説明

自転車管理システム

【課題】 ICタグとリーダーとの通信距離を長く取ることができ、放置自転車の情報も容易に読み取ることができ、所有者の特定も迅速に行うことができる自転車管理システムを提供する。
【解決手段】 各自転車に固有の自転車識別情報を記録したICタグと、前記ICタグから前記自転車識別情報を読み取る可搬式リーダーと、前記自転車識別情報に対応する自転車所有者情報を記憶した管理サーバと、前記可搬式リーダーで読み取った自転車識別情報に基づいて前記管理サーバに記憶された自転車所有者情報から自転車の所有者を特定する情報照合手段とを備え、前記ICタグは1GHz以上の無線方式を採用したICタグであって、該ICタグを絶縁物を介して自転車に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車管理システムに関し、詳しくは、放置自転車の低減や、放置自転車の撤去、保管、処分等に要する費用の削減を図ることができる自転車管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、放置自転車に対しては、撤去を要請する警告文をハンドル等に取り付け、一定期間後に集積所に移動し、一定期間保管後に引き取りが無いときには廃棄等の処理をしてきた。これに要する人件費、運搬費、場所代等は、1台あたりの合計金額が数千円を超え、頻繁に行うことができなかった。さらに、1台の自転車が放置されると、これを見習った放置自転車の増加の原因となり、このような撤去までの時間がかかる方式は、放置自転車を減らす効果的な方法とはなっていない。
【0003】
また、自転車に添付された自転車の所有者あるいは使用者の情報は、プライバシー保護の観点から登録した番号あるいは番号と文字との組み合わせ(以下、登録番号と呼ぶ)しか記載されていないのが通常である。このため、放置された自転車の登録番号から所有者への連絡方法を取り出すのに手間がかかり、所有者自身による撤去が円滑に進まないという問題がある。
【0004】
盗難自転車は、それが放置されて放置自転車を発生させるきっかけとなるばかりでなく、放置された自転車が撤去されて集積所に置かれると、膨大な撤去自転車の中から所有者が自分の自転車を探し出すことは困難である。登録番号が自転車に添付されていても、所有者に対する連絡の手続きが煩雑であり、盗難自転車が戻ることは少ない。
【0005】
放置自転車対策として最も有効な手段は、駐輪場利用者を増やすことであるが、駐輪場の不足あるいは諸理由で駐輪場が利用されないために放置自転車を減らすことができなかった。駐輪場が利用されない原因の一つは、利用施設に遠い、近くても使用方法が面倒、十分な数の自転車が置けないなどであり、自転車利用者は、それが違法であると知りつつ自転車を放置しているのが実情である。
【0006】
駐輪場を有料として、駅構内や駅の傍に駐輪場を開設した例があるが、料金の支払いは現金やプリペイドカード方式が多く採用されている。プリペイドカードを採用した方式であっても、自転車を利用するときにカードを忘れた場合に対応するため、現金での利用も可能なようにすることが望ましい。放置自転車を防ぐ最も有効な方式は、小規模な分散型の駐輪場を市街地に多数設置することであるが、これらの小規模な駐輪設備毎に現金集金装置を設置するのは装置コストが上がり、現金の取り扱いを行う担当者が必要となり、それぞれコスト的に好ましくない。
【0007】
このようなことから、自転車の適正な利用を図ることを目的として、自転車のフレームにRFIDタグ(ICタグ)を取り付け、RFIDタグに記録した情報に基づいて自転車を管理するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−306186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の自転車管理システムでは、物理原理から電波の送受信能力が極めて悪い構造となっている。すなわち、ICタグの取り付けを自転車の金属フレーム内に埋入あるいは金属フレームに直接貼り付けるなどして、電波がICタグに届き難い構造をしている。さらに、自転車フレームに比べてアンテナ面積が小さく、電波到来の開口面積が小さいために集める電波エネルギーが小さくなる。この結果、ICタグとの通信にはリーダーを直接ICタグに接触させなければならず、実用上の大きな障害となる。
【0009】
そこで本発明は、ICタグとリーダーとの通信距離を長く取ることができ、放置自転車の情報も容易に読み取ることができ、所有者の特定も迅速に行うことができる自転車管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の自転車管理システムは、各自転車に固有の自転車識別情報を記録したICタグと、前記ICタグから前記自転車識別情報を読み取る可搬式リーダーと、前記自転車識別情報に対応する自転車所有者情報を記憶した管理サーバと、前記可搬式リーダーで読み取った自転車識別情報に基づいて前記管理サーバに記憶された自転車所有者情報から自転車の所有者を特定する情報照合手段とを備え、前記ICタグは1GHz以上の無線方式を採用したICタグであって、該ICタグを絶縁物を介して自転車に取り付けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自転車管理システムによれば、ICタグに1GHz以上の無線方式を採用するとともに、ICタグを絶縁物を介して自転車に取り付けるので、ICタグとリーダーとの通信距離を長くすることができる。これにより、可搬式リーダーによる自転車識別情報の読み取りを容易かつ確実に行うことができ、放置自転車等における所有者の特定を迅速に行うことができる。したがって、放置自転車の撤去等に要する人件費、運搬費、場所代等を削減することができる。また、通信距離を長くとれるので、駐輪場における自転車の認識にも有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1乃至図8は本発明の一形態例を示すもので、図1は自転車のフレームに取り付けたICタグの情報を可搬式リーダーで読み取っている状態を示す説明図、図2は可搬式リーダーの一例を示す説明図、図3はICタグの取り付け例を示す斜視図、図4はICタグの一形状例を示す斜視図、図5はICタグの他の形状例を示す斜視図、図6は駐輪場の管理に応用したときの登録管理作業の一例を示す流れ図、図7は情報の流れの一例を示す説明図、図8は小規模駐輪場への応用例を示す説明図である。
【0013】
まず、自転車11には、各自転車に固有の自転車識別情報を記録したICタグ12が取り付けられている。前記ICタグ12は、通信距離を実用に十分なだけ長くする必要があるが、通信周波数が1GHz以下の磁気結合方式では、通信距離が結合コイルの面積に比例することから、自転車11に使用することは難しい。そこで、1GHz以上の無線方式を採用し、自転車11のICタグ12とリーダー13との通信距離を長くするため、双方の偏波面をそろえた上で、ICタグ12を自転車11に取り付ける際に自転車のフレーム11aとの間に誘電体となる絶縁物14を介在させ、誘電体による電波反射構造によって感度を高め、リーダー13には、八木アンテナ構造のアンテナ13aを装着しておくことにより、十分な通信距離を得ることができる。
【0014】
ICタグ12は、データを保持し、このデータを外部のリーダーに送信する機能を持つICチップ12aと、該ICチップ12aに接続したアンテナ12bとの2つの部品で構成されている。なお、ICチップ12aは、従来から用いられている各種構造、形状、機能のものを任意に使用することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0015】
アンテナには、図4に示すような金属細線12cや、図5に示すような長さに対して幅が十分に狭い金属箔12dを用いることができる。ダイポール方式のアンテナでは、送受信周波数が、例えば2.45GHzの場合、アンテナの長さは、1/2波長の6.12cmより数%短い長さに設定される。1/2波長に対するアンテナの短縮率は、アンテナの太さにより決定することができる。金属箔12dをアンテナとする場合は、例えば、フレキシブル基板上の銅箔を使用することができ、金属細線12cをアンテナとする場合は、例えば、銅、アルミニウム等の金属細線や、鉄等の金属細線に金メッキした材料を用いることができる。
【0016】
このようなICタグ12を自転車11の金属製のフレーム11aに直接貼り付けると、ICタグ12周辺の電磁波が金属の影響を受け、ICタグ12の送受信距離が大幅に低下するが、ICタグ12と金属との距離を、電磁波の波長の1/4以上とすれば、金属の影響をほとんど受けなくなる。さらに、金属とICタグ12との距離を波長の1/4近傍にすることにより、金属を反射体としてICタグ12のアンテナ12bと共振させ、アンテナ効率を向上させることができる。
【0017】
例えば、無線通信で使用する電磁波の周波数が2.45GHzの場合、1/4波長の距離は3.06cmとなる。しかし、これだけの距離を置いてフレーム11a上にICタグ12を取り付けることは現実的ではなく、例えばICタグ12が衣服に引っ掛かってしまったりするなどの問題があり、外観上も好ましいものではない。
【0018】
そこで、図3に示すように、フレーム11aにICタグ12を取り付ける際に、絶縁物14を両者の間に介在させた状態とする。この絶縁物14は、絶縁体ならば任意の材料を用いることができるが、その厚さは、絶縁物14の比誘電率(ε)及び前記電磁波の波長(L)に対して、L/(4√ε)の厚さ乃至僅かに、好ましくは機能性、経済性等を考慮して、この厚さの95%〜105%に薄くあるいは厚くする。例えば、比誘電率3.8の石英を絶縁物14として使用する場合、周波数が2.45GHzならば、L/(4√ε)は15.7mmとなるので、これよりも僅かに薄くあるいは厚くした絶縁物14、例えば、3%厚くして16.16mmの厚さに形成する。これにより、フレーム11aの金属を反射体としてアンテナ効率を向上させることができる。
【0019】
さらに、比誘電率が8.5のアルミナの成形体を用いた絶縁物14は、周波数が2.45GHzならば厚さを10.48mmにまで薄くすることができる。絶縁物14の大きさは、絶縁物の取付可能な範囲内で、アンテナ長さ方向に波長の1/2以上とすればよく、必要以上に大きくしても意味はないが、これより小さいと十分な効果が得られなくなるときがある。なお、比誘電率は物質固有の値であるので、使用可能な範囲内で損失が少なく比誘電率が大きい絶縁物を選択すればよい。
【0020】
このように、前記ICタグ12を絶縁物14を介してフレーム11aに取り付けることにより、金属による悪影響を排除してリーダー13との無線通信を確実に行うことができる。また、空気絶縁の場合に比べて絶縁物14を介在させることによってICタグ12とフレーム11aとの距離を、L/(4√ε)に狭めることができるので、ICタグ12が邪魔になったり、自転車11のデザインを損なうこともなくなる。さらに、絶縁物14を正確に加工することにより、アンテナ効率を一定にすることができるので、安定した送受信性能を得ることができる。
【0021】
フレーム11aに絶縁物14を介してICタグ12を取り付ける手段は、フレーム11aの形状等に応じて任意に選択することができ、例えば、図3に示すように粘着テープ15によってICタグ12と絶縁物14とをフレーム11aに固定するようにしてもよく、フレーム11a、絶縁物14、ICタグ12を接着剤でそれぞれ固着することもできる。いずれにしても容易には取り外せない状態、あるいは、取り外しが不可能な状態としておく。
【0022】
また、ICタグ12を自転車11のプラスチック製部材あるいはスクーターのボディ等のプラスチック製部材に取り付ける場合は、ICタグ12を厚さがL/(4√ε)の絶縁物14に取り付け、この絶縁物14の下に、厚さが10μm以上で、絶縁物14よりも大きいサイズ(面積)のアルミニウム等の金属箔を介在させることにより、ICタグ12のアンテナ感度を高めることができる。前記金属箔の厚さは任意であり、数mmの厚さの金属板を用いることも可能であるが、アンテナ感度の向上、すなわち、送受信性能を向上させる効果はほとんど変化せず、重量増やコスト増となる。また、金属箔のサイズ(面積)は、絶縁物14のサイズ(面積)と同等以上であればよく、取付部の大きさに応じて適当なサイズを選択することができる。
【0023】
ICタグ12に記録する前記自転車識別情報は、放置自転車の発生を防ぐことを第1の目的とすることから、自転車の行動範囲を考慮して自治体やその代行機関が統一的に内容を定めた記録方式で記録する。後から書き込みができないICチップ12aを用いる場合は、ICチップ12aのそれぞれに異なる固有のアドレス番号を製造時に書き込んでおき、そのアドレス番号に対応するデータを、リーダー13に付属する記憶手段あるいはネットワークを経由して接続可能な管理サーバに記録しておけばよい。書き込み可能なICチップ12aを用いる場合は、所有者が自転車11を自治体等に登録する際に、登録番号とともに、所有者の情報として住所、氏名、電話番号等の連絡方法、各自転車11の特徴として色、軸距、車輪径等、登録情報として購入先、購入日、登録日、登録番号等、また、駐輪場の利用に関する指定駐輪場の名称と駐輪可能な期間とその他の権利情報、駐輪料金の支払い方法、払い込み状況等を記録しておくことができる。
【0024】
リーダー13は、本体部分に前記アンテナ13aを備えるとともに、各種設定や操作を行うためのキー13b及び情報等を確認するための表示部13cを備えており、さらに、携帯電話等の通信機13dを備えている。前記アンテナ13aには、八木アンテナ等の指向性の高い構造のアンテナ13aを使用し、アンテナゲインを増すことによって数十cm以上離れたところからでもICタグ12とリーダー13との通信が可能となる。また、多数の自転車が並んでいる場合、感度が高いアンテナ系を使用すると、隣の自転車のICタグと混信する場合があるが、これを防ぐためには、電子的にリーダー13から発信する問い合わせ電波の出力を減らすようにすればよい。
【0025】
リーダー13には、あらかじめICタグ12に記録された情報から所有者に特定できる情報を保存しておくこともでき、ICタグ12に記録された情報を読み取って別の管理サーバと前記通信機13dを用いた無線通信方式で交信し、所有者に結びつける情報を得るようにしてもよい。所有者に関する情報は、表示部13cに表示させることができ、また、盗難届の有無等の各種情報も表示部13cに表示させることができる。通信機13dを用いた無線通信は、個人情報保護のために暗号を用い、表示部13cには所有者の氏名等の必要最低限の情報のみを表示するようにリーダー13が通信機13dを制御するように設定しておく。
【0026】
上述のようなICタグ12とリーダー13とを使用することにより、放置自転車の対策の他、駐輪場における管理にも利用することができる。例えば、図7に示すように、自転車11を購入したりした持ち主は、駐輪場管理を行う自治体あるいは代行組織等の自転車管理組織に届け出て本人認証の上で自転車を管理サーバに登録する(ステップ101)とともに、所定の自転車識別情報を記録したICタグを作成して自転車11に取り付けて貰う(ステップ102)。有料の駐輪場を使用する場合には、所定期間分の駐輪料金を払い込み(ステップ103)、駐輪場利用の認証を得る(ステップ104)。持ち主が駐輪場を使用すると(ステップ105)、ICタグ12からの情報に基づいて管理サーバが駐輪場の出入りを管理し(ステップ106)、駐輪場の使用期限あるいは料金の残額確認と使用料金の徴収が行われる(ステップ107)。このとき、駐輪料金が不足している場合や、使用期限が経過している場合は、持ち主に連絡して駐輪料金の再払い込みを依頼する(ステップ108)。
【0027】
例えば、図7に示すように、駐輪場31においては、入口に設けた入庫リーダー32が自転車11に取り付けられているICタグの情報を読み取り、通信装置33を介して情報照合手段を備えた管理サーバ34と通信を行い、駐輪場を使用する権利を有しているか否かの判定を行うとともに、入庫時間等の必要事項を記録する。このとき、駐輪場の入口にゲートを設けておき、駐輪場を使用する権利を有している場合にのみゲートを開いて入場を可能とするようにしておいてもよい。
【0028】
また、駐輪場31の出口に設けた出庫リーダー35でICタグの情報を読み取り、通信装置33を介して管理サーバ34と通信を行い、出庫を確認するとともに、従量制課金方式の場合は、入庫時刻と出庫時刻とから使用時間を計算し、使用料金を算出して事前に払い込まれた駐輪料金から徴収する手続きをとる。不足する場合や事後払い込み方式の場合は、請求手続きを別途に行う。さらに、出庫する際には、出庫リーダー35でICタグの情報を読み取るとともに、自転車の所有者が予め設定した暗証番号を打ち込むことによって出庫ゲートを開き、自転車11を出庫可能とすることにより、自転車の盗難を防止できる。
【0029】
自治体等から委任された放置自転車対策係員は、可搬式リーダー13を携行して担当区域を巡回し、路上等でリーダー13のアンテナを自転車11のICタグの方向に向けることにより、ICタグ12から自転車識別情報を受信し、リーダー13自体からあるいは無線通信によって管理サーバ34から所有者の情報を取得して表示部に表示させる。このとき、時刻データを取り込んでおいて後刻又は後日巡回してそれぞれの自転車識別情報を再度受信することにより、短時間の駐輪か長時間の駐輪か、あるいは、廃棄や盗難による放置かを判断することができる。放置自転車を確認した係員は、その場で所有者に電話連絡するようにしてもよく、管理サーバ34の表示35や印字36に基づいて連絡担当者が所有者に電話連絡を行ったり、係員と所有者の電話連絡の中継を行ったりするようにしてもよい。また、表示部には所有者の氏名のみを表示し、リーダー13に携帯電話の発信機能を持たせることにより、個人情報も保護できる。
【0030】
図8に示すように、駐輪装置41を備えた小規模駐輪場では、出入口の管理装置42によってICタグの情報を読み取り、管理装置が管理サーバに問い合わせて利用者が駐輪装置41を使う権利を持つことを確認する。使用権利を確認した管理装置42は、空いている駐輪装置41の番号を表示し、利用者はその駐輪装置41に自転車11を持って行き、自転車11を駐輪装置41に固定して駐輪する。これにより、自転車11は所定の駐輪装置41に固定されて施錠される。駐輪場から自転車11を出す際には、駐輪装置41の番号と所有者が予め設定した暗証番号とを打ち込むことによって駐輪装置41が解錠されるようにしておけばよい。従量制課金方式の精算は前記同様にして行うことができる。
【0031】
このように、各自転車に固有の自転車識別情報を記録したICタグを各自転車にそれぞれ取り付けておき、路上等に放置された自転車のICタグから可搬式リーダーによって前記自転車識別情報を読み取り、管理サーバに登録されている自転車所有者情報と照合して自転車の所有者を特定することにより、放置自転車の引き取りなどの必要な処置を迅速に行うことができる。これにより、長期間の放置自転車を削減することができ、違法駐輪のきっかけを無くして放置自転車を減らすことができる。
【0032】
さらに、各所有者における駐輪状況、例えば、買物や所用のための短時間・不定期・随所型の駐輪、通勤・通学のための長時間・定期・一定場所型の駐輪、広域通勤や通学のための長時間・定期・交通拠点型の駐輪、広域買い物や所用のための長時間・不定期・交通拠点型の駐輪、廃棄や盗難のための放置型の駐輪という駐輪状況を把握することができる。
【0033】
また、駐輪場でICタグの情報に基づいて管理することにより、駐輪場の利用が簡単になり、駐輪場の利用促進を図れる。さらに、放置自転車の処理に要する費用の削減から、駐輪場利用料金の低価格化も図れる。加えて、自転車管理組織に登録したICタグを自転車に取り付けておくことにより、盗難を未然に防止できるとともに、盗難にあった際の捜索も容易に行うことができ、ICタグ12を取り外した痕跡が認められる場合には盗難車と判断でき、自転車の特徴を登録しておけば所有者を容易に捜し出すことが可能である。
【0034】
特に、1GHz以上の無線方式を採用したICタグを絶縁物を介して自転車に取り付けることにより、ICタグとリーダーとの通信距離を長くすることができ、可搬式リーダーによる自転車識別情報の読み取りを容易かつ確実に行うことができ、駐輪場への出入りのチェックも確実に行うことができる。
【0035】
そして、放置自転車が減るので、放置自転車の廃棄に要する費用と資源の無駄遣いがなくなり、社会的コストが低減され、同時に、街の景観が美しくなり、歩道等が歩きやすくなる。放置自転車を可搬式リーダーによって探索する係員は新たな雇用を生み出し、自転車利用者が増えて都市内の排気ガス汚染が減り、炭酸ガスの放出が減るなどの環境改善にも寄与する。盗まれた自転車が所有者に返還される率が高まり、盗難自転車の発見から変換までの手続きが分散処理型で簡単であり、所有者も盗まれた自転車が遠隔の撤去自転車置き場まで行かずに済む。小規模駐輪場設備の設置コストは大規模駐輪場よりも安いので、買い物などで利用し易い場所に容易に開設することができる。駐輪場での料金徴収、駐輪場内の長期放置自転車の管理が簡単になり、駐輪場の維持費が低減する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】自転車のフレームに取り付けたICタグの情報を可搬式リーダーで読み取っている状態を示す説明図である。
【図2】可搬式リーダーの一例を示す説明図である。
【図3】ICタグの取り付け例を示す斜視図である。
【図4】ICタグの一形状例を示す斜視図である。
【図5】ICタグの他の形状例を示す斜視図である。
【図6】駐輪場の管理に応用したときの登録管理作業の一例を示す流れ図である。
【図7】情報の流れの一例を示す説明図である。
【図8】小規模駐輪場への応用例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0037】
11…自転車、12…ICタグ、13…リーダー、14…絶縁物、15…粘着テープ、31…駐輪場、32…入庫リーダー、33…通信装置、34…管理サーバ、35…出庫リーダー、41…駐輪装置、42…管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各自転車に固有の自転車識別情報を記録したICタグと、前記ICタグから前記自転車識別情報を読み取る可搬式リーダーと、前記自転車識別情報に対応する自転車所有者情報を記憶した管理サーバと、前記可搬式リーダーで読み取った自転車識別情報に基づいて前記管理サーバに記憶された自転車所有者情報から自転車の所有者を特定する情報照合手段とを備え、前記ICタグは1GHz以上の無線方式を採用したICタグであって、該ICタグを絶縁物を介して自転車に取り付けたことを特徴とする自転車管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−185425(P2006−185425A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338812(P2005−338812)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(503310693)株式会社ジュース (4)
【出願人】(504311969)株式会社環境構造研究システム (2)
【Fターム(参考)】