしまう。このため、自走式破砕機には、通常、周囲の作業者に対して破砕装置の動作状態を報知するための表示灯が設けられ、作業者は、表示灯の表示内容によって破砕装置に過剰な負荷が作用しているか否かを判断し、この破砕装置の動作状態に応じて破砕装置に対する被破砕材料の供給を調整することができるようになっている。
【0006】
この場合、表示灯は、自走式破砕機の前側、後側、左側、右側のどの位置からでも作業者が確実に目視できるように、自走式破砕機のうちできるだけ地上高さが高い部位に配設することが望ましいが、自走式破砕機を車両に積載して輸送する場合の輸送高さ制限を超えない範囲内に、表示灯を配設する必要がある。
【0007】
このため、例えばパワーユニットの上面に表示灯を配設し、この表示灯の上端部の地上高さが、自走式破砕機の輸送高さ制限内に収まるようにすることが考えられる。しかし、パワーユニットの上面に配設した表示灯を、自走式破砕機の輸送高さ制限内に収めるためには、ベースフレームに対するパワーユニットの取付け高さを低く設定することにより、パワーユニットの上面の地上高さを表示灯の高さ寸法分だけ低く抑える必要がある。
【0008】
ここで、破砕装置により生成された破砕物を外部に排出する排出コンベヤは、通常、基端側が破砕装置の下側に配置されてパワーユニットの下側へと延び、排出コンベヤの先端側は、パワーユニットの下側から斜め上向きに傾斜してパワーユニットの外部に突出している。従って、排出コンベヤの先端部の地上高さを大きく設定すれば、排出コンベヤの先端部下方に形成される集積場所に、大量の破砕物を排出することができる。
【0009】
これに対し、パワーユニットの上面に配設した表示灯の上端部を、自走式破砕機の輸送高さ制限内に収めるために、ベースフレームに対するパワーユニットの取付け高さを低く設定すると、パワーユニットの下側から斜め上向きに傾斜する排出コンベヤとパワーユニットとの干渉を避けるため、排出コンベヤの傾斜角度を小さくしなければならない。従って、排出コンベヤの先端部の地上高さを大きく設定するためには、排出コンベヤの傾斜角度が小さくなった分だけ、パワーユニットの外部に突出した排出コンベヤの突出長さを大きくする必要がある。この結果、排出コンベヤを含めた自走式破砕機の全長が大きくなってしまうという問題がある。
【0010】
これに対し、ベースフレーム上に搭載された燃料タンクの上面に折畳み式の支柱を立設し、この支柱の先端に表示灯を取付けた自走式破砕機が提案されている。この自走式破砕機は、破砕作業時には、支柱を伸長させることにより表示灯の地上高さを大きくして作業者からの視認性を高めることができ、輸送時には、支柱を折畳むことにより表示灯を輸送高さ制限内に収めることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】特開2004−344813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述した従来技術による自走式破砕機は、破砕作業時には燃料タンクに上って支柱を伸長させることにより表示灯の地上高さを高くし、輸送時には燃料タンクに上って支柱を折畳むことにより表示灯の地上高さを低くする必要があり、この作業が非常に煩雑であるという問題がある。また、例えば輸送時に支柱を折畳む作業を忘れた場合には、表示灯が輸送高さ制限を超えてしまうという問題がある。
【0013】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、表示灯の視認性を高めることができ、かつ、表示灯の地上高さを抑えることができるようにした自走式破砕機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するため本発明は、自走可能な走行体と、該走行体上に設けられたベースフレームと、該ベースフレームの長さ方向一側に設けられ破砕すべき被破砕材料を搬送するフィーダと、前記ベースフレームの長さ方向他側に設けられ原動機、該原動機を覆う建屋カバー及びタンクを含むパワーユニットと、該パワーユニットと前記フィーダとの間に配設され前記フィーダにより搬送された前記被破砕材料を破砕する破砕装置と、該破砕装置の下側から前記ベースフレームの長さ方向他側に向けて延び前記破砕装置により破砕された破砕物を外部に排出する排出コンベヤと、前記破砕装置の動作状態を報知する表示灯とを備えてなる自走式破砕機に適用される。
【0015】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記表示灯は、前記パワーユニットの幅方向の一側に配設した第1の表示灯と、前記パワーユニットの幅方向の他側に配設した第2の表示灯とにより構成し、これら第1の表示灯と第2の表示灯とは、地面からの高さ方向に対し互いに異なる位置に配置したことにある。
【0016】
請求項2の発明は、自走可能な走行体と、該走行体上に設けられたベースフレームと、該ベースフレームの長さ方向一側に設けられ破砕すべき被破砕材料を搬送するフィーダと、前記ベースフレームの長さ方向他側に設けられ原動機、該原動機を覆う建屋カバー及びタンクを含むパワーユニットと、該パワーユニットと前記フィーダとの間に配設され前記フィーダにより搬送された前記被破砕材料を破砕する破砕装置と、該破砕装置の下側から前記ベースフレームの長さ方向他側に向けて延び前記破砕装置により破砕された破砕物を外部に排出する排出コンベヤと、前記破砕装置の動作状態を報知する表示灯とを備えてなる自走式破砕機において、前記表示灯は、前記パワーユニットの幅方向の一側に配設した第1の表示灯と、前記パワーユニットの幅方向の他側に配設した第2の表示灯とにより構成し、これら第1の表示灯と第2の表示灯とは、前記パワーユニットの長さ方向に対し互いに異なる位置に配置する構成としたことを特徴としている。
【0017】
請求項3の発明は、前記第1の表示灯と第2の表示灯とは、機体の最大高さよりも低い位置に配置する構成としたことにある。
【0018】
請求項4の発明は、左,右一対の履帯を有する自走可能な走行体と、該走行体上に設けられたベースフレームと、該ベースフレームの長さ方向一側に設けられ破砕すべき被破砕材料を搬送するフィーダと、前記ベースフレームの長さ方向他側に設けられ原動機、該原動機を覆う建屋カバー及びタンクを含むパワーユニットと、該パワーユニットと前記フィーダとの間に配設され前記フィーダにより搬送された前記被破砕材料を破砕する破砕装置と、基端側が該破砕装置の下側に配置されて先端側が前記パワーユニットの下側まで延び前記破砕装置により破砕された破砕物を搬送する第1の排出コンベヤと、基端側が該第1の排出コンベヤの先端側に連結されて先端側が前記パワーユニットの外部へと延び前記第1の排出コンベヤにより搬送された前記破砕物を外部に排出する第2の排出コンベヤと、前記破砕装置の動作状態を報知する表示灯とを備えてなる自走式破砕機において、前記パワーユニットは、前記下部走行体を構成する左,右の履帯幅内に収まる幅寸法を有し、前記パワーユニットを構成する前記タンクの上面は前記建屋カバーの上面よりも低く設定する構成とし、前記表示灯は、前記パワーユニットの幅方向の一側に位置して前記タンクの上面に配設した第1の表示灯と、前記パワーユニットの幅方向の他側に位置して該パワーユニットの下面側に配設した第2の表示灯とにより構成し、これら第1の表示灯と第2の表示灯とは、機体の最大高さよりも低い位置に配置すると共に前記パワーユニットの長さ方向に対し互いに異なる位置に配置する構成としたことを特徴としている。
【0019】
請求項5の発明は、前記第1の表示灯は前記パワーユニットの長さ方向の一側でかつ幅方向の一側の角隅部に配置し、前記第2の表示灯は前記パワーユニットの長さ方向の他側でかつ幅方向の他側の角隅部に配置する構成としたことにある。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、パワーユニットの幅方向の一側に第1の表示灯を配設し、幅方向の他側に第2の表示灯を配設したので、自走式破砕機の周囲に存在する作業者は、これら第1,第2の表示灯のいずれか一方を確実に目視することができ、破砕装置の動作状態を把握することができる。また、第1,第2の表示灯を、地面からの高さ方向に対し互いに異なる位置に配置することにより、例えば作業者が地面上で立ち作業を行う場合と他の作業機械に搭乗している場合とで、作業者の目の高さが異なったとしても、作業者は第1,第2の表示灯のうち一方の表示灯を確実に目視することができ、これら各表示灯の視認性を高めることができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、パワーユニットの幅方向の一側に第1の表示灯を配設すると共に幅方向の他側に第2の表示灯を配設し、これら第1,第2の表示灯を、パワーユニットの長さ方向に対し互いに異なる位置に配置したので、作業者は、自走式破砕機の前側、後側、左側、右側のどの位置においても、第1,第2の表示灯のうち一方の表示灯を確実に目視することができ、これら各表示灯の視認性を高めることができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、第1の表示灯と第2の表示灯とを、機体の最大高さよりも低い位置に配置することにより、例えば自走式破砕機を輸送するときの輸送高さ制限内に常に第1,第2の表示灯を収めておくことができる。このため、例えば従来技術のように破砕作業時と輸送時とで表示灯の高さ位置を変化させるといった煩雑な作業を不要にすることができる。
【0023】
また、パワーユニットに配設された各表示灯が、機体の最大高さを超えて上方に突出することがないので、ベースフレームに対するパワーユニットの取付け高さを高く設定することができる。これにより、例えば排出コンベヤの先端側を、パワーユニットの下側から斜め上向きに傾斜させてパワーユニットの外部へと延ばす場合に、この排出コンベヤの傾斜角度を大きくすることができる。この結果、排出コンベヤの先端部の地上高さを大きく設定した場合でも、排出コンベヤのパワーユニットからの突出長さを抑えることができ、排出コンベヤを含めた自走式破砕機の全長を短くすることができる。
【0024】
請求項4の発明によれば、パワーユニットを構成する建屋カバーの上面よりも低いタンクの上面に第1の表示灯を配設し、パワーユニットの下面側に第2の表示灯を配設し、これら第1,第2の表示灯を、パワーユニットの長さ方向に対し互いに異なる位置に配置したので、これら各表示灯の視認性を高めることができる。しかも、第1,第2の表示灯を機体の最大高さよりも低い位置に配置することにより、例えば自走式破砕機を輸送するときの輸送高さ制限内に常に第1,第2の表示灯を収めておくことができる。
【0025】
請求項5の発明によれば、第1の表示灯をパワーユニットの長さ方向の一側でかつ幅方向の一側の角隅部に配置し、第2の表示をパワーユニットの長さ方向の他側でかつ幅方向の他側の角隅部に配置することにより、作業者は、自走式破砕機の前側、後側、左側、右側のどの位置においても、第1,第2の表示灯のうち一方の表示灯を確実に目視することができ、これら各表示灯の視認性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る自走式破砕機の実施の形態を、木材破砕機に適用した場合を例に挙げ、図1ないし図11を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
図中、1は自走式の木材破砕機を示し、この木材破砕機1は、例えば森林での間伐作業によって発生する間伐材や抜根、木材の剪定作業によって発生する剪定枝材、木造家屋の解体作業によって発生する廃木材等を細かく破砕し、肥料等として再利用可能な小片状の木材チップを生成するものである。そして、木材破砕機1は、後述の走行体2、フィーダ9、パワーユニット10、破砕装置20、排出コンベヤ28、第1の表示灯32、第2の表示灯34等により構成されている。
【0028】
2は自走可能な履帯式の走行体で、該走行体2は、トラックフレーム3と、該トラックフレーム3に設けられた駆動輪4および遊動輪5と、これら駆動輪4と遊動輪5とに巻回された左,右の一対の履帯(クローラ)6,6とにより大略構成されている。そして、走行体2は、例えば遠隔操作装置(図示せず)に対する操作に応じて作業現場等を走行するものである。
【0029】
7は走行体2のトラックフレーム3に設けられたベースフレームで、該ベースフレーム7は、トラックフレーム3上に固定され、前,後方向に延びている。そして、ベースフレーム7の長さ方向一側(前部側)には、後述のホッパ8、フィーダ9が設けられ、ベースフレーム7の長さ方向他側(後部側)には、後述のパワーユニット10が設けられ、ベースフレーム7の長さ方向中間部には、後述の押付け装置19、破砕装置20等が設けられる構成となっている。
【0030】
8はベースフレーム7の長さ方向一側(前部側)に設けられたホッパで、該ホッパ8は、例えば森林での間伐作業によって発生する間伐材等や、木造家屋の解体作業によって発生する廃木材等の破砕すべき木材(被破砕材料)が投入されるものである。ここで、ホッパ8は、上方から斜め下向きに傾斜した左,右の側壁を有し、ホッパ8の下端側は後述のフィーダ9上に開口している。そして、ホッパ8内に投入された間伐材、廃木材等は、該ホッパ8の側壁に沿って後述のフィーダ9上に連続的に供給される構成となっている。
【0031】
9はホッパ8の下側に位置してベースフレーム7の長さ方向一側に設けられたフィーダで、該フィーダ9は、ホッパ8に投入された木材を後述の破砕装置20へと搬送するものである。ここで、フィーダ9は、図6に示すように、ベースフレーム7に沿って前,後方向に延びる無限軌道を形成したチェーンベルト9Aと、チェーンベルト9Aに噛合し油圧モータ等によって駆動される駆動歯車9Bとにより大略構成されている。そして、フィーダ9は、駆動歯車9Bによってチェーンベルト9Aを周回駆動することにより、ホッパ8から投入された木材をチェーンベルト9A上に積載し、この木材を破砕装置20に向けて連続的に搬送する構成となっている。
【0032】
10はベースフレーム7の長さ方向他側(後部側)に設けられたパワーユニットで、該パワーユニット10は、木材破砕機1の動力源を構成するものである。ここで、パワーユニット10は、後述のユニットフレーム11、原動機13、建屋カバー16、作動油タンク17、燃料タンク18等により構成されている。また、図2に示すように、パワーユニット10は、上方からみた平面視でほぼ四角形状に形成され、該パワーユニット10の左,右方向の幅寸法Aは、走行体2を構成する左,右の履帯6の幅寸法Bとほぼ等しく設定されている。
【0033】
11はパワーユニット10のベースとなるユニットフレームで、該ユニットフレーム11は、前,後方向に延びる長方形の枠状に形成され、強固な支持構造体をなしている。ここで、ユニットフレーム11は、図3に示すように、ベースフレーム7の後部側に支持部材12を介して取付けられることにより、ベースフレーム7よりも一段高い位置に配設され、ユニットフレーム11の下端部11Aは地面から高さ寸法Cだけ離間している。そして、ユニットフレーム11はベースフレーム7上を水平方向に延び、ユニットフレーム11の後端側は、ベースフレーム7の後端部から後方に突出している(図3参照)。
【0034】
13はユニットフレーム11上に搭載された原動機(エンジン)で、該原動機13は、図2に示すように、左,右方向に延びる横置き状態に配置されている。そして、原動機13の左側には、原動機13によって駆動されることにより木材破砕機1に搭載された各種の油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧ポンプ14が配設されている。また、原動機13の右側には、ラジエータ、オイルクーラ等からなる熱交換器15が配設されている。
【0035】
16は原動機13等を覆ってユニットフレーム11上に設けられた建屋カバーで、該建屋カバー16は、上面16A、左,右の側面16B、前面16C、後面16D等により、全体として左,右方向に延びる箱状に形成されている。そして、建屋カバー16内には、原動機13、油圧ポンプ14、熱交換器15等が収容されている(図2参照)。
【0036】
17は建屋カバー16の左前側に位置してユニットフレーム11上に設けられた作動油タンクで、該作動油タンク17は、木材破砕機1に搭載された各種の油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜するものである。ここで、作動油タンク17は、上,下方向に延びる直方体の箱状に形成され、建屋カバー16の左前側に隣接して配置されている。そして、図8に示すように、作動油タンク17の上面17Aは、建屋カバー16の上面16Aよりも一段低い位置に設定されており、この作動油ンタンク17の上面17Aと建屋カバー16の上面16Aとの段差によって生じるスペースを利用して、後述する第1の表示灯32が配設される構成となっている。
【0037】
18は建屋カバー16の右前側に位置してユニットフレーム11上に設けられた燃料タンクで、該燃料タンク18は、原動機13に供給される燃料を貯溜するものである。ここで、燃料タンク18は、上,下方向に延びる直方体の箱状に形成され、建屋カバー16の右前側に隣接して配置されている。そして、燃料タンク18の上面は、建屋カバー16の上面16Aとほぼ同一平面を形成している。
【0038】
19はフィーダ9の上側に位置して後述する破砕ロータ23の近傍部位に設けられた押付け装置で、該押付け装置19は、図6に示すように、フィーダ9のチェーンベルト9Aによって搬送されてくる木材M(被破砕材料)を上方から押え込み、この木材Mをフィーダ9のチェーンベルト9Aとの間に挟込んだ状態で破砕ロータ23に供給するものである。
【0039】
ここで、押付け装置19は、後述する支持フレーム21の揺動アーム支持部21Iに軸19Aを用いて上,下方向に揺動可能に支持された揺動アーム19Bと、該揺動アーム19Bの先端側に回転可能に支持された押付けローラ19Cとにより大略構成されている。そして、押付けローラ19Cは、外周側に鋸歯状をなす複数の把持部材(図示せず)が設けられた円筒体として形成され、油圧モータ等によって回転駆動されるものである。
【0040】
これにより、押付け装置19は、フィーダ9によって搬送される木材Mの大きさに応じて、揺動アーム19Bを軸19Aを中心として上,下方向に揺動させつつ、押付けローラ19Cとフィーダ9(チェーンベルト9A)との間で木材Mを挟込み、この木材Mを後述の破砕ロータ23に適度な力で押付ける構成となっている。
【0041】
また、揺動アーム19Bと後述の支持フレーム21との間には持上げシリンダ19Dが設けられている。この持上げシリンダ19Dは、ボトム側が後述の中央部横梁21Dにピン結合され、ロッド側が揺動アーム19Bの上面側にピン結合されている。そして、木材Mの破砕作業時には、持上げシリンダ19Dは、ボトム側油室とロッド側油室との間を連通させ、押付けローラ19Cがその自重によってフィーダ9に接近するのを許すものである。一方、持上げシリンダ19Dのロッドを縮小させたときには、揺動アーム19Bが軸19Aを中心として上方に回動することにより、押付けローラ19Cがフィーダ9から離間する構成となっている。
【0042】
20はパワーユニット10とフィーダ9との間に位置してベースフレーム7の長さ方向中間部に設けられた破砕装置で、該破砕装置20は、フィーダ9によって搬送される木材(被破砕材料)を細かく破砕し、肥料等として再利用可能な小片状の木材チップ(破砕物)を生成するものである。ここで、破砕装置20は、後述の支持フレーム21、破砕ロータ23、固定刃装置24等により構成されている。
【0043】
21は破砕装置20のベースをなす支持フレームで、該支持フレーム21は、ベースフレーム7の長さ方向中間部に固定して設けられ、押付け装置19、後述の破砕ロータ23、固定刃装置24等を支持するものである。ここで、支持フレーム21は、図7に示すように、左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びた左縦板21A、右縦板21Bと、各縦板21A,21Bの前部側を連結する前部横梁21Cと、各縦板21A,21Bの中央部を連結する中央部横梁21D,21Eと、各縦板21A,21Bの後部側を連結する後部横梁21Fとにより大略構成され、強固な支持構造体をなしている。
【0044】
そして、左,右の縦板21A,21Bの前部側には、図6に示すフィーダ9の駆動歯車9Bを支持する歯車支持部21Gが設けられている。また、各縦板21A,21Bの中央部下側には、後述の破砕ロータ23を支持するロータ支持部21Hが設けられ、各縦板21A,21Bの中央部上側には、押付け装置19の揺動アーム19Bを支持する揺動アーム支持部21Iと、後述の固定刃装置24を支持する固定刃支持部21Jとが上,下に離間して設けられている。
【0045】
22は支持フレーム21を構成する左,右の縦板21A,21B間に形成された破砕室で、図6に示すように、破砕室22内には後述の破砕ロータ23、固定刃装置24等が収容されている。そして、木材M(被破砕材料)を、破砕室22内で破砕ロータ23、固定刃装置24等によって破砕することにより、小片状の木材チップm(破砕物)が生成される構成となっている。
【0046】
23は支持フレーム21に回転可能に支持された破砕ロータで、該破砕ロータ23は、フィーダ9と押付け装置19とによって供給される木材Mを、破砕室22内で細かく破砕するものである。ここで、破砕ロータ23は、図6に示すように、外周側に多数の破砕ビット23Aが設けられた円筒体からなり、支持フレーム21の左,右の縦板21A,21B間を軸方向に延びている。
【0047】
また、破砕ロータ23の中心部には回転軸23Bが設けられ、該回転軸23Bは、支持フレーム21のロータ支持部21Hに軸受等を介して回転可能に支持されている。そして、回転軸23Bを油圧モータ等によって回転駆動することにより、破砕ロータ23は各破砕ビット23Aと共に図6中の矢示D方向に回転する。これにより、フィーダ9と押付け装置19とによって破砕ロータ23に供給された木材Mは、高速回転する破砕ロータ23に設けられた各破砕ビット23Aによって細かく破砕され、小片状の木材チップmが生成される構成となっている。
【0048】
24は破砕ロータ23の上側に位置して支持フレーム21の破砕室22内に設けられた固定刃装置で、該固定刃装置24は、破砕ロータ23によって破砕された木材チップmを、さらに細かく剪断するものである。ここで、固定刃装置24は、図6に示すように、支持フレーム21の固定刃支持部21Jに軸24Aを中心として回動可能に支持されたブラケット24Bと、該ブラケット24Bの前端部に固定された固定刃(アンビル)24Cとにより大略構成されている。
【0049】
そして、固定刃24Cは、破砕ロータ23の外周面との間に一定の間隔を保った状態で、該破砕ロータ23の軸方向に延びており、破砕ロータ23の各破砕ビット23Aと固定刃24Cとの間には微小な隙間が形成されている。これにより、破砕ロータ23の各破砕ビット23Aによって破砕された木材チップmは、各破砕ビット23Aと固定刃24Cとの間で剪断され、さらに細かく破砕される構成となっている。
【0050】
25は破砕ロータ23の下側に配設されたスクリーン(分級板)で、該スクリーン25は、破砕ロータ23の外周面に沿って半円弧状に湾曲した板体により形成され、破砕ロータ23の下側を軸方向に延びている。ここで、スクリーン25には多数の小孔25Aが形成されており、破砕ロータ23、固定刃装置24によって破砕された木材チップmは、スクリーン25の小孔25Aを通過することにより下方に落下し、後述の排出コンベヤ28に導出される。
【0051】
従って、排出コンベヤ28に導出される木材チップmの大きさは、スクリーン25に設けた各小孔25Aの大きさに応じて設定され、スクリーン25の各小孔25Aを通過できない木材チップmは、破砕室22内で破砕ロータ23と固定刃装置24とによってさらに細かく破砕された後、排出コンベヤ28に導出される構成となっている。
【0052】
26はパワーユニット10と破砕装置22との間に位置してベースフレーム7上に設けられた作業用フロアで、該作業用フロア26は、パワーユニット10と破砕装置20との間を仕切るように、ベースフレーム7の幅方向(左,右方向)に伸長している。そして、作業用フロア26は、破砕装置20等に対する点検、保守作業を行なうときに、作業者の足場を形成するものである。また、作業用フロア26の周囲には、作業者が地上と作業用フロア26との間を乗降するための梯子27が設けられている。
【0053】
28は破砕装置20の下側からベースフレーム7の長さ方向他側に向けて前,後方向に延びて設けられた排出コンベヤで、該排出コンベヤ28は、図3及び図9等に示すように、第1の排出コンベヤ29と第2の排出コンベヤ30とにより構成され、破砕装置20により生成された木材チップ(破砕物)を外部に排出するものである。
【0054】
ここで、第1の排出コンベヤ29は、ベースフレーム7の下側に支持され、該ベースフレーム7に沿って前,後方向に延びている。この場合、第1の排出コンベヤ29の基端側29Aは、破砕装置20の下側に配置され、先端側29Bは、パワーユニット10の下側まで延びている。そして、第1の排出コンベヤ29は、破砕装置20からスクリーン25を通じて導出された木材チップを受取り、この木材チップを第2の排出コンベヤ30まで搬送する構成となっている。
【0055】
一方、第2の排出コンベヤ30の基端側30Aは、第1の排出コンベヤ29の先端側29Bに、連結ピン31を介して上,下方向に回動可能に連結されている。また、第2の排出コンベヤ30の先端側30Bは、パワーユニット10の下側から斜め上向きに傾斜しつつ後方へと延び、パワーユニット10の外部(後方)へと突出している。そして、第2の排出コンベヤ30は、第1の排出コンベヤ29によって搬送された木材チップを受取り、この木材チップを外部(集積場所)に排出する構成となっている。
【0056】
ここで、第2の排出コンベヤ30は、図3に示すように、地面に対して傾斜角度θをもって傾斜しており、この第2の排出コンベヤ30の傾斜角度θは、パワーユニット10を構成するユニットフレーム11の下端部11Aと第2の排出コンベヤ30とが干渉しない範囲で可及的に大きく設定されている。これにより、第2の排出コンベヤ30の先端側30Bの端部30Cの地面からの高さ寸法Hを大きくすることができ、当該端部30Cの下方に大量の木材チップを集積することができる構成となっている。
【0057】
この場合、図3に示すように、地面から第2の排出コンベヤ30の端部30Cまでの高さ寸法Hが、木材破砕機1の機体の最大高さ(全高)を規定している。また、図2及び図3に示すように、フィーダ9の前端部から第2の排出コンベヤ30の端部30Cまでの長さ寸法Lが、木材破砕機1の機体の最大長さ(全長)を規定している。
【0058】
32はパワーユニット10の長さ方向の一側(前側)でかつ幅方向の一側(左側)の角隅部に設けられた第1の表示灯で、該第1の表示灯32は、木材破砕機1の周囲に存在する作業者に対し、破砕装置20の動作状態を報知するものである。そして、第1の表示灯32は、図1、図2、図8等に示すように、パワーユニット10を構成する作動油タンク17の上面17Aのうち左前側の角隅部17Bに、ブラケット33を介して取付けられている。
【0059】
この場合、第1の表示灯32は、例えば黄色灯32Aと赤色灯32Bとにより構成され、破砕装置20によって木材の破砕作業が円滑に行われている状態では、黄色灯32A,赤色灯32Bはいずれも点灯せず、破砕装置20に作用する負荷が予め設定した値を超えると黄色灯32Aが点灯し、破砕装置20に過剰な負荷が作用して破砕作業が滞っている状態では赤色灯32Bが点灯する構成となっている。従って、作業者は、黄色灯32Aと赤色灯32Bのどちらが点灯しているかを目視することにより破砕装置20の動作状態を判断できる構成となっている。そして、赤色灯32Bが点灯したときには、例えばフィーダ9、押付け装置19及び破砕ロータ23の動作を自動停止することにより、破砕装置20を保護する構成となっている。
【0060】
ここで、図8等に示すように、第1の表示灯32が取付けられた作動油タンク17の上面17Aは、建屋カバー16の上面16Aよりも一段低い位置に設定され、第1の表示灯32(赤色灯32B)の上端部は、建屋カバー16の上面16Aよりも低い位置に配置されている。これにより、図4に示すように、地面から第1の表示灯32の上端部までの高さ寸法h1は、地面から第2の排出コンベヤ30の端部30Cまでの高さ寸法(機体の最大高さ)Hよりも小さく設定されている。
【0061】
34はパワーユニット10の長さ方向の他側(後側)でかつ幅方向の他側(右側)の角隅部に設けられた第2の表示灯で、該第2の表示灯34も、第1の表示灯32と同様に黄色灯34Aと赤色灯34Bとにより構成され、木材破砕機1の周囲に存在する作業者に対して破砕装置20の動作状態を報知するものである。そして、第2の表示灯34は、図2、図9、図10等に示すように、パワーユニット10を構成するユニットフレーム11の下端部11Aのうち右後側の角隅部11Bに、ブラケット35を介して取付けられている。
【0062】
ここで、ブラケット35は、図10に示すように、L字状に屈曲し幅方向に延びた上板35Aと、該上板35Aの幅方向の両端側から下向きに延びた左,右のアーム35Bと、該各アーム35Bの下端側に固着された平板状の下板35Cとにより構成され、上板35Aをユニットフレーム11の下面にボルト締めすることにより、該ユニットフレーム11の下端部11Aから下方に吊下げられている。そして、第2の表示灯34の黄色灯34Aと赤色灯34Bとは、下板35C上に左,右方向に隣接して配置されている。
【0063】
この場合、ブラケット35は、上板35A,左,右のアーム35B、下板35Cによって四角形の枠状に形成され、ユニットフレーム11の下端部11Aから下方に吊下げられている。これにより、ブラケット35の下板35C上に配置された第2の表示灯34は、パワーユニット10の後方に存在する作業者だけでなく、パワーユニット10の右前方に存在する作業者も目視することができる構成となっている。
【0064】
そして、図5に示すように、地面から第2の表示灯34の上端部までの高さ寸法h2は、地面から第2の排出コンベヤ30の端部30Cまでの高さ寸法(機体の最大高さ)Hよりも小さく設定されている。
【0065】
ここで、第1,第2の表示灯32,34の配設位置を、地面からの高さ方向について比較すると、図4及び図5に示すように、両者は地面からの高さ方向に対し互いに異なる位置に配置されており、第1の表示灯32は、第2の表示灯34よりも上方に配設されている。これにより、例えば作業者が地面上で立ち作業を行う場合と他の作業機械に搭乗している場合とで、作業者の目の高さ位置が異なったとしても、作業者は第1,第2の表示灯32,34のうち一方を確実に目視することができる構成となっている。
【0066】
一方、第1,第2の表示灯32,34の配設位置を、パワーユニット10の長さ方向(前,後方向)について比較すると、図2に示すように、両者はパワーユニット10の長さ方向に対し互いに異なる位置に配置されており、第1の表示灯32は、第2の表示灯34よりも前方(フィーダ9側)に配設されている。これにより、作業者は、木材破砕機1の前側、後側、左側、右側のどの位置においても、第1,第2の表示灯32,34のうち一方を確実に目視することができる構成となっている。
【0067】
本実施の形態による木材破砕機1は上述の如き構成を有するもので、以下、森林での間伐作業によって発生する間伐材等の木材を、木材破砕機1を用いて小片状に破砕する破砕作業について説明する。
【0068】
まず、木材破砕機1のホッパ8内に、油圧ショベル等(図示せず)を用いて間伐材等の破砕すべき木材(被破砕材料)を投入する。これにより、図6に示すように、木材Mは、フィーダ9のチェーンベルト9A上に積載され、破砕装置20の破砕室22に向けて順次搬送される。
【0069】
そして、フィーダ9によって破砕ロータ23の近傍部位まで搬送された木材Mは、押付け装置19の押付けローラ19Cによって上方から押え込まれ、押付けローラ19Cとフィーダ9のチェーンベルト9Aとの間に挟込まれた状態で、破砕室22内の破砕ロータ23に供給される。
【0070】
このとき、破砕ロータ23は高速で回転しているので、この破砕ロータ23に設けられた各破砕ビット23Aによって木材Mが破砕され、小片状の木材チップmが連続的に生成される。そして、生成された多数の木材チップmはスクリーン25上に落下し、このスクリーン25の小孔25Aを通過した細かい木材チップmは、第1の排出コンベヤ29と第2の排出コンベヤ30とによって搬送され、木材破砕機1の外部(後方)に排出される。
【0071】
一方、木材チップmのうち、スクリーン25の小孔25Aを通過できない比較的大きな木材チップmは、固定刃装置24の固定刃24Cと破砕ロータ23の各破砕ビット23Aとの間で剪断される。これにより、破砕装置20によって破砕された木材チップmを、スクリーン25の小孔25Aを通過できる大きさに均一化することができ、肥料等に再利用可能な良質な木材チップmを生成することができる。
【0072】
ここで、破砕装置20によって木材の破砕作業が円滑に行われている状態では、第1,第2の表示灯32,34の黄色灯32A,34Aが点灯し、破砕装置20に過剰な負荷が作用して破砕作業が滞っている状態では、第1,第2の表示灯32,34の赤色灯32B,34Bが点灯する。
【0073】
従って、木材破砕機1の周囲に存在する作業者は、破砕作業が行われている間、第1の表示灯32と第2の表示灯34のうちいずれか一方を常に目視し、第1の表示灯32の赤色灯32B、または第2の表示灯34の赤色灯34Bの点灯を確認したときには、例えばフィーダ9、押付け装置19及び破砕ロータ23の動作を自動停止することにより、破砕装置20を保護することができる。
【0074】
この場合、本実施の形態による木材破砕機1は、パワーユニット10の幅方向の一側(左側)に第1の表示灯32を配設し、幅方向の他側(右側)に第2の表示灯34を配設している。これにより、木材破砕機1の周囲に存在する作業者は、第1,第2の表示灯32,34のいずれか一方を確実に目視することができ、これら第1,第2の表示灯32,34によって破砕装置20の動作状態を常に把握することができる。
【0075】
また、第1の表示灯32の地面からの高さ位置を、第2の表示灯34の地面からの高さ位置よりも上方に設定することにより、第1,第2の表示灯32,34を、地面からの高さ方向に対して互いに異なる位置に配置している。これにより、例えば作業者が地面上で立ち作業を行う場合と、例えば油圧ショベル等の作業機械に搭乗している場合とで、作業者の目の高さ位置が異なったとしても、作業者は第1,第2の表示灯32,34のうち一方を確実に目視することができるので、これら各表示灯32,34の視認性を高めることができる。
【0076】
さらに、第1の表示灯32を第2の表示灯34よりも前方(フィーダ9側)に配設することにより、第1,第2の表示灯32,34を、パワーユニット10の長さ方向(前,後方向)に対して互いに異なる位置に配置している。これにより、作業者は、木材破砕機1の前側、後側、左側、右側のどの位置においても、第1,第2の表示灯32,34のうち一方を確実に目視することができるので、これら各表示灯32,34の視認性を一層高めることができる。
【0077】
しかも、地面から第1の表示灯32の上端部までの高さ寸法h1と、地面から第2の表示灯34の上端部までの高さ寸法h2とを、地面から第2の排出コンベヤ30の端部30Cまでの高さ寸法(機体の最大高さ)Hよりも小さく設定したので、例えば木材破砕機1を車両に積載して輸送するときの輸送高さ制限内に、第1,第2の表示灯32,34を常に収めておくことができる。
【0078】
これにより、例えば折畳み式の支柱の先端に表示灯を取付け、破砕作業時と輸送時とで支柱を伸長させたり折畳んだりして表示灯の高さ位置を変化させるといった煩雑な作業を不要にすることができる。
【0079】
さらに、第1,第2の表示灯32,34が、機体の最大高さHを超えることがないので、ベースフレーム7に対するパワーユニット10の取付け高さを大きく設定することができ、パワーユニット10を構成するユニットフレーム11の下端部11Aの地面からの高さ寸法Cを大きく確保することができる(図3参照)。
【0080】
これにより、図3に示すように、パワーユニット10の下側から後方へと延びる第2の排出コンベヤ30の地面に対する傾斜角度θを、ユニットフレーム11の下端部11Aと第2の排出コンベヤ30とが干渉しない範囲で可及的に大きく設定することができる。この結果、地面から第2の排出コンベヤ30の端部30Cまでの高さ寸法Hを大きく設定した場合でも、パワーユニット10から後方に突出する第2の排出コンベヤ30の突出長さを抑えることができる。この結果、フィーダ9の前端部から第2の排出コンベヤ30の端部30Cまでの長さ寸法Lによって規定される木材破砕機1の機体の最大長さ(全長)を短くすることができる。
【0081】
なお、上述した実施の形態では、第2の表示灯34を、パワーユニット10を構成するユニットフレーム11の下端部11Aのうち右後側の角隅部11Bに取付けることにより、この第2の表示灯34を、第1の表示灯32よりも下方に配置している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図11に示す変形例のように、パワーユニット10を構成する建屋カバー16のうち右後側の角隅部(後面16Dの右端側)に第2の表示灯34′を取付け、該第2の表示灯34′と第1の表示灯32とをほぼ等しい高さ位置に配置する構成としてもよい。
【0082】
また、上述した実施の形態では、パワーユニット10を構成する作動油タンク17の上面17Aに第1の表示灯32を配設し、パワーユニット10を構成するユニットフレーム11の下面に第2の表示灯34を配設した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば建屋カバー16の左,右の側面16Bに第1,第2の表示灯を取付ける構成としてもよい。
【0083】
また、上述した実施の形態では、自走式破砕機として木材破砕機1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば破砕装置としてジョークラッシャを備えたコンクリート塊等の建築廃材を破砕する他の破砕装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態による木材破砕機を示す正面図である。
【図2】木材破砕機の平面図である。
【図3】木材破砕機の背面図である。
【図4】木材破砕機を図1中の矢示IV−IV方向からみた左側面図である。
【図5】木材破砕機を図1中の矢示V−V方向からみた右側面図である。
【図6】フィーダ、押付け装置、破砕装置等の要部を図2中の矢示VI−VI方向からみた拡大断面図である。
【図7】破砕装置を構成する支持フレームを単体で示す斜視図である。
【図8】作動油タンク、建屋カバー、第1の表示灯を示す一部破断の斜視図である。
【図9】図3中のパワーユニット、排出コンベヤ、第2の表示灯を示す要部拡大図である。
【図10】パワーユニット、第2の表示灯、ブラケット等を示す一部破断の斜視図である。
【図11】第2の表示灯の配設位置の変形例を示す図5と同様の右側面図である。
【符号の説明】
【0085】
1 木材破砕機(自走式破砕機)
2 走行体
6 履帯
7 ベースフレーム
9 フィーダ
10 パワーユニット
13 原動機
16 建屋カバー
16A 上面
17 作動油タンク
17A 上面
18 燃料タンク
20 破砕装置
29 第1の排出コンベヤ
30 第2の排出コンベヤ
32 第1の表示灯
33,35 ブラケット
34,34′ 第2の表示灯
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば廃木材、建築廃材等の被破砕材料を破砕して再利用可能な小さな破砕物を生成するのに好適に用いられる自走式破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、森林での間伐作業によって発生する間伐材、木造家屋の解体作業によって発生する廃木材等の木材は、例えば発酵処理等を施すことにより肥料等として再利用される。そして、これら間伐材、廃木材等の大きな木材を作業現場において肥料等に適した小片状に破砕するため、木材破砕機が好適に用いられている。また、建築物の解体作業によって生じるコンクリート塊等の建築廃材を、地面の舗装材等として再利用するため、作業現場において建築廃材を細かく破砕するジョークラッシャを備えた破砕機が知られている。
【0003】
ここで、これら廃木材、建築廃材等の被破砕材料を破砕する自走式破砕機は、通常、自走可能な走行体と、該走行体上に設けられたベースフレームと、該ベースフレームの長さ方向一側に設けられたフィーダと、ベースフレームの長さ方向他側に設けられたパワーユニットと、フィーダにより搬送された被破砕材料を破砕する破砕装置と、該破砕装置の下側からベースフレームの長さ方向他側に向けて延びる排出コンベヤと、破砕装置の動作状態を報知する表示灯とにより大略構成されている。
【0004】
そして、自走式破砕機は、解体作業等の作業現場まで自走した後、廃木材や建築廃材等の大きな被破砕材料をフィーダによって破砕装置に供給し、この被破砕材料を破砕装置によって破砕する。これにより、再利用可能な小さな破砕物が生成され、この破砕物は排出コンベヤによって所望の集積場所に排出される。
【0005】
ここで、例えば固い被破砕材料や大量の被破砕材料が破砕装置に供給された場合には、破砕装置に過剰な負荷が作用して円滑な破砕動作が妨げられてしまう。このため、自走式破砕機には、通常、周囲の作業者に対して破砕装置の動作状態を報知するための表示灯が設けられ、作業者は、表示灯の表示内容によって破砕装置に過剰な負荷が作用しているか否かを判断し、この破砕装置の動作状態に応じて破砕装置に対する被破砕材料の供給を調整することができるようになっている。
【0006】
この場合、表示灯は、自走式破砕機の前側、後側、左側、右側のどの位置からでも作業者が確実に目視できるように、自走式破砕機のうちできるだけ地上高さが高い部位に配設することが望ましいが、自走式破砕機を車両に積載して輸送する場合の輸送高さ制限を超えない範囲内に、表示灯を配設する必要がある。
【0007】
このため、例えばパワーユニットの上面に表示灯を配設し、この表示灯の上端部の地上高さが、自走式破砕機の輸送高さ制限内に収まるようにすることが考えられる。しかし、パワーユニットの上面に配設した表示灯を、自走式破砕機の輸送高さ制限内に収めるためには、ベースフレームに対するパワーユニットの取付け高さを低く設定することにより、パワーユニットの上面の地上高さを表示灯の高さ寸法分だけ低く抑える必要がある。
【0008】
ここで、破砕装置により生成された破砕物を外部に排出する排出コンベヤは、通常、基端側が破砕装置の下側に配置されてパワーユニットの下側へと延び、排出コンベヤの先端側は、パワーユニットの下側から斜め上向きに傾斜してパワーユニットの外部に突出している。従って、排出コンベヤの先端部の地上高さを大きく設定すれば、排出コンベヤの先端部下方に形成される集積場所に、大量の破砕物を排出することができる。
【0009】
これに対し、パワーユニットの上面に配設した表示灯の上端部を、自走式破砕機の輸送高さ制限内に収めるために、ベースフレームに対するパワーユニットの取付け高さを低く設定すると、パワーユニットの下側から斜め上向きに傾斜する排出コンベヤとパワーユニットとの干渉を避けるため、排出コンベヤの傾斜角度を小さくしなければならない。従って、排出コンベヤの先端部の地上高さを大きく設定するためには、排出コンベヤの傾斜角度が小さくなった分だけ、パワーユニットの外部に突出した排出コンベヤの突出長さを大きくする必要がある。この結果、排出コンベヤを含めた自走式破砕機の全長が大きくなってしまうという問題がある。
【0010】
これに対し、ベースフレーム上に搭載された燃料タンクの上面に折畳み式の支柱を立設し、この支柱の先端に表示灯を取付けた自走式破砕機が提案されている。この自走式破砕機は、破砕作業時には、支柱を伸長させることにより表示灯の地上高さを大きくして作業者からの視認性を高めることができ、輸送時には、支柱を折畳むことにより表示灯を輸送高さ制限内に収めることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】特開2004−344813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述した従来技術による自走式破砕機は、破砕作業時には燃料タンクに上って支柱を伸長させることにより表示灯の地上高さを高くし、輸送時には燃料タンクに上って支柱を折畳むことにより表示灯の地上高さを低くする必要があり、この作業が非常に煩雑であるという問題がある。また、例えば輸送時に支柱を折畳む作業を忘れた場合には、表示灯が輸送高さ制限を超えてしまうという問題がある。
【0013】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、表示灯の視認性を高めることができ、かつ、表示灯の地上高さを抑えることができるようにした自走式破砕機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するため本発明は、自走可能な走行体と、該走行体上に設けられたベースフレームと、該ベースフレームの長さ方向一側に設けられ破砕すべき被破砕材料を搬送するフィーダと、前記ベースフレームの長さ方向他側に設けられ原動機、該原動機を覆う建屋カバー及びタンクを含むパワーユニットと、該パワーユニットと前記フィーダとの間に配設され前記フィーダにより搬送された前記被破砕材料を破砕する破砕装置と、該破砕装置の下側から前記ベースフレームの長さ方向他側に向けて延び前記破砕装置により破砕された破砕物を外部に排出する排出コンベヤと、前記破砕装置の動作状態を報知する表示灯とを備えてなる自走式破砕機に適用される。
【0015】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記表示灯は、前記パワーユニットの幅方向の一側に配設した第1の表示灯と、前記パワーユニットの幅方向の他側に配設した第2の表示灯とにより構成し、これら第1の表示灯と第2の表示灯とは、地面からの高さ方向に対し互いに異なる位置に配置したことにある。
【0016】
請求項2の発明は、自走可能な走行体と、該走行体上に設けられたベースフレームと、該ベースフレームの長さ方向一側に設けられ破砕すべき被破砕材料を搬送するフィーダと、前記ベースフレームの長さ方向他側に設けられ原動機、該原動機を覆う建屋カバー及びタンクを含むパワーユニットと、該パワーユニットと前記フィーダとの間に配設され前記フィーダにより搬送された前記被破砕材料を破砕する破砕装置と、該破砕装置の下側から前記ベースフレームの長さ方向他側に向けて延び前記破砕装置により破砕された破砕物を外部に排出する排出コンベヤと、前記破砕装置の動作状態を報知する表示灯とを備えてなる自走式破砕機において、前記表示灯は、前記パワーユニットの幅方向の一側に配設した第1の表示灯と、前記パワーユニットの幅方向の他側に配設した第2の表示灯とにより構成し、これら第1の表示灯と第2の表示灯とは、前記パワーユニットの長さ方向に対し互いに異なる位置に配置する構成としたことを特徴としている。
【0017】
請求項3の発明は、前記第1の表示灯と第2の表示灯とは、機体の最大高さよりも低い位置に配置する構成としたことにある。
【0018】
請求項4の発明は、左,右一対の履帯を有する自走可能な走行体と、該走行体上に設けられたベースフレームと、該ベースフレームの長さ方向一側に設けられ破砕すべき被破砕材料を搬送するフィーダと、前記ベースフレームの長さ方向他側に設けられ原動機、該原動機を覆う建屋カバー及びタンクを含むパワーユニットと、該パワーユニットと前記フィーダとの間に配設され前記フィーダにより搬送された前記被破砕材料を破砕する破砕装置と、基端側が該破砕装置の下側に配置されて先端側が前記パワーユニットの下側まで延び前記破砕装置により破砕された破砕物を搬送する第1の排出コンベヤと、基端側が該第1の排出コンベヤの先端側に連結されて先端側が前記パワーユニットの外部へと延び前記第1の排出コンベヤにより搬送された前記破砕物を外部に排出する第2の排出コンベヤと、前記破砕装置の動作状態を報知する表示灯とを備えてなる自走式破砕機において、前記パワーユニットは、前記下部走行体を構成する左,右の履帯幅内に収まる幅寸法を有し、前記パワーユニットを構成する前記タンクの上面は前記建屋カバーの上面よりも低く設定する構成とし、前記表示灯は、前記パワーユニットの幅方向の一側に位置して前記タンクの上面に配設した第1の表示灯と、前記パワーユニットの幅方向の他側に位置して該パワーユニットの下面側に配設した第2の表示灯とにより構成し、これら第1の表示灯と第2の表示灯とは、機体の最大高さよりも低い位置に配置すると共に前記パワーユニットの長さ方向に対し互いに異なる位置に配置する構成としたことを特徴としている。
【0019】
請求項5の発明は、前記第1の表示灯は前記パワーユニットの長さ方向の一側でかつ幅方向の一側の角隅部に配置し、前記第2の表示灯は前記パワーユニットの長さ方向の他側でかつ幅方向の他側の角隅部に配置する構成としたことにある。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、パワーユニットの幅方向の一側に第1の表示灯を配設し、幅方向の他側に第2の表示灯を配設したので、自走式破砕機の周囲に存在する作業者は、これら第1,第2の表示灯のいずれか一方を確実に目視することができ、破砕装置の動作状態を把握することができる。また、第1,第2の表示灯を、地面からの高さ方向に対し互いに異なる位置に配置することにより、例えば作業者が地面上で立ち作業を行う場合と他の作業機械に搭乗している場合とで、作業者の目の高さが異なったとしても、作業者は第1,第2の表示灯のうち一方の表示灯を確実に目視することができ、これら各表示灯の視認性を高めることができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、パワーユニットの幅方向の一側に第1の表示灯を配設すると共に幅方向の他側に第2の表示灯を配設し、これら第1,第2の表示灯を、パワーユニットの長さ方向に対し互いに異なる位置に配置したので、作業者は、自走式破砕機の前側、後側、左側、右側のどの位置においても、第1,第2の表示灯のうち一方の表示灯を確実に目視することができ、これら各表示灯の視認性を高めることができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、第1の表示灯と第2の表示灯とを、機体の最大高さよりも低い位置に配置することにより、例えば自走式破砕機を輸送するときの輸送高さ制限内に常に第1,第2の表示灯を収めておくことができる。このため、例えば従来技術のように破砕作業時と輸送時とで表示灯の高さ位置を変化させるといった煩雑な作業を不要にすることができる。
【0023】
また、パワーユニットに配設された各表示灯が、機体の最大高さを超えて上方に突出することがないので、ベースフレームに対するパワーユニットの取付け高さを高く設定することができる。これにより、例えば排出コンベヤの先端側を、パワーユニットの下側から斜め上向きに傾斜させてパワーユニットの外部へと延ばす場合に、この排出コンベヤの傾斜角度を大きくすることができる。この結果、排出コンベヤの先端部の地上高さを大きく設定した場合でも、排出コンベヤのパワーユニットからの突出長さを抑えることができ、排出コンベヤを含めた自走式破砕機の全長を短くすることができる。
【0024】
請求項4の発明によれば、パワーユニットを構成する建屋カバーの上面よりも低いタンクの上面に第1の表示灯を配設し、パワーユニットの下面側に第2の表示灯を配設し、これら第1,第2の表示灯を、パワーユニットの長さ方向に対し互いに異なる位置に配置したので、これら各表示灯の視認性を高めることができる。しかも、第1,第2の表示灯を機体の最大高さよりも低い位置に配置することにより、例えば自走式破砕機を輸送するときの輸送高さ制限内に常に第1,第2の表示灯を収めておくことができる。
【0025】
請求項5の発明によれば、第1の表示灯をパワーユニットの長さ方向の一側でかつ幅方向の一側の角隅部に配置し、第2の表示をパワーユニットの長さ方向の他側でかつ幅方向の他側の角隅部に配置することにより、作業者は、自走式破砕機の前側、後側、左側、右側のどの位置においても、第1,第2の表示灯のうち一方の表示灯を確実に目視することができ、これら各表示灯の視認性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る自走式破砕機の実施の形態を、木材破砕機に適用した場合を例に挙げ、図1ないし図11を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
図中、1は自走式の木材破砕機を示し、この木材破砕機1は、例えば森林での間伐作業によって発生する間伐材や抜根、木材の剪定作業によって発生する剪定枝材、木造家屋の解体作業によって発生する廃木材等を細かく破砕し、肥料等として再利用可能な小片状の木材チップを生成するものである。そして、木材破砕機1は、後述の走行体2、フィーダ9、パワーユニット10、破砕装置20、排出コンベヤ28、第1の表示灯32、第2の表示灯34等により構成されている。
【0028】
2は自走可能な履帯式の走行体で、該走行体2は、トラックフレーム3と、該トラックフレーム3に設けられた駆動輪4および遊動輪5と、これら駆動輪4と遊動輪5とに巻回された左,右の一対の履帯(クローラ)6,6とにより大略構成されている。そして、走行体2は、例えば遠隔操作装置(図示せず)に対する操作に応じて作業現場等を走行するものである。
【0029】
7は走行体2のトラックフレーム3に設けられたベースフレームで、該ベースフレーム7は、トラックフレーム3上に固定され、前,後方向に延びている。そして、ベースフレーム7の長さ方向一側(前部側)には、後述のホッパ8、フィーダ9が設けられ、ベースフレーム7の長さ方向他側(後部側)には、後述のパワーユニット10が設けられ、ベースフレーム7の長さ方向中間部には、後述の押付け装置19、破砕装置20等が設けられる構成となっている。
【0030】
8はベースフレーム7の長さ方向一側(前部側)に設けられたホッパで、該ホッパ8は、例えば森林での間伐作業によって発生する間伐材等や、木造家屋の解体作業によって発生する廃木材等の破砕すべき木材(被破砕材料)が投入されるものである。ここで、ホッパ8は、上方から斜め下向きに傾斜した左,右の側壁を有し、ホッパ8の下端側は後述のフィーダ9上に開口している。そして、ホッパ8内に投入された間伐材、廃木材等は、該ホッパ8の側壁に沿って後述のフィーダ9上に連続的に供給される構成となっている。
【0031】
9はホッパ8の下側に位置してベースフレーム7の長さ方向一側に設けられたフィーダで、該フィーダ9は、ホッパ8に投入された木材を後述の破砕装置20へと搬送するものである。ここで、フィーダ9は、図6に示すように、ベースフレーム7に沿って前,後方向に延びる無限軌道を形成したチェーンベルト9Aと、チェーンベルト9Aに噛合し油圧モータ等によって駆動される駆動歯車9Bとにより大略構成されている。そして、フィーダ9は、駆動歯車9Bによってチェーンベルト9Aを周回駆動することにより、ホッパ8から投入された木材をチェーンベルト9A上に積載し、この木材を破砕装置20に向けて連続的に搬送する構成となっている。
【0032】
10はベースフレーム7の長さ方向他側(後部側)に設けられたパワーユニットで、該パワーユニット10は、木材破砕機1の動力源を構成するものである。ここで、パワーユニット10は、後述のユニットフレーム11、原動機13、建屋カバー16、作動油タンク17、燃料タンク18等により構成されている。また、図2に示すように、パワーユニット10は、上方からみた平面視でほぼ四角形状に形成され、該パワーユニット10の左,右方向の幅寸法Aは、走行体2を構成する左,右の履帯6の幅寸法Bとほぼ等しく設定されている。
【0033】
11はパワーユニット10のベースとなるユニットフレームで、該ユニットフレーム11は、前,後方向に延びる長方形の枠状に形成され、強固な支持構造体をなしている。ここで、ユニットフレーム11は、図3に示すように、ベースフレーム7の後部側に支持部材12を介して取付けられることにより、ベースフレーム7よりも一段高い位置に配設され、ユニットフレーム11の下端部11Aは地面から高さ寸法Cだけ離間している。そして、ユニットフレーム11はベースフレーム7上を水平方向に延び、ユニットフレーム11の後端側は、ベースフレーム7の後端部から後方に突出している(図3参照)。
【0034】
13はユニットフレーム11上に搭載された原動機(エンジン)で、該原動機13は、図2に示すように、左,右方向に延びる横置き状態に配置されている。そして、原動機13の左側には、原動機13によって駆動されることにより木材破砕機1に搭載された各種の油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧ポンプ14が配設されている。また、原動機13の右側には、ラジエータ、オイルクーラ等からなる熱交換器15が配設されている。
【0035】
16は原動機13等を覆ってユニットフレーム11上に設けられた建屋カバーで、該建屋カバー16は、上面16A、左,右の側面16B、前面16C、後面16D等により、全体として左,右方向に延びる箱状に形成されている。そして、建屋カバー16内には、原動機13、油圧ポンプ14、熱交換器15等が収容されている(図2参照)。
【0036】
17は建屋カバー16の左前側に位置してユニットフレーム11上に設けられた作動油タンクで、該作動油タンク17は、木材破砕機1に搭載された各種の油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜するものである。ここで、作動油タンク17は、上,下方向に延びる直方体の箱状に形成され、建屋カバー16の左前側に隣接して配置されている。そして、図8に示すように、作動油タンク17の上面17Aは、建屋カバー16の上面16Aよりも一段低い位置に設定されており、この作動油ンタンク17の上面17Aと建屋カバー16の上面16Aとの段差によって生じるスペースを利用して、後述する第1の表示灯32が配設される構成となっている。
【0037】
18は建屋カバー16の右前側に位置してユニットフレーム11上に設けられた燃料タンクで、該燃料タンク18は、原動機13に供給される燃料を貯溜するものである。ここで、燃料タンク18は、上,下方向に延びる直方体の箱状に形成され、建屋カバー16の右前側に隣接して配置されている。そして、燃料タンク18の上面は、建屋カバー16の上面16Aとほぼ同一平面を形成している。
【0038】
19はフィーダ9の上側に位置して後述する破砕ロータ23の近傍部位に設けられた押付け装置で、該押付け装置19は、図6に示すように、フィーダ9のチェーンベルト9Aによって搬送されてくる木材M(被破砕材料)を上方から押え込み、この木材Mをフィーダ9のチェーンベルト9Aとの間に挟込んだ状態で破砕ロータ23に供給するものである。
【0039】
ここで、押付け装置19は、後述する支持フレーム21の揺動アーム支持部21Iに軸19Aを用いて上,下方向に揺動可能に支持された揺動アーム19Bと、該揺動アーム19Bの先端側に回転可能に支持された押付けローラ19Cとにより大略構成されている。そして、押付けローラ19Cは、外周側に鋸歯状をなす複数の把持部材(図示せず)が設けられた円筒体として形成され、油圧モータ等によって回転駆動されるものである。
【0040】
これにより、押付け装置19は、フィーダ9によって搬送される木材Mの大きさに応じて、揺動アーム19Bを軸19Aを中心として上,下方向に揺動させつつ、押付けローラ19Cとフィーダ9(チェーンベルト9A)との間で木材Mを挟込み、この木材Mを後述の破砕ロータ23に適度な力で押付ける構成となっている。
【0041】
また、揺動アーム19Bと後述の支持フレーム21との間には持上げシリンダ19Dが設けられている。この持上げシリンダ19Dは、ボトム側が後述の中央部横梁21Dにピン結合され、ロッド側が揺動アーム19Bの上面側にピン結合されている。そして、木材Mの破砕作業時には、持上げシリンダ19Dは、ボトム側油室とロッド側油室との間を連通させ、押付けローラ19Cがその自重によってフィーダ9に接近するのを許すものである。一方、持上げシリンダ19Dのロッドを縮小させたときには、揺動アーム19Bが軸19Aを中心として上方に回動することにより、押付けローラ19Cがフィーダ9から離間する構成となっている。
【0042】
20はパワーユニット10とフィーダ9との間に位置してベースフレーム7の長さ方向中間部に設けられた破砕装置で、該破砕装置20は、フィーダ9によって搬送される木材(被破砕材料)を細かく破砕し、肥料等として再利用可能な小片状の木材チップ(破砕物)を生成するものである。ここで、破砕装置20は、後述の支持フレーム21、破砕ロータ23、固定刃装置24等により構成されている。
【0043】
21は破砕装置20のベースをなす支持フレームで、該支持フレーム21は、ベースフレーム7の長さ方向中間部に固定して設けられ、押付け装置19、後述の破砕ロータ23、固定刃装置24等を支持するものである。ここで、支持フレーム21は、図7に示すように、左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びた左縦板21A、右縦板21Bと、各縦板21A,21Bの前部側を連結する前部横梁21Cと、各縦板21A,21Bの中央部を連結する中央部横梁21D,21Eと、各縦板21A,21Bの後部側を連結する後部横梁21Fとにより大略構成され、強固な支持構造体をなしている。
【0044】
そして、左,右の縦板21A,21Bの前部側には、図6に示すフィーダ9の駆動歯車9Bを支持する歯車支持部21Gが設けられている。また、各縦板21A,21Bの中央部下側には、後述の破砕ロータ23を支持するロータ支持部21Hが設けられ、各縦板21A,21Bの中央部上側には、押付け装置19の揺動アーム19Bを支持する揺動アーム支持部21Iと、後述の固定刃装置24を支持する固定刃支持部21Jとが上,下に離間して設けられている。
【0045】
22は支持フレーム21を構成する左,右の縦板21A,21B間に形成された破砕室で、図6に示すように、破砕室22内には後述の破砕ロータ23、固定刃装置24等が収容されている。そして、木材M(被破砕材料)を、破砕室22内で破砕ロータ23、固定刃装置24等によって破砕することにより、小片状の木材チップm(破砕物)が生成される構成となっている。
【0046】
23は支持フレーム21に回転可能に支持された破砕ロータで、該破砕ロータ23は、フィーダ9と押付け装置19とによって供給される木材Mを、破砕室22内で細かく破砕するものである。ここで、破砕ロータ23は、図6に示すように、外周側に多数の破砕ビット23Aが設けられた円筒体からなり、支持フレーム21の左,右の縦板21A,21B間を軸方向に延びている。
【0047】
また、破砕ロータ23の中心部には回転軸23Bが設けられ、該回転軸23Bは、支持フレーム21のロータ支持部21Hに軸受等を介して回転可能に支持されている。そして、回転軸23Bを油圧モータ等によって回転駆動することにより、破砕ロータ23は各破砕ビット23Aと共に図6中の矢示D方向に回転する。これにより、フィーダ9と押付け装置19とによって破砕ロータ23に供給された木材Mは、高速回転する破砕ロータ23に設けられた各破砕ビット23Aによって細かく破砕され、小片状の木材チップmが生成される構成となっている。
【0048】
24は破砕ロータ23の上側に位置して支持フレーム21の破砕室22内に設けられた固定刃装置で、該固定刃装置24は、破砕ロータ23によって破砕された木材チップmを、さらに細かく剪断するものである。ここで、固定刃装置24は、図6に示すように、支持フレーム21の固定刃支持部21Jに軸24Aを中心として回動可能に支持されたブラケット24Bと、該ブラケット24Bの前端部に固定された固定刃(アンビル)24Cとにより大略構成されている。
【0049】
そして、固定刃24Cは、破砕ロータ23の外周面との間に一定の間隔を保った状態で、該破砕ロータ23の軸方向に延びており、破砕ロータ23の各破砕ビット23Aと固定刃24Cとの間には微小な隙間が形成されている。これにより、破砕ロータ23の各破砕ビット23Aによって破砕された木材チップmは、各破砕ビット23Aと固定刃24Cとの間で剪断され、さらに細かく破砕される構成となっている。
【0050】
25は破砕ロータ23の下側に配設されたスクリーン(分級板)で、該スクリーン25は、破砕ロータ23の外周面に沿って半円弧状に湾曲した板体により形成され、破砕ロータ23の下側を軸方向に延びている。ここで、スクリーン25には多数の小孔25Aが形成されており、破砕ロータ23、固定刃装置24によって破砕された木材チップmは、スクリーン25の小孔25Aを通過することにより下方に落下し、後述の排出コンベヤ28に導出される。
【0051】
従って、排出コンベヤ28に導出される木材チップmの大きさは、スクリーン25に設けた各小孔25Aの大きさに応じて設定され、スクリーン25の各小孔25Aを通過できない木材チップmは、破砕室22内で破砕ロータ23と固定刃装置24とによってさらに細かく破砕された後、排出コンベヤ28に導出される構成となっている。
【0052】
26はパワーユニット10と破砕装置22との間に位置してベースフレーム7上に設けられた作業用フロアで、該作業用フロア26は、パワーユニット10と破砕装置20との間を仕切るように、ベースフレーム7の幅方向(左,右方向)に伸長している。そして、作業用フロア26は、破砕装置20等に対する点検、保守作業を行なうときに、作業者の足場を形成するものである。また、作業用フロア26の周囲には、作業者が地上と作業用フロア26との間を乗降するための梯子27が設けられている。
【0053】
28は破砕装置20の下側からベースフレーム7の長さ方向他側に向けて前,後方向に延びて設けられた排出コンベヤで、該排出コンベヤ28は、図3及び図9等に示すように、第1の排出コンベヤ29と第2の排出コンベヤ30とにより構成され、破砕装置20により生成された木材チップ(破砕物)を外部に排出するものである。
【0054】
ここで、第1の排出コンベヤ29は、ベースフレーム7の下側に支持され、該ベースフレーム7に沿って前,後方向に延びている。この場合、第1の排出コンベヤ29の基端側29Aは、破砕装置20の下側に配置され、先端側29Bは、パワーユニット10の下側まで延びている。そして、第1の排出コンベヤ29は、破砕装置20からスクリーン25を通じて導出された木材チップを受取り、この木材チップを第2の排出コンベヤ30まで搬送する構成となっている。
【0055】
一方、第2の排出コンベヤ30の基端側30Aは、第1の排出コンベヤ29の先端側29Bに、連結ピン31を介して上,下方向に回動可能に連結されている。また、第2の排出コンベヤ30の先端側30Bは、パワーユニット10の下側から斜め上向きに傾斜しつつ後方へと延び、パワーユニット10の外部(後方)へと突出している。そして、第2の排出コンベヤ30は、第1の排出コンベヤ29によって搬送された木材チップを受取り、この木材チップを外部(集積場所)に排出する構成となっている。
【0056】
ここで、第2の排出コンベヤ30は、図3に示すように、地面に対して傾斜角度θをもって傾斜しており、この第2の排出コンベヤ30の傾斜角度θは、パワーユニット10を構成するユニットフレーム11の下端部11Aと第2の排出コンベヤ30とが干渉しない範囲で可及的に大きく設定されている。これにより、第2の排出コンベヤ30の先端側30Bの端部30Cの地面からの高さ寸法Hを大きくすることができ、当該端部30Cの下方に大量の木材チップを集積することができる構成となっている。
【0057】
この場合、図3に示すように、地面から第2の排出コンベヤ30の端部30Cまでの高さ寸法Hが、木材破砕機1の機体の最大高さ(全高)を規定している。また、図2及び図3に示すように、フィーダ9の前端部から第2の排出コンベヤ30の端部30Cまでの長さ寸法Lが、木材破砕機1の機体の最大長さ(全長)を規定している。
【0058】
32はパワーユニット10の長さ方向の一側(前側)でかつ幅方向の一側(左側)の角隅部に設けられた第1の表示灯で、該第1の表示灯32は、木材破砕機1の周囲に存在する作業者に対し、破砕装置20の動作状態を報知するものである。そして、第1の表示灯32は、図1、図2、図8等に示すように、パワーユニット10を構成する作動油タンク17の上面17Aのうち左前側の角隅部17Bに、ブラケット33を介して取付けられている。
【0059】
この場合、第1の表示灯32は、例えば黄色灯32Aと赤色灯32Bとにより構成され、破砕装置20によって木材の破砕作業が円滑に行われている状態では、黄色灯32A,赤色灯32Bはいずれも点灯せず、破砕装置20に作用する負荷が予め設定した値を超えると黄色灯32Aが点灯し、破砕装置20に過剰な負荷が作用して破砕作業が滞っている状態では赤色灯32Bが点灯する構成となっている。従って、作業者は、黄色灯32Aと赤色灯32Bのどちらが点灯しているかを目視することにより破砕装置20の動作状態を判断できる構成となっている。そして、赤色灯32Bが点灯したときには、例えばフィーダ9、押付け装置19及び破砕ロータ23の動作を自動停止することにより、破砕装置20を保護する構成となっている。
【0060】
ここで、図8等に示すように、第1の表示灯32が取付けられた作動油タンク17の上面17Aは、建屋カバー16の上面16Aよりも一段低い位置に設定され、第1の表示灯32(赤色灯32B)の上端部は、建屋カバー16の上面16Aよりも低い位置に配置されている。これにより、図4に示すように、地面から第1の表示灯32の上端部までの高さ寸法h1は、地面から第2の排出コンベヤ30の端部30Cまでの高さ寸法(機体の最大高さ)Hよりも小さく設定されている。
【0061】
34はパワーユニット10の長さ方向の他側(後側)でかつ幅方向の他側(右側)の角隅部に設けられた第2の表示灯で、該第2の表示灯34も、第1の表示灯32と同様に黄色灯34Aと赤色灯34Bとにより構成され、木材破砕機1の周囲に存在する作業者に対して破砕装置20の動作状態を報知するものである。そして、第2の表示灯34は、図2、図9、図10等に示すように、パワーユニット10を構成するユニットフレーム11の下端部11Aのうち右後側の角隅部11Bに、ブラケット35を介して取付けられている。
【0062】
ここで、ブラケット35は、図10に示すように、L字状に屈曲し幅方向に延びた上板35Aと、該上板35Aの幅方向の両端側から下向きに延びた左,右のアーム35Bと、該各アーム35Bの下端側に固着された平板状の下板35Cとにより構成され、上板35Aをユニットフレーム11の下面にボルト締めすることにより、該ユニットフレーム11の下端部11Aから下方に吊下げられている。そして、第2の表示灯34の黄色灯34Aと赤色灯34Bとは、下板35C上に左,右方向に隣接して配置されている。
【0063】
この場合、ブラケット35は、上板35A,左,右のアーム35B、下板35Cによって四角形の枠状に形成され、ユニットフレーム11の下端部11Aから下方に吊下げられている。これにより、ブラケット35の下板35C上に配置された第2の表示灯34は、パワーユニット10の後方に存在する作業者だけでなく、パワーユニット10の右前方に存在する作業者も目視することができる構成となっている。
【0064】
そして、図5に示すように、地面から第2の表示灯34の上端部までの高さ寸法h2は、地面から第2の排出コンベヤ30の端部30Cまでの高さ寸法(機体の最大高さ)Hよりも小さく設定されている。
【0065】
ここで、第1,第2の表示灯32,34の配設位置を、地面からの高さ方向について比較すると、図4及び図5に示すように、両者は地面からの高さ方向に対し互いに異なる位置に配置されており、第1の表示灯32は、第2の表示灯34よりも上方に配設されている。これにより、例えば作業者が地面上で立ち作業を行う場合と他の作業機械に搭乗している場合とで、作業者の目の高さ位置が異なったとしても、作業者は第1,第2の表示灯32,34のうち一方を確実に目視することができる構成となっている。
【0066】
一方、第1,第2の表示灯32,34の配設位置を、パワーユニット10の長さ方向(前,後方向)について比較すると、図2に示すように、両者はパワーユニット10の長さ方向に対し互いに異なる位置に配置されており、第1の表示灯32は、第2の表示灯34よりも前方(フィーダ9側)に配設されている。これにより、作業者は、木材破砕機1の前側、後側、左側、右側のどの位置においても、第1,第2の表示灯32,34のうち一方を確実に目視することができる構成となっている。
【0067】
本実施の形態による木材破砕機1は上述の如き構成を有するもので、以下、森林での間伐作業によって発生する間伐材等の木材を、木材破砕機1を用いて小片状に破砕する破砕作業について説明する。
【0068】
まず、木材破砕機1のホッパ8内に、油圧ショベル等(図示せず)を用いて間伐材等の破砕すべき木材(被破砕材料)を投入する。これにより、図6に示すように、木材Mは、フィーダ9のチェーンベルト9A上に積載され、破砕装置20の破砕室22に向けて順次搬送される。
【0069】
そして、フィーダ9によって破砕ロータ23の近傍部位まで搬送された木材Mは、押付け装置19の押付けローラ19Cによって上方から押え込まれ、押付けローラ19Cとフィーダ9のチェーンベルト9Aとの間に挟込まれた状態で、破砕室22内の破砕ロータ23に供給される。
【0070】
このとき、破砕ロータ23は高速で回転しているので、この破砕ロータ23に設けられた各破砕ビット23Aによって木材Mが破砕され、小片状の木材チップmが連続的に生成される。そして、生成された多数の木材チップmはスクリーン25上に落下し、このスクリーン25の小孔25Aを通過した細かい木材チップmは、第1の排出コンベヤ29と第2の排出コンベヤ30とによって搬送され、木材破砕機1の外部(後方)に排出される。
【0071】
一方、木材チップmのうち、スクリーン25の小孔25Aを通過できない比較的大きな木材チップmは、固定刃装置24の固定刃24Cと破砕ロータ23の各破砕ビット23Aとの間で剪断される。これにより、破砕装置20によって破砕された木材チップmを、スクリーン25の小孔25Aを通過できる大きさに均一化することができ、肥料等に再利用可能な良質な木材チップmを生成することができる。
【0072】
ここで、破砕装置20によって木材の破砕作業が円滑に行われている状態では、第1,第2の表示灯32,34の黄色灯32A,34Aが点灯し、破砕装置20に過剰な負荷が作用して破砕作業が滞っている状態では、第1,第2の表示灯32,34の赤色灯32B,34Bが点灯する。
【0073】
従って、木材破砕機1の周囲に存在する作業者は、破砕作業が行われている間、第1の表示灯32と第2の表示灯34のうちいずれか一方を常に目視し、第1の表示灯32の赤色灯32B、または第2の表示灯34の赤色灯34Bの点灯を確認したときには、例えばフィーダ9、押付け装置19及び破砕ロータ23の動作を自動停止することにより、破砕装置20を保護することができる。
【0074】
この場合、本実施の形態による木材破砕機1は、パワーユニット10の幅方向の一側(左側)に第1の表示灯32を配設し、幅方向の他側(右側)に第2の表示灯34を配設している。これにより、木材破砕機1の周囲に存在する作業者は、第1,第2の表示灯32,34のいずれか一方を確実に目視することができ、これら第1,第2の表示灯32,34によって破砕装置20の動作状態を常に把握することができる。
【0075】
また、第1の表示灯32の地面からの高さ位置を、第2の表示灯34の地面からの高さ位置よりも上方に設定することにより、第1,第2の表示灯32,34を、地面からの高さ方向に対して互いに異なる位置に配置している。これにより、例えば作業者が地面上で立ち作業を行う場合と、例えば油圧ショベル等の作業機械に搭乗している場合とで、作業者の目の高さ位置が異なったとしても、作業者は第1,第2の表示灯32,34のうち一方を確実に目視することができるので、これら各表示灯32,34の視認性を高めることができる。
【0076】
さらに、第1の表示灯32を第2の表示灯34よりも前方(フィーダ9側)に配設することにより、第1,第2の表示灯32,34を、パワーユニット10の長さ方向(前,後方向)に対して互いに異なる位置に配置している。これにより、作業者は、木材破砕機1の前側、後側、左側、右側のどの位置においても、第1,第2の表示灯32,34のうち一方を確実に目視することができるので、これら各表示灯32,34の視認性を一層高めることができる。
【0077】
しかも、地面から第1の表示灯32の上端部までの高さ寸法h1と、地面から第2の表示灯34の上端部までの高さ寸法h2とを、地面から第2の排出コンベヤ30の端部30Cまでの高さ寸法(機体の最大高さ)Hよりも小さく設定したので、例えば木材破砕機1を車両に積載して輸送するときの輸送高さ制限内に、第1,第2の表示灯32,34を常に収めておくことができる。
【0078】
これにより、例えば折畳み式の支柱の先端に表示灯を取付け、破砕作業時と輸送時とで支柱を伸長させたり折畳んだりして表示灯の高さ位置を変化させるといった煩雑な作業を不要にすることができる。
【0079】
さらに、第1,第2の表示灯32,34が、機体の最大高さHを超えることがないので、ベースフレーム7に対するパワーユニット10の取付け高さを大きく設定することができ、パワーユニット10を構成するユニットフレーム11の下端部11Aの地面からの高さ寸法Cを大きく確保することができる(図3参照)。
【0080】
これにより、図3に示すように、パワーユニット10の下側から後方へと延びる第2の排出コンベヤ30の地面に対する傾斜角度θを、ユニットフレーム11の下端部11Aと第2の排出コンベヤ30とが干渉しない範囲で可及的に大きく設定することができる。この結果、地面から第2の排出コンベヤ30の端部30Cまでの高さ寸法Hを大きく設定した場合でも、パワーユニット10から後方に突出する第2の排出コンベヤ30の突出長さを抑えることができる。この結果、フィーダ9の前端部から第2の排出コンベヤ30の端部30Cまでの長さ寸法Lによって規定される木材破砕機1の機体の最大長さ(全長)を短くすることができる。
【0081】
なお、上述した実施の形態では、第2の表示灯34を、パワーユニット10を構成するユニットフレーム11の下端部11Aのうち右後側の角隅部11Bに取付けることにより、この第2の表示灯34を、第1の表示灯32よりも下方に配置している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図11に示す変形例のように、パワーユニット10を構成する建屋カバー16のうち右後側の角隅部(後面16Dの右端側)に第2の表示灯34′を取付け、該第2の表示灯34′と第1の表示灯32とをほぼ等しい高さ位置に配置する構成としてもよい。
【0082】
また、上述した実施の形態では、パワーユニット10を構成する作動油タンク17の上面17Aに第1の表示灯32を配設し、パワーユニット10を構成するユニットフレーム11の下面に第2の表示灯34を配設した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば建屋カバー16の左,右の側面16Bに第1,第2の表示灯を取付ける構成としてもよい。
【0083】
また、上述した実施の形態では、自走式破砕機として木材破砕機1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば破砕装置としてジョークラッシャを備えたコンクリート塊等の建築廃材を破砕する他の破砕装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態による木材破砕機を示す正面図である。
【図2】木材破砕機の平面図である。
【図3】木材破砕機の背面図である。
【図4】木材破砕機を図1中の矢示IV−IV方向からみた左側面図である。
【図5】木材破砕機を図1中の矢示V−V方向からみた右側面図である。
【図6】フィーダ、押付け装置、破砕装置等の要部を図2中の矢示VI−VI方向からみた拡大断面図である。
【図7】破砕装置を構成する支持フレームを単体で示す斜視図である。
【図8】作動油タンク、建屋カバー、第1の表示灯を示す一部破断の斜視図である。
【図9】図3中のパワーユニット、排出コンベヤ、第2の表示灯を示す要部拡大図である。
【図10】パワーユニット、第2の表示灯、ブラケット等を示す一部破断の斜視図である。
【図11】第2の表示灯の配設位置の変形例を示す図5と同様の右側面図である。
【符号の説明】
【0085】
1 木材破砕機(自走式破砕機)
2 走行体
6 履帯
7 ベースフレーム
9 フィーダ
10 パワーユニット
13 原動機
16 建屋カバー
16A 上面
17 作動油タンク
17A 上面
18 燃料タンク
20 破砕装置
29 第1の排出コンベヤ
30 第2の排出コンベヤ
32 第1の表示灯
33,35 ブラケット
34,34′ 第2の表示灯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な走行体と、該走行体上に設けられたベースフレームと、該ベースフレームの長さ方向一側に設けられ破砕すべき被破砕材料を搬送するフィーダと、前記ベースフレームの長さ方向他側に設けられ原動機、該原動機を覆う建屋カバー及びタンクを含むパワーユニットと、該パワーユニットと前記フィーダとの間に配設され前記フィーダにより搬送された前記被破砕材料を破砕する破砕装置と、該破砕装置の下側から前記ベースフレームの長さ方向他側に向けて延び前記破砕装置により破砕された破砕物を外部に排出する排出コンベヤと、前記破砕装置の動作状態を報知する表示灯とを備えてなる自走式破砕機において、
前記表示灯は、前記パワーユニットの幅方向の一側に配設した第1の表示灯と、前記パワーユニットの幅方向の他側に配設した第2の表示灯とにより構成し、
これら第1の表示灯と第2の表示灯とは、地面からの高さ方向に対し互いに異なる位置に配置する構成としたことを特徴とする自走式破砕機。
【請求項2】
自走可能な走行体と、該走行体上に設けられたベースフレームと、該ベースフレームの長さ方向一側に設けられ破砕すべき被破砕材料を搬送するフィーダと、前記ベースフレームの長さ方向他側に設けられ原動機、該原動機を覆う建屋カバー及びタンクを含むパワーユニットと、該パワーユニットと前記フィーダとの間に配設され前記フィーダにより搬送された前記被破砕材料を破砕する破砕装置と、該破砕装置の下側から前記ベースフレームの長さ方向他側に向けて延び前記破砕装置により破砕された破砕物を外部に排出する排出コンベヤと、前記破砕装置の動作状態を報知する表示灯とを備えてなる自走式破砕機において、
前記表示灯は、前記パワーユニットの幅方向の一側に配設した第1の表示灯と、前記パワーユニットの幅方向の他側に配設した第2の表示灯とにより構成し、
これら第1の表示灯と第2の表示灯とは、前記パワーユニットの長さ方向に対し互いに異なる位置に配置する構成としたことを特徴とする自走式破砕機。
【請求項3】
前記第1の表示灯と第2の表示灯とは、機体の最大高さよりも低い位置に配置する構成としてなる請求項1または2に記載の自走式破砕機。
【請求項4】
左,右一対の履帯を有する自走可能な走行体と、該走行体上に設けられたベースフレームと、該ベースフレームの長さ方向一側に設けられ破砕すべき被破砕材料を搬送するフィーダと、前記ベースフレームの長さ方向他側に設けられ原動機、該原動機を覆う建屋カバー及びタンクを含むパワーユニットと、該パワーユニットと前記フィーダとの間に配設され前記フィーダにより搬送された前記被破砕材料を破砕する破砕装置と、基端側が該破砕装置の下側に配置されて先端側が前記パワーユニットの下側まで延び前記破砕装置により破砕された破砕物を搬送する第1の排出コンベヤと、基端側が該第1の排出コンベヤの先端側に連結されて先端側が前記パワーユニットの外部へと延び前記第1の排出コンベヤにより搬送された前記破砕物を外部に排出する第2の排出コンベヤと、前記破砕装置の動作状態を報知する表示灯とを備えてなる自走式破砕機において、
前記パワーユニットは、前記下部走行体を構成する左,右の履帯幅内に収まる幅寸法を有し、前記パワーユニットを構成する前記タンクの上面は前記建屋カバーの上面よりも低く設定する構成とし、
前記表示灯は、前記パワーユニットの幅方向の一側に位置して前記タンクの上面に配設した第1の表示灯と、前記パワーユニットの幅方向の他側に位置して該パワーユニットの下面側に配設した第2の表示灯とにより構成し、
これら第1の表示灯と第2の表示灯とは、機体の最大高さよりも低い位置に配置すると共に前記パワーユニットの長さ方向に対し互いに異なる位置に配置する構成としたことを特徴とする自走式破砕機。
【請求項5】
前記第1の表示灯は前記パワーユニットの長さ方向の一側でかつ幅方向の一側の角隅部に配置し、前記第2の表示灯は前記パワーユニットの長さ方向の他側でかつ幅方向の他側の角隅部に配置する構成としてなる請求項1,2,3または4に記載の自走式破砕機。
【請求項1】
自走可能な走行体と、該走行体上に設けられたベースフレームと、該ベースフレームの長さ方向一側に設けられ破砕すべき被破砕材料を搬送するフィーダと、前記ベースフレームの長さ方向他側に設けられ原動機、該原動機を覆う建屋カバー及びタンクを含むパワーユニットと、該パワーユニットと前記フィーダとの間に配設され前記フィーダにより搬送された前記被破砕材料を破砕する破砕装置と、該破砕装置の下側から前記ベースフレームの長さ方向他側に向けて延び前記破砕装置により破砕された破砕物を外部に排出する排出コンベヤと、前記破砕装置の動作状態を報知する表示灯とを備えてなる自走式破砕機において、
前記表示灯は、前記パワーユニットの幅方向の一側に配設した第1の表示灯と、前記パワーユニットの幅方向の他側に配設した第2の表示灯とにより構成し、
これら第1の表示灯と第2の表示灯とは、地面からの高さ方向に対し互いに異なる位置に配置する構成としたことを特徴とする自走式破砕機。
【請求項2】
自走可能な走行体と、該走行体上に設けられたベースフレームと、該ベースフレームの長さ方向一側に設けられ破砕すべき被破砕材料を搬送するフィーダと、前記ベースフレームの長さ方向他側に設けられ原動機、該原動機を覆う建屋カバー及びタンクを含むパワーユニットと、該パワーユニットと前記フィーダとの間に配設され前記フィーダにより搬送された前記被破砕材料を破砕する破砕装置と、該破砕装置の下側から前記ベースフレームの長さ方向他側に向けて延び前記破砕装置により破砕された破砕物を外部に排出する排出コンベヤと、前記破砕装置の動作状態を報知する表示灯とを備えてなる自走式破砕機において、
前記表示灯は、前記パワーユニットの幅方向の一側に配設した第1の表示灯と、前記パワーユニットの幅方向の他側に配設した第2の表示灯とにより構成し、
これら第1の表示灯と第2の表示灯とは、前記パワーユニットの長さ方向に対し互いに異なる位置に配置する構成としたことを特徴とする自走式破砕機。
【請求項3】
前記第1の表示灯と第2の表示灯とは、機体の最大高さよりも低い位置に配置する構成としてなる請求項1または2に記載の自走式破砕機。
【請求項4】
左,右一対の履帯を有する自走可能な走行体と、該走行体上に設けられたベースフレームと、該ベースフレームの長さ方向一側に設けられ破砕すべき被破砕材料を搬送するフィーダと、前記ベースフレームの長さ方向他側に設けられ原動機、該原動機を覆う建屋カバー及びタンクを含むパワーユニットと、該パワーユニットと前記フィーダとの間に配設され前記フィーダにより搬送された前記被破砕材料を破砕する破砕装置と、基端側が該破砕装置の下側に配置されて先端側が前記パワーユニットの下側まで延び前記破砕装置により破砕された破砕物を搬送する第1の排出コンベヤと、基端側が該第1の排出コンベヤの先端側に連結されて先端側が前記パワーユニットの外部へと延び前記第1の排出コンベヤにより搬送された前記破砕物を外部に排出する第2の排出コンベヤと、前記破砕装置の動作状態を報知する表示灯とを備えてなる自走式破砕機において、
前記パワーユニットは、前記下部走行体を構成する左,右の履帯幅内に収まる幅寸法を有し、前記パワーユニットを構成する前記タンクの上面は前記建屋カバーの上面よりも低く設定する構成とし、
前記表示灯は、前記パワーユニットの幅方向の一側に位置して前記タンクの上面に配設した第1の表示灯と、前記パワーユニットの幅方向の他側に位置して該パワーユニットの下面側に配設した第2の表示灯とにより構成し、
これら第1の表示灯と第2の表示灯とは、機体の最大高さよりも低い位置に配置すると共に前記パワーユニットの長さ方向に対し互いに異なる位置に配置する構成としたことを特徴とする自走式破砕機。
【請求項5】
前記第1の表示灯は前記パワーユニットの長さ方向の一側でかつ幅方向の一側の角隅部に配置し、前記第2の表示灯は前記パワーユニットの長さ方向の他側でかつ幅方向の他側の角隅部に配置する構成としてなる請求項1,2,3または4に記載の自走式破砕機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−284478(P2008−284478A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132981(P2007−132981)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】
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