説明

自転車用シーソー式ボタンリング錠

【課題】防犯性能が向上し、かつ開錠時の操作をよりスムーズにした自転車用リング錠の提供。
【解決手段】1個のシーソー式ボタンの下部に3連のギヤ7を軸止させた解錠機構部5を配置した。シーソー式ボタンの一端を押し下げて解錠機構部5のギヤストッパーを垂下させることによりギヤ7を回転させ、ギヤストッパーが復元するとギヤ7が係止される。シーソー式ボタン3の両端を所定回数ずつ押し下げることにより各ギヤ7を順次解錠位置に至らしめ、解錠時専用ボタン2を押すことで解錠板12、閂ロック板15が移動して、解錠できる。施錠時は閂が施錠位置まで摺動するときに閂外周部の突起部と錠本体に枢支されたオートロック板17が係合し、ギヤ7を解錠位置以外に回転させて、解錠機構部5を自動的に施錠状態にする。解錠時にはリセットボタン4を複数回押すことで解錠機構部5をリセットし解錠動作を開始できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用リング錠に関し、錠本体に枢着されたシーソー式ボタンを押すことにより開錠でき、施錠時は閂を施錠位置に摺動させるときにオートロック板によって自動的に施錠状態にでき、また開錠機構部をプッシュ式ボタンでリセットできることを特徴とするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自転車用リング錠において、暗証番号等を押すボタンが小さくて、かつボタンの間隔がせまいために、夜間や暗闇では押し間違えることがありたり、爪の長い女性や、冬季など手袋をした手などではボタンをおして開錠するには不便があった。
【0003】
従来、この種の自転車用リング錠において、開錠部の機構上、閂を施錠位置にしても該開錠部は開錠スタンバイ状態にあるため、施錠後は必ずボタンのいづれかを押しておく必要があり、ときとしてボタンを押し忘れて、開錠スタンバイのまま放置されることがあった。
【0004】
従来、この種の自転車用リング錠において、該開錠部の機構上、リセットするには錠本体裏面にあるボタンを押し上げて、前面のボタンを元の位置に戻したり、リセット用の摘みを所定の目印まで複数回転させてリセットするなど、いづれも夜間、暗闇において目視確認するには不便があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のことから、本発明が解決しようとする課題は、目視確認するに不便のない大きなボタンを使用して開錠動作であるボタン押し下げの回数を指先で感知確認できるようにし、施錠時は自動的に開錠機構邪を施錠状態にし、開錠時はリセット動作を目視確認の必要なく行える自転車用リング錠を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、開錠機構部を押し下げるボタンを大きな1個のボタンとし、錠本体に該ボタンをシーソーのように回動可能に枢着し、該ボタン下部に例えば3連のギヤを軸止させた開錠機構部を配置し、該ボタンの一端を押し下げて該開錠機構部のギヤストッパーの頂部を垂下させることによりギヤを回転させ、該ギヤストッパーが形状を復元すると同時にギヤを係止し、そのときの反動を感知し押し下げ回数を確認し、他のギヤストッパーも同様に該ボタンにより垂下させて全ギヤを開錠位置に至らしめ、最後に開錠用ボタンを押すことで開錠でき、施錠時は閂が該錠本体内を施錠位置まで摺動するとき、該閂外周部にある突起部と該錠本体に枢支されたオートロック板が係合し、該ギヤの1連を開錠位置位置外に連動回転させて該開錠機構部を施錠状態にし、開錠時にはリセット用ボタンを複数回押すだけで該開錠機構部をリセットし開錠動作を開始できる自転車用シーソー式ボタンリング錠にある。
【0007】
上記のように構成した本発明によれば、該シーソー式ボタンを錠本体表面で可能な限り大きなサイズにすることで位置確認が容易になるとともに、指先による押し下げ動作も容易になり、爪が伸びていたり、また太い指先、あるいは手袋をしたままでも開錠動作が容易に行える。また、該ボタンがシーソー式のため、押し順・押し回数などが予想しづらく盗難防止に効果がある。またオートロック機構により、施錠後のボタン押し忘れなどによる盗難の危険が回避される。また、プッシュ式ボタンによりリセットできるので、開錠時は夜間、暗闇、雨天時などにおいて目視確認したり、かがみこむ必要もなく開錠動作が行える自転車用リング錠を製作できる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて具体的に説明する。
【0008】
(図1)は錠本体(1)の正面図である。(2)は開錠時専用ボタンで、(3)はシーソー式ボタンであり、(4)はリセットボタンである。
【0009】
(図2)は開錠機構部(5)の斜視図である。3連の回転ギヤ(6)と該ギヤに嵌合して連動する開錠溝リング(7)があり、該ギヤ(6)を係止するギヤストッパー(8)がそれぞれにある。
【0010】
(図3)はギヤ(6)と開錠溝リング(7)の関係を図示している。ギヤ支軸(9)には溝がありスプリングワッシャー(11)を一方向にのみ制御している。ギヤ(6)底部には溝がありスプリングワッシャー(11)と同じ方向に係合する。
【0011】
(図4)は正面断面図である。開錠機構部(5)に付設した開錠板(12)とリセット板(13)があり、開錠時は開錠時専用ボタン(2)の押し下げに連動するカム(14)と閂ロック板(15)があり、該開錠機構部(5)の下部にはオートロック板(17)がある。(18)はコイルばねである。リセットボタン(4)をおしさげるとギヤ支軸(9)のウォーム部(16)が連動回転し、3連のギヤをリセット位置まで連動回転させると同時にリセット釦ガイド(34)はリセット板(13)を連動回転させ、リセット釦突起(33)は間接部材移動板(21)を押して間接部材(20)をリセット位置に移動させるものである。また、開錠スタンバイ状態において開錠時専用ボタン(2)を押しながらリセットボタン(4)を1回押したのちに、リセットボタン(4)の頂部開口部より、細い金属棒などでギヤ支軸(9)を強く押しながら、シーソー式ボタン(3)を押すことによって、開錠動作時の押し回数を運転者の好きな回数に設定することもできる。該金属棒は専用の付属品としてもよいのである。
【0012】
(図5)はシーソー式ボタン(3)の三面図である。該(3)の裏部には間接部材(20)が支軸吊設され、該(3)の裏部に摺動可能に貫入された間接部材移動板(21)により連動する。正面図において、押し下げ位置をゾーンAとゾーンBに区別している。
【0013】
(図6)は間接部材移動板(21)の斜視図であり、ツメ(22)はシーソー式ボタン(3)のゾーンBを押し下げるとき該(3)の裏面に衝止して矢印方向へ摺動しフック(23)で間接部材(20)を連動し移動させる。(24)はリセットガイド部である。
【0014】
(図7)はリセット板(13)の斜視図である。突起部(25)があり、リセットボタン(4)の押し下げにより、支軸されたリセット板(13)が回転し(図4)に図示する3連すべてのギヤ突起部(10)が衝止してリセット状態となる。
【0015】
(図8)は開錠板(12)の斜視図である。切り欠き部(27)はオートロック板(17)を常時回動可能とするためにある。開錠板突起部(28)すべてが開錠溝リング(7)すべての溝と同じ位置にあるときのみ開錠できる。
【0016】
(図9)はオートロック板(17)の正面図と側面図である。突起部(30)が閂突起部(31)と衝合するときに、はがねの板状のラック(29)が1連の回転ギヤ(6)を連動させてロック状態を実現させる。
【0017】
(図10)は閂(32)の斜視図である。該閂(32)の外周部に突起部(31)が複数あり、オートロック板突起部(30)を施錠方向に閂(32)が摺動するときに衝合させるものである。
【0018】
上記構成の作動を説明する。
【0019】
(開錠)運転手はリセットボタン(4)を2回ほど押して、次に錠本体(1)にあるシーソー式ボタン(3)を(図5)に示すゾーンA、ゾーンB、ゾーンAの順で暗証番号にかわるそれぞれの回数を押し下げ、次に開錠時専用ボタン(2)を押すことにより閂(32)が閂ロック板(15)より開放され開錠方向に摺動する。
【0020】
(施錠)運転手は手動により閂操作摘み(35)をコイルばね(36)の力に抗して押し下げて施錠する。このとき、閂突起部(31)がオートロック板突起部(30)に衝合し、その連動で1連の回転ギヤ(6)が開錠位置外に回転し自動的にロック状態となる。
【発明の効果】
【0021】
この発明のシーソー式ボタンリング錠は以上のようになるから、夜間や暗闇でも押しまちがえることなく開錠操作ができる。
【0022】
開錠時は目視確認することなくプッシュボタンでリセットできる。
【0023】
施錠時は自動的にロック状態となるので、従来のボタンの押し忘れによる盗難の危険性を排除できる。
【0024】
自転車用の錠を要さず、暗証番号にかわる押し回数を運転者が覚えやすく忘れにくい回数に変更設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の錠本体の平面図である。
【図2】本発明の開錠機構部の斜視図である。
【図3】本発明の回転ギヤの分解斜視図である。
【図4】開錠部の正面拡大断面図である。
【図5】(A)はシーソー式ボタンの平面図である。(B)はシーソー式ボタンの断面図である。C)は図5(B)のX−X線に沿っての縦断面である。
【図6】(A)は間接部材移動板の斜視図である。(B)は間接部材移動板裏面の斜視図である。
【図7】リセット板の斜視図である。
【図8】開錠板の斜視図である。
【図9】(A)はオートロック板の平面図である。(B)はオートロック板の側面図である。
【図10】閂の裏面の斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 錠本体
2 開錠時専用ボタン
3 シーソー式ボタン
4 リセットボタン
5 開錠機構部
6 回転ギヤ
7 開錠溝リング
8 ギヤストッパー
9 ギヤ支軸
10 ギヤ突起部
11 スプリングワッシャー
12 開錠板
13 リセット板
14 カム
15 閂ロック板
16 ウォーム部
17 オートロック板
18 コイルばね
19 支軸
20 間接部材
21 間接部材移動板
22 ツメ
23 フック
24 リセットガイド
25 リセット板突起部
26 カム状リセット部
27 切欠部
28 開錠板突起部
29 ラック部
30 オートロック板突起部
31 閂突起部
32 閂
33 リセットボタン突起部
34 リセットボタンガイド部
35 閂操作摘み
36 コイルばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠本体にボタンを軸によってシーソー式に枢着させ、該ボタン下部に回転ギヤ式開錠機構部を配置し、該ボタン裏部に間接部材を回動可能に吊設することにより、該ボタンを押す毎に該開錠機構部のギアの回転を係止しているギヤストッパーの頂部を垂下させて該ギヤを開錠位置まで回転させ、該間接部材を移動させることによって、例えば該回転ギヤが3連の場合、その2連を該シーソー式ボタンの一端でそれぞれの該ギヤストッパーを垂下できるようにし、例えば該ボタンを上・下・上の順でそれぞれ1回あるいは複数回押すことにより開錠できることを特徴とする自転車用シーソー式ボタンリング錠。
【請求項2】
閂外周部に複数の突起を設け、該閂が施錠時に錠本体内を摺動するときに、該突起部と係合し、該開錠機構部の該回転ギヤを連動させる施錠時オートロック板を備え、該開錠機構部回転ギア全てをプッシュ式ボタンでリセットできる機構も備えたことを特徴とする請求項1記載の自転車用シーソー式ボタンリング錠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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