説明

自転車用ギア変速システム

【課題】路面の傾斜や状態により、適切なギア比を自動で選択し、運転者はディレイラの操作を意識せずに運転に集中することができる自転車用ギア変速システムを提供する。
【解決手段】複数枚のギア1を重ね合わせたスプロケット2と、環状のチェーン3と、ディレイラ4と、ワイヤー部材5と、感圧センサ7と、ワイヤー部材5を操作するモータ8および感圧センサ7からの電気信号を処理する制御装置9を有する変速指示装置10とを備え、変速指示装置10は、感圧センサ7により感知した運転者の踏力に応じた電気信号を受信し、制御装置9によって当該電気信号を計測するとともに、踏圧がしきい値の範囲未満または超えていた場合に、モータ8を回転させワイヤー部材5を操作してディレイラ4を可動させるとともに、チェーン3を移動させてスプロケット2のギア1間の架け替えを行い、踏圧がしきい値の範囲以内になるように、クランクの回転角とホイールの回転角との比率を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用ギア変速システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に平坦を走行する自転車においては、ペダルに極端な負荷が加わらないため、クランクの回転角とホイールの回転角とのギア比が一定であっても、無理なく自転車を走行させることができる。しかし、坂道の多い道路を走行する場合や、スピードを必要とするスポーツタイプの自転車、または起伏の激しい道路や悪路を走行するモトクロス用の自転車においては、ディレイラによりクランクの回転角とホイールの回転角との比を、起伏や路面の状況に応じて変更し、ペダルに加わる負荷を和らげ膝などに加わる負担を軽減したり、逆にペダルに負荷を加えスピードを出したりする必要がある。
【0003】
ところで、自転車に用いられるディレイラは、一般的に内装ディレイラ、外装ディレイラおよび外装+内装ディレイラの三つに分類されている。
この内、外装ディレイラは、ギアの枚数を増やしたり、フロントディレイラとリアディレイラとを組み合わせることにより、何十段にも及ぶギアの架け替えを行うことが可能で、現在において最も多くの自転車に用いられている。
【0004】
一方、内装ディレイラは、泥汚れに強く、耐久性もあり、また停止時においても変速が可能であるため、交通量の多き市街地において最適である。しかしながら、ディレイラ自体がハブ内部に設けられているため、部品高交換の際に手間が掛かり、外装変速器ほど発展していないのが現状である。
【0005】
他方、古くから普及している上記外装ディレイラは、通常ディレイラと呼ばれ、クランク側でチェーンを移動させる装置をフロントディレイラ、ハブのスプロケット側でチェーンを移動させる装置をリアディレイラと呼ばれている。フロントディレイラは、単純にチェーンの移動によりギア間の掛け替えを行うに対して、リアディレイラは、チェーンテンショナーを兼ねているため、構造が複雑になっている。
【0006】
また、初期においてリアディレイラは、ワイヤーに繋がれた小さいチェーンにより、ディレイラごと軸線方向にずらすタケノコ式ディレイラが使われていたが、現在においてはパンタグラフ式が主流である。このパンタグラフ式は、軽量で確実に操作が行えるものであるために、一般的な自転車からスポーツタイプの自転車まで多くの自転車に用いられている。
【0007】
そして、ディレイラの操作は、シフタによって行われる。このシフタは、ワイヤにより形成された筒(アウタ)の中に、インナーワイヤを通し、このインナーワイヤを操作することによりディレイラを動かすワイヤ方式が一般的に用いられている。
【0008】
また、上記インナーワイヤの操作は、レバーにより行われる。このレバーは、ダブルレバ、デュアルコントロールレバ、バーエンドコントローラ、グリップシフトなど様々な形態のものがあり、用途やハンドルの形状などによって使い分けている。
【0009】
しかし、上記インナーワイヤを操作するためのレバーは、路面の状況や起伏の状態などに合わせ適切なギア比を選択する際に、運転者がその都度手で上記レバーの操作を行われなくてはならず、上記レバーを操作する度にバランスを崩したり、運転に集中できずに走行に支障を来したりするという問題がある。
【0010】
そこで、上記インナーワイヤを操作する際に、ブレキーレバーによって変速操作を行うデュアルコントロールレバーや、ハンドルの末端に差し込んで変速操作を行うバーエンドコントローラ、または当該バーエンドコントローラの機能をグリップ根本に設けたグリップシフトなどのレバーが開発された。このレバーの開発により、運転者はハンドルから手を離さずに、レバー操作を行うことができ、ハンドルから片手を離すことによりバランスが崩れてしまうことを防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、ハンドルから手を離さずに操作が行える上記レバーは、構造が複雑で重く、また高価であるため、一般の自転車に用いることが難しいという問題がある。またハンドルから手を離さずに操作が行えるものの、レバー操作は指を使って行うため、操作に気を取られ、真っ直ぐに走行できなかったり、起伏の激しい道路では、上手く操作が行えないという問題もある。
【0012】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、路面の傾斜や状態により、適切なギア比を自動で選択し、運転者はディレイラの操作を意識せずに運転に集中することができる自転車用ギア変速システムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、自転車用のギア変速システムであって、異なる直径を有する複数枚のギアを同軸上に重ね合わせたスプロケットと、このスプロケットの上記ギアに係合する環状のチェーンと、このチェーンの移動および複数枚の上記ギア間の架け替えを行うディレイラと、このディレイラを可動させるワイヤー部材と、少なくとも一方のペダルに設けられた感圧センサと、上記ワイヤー部材を操作するモータおよび上記感圧センサからの電気信号を処理する制御装置を有する変速指示装置とを備え、上記変速指示装置は、上記感圧センサにより感知した運転者の踏力に応じた電気信号を受信し、上記制御装置によって当該電気信号を計測するとともに、計測した上記踏圧がしきい値の範囲未満または超えていた場合に、上記モータを回転させ上記ワイヤー部材を操作して上記ディレイラを可動させるとともに、上記チェーンを移動させて上記スプロケットのギア間の架け替えを行い、上記踏圧が上記しきい値の範囲以内になるように、クランクの回転角とホイールの回転角との比率を変更するように構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記感圧センサは、踏力に応じた上記電気信号を無線によって、上記制御装置に送信することを特徴とするものである。
【0015】
そして、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記制御装置は、上記感圧センサからの信号を受信する受信部と、受信した信号を計測する計測制御装置とを有することを特徴とするものである。
【0016】
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、上記ワイヤー部材は、筒状のアウターワイヤと、このアウターワイヤ内を摺動可能なインナーワイヤとにより構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1〜4に記載の本発明によれば、少なくとも一方のペダルに設けられた感圧センサにより運転者の踏圧の変化を感知し、この踏圧に応じた電気信号を変速指示装置に送信するとともに、制御装置によって当該電気信号を計測し、計測した上記踏圧がしきい値の範囲未満または超えていた場合に、上記モータを回転させるとともに、ワイヤー部材を操作しディレイラを可動させて、チェーンの移動および複数枚の上記ギア間の架け替えを行うため、坂道などを走行する際に、運転者の踏圧の変化を感知することにより、自動的に上記ディレイラが可動して、クランクの回転角とホイールの回転角とを適切な比率に変更することができる。これにより、運転者はハンドルから手を離すことなく、また上記ギアの架け替えの操作を気にすることなく、自転車の運転に集中することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、上記ペダルに設けられた上記感圧センサは、運転者の踏力に応じた上記電気信号を無線によって、上記制御装置に送信するため、上記感圧センサ自体を密閉した状態により、上記ペダルに装着することができる。これにより、雨天時の走行や水溜まりなどの悪路の走行などにより、上記感圧センサを水や泥などから保護することができ、上記感圧センサの故障や誤作動を防止することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、上記制御装置は、上記感圧センサからの無線信号を受信する受信部と、受信した信号を計測する計測制御装置とにより構成されているため、煩雑な配線を必要とせずに、コンパクトに形成することができる。これにより、上記変速指示装置の小型化が図れるとともに、簡便に上記変速指示装置を自転車に取り付けることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、モータの回転により、ディレイラを動かすためのワイヤー部材が、筒状のアウターワイヤと、このアウターワイヤ内を摺動可能なインナーワイヤとにより構成されているため、モータの回転が上記インナーワイヤを介して、スムーズにディレイラに伝えることができる。これにより、迅速にクランクの回転角とホイールの回転角とを適切な比率に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の自転車用ギア変速システムの一実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明の自転車用ギア変速システムの一実施形態の変速指示装置を示す概略図である。
【図3】本発明の自転車用ギア変速システムの一実施形態のモータを示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【図4】本発明の自転車用ギア変速システムの一実施形態のペダルに設けられた感圧センサを示す概略図である。
【図5】本発明の自転車用ギア変速システムの一実施形態のギア間の架け替えを示し、(a)〜(c)はディレイラの可動によりチェーンがギア間の架け替わる状態を示す概略図である。
【図6】本発明の自転車用ギア変速システムの一実施形態のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示すように、本発明の自転車用ギア変速システムは、ハンドル14の下方のヘッドチューブ16に設けられた変速指示装置10と、フレームtのトップチューブ17に設けられた電池BOX13と、少なくとも一方のペダル6に設けられた感圧センサ7と、後輪のホイール12のハブ20に設けられたスプロケット2と、スプロケット2のギア1に係合するチェーン3と、フレームtのドロップエンド18に設けられたディレイラ4と、ディレイラ4を可動させるワイヤー部材5とを備えて概略構成されている。
【0023】
ここで、変速指示装置10は、図2に示すように、モータ8と制御装置9とを備えている。モータ8は、φ35程度のステッピングモータが用いられている。またモータ8の回転軸8aに、φ40のプーリ8bが設けられている。このプーリ8bの外周部には、ワイヤー部材5の一端部側がモータ8の回転により周方向に巻回されている。このワイヤー部材5は、筒状のアウターワイヤ5aと、このアウターワイヤ5a内を摺動可能なインナーワイヤ5bとにより構成され、図3に示すように、インナーワイヤ5bがプーリ8bの外周部に沿って巻回されているとともに、他端部側が変速指示装置10より後輪のホイール12側に延在している。
【0024】
また、制御装置9は、図2に示すように、無線電波を受信する受信部9aと、この受信部9aにより受信した電気信号を計測する計測制御装置9bとを備えている。この計測制御装置9bは、受信部9aより受信した電気信号を計測するとともに、計測した上記踏圧がしきい値の範囲以内であるかを判断し、その判断に基づき、モータ8の回転を制御している。
【0025】
そして、電池BOX13は、少なくとも1本以上のアルカリ電池またはリチウムイオン電池が、取出し自在に内装されているとともに、ゴムパッキンなどのシール材により密閉可能に形成されている。そして、電池BOX13には、変速指示装置10に電源を供給するためのコードが設けられている。
【0026】
そして、二つのクランク11に回転自在に取り付けられたペダル6に、感圧センサ7が取り付けられている。この感圧センサ7は、少なくとも一方のペダル6に内装されているとともに、感圧センサ7の電気信号を制御装置9に送信する送信部7aを備えている。
【0027】
さらに、後輪のホイール12のハブ20には、図5に示すように、スプロケット2が設けられている。このスプロケット2は、異なる直径を有する複数枚のギア1を同軸上に重ね合わせるとともに、各々のギア1の間にスペーサ2aが設けられている。
【0028】
また、ギア1には、環状のチェーン3が係合されている。このチェーン3は、ローラーチェーンが用いられ、クランクと連動したクランクスプロケット19の回転を、後輪のホイール12のハブ20に取り付けられたスプロケット2に伝えている。
なお、ギア1の厚さやスペーサ2aの厚さ、さらにギア1の厚さにスペーサ2aの厚さを加えたスプロケットピンチは、ギア1の段数および製造メーカによって異なる。
【0029】
また、フレームtのドロップエンド18には、ディレイラ4が設けられている。このディレイラ4は、パンタグラフ式であり、プーリ4aをスプロケット2の軸線方向に平行移動させる平方四辺形のリンク機構4bと、上下2個のプーリが設けれたプーリゲージ4cとにより構成されている。また上下2個のプーリは、上側のプーリがチェーン3をスプロケット2のギア1間に案内するガイドプーリであり、下側のプーリがチェーン3の張りを維持するテンションプーリ4dである。さらにディレイラ4には、平方四辺形のリンク機構4bの動きを規制するコイルスプリングと、変速指示装置10のモータ8の回転運動を直線運動に変えるワイヤー部材5のインナーワイヤ5bの他端部側が接続されている。
【0030】
以上の構成による本実施形態の自転車用ギア変速システムによるギア変速方法を、図6のフローチャート図および図1〜図5を用いて説明する。
まず、図6に示すように、自転車kのペダル6に設けられた感圧センサ7の平地運転時での基準踏圧(しきい値)を手動でセットする。この場合、基準踏圧の変動は±20%以内で設定する。
【0031】
次に、図1に示す自転車kのサドル14に運転者が腰掛け走行する。このとき、図4に示すように、ペダル6を漕ぐことによって、ペダル6に載せた足の踏圧を感圧センサ7が感知するとともに、その踏圧を電気信号に変えて、送信部7aより制御装置9の受信部9aに無線によって送信する。この際に、制御装置9の計測制御装置9bは、感圧センサ7からの10分間走行時の平均踏圧が基準踏圧の±20%以内であれば、最適踏圧として判断し、モータ8の回転は行われない。
【0032】
しかし、上記基準値踏圧の+20%を超えた場合には、ペダル6に掛かる踏圧が大であることを感圧センサ7から送信された電気信号に基づいて計測制御装置9bが判断し、モータ8を回転させ、回転軸8aに設けられたプーリ8bに巻回されているワイヤー部材5のインナーワイヤ5bを摺動させて、ディレイラ4を可動させ、10分走行時の平均踏圧が、基準踏圧の+20%以下になるまで、ギア1を1枚ずつ架け替えていく。
【0033】
この際のギア1の架け替えは、図5(a)に示すように、小ギア1にチェーン3が係合している場合には、ワイヤー部材5のインナーワイヤ5bをモータ8の回転によって引き、ディレイラ4の平方四辺形のリンク機構4bを規制しているコイルスプリングに抗して、テンションプーリ4dを可動させることにより、図5(b)の中ギア1または図5(c)の大ギア1に移動させ、クランクの回転角とホイールの回転角との比率を変更する。
【0034】
また、上記基準値踏圧の−20%を未満になった場合には、ペダル6に掛かる踏圧が小であることを感圧センサ7から送信された電気信号に基づいて計測制御装置9bが処理し、モータ8を回転させ、回転軸8aに設けられたプーリ8bに巻回されているワイヤー部材5のインナーワイヤ5bを摺動させて、ディレイラ4を可動させ、10分走行時の平均踏圧が、基準踏圧の−20%以上になるまで、ギア1を1枚ずつ架け替えていく。
【0035】
この際のギア1の架け替えは、図5(c)に示すように、大ギア1にチェーン3が係合していた場合には、ワイヤー部材5のインナーワイヤ5bをモータ8の回転によって戻し、ディレイラ4の平方四辺形のリンク機構4bを規制しているコイルスプリングを開放して、テンションプーリ4dを可動させることにより、図5(b)の中ギア1または図5(a)の小ギア1に移動させ、クランクの回転角とホイールの回転角との比率を変更する。
【0036】
なお、スプロケット2の直径の異なるギア1は、小ギア1にチェーン3が係合している場合にペダル6が重くなり、大ギア1にチェーン3が係合している場合にペダル6が軽くなる。
【0037】
さらに、急な坂道などに差し掛かり、ペダル6の踏圧に急激な変化が起きた場合には、その急激な変化を感圧センサ7からの電気信号を受信した計測制御装置9bが判断し、すぐさまモータ8を回転させ、回転軸8aに設けられたプーリ8bに巻回されているワイヤー部材5のインナーワイヤ5bを摺動させて、ディレイラ4を可動させ、基準踏圧の±20%以内になるまで、チェーン3をスプロケット2のギア1間を架け替え、クランクの回転角とホイールの回転角とを適切な比率になるまで変更する。
【0038】
上述の実施形態による自転車用ギア変速システムによれば、運転者の踏圧をペダル6に設けられた感圧センサ7により感知した電気信号を計測制御装置9bによって計測することにより、モータ8を回転させて、ワイヤー部材5のインナーワイヤ5bを操作しディレイラ4を可動させて、チェーンを移動させスプロケット2のギア1間の架け替えを行うため、坂道などを走行する際に、運転者はハンドル14から手を離すことなく、自動的にディレイラ4を可動させて、クランクの回転角とホイールの回転角とを適切な比率に変更することができる。これにより、運転に集中することができるとともに、安全に走行することができる。
【0039】
また、運転者の10分間走行時の平均踏圧を計測して、クランクの回転角とホイールの回転角とを適切な比率にするため、例えば、起伏の間隔が短い路面では、その都度ギア1の架け替えを行うことにより、チェーン3が外れてしまったり、走行に支障を来すことなく運転することができる。
【0040】
さらに、急な坂道の場合には、その変化に対応してギア1の架け替えを行い、速やかにクランクの回転角とホイールの回転角とを適切な比率に変更することができるため、ペダルが重くなることによって起こる膝への急激な負担を防止することができる。
【0041】
また、ディレイラ4を可動させるワイヤー部材5のインナーワイヤ5bを動かすモータ8がステッピングモータであるため、スプロケット2の複数枚のギア1を一段ずつ架け替えることができる。この結果、段数の多いスプロケット2でも、確実にチェーン3を架け替えることがでる。
【0042】
そして、ペダル6に設けられた感圧センサ7が感知した運転者の踏力に応じた電気信号を無線によって、制御装置9の受信部9aに送信することができるため、感圧センサ7自体を密閉した状態でペダル6に装着することができる。これにより、雨天時の走行や水溜まりなどの悪路の走行などにでも、水や泥などにより感圧センサ7が故障したり誤動作したりすることを防止することができる。
【0043】
さらに、制御装置9が感圧センサ7からの電気信号を無線により受信する受信部9aと、受信した電気信号を計測する計測制御装置9bとにより構成されているため、煩雑な配線を必要とせずに、コンパクトに形成することができる。この結果、変速指示装置10の小型化を図ることができるとともに、変速指示装置10を簡便に自転車kに取り付けることができる。
【0044】
なお、上記実施の形態において、後輪のホイール12にスプロケット2を設けた場合のみ説明したが、これに限定されるものでなく、例えば、クランクスプロケット19に、異なる直径を有する複数枚のギア1を同軸上に重ね合わせ、後輪のホイール12と併用し、クランクの回転角とホイールの回転角とを適切な比率に変更するように構成しても対応可能である。この場合には、後輪のホイール12に設けたスプロケット2と、ギア1を複数枚重ね合わせたクランクスプロケット19とにディレイラ4を各々設けるとともに、各々のディレイラ4を可動させるモータ8を変速指示装置10に設け、制御装置9の計測制御装置9bに設定された基準踏圧によって、各々のモータ8を回転させて、最も適切なクランクの回転角とホイールの回転角との比率になるように、ギア1の架け替えを行うようにする。
【産業上の利用可能性】
【0045】
ディレイラを備えた一般的な自転車、およびスポーツタイプの自転車に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ギア
2 スプロケット
3 チェーン
4 ディレイラ
5 ワイヤー部材
5a アウターワイヤ
5b インナーワイヤ
6 ペダル
7 感圧センサ
8 モータ
9 制御装置
9a 受信部
9b 計測制御装置
10 変速指示装置
11 クランク
12 ホイール
k 自転車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車用のギア変速システムであって、
異なる直径を有する複数枚のギアを同軸上に重ね合わせたスプロケットと、このスプロケットの上記ギアに係合する環状のチェーンと、このチェーンの移動および複数枚の上記ギア間の架け替えを行うディレイラと、このディレイラを可動させるワイヤー部材と、少なくとも一方のペダルに設けられた感圧センサと、上記ワイヤー部材を操作するモータおよび上記感圧センサからの電気信号を処理する制御装置を有する変速指示装置とを備え、
上記変速指示装置は、上記感圧センサにより感知した運転者の踏力に応じた電気信号を受信し、上記制御装置によって当該電気信号を計測するとともに、計測した上記踏圧がしきい値の範囲未満または超えていた場合に、上記モータを回転させ上記ワイヤー部材を操作して上記ディレイラを可動させるとともに、上記チェーンを移動させて上記スプロケットのギア間の架け替えを行い、上記踏圧が上記しきい値の範囲以内になるように、クランクの回転角とホイールの回転角との比率を変更するように構成されていることを特徴とする自転車用ギア変速システム。
【請求項2】
上記感圧センサは、踏力に応じた上記電気信号を無線によって、上記制御装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の自転車用ギア変速システム。
【請求項3】
上記制御装置は、上記感圧センサからの信号を受信する受信部と、受信した信号を計測する計測制御装置とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の自転車用ギア変速システム。
【請求項4】
上記ワイヤー部材は、筒状のアウターワイヤと、このアウターワイヤ内を摺動可能なインナーワイヤとにより構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自転車用ギア変速システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate