自転車用キャリア
【課題】自転車のタイプ、フレーム形状、サイズ等にかかわらず使用可能な汎用性有し、また、自転車の後輪を支持フレームによって支持する必要が無く、ルーフキャリアへの装着時にリヤハッチと干渉する不具合を防止でき、更に梱包時の製品も小さくできる自転車用キャリアを提供する。
【解決手段】自転車の前部を固定する手段16と、自転車のボトムブラケットシェル15からチェーンステー14までの部分の一部もしくは全部を保持する保持部材19と、上記保持部材19に対して自転車の上方への移動を防止する固定手段20を有する。
【解決手段】自転車の前部を固定する手段16と、自転車のボトムブラケットシェル15からチェーンステー14までの部分の一部もしくは全部を保持する保持部材19と、上記保持部材19に対して自転車の上方への移動を防止する固定手段20を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の屋根に取り付けるルーフキャリアに係り、特に自転車を車両の屋根に積載するための自転車用キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車を車両の屋根に積載する従来の自転車用キャリアとして、フォークダウン式、フレームクランプ式、クランクアームクランプ式、タイヤホールド式、ボトムブラケットシェルクランプ式が存在する。
【0003】
フォークダウン式は、例えば特開2004−161020号公報に記載されているように、自転車の前輪をフロントフォークから取り外し、フロントフォーク先端の車軸取り付け部をルーフキャリアの固定軸に締結するようになっている。
【0004】
また、フレームクランプ式は、特表平9−502140号公報のように、ルーフキャリアの本体部に対して起伏自在な一対のアームの先端に開閉自在な把持部を設け、この把持部によって自転車のフレームを把持して自転車をルーフキャリアに固定するようになっている。
【0005】
そして、クランクアームクランプ式は、米国特許5820002号公報や特開平10−109599号公報に記載されているように、ルーフキャリアの本体部に対して起伏自在なアームを設け、このアームの先端部に設けた把持部によって、自転車のペダルを取り付けるクランクアームの途中もしくはクランクアームの基部を挟持することにより、自転車をルーフキャリアに固定するようにしている。
【0006】
タイヤホールド式は、米国特許5833074号公報に記載されているように、タイヤを保持する逆U字型のアーム部材によりって自転車のタイヤ部分を固定する構造であり、上記アーム部材の両側部で自転車のタイヤの左右の面を保持し、上記アーム部材の上端部がタイヤに当接して自転車の前後方向の移動を防止する様に構成されている。
【0007】
また、米国特許4629104号公報に記載されるボトムブラケットシェルクランプ式の自転車用キャリアが存在する。この従来技術ではルーフキャリアに固定され上向きに延びるフレームブラケット7の上端部に形成された顎8(固定部材9を含む)と、固定部材9に軸支された第2部材によってクランプが構成され、上記クランプが自転車のボトムブラケットシェルを挟持することにより、自転車をルーフキャリアに固定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−161020号公報
【特許文献2】特表平9−502140号公報
【特許文献3】米国特許5820002号公報
【特許文献4】特開平10−109599号公報
【特許文献5】米国特許5833074号公報
【特許文献6】米国特許4629104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記した従来のフォークダウン式ルーフキャリアは、自転車を積載する際に、自転車の前輪をフォークから取り外す必要があり、自転車の積載が面倒であるばかりでなく、取り外した前輪を車両トランクなどに収納する必要がある。しかも、車両の制動時などに自転車の有する慣性によって後輪が浮き上がるため、後輪に対してベルトなどを用いてルーフキャリアの本体部に固定する必要がある。
【0010】
また、従来のフレームクランプ式ルーフキャリアは、把持部が、通常、円形のものを把持するように形成してあり、近年普及してきているカーボンフレームなどの異形のフレームを把持することができず、異形フレームを有する自転車を積載することができない。また、フレームが円形のパイプなどで形成してあったとしても、ロードサイクルのように細いフレームと、ダウンヒル用の太いフレームの自転車などがあり、これらのすべてに対応することが困難である。さらに、把持部を設けたルーフキャリアのアームは、本体部に対して起伏自在となっているため、車両の制動時などに自転車の有する慣性によってアームが回動して自転車が浮き上がるため、自転車の車輪をベルトなどによってルーフキャリアの本体部に固定する必要がある。しかも、自転車をルーフキャリアの上に配置してから固定するまで、自転車から手を放すことができず、自転車を固定する操作を片手でしなければならず、固定作業が容易でない。そして、近年は、フレームに色彩や模様を施した自転車が多くなっており、フレームを把持するとフレームに傷がつき、自転車の美観を損なう。また、カーボンフレームなどを有する軽量自転車は、フレームの軸線方向に直交した方向の力に対して比較的弱く、フレームを把持して固定する場合に、固定に必要な大きさの力をもって把持することができない。
【0011】
そして、クランクアームクランプ式ルーフキャリアは、自転車をルーフキャリアの上に配置してから固定するまで、自転車から手を離すことができず、固定操作が容易でないばかりでなく、自転車の片側のクランクアームを把持するようになっているため、左右の振動に対して不安定であって、自転車の車輪をベルトなどによってルーフキャリアの本体部に固定する必要がある。
【0012】
また、タイヤホールド式においては、タイヤ径の異なる自転車に対しての汎用性に問題があり、特に小さい外径のタイヤが装着されている自転車の場合はアーム部材の上端位置の内側面よりもタイヤの上端位置が低いと自転車の前後方向の移動を防止する事が困難になる欠点があり、更に、上記アーム部材は、タイヤの幅方向に対する調整機構を有さないため、幅の広いタイヤが装着出来る様に逆U字型のアーム部材の左右幅を広く形成すると幅が狭いタイヤの自転車に使用した場合に自転車の左右方向のガタツキが大きくなり、このガタツキを軽減するために逆U字型のアーム部材の左右幅を狭く形成すると幅が広いタイヤの自転車への使用が困難になり汎用性に乏しくなる欠点があった。
【0013】
また、上記特許文献特開2004−161020号公報、特表平9−502140号公報、米国特許5820002号公報、特開平10−109599号公報、米国特許5833074号公報で開示される従来の自転車用キャリアは、自転車の後輪を支持フレームによって支持する必要があるため全長が長くなるため、ルーフキャリアへの装着時に上記支持フレームがリヤハッチと干渉する不具合があり、更に製品が大きくなるため、運搬時の送料や在庫の保管費が高くなる欠点があった。
【0014】
また、ボトムブラケットシェルクランプ式の自転車用キャリアは、上記欠点を解決する事が可能である。この従来技術ではロッド15の調整によって開閉クランプ(第2部材12)の開閉固定位置に調整機能を有するため、自転車のボトムブラケットシェル部分の寸法の相違に対してある程度の対応が考慮されているが、自転車のボトムブラケットシェル部分の寸法ならびにその形状は自転車のタイプおよび設計思想によって大きく異なるため、この従来技術の様にフレームブラケット7の上端部に形成された顎8(固定部材9を含む)と、固定部材9に軸支された第2部材によって、ボトムブラケットシェルの部分を前後方向に保持する構造では、自転車用キャリアに固定可能な自転車は限定的となってしまうため、汎用性が低い欠点があった。また、自転車の上記ボトムブラケットシェルの下面には通常自転車のブレーキ用ワイヤおよびギヤチェンジ用のワイヤが配置されるが、上記クランプが自転車のボトムブラケットシェルを挟持することにより、上記ワイヤと干渉するため、上記ワイヤが自転車の重量および走行中の衝撃によって損傷する欠点があった。
【0015】
本発明は上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の自転車用キャリアは車両の屋根の上に配置され、自転車の前部を固定する手段と、自転車のボトムブラケットシェルからチェーンステーまでの部分の一部もしくは全部を保持する保持部材と、上記保持部材に対して自転車の上方への移動を防止する固定手段を有しており、上記保持部材がボトムブラケットシェルからチェーンステーまでの部分の一部もしくは全部の下面と当接する支持面を有し、上記保持部材の支持面は、自転車の左右方向に対応する左右の端に夫々上方に伸びるサポート部を形成され、上記保持部材が自転車のボトムブラケットシェルと後輪の間に形成された隙間に挿入可能な挿入片を有する。
【0017】
また、上記挿入片の前後方向の幅が上部から下方に向かって徐々に広くなる様に形成されており、上記挿入片は、前後方向に対する幅調整手段を有し、上記挿入片は、左右方向に対する幅調整手段を有しており、上記挿入片は、上下方向に対する高さ調整手段を有し、上記挿入片が複数の部分から構成される。
【0018】
更に、上記保持部材に対して自転車の上方への移動を防止する固定手段が、一端が上記保持部材の一側に固定され、他端が自転車の後輪のリム部もしくはボトムブラケットシェルもしくはチェーンステーの少なくとも1つの上部を介して上記保持部材の他側に配置されたバックルに固定されるベルトによって構成されており、上記保持部材に対して自転車の上方への移動を防止する固定手段が、一端がキャリアベースもしくは上記保持部材に固定され、他端に自転車の後輪のリム部もしくはボトムブラケットシェルもしくはチェーンステーに係止可能なフック部が配置され、上記一端と他端間の距離の縮小手段を有する保持アームによって構成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の自転車用キャリアは、保持部材に、自転車のボトムブラケットシェルからチェーンステーまでの部分の一部もしくは全部を保持する構成よりなり、特に自転車のボトムブラケットシェルと後輪の間に形成された隙間に挿入される挿入片を有する保持部材を設けた構成としたので、自転車を上記保持部材に仮固定ができるため、その後の自転車のキャリアへの固定作業を両手で行うことができ、作業性が非常に良く、更にボトムブラケットシェルと後輪の間の隙間は殆ど全ての自転車に共通して形成されるため、自転車のタイプ、フレーム形状、サイズ等にかかわらず、使用可能な自転車が増えるため、優れた汎用性有するものである。また、自転車の後輪を支持フレームによって支持する必要が無いため全長が短くなり、ルーフキャリアへの装着時にリヤハッチと干渉する不具合を防止でき、更に梱包時の製品も小さくできるため、運搬時の送料や在庫の保管費が低くできる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施例の使用状態を示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施例の自転車の後輪側から見た拡大図である。
【図3】本発明の第2実施例の保持部材の実施状態を示す拡大側面図である。
【図4】本発明の第2実施例の保持部材の挿入片が下方に位置した状態を示す拡大正面図である
【図5】本発明の第2実施例の保持部材の挿入片が上方に位置した状態を示す拡大正面図である。
【図6】本発明の第3実施例の挿入片の幅調整構造を示す平面図である
【図7】本発明の第3実施例の挿入片の幅調整構造を示す側面図である
【図8】本発明の第4実施例の挿入片の幅調整構造を示す平面図である
【図9】本発明の第4実施例の挿入片の幅調整構造を示す側面図である
【図10】本発明の第5実施例の一方の挿入片を示す側面図である
【図11】本発明の第5実施例の他方の挿入片を示す側面図である
【図12】本発明の第6実施例の保持部材の実施状態を示す拡大側面図である。
【図13】本発明の第6実施例の保持部材の挿入片と支持片が下方に位置した状態を示す拡大正面図である
【図14】本発明の第6実施例の保持部材の挿入片と支持片が上方に位置した状態を示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
以下に、本発明の第1実施例を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明の第1実施例の実施状態図である。第1実施例の自転車用キャリアは自転車11の前部を固定する手段としてフォークダウン式を用いており、自転車11の前車輪を取り外したフロントフォーク12の先端部分をネジ手段により保持部16に固定可能に構成するとともに、保持部材19を構成する保持ベース17の上部にチェーンステー14の下面を積載可能な支持面を形成する。尚、上記保持ベース17の支持面は、自転車11の左右方向に対応する左右の端に夫々上方に伸びるサポート部22を形成する。更にボトムブラケットシェル15と自転車11の後輪13との間に形成される隙間に挿入可能な挿入片18を有する。上記挿入片18は、保持ベース17に対して上下方向の位置調整が可能に取り付けられると共に、上記挿入片18は上記後輪13との当接面が上方から下方に向かって徐々に広くなる様にテーパー状に形成される事により、上記隙間に挿入片18を挿入することにより自転車積載時の前後方向のがたつきを抑えることが可能となり、自転車11をキャリア本体上に仮支えすることができる。しかる後、ベルト20などの固定手段によって自転車11の後輪13またはチェーンステー14を固定することにより、自転車11が上方に浮くのを防止することができる。なお、上記ベルト20の代わりに保持部材19に対して自転車11の上方への移動を防止する固定手段が、一端がキャリアベース21もしくは上記保持部材19に固定され、他端に自転車11の後輪13のリム部もしくはボトムブラケットシェル15もしくはチェーンステー14に係止可能なフック部が配置され、上記一端と他端間の距離の縮小手段を有する保持アームによって構成されてもよい。
尚、前部を固定する手段として上記フォークダウン式以外にフレームクランプ式、タイヤホールド式などの既存の技術を用いて自由に設計することができる。
【0023】
自転車11を積載する時は挿入片18を下方に下げておくことにより、挿入片18にチェーンステー14やボトムブラケットシェル15に接触することなく作業をスムーズに行うことができる。また、この挿入片を上記隙間に挿入することにより傾斜した坂道などで自転車11を積載した時でも、自転車11が重力の作用によって自然に動き出すことを抑止することが可能となり、自転車積載作業を安全に行うことができる。
【0024】
尚、上記フロントフォーク12の先端部分の保持部16と、保持部材19は夫々キャリアベース21にボルト等の既存の固定手段によって固定され、更に上記保持部材19は上記キャリアベース21に対して位置調整可能に固定されることを特徴とする。また、保持部材19はキャリアベース21の上下方向に対して位置調整可能な構造としてもよい。
【0025】
図2は本発明の第1実施例の自転車11の後輪からボトムブラケットシェル15に向かって見たものであり、チェーンステー14をベルトで固定することにより自転車11が上方に移動することを防止している。
なお、自転車11に当接する保持部材の支持面、挿入片、固定部材は、ポリエチレン等のコーティング、ウレタン、ゴムなどのような自転車11を傷つけないような材料で配置される。
【実施例2】
【0026】
図3乃至図5は本発明の第2実施例の実施状態図である。
左右のチェーンステー33の隙間は自転車の種類によって様々であり、前後方向のがたつきを抑えることに加えて、更に左右方向のがたつきを抑えることが可能となる構造を示したものである。
ボトムブラケットシェル35と自転車の後輪34との間に形成される隙間に対して前後の隙間を無くすテーパー状の保持ベース31と保持ベース31に対して左右のチェーンステー33との隙間を無くす保持ベース31の上下方向に位置調整可能に取り付けられたテーパー状の一対の挿入片32を有する保持部材である。
【実施例3】
【0027】
図6、図7は本発明の第3実施例の実施状態図であり、挿入片の位置調整構造に関するものである。
一方のテーパー状の挿入片A61と他方のテーパー状の挿入片B62よりなり、一方のテーパー状の挿入片A61と他方のテーパー状の挿入片B62との連結、位置調整、固定の構造は既存の技術を用いたものであり、ボトムブラケットシェルと自転車の後輪との間に形成される隙間に対して上記挿入片を位置調整し、ボトムブラケットシェルと自転車の後輪に当接させる、もしくは左右のチェーンステーとの間に形成される隙間に対して上記挿入片を位置調整し、左右のチェーンステーに当接させることによりガタを無くすことが可能となる。
【実施例4】
【0028】
図8、図9は本発明の第4実施例の実施状態図であり、挿入片の幅調整構造に関するものである。
一方の挿入片C81と他方の挿入片D82よりなり、一方の挿入片C81は他方の挿入片D82に配置されるものであり、一方の挿入片C81と他方の挿入片D82との連結、位置調整、固定の構造は既存の技術を用いたものであり、ボトムブラケットシェルと自転車の後輪との間に形成される隙間に対して上記挿入片を位置調整し、ボトムブラケットシェルと自転車の後輪に当接させる、もしくは左右のチェーンステーとの間に形成される隙間に対して上記挿入片を位置調整し、左右のチェーンステーに当接させることによりガタを無くすことが可能となる。
【実施例5】
【0029】
図10、図11は本発明の第5実施例の実施状態図であり、挿入片の幅調整構造に関するものである。
挿入片保持ベース101とテーパー状の挿入片E102またはテーパー状の挿入片F103よりなり、上記テーパー状の挿入片E102または上記テーパー状の挿入片F103は挿入片保持ベース101に対して既存の技術により着脱可能な構造を持ち、挿入片は少なくとも2種類の異なる形状または大きさからなることを特徴とする。
ボトムブラケットシェルと自転車の後輪との間に形成される隙間および左右のチェーンステーとの間に形成される隙間は様々であり、隙間の大きさにあわせて適切な大きさのテーパー状の挿入片を用いることにより位置調整や固定の手間を省くことが可能となる。
【実施例6】
【0030】
図12乃至図14は本発明の第6実施例の実施状態図である。
左右のチェーンステー123の隙間は自転車の種類によって様々であり、前後方向および左右方向のがたつきを抑え、更に自転車を保持ベースから外し易くすることが可能となる構造を示したものである。図12に示す様に保持ベース121の上部には、自転車のボトムブラケットシェル125と後輪124との間に形成された隙間に挿入可能な様に前面および後面がテーパー状に形成された傾斜面を有する。
【0031】
そして図13、図14に示す様に上記保持ベース121の左右方向の一方の位置には、左右のチェーンステー123の一方を保持可能な支持片126が配置され、上記保持ベース121の左右方向の他方の位置には、左右のチェーンステー123の他方と当接可能なテーパー面を有する挿入片122が配置される。上記支持片126および挿入片122は、上記保持ベース121に対して夫々独立して上下方向の位置調整が可能に構成されると共にネジによる固定手段を有する。(尚、本実施例において上記の上下方向の位置調整が可能な構成および、固定手段は、実施例に限定されず、既存の技術を用いて自由に設計することができる。)
【0032】
本実施例の自転車用キャリアへの自転車の積載時には、上記保持ベース121の前面および後面に形成されたテーパー状の傾斜面の幅と、自転車のボトムブラケットシェル125と後輪124との間に形成された隙間の幅がほぼ一致した位置で、上記保持ベースに対して自転車の後部が仮保持される。更に、上記支持片126をチェーンステー123の一方の下面と当接する位置まで上方に移動させ、更に上記保持ベース121の一方の面と上記挿入片122のテーパー面によって形成される左右の幅と、上記チェーンステー123の左右の当接位置の幅を一致させる位置まで挿入片122を上方に移動させ、上記固定手段によって上記支持片126および挿入片122を保持ベース121に固定する事によって、上記保持ベースに対して自転車の後部の上下方向に対する保持位置を決定させると同時に、自転車の左右方向のガタツキを防止する事が出来る。
【0033】
尚、自転車の上記チェーンステー123の左右何れか一方の下面には通常自転車のブレーキ用ワイヤ127およびギヤチェンジ用のワイヤ127が配置されるが、上記支持片126の配置位置を、上記ワイヤ127の非配置位置に設定する事によって、上記支持片と上記ワイヤ127の干渉防止できるため、上記ワイヤ127が自転車の重量および走行中の衝撃によって損傷することを防止できる効果を有する。
【0034】
上記保持部材の自転車の後輪との当接面は、自転車の車輪の外径方向に対して曲面で形成されると共に自転車の車輪の幅方向に対して曲面で形成される。尚、上記保持部材の自転車の後輪との当接面は、自転車の車輪の幅方向に対して左右一対の傾斜面がで形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によって、自動車の屋根に対する自転車用キャリアとして産業上有効に利用できる。
【符号の説明】
【0036】
11:自転車
12:フロントフォーク
13:後輪
14:チェーンステー
15:ボトムブラケットシェル
16:保持部
17:保持ベース
18:挿入片
19:保持部材
20:ベルト
21:キャリアベース
22:サポート部
31:保持ベース
32:挿入片
33:チェーンステー
34:後輪
35:ボトムブラケットシェル
61:挿入片A
62:挿入片B
81:挿入片C
82:挿入片D
101:挿入片保持ベース
102:挿入片E
103:挿入片F
121:保持ベース
122:挿入片
123:チェーンステー
124:後輪
125:ボトムブラケットシェル
126:支持片
127:ワイヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の屋根に取り付けるルーフキャリアに係り、特に自転車を車両の屋根に積載するための自転車用キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車を車両の屋根に積載する従来の自転車用キャリアとして、フォークダウン式、フレームクランプ式、クランクアームクランプ式、タイヤホールド式、ボトムブラケットシェルクランプ式が存在する。
【0003】
フォークダウン式は、例えば特開2004−161020号公報に記載されているように、自転車の前輪をフロントフォークから取り外し、フロントフォーク先端の車軸取り付け部をルーフキャリアの固定軸に締結するようになっている。
【0004】
また、フレームクランプ式は、特表平9−502140号公報のように、ルーフキャリアの本体部に対して起伏自在な一対のアームの先端に開閉自在な把持部を設け、この把持部によって自転車のフレームを把持して自転車をルーフキャリアに固定するようになっている。
【0005】
そして、クランクアームクランプ式は、米国特許5820002号公報や特開平10−109599号公報に記載されているように、ルーフキャリアの本体部に対して起伏自在なアームを設け、このアームの先端部に設けた把持部によって、自転車のペダルを取り付けるクランクアームの途中もしくはクランクアームの基部を挟持することにより、自転車をルーフキャリアに固定するようにしている。
【0006】
タイヤホールド式は、米国特許5833074号公報に記載されているように、タイヤを保持する逆U字型のアーム部材によりって自転車のタイヤ部分を固定する構造であり、上記アーム部材の両側部で自転車のタイヤの左右の面を保持し、上記アーム部材の上端部がタイヤに当接して自転車の前後方向の移動を防止する様に構成されている。
【0007】
また、米国特許4629104号公報に記載されるボトムブラケットシェルクランプ式の自転車用キャリアが存在する。この従来技術ではルーフキャリアに固定され上向きに延びるフレームブラケット7の上端部に形成された顎8(固定部材9を含む)と、固定部材9に軸支された第2部材によってクランプが構成され、上記クランプが自転車のボトムブラケットシェルを挟持することにより、自転車をルーフキャリアに固定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−161020号公報
【特許文献2】特表平9−502140号公報
【特許文献3】米国特許5820002号公報
【特許文献4】特開平10−109599号公報
【特許文献5】米国特許5833074号公報
【特許文献6】米国特許4629104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記した従来のフォークダウン式ルーフキャリアは、自転車を積載する際に、自転車の前輪をフォークから取り外す必要があり、自転車の積載が面倒であるばかりでなく、取り外した前輪を車両トランクなどに収納する必要がある。しかも、車両の制動時などに自転車の有する慣性によって後輪が浮き上がるため、後輪に対してベルトなどを用いてルーフキャリアの本体部に固定する必要がある。
【0010】
また、従来のフレームクランプ式ルーフキャリアは、把持部が、通常、円形のものを把持するように形成してあり、近年普及してきているカーボンフレームなどの異形のフレームを把持することができず、異形フレームを有する自転車を積載することができない。また、フレームが円形のパイプなどで形成してあったとしても、ロードサイクルのように細いフレームと、ダウンヒル用の太いフレームの自転車などがあり、これらのすべてに対応することが困難である。さらに、把持部を設けたルーフキャリアのアームは、本体部に対して起伏自在となっているため、車両の制動時などに自転車の有する慣性によってアームが回動して自転車が浮き上がるため、自転車の車輪をベルトなどによってルーフキャリアの本体部に固定する必要がある。しかも、自転車をルーフキャリアの上に配置してから固定するまで、自転車から手を放すことができず、自転車を固定する操作を片手でしなければならず、固定作業が容易でない。そして、近年は、フレームに色彩や模様を施した自転車が多くなっており、フレームを把持するとフレームに傷がつき、自転車の美観を損なう。また、カーボンフレームなどを有する軽量自転車は、フレームの軸線方向に直交した方向の力に対して比較的弱く、フレームを把持して固定する場合に、固定に必要な大きさの力をもって把持することができない。
【0011】
そして、クランクアームクランプ式ルーフキャリアは、自転車をルーフキャリアの上に配置してから固定するまで、自転車から手を離すことができず、固定操作が容易でないばかりでなく、自転車の片側のクランクアームを把持するようになっているため、左右の振動に対して不安定であって、自転車の車輪をベルトなどによってルーフキャリアの本体部に固定する必要がある。
【0012】
また、タイヤホールド式においては、タイヤ径の異なる自転車に対しての汎用性に問題があり、特に小さい外径のタイヤが装着されている自転車の場合はアーム部材の上端位置の内側面よりもタイヤの上端位置が低いと自転車の前後方向の移動を防止する事が困難になる欠点があり、更に、上記アーム部材は、タイヤの幅方向に対する調整機構を有さないため、幅の広いタイヤが装着出来る様に逆U字型のアーム部材の左右幅を広く形成すると幅が狭いタイヤの自転車に使用した場合に自転車の左右方向のガタツキが大きくなり、このガタツキを軽減するために逆U字型のアーム部材の左右幅を狭く形成すると幅が広いタイヤの自転車への使用が困難になり汎用性に乏しくなる欠点があった。
【0013】
また、上記特許文献特開2004−161020号公報、特表平9−502140号公報、米国特許5820002号公報、特開平10−109599号公報、米国特許5833074号公報で開示される従来の自転車用キャリアは、自転車の後輪を支持フレームによって支持する必要があるため全長が長くなるため、ルーフキャリアへの装着時に上記支持フレームがリヤハッチと干渉する不具合があり、更に製品が大きくなるため、運搬時の送料や在庫の保管費が高くなる欠点があった。
【0014】
また、ボトムブラケットシェルクランプ式の自転車用キャリアは、上記欠点を解決する事が可能である。この従来技術ではロッド15の調整によって開閉クランプ(第2部材12)の開閉固定位置に調整機能を有するため、自転車のボトムブラケットシェル部分の寸法の相違に対してある程度の対応が考慮されているが、自転車のボトムブラケットシェル部分の寸法ならびにその形状は自転車のタイプおよび設計思想によって大きく異なるため、この従来技術の様にフレームブラケット7の上端部に形成された顎8(固定部材9を含む)と、固定部材9に軸支された第2部材によって、ボトムブラケットシェルの部分を前後方向に保持する構造では、自転車用キャリアに固定可能な自転車は限定的となってしまうため、汎用性が低い欠点があった。また、自転車の上記ボトムブラケットシェルの下面には通常自転車のブレーキ用ワイヤおよびギヤチェンジ用のワイヤが配置されるが、上記クランプが自転車のボトムブラケットシェルを挟持することにより、上記ワイヤと干渉するため、上記ワイヤが自転車の重量および走行中の衝撃によって損傷する欠点があった。
【0015】
本発明は上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の自転車用キャリアは車両の屋根の上に配置され、自転車の前部を固定する手段と、自転車のボトムブラケットシェルからチェーンステーまでの部分の一部もしくは全部を保持する保持部材と、上記保持部材に対して自転車の上方への移動を防止する固定手段を有しており、上記保持部材がボトムブラケットシェルからチェーンステーまでの部分の一部もしくは全部の下面と当接する支持面を有し、上記保持部材の支持面は、自転車の左右方向に対応する左右の端に夫々上方に伸びるサポート部を形成され、上記保持部材が自転車のボトムブラケットシェルと後輪の間に形成された隙間に挿入可能な挿入片を有する。
【0017】
また、上記挿入片の前後方向の幅が上部から下方に向かって徐々に広くなる様に形成されており、上記挿入片は、前後方向に対する幅調整手段を有し、上記挿入片は、左右方向に対する幅調整手段を有しており、上記挿入片は、上下方向に対する高さ調整手段を有し、上記挿入片が複数の部分から構成される。
【0018】
更に、上記保持部材に対して自転車の上方への移動を防止する固定手段が、一端が上記保持部材の一側に固定され、他端が自転車の後輪のリム部もしくはボトムブラケットシェルもしくはチェーンステーの少なくとも1つの上部を介して上記保持部材の他側に配置されたバックルに固定されるベルトによって構成されており、上記保持部材に対して自転車の上方への移動を防止する固定手段が、一端がキャリアベースもしくは上記保持部材に固定され、他端に自転車の後輪のリム部もしくはボトムブラケットシェルもしくはチェーンステーに係止可能なフック部が配置され、上記一端と他端間の距離の縮小手段を有する保持アームによって構成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の自転車用キャリアは、保持部材に、自転車のボトムブラケットシェルからチェーンステーまでの部分の一部もしくは全部を保持する構成よりなり、特に自転車のボトムブラケットシェルと後輪の間に形成された隙間に挿入される挿入片を有する保持部材を設けた構成としたので、自転車を上記保持部材に仮固定ができるため、その後の自転車のキャリアへの固定作業を両手で行うことができ、作業性が非常に良く、更にボトムブラケットシェルと後輪の間の隙間は殆ど全ての自転車に共通して形成されるため、自転車のタイプ、フレーム形状、サイズ等にかかわらず、使用可能な自転車が増えるため、優れた汎用性有するものである。また、自転車の後輪を支持フレームによって支持する必要が無いため全長が短くなり、ルーフキャリアへの装着時にリヤハッチと干渉する不具合を防止でき、更に梱包時の製品も小さくできるため、運搬時の送料や在庫の保管費が低くできる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施例の使用状態を示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施例の自転車の後輪側から見た拡大図である。
【図3】本発明の第2実施例の保持部材の実施状態を示す拡大側面図である。
【図4】本発明の第2実施例の保持部材の挿入片が下方に位置した状態を示す拡大正面図である
【図5】本発明の第2実施例の保持部材の挿入片が上方に位置した状態を示す拡大正面図である。
【図6】本発明の第3実施例の挿入片の幅調整構造を示す平面図である
【図7】本発明の第3実施例の挿入片の幅調整構造を示す側面図である
【図8】本発明の第4実施例の挿入片の幅調整構造を示す平面図である
【図9】本発明の第4実施例の挿入片の幅調整構造を示す側面図である
【図10】本発明の第5実施例の一方の挿入片を示す側面図である
【図11】本発明の第5実施例の他方の挿入片を示す側面図である
【図12】本発明の第6実施例の保持部材の実施状態を示す拡大側面図である。
【図13】本発明の第6実施例の保持部材の挿入片と支持片が下方に位置した状態を示す拡大正面図である
【図14】本発明の第6実施例の保持部材の挿入片と支持片が上方に位置した状態を示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
以下に、本発明の第1実施例を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明の第1実施例の実施状態図である。第1実施例の自転車用キャリアは自転車11の前部を固定する手段としてフォークダウン式を用いており、自転車11の前車輪を取り外したフロントフォーク12の先端部分をネジ手段により保持部16に固定可能に構成するとともに、保持部材19を構成する保持ベース17の上部にチェーンステー14の下面を積載可能な支持面を形成する。尚、上記保持ベース17の支持面は、自転車11の左右方向に対応する左右の端に夫々上方に伸びるサポート部22を形成する。更にボトムブラケットシェル15と自転車11の後輪13との間に形成される隙間に挿入可能な挿入片18を有する。上記挿入片18は、保持ベース17に対して上下方向の位置調整が可能に取り付けられると共に、上記挿入片18は上記後輪13との当接面が上方から下方に向かって徐々に広くなる様にテーパー状に形成される事により、上記隙間に挿入片18を挿入することにより自転車積載時の前後方向のがたつきを抑えることが可能となり、自転車11をキャリア本体上に仮支えすることができる。しかる後、ベルト20などの固定手段によって自転車11の後輪13またはチェーンステー14を固定することにより、自転車11が上方に浮くのを防止することができる。なお、上記ベルト20の代わりに保持部材19に対して自転車11の上方への移動を防止する固定手段が、一端がキャリアベース21もしくは上記保持部材19に固定され、他端に自転車11の後輪13のリム部もしくはボトムブラケットシェル15もしくはチェーンステー14に係止可能なフック部が配置され、上記一端と他端間の距離の縮小手段を有する保持アームによって構成されてもよい。
尚、前部を固定する手段として上記フォークダウン式以外にフレームクランプ式、タイヤホールド式などの既存の技術を用いて自由に設計することができる。
【0023】
自転車11を積載する時は挿入片18を下方に下げておくことにより、挿入片18にチェーンステー14やボトムブラケットシェル15に接触することなく作業をスムーズに行うことができる。また、この挿入片を上記隙間に挿入することにより傾斜した坂道などで自転車11を積載した時でも、自転車11が重力の作用によって自然に動き出すことを抑止することが可能となり、自転車積載作業を安全に行うことができる。
【0024】
尚、上記フロントフォーク12の先端部分の保持部16と、保持部材19は夫々キャリアベース21にボルト等の既存の固定手段によって固定され、更に上記保持部材19は上記キャリアベース21に対して位置調整可能に固定されることを特徴とする。また、保持部材19はキャリアベース21の上下方向に対して位置調整可能な構造としてもよい。
【0025】
図2は本発明の第1実施例の自転車11の後輪からボトムブラケットシェル15に向かって見たものであり、チェーンステー14をベルトで固定することにより自転車11が上方に移動することを防止している。
なお、自転車11に当接する保持部材の支持面、挿入片、固定部材は、ポリエチレン等のコーティング、ウレタン、ゴムなどのような自転車11を傷つけないような材料で配置される。
【実施例2】
【0026】
図3乃至図5は本発明の第2実施例の実施状態図である。
左右のチェーンステー33の隙間は自転車の種類によって様々であり、前後方向のがたつきを抑えることに加えて、更に左右方向のがたつきを抑えることが可能となる構造を示したものである。
ボトムブラケットシェル35と自転車の後輪34との間に形成される隙間に対して前後の隙間を無くすテーパー状の保持ベース31と保持ベース31に対して左右のチェーンステー33との隙間を無くす保持ベース31の上下方向に位置調整可能に取り付けられたテーパー状の一対の挿入片32を有する保持部材である。
【実施例3】
【0027】
図6、図7は本発明の第3実施例の実施状態図であり、挿入片の位置調整構造に関するものである。
一方のテーパー状の挿入片A61と他方のテーパー状の挿入片B62よりなり、一方のテーパー状の挿入片A61と他方のテーパー状の挿入片B62との連結、位置調整、固定の構造は既存の技術を用いたものであり、ボトムブラケットシェルと自転車の後輪との間に形成される隙間に対して上記挿入片を位置調整し、ボトムブラケットシェルと自転車の後輪に当接させる、もしくは左右のチェーンステーとの間に形成される隙間に対して上記挿入片を位置調整し、左右のチェーンステーに当接させることによりガタを無くすことが可能となる。
【実施例4】
【0028】
図8、図9は本発明の第4実施例の実施状態図であり、挿入片の幅調整構造に関するものである。
一方の挿入片C81と他方の挿入片D82よりなり、一方の挿入片C81は他方の挿入片D82に配置されるものであり、一方の挿入片C81と他方の挿入片D82との連結、位置調整、固定の構造は既存の技術を用いたものであり、ボトムブラケットシェルと自転車の後輪との間に形成される隙間に対して上記挿入片を位置調整し、ボトムブラケットシェルと自転車の後輪に当接させる、もしくは左右のチェーンステーとの間に形成される隙間に対して上記挿入片を位置調整し、左右のチェーンステーに当接させることによりガタを無くすことが可能となる。
【実施例5】
【0029】
図10、図11は本発明の第5実施例の実施状態図であり、挿入片の幅調整構造に関するものである。
挿入片保持ベース101とテーパー状の挿入片E102またはテーパー状の挿入片F103よりなり、上記テーパー状の挿入片E102または上記テーパー状の挿入片F103は挿入片保持ベース101に対して既存の技術により着脱可能な構造を持ち、挿入片は少なくとも2種類の異なる形状または大きさからなることを特徴とする。
ボトムブラケットシェルと自転車の後輪との間に形成される隙間および左右のチェーンステーとの間に形成される隙間は様々であり、隙間の大きさにあわせて適切な大きさのテーパー状の挿入片を用いることにより位置調整や固定の手間を省くことが可能となる。
【実施例6】
【0030】
図12乃至図14は本発明の第6実施例の実施状態図である。
左右のチェーンステー123の隙間は自転車の種類によって様々であり、前後方向および左右方向のがたつきを抑え、更に自転車を保持ベースから外し易くすることが可能となる構造を示したものである。図12に示す様に保持ベース121の上部には、自転車のボトムブラケットシェル125と後輪124との間に形成された隙間に挿入可能な様に前面および後面がテーパー状に形成された傾斜面を有する。
【0031】
そして図13、図14に示す様に上記保持ベース121の左右方向の一方の位置には、左右のチェーンステー123の一方を保持可能な支持片126が配置され、上記保持ベース121の左右方向の他方の位置には、左右のチェーンステー123の他方と当接可能なテーパー面を有する挿入片122が配置される。上記支持片126および挿入片122は、上記保持ベース121に対して夫々独立して上下方向の位置調整が可能に構成されると共にネジによる固定手段を有する。(尚、本実施例において上記の上下方向の位置調整が可能な構成および、固定手段は、実施例に限定されず、既存の技術を用いて自由に設計することができる。)
【0032】
本実施例の自転車用キャリアへの自転車の積載時には、上記保持ベース121の前面および後面に形成されたテーパー状の傾斜面の幅と、自転車のボトムブラケットシェル125と後輪124との間に形成された隙間の幅がほぼ一致した位置で、上記保持ベースに対して自転車の後部が仮保持される。更に、上記支持片126をチェーンステー123の一方の下面と当接する位置まで上方に移動させ、更に上記保持ベース121の一方の面と上記挿入片122のテーパー面によって形成される左右の幅と、上記チェーンステー123の左右の当接位置の幅を一致させる位置まで挿入片122を上方に移動させ、上記固定手段によって上記支持片126および挿入片122を保持ベース121に固定する事によって、上記保持ベースに対して自転車の後部の上下方向に対する保持位置を決定させると同時に、自転車の左右方向のガタツキを防止する事が出来る。
【0033】
尚、自転車の上記チェーンステー123の左右何れか一方の下面には通常自転車のブレーキ用ワイヤ127およびギヤチェンジ用のワイヤ127が配置されるが、上記支持片126の配置位置を、上記ワイヤ127の非配置位置に設定する事によって、上記支持片と上記ワイヤ127の干渉防止できるため、上記ワイヤ127が自転車の重量および走行中の衝撃によって損傷することを防止できる効果を有する。
【0034】
上記保持部材の自転車の後輪との当接面は、自転車の車輪の外径方向に対して曲面で形成されると共に自転車の車輪の幅方向に対して曲面で形成される。尚、上記保持部材の自転車の後輪との当接面は、自転車の車輪の幅方向に対して左右一対の傾斜面がで形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によって、自動車の屋根に対する自転車用キャリアとして産業上有効に利用できる。
【符号の説明】
【0036】
11:自転車
12:フロントフォーク
13:後輪
14:チェーンステー
15:ボトムブラケットシェル
16:保持部
17:保持ベース
18:挿入片
19:保持部材
20:ベルト
21:キャリアベース
22:サポート部
31:保持ベース
32:挿入片
33:チェーンステー
34:後輪
35:ボトムブラケットシェル
61:挿入片A
62:挿入片B
81:挿入片C
82:挿入片D
101:挿入片保持ベース
102:挿入片E
103:挿入片F
121:保持ベース
122:挿入片
123:チェーンステー
124:後輪
125:ボトムブラケットシェル
126:支持片
127:ワイヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の屋根の上に配置される自転車用キャリアに係り、自転車の前部を固定する手段と、自転車のボトムブラケットシェルからチェーンステーまでの部分の一部もしくは全部を保持する保持部材と、上記保持部材に対して自転車の上方への移動を防止する固定手段を有することを特徴とする自転車用キャリア。
【請求項2】
上記保持部材がボトムブラケットシェルからチェーンステーまでの部分の一部もしくは全部の下面と当接する支持面を有することを特徴とする請求項1に記載の自転車用キャリア。
【請求項3】
上記保持部材の支持面は、自転車の左右方向に対応する左右の端に夫々上方に伸びるサポート部を形成することを特徴とする請求項2に記載の自転車用キャリア。
【請求項4】
上記保持部材が自転車のボトムブラケットシェルと後輪の間に形成された隙間に挿入可能な挿入片を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の自転車用キャリア。
【請求項5】
上記挿入片の前後方向の幅が上部から下方に向かって徐々に広くなる様に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の自転車用キャリア。
【請求項6】
上記挿入片は、前後方向に対する幅調整手段を有することを特徴とする請求項4または5記載の自転車用キャリア。
【請求項7】
上記挿入片は、左右方向に対する幅調整手段を有することを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載の自転車用キャリア。
【請求項8】
上記挿入片は、上下方向に対する高さ調整手段を有することを特徴とする請求項4乃至7の何れか1項に記載の自転車用キャリア。
【請求項9】
上記挿入片が複数の部分から構成されることを特徴とする請求項4乃至8の何れか1項に記載の自転車用キャリア。
【請求項10】
上記保持部材に対して自転車の上方への移動を防止する固定手段が、一端が上記保持部材の一側に固定され、他端が自転車の後輪のリム部もしくはボトムブラケットシェルもしくはチェーンステーの少なくとも1つの上部を介して上記保持部材の他側に配置されたバックルに固定されるベルトによって構成されることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の自転車用キャリア。
【請求項11】
上記保持部材に対して自転車の上方への移動を防止する固定手段が、一端がキャリアベースもしくは上記保持部材に固定され、他端に自転車の後輪のリム部もしくはボトムブラケットシェルもしくはチェーンステーに係止可能なフック部が配置され、上記一端と他端間の距離の縮小手段を有する保持アームによって構成されることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の自転車用キャリア。
【請求項1】
車両の屋根の上に配置される自転車用キャリアに係り、自転車の前部を固定する手段と、自転車のボトムブラケットシェルからチェーンステーまでの部分の一部もしくは全部を保持する保持部材と、上記保持部材に対して自転車の上方への移動を防止する固定手段を有することを特徴とする自転車用キャリア。
【請求項2】
上記保持部材がボトムブラケットシェルからチェーンステーまでの部分の一部もしくは全部の下面と当接する支持面を有することを特徴とする請求項1に記載の自転車用キャリア。
【請求項3】
上記保持部材の支持面は、自転車の左右方向に対応する左右の端に夫々上方に伸びるサポート部を形成することを特徴とする請求項2に記載の自転車用キャリア。
【請求項4】
上記保持部材が自転車のボトムブラケットシェルと後輪の間に形成された隙間に挿入可能な挿入片を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の自転車用キャリア。
【請求項5】
上記挿入片の前後方向の幅が上部から下方に向かって徐々に広くなる様に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の自転車用キャリア。
【請求項6】
上記挿入片は、前後方向に対する幅調整手段を有することを特徴とする請求項4または5記載の自転車用キャリア。
【請求項7】
上記挿入片は、左右方向に対する幅調整手段を有することを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載の自転車用キャリア。
【請求項8】
上記挿入片は、上下方向に対する高さ調整手段を有することを特徴とする請求項4乃至7の何れか1項に記載の自転車用キャリア。
【請求項9】
上記挿入片が複数の部分から構成されることを特徴とする請求項4乃至8の何れか1項に記載の自転車用キャリア。
【請求項10】
上記保持部材に対して自転車の上方への移動を防止する固定手段が、一端が上記保持部材の一側に固定され、他端が自転車の後輪のリム部もしくはボトムブラケットシェルもしくはチェーンステーの少なくとも1つの上部を介して上記保持部材の他側に配置されたバックルに固定されるベルトによって構成されることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の自転車用キャリア。
【請求項11】
上記保持部材に対して自転車の上方への移動を防止する固定手段が、一端がキャリアベースもしくは上記保持部材に固定され、他端に自転車の後輪のリム部もしくはボトムブラケットシェルもしくはチェーンステーに係止可能なフック部が配置され、上記一端と他端間の距離の縮小手段を有する保持アームによって構成されることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の自転車用キャリア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−235697(P2011−235697A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107332(P2010−107332)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(391021226)株式会社カーメイト (100)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(391021226)株式会社カーメイト (100)
【Fターム(参考)】
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