説明

自転車用オンボード装置および該装置の搭載方法

【課題】中空円筒状のシートポストだけでなく、非円形断面のシートポスト、複合材料製シートポスト、またはインテグラルシートポストにも適用可能であり、サドル取り外し時にケーブルの接続を外さなくてもよい、自転車のフレーム内に収納可能な自転車用オンボード装置の提供。
【解決手段】本発明の自転車用オンボード装置10は、空洞13を有する細長い形状を有しており、空洞13内にはバッテリ電源ユニットおよび少なくとも1つの回路基板が収容され、自転車フレームのシートチューブ内に挿入可能に寸法決めされており、この自転車用オンボード装置10は、ボトルケージ留め手段と合致する少なくとも1つの留め手段32,34を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自転車用オンボード装置に関し、より詳細には、フレーム内に挿入可能な装置および該装置の搭載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような自転車用装置は、スタンドアローン型の装置であるか、あるいは、他のケーブルで接続されるか、またはワイヤレスの、電気、電子、および/または電気機械装置からなるオンボード電子システムの一部をなす。
【0003】
自転車用オンボード電子システムは公知であり、かつ、急速に高度化が進んでいる。オンボード装置またはオンボード装置が一部をなすオンボードシステムは、(i)例えば、ギアシフト動作の制御および/または管理を目的としたり、および/または(ii)運転者および/または自転車および/または走行に関係するパラメータおよび/またはデータの、取得、処理および/または記憶を目的としたりする。また、オンボード装置またはそれが一部をなすシステムは、携帯電話通信、マルチメディア機能(multimediality)および/または自転車の盗難防止監視を目的とするものもある。
【0004】
自転車用オンボード装置には、オンボード電子システムにおける他の装置用に、バッテリ電源ユニットのみを備えたものがあり、場合によっては給電用電子部品とともに備えたものもある。
【0005】
特許文献1および特許文献2には、それぞれ、少なくとも1つの自転車用オンボード電子装置に対する制御/給電を行うための電子システムの収納ユニットが記載されている。この収納ユニットは、フレームの外側においてボトルケージと同じ取り付け箇所に留められるのに適した構成を有しており、好ましくはボトルケージと共通の留め手段で留められる。
【0006】
特許文献3は、本願請求項1のプリアンブルのベースとなっている。同文献には、シートポスト内に、より詳細には、シートチューブに着脱可能に装着されるシートポスト内に取り付け可能な、自転車用制御装置が記載されている。同文献では、シートポストは、サドルと反対側の下方端部に、例えば雌ねじなどの回路取り付け構造を有する。前記制御装置は、シートポスト内に挿入可能な筒状ハウジングと、当該筒状ハウジングの下方端部に設けるカバーとを備える。前記筒状ハウジングは、マイクロプロセッサ形態の制御ユニットを収容しており、かつ、下方端部に雌ねじを有する。前記カバーは、段付きねじ部材のような形状をしており、外径がシートポストの内径よりも若干小さく且つ工具係合構造が設けられたヘッド部と、直径が前記ヘッド部の直径よりも若干小さい第1の雄ねじ部と、直径が前記第1の雄ねじ部の直径よりも若干小さい第2の雄ねじ部とを有する。前記第2の雄ねじ部を、前記筒状ハウジングの前記雌ねじに螺合させる。その後、前記第1の雄ねじ部を、前記シートポストの前記雌ねじに螺合させる。他の実施形態では、違う方法で前記ハウジングが前記シートポストに取り付けられる。すなわち、前記カバーの前記第1の雄ねじ部は、複数の可動突体を有する取り付け構造に置き換えられており、これら複数の突体は、複数の保持孔内にスライド可能に保持され複数のばねによって径方向外方に付勢された保持ボールである。この取り付け構造は、さらに、矩形状の雄スプライン形態の複数の固定された突条を有する。また、前記シートポスト内の前記回路取り付け構造が、雌ねじに代えて、半球状の溝形態の複数の凹部および雌スプライン形態の複数の凹部とされている。この実施形態には、最初に述べた実施形態と比べて、シートポストへの組付け時にケーブルがねじれないという利点がある。
【0007】
前記筒状ハウジングと前記カバーの両方に、データ伝送用ケーブルおよびエネルギー供給用ケーブルを通すための孔が設けられており、さらに、これらのケーブルに対応するコネクタも設けられている。同様に、前記シートポストにも、ケーブルを通すための孔が設けられており、さらに、当該ケーブルに対応するコネクタも設けられている。また、前記シートポストの内周面または前記ハウジングの外周面には、前記カバーから出たケーブルを収容し、これを上方に、例えば、前記フレームのトップチューブに向かって導く溝が設けられていてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2001/0042767号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1553012号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0280244号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
出願人は、そのような制御装置に一連の欠点があることに気付いた。事実、上記の装置は、中空円筒形状(tubular cylinder shape)のシートポストであることを必要とするが、一方では、非円形断面の自転車フレーム(したがって、シートポスト)が空気力学的な理由で急速に普及している。また、上記の装置は、前述の回路取り付け構造を設けるためにシートポストの大幅な変更を要するが、カーボン繊維などの複合材料からなるシートポストに応用し難い。また、上記の装置では、サドルを取り外したい場合はいつでも、信号ケーブルおよび給電ケーブルの接続も外さなければならない。さらに、上記の装置はシートポスト内に嵌まり込むものであり、シートポスト自体も、フレームのシートチューブ内に嵌まり込むように寸法決めされている。そのため、上記装置の横方向寸法は必然的に小さくなる。最後に、上記の装置を適用することのできないインテグラルシートポスト(一体型シートポスト)(integrated seat post)の自転車フレームが、急速に普及しつつある。
【0010】
本発明の根底をなす技術的課題は、前述した欠点を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の構成は、細長い形状(oblong shape)を有して、バッテリ電源ユニット(battery power supply unit)および少なくとも1つの回路基板(circuit board)を収容する空洞(cavity)を備え、かつ、自転車フレームのシートチューブ内に挿入可能なサイズを有している、自転車用オンボード装置において、ボトルケージ留め手段(bottle cage fastening means)と合致する少なくとも1つの留め手段を備えることを特徴としている自転車用オンボード装置である。
【0012】
事実、典型的な自転車フレームは、ボトルケージをシートチューブに沿って留めるための構造を具備している。前記装置はシートチューブ内に挿入可能なので、サドルを自転車から取り外す際に、オンボードシステムにおける他の電気装置、電子装置および/または電気機械装置との接続ケーブルの接続を外さなくて済む。また、前記自転車用オンボード装置は、インテグラルシートポストの自転車フレームにも適している。さらに、前記オンボード装置をシートポストに必ずしも引っ掛けなくてよいので、シートポストに特殊な留め手段を設けなくて済む。そのため、無数に存在する製造業者による全ての自転車フレームおよびシートポストに対して(つまり、複合材料製の、および/または非円形断面の、自転車フレームおよびシートポストに対しても)、即座に使用することができる。また、前記装置の重量が自転車フレームの最下点近くに位置するので、安定性の側面からみても有利である。
【0013】
一実施形態において、前記少なくとも1つの留め手段は、ボトルケージ用締結ねじの雄ねじと合致する雌ねじを有する1つの孔、好ましくは2つの孔を含む。このねじ付きの孔は、前記オンボード装置の取り付け状態において、前記フレームの対応するインサートと同軸に配置される。事実、典型的には、自転車フレームは、締結ねじが適正な螺合長さで螺合できるように当該フレームの内側に突出した、一対の雌ねじ付きインサートを有している。
【0014】
本明細書では説明を簡単にするために「インサート」という用語を、以後使用するが、本発明は、フレームと単一体(one piece)の補強部にも適用可能である。
【0015】
一実施形態において、前記孔のうちの少なくとも1つの孔の雌ねじは、対応するインサートの雌ねじと同一であり、かつ、好ましくは、前記装置の本体の他の部分に対して少なくとも1自由度の運動(at least one degree of freedom of movement)をする部品に形成されている。これにより、既にフレームのインサートに螺合したボトルケージ用締結ねじとの係合が容易になる。
【0016】
好ましくは、前記雌ねじを有する前記部品は、前記オンボード装置の滑らかな孔に収容されて予圧ばねによって長手方向に付勢されたブッシュである。
【0017】
あるいは、前記フレームのねじ付きインサートは、滑らかな孔を具備したインサートに置き換えられてもよく、当該滑らかな孔は、前記オンボード装置のみに螺合するボトルケージ用締結ねじを通すだけである。
【0018】
また、前記オンボード装置の雌ねじの直径およびこれに対応する締結ねじの直径を、前記フレームのインサートの内径よりも小さくしてよい。これにより、ボトルケージ用締結ねじは、前記フレームのねじ付きインサートに係合せずに通過し、前記オンボード装置に対してのみ螺合する。
【0019】
前述の実施形態において、好ましくは、前記オンボード装置は、前記フレームに効率よく固定されると同時にボトルケージも固定される。後でボトルケージが固定される場合には、ねじを1つだけ外し、それをボトルケージに螺合させた後、前記オンボード装置に再び螺合させてから、同様に2つ目のねじに取り掛かればよい。また、ボトルケージを取り外したい場合には、ねじを1つだけ外し、それをボトルケージから取り出した後、前記オンボード装置に再び螺合させてから、同様に2つ目のねじに取り掛かればよい。
【0020】
前記オンボード装置の取り付け過程とボトルケージの取り付け過程とを完全に別々に行う実施形態では、雌雄ねじ(externally and internally threaded element)がその雄ねじを介して前記フレームのインサートおよび前記オンボード装置と螺合する。これにより、残りの雌ねじが、これに対応する締結ねじでボトルケージを留めるのに利用される。
【0021】
前記オンボード装置の取り付け過程とボトルケージの取り付け過程とを別々に行う他の実施形態では、スタッドボルトを、前記フレームのインサートおよび前記オンボード装置に螺合させ、さらに、ボトルケージを、ナットを介して当該スタッドボルトに固定させる。
【0022】
他の実施形態において、前記少なくとも1つの留め手段は、自己ねじ切りねじ(self-threading screw)によってねじ山が作られ且つそれを保持可能な材料を具備している。
【0023】
一実施形態において、前記オンボード装置は、ボトルケージを留めるための前記自転車フレームの少なくとも1つのインサートの一部を収容するように寸法決めされた、主要な長手方向に沿って延びる溝を有しており、当該溝の底部に前記少なくとも1つの留め手段が設けられている。
【0024】
有利なことに、前記溝により、前記フレームの前記シートチューブの主要な長手軸心周りの回転および当該長手軸心に対する傾動が規制されるので、応力および騒音の発生を避けることができる。また、上記のような溝を設ける構成では、前記オンボード装置の寸法を最大化することができるので、それに伴って利用可能な内部空間を最大化できる。事実、前記オンボード装置は、どこの部分でも前記フレームの前記シートチューブの内寸法に実質上対応する横寸法を有することができる。また、前記オンボード装置は、その長手方向において、ボトムブラケットアセンブリのハウジングボックスから、または当該ハウジングボックスの少し上方から、前記シートポストに可能な限り挿入した際の深さにまで広げることが可能になる。
【0025】
好ましくは、前記溝は、前記装置の取り付け状態において当該装置の最下方に位置する端部から延びており、かつ、当該溝の長手方向の上方端部において当接面(abutment surface)を有する。これにより、前記オンボード装置は、前記フレームの上方のインサートに引っ掛かって懸架状態を維持することができるので、ボトムブラケットアセンブリのシャフトとの干渉を確実に防ぐことができる。
【0026】
一実施形態において、前記装置は、その少なくとも1つの長手方向端部に、シートポストまたは前記シートチューブに懸架状態で留まるための代替的な留め手段を備える。
【0027】
これにより、前記オンボード装置は、シートポストから引っ掛けられて固定されるか、シートポストに挿入されてシートチューブに引っ掛けられるか、またはシートチューブに挿入されて前述のようにボトルケージで固定したりすることが可能になる。
【0028】
前記代替的な留め手段は、前記シートポストの内壁または前記シートチューブの内壁に対して径方向の圧力で留められるエクスパンダーを具備することができる。
【0029】
前記エクスパンダーは、前記装置の他の部分に対してジョイントを介して取外し自在に留め可能な部品で構成されることができる。前記ジョイントは、例えば、蟻継手、バヨネット継手、スナップ継手などである。この実施形態は、前記エクスパンダーの調節ねじにより容易に達成される。
【0030】
好ましくは、前記装置は、プラスチック材料からなる中空の細長い形状の本体を備える。
【0031】
前記溝と、あらゆる留め手段および/または代替的な留め手段とは、前記中空の細長い形状の本体(例えば、プラスチック材料からなる)と着脱自在に連結可能な、金属プレートで構成されたものであってもよい。これにより、強度を向上させることができ、および/または中空の細長い形状の単一の本体および一連のプレートをそれぞれ異なる寸法に適合させることができ、および/または当該単一の本体および一連のプレートをそれぞれボトルケージ留めインサートの異なる中心間距離に合わせることができる。
【0032】
あるいは、前記内部空間の寸法を犠牲にして、異なる角度位置に複数の留め手段、例えば、複数対の孔を設けてもよい。
【0033】
前記オンボード装置には、さらに、取り付け支援手段を一時的に留めるための着座部が設けられていてもよい。
【0034】
一実施形態において、前記着座部は、前記オンボード装置の主要な長手方向に略垂直に延びる貫通孔である。さらに好ましくは、前記貫通孔は、前記フレームの下方のインサートに対応する雌ねじを具備した孔である。この実施形態では、スチールケーブルのような半剛性のケーブルの第1の端部が、前記フレームの前記下方のインサートの孔に通され(threaded into the hole)、前記シートチューブの上端部から取り出され、前記貫通孔に通され、前記シートチューブに再び通され(rethreaded into the tube)、ボトムブラケットアセンブリのハウジングボックスから取り出される。前記ケーブルの2つの端部を前記フレームから遠ざかる方向に引っ張ることにより、前記オンボード装置は、前記フレームの前記インサートと同軸の雌ねじ付き孔に対して適正に位置決めされる。
【0035】
他の実施形態において、前記着座部は、長手方向の上方端面に形成されており、かつ、剛性を有するロッドを一時的に留めるための着座部(例えば、バヨネット着座部または雌ねじ付き孔など)で構成されており、前記剛性を有するロッドは、前記オンボード装置が適正に位置決めされた際に一部が前記シートチューブから突出する長さを有する。
【0036】
好ましくは、前記細長い形状の中空本体は、密封空洞(tight cavity)を形成している。
【0037】
好ましくは、前記少なくとも1つの回路基板は、給電回路、マイクロプロセッサおよびメモリを有する。
【0038】
好ましくは、前記バッテリ電源ユニットは、円筒形状をしている。
【0039】
好ましくは、前記少なくとも1つの回路基板は、少なくとも一部が前記バッテリ電源ユニットを取り囲んでいる。
【0040】
好ましくは、前記マイクロプロセッサは、少なくとも1つのディレイラを管理するようにプログラムされている。
【0041】
好ましくは、前記オンボード装置は、複数の給電用、信号用および/またはデータ伝送用のケーブルを備えており、より好ましくは、前記オンボード装置には、オンボード電子システムにおける少なくとも1つの他のオンボード装置と接続するためのエンドコネクタが設けられている。
【0042】
好ましくは、各ケーブルは、前記オンボード装置の長手方向端面から突出している。
【0043】
変形例として、あるいは、上記の構成に加えて、前記オンボード装置の前記中空の細長い形状の本体は、少なくとも1本のケーブルを前記オンボード装置と前記自転車フレームとの間の隙間に通すための、当該本体の主要な長手軸心に略沿って延びる少なくとも1つの第2の溝を備えていてもよい。
【0044】
前記フレームのインサートを収容する溝を設けることには、前述したように一連の利点がある。また、出願人は、そのような溝を設けることにより、ボトルケージを留めるねじまたはその他の手段がなくとも、例えば、当該溝に前記インサートのうちの少なくとも一方を若干無理やり押し込むように挿入することにより、および/または前記オンボード装置周りに展伸材(expanded material)を設けることにより、前記シートチューブ内における前記オンボード装置の回転を十分に制限できることを見出した。
【0045】
本発明の他の構成は、細長い形状を有して、バッテリ電源ユニットおよび少なくとも1つの回路基板を収容する空洞を備え、かつ、自転車フレームのシートチューブ内に挿入可能なサイズを有している、自転車用オンボード装置において、ボトルケージを留めるための自転車フレームの少なくとも1つのインサートの一部を収容するように寸法決めされた、当該自転車用オンボード装置の主要な長手方向に沿って延びる溝を有することを特徴としている。
【0046】
本発明のさらなる他の構成は、自転車用オンボード装置の搭載方法であって、前記装置を、自転車フレームのシートチューブ内に挿入する工程と、
前記装置を、ボトルケージ留め手段と合致する少なくとも1つの留め手段によって前記フレームに留める工程と、を含む。
【0047】
好ましくは、前記方法は、さらに、前記装置を、ボトルケージを留めるための前記自転車フレームの少なくとも1つの孔付きインサートに対して位置決めする工程と、前記装置を、ボトルケージを留める少なくとも1つの締結ねじを前記少なくとも1つの孔付きインサートに通すことによって固定する工程と、を含む。
【0048】
一実施形態において、前記装置を位置決めする前記工程は、当該オンボード装置に、当該オンボード装置の主要な長手方向に略垂直に延びる貫通孔を設ける工程と、半剛性のケーブルの第1の端部を前記自転車フレームの下方のインサートの孔に通す工程と、前記第1の端部を前記シートチューブの上端部から取り出す工程と、前記第1の端部を前記貫通孔に通す工程と、前記第1の端部を前記シートチューブに再び通す工程と、前記第1の端部をボトムブラケットアセンブリのハウジングボックスから取り出す工程と、前記ケーブルの2つの端部を前記フレームから遠ざかる方向に引っ張る工程と、を有する。
【0049】
一実施形態において、前記装置を位置決めする前記工程は、剛性を有するロッドを当該オンボード装置の上方端部に一時的に留める工程を含み、前記剛性を有するロッドは、当該オンボード装置が適正に位置決めされた際に一部が前記シートチューブから突出する長さを有する。
【0050】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照しながら行う、好ましい実施形態についての以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明にかかるオンボード装置を搭載した自転車を示す概略図である。
【図2】本発明にかかるオンボード装置の一実施形態を示す分解図である。
【図3】図2のオンボード装置の斜視図である。
【図4】図2のオンボード装置の一部の長手方向断面を示す断面斜視図である。
【図5】図2のオンボード装置の、図7の取り付け状態における断面平面V−Vに沿った断面図である。
【図6】図2のオンボード装置の、図3の断面平面VI−VIに沿った断面図である。
【図7】図2のオンボード装置の取り付け状態を、自転車のシートチューブの断面と共に示す斜視図である。
【図8】搭載工程における図2のオンボード装置を示す斜視図であり、自転車フレームが部分的に断面で示されている。
【図9】搭載状態の変形例における図2のオンボード装置を、自転車のシートポストの長手方向の断面と共に示す斜視図である。
【図10】図9の細部の部分断面斜視図である。
【図11】搭載工程における図9の細部を示す部分断面斜視図である。
【図12】本発明に係るオンボード装置の他の実施形態を示す斜視図である。
【図13】本発明に係るオンボード装置のさらなる他の実施形態を示す斜視図である。
【図14】本発明に係るオンボード装置のさらなる他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、本発明に係るオンボード装置10を備えた自転車100の一例を示す概略図である。
【0053】
自転車100は、周知のものと同じく、フレーム110と、フレーム110のシートチューブ112の上端部に少なくとも一部が挿入されたシートポスト130と、シートポスト130の上端に設けられたサドル132と、ハンドルバー134と、ヘッドチューブ126に回転可能に装着されたフォーク136と、フォーク136の下端部で回転可能に支持されたフロントホイール138と、フレーム110のリア部(後部)で回転可能に支持されたリアホイール140と、推進機構142と、フロントブレーキ144およびリアブレーキ146のうちの少なくとも一方と、を備える。
【0054】
図示の実施形態において、フレーム110はダイアモンド型のものである。フレーム110は、前述のシートチューブ112と、前述のヘッドチューブ126と、トップチューブ114と、ダウンチューブ116と、4本のリアステー118,120,122,124と、ボトムブラケットアセンブリ128(図8)のハウジングボックスと、を有する。
【0055】
しかしながら、フレーム110は他の形状であってもよく、特に、インテグラルシートポスト(integrated seat post)を有するもの(シートポスト130を別体としないもの)であってもよい。
【0056】
典型的には、推進機構142は、ボトムブラケットアセンブリ128のハウジングボックス内に回転可能に支持された、当該ボトムブラケットアセンブリのシャフト(図示せず)を駆動回転させる、ペダル150,151が設けられた一対のクランクアーム148,149を有する。前記シャフトには、少なくとも1つのフロントスプロケット154が装着されている。推進機構142は、さらに、リアホイール140に設けられた少なくとも1つのリア歯車156と、フロント歯車154とリア歯車156との間で常に延びるチェーン158と、を有する。変速比を可変とした推進機構142であれば、さらに、複数のフロント歯車154間でチェーン158を移動させるフロントディレイラ160、および/または複数のリア歯車156間でチェーン158を移動させるリアディレイラ162を有する。
【0057】
ブレーキ144,146および/またはディレイラ160,162を制御する制御装置164は、図示のようにハンドルバー134の端部に設けられるのが一般的であるが、それ以外の場合には、フレーム110の好都合な位置に固定される。このような制御装置164は、ブレーキ144,146および/またはディレイラ160,162を電気的に作動させる指令を生成するための、あるいは例えばボーデンケーブルなどを介して、これらを機械的に作動させるためのレバーおよび/またはボタンを有するものであってもよい。
【0058】
自転車100に搭載されるオンボード電子システムは、下記の装置または構成品(それらの多くは図示せず)のうち、一つ以上を備える.。前述の制御装置164;各ディレイラ160,162を移動させる電気モータ;各ディレイラ160,162の位置センサ;速度センサ;ペダリング・ケイデンス・センサ(pedalling cadence sensor);傾斜計;速度計;心拍数モニタ又は他のセンサ;ディスプレイユニット;オーディオユニット;少なくとも1つのバッテリ電源ユニット(好ましくは、再充電可能なタイプ);1つ以上のプロセッサ;これらの装置を動作させるための、および/またはデータを収集・記憶するための記憶手段。さらに、マルチメディアコンテンツ、例えば、音楽、ビデオ、画像(地図ファイルを含む)などのリーダー、デジタルカメラ、ビデオカメラ、音声記録ユニット、携帯電話ユニット;および/または他のアプリケーションが設けられていてもよい。
【0059】
上述の各種構成品は、互いにケーブル接続および/またはワイヤレス接続されており、自転車の様々な箇所に設けられ得る。
【0060】
本発明にかかるオンボード装置10の一実施形態について、図1にシートチューブ112に取り付けられた状態を概略的に示し、図2〜図8に当該実施形態の詳細を示す。このオンボード装置10は、上記のオンボード電子システムを構成するものであるか、あるいは、上記の車載電子システムの一構成品とされ得る。
【0061】
オンボード装置10は、中空の細長い形状の本体12を有する。本体12は、バッテリ電源ユニット14および少なくとも1つの回路基板16を収容した内部空間(internal cavity)13を形成している。
【0062】
図示の実施形態において、回路基板16は、いわゆるパワーボードであり、すなわち、ディレイラ160、162の制御およびディレイラ160,162の位置の検出を行う電子部品を含んでいる。この実施形態において、オンボード装置10は、例えばケーブル24を介して、ディレイラ160,162および手動の制御装置164に接続されている。また、回路基板16は、バッテリ電源ユニット14から電力を受け取り、オンボード装置10の他の構成品および/またはオンボードシステムの他の構成品に出力する給電回路、外部電源(コンセント(mains)または発電機の電源など)から電力を受け取り、バッテリ電源ユニット14に出力する充電回路、ディレイラ160,162を管理するための回路、および各種センサを管理するための回路を含んでいてもよい。
【0063】
自動モードで、または例えば手動の制御装置164などを介して入力される手動制御に基づいて、または半自動モードで、すなわち、センサからの信号に基づいて、変速比を管理する電子部品が、オンボード装置10内および/または手動の制御装置164内に収容されている。
【0064】
細長い中空体12は、例えばプラスチック材料からなり、シートチューブ112内に収容可能に形成・寸法決めされている。細長い中空体12は、側面を形成するベース部18及びカバー部19と、長手方向の上方端部20および長手方向の下方端部22と、を有する。なお、「上方」および「下方」という形容詞は、本発明を理解し易くするために、図7に示す装置10の取り付け状態を基準としている。他の取り付け状態では、装置10を逆さまにして取り付けてもよい。
【0065】
複数の給電用、信号用および/またはデータ・ケーブル24は、回路基板16から延びており、図示のように長手方向の下方端面22で、および/または長手方向の上方端面24で細長の中空体12から出ている。
【0066】
好ましくは、ケーブル24には、電子システムにおける他の装置との接続、および/またはバッテリ電源ユニット14を再充電する給電電源との接続のための着脱可能なコネクタ(図示せず)が設けられている。
【0067】
有利なことに、細長い中空体12は密封されている(tightly closed)。例えば、カバー部19は、ベース部18に、ガスケットを介在させて、超音波溶接、接着またはねじ連結されている。また、絶縁材料が、適当な孔25(図5)を介して、ケーブル24の出口に設けられてもよい。
【0068】
細長い中空体12は、当該本体12の主要な長手軸心X(以下、単に軸心Xと称する)と平行に延びる溝28を有する。溝28は、下方端部22から延びている。
【0069】
好ましくは、溝28は、下方端部22に向かって広がった(flared)形状および/または先細の(tapered)形状をしている。
【0070】
図示の実施形態において、前記溝は、細長い中空体12におけるカバー部19に一部が形成され、かつ、細長い中空体12におけるベース部18にも一部が形成されており、溝28は、短い中断部29を有する。
【0071】
図示の実施形態において、溝28は、上方端部20にまで延びていなく、むしろ、軸心Xを略横切って延びる当接面30を有する。
【0072】
溝28は、ボトルケージを留めるために、シートチューブ112内にほぼ標準的な様式で配置され、シートチューブ112の内側に突出した2つのインサート166,168(図4、図5および図7)の一部を収容するように寸法決めされている。
【0073】
あるいは、溝28は、上方のインサート168のみを収容するものであってもよい。
【0074】
上記の溝28のために、細長い中空体12の横方向寸法は、どこの部分においても、特に、本体上部において(elsewhere -and in particular in its upper portion) 、シートチューブ112の横方向の内寸法、特に、シートチューブ112の内径に実質状合致させることができ、および/または装置10の縦方向寸法を最大限に長くすることができる。
【0075】
細長い中空体12は、溝28が(軸心X周りの)適正な角度位置でシートチューブ112内にスライド挿入されると、インサート166,168に「引っ掛かる」(hook onto the inserts 166,168)。これにより、本体12は、ボトムブラケットアセンブリ128のハウジングボックスの少し上方において恐らくは懸架状態で維持される。
【0076】
いずれにせよ、インサート166,168を溝28に着座させることにより、特に、当該溝の寸法を大きくし過ぎないか、あるいは、当該溝の寸法を若干小さく設定することでインサート166,168の着座により、装置10が軸心X周りに回転しないように、かつ、装置10が軸心Xに対して振動傾動運動をしないようにすることができる。
【0077】
図示の実施形態では、装置10がシートチューブ112内で移動するのをさらに防ぐために、溝28の底部には、ボトルケージ(図示せず)を留める2つのねじ170,172(図7)の雄ねじと合致する雌ねじを具備した2つの孔32,34が設けられている。
【0078】
図示の実施形態において、孔32,34の雌ねじはインサート166,168の雌ねじと同一である。図示の実施形態では、下方端部22側の雌ねじ付き孔32が、中空の細長い形状の本体12の滑らかな孔40内にクリアランスをもって収容されたブッシュ36に形成されている。これにより、既に一部がインサート166に螺合した状態のねじ170であっても、孔32の雌ねじに係合し易くなる。この様子は、図4および図5に明確に示されている。ブッシュ36は、当該ブッシュ36のフランジ部37に作用する例えばコイルばね44などの予圧ばねにより、長手方向に付勢されている。ブッシュ36およびばね44は、当接面48,50によって長手方向に保持されている。ブッシュ36およびばね44は、細長い形状の本体12の開口38を介して滑らかな孔40に挿入される。
【0079】
上方端部22側の雌ねじ付き孔34も同様に形成されてもよい。しかし、図示の実施形態では、雌ねじ付き孔34を従来のナット35に形成されたものとしている。
【0080】
図4および図7に示すように、一実施形態では、装置10の長手方向の上方端部20の端面に、取り付け支援手段としての剛性を有するロッド62を一時的に留めるための雌ねじ付き孔60、バヨネット着座部、または他の種類の着座部が設けられている。なお、剛性を有するロッド62は、オンボード装置10がボトルケージに対して適正に位置決めされた際に一部がシートチューブ112から突出する長さを有する。このような長さにより、オンボード装置10を上手く操作して当該オンボード装置10を適正に位置決めすることができる。オンボード装置10を適正に挿入した後、場合によっては、ボトルケージを留めるねじ170,172で当該オンボード装置10を固定した後、着座部60からロッド62を取り外し、ロッド62をシートチューブ112から取り出す。
【0081】
変形例として、あるいは、上記の構成に加えて、孔32が貫通孔である場合、当該孔32は、図8に示すように、取り付け支援手段としての半剛性のケーブル64を一時的に通すための着座部として機能するものであってもよい。孔32を使用する代わりに、オンボード装置10に、軸心Xに対して略垂直に延びる特殊な貫通孔を設けてもよい。半剛性のケーブル64(例えば、スチールケーブル)の第1の端部66は、フレーム110の下方のインサート166の孔に通され、シートチューブ112の上端部から取り出され、貫通孔32または前記特殊な着座部に通され、シートチューブ112に再び通され、ボトムブラケットアセンブリ128のハウジングボックスから取り出される。ケーブル64の2つの端部をフレーム110から遠ざかる方向に引っ張ることにより、孔32の雌ねじがフレームのインサート166と同軸となり、オンボード装置10が適正に位置決めされる。
【0082】
図9、図10および図11に示す実施形態では、中空の細長い形状の本体12が、その長手方向の上方端部20に、シートポスト130またはシートチューブ112に引っ掛かって留まるための代替的な留め手段を備える。
【0083】
この代替的な留め手段は、シートポスト130の内壁またはシートチューブ112の内壁に対して径方向の圧力で係止する、公知のエクスパンダー70を含む。エクスパンダー70は、軸方向に延びる調節ボルト72及び複数の要素74を有する略円筒体である。この略円筒体の径方向の拡がりは、調節ボルト72によって調節可能である。好ましくは、調節ボルト72の両側の端部72A,72Bは、利用し易く、かつ、操作可能である。
【0084】
図示のとおり、エクスパンダー70は、中空の細長い形状の本体12とは別体の構成品である。これら2つの構成品は、互いに合致する継手手段(好ましくは、蟻継ぎ手段76,78)を介して連結可能である。ピンカップリングにより、エクスパンダー70と中空の細長い形状の本体12との軸心X周りの相対回転運動が防止され、かつ、これら2つの構成品間のカップリングがより確実になる。
【0085】
シートポスト130の外側で懸架させて取り付ける場合、エクスパンダー70をまずシートポスト130内に挿入し(図11)、端部72Aからボルト72を操作してエクスパンダー70をシートポスト130の内面に係止させる。その後、中空の細長い形状の本体12を、蟻継ぎ手段76,78を介してエクスパンダー70に留める。好ましくは、エクスパンダー70の横方向に延びる孔81Aおよび中空の細長い形状の本体12の横方向に延びる孔81Bからなる同軸孔81A,81Bにピンを挿入80することにより、中空の細長い形状の本体12がエクスパンダー70に固定される。
【0086】
シートチューブ112に懸架させて取り付ける場合またはシートポスト130内に挿入して取り付ける場合、中空の細長い形状の本体12をまず蟻継ぎ手段76,78を介して(好ましくは、さらにピンカップリングを用いて)エクスパンダー70に留める。その後、これら2つの構成品の組立体をシートチューブ112またはシートポスト130に挿入し、端部72Bからボルト72を操作してエクスパンダー70をシートチューブ112の内面またはシートポスト130の内面に係止させる。
【0087】
図12に、装置10aの一実施形態を示す。この実施形態は、溝28aが細長い形状の本体12の全長にわたって延びており当接面30がない点で、前述・図示の実施形態と異なる。
【0088】
図13に、装置10bの一実施形態を示す。この実施形態は、溝28がない点で、前述・図示の実施形態と異なる。装置10bの内部空間を増やすために、装置10bにおける上方端部20側の部分の横方向寸法、すなわち、孔34の「上流」側の横方向寸法を、装置10bにおいて孔32,34が含まれる下方端部20側の部分の横方向寸法よりも大きく設定してもよい。換言すれば、中空の細長い形状の本体12は、「段差状」であってもよい。
【0089】
図14に、装置10cの一実施形態を示す。この実施形態は、1本以上のケーブル24を収容するための、中空の細長い形状の本体12の主要な長手方向に略延びる溝26を有する点で、図13に示す実施形態と異なる。この溝26により、中空の細長い形状の本体12とシートチューブ112(またはシートポスト130)との間の隙間にケーブル24を通過させることができる。なお、図示の例では、ケーブル24は、細長い形状の本体12の上方端部20から出ている。
【0090】
また、溝26にケーブル24を収容する場合、当該ケーブル24を、溝26の底部である中空の細長い形状の本体12の側面から引き出すようにしてもよい。
【0091】
このようなケーブルを収容する1つ以上の溝26は、図示の他の実施形態にも設けられてよい。
【0092】
これまでに述べた実施形態では、有利なことに、ボトルケージのねじを留める手段32,34とともに、溝28、28aおよび/またはエクスパンダー70などの代替的な留め手段が、中空の細長い形状の本体12(例えば、プラスチック材料からなる)と着脱自在に連結可能な、金属製のプレートで構成されたものとすることも可能である。これにより、強度を向上させることができ、および/または中空の細長い形状の単一の本体および一連のプレートをそれぞれ異なる寸法に適合させることができ、および/または当該単一の本体および一連のプレートをそれぞれボトルケージ留めインサート166,168の異なる中心間距離に合わせることができる。
【0093】
あるいは、内部空間13の寸法を犠牲にして、(軸心X周りの)異なる角度位置に複数の溝28,28aおよび任意で複数の留め手段を設けてもよい。
【0094】
なお、前述したオンボード装置は、円形でない断面のシートチューブおよび/またはインテグラルシートポストを有するフレームにも適している。
【0095】
当然ながら、当業者であれば、特定の要件および将来生じ得る要件を満足するために、前述した装置に様々な変形および変更を施すことができるが、これらの変形および変更は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の保護範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い形状を有し、バッテリ電源ユニット(14)および少なくとも1つの回路基板(16)を収容する空洞(13)を備え、かつ、自転車フレーム(110)のシートチューブ(112)内に挿入可能なサイズを有している、自転車用オンボード装置(10,10a,10b,10c)において、
ボトルケージ留め手段(170,172)と合致する少なくとも1つの留め手段(32,34)を備えることを特徴とする、自転車用オンボード装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自転車用オンボード装置において、前記少なくとも1つの留め手段(32,34)が、ボトルケージ用締結ねじ(170,172)の雄ねじと合致する雌ねじを有する2つの孔(32,34)を含む、自転車用オンボード装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自転車用オンボード装置において、前記孔のうちの少なくとも1つの孔(32)の雌ねじが、ボトルケージを留めるための前記自転車フレーム(110)のインサート(166)の雌ねじと同一であり、かつ、前記装置(10,10a,10b,10c)の本体(12)の他の部分に対して少なくとも1自由度の運動をする部品(36)に形成されている、自転車用オンボード装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自転車用オンボード装置において、前記雌ねじを有する前記部品(36)が、前記オンボード装置(10,10a,10b,10c)の滑らかな孔(40)に収容されて予圧ばね(44)によって長手方向に付勢されたブッシュ(36)である、自転車用オンボード装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の自転車用オンボード装置において、さらに、ボトルケージを留めるための前記自転車フレーム(110)の少なくとも1つのインサート(166,168)の一部を収容するように寸法決めされた、前記自転車用オンボード装置の主要な長手方向(X)に沿って延びる溝(28,28a)を有しており、前記溝(28)の底部に前記少なくとも1つの留め手段(32,34)が設けられている、自転車用オンボード装置。
【請求項6】
請求項5に記載の自転車用オンボード装置において、前記溝(28)は、前記装置の取り付け状態において前記装置の最下方に位置する端部(22)から延びており、かつ、前記溝(28)の長手方向の上方端部において当接面(30)を有する、自転車用オンボード装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の自転車用オンボード装置において、前記装置(10,10a,10b,10c)が、その少なくとも1つの長手方向端部(20,22)に、自転車フレーム(110)のシートポスト(130)または前記シートチューブ(112)に引っ掛かって留まるための代替的な留め手段を備える、自転車用オンボード装置。
【請求項8】
請求項7に記載の自転車用オンボード装置において、前記代替的な留め手段がエクスパンダー(70)を備える、自転車用オンボード装置。
【請求項9】
請求項8に記載の自転車用オンボード装置において、前記エクスパンダー(70)が、前記装置の他の部分に対して取外し自在に留め可能な部品で構成されており、好ましくは、前記装置の他の部分に対して蟻継ぎ手段(76,78)を介して留め可能である、自転車用オンボード装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の自転車用オンボード装置において、さらに、取り付け支援手段(62,64)を一時的に留めるための着座部(32,60)を備える、自転車用オンボード装置。
【請求項11】
請求項10に記載の自転車用オンボード装置において、前記着座部(32)が、前記オンボード装置(10)の主要な長手方向(X)に略垂直に延びる貫通孔であり、前記取り付け支援手段(64)が半剛性のケーブル(64)である、自転車用オンボード装置。
【請求項12】
請求項10に記載の自転車用オンボード装置において、前記取り付け支援手段(62)が剛性を有するロッド(62)であり、前記着座部(60)が、前記オンボード装置における長手方向の上方端面(20)に形成されており、かつ、前記剛性を有するロッド(62)を一時的に留め可能に構成されている、自転車用オンボード装置。
【請求項13】
自転車用オンボード装置(10,10a,10b,10c)の搭載方法であって、
前記装置(10,10a,10b,10c)を、自転車フレーム(110)のシートチューブ(112)内に挿入する工程と、
前記装置(10,10a,10b,10c)を、ボトルケージ留め手段(170,172)と合致する少なくとも1つの留め手段(32,34)によって前記フレーム(110)に留める工程と、を含む、自転車用オンボード装置の搭載方法。
【請求項14】
請求項13に記載の自転車用オンボード装置の搭載方法において、さらに、
前記装置(10,10a,10b,10c)を、ボトルケージを留めるための前記自転車フレーム(110)の少なくとも1つの孔付きインサート(166,168)に対して位置決めする工程と、
ボトルケージを留める少なくとも1つの締結ねじ(170,172)を前記少なくとも1つの孔付きインサート(166,168)に通すことによって、前記装置(10,10a,10b,10c)を固定する工程と、を含み、
前記装置(10,10a,10b,10c)を位置決めする前記工程は、
前記オンボード装置(10,10a,10b,10c)に、前記オンボード装置(10,10a,10b,10c)の主要な長手方向(X)に略垂直に延びる貫通孔(32)を設ける工程と、
半剛性のケーブル(64)の第1の端部(66)を前記自転車フレーム(110)の下方のインサート(166)の孔に通す工程と、
前記第1の端部(66)を前記シートチューブ(112)の上端部から取り出す工程と、前記第1の端部(66)を前記貫通孔(32)に通す工程と、
前記第1の端部(66)を前記シートチューブ(112)に再び通す工程と、
前記第1の端部(66)をボトムブラケットアセンブリ(128)のハウジングボック
スから取り出す工程と、
前記ケーブル(64)の2つの端部を前記フレーム(110)から遠ざかる方向に引っ張る工程と、を有する、自転車用オンボード装置の搭載方法。
【請求項15】
請求項13に記載の自転車用オンボード装置の搭載方法において、さらに、
前記装置(10,10a,10b,10c)を、ボトルケージを留めるための前記自転車フレーム(110)の少なくとも1つの孔付きインサート(166,168)に対して位置決めする工程と、
前記装置(10,10a,10b,10c)を、ボトルケージを留める少なくとも1つの締結ねじ(170,172)を前記少なくとも1つの孔付きインサート(166,168)に通すことによって固定する工程と、を含み、
前記装置(10,10a,10b,10c)を位置決めする前記工程は、
剛性を有するロッド(62)を前記オンボード装置(10,10a,10b,10c)の上方端部(22)に一時的に留める工程を含み、
前記剛性を有するロッド(62)は、前記オンボード装置(10,10a,10b,10c)が適正に位置決めされた際に一部が前記シートチューブ(112)から突出する長さを有する、自転車用オンボード装置の搭載方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−1389(P2013−1389A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−130580(P2012−130580)
【出願日】平成24年6月8日(2012.6.8)
【出願人】(592072182)カンパニョーロ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (94)
【氏名又は名称原語表記】CAMPAGNOLO SOCIETA A RESPONSABILITA LIMITATA
【Fターム(参考)】