説明

自閉症関連遺伝子マーカー

本開示は、自閉症または1つもしくはそれ以上の自閉症スペクトラム障害(ASD)に罹患した、またはその素因を有する被験者の同定に関する。本開示は、特定の遺伝子マーカーと自閉症および/またはASDとの関連付けに関する方法を含む。より具体的には、本開示は個体におけるASDの診断または予測のための方法および診断検査に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本特許出願はNIHのRO1 MH 06359および米国国立研究資源センター(National Center for Research Resources)からのGCRCグラント番号M01-RR025764による支援を受けた。
【0002】
発明の属する分野
本発明は疾病のリスク、感受性、予測、診断、および予後診断の分野に関する。更に、本発明は個体における疾病のリスクを検出するための遺伝子マーカーの使用にも関する。本明細書に開示される方法および組成物は自閉症および/または自閉症スペクトラム障害の発症のリスクがある、またはそれに罹患した個体の検出、診断、および予後診断に特に有用である。より具体的には、本発明は個体における自閉症および自閉症スペクトラム障害のリスクの測定、および疾病の診断および予後診断の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、複雑で不均一な、行動に基づいて定義される障害であり、社会的相互作用およびコミュニケーションの障害、並びに反復常同行動および興味を特徴とする。環境的要因(例えば周産期および出産後ストレス)が自閉症の発生に関与する可能性がある一方、自閉症個体における染色体異常、単一遺伝子の変異、および複数の遺伝子多型の証拠は、自閉症が遺伝性疾患であることを示している。
【0004】
ASDには自閉性障害(自閉症)、アスペルガー障害、および広汎性発達障害-特定不能型(PDD-NOS)がある。ASDの罹患率推定は、一般集団で子供100人毎に約1人と報告されている。自閉症の子供を持つ家族では、更なる子孫も自閉症を有するという再発率は、15%以上であると予測される(Landa RJ, Holman KC, Garrett-Mayer E. Social and communication development in toddlers with early and later diagnosis of autism spectrum disorders. Arch Gen Psychiatry 2007;64:853-64;Landa RJ. Diagnosis of autism spectrum disorders in the first 3 years of life. Nat Clin Pract Neurol 2008;4:138-47)。
【0005】
当該分野における現行のASD診断は、一連の種々の行動に関する質問である。ASDの表現型は非常に複雑であるため、分子に基づく検査は、表現型/行動評価を行うことができない場合に、または表現型/行動評価と組み合わせた場合に、低年齢における診断の確度を大いに向上させることができる。また、低年齢での診断により、ASDの治療を低年齢から開始することができ、これは短期および長期の転帰に有益であり得る。
【0006】
ASDでは遺伝的素因が実質的に関与している(Abrahams BS, Geschwind DH. Advances in autism genetics: on the threshold of a new neurobiology. Nat Rev Genet 2008;9:341-55)。従前のゲノムワイド連鎖および関連解析は、複数の遺伝子領域が自閉症およびASDに関与しうることを示している。それらの不均一性のため、広範な拡大家系を含む研究は価値が高い。多くの自閉症に関する研究では、小家族(兄弟姉妹のペア、または両親および罹患した子孫)に焦点を合わせて自閉症素因遺伝子の位置の特定が試みられてきた。これらの小家族を集めたものは、多くの異なる感受性遺伝子座での症例を含みうる。広範な拡大家族のメンバーであるASD罹患被験体は、その共通の祖先の間で同じ遺伝的要因を共有している可能性がより高い。それらの家族内では、自閉症はより遺伝子的に同質である。更に、これらの家族メンバーは類似した環境に暴露されている可能性が高く、将来的に行われうる環境相互作用の影響による遺伝子解析の助けとなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Landa et al., Arch Gen Psychiatry 2007;64:853-64
【非特許文献2】Landa RJ., Nat Clin Pract Neurol 2008;4:138-47
【非特許文献3】Abrahams BS, Geschwind DH., Nat Rev Genet 2008;9:341-55
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の詳細な説明
開示される分子、物質、組成物、および成分は、本発明の方法および組成物に使用でき、それと共に使用でき、その調製に使用でき、またはその製品である。これらおよび他の物質を本明細書に開示するが、理解されるように、これらの物質の組み合わせ、サブセット、相互作用、群なども開示され、これらの分子および化合物の種々の個別および集合的な組み合わせおよび順列のそれぞれの特定のものが明確に開示されていない場合、それぞれは明確に本明細書において企図および記述される。例えば、あるヌクレオチドまたは核酸について開示および検討し、そのヌクレオチドまたは核酸を含む多数の分子に施与してもよい多数の改変について考察する場合、ヌクレオチドまたは核酸および可能な改変のそれぞれ、および全ての組み合わせおよび順列は、そうでない旨を明記しない限り、明確に企図される。この概念は本明細書の全ての観点(それに限定されるわけではないが、開示される分子および組成物を調製および使用する方法における段階など)に適用される。従って、実施可能な種々の更なる段階がある場合、理解されるように、それらの更なる段階はそれぞれ、開示される方法の任意の特定の態様(単数)または態様(複数)の組み合わせを用いて実施してもよく、また、それらの組み合わせはそれぞれ、明確に企図され、そして開示していると見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、劣性(1a)および優性(1b)モデルを用いたSNPセットからのゲノムワイド連鎖結果を示す。
【図2】図2は、15番、2番、7番、および13番染色体の連鎖結果を示す。
【図3】図3は、15番染色体のLODスコアを示す。
【図4】図4は、15番染色体のNPL LODスコアを示す。
【図5】図5は、26人のASD罹患個体で同定された4,477個の機能性SNPの染色体領域およびSNP分類を示す。
【図6】図6は、26人のASD罹患個体で同定された388個の候補SNPの染色体領域およびSNP分類を示す。
【図7】図7は、55人の自閉症罹患個体集団で同定された4,449個のコピー数多型(CNV)の染色体領域およびCNVの分類を示す。
【図8】図8は、55人の自閉症罹患個体集団で同定された28個の候補CNVの染色体領域および分類を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
当業者は、本明細書に記載する方法および組成物の特定の態様と同等な物を多数認識することができ、または通常の実験の範囲内で確認することができる。それらの同等物は添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0011】
理解されるように、開示される方法および組成物は、特定の方法論、プロトコル、および試薬に限定されることはなく、多様でありうる。また、理解されるように、本明細書で使用する専門用語は単に特定の態様を記述するためのものであって、本発明の範囲を制限することを意図するものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【0012】
特に記載しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本明細書との関連で当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲における使用では、単数形(「a」、「an」、および「the」)は、特に明記しない限りその複数形も包含する。従って、例えば「ヌクレオチド(a nucleotide)」は複数のそれらヌクレオチドを包含し、「ヌクレオチド(the nucleotide)」の記述は当業者に公知の1つまたはそれ以上のヌクレオチドおよびその同等物についての記述である。
【0014】
「必要に応じた」または「必要に応じて」とは、それに続いて記載される事象、環境、または物質が起こるかもしれないし起こらないかもしれない、または存在するかもしれないし存在しないかもしれないこと、また、その記述がその事象、環境、または物質がどこで起こるか、またはどこに存在するかの例、およびどこで起こらないか、またはどこに存在しないかの例を含むことを意味する。
【0015】
本明細書では、範囲は「約」ある特定の値から、および/または、「約」別の特定の値まで、として表すことができる。それらの範囲を表す場合、別の態様は、ある特定の値から、および/または、他の特定の値まで、を含む。同様に、値を「約」という語を使用することによって近似値で表す場合、理解されるように、その特定の値は別の態様を成す。更に理解されるように、範囲のそれぞれの終点は、他方の終点との関連においても、他方の終点との独立性に関しても、有意である。また、理解されるように、本明細書に開示される多くの値があり、各値はその値自体に加えて「約」その特定の値としても本明細書に開示される。例えば、「10」という値が開示される場合、「約10」も開示される。また、ある値が「その値またはそれ未満」と開示される場合、「その値またはそれ以上」および値間の可能な範囲も開示されることは、当業者に適宜理解されるところである。例えば、「10」という値が開示される場合、「10またはそれ未満」、並びに「10またはそれ以上」も開示される。更に理解されるように、本明細書全体にわたってデータは多くの異なる形式で記載され、このデータは終点および開始点、およびデータ・ポイントを任意に組み合わせた範囲を表す。例えば特定のデータ・ポイント「10」および特定のデータ・ポイント「15」を開示する場合、理解されるように、10および15より大きい、10および15と等しいかそれより大きい、10および15未満、10および15と等しいかそれ未満、そして10および15と等しいということが、10から15の間と同様に開示されていると見なされる。また、理解されるように、2つの特定のユニット間の各ユニットも開示される。例えば10および15が開示される場合、11、12、13、および14も開示される。
【0016】
本明細書で使用する「被験体」という用語は、任意の投与対象を意味する。被験体は脊椎動物、例えば哺乳動物であってもよい。従って、被験体はヒトであってもよい。用語は特定の年齢または性別を示さない。従って、成体および出生直後の被験体、並びに胎仔(胎児)のオスもメスも包含されることが意図される。患者は疾病または傷害に罹患した被験体を示す。特に明記しない限り、「患者」という用語はヒトまたは脊椎動物被験体を含む。
【0017】
本明細書で使用する「バイオマーカー」または「生物学的マーカー」とは、生物学的状態の指標を意味し、これには正常な生物学的過程、病理学的過程、または治療もしくは他の介入に対する薬理学的応答の指標として客観的に測定される特徴が含まれる。ある態様では、バイオマーカーは、個体における疾病のリスクもしくは進行または疾病への感受性と相関するタンパク質の発現または状態の変化を示す。ある態様では、バイオマーカーは以下を1つまたはそれ以上含んでもよい:遺伝子、タンパク質、糖タンパク質、代謝物、サイトカイン、および抗体。
【0018】
本明細書で使用する「インビトロ診断」という用語は、任意の形態の診断用検査製品または検査サービス(限定されるわけではないが、FDAに認可された(approved)または通過した(cleared)インビトロ診断(In Vitro Diagnostic;IVD)、研究室で開発された検査(Laboratory Developed Test;LDT)、または消費者直結型(Direct-to-Consumer;DTC))で、サンプルをアッセイし、疾病、障害、症状、感染、および/または治療応答の素因またはリスクを検出するか、またはその存在を示すのに使用することができるものを意味する。ある態様では、インビトロ診断は研究室または他の医療環境において使用してもよい。別の態様では、インビトロ診断は消費者が自宅で使用してもよい。インビトロ診断検査は、疾病またはその後遺症を治癒、緩和、治療、または予防するために疾病または他の症状のインビトロ診断(健康状態の測定など)に使用することを目的とする試薬、装置、およびシステムを含む。ある態様では、インビトロ診断製品はヒト身体からの標本の採取、調製、および試験への使用を目的としてもよい。特定の態様では、インビトロ診断検査および製品は1つまたはそれ以上の臨床検査(例えば1つまたはそれ以上のインビトロ診断検査)を含んでもよい。本明細書で使用する「臨床検査」とは、血液、尿、または身体中の他の組織もしくは物質のサンプルを試験することを伴う1つまたはそれ以上の医学的または実験的処置を意味する。
【0019】
ある態様では、本明細書に記載する方法並びにインビトロ診断検査および製品を使用して、自閉症およびASDのリスクのある患者、自閉症に関係する可能性のある非特異的兆候を有する患者、および/または関連する障害を示す患者の診断を行うことができる。別の態様では、本明細書に記載する方法およびインビトロ診断検査を使用して、ASDのリスク、ASDに関係する可能性のある非特異的兆候、および/または完全に診断されたASDから進行するリスクについてのスクリーニングを行ってもよい。特定の態様では、本明細書に記載する方法およびインビトロ診断検査を使用して、ASDと同じ兆候を示す疾病および障害を除外するためのスクリーニングを行うことができる。更に別の態様では、本明細書に記載する方法およびインビトロ診断検査は、自閉症を有する疑いのある患者において現在行われている診断評価に含まれるべき診断情報を示してもよい。
【0020】
ある態様では、インビトロ診断検査は個体由来の遺伝子サンプルを採取するために作られた1つまたはそれ以上の装置、ツール、および機器を含有することができる。インビトロ診断検査のある態様では、遺伝子サンプルの採取のためのツールは、遺伝子サンプルの採取、保存、および輸送を容易にするために設計された1つまたはそれ以上のスワブ、メス、注射器、スクレーパー、容器、そして他の装置および試薬を含んでもよい。ある態様では、インビトロ診断検査は遺伝子サンプルの採取、安定化、保存、および加工のための試薬または溶液を含んでもよい。ヌクレオチドの採取、安定化、保存、および加工のためのそれらの試薬および溶液は当業者に公知であり、本明細書に記載するインビトロ診断検査で使用される特定の方法によって表示されてもよい。別の態様では、本明細書で開示されるインビトロ診断検査は、遺伝子サンプルを特定の遺伝子マーカーについてアッセイし、特定の遺伝子マーカーを検出および可視化するために必要なマイクロアレイ装置および試薬、フローセル装置および試薬、多重ヌクレオチド・シーケンサーおよび試薬、および更なるハードウェアおよびソフトウェアを含んでもよい。
【0021】
本発明には、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で本明細書に記載する遺伝子多型を含有するASD関連遺伝子の相補的な領域にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドである核酸分子も含まれる。核酸はDNAまたはRNA、および1本鎖または2本鎖であってもよい。オリゴヌクレオチドは天然型または合成であってもよいが、一般的には合成法によって調製される。本明細書に記載するオリゴヌクレオチドはDNAのセグメントまたはその相補体を含んでもよい。DNAセグメントは5から100個の連続する塩基であってもよく、多くの場合は5、10、12、15、20、または25ヌクレオチドから10、15、30、25、20、50、または100ヌクレオチドの範囲である。5-10、5-20、10-20、12-30、15-30、10-50、20-50、または20-100塩基の核酸が一般的である。遺伝子多型部位はDNAセグメントのいずれの位置にも起こりうる。
【0022】
本発明のオリゴヌクレオチドはRNA、DNA、またはそのいずれかの誘導体であってもよい。それらのオリゴヌクレオチドの最小サイズは、オリゴヌクレオチドと本発明の核酸分子上の相補配列との間で安定なハイブリッドが形成されるのに必要なサイズである。本発明は、例えば核酸分子を同定するためのプローブまたは核酸分子を生成するためのプライマーとして使用できるオリゴヌクレオチドを含む。好ましいオリゴヌクレオチド・プローブまたはプライマーは、本発明の一塩基変化多型またはそれと同じ位置にある野生型ヌクレオチドを含有する。好ましくは目的のヌクレオチドがプローブの中央の位置を占める。
【0023】
ある態様では、目的のヌクレオチドはプライマーの3'位に位置する。本発明の別の態様ではオリゴヌクレオチドのアレイを提供し、ここでアレイ上の分離した位置は1つまたはそれ以上の所定の多型配列に相補的である。それらのアレイは一連のオリゴヌクレオチドを含んでもよく、そのそれぞれは異なる多型に特異的にハイブリダイズする。目的のアレイは他の遺伝子配列(特に、薬理遺伝学スクリーニングのための他の目的配列)(多型を含む)を更に含んでもよい。他のヒト多型の場合のように、本発明の多型にはより一般的な適用、例えば法医学、父子鑑定、連鎖解析、およびポジショナル・クローニングもある。
【0024】
自閉症は一般に、アスペルガー症候群(AS)および他の広汎性発達障害(PDD-NOS)を含む障害(ASD)のスペクトラムの一部として特徴付けられる。自閉症は、3歳前に存在する、健康が損なわれうる程度までの、制限的、反復的、および常同的な行動、興味、および活動を伴う社会的相互作用およびコミュニケーション障害の症状と解釈される。ASは、ASDの特徴である社会的相互作用障害および制限的、反復的な行動、興味、および活動は存在するが、臨床的に有意な言語発達の遅延が見られないという点で、自閉性障害と区別される。PDD-NOSは、自閉症の厳密な基準には適合しないが、非定型自閉症を示すか、または2つもしくは3つのキーとなる分野で診断基準にほぼ適合するという点で自閉症に近い個体の分類に使用される。
【0025】
自閉症に関係する障害、疾病、または病理には、より具体的には代謝および免疫障害、てんかん、不安症、うつ、注意欠陥多動性障害、言葉の遅れまたは言語障害、運動失調、精神発達遅滞、統合失調症、および双極性障害がある。本明細書に開示される種々の態様および具体例は、種々の被験体、特にヒト(成人、小児、および出生前段階の胎児を含む)に使用しすることができる。
【0026】
本明細書は、個体におけるASDのリスクを検出する、診断する、および予測する遺伝子マーカーの使用のための方法を開示する。ある態様では、本明細書に開示される方法を用いて、個体がASDのリスクを有するか否かを明らかにすることができる。ある態様では、本明細書に開示される方法を用いて、個体におけるASDの診断を行うことができる。ある態様では、開示される方法を用いて、被験体におけるASDの臨床経過または状態のキャラクタリゼーションを行うことができる。ある態様では、本明細書に開示される方法を用いて、既存のASD治療、または開発中もしくはまだ開発されていないASD治療に対する被験体の反応を予測することができる。本明細書に開示される方法を用いて、任意のタイプのASDに関するスクリーニングを行宇ことができ、それらには以下がある:任意の代謝および免疫障害、てんかん、不安症、うつ、注意欠陥多動性障害、言葉の遅れまたは言語障害、運動失調、精神発達遅滞、統合失調症、および双極性障害。
【0027】
本明細書で使用する「遺伝子マーカー」という用語は、染色体上の既知の物理的な位置におけるDNA構造中の1つまたはそれ以上の遺伝的またはデノボ変異をいう。遺伝子マーカーには、特定のヌクレオチドまたは染色体領域における変異または多型がある。遺伝子マーカーの例として1ヌクレオチド多型(SNP)、そしてコピー数変異およびコピー数多型(CNV)がある。遺伝子マーカーを用いて、遺伝的表現型(疾病など)と関与する遺伝子型との関連付けを行うことができる。遺伝子マーカーを用いて、これまでに同定されていないがおよその位置は知られている近傍の遺伝子の遺伝を追跡してもよい。遺伝子マーカー自体が遺伝子のコード領域または調節領域の一部であってもよい。例えば遺伝子マーカーは遺伝子機能または遺伝子発現を変更しうる機能性多型であってもよい。あるいはまた、遺伝子マーカーは非機能性多型であってもよい。
【0028】
ある態様では、ASDと連鎖する遺伝子に関連する遺伝子マーカーまたは機能性多型の存在の検出によって、被験体がASDに罹患している、またはASD発症のリスクがあることを明らかにすることができる。ASD発症のリスクが高い被験体は、疾病の素因がある、遺伝的に疾病への感受性が高い、および/または遺伝子マーカーが存在する、もしくは存在しない被験体より疾病を発症する可能性が高い個体である。
【0029】
本明細書における使用では、ASDの診断、予測、および予後診断のためのマーカーは遺伝子的および/または生物学的マーカーであり、その存在または不在を用いて個体におけるASDの状態を示唆または予測することができる。ある態様では、ASDの診断、予測、または予後診断のための特定の遺伝子マーカーの存在または不在により、個体がASDに罹患しうるか否か、個体がASDの素因を有しうるか否か、および個体おけるASD治療の考えられうる結果を明らかにすることができる。
【0030】
本明細書で使用する「調節配列」とは、調節タンパク質(例えば転写因子)が結合しうるDNAのセグメントである。調節配列は調節される遺伝子の近傍に位置しうる。例えば調節配列は調節される遺伝子の上流に位置しうる。調節配列は遺伝子発現およびそれに続くタンパク質発現を制御する。
【0031】
本明細書で使用する「連鎖する」という用語は、特定の疾病または障害に罹患した患者または被験体(家族メンバーを含む)において、偶発的に予期または観察される場合より高い頻度で共有される染色体領域で、それによって、関連する染色体領域内の遺伝子(単数または複数)または他の同定された遺伝子マーカー(単数または複数)が疾病または障害の存在、高リスク、または低リスクと相関関係がある対立遺伝子を含有する、またはそれらの対立遺伝子と関係することが明らかになるものをいう。連鎖が確立されれば、相関研究を用いて目的の領域を絞り込むか、または疾病もしくは障害と相関するマーカーを同定することができる。
【0032】
本明細書で使用する「有効な遺伝子マーカー」または「検証済みマーカー」、例えば有効なSNPまたは検証済みSNPとは、遺伝子型が決定され、1またはそれ以上の個体に存在することが確認されているSNPを表す。ある態様では、遺伝子マーカーの確認(例えばSNPの確認)は種々の技術、例えばプライマー伸長、ハイブリダイゼーション、ライゲーション、PCR増幅、および制限酵素消化によって行ってもよい。別の態様では、SNPの確認はDNA融解曲線分析もしくはDNAシーケンシング、またはそれらを併用して行ってもよい。
【0033】
本明細書に記載する方法では、被験体における遺伝子マーカーの検出は当該分野で公知の方法に従って行うことができる。例えばDNAを含有する被験体由来の好適なサンプルからDNAを採取し、その後、十分確立されたプロトコルに従って調製および分析して遺伝子マーカーの存在を確認する。いくつかの態様では、DNA分析は特定の遺伝子マーカーまたはヌクレオチド配列の存在または不在についてDNAをアッセイすることを含んでもよい。ある態様では、DNAアッセイは当該分野で公知の増幅プロトコルに従って目的の領域を増幅することによって行ってもよく、それらのプロトコルには以下がある:例えばポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応、鎖置換増幅、転写に基づく増幅、自家持続配列複製法(3SR)、Qβレプリカーゼ・プロトコル、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、修復連鎖反応(RCR)、およびブーメランDNA増幅(BDA)。その後、増幅産物を染色によってゲル中で直接可視化するか、または検出可能なプローブとのハイブリダイゼーションによって産物を検出してもよい。遺伝子マーカーの全ての対立遺伝子型が増幅される増幅条件の場合、種々の公知の方法(例えば対立遺伝子特異的プローブとのハイブリダイゼーション、対立遺伝子特異的プライマーによる2次的増幅、制限エンドヌクレアーゼ消化、または電気泳動)でそれらの型を識別できる。従って本発明は更に、本発明の方法に従って遺伝子マーカーを検出および/または同定するためのプライマーおよび/またはプローブとして使用するためのオリゴヌクレオチドも提供する。
【0034】
ある態様では、目的の遺伝子マーカーに特異的な分子色素、プローブ、または他の分析物および試薬で遺伝子マーカーを染色またはマーキングすることによって、1つまたはそれ以上の遺伝子マーカーの存在または不在を可視化してもよい。それらのうちのある態様では、当業者に公知の蛍光プローブを含む自動化法、融解曲線分析、および他の遺伝子マーカー検出法によって遺伝子マーカーを検出してもよい。ある態様では、1つまたはそれ以上の遺伝子マーカーを検出し、検出された遺伝子マーカーをディスプレイ上で可視化し、遺伝子サンプル上の遺伝子マーカーの位置を表示してもよい。それらの態様の1つでは、1つまたはそれ以上の遺伝子マーカーの検出を電子装置によって行い、そこから生成されるシグナルをディスプレイに表示して、使用者のために1つまたはそれ以上の遺伝子マーカーの存在もしくは不在および/または1つもしくはそれ以上の遺伝子マーカーの位置を可視化してもよい。
【0035】
ある態様では、本明細書に開示される方法は、1つまたはそれ以上の遺伝子マーカーの存在または不在に関する遺伝子サンプルの分析およびアッセイを含むことができ、該方法は1つまたはそれ以上のDNAシーケンシング法の使用を更に含む。それらの態様の1つでは、本明細書に開示される方法は次世代シーケンシング・プラットフォーム(例えばSOLiD(Applied Biosystems社、米国カリフォルニア州フォスターシティ)、454(454 Life Sciences社、米国コネチカット州ブランフォード)、Illumina Genome Analyzer(Illumina社、米国カリフォルニア州サンディエゴ)、Helicos(Helicos BioSciences社、米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)、およびSanger)で使用されるような次世代のシーケンシング法を含んでもよい。ある態様では、DNAシーケンシングは当該分野で公知の方法(例えば質量分析法およびゲノムワイド・シーケンシング法(例えばPacific Biosciences社(米国カリフォルニア州メンロパーク)など)を用いて行う。
【0036】
ある態様では、遺伝子マーカーとASDとの関連付けは、当該分野で公知の方法に従って、また、本明細書の実施例に種々の表現型形質(疾病状態、障害および病的状態、疾病、障害、または病的状態の発症に関係するリスクのレベルなど)を有する遺伝子マーカーとの関連付けに関して開示されるようにして行うことができる。ある態様では、それらの相関関係の同定は、被験体における遺伝子マーカー(単数)またはマーカー(複数)の組み合わせの存在と表現型形質間の統計学的に有意な関連性および/または統計学的に有意な相関関係を構築する解析を行うことを含んでもよい。ある態様では、遺伝子マーカー(単数)または遺伝子マーカー(複数)の組み合わせと目的の表現型間の統計学的関連性(例えば有意な相関関係)を同定する解析によって、被験体における遺伝子マーカー(単数)または遺伝子マーカー(複数)の組み合わせの存在と解析すべき特定の表現型との間の相関関係を構築してもよい。
【0037】
ある態様では、ASD罹患集団には存在するが健常集団には存在しない特有の多型遺伝子マーカーを同定することによって、遺伝子マーカーをASDに関連付けることができる。それらの一例では、遺伝子サンプルをASDに罹患した個体から採取し、遺伝子サンプルを1つまたはそれ以上の遺伝子多型の存在または不在についてアッセイしてもよい。ASD罹患集団に存在する遺伝子多型を健常集団における遺伝子多型と比較し、ASD罹患集団に特有の遺伝子多型をASDと関連付けてもよい。それらの態様の1つでは、ASD罹患集団に特有の遺伝子マーカーは、特定の染色体領域、SNP、CNV、および他の遺伝子マーカーであってもよい。
【0038】
本明細書に記載する態様および実施例は、被験体における自閉症またはASDに関係する1つまたはそれ以上の遺伝子マーカーの検出を含む方法を開示する。本発明に関する「検出」という用語は、成人、小児、および出生前の胎児における種々の段階、例えば症状が現れる前の初期の段階および後期での検出、診断、モニタリング、投薬、比較などを含む。診断または検出は一般に予後診断、発症の素因またはリスクの評価、最も好適な治療を明らかにするための被験体のキャラクタリゼーション(薬理遺伝学)などがある。
【0039】
ある態様では、本開示は個体におけるASDのリスクを測定する方法を提供する。それらの態様の1つでは、本明細書に開示される方法は、個体が自閉症、ASD、もしくは自閉症関連障害の発症のリスクがあるか否か、または自閉症、ASD、もしくは自閉症関連障害に罹患しているか否かを確認することができる。他の態様では、個体がASD療法にポジティブに反応すると考えられるか否か、または個体がASD療法に対して有害な副作用を発症するリスクがあるか否かを確認する方法を提供する。
【0040】
別の態様では、被験体における自閉症、ASD、または自閉症関連障害の素因の存在を検出する方法を提供し、該方法は被験体由来サンプル中の1つまたはそれ以上の自閉症またはASD関連遺伝子マーカーの存在を検出することを含む。自閉症またはASDと連鎖する遺伝子マーカーの存在は、ASDのリスクを示すか、または自閉症、ASD、もしくは自閉症関連障害の存在もしくは素因を示してもよい。
【0041】
本発明の別の具体的な目的は、被験体における自閉症、ASD、または自閉症関連障害からの保護作用(protection)を検出する方法にあり、該方法は、被験体由来サンプル中の1つまたはそれ以上の遺伝子マーカーの存在または不在の検出を含み、1つまたはそれ以上の遺伝子マーカーの存在または不在は自閉症、ASD、または自閉症関連障害を示す。
【0042】
本明細書は、自閉症、ASD、または自閉症関連障害に関係する遺伝子または染色体領域中の一連の多型を提供する。多型の検出は、ASDおよび他の関連症状の遺伝的リスクまたは感受性を評価するための診断アッセイを設計および実施するのに有用である。多型分析は、ASD治療にカスタマイズした予防および治療計画の設計にも有用である。多型の検出は、ASD治療薬の臨床試験の実施にも有用である。また、本明細書は、被験体におけるASDの臨床スクリーニングおよび診断、特定の治療に対して反応を示す可能性が最も高い患者の同定、ASD療法の結果のモニタリング、および薬剤スクリーニングおよび創薬のための方法および組成物も提供する。薬剤または医薬品とは、疾病の予防、診断、緩和、処置、または治療に使用される全ての物質を意味する。これらの用語には、例えばワクチンも含まれる。
【0043】
多型とは、集団において2つまたはそれ以上の遺伝子的に決定される選択的配列または対立遺伝子が存在することを意味する。多型遺伝子マーカーまたは部位は、相違が起こる遺伝子座である。ある態様では、遺伝子マーカーは少なくとも2つの対立遺伝子を有し、それぞれが所定の集団の1%を超える頻度で、より好ましくは10%または20%を超える頻度で存在する。多型遺伝子座は、小さいものでは1塩基対であってもよい。
【0044】
多型遺伝子マーカーには一塩基多型(SNP)、制限断片長多型、可変数のタンデム反復多型(variable number of tandem repeats)、超可変領域、ミニサテライト、ジヌクレオチド反復、トリヌクレオチド反復、テトラヌクレオチド反復、単純配列反復、および挿入因子がある。本明細書に開示される多型遺伝子マーカーには細胞遺伝学的異常(例えばDNAコピー数変化またはCNVのような構造的ゲノム変化)も含まれる。ある態様では、CNVには個体の1つまたはそれ以上の染色体内におけるヌクレオチドの欠失、挿入、逆位、および重複が含まれる。
【0045】
SNPは1つのヌクレオチドが占める多型部位(対立遺伝子配列間で相違がある部位)に起こる。一塩基多型は多型部位において1個のヌクレオチドが別のもので置換されて起こる。トランジションは、1個のプリンが別のプリンで置換される、または1個のピリミジンが別のピリミジンで置換されるものである。トランスバージョンはプリンがピリミジンで置換される、またはその逆である。一塩基多型は、参照対立遺伝子と比較して1個のヌクレオチドが欠失するか、または1個のヌクレオチドが挿入されるかによっても起こりうる。
【0046】
ある態様では、1つまたはそれ以上の遺伝子マーカーの存在または不在によって、個体がASDのリスクを有するか否か、または感受性が高いか否かを予測することができる。それらの態様の1つでは、1つまたはそれ以上の遺伝子マーカーを、ゲノムワイド関連解析(GWAS)の使用によって疾病表現型と関連付けることができる。当業者に一般的に知られているように、GWASは目的の(例えば自閉症、ASD、または自閉症関連障害の)特性または表現型との遺伝学的関係を同定するために設計された、所定のゲノムの全長にわたる遺伝子多型分析である。特定の遺伝子多型がASD患者においてより高頻度で検出される場合、変異はASDと「関係する」と見なされる。ASDに関係する多型は、疾病表現型を直接引き起こすか、または疾病表現型の個体差に影響を与える近傍の遺伝子変異と連鎖不平衡(LD)にある場合もある。本明細書で使用するLDは、2つまたはそれ以上の遺伝子座における対立遺伝子座のランダムでない関連性である。
【0047】
ある態様では、当該分野で公知のDNAマイクロアレイを用いてGWASを行うことができる。アレイに基づく検出を行って遺伝子多型を検出することができる。市販のアレイ(例えばAffymetrix社(カリフォルニア州サンタクララ市)または他の製造者のもの)を用いて多型を検出してもよい。核酸アレイの操作に関する総説には以下がある:Sapolskyら(1999) “High-throughput polymorphism screening and genotyping with high-density oligonucleotide arrays.” Genetic Analysis: Biomolecular Engineering 14:187-192; Lockhart (1998) “Mutant yeast on drugs” Nature Medicine 4:1235-1236;Fodor (1997) “Genes, Chips and the Human Genome.” FASEB Journal 11:A879;Fodor (1997) “Massively Parallel Genomics.” Science 277: 393-395;およびCheeら(1996) “Accessing Genetic Information with High-Density DNA Arrays.” Science 274:610-614(これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0048】
当該分野で公知のように、種々のプローブアレイを使用して、目的の表現型に相関しうる多型の検出を行うことができる。ある態様では、DNAプローブアレイ・チップ、または、より大きなDNAプローブアレイ・ウエハー(個々のチップはこのウエハーを分割して得られる)を使用してもよい。そのような態様の1つでは、DNAプローブアレイ・ウエハーは、DNAプローブ(短いDNAセグメント)が高密度に配列されたガラスウエハーを含んでもよい。これらのウエハーはそれぞれ、例えば、(例えば目的の多型を含みうる個体または集団由来の)サンプルDNA配列を認識するのに使用される数百万のDNAプローブを保持できる。ガラスウエハー上の一連のDNAプローブによるサンプルDNAの認識は、DNAハイブリダイゼーションによって行われる。DNAサンプルがDNAプローブアレイとハイブリダイズする場合、サンプルは、サンプルDNA配列に相補的であるこれらのプローブに結合する。ある個体でサンプルDNAがいずれのプローブに最も強くハイブリダイズするかを評価することにより、サンプル中に既知の核酸配列が存在するか否かを確認し、それによって核酸中に見られる多型が存在するか否かを確認することができる。
【0049】
ある態様では、対立遺伝子の情報を得るためのDNAプローブアレイの使用は、一般に以下の段階を含む:DNAプローブアレイの設計および製造、サンプルの調製、サンプルDNAのアレイへのハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション事象の検出、および配列決定のためのデータ解析。それらの態様の1つでは、半導体製造から改変した工程を用いてウエハーを製造して費用対効果および高品質を実現させてもよく、それらは例えばAffimetrix社(カリフォルニア州サンタクララ市)から入手できる。
【0050】
本明細書は、1つまたはそれ以上の遺伝子マーカーの存在をアッセイするための遺伝子分析を用いて個体におけるASDの診断および予測を行う方法を提供する。それらの態様の1つでは、該方法は個体からサンプルを採取し、本明細書に開示される1つまたはそれ以上の遺伝子マーカーの存在または不在についてサンプルをアッセイする段階を含んでもよく、ここで、1つまたはそれ以上の遺伝子マーカーの検出により、個体がASDに罹患しているか否か、またはASDの素因があるか否かが明らかになる。サンプルは個体のゲノムの少なくとも一部を含むヌクレオチド・サンプルであってもよい。ある態様では、個体からのサンプルの採取は遺伝子サンプルの精製を含んでもよい。別の態様では、個体からのサンプルの採取は遺伝子サンプルを採取すること、遺伝子サンプルを精製すること、および精製された遺伝子サンプル中のヌクレオチドの少なくとも一部を増幅することを含んでもよい。それらの態様の1つでは、遺伝子サンプルの精製は公知のDNA精製法(ヌクレオチドの保存および加工に必要な試薬および溶液など)を含んでもよい。ある態様では、遺伝子サンプル中のヌクレオチドの少なくとも一部の増幅は、標準的なDNA増幅法(例えばPCR増幅および当業者に公知の他の方法)を含んでもよい。
【0051】
ある態様では、本明細書に開示される方法は、個体中の1つまたはそれ以上の多型の存在のアッセイ(当該分野で一般的に知られている方法など)を含むことができる。それらの態様の1つでは、個体中の遺伝子多型のアッセイ法はASDに関係するSNPの存在または不在についての個体のアッセイを、1つまたはそれ以上の遺伝子型同定アッセイ(例えばSNPアレイ、PCRに基づくSNP遺伝子型同定、DNAハイブリダイゼーション、蛍光顕微鏡、および当業者に公知の他の方法)を用いて行うことを含んでもよい。別の態様では、ASDと関係する1つまたはそれ以上のSNPマーカーの存在または不在のアッセイ法は、個体からヌクレオチド・サンプルを得ることおよび1つまたはそれ以上のSNPマーカーの存在または不在に関してヌクレオチド・サンプルをアッセイすることを含んでもよい。ある態様では、サンプルは有核細胞(ゲノム物質を含む)を含有する生体液または組織であってもよい。生体液の例には、例えば全血、血清、血漿、脳脊髄液、尿、涙、または唾液がある。組織の例には、例えば結合組織、筋肉組織、神経組織、上皮組織、およびそれらを組み合わせたものがある。
【0052】
ある態様では、本明細書に開示される方法は、個体について自閉症診断観察スケジュール(Autism Diagnotic Observation Schedule;ADOS)(Lordら, 1989)を完了すること、および/または自閉症診断面接-改訂版(Autism Diagnostic Interview-Revised;ADI-R)(Lord Cら, 1993, Infant Mental Health, 14:234-52)を完了することを含んでもよい。別の態様では、本明細書に開示される方法は、社会的コミュニケーション質問票(Social Communication Questionnaire;SCQ)(Berument SK, Rutter M, Lord C, Pickles A, Bailey A. Autism Screening Questionnaire.カリフォルニア州ロサンゼルス: Western Psychological Services; 1999)に記入する段階を含んでもよい。別の態様では、本明細書に開示される方法は、SCQおよびADI-Rに記入する段階を含んでもよい。別の態様では、本明細書に開示される方法は、個体をAGRE(自閉症遺伝子リソース交換プログラム;Autism Genetic Resource Exchange)の自閉症、広域スペクトラム(広汎性発達障害のスペクトラムに沿った機能障害のパターン。PDD-NOSおよびASなど)の分類に適合する兆候についてスクリーニングすることを含んでもよい。
【0053】
別の態様では、個体から採取したサンプルを、1つまたはそれ以上の図5のSNPの存在についてアッセイしすることができる(ここで、1つまたはそれ以上の図5のSNPが存在すれば、個体がASDに罹患しているか、またはASDの素因を有しうることを示している)。それらの態様の1つでは、ヌクレオチド・サンプルを個体から採取し、ヌクレオチド・サンプルの遺伝子分析を用いて、1つまたはそれ以上の図5のSNPを検出してもよい(ここで、1つまたはそれ以上の図5のSNPが検出されれば、個体がASDに罹患しているか、またはASDの素因を有しうることを示している)。
【0054】
ある態様では、自閉症またはASDに関係する遺伝子マーカーは1つもしくはいくつかのSNPであるか、または自閉症もしくはASDに関係するSNPのハプロタイプであることができる。ある態様では、SNP(単数または複数)は1つまたはそれ以上の自閉症表現型との関連を示す任意の染色体の任意の領域に位置するSNP(単数または複数)から選択してもよい。それらの態様の1つでは、SNPは以下の1つまたはそれ以上から選択してもよい:rs792065、rs1570056、rs1990790、rs1419437、rs6490970、rs8033248、rs723049、rs11856、rs383902、rs725463。別の態様では、SNPは以下の染色体領域にある1つまたはそれ以上のSNPから選択してもよい:chr1:1263780、chr1:29058101、chr1:119766587、chr1:119858612、chr1:218858461、chr2:71214095、chr2:71214149、chr2:73325289、chr2:73528735、chr2:73995390、chr2:166974436、chr2:167021776、chr2:170196614、chr2:238337442、chr3:182170684、chr3:185507271、chr4:26031446、chr4:72054541、chr7:4866564、chr7:4867056、chr7:5534505、chr7:95651559、chr7:98929208、chr7:99506771、chr7:100395546、chr7:142790211、chr7:148058211、chr7:149137143、chr7:149146123、chr7:150543700、chr14:23716246、chr14:92830014、chr14:94973061、chr14:96392267、chr15:23167006、chr15:23167974、chr15:30878395、chr15:31924372、chr15:32309401、chr15:32872933、chr15:38372478、chr16:30701961、chr16:74227476、chr17:4936913、chr17:7071455、chr17:10201831、chr17:10475692、chr17:10491274、chr17:26584174、chr17:26612891、chr17:42574238、chr17:42604329、chr17:59399410、chr17:77092876、chr17:77093634、chr20:22510710、chr20:22511269、chr20:22964569、chr20:36962649、chr20:40146764、chr20:55523287、chr20:62309884、chrX:69286838、chr1:120282135、chr1:143642818、chr1:143706015、chr1:143823771、chr2:66649410、chr2:67484633、chr2:68903445、chr2:69030773、chr2:69504234、chr2:69588140、chr2:70911738、chr2:70914509、chr2:71065913、chr2:71190712、chr2:73156164、chr2:73528735、chr2:73533464、chr2:74127837、chr2:74543547、chr2:74609836、chr2:75768493、chr2:158666851、chr2:159662421、chr2:160312625、chr2:162841642、chr2:165655210、chr2:166482066、chr2:167823571、chr2:167824043、chr2:169660419、chr2:169771223、chr2:169805953、chr2:169837793、chr2:169855748、chr2:170075397、chr2:171084214、chr2:171108695、chr2:171357656、chr2:171530822、chr2:231573388、chr2:231795719、chr2:231864328、chr2:232166687、chr2:234059308、chr2:234406547、chr2:237909702、chr2:237912473、chr3:112093827、chr3:176647773、chr3:180579202、chr3:184066088、chr3:185236972、chr3:185558457、chr4:140860153、chr4:141539531、chr6:10810785、chr7:8234803、chr7:11643113、chr7:36884209、chr7:37747188、chr7:37900671、chr7:38323363、chr7:38434448、chr7:40465321、chr7:91552847、chr7:91562391、chr7:91574620、chr7:92090311、chr7:92571911、chr7:92573090、chr7:92663124、chr7:94132918、chr7:95588991、chr7:97659791、chr7:97690335、chr7:98716480、chr7:98870453、chr7:98923039、chr7:99557938、chr7:99610234、chr7:99616221、chr7:99636683、chr7:100043642、chr7:100209036、chr7:100209409、chr7:100295514、chr7:100389562、chr7:100390071、chr7:100468079、chr7:100473497、chr7:100604621、chr7:100626011、chr7:100987485、chr7:101900231、chr7:102452856、chr7:103021438、chr7:105448208、chr7:105458503、chr7:107214558、chr7:107214563、chr7:107483484、chr7:107507398、chr7:107621849、chr7:116199159、chr7:147773902、chr7:147774021、chr7:149107052、chr7:149112927、chr7:149115460、chr7:149144493、chr7:149146708、chr7:149146729、chr7:149147419、chr7:149148911、chr7:149149894、chr7:149153095、chr7:149154517、chr7:150131460、chr7:150185525、chr7:150363958、chr7:150504687、chr7:151135431、chr7:151135628、chr9:115122468、chr11:5321069、chr12:51729223、chr12:81276690、chr12:87004364、chr12:87425022、chr14:22946107、chr14:22956249、chr14:23104999、chr14:23576850、chr14:23596289、chr14:23597029、chr14:23604756、chr14:23633179、chr14:23637338、chr14:23675369、chr14:23684201、chr14:23703843、chr14:23747134、chr14:23876742、chr14:23906655、chr14:23971116、chr14:23979353、chr14:29165482、chr14:32085148、chr14:35859480、chr14:36205504、chr14:38615002、chr14:44044716、chr14:44045261、chr14:44676037、chr14:65549893、chr14:92482551、chr14:92488069、chr14:93500464、chr14:93826223、chr14:93917015、chr14:93982649、chr14:94003226、chr14:94005815、chr14:94005863、chr14:94749445、chr14:94982141、chr14:95841712、chr14:96023031、chr14:99047892、chr14:99058300、chr14:99864892、chr14:99917276、chr14:100268170、chr14:101088716、chr14:102941336、chr14:103004241、chr14:103451203、chr15:25933648、chr15:29117258、chr15:30797704、chr15:31147053、chr15:31233603、chr15:31867807、chr15:31947233、chr15:32183139、chr15:32435939、chr15:32436227、chr15:32436539、chr15:38087546、chr15:38331785、chr15:38331812、chr15:38331909、chr15:38446768、chr15:38462735、chr15:38462785、chr15:38702138、chr15:39095657、chr15:39591046、chr15:39615049、chr15:39816112、chr15:39899045、chr15:39907634、chr15:39916346、chr15:39965414、chr15:40079445、chr15:40082164、chr15:40089725、chr15:40150370、chr15:40151383、chr15:40173922、chr15:40389913、chr15:41409390、chr15:41557143、chr15:41855277、chr15:42687962、chr15:42749480、chr15:43036413、chr15:43179367、chr15:43180306、chr15:43191358、chr15:43195706、chr15:43197024、chr15:43202449、chr15:43227892、chr15:43254832、chr15:43278374、chr15:43278428、chr15:43482826、chr15:53510164、chr15:53626499、chr15:53703995、chr15:53931921、chr15:53995755、chr15:54173160、chr15:55518627、chr15:56770880、chr16:69475356、chr16:74203924、chr16:75039502、chr16:75040248、chr16:75090084、chr16:75144850、chr16:75804018、chr16:77023938、chr17:42613950、chr17:42613953、chr17:69862619、chr19:52515711、chr20:7912476、chr20:8646451、chr20:25405022、chr20:29440610、chr20:29516983、chr20:29517040、chr20:30240809、chr20:30486620、chr20:30831863、chr20:31083176、chr20:33051846、chr20:33485478、chr20:33611736、chr20:33653491、chr20:33682087、chr20:34273264、chr20:34942544、chr20:35182837、chr20:36048999、chr20:36074389、chr20:36301520、chr20:36388138、chr20:36408359、chr20:36426747、chr20:39482993、chr20:40146778、chr20:49482124、chr20:49840909、chr20:51626044、chr20:55517073、chr20:55623391、chr20:56479171、chr20:56702274、chr20:56715597、chr20:56722424、chr20:56849229、chr20:56862842、chr20:57202002、chr21:42404472、chr2:73489288、chr2:237070852、chr7:95052983、chr14:23749768、chr14:23876143、chr14:101799639、chr14:101819626、chr15:42408207、chr15:53510174、chr2:65979948、chr2:71151379、chr2:232087036、chr2:233543168、chr2:238307199、chr3:144853891、chr3:184708990、chr7:92908747、chr7:97705858、chr7:99526888、chr7:99899245、chr7:107588172、chr7:149149144、chr14:23182201、chr14:30860637、chr14:36751311、chr14:44674211、chr14:99329632、chr14:99861879、chr15:39891447、chr15:39920587、chr15:43591939、chr16:76314015、chr20:29918618、chr20:31231133、chr20:31232063、chr20:35363230、chr20:37024463、and chr20:56998090。
【0055】
ある態様では、自閉症またはASDに関係する遺伝子マーカーは、自閉症に関係しうる対立遺伝子または遺伝子座とLDにあるマーカーの群から選択することができる。ある態様では、遺伝子マーカーはヒト1-22番染色体、X染色体、およびY染色体のいずれかにある染色体領域とLDにあってもよい。それらの態様の1つでは、遺伝子マーカー(単数または複数)はヒト染色体領域2p25.3-p24.1、6q22.32-q24.1、7q31.31-q32.3、7q31.31-q32.3、13q12.11-q12.3、15q13.1-q14、15q14-q21.1、15q21.2-q22.1、15q21.1-q22.2、またはそれらを組み合わせたものとLDにある遺伝子マーカーから選択してもよい。別の態様では、遺伝子マーカー(単数または複数)はヒト染色体領域1p12、1q21、2p14、2q23-q31、2q37、3q13、3q26-q27、4p15、4q28-q31、7p21、7p14、7q21-q31、7q31、7q35-36、12q21、12q21、14q11-q21、14q32、15q11、15q12-q21、15q21-q22、16q22-23、20p12、20p11-q13、および20q13の1つまたはそれ以上とLDにある遺伝子マーカーから選択してもよい。
【0056】
更に別の態様では、1つまたはそれ以上の遺伝子マーカーには、目的の遺伝子とLDにある遺伝子マーカーが含まれる。ある態様では、遺伝子マーカーは自閉症感受性遺伝子とLDにある。それらの態様の1つでは、遺伝子マーカー(単数または複数)は15番染色体、例えばユビキチン・プロテインリガーゼE3A、UBEA、GABA-A受容体、およびGABRB3に位置する遺伝子とLDにあってもよい。別の態様では、遺伝子マーカーは、27,440,000bp-32,790,000bp;32,790,000bp- 43,260,000bp;および50,770,000bp- 56,800,000bpの境界を有する15番染色体領域に位置するか、またはその領域とLDにあってもよい。別の態様では、本明細書に開示される方法に従って使用する遺伝子マーカーは以下とLDにある、または関係してもよい:ニューロリジン、ニューレキシン、コンタクチン関連タンパク質(CNTNAP2)、セロトニン輸送体(SLC6A4)、エングレイルド2(EN2)、リーリン(RELN)、分泌関連Ca+依存性活性化タンパク質2(CADPS2)、met癌原遺伝子(MET)、ニューロビーチン遺伝子(NBEAL2)、およびオキシトシン受容体(OXTR)。
【0057】
更に別の態様では、遺伝子マーカー(単数または複数)は、例えば以下のような1つまたはそれ以上の目的遺伝子と関係する、またはLDにあってもよい:NOTCH2、NRXN1、C2orf32 (CNRIP1)、AAK1、SCN7A、CNTN3、NHE9 (SLC9A9)、DIA1 (c3orf58)、NLGN1、KCNMB2、KCNMB3、FXR1、PCDH7、BC036345、PCDH10、RNF8、MAGI2MET、KCND2、CNTNAP2、EN2、NPAS3、GEPH、M84131、Prader-Willi/Angelman (NIPA1)、UBE3A、GABRB3、GABRA5、GABRG3、CHRNA7、SCG5、RYR3、GPR176、DYX1C1、PYGO1、NEDD4、Gcom1、GRINL1A、ALDH1A2、ADAM10、HSP90Bd、A2BP1、SLC6A4、EPB41L1、DLGAP4、NNAT、SLC32A1、PPP1R16B、PTPRT、CBLN4、SHANK3、NLGN4X、NLGN3、NHE6 (SLC9A6)、FMR1、MECP2、およびNLGN4Y。
【0058】
ある態様では、1つまたはそれ以上のASD診断および予測マーカーを、細胞遺伝学的異常(DNAコピー数変化またはCNVのような構造的ゲノム変化など)を含む遺伝子マーカーの群から選択することができる。ある態様では、CNVには個体の1つまたはそれ以上の染色体内の欠失、挿入、逆位、および重複が含まれてもよい。
【0059】
ある態様では、ASDに罹患した、またはASD発症のリスクがある個体の同定法を提供する。ある態様では、方法は遺伝子サンプル(例えばヌクレオチド・サンプル)を個体から採取すること、およびヌクレオチド・サンプルをアッセイして1つまたはそれ以上のCNV(ASDと関係しうるDNA欠失、DNA重複、DNA転座、およびDNA逆位など)の存在を検出することを含んでもよい(ここで、特定のCNVが存在すれば、個体がASDに罹患しているか、またはASDのリスクが高い、もしくはASD発症の素因があることを示す)。別の態様では、方法は、個体から遺伝子サンプルを採取すること、および、遺伝子サンプルをアッセイしてCNVを有するゲノム領域(2つより少ない、または2つを超えるゲノム・コピーを有するゲノム領域など)を検出および同定することを含んでもよい。ある態様では、本明細書に開示される方法は、遺伝子サンプルを採取すること、遺伝子サンプルを精製すること、および、精製した遺伝子サンプルを細胞遺伝学的異常(DNAコピー数変化またはCNVのような構造的ゲノム変化など)についてアッセイすることを含んでもよい。別の態様では、本明細書に開示される方法は、遺伝子サンプルを採取すること、遺伝子サンプルを精製すること、および、精製した遺伝子サンプルの少なくとも一部を増幅すること、および増幅した遺伝子サンプルをCNVについてアッセイすることを含んでもよい。
【0060】
ある態様では、本明細書に開示される方法は、個体から遺伝子サンプルを採取すること、および、遺伝子サンプルを図7および図8に記載するCNVから選択される1つまたはそれ以上のCNVの存在または不在についてアッセイすることを含むことができる。それらの態様の1つでは、本明細書に開示される方法は、遺伝子サンプルを以下の染色体領域にある1つまたはそれ以上のCNVの存在についてアッセイすることができる:chr2:51125559-51189547、chr2:52274067-52437594、chr3:6699453-7021515、chr4:58506555-58511567、chr4:101770239-101835304、chr5:99662671-99710597、chr6:44221894-44288199、chr6:62501698-62520254、chr6:147630445-147706364、chr7:6805237-6830596、chr7:105073185-105108589、chr7:124333486-124367438、chr8:4895081-4898830、chr9:115507944-115671495、chr10:60463309-60527538、chr11:97653609-97718006、chr11:100322865-100325873、chr12:125874456-125880958、chr14:27575946-27590096、chr14:36998504-37018142、chr15:85631534-85671493、chr16:16153230-16164268、chr16:81003756-81269005、chr16:82466542-82483869、chr17:3954343-4271157、chr17:36465434-36474838、chr22:49402766-49581309、およびchrX:3216732-3226695。
【0061】
ある態様では、ASDの診断または予測のための1つまたはそれ以上のCNVは、染色体の遺伝子およびタンパク質コード領域を含んでもよい。それらの態様の1つでは、CNVは任意の組織で発現される遺伝子に影響を与えてもよい。別の態様では、CNVは中枢神経系で主に発現される遺伝子に影響を与えてもよい。別の態様では、ASDの診断または予測のためのCNVは染色体の非コード領域に位置してもよい。それらの態様の1つでは、非コード領域に影響を与えるCNVは、遺伝子の調節および発現に影響を与えてもよい。
【0062】
ある態様では、本明細書に記載するCNVを任意のDNA、RNA(例えばノザンブロッティング)、またはタンパク質(例えばウェスタンブロッティングまたはタンパク質活性)に基づく方法によってアッセイおよび検出してもよい。DNAに基づく方法の非制限的な例として以下がある:定量PCR;蛍光インサイチュー・ハイブリダイゼーション(FISH);サザンブロッティング;多重増幅可能プローブ・ハイブリダイゼーション(MAPF。Holloxら, 2002, Expert Rev. Mol. Diagn., 2(4):370-8参照);多重ライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA。Schoutenら, 2002, Nucleic Acids Res., 30(12):e57参照。キットはMRC-Holland社(オランダ アムステルダム)から入手可);QMPSF(短鎖蛍光フラグメントの定量多重PCR。Casilliら, 2002, Hum. Mutat. 20(3):218-26参照);およびそれらの方法を組み合わせたもの。これらの方法は当該分野で公知であり、当業者は個体から単離したゲノムDNAを用いて分析を行うことができる。
【0063】
ある態様では、本明細書に記載する方法におけるCNVの検出は、オリゴヌクレオチドに基づくアレイによる比較ゲノム・ハイブリダイゼーション(オリゴヌクレオチド・アレイCGH)による。ある態様では、本明細書に記載する方法におけるCNVの検出は、細菌人工染色体に基づくアレイによる比較ゲノム・ハイブリダイゼーション(BACアレイCGH)による。CGHは、1つまたはそれ以上の被験ゲノムまたはその一部(例えば腫瘍細胞)中の核酸配列の相対的コピー数を、参照ゲノム(例えば、ASDと診断されていない、またはその素因がない人の健常ヒト・ゲノム)中のそれらの配列の位置の関数として測定する方法である。それらの態様の1つでは、標識された被験核酸のそれぞれから生成されるシグナルの強度(単数または複数)および/または標識された被験核酸配列からの異なるシグナル間の比率の差異を比較して、1つまたはそれ以上の被験ゲノムまたはその一部に中の核酸配列の相対的コピー数を測定してもよい。米国特許第5,721,098号、第5,665,549号、第5,856,097号、第5,976,790号、第6,159,685号、および第6,335,167号はCGHおよびその使用について記載している。これらの特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0064】
ある態様では、本明細書に開示される方法はBACアレイCGHの使用を含んでもよく、ここで、CGHアレイ・チップはBACで増幅したゲノム配列を用いて作製する。ある態様では、オリゴヌクレオチド・アレイCGHのチップは特定の標的遺伝子もしくはゲノム領域、またはそれらを組み合わせたものを含有する1つまたはそれ以上の合成オリゴ核酸を用いて作製してもよい。
【0065】
ある態様では、本明細書に記載する方法は遺伝子サンプルの分析を含んでもよく、ここで、分析はASDに罹患している、ASDの素因がある、またはASDのリスクがある個体のゲノムのマイクロアレイ分析を含む。それらの方法の1つでは、個体ゲノムの遺伝子配列または個体ゲノムの遺伝子配列の一部を健常個体の被験遺伝子配列と比較して、ゲノム多型(SNPおよびCNVなど)を検出してもよい。ある態様では、個体由来の遺伝子サンプルの分析はマイクロアレイ法(アレイ比較ゲノム・ハイブリダイゼーション(aCGH)など)を含んでもよい。それらの態様の1つでは、aCGH法は1つまたはそれ以上の以下の段階を含んでもよい。まず、DNAを被験サンプル(例えば血液、皮膚、胎児細胞)から抽出する。次いで、被験DNAを特定の色の蛍光色素で標識し、健常コントロール(参照)サンプル由来のDNAは異なる色の色素で標識する。その後、2つのゲノムDNA(被験および参照)を混合し、マイクロアレイに適用する。DNAは予め変性されているので、1本鎖である;従って、スライドに適用すると、アレイの1本鎖プローブとハイブリダイズしようとする。次に、デジタル・イメージング・システムを用いて、各標的にハイブリダイズした標識DNAプローブの相対的蛍光強度を捕捉および定量してもよい。被験および参照ハイブリダイゼーション・シグナルの蛍光比をゲノム上の異なる位置で測定し、正常ゲノムと比較した被験ゲノム中の配列の相対的コピー数に関する情報を得る。
【0066】
ある態様では、本明細書に開示される方法は既知または新規のCNVの同定を含んでもよい。一般に、被験体ゲノムにおける正常塩基対は、各染色体上に1つずつ、合わせて2つのコピーを有する。男性のX染色体上の塩基対は通常1コピーだけである。2つの塩基対が異なる遺伝子型であっても、2つのコピーであると見なされる。しかしながら、特定の状況下(特に特定の疾病の場合)では、1つの塩基対、または場合によっては全染色体が、2回より多く反復されている、1回しか出現しない、または完全に欠失している場合がある。塩基対のコピーの数は「コピー数」、コピー数の変異は「コピー数多型」またはCNVと称される。
【0067】
ある態様では、本明細書に開示される方法は、マイクロアレイ・スキャンを使用して被験体ゲノム中のCNVをアッセイおよび検出してもよい。マイクロアレイ・スキャンでは、いずれの対立遺伝子が存在するかに関係なく、更に、塩基対が多型である場合でも、塩基対または染色体領域のコピー数が多いほど全強度が高くなる。一般に、強度データを処理して、クォンタイル正規化された、強度測定値対参照集団の2を底としたログ(log2)の比に変換する必要がある。所定の塩基対に関する強度測定値が参照集団と同じであれば、log2比はゼロとなる。参照より増幅されていればゼロより有意に高く、欠失していればゼロより有意に低い。
【0068】
ある態様では、本明細書に開示されるCNVは、機能性CNVである多型CNVを含んでもよい。別の態様では、本明細書に開示されるCNVは機能的でない多型CNVを含んでもよい。ある態様では、自閉症またはASDに関係する遺伝子マーカーは、自閉症に関係する1つまたはいくつかのCNVまたはCNVのハプロタイプであってもよい。ある態様では、1つまたはそれ以上のCNVは、1つまたはそれ以上の自閉症表現型との関係を示す任意の染色体の任意の領域に位置するCNVから選択してもよい。それらの態様の1つでは、CNVは図7および図8に記載する1つまたはそれ以上のCNVから選択してもよい。
【0069】
ある態様では、本明細書に開示される方法は、個体から遺伝子サンプルを採取すること、および、遺伝子サンプルを1つまたはそれ以上のSNPおよび1つまたはそれ以上のCNVの存在についてアッセイすることを含んでもよく、ここで、1つまたはそれ以上のSNPおよび1つまたはそれ以上のCNVの存在は、個体がASDに罹患しているか、ASDのリスクを有しうるか、またはASD発症の素因を有しうることを示す。それらの態様の1つでは、遺伝子サンプルを1つまたはそれ以上のSNPおよびCNVについてアッセイしてもよく、ここで、SNPは図5および図6に記載する1つまたはそれ以上のSNPから選択してもよい;また、CNVは図7および図8に記載する1つまたはそれ以上のCNVから選択してもよい。別の態様では、遺伝子サンプルを1つまたはそれ以上のSNPおよびCNVについてアッセイしてもよく、ここで、SNPは1つまたはそれ以上のrs792065、rs1570056、rs909475、rs9295417、rs1990790、rs1419437、rs6490970、rs8033248、rs723049、rs11856、rs383902、rs725463、rs4801273、rs964795、rs2032088、rs1016694、rs2835667、rs1012959から選択してもよい;また、CNVは以下の染色体領域の1つまたはそれ以上から選択してもよい:chr2:51125559-51189547、chr2:52274067-52437594、chr3:6699453-7021515、chr4:58506555-58511567、chr4:101770239-101835304、chr5:99662671-99710597、chr6:44221894-44288199、chr6:62501698-62520254、chr6:147630445-147706364、chr7:6805237-6830596、chr7:105073185-105108589、chr7:124333486-124367438、chr8:4895081-4898830、chr9:115507944-115671495、chr10:60463309-60527538、chr11:97653609-97718006、chr11:100322865-100325873、chr12:125874456-125880958、chr14:27575946-27590096、chr14:36998504-37018142、chr15:85631534-85671493、chr16:16153230-16164268、chr16:81003756-81269005、chr16:82466542-82483869、chr17:3954343-4271157、chr17:36465434-36474838、chr22:49402766-49581309、およびchrX:3216732-3226695。
【0070】
別の態様では、本明細書に開示される方法は、個体から遺伝子サンプルを採取すること、および、遺伝子サンプルを1つまたはそれ以上のSNP、1つまたはそれ以上のCNV、および少なくとも1つの他の多型遺伝子マーカーの存在についてアッセイすることを含んでもよく、ここで、1つまたはそれ以上のSNP、1つまたはそれ以上のCNV、および少なくとも1つの他の多型遺伝子マーカーの存在は、個体がASDに罹患しているか、ASDのリスクを有しうるか、またはASD発症の素因を有しうることを示す。
【0071】
特に記載しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の通常の技術者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。分子生物学における一般用語の定義は、以下に記載されている:The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,第18版(Merck Research Laboratories社)2006(ISBN 0-911910-18-2); Robert S. Porterら(編)、The Encyclopedia of Molecular Biology(Blackwell Science社)1994(ISBN 0-632-02182-9);およびRobert A. Meyers(編)、Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference(VCH Publishers社)1995(ISBN 1-56081-569-8)。分子生物学における一般用語の定義は、以下に記載されている:Benjamin Lewin, Genes IX(Jones & Bartlett Publishing社)2007(ISBN-13: 9780763740634);Kendrewら(編)The Encyclopedia of Molecular Biology(Blackwell Science社)1994(ISBN 0-632-02182-9);およびRobert A. Meyers(編)Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference(VCH Publishers社)1995(ISBN 1-56081-569-8)。
【0072】
特に記載しない限り、本発明は標準的な方法を用いて実施したが、それらは例えば以下に報告されている:Maniatisら, Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press。米国ニューヨーク州コールドスプリングハーバー)(1982);Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第2版)(Cold Spring Harbor Laboratory Press。米国ニューヨーク州コールドスプリングハーバー)(1989);Davisら, Basic Methods in Molecular Biology(Elsevier Science Publishing社。米国ニューヨーク)(1986);または、Methods in Enzymology:Guide to Molecular Cloning Techniques Vol. 152, S. L. BergerおよびA. R. Kimmerl(編)(Academic Press社。米国サンディエゴ(1987))、Current Protocols in Molecular Biology(CPMB)(Fred M. Ausubelら編, John Wiley and Sons社)、Current Protocols in Protein Science(CPPS)(John E. Coliganら編, John Wiley and Sons社)、Current Protocols in Immunology(CPI)(John E. Coliganら編,John Wiley and Sons社)、Current Protocols in Cell Biology(CPCB)(Juan S. Bonifacinoら編, John Wiley and Sons社)、Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique by R. Ian Freshney, Publisher: Wiley-Liss;(第5版)(2005)、Animal Cell Culture Methods(Methods in Cell Biology, Vol. 57, Jennie P. Mather and David Barnes editors, Academic Press(第1版)1998)(全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0073】
理解されるように、以下の実施例は本明細書に記載する特定の方法論、プロトコル、および試薬などに限定されるものと解釈されるべきではなく、多様でありうる。本明細書で使用する専門用語は特定の態様のみを記述することを目的とし、本明細書に開示される態様の範囲を制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0074】
実施例1
試料と方法
被験体:被験体は、少なくとも2人のASDに罹患した家族メンバーを有する70家系のメンバーとした。合計653人の被験体の遺伝子型同定を行い、192人は厳密に定義される自閉症障害またはより広範に定義されるASDと定義された。表1にこれらの家族(20組の広範な拡大家系(6-9世代)、6組の中程度のサイズの家族(4-5世代)、および44組の小家族(2-3世代)を含む)の特徴を示す。
【0075】
【表1】

【0076】
20組の拡大家系について、ユタ人口データベース(Utah Population Database;UPDB。650万人以上の個体(そのほとんどが19世紀のユタ開拓者の子孫である)の家系情報を含む電子化された系譜データベース。www.hci.utah.edu/groups/ppr/)を用いて同定を行った。UPDBを用いて、ASDを有する個体間で、被験者やその家族に知られていなかった多くの遠戚関係が同定された。
【0077】
表現型:参加を希望する家族に質問同意書、次いで可能性のある除外基準についての初期情報、そして社会的コミュニケーション質問票(Social Communication Questionnaire;SCQ)(Berument SK, Rutter M, Lord C, Pickles A, Bailey A. Autism Screening Questionnaire.カリフォルニア州ロサンゼルス: Western Psychological Services; 1999)の記入を依頼した。SCQは自閉症診断面接-改訂版に基づいた、親からの報告による評価基準として開発された(Lord C, Rutter M, Le Couteur A. Autism Diagnostic Interview-Revised: a revised version of a diagnostic interview for caregivers of individuals with possible pervasive developmental disorders. J Autism Dev Disord 1994;24:659-85)。これは、良好な感度(0.83)および特異度(0.75)に加え、良好なASD鑑別妥当性(0.88)を示した(Baranek GT, Bodfish JW, Gordon AM, Houser MB, Poe MD. Concurrent validity of the ADI-R and SCQ in high functioning autism In: Collaborative Programs of Excellence in Autism/Studies to Advance Autism Research and Treatment Annual Meeting; 2004; Bethesda, MD; 2004)(参照により本明細書に組み込まれる)。過去の診断の記録に基づいて被験者とコンタクトを取り、ASDの疑いがある人のSCQスコアが少なくとも15であれば、報告された閾値を使用して自閉症を同定した。自閉症に関係することが知られている医学的状態(結節硬化、脆弱X染色体、神経線維腫症、先天性風疹、またはPKU)または脳損傷の証拠が報告された場合は、その被験者を除外した。被験者が試験に適格であれば、DNAおよび更なる評価に関するインフォームドコンセントに署名を依頼した。その後、可能な場合は、ASD発症の疑いのある全ての被験者にADI-Rおよび自閉症診断観察スケジュール-ジェネリック(ADOS-G)の両方を適用し、これらの評価を用いて診断に関する検討を行った(Lord C, Risi S, Lambrecht Lら, The autism diagnostic observation schedule-generic: a standard measure of social and communication deficits associated with the spectrum of autism. J Autism Dev Disord 2000;30:205-23;参照により本明細書に組み込まれる)。評価を得られなかった症例では、自閉症評価の訓練を受けた心理学者がDSM-IV基準に従い、全ての入手可能な情報(病歴、他の行動データ、および他の質問およびインタビュー情報)を用いて診断を行った。遺伝子型同定を行ったがASDと診断されなかった被験者は全て、この分析では未知の表現型を有すると見なした。
【0078】
ASDを有する被験者において、年齢と発達レベルに適した評価を用いてIQを測定した。ウェクスラー児童知能検査(The Wechsler Intelligence Scale for Children)WISC-IIIまたはウェクスラー成人知能検査(Wechsler Adult Intelligence Scale)WAIS-III、相違検知能力スケール(Differential Abilities Scale;DAS)、およびミューレンの初期発達スケール(the Mullen Scales of Early Development)を使用した(Wechsler D. Manual for the Wechsler Intelligence Scale for Children-Third Edition.テキサス州サンアントニオ:The Psychological社;1991;Wechsler D. Wechsler Adult Intelligence Scale - Third Edition.テキサス州サンアントニオ:The Psychological社;1997; Elliott C. Differential Ability Scales.テキサス州サンアントニオ:The Psychological社;1990;およびMullen E. Mullen Scales of Early Learning, AGS Edition. ミネソタ州サークルパインズ:American Guidance Service;1995(それぞれ、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0079】
DASは典型的な、または遅延した発達のいずれかを示す2歳半から18歳の小児に適しており、DASからの全般的概念能力スコアはウェクスラーの全検査IQ(WISC-IIIおよびWAIS-III)と十分な相関関係を示す(Dicerbo KE BA. A convergent validity study of the differential ability scales and the Wechsler Intelligence Scale for Children-第3版 Hispanic Children. J Psychoed Assess 2000:344-52;およびDumont R CC, Price L, Whelley P. The relationship between the Differential Ability Scales (DAS) and the Wechsler Intelligence Scale for Children -第3版(WISC-III) for students with learning disabilities. Psychology in the Schools 1996:203-9)。DASで有効なスコアが得られなかった68ヶ月未満の被験者には、ミューレン(Mullen;幼児における認知機能の標準化された評価基準)を用いた。Mullenを用いた被験者では、Early Learning Composite偏差値(平均値=50、sd=10)を標準スコアに変換し(平均値=100、sd=15)、全体的IQの基準とした(Sattler J. Assessment of Children:Cognitive Applications.カリフォルニア州ラメサ:Jerome M. Sattler, Publisher社; 2001。参照により本明細書に組み込まれる)。
【0080】
遺伝子型同定:遺伝子型同定はCenter for Inherited Disease Research(CIDR)に依頼した(6K SNPリンケージ・パネルを使用)。まず、家系(複数)からの703サンプルに、クオリティーコントロール(QC)のためにそれらの家系サンプルの盲検重複サンプル32検体を加え、合計735サンプルを遺伝子型同定のために送付した。QC遺伝子型同定にはCIDRが使用する内部標準も含めた。遺伝子型同定のプラットフォームはIllumina Linkage Panel 12である(6090のSNPマーカーを含み、平均遺伝子カバレッジ(genetic coverage)=0.65 cM)。Illumina BeadStudioソフトウェアを使用し、定量的GenCallスコア(リリースされたSNPアッセイ全体にわたって、DNAサンプルがどの程度良好に実施されたかを示す指標である)を用いて全ての遺伝子型を評価した(Illumina社;米国カリフォルニア州サンディエゴ)。合計55サンプルは、以下の理由の1つまたはそれ以上によって、リリースされなかった:1)集団が不明瞭、2)過剰複製および/もしくはメンデル遺伝のエラー、3)50%を超える欠測データ、または4)X染色体上のマーカーに関する欠測データが予想より高い(46XXまたは46XO核型のモザイクである可能性を示唆している)。リリースされなかったこれら55サンプルのうち5サンプルは盲検重複ペアであり、残りは家系被験体であった。従って、合計680検体の遺伝子型同定を行うことができ、そのうち653検体が家系メンバーであり、27検体がQCのための盲検重複サンプルであった。3組の小型家族はこのQC段階後、1症例しか残らなかったので、事実上、有効なサンプルは67家族であった。
【0081】
可能性のあるSNP、合計6,090のうち、6,044がリリースされた。クラスタリング・パターンが典型的でない場合は、その遺伝子座を除外した。合計4,309,372検体の遺伝子型がリリースされ、欠測データは0.064%、メンデル遺伝法則一致率は99.96%であった。その後、メンデル遺伝エラーのあったSNPはPedCheckを用いてゼロに設定した(O'Connell JR WD. PedCheck: A program for identifying genotype incompatibilities in linkage analysis. Am J Hum Genet 1998:259-66)。PedCheckによって不適切データを除去したファイルを用いて、27ペアの盲検重複サンプルのペア間の一致性について確認した。これらの不適切データを除去した遺伝子型において、重複サンプルの再現性は100%であった。
【0082】
解析:CIDRから提供された遺伝子マップ(deCODE遺伝子マップに基づく)を用いて解析を行った(Kong A, Gudbjartsson DF, Sainz J.ら, A high-resolution recombination map of the human genome. Nat Genet 2002;31:241-7)。塩基対位置はヒトゲノム配列(March 2006 human reference sequence (hg18) assembly)から得た。解析は多点連鎖ソフトウェアMCLINK、マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法(広範な拡大家系における多遺伝子座連鎖解析を可能とする)を用いて行った(Thomas A, Gutin, A., Abkevich, V.およびBansal, A. . Multipoint linkage analysis by blocked Gibbs sampling. Statistics and Computing 2000:259-69;参照により本明細書に組み込まれる)。ブロック化ギブスサンプリングを使用し、MCLINKによって、解析すべきマーカーのハプロタイプ鎖から遺伝的マトリクスを得、対数尤度関数による連鎖統計値の近似計算を行った。まず、解を一定にするため、MCLINK解析を5回行った。MCLINKは、既に多くの複雑な疾病で、候補となるゲノム領域の同定のために使用されてきている(Coon H, Matsunami N, Stevens J,ら. Evidence for Linkage on Chromosome 3q25-27 in a Large Autism Extended Pedigree. Hum Hered 2006;60:220-6;およびChristensen GB, Camp NJ, Farnham JM, Cannon-Albright LA. Genome-wide linkage analysis for aggressive prostate cancer in Utah high-risk pedigrees. Prostate 2007;67:605-13。それぞれ、参照により本明細書に組み込まれる)。MCLINK解析で、対立遺伝子頻度を観察された全てのデータを用いて試算した。
【0083】
単純優性劣性モデル・パラメータを使用して一般的なパラメトリック・モデルに基づく解析を行ったところ、報告されているASDの集団頻度が再現された。このパラメトリック法は、特に複雑な拡大家系を用いる場合の、複雑な特性(ASDなど)の解析に非常に適している。パラメトリック・モデルでは遺伝子型-表現型の関係についての仮説が得られるが、これによって母数空間が単純化され、偽陽性結果を生じない、より強力で有効な解析が可能となる(Terwilliger JD, Goring HH. Gene mapping in the 20th and 21st centuries: statistical methods, data analysis, and experimental design. Hum Biol 2000;72:63-132;Goring HH, Terwilliger JD. Linkage analysis in the presence of errors I: complex-valued recombination fractions and complex phenotypes. Am J Hum Genet 2000;66:1095-106;および、Greenberg DA, Abreu P, Hodge SE. The power to detect linkage in complex disease by means of simple LOD-score analyses. Am J Hum Genet 1998;63:870-9。それぞれ、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0084】
多点不均一LODスコア(HLOD)により、連鎖していない家系および組み換え割合の変化が考慮される。HLODスコアは(ASDの場合のような)有意に不均一である条件下で、より正確に連鎖ピークの真の位置を反映しうるもので、HLODスコアはこれらの条件下で均一LODスコアまたはモデルフリー法より有効性が高いことが明らかになっている(Goldin LR. Detection of linkage under heterogeneity: comparison of the two-locus vs. admixture models. Genet Epidemiol 1992;9:61-6;および、Abreu PC, Greenberg DA, Hodge SE. Direct power comparisons between simple LOD scores and non-parametric LOD (NPL) scores for linkage analysis in complex diseases. Am J Hum Genet 1999;65:847-57。それぞれ、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0085】
偽陽性結果を更に確認するために、少なくとも示唆的な連鎖の証拠(HLOD>1.86)を与える連鎖ピーク(1ロッドの低下と定義する)を再解析し、マーカー間のLDによる上昇の可能性を明らかにした。PLINKソフトウェア・パッケージ(スライド・ウィンドウ内でSNPを再帰的に除去する)を用いて、SNPのLDに関するスクリーニングを行った。ウィンドウ・サイズをSNP50個に設定し、各段階で5個のSNPずつシフトさせ、分散拡大要因(VIF)を1.5とした(これは、選択したウィンドウ中の全SNPにわたって同時に回帰させたR2が0.33に相当する)。このようにLDの閾値が相対的に厳密なことは、このスクリーニング後に残るピークがLDによって起こりうる上昇に対してかなりロバストであることを意味する。また、確認手順の一部として、マイナー対立遺伝子頻度が0.10未満である稀なSNPが除去される。スクリーニングにより、10個の再解析した領域全てにわたり、209個のSNPのうち63個が削除された。PLINKを用いてSNPのハーディー・ワインベルグ平衡(HWE)を確認し、更に1個のSNPがHWEから逸脱していたため削除された。
【0086】
結果:表2に罹患被験者の診断情報を示す。
【表2】

【0087】
合計192人の罹患被験者のうち、166人はADI-RおよびADOS-Gの両方のデータがあった。完全な情報のあった166人中、122人はいずれの評価でも厳密に定義された自閉性障害の基準に適合し、44人はASDの評価に適合し、一方または両方の評価で厳密に定義された自閉症のカットオフ値からわずかに外れていた。他の27症例では、試験が困難であった、そして/または信頼性のある情報提供者が得られなかったために、一方(N=22)または両方(N=5)の評価が得られなかった。厳密に定義された自閉症を有する被験者のうち、男:女の比は6.7:1であり、ASDを有する被験者では3.3:1であった。全ての被験者を合わせて、男:女の比は5.4:1であった。ASDを有する被験者は、試験開始時の年齢が厳密に定義された自閉症を有する被験者より高かったが(平均年齢:15.9歳と12.0歳)、有意な差はみられなかった(t=1.74、p=0.09)。予想通り、ADI-Rのスコアは自閉症群ではASD群より有意に高かった(社会性ではt=9.78、p<0.0001;言語性ではt=8.30、p<0.0001;制限的興味/反復性行動ではt=3.86、p=0.0002)。
【0088】
非言語性のASD被験者は1人しかいなかったため、非言語性の総計は比較できなかった。更に、ADOS評価基準1と評価された自閉症群の被験者はASD群に比較して多かった。ADOSの定量的スコアの比較については、そのような用途に合わせて設計されていないため、行わない。192人の罹患被験者のうち172人からIQを得た。そのうち112人(65.12%)はIQ>70であった。IQ>70である厳密に定義された自閉症を有する被験者(57.14%)は、IQ>70であるASD被験者のパーセンテージ(86.96%)より有意に低かった(p<0.0001)。
【0089】
図1はゲノムワイド連鎖解析結果を示し、表3は連鎖の証拠(HLOD > 1.86)を有する領域のスコアを示す(Lander E, Kruglyak L. Genetic dissection of complex traits: guidelines for interpreting and reporting linkage results. Nat Genet 1995;11:241-7)。これらの領域のそれぞれを、上記のように、LDによる上昇についてスクリーニングした。連鎖の有意な証拠(HLOD > 3.3)が15番染色体および21番染色体に見られた。
【0090】
【表3】

【0091】
表3の15番染色体のスコアは可能性のある3つの異なる領域を表しており、その詳細を図2aに示す。領域の定義を1-LODの低下とすると、これら3つの領域のおよその境界は以下の通りである:27,440,000bp- 32,790,000bp;32,790,000bp- 43,260,000bp;および50,770,000bp- 56,800,000bp。ASDと関係する染色体領域上の最大HLODと最も近い関係にあるSNPマーカーが特に目的の対象である。例えば、2番染色体上では、塩基対5,434,974のSNP rs792065のHLODが1.87である。7番染色体上では、塩基対129,820,866のSNP rs1990790のHLODが1.97である。13番染色体上では、塩基対24,132,738のSNP rs6490970のHLODが1.93である。15番染色体の連鎖解析により以下が明らかとなった:塩基対29,459,872のSNP rs8033248のHLODスコアは4.09;塩基対36,837,208のSNP rs723049のHLODスコアは3.59;塩基対55,629,733のSNP rs11856のHLODスコアは5.31;塩基対56,821,466のSNP rs383902のHLODスコアは1.49。
【0092】
15番染色体中の特に候補となる目的遺伝子は、過去に統合失調症の研究で関係があるとされた15q13-14領域のアルファ7ニコチン性受容体サブユニット遺伝子である(Iwata Y, Nakajima M, Yamada K,ら Linkage disequilibrium analysis of the CHRNA7 gene and its partially duplicated region in schizophrenia. Neurosci Res 2007;57:194-202;および、Severance EG, Yolken RH. Novel alpha7 nicotinic receptor isoforms and deficient cholinergic transcription in schizophrenia. Genes Brain Behav 2008;7:37-45。それぞれ、参照により本明細書に組み込まれる)。15番染色体領域上の他の候補となる目的遺伝子はユビキチン・プロテインリガーゼE3A、UBEA、GABA-A受容体、およびGABRB3である。自閉症との遺伝子連鎖を示す更なる候補遺伝子はニューロリジン、ニューレキシン、コンタクチン関連タンパク質(CNTNAP2)、セロトニン輸送体(SLC6A4)、エングレイルド2(EN2)、およびオキシトシン受容体(OXTR)である。
【0093】
表3および図2b−2dに示すように、目的の領域は2、6、7、13、19、および21番染色体にも見られた。連鎖の証拠は染色体2p25.3-p24.1上のおよそ2,960,000bpからおよそ10,660,000bp上に観察され、LDスクリーニング後もそのままであった。相対的にブロードな染色体7q31.31-q32.3ピークが、LDスクリーニング後も連鎖を保持していた。染色体13q12.11-q12.3ピークも、LDにあるSNPを除去した後も、示唆される連鎖の証拠の閾値を超えた。
【0094】
連鎖の証拠は、複数の家系(拡大および小型のいずれも)から得られた。個々の拡大家系の最大スコアは任意の家系における全ての罹患症例にわたる完全な共有を示すのには十分な大きさではなかった。3つの15番染色体ピーク中で、個別の家系の最も高いスコアは7世代家族(9つの罹患症例)で、15q21.1-q22.2ピークのLOD 2.27であった。
【0095】
被験者サンプル中で3つの15番染色体連鎖ピークを保持する家族における症例で、自閉症表現型の特徴を調査した。3つのピークで名目上のポイントワイズの有意性(すなわち個別の家系でLOD > 0.588、p=0.05)を示した家系では、厳密な自閉症と診断された症例の割合はそれぞれ72.7%、71.6%、および70.0%であり、全サンプル中での全体的な割合(72.9%)と有意な差はなかった。同様に、罹患家系の女性メンバーの割合は16%、18%、および21%であり、全体での女性のパーセンテージ(19%)と有意な差はなかった。最後に、IQ>70である罹患被験者の割合は66.7%、63.2%、および57.4%であり、全体的な割合(65.12%)と有意な差はなかった。
【0096】
実施例2
被験者:この研究では、33家族の386人の被験者をサンプルとし、約250,000(250K)個のSNP遺伝子マーカーを含有するAffymetrix 250Kチップ(Affymetrix社、カリフォルニア州サンタクララ)でゲノムワイド自閉症関連分析を行った。サンプルとしたこれらの個体のうち、ASD罹患症例は125であった。これらの家族のほとんどをUPDBで同定し(複数の情報源から同定した800以上の症例で検索を実施)、約25の拡大家族が明らかになった。
【0097】
表現型同定および遺伝子型同定:表現型同定は実施例1に記載する方法で実施した。Affymetrix 250Kチップ解析を386人全ての被験者について完了し、SNP遺伝子マーカーのデータについて、PLINKを用いてクォリティーコントロールを実施した(Purcell S, Neale B, Todd-Brown K,ら. PLINK: a tool set for whole-genome association and population-based linkage analyses. Am J Hum Genet 2007;81:559-75)。
【0098】
解析:解析には125罹患症例全てを用いた広範な罹患状態を使用した。拡大家系中の核家族を使用して伝達不平衡試験(Transmission Disequilibrium Test;TDT)を行った。初回通過では、17の領域がp<10-5であることが明らかになった。シミュレーション解析を用いて真陽性であることを確認した。
【0099】
解析では、家系(複数)における罹患症例中で共有されているSNPのブロック同定も行った(領域サイズおよび一つの家系内で共有されている症例数を含む)。2つまたはそれ以上の家系に重複している領域を高プライオリティーとした。前記のように、多点連鎖ソフトウェアMCLINKを用いて連鎖解析を行った。MCLINKを用いる連鎖試験では、マイナー対立遺伝子頻度(MAF)<0.20であるSNPを削除した。また、LDおよびメンデル遺伝エラーのあるSNPも削除した。これによって、最も情報性が高く、独立した情報を与える約30.000のSNPが得られた。
【0100】
結果:表4にゲノムワイド連鎖解析の結果をLODスコアおよびノンパラメトリックLOD(NPL)スコアと共に示す。
【0101】
【表4】

【0102】
15番染色体の連鎖解析のLODスコアおよびNPLスコアを、それぞれ図3および図4に示す。
【0103】
実施例3
被験者:本実施例では、25家族(もとの6世代家系を含む)における360人の被験者の遺伝子型同定を行った。これらの被験者のうち合計119人はASDに罹患者であった。表5に本実施例でサンプルとした被験者についての情報を示す。被験者は16の広範な拡大家系(6-9世代)、9つのより小さな多重家系(2-4世代)、および拡大家系が含まれた(どちらもUPDBを用いて同定した)。
【0104】
【表5】

【0105】
表現型:研究にエントリーするための最初のスクリーニングを、SCQを用いて行った。罹患被験者の包含基準は、過去のASD診断および/またはSCQスコア(>15)の記録に基づいた。除外基準には、自閉症に関係することが知られている医学的状態(結節硬化、脆弱X染色体、神経線維腫症、先天性風疹、またはPKU)または脳損傷の証拠を含めた。可能な場合は、ADI-RおよびADOS-Gの両方を用いて被験者を評価した。ADOSおよびADIが得られない場合は、自閉症評価の訓練を受けた心理学者がDSM-IV基準に従って診断を行った。表6で、自閉性障害(AD)を有する被験者91人中82人はADIおよびADOSの両方の評価が得られ、2人はADIが得られず、6人はADOSが得られなかった。ASD被験者では、28人中25人はADIおよびADOSの両方の評価が得られ、3人はADOSが得られなかった。
【0106】
【表6】

【0107】
遺伝子型データおよび解析:遺伝子型同定はAffymetrix 250Kチップ・アッセイを用いて行い、エラー・チェックとデータ・クオリティーのチェックをPLINKを使用して行った。マイナー対立遺伝子頻度 <0.20のSNPを除去し、互いに高LDであるSNPを除去することによって、マーカーの連鎖サブセット(n=〜30,000 SNP)を同定した。ウィンドウサイズを50 SNPとし、各段階で5 SNPずつシフトさせ、分散拡大要因(VIF)を1.5とした。実施例1に記載するように、多点マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法、MCLINKを用いて連鎖解析を行った。一般的な優性劣性パラメータ・モデルおよびNPLを使用してデータを解析した。CIDRから提供された遺伝子マップ(deCODE遺伝子マップに基づく)を解析に使用した。
【0108】
結果:表7に示すように、ゲノムワイド連鎖解析で5つの連鎖ピークが同定された(染色体領域3q13.2-q13.31、3q26.31-q27.3、20q11.21-q13.12、7p14.1-p11.22、および9p24.3)。本実施例で特に目的とするのは、自閉症素因遺伝子領域である可能性がある20番染色体のピークであり、これはNPLモデル(すなわち、示唆される連鎖の証拠の閾値がNPL >3.18)および劣性モデル(すなわち、示唆される連鎖の証拠の閾値がLOD >1.86)のいずれでも、示唆される連鎖の証拠の閾値を超えた。
【0109】
【表7】

【0110】
実施例4
罹患メンバーに共有される染色体領域を、ユタ人口データベースによって同定した所定の自閉症家族/家系内で同定した。この共有領域の同定法はユタ大学で開発されたソフトウェアによるものである。このソフトウェアでは、自閉症に罹患した家族メンバーにおける同一SNPのブロック(ハプロタイプ)が自動的に検出される。これによって、染色体領域を保有する可能性のある疾病を検出できる。この共有ハプロタイプ解析は、連鎖解析を補完するものである。表8に、これらのハプロタイプ・ブロックの領域およびサイズを、これまでの連鎖解析から発見された連鎖と共に掲載する。
【0111】
【表8】

【0112】
実施例5
被験者:大型で多重の自閉症家族を使用し、共有されるハプロタイプのゲノム領域および/または自閉症との正の連鎖を同定した。自閉症罹患個体26人で、同定されたゲノム領域内の全ての遺伝子を捕捉することによって、同定されたゲノム領域を完全にシーケンシングした。選択した個体の除外基準には、自閉症に関係することが知られている医学的状態(結節硬化、脆弱X染色体、神経線維腫症、先天性風疹、またはPKU)または脳損傷の証拠を含めた。可能な場合は、ADI-RおよびADOS-Gの両方を用いて被験者を評価した。ADOSおよびADIが得られない場合は、自閉症評価の訓練を受けた心理学者がDSM-IV基準に従って診断を行った。
【0113】
遺伝子型同定および解析:Illumina Genome Analyzer IIxシーケンサー(Illumina社、米国カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて26人のASD罹患被験者のヌクレオチド配列データを得た。以下を用いて、DNA配列アセンブルを行った:Mosaik(Michael Stromberg, Department of Biology,ボストン大学。米国マサチューセッツ州)、MAQ(Mapping an Assembly with Qualities, Heng Li, The Wellcome Trust Sanger Institute,英国ケンブリッジ ヒンクストン(CB10 1SA))、Bowtie(Ben Langmead and Cole Trapnell,メリーランド大学。米国メリーランド州)、およびCLC Genomics Workbench(CLC bio USA,米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)。SNP多型検出はGigaBayes(Garbor Marth,ボストン大学。米国マサチューセッツ州チェストナッツヒル)、MAQ、およびCLC Genomics Workbenchを用いて行った。GigaBayesを用いるSNP同定の詳細はhttp://bioinformatics.bc.edu/marthlab/GigaBayesを参照。MAQを用いるSNP同定の詳細はhttp://maq.sourceforge.net/maq-man.shtmlを参照。CLCBioを用いるSNP同定の詳細はhttp://www.clcbio.com/index.phpを参照。参照ヒトゲノム配列としてHuman March 2006アッセンブリ(NCBI Build36.1、hg18)を使用した。
【0114】
26人のASD罹患被験者集団中で検出された全SNPから、UCSCおよびRefSeq遺伝子トラックの相互参照により、遺伝子関連SNPの機能に従って機能性SNPを同定した。USCSおよびRefSeq遺伝子トラックについては、以下のリンクを参照されたい:http://genome.hmgc.mcw.edu/cgi-bin/hgTrackUi?hgsid=2274332&c=chrX&g=knownGeneおよびhttp://genome.hmgc.mcw.edu/cgi-bin/hgTrackUi?hgsid=2274332&c=chrX&g=refGene。
【0115】
同定された機能性SNPを同義(アミノ酸が置換されない)、ナンセンス(STOPコドン)、非保存的ミスセンス(非保存的アミノ酸置換)、保存的ミスセンス(保存的アミノ酸置換)、またはコドン領域における挿入/欠失(フレームシフト変異を起こしうる)に分類した。非保存的/保存的ミスセンスSNPでは、BLOOSOM62アラインメント・スコアを使用して(Henikoffら. Performance evaluation of amino acid substitution matrices. Proteins 17(1): 49-61, 1993)、タンパク質機能に対するコードアミノ酸の影響を予測した。
【0116】
結果:図5に、26人のASD罹患個体からの遺伝子サンプルで同定された4,477個の機能性SNPの染色体領域(hg18位置)およびSNP分類を示す。最初に同定された合計4,477個のSNPのうち、以下の方法に従って候補SNPを選択した。dbSNPデータベースに既に報告されているSNPから、マイナー対立遺伝子頻度が5%未満である稀なSNPと、対立遺伝子頻度の情報が報告されていないSNPとを選択した。同定されたこれまで知られていない新規の機能性SNPについて、各配列アラインメント・トラックの目視検査を行って個々のSNPを評価し、PCRおよびシーケンシング化学の人為的な影響によって起こった可能性のある明らか偽陽性結果を除去した。
【0117】
図6に、26人のASD罹患個体で最初に同定された合計4,477個の機能性SNPから選択した388個の候補SNPの染色体領域(hg18位置)およびSNP分類を示す。また、個々のSNPのrs番号(dbSNP参照ID)(可能な場合)と選択したSNPの確認状況も図6に示す。まず、表示するSNPの確認を、DNA融解曲線分析により、LightScanner装置(Idaho Technology社。米国ユタ州ソルトレイクシティ)を用い、ASD罹患被験者および健常コントロール被験者(始めに機能性SNPを同定した罹患被験者を含む)からのPCR産物について実施した。次に、PCR産物を慣例的なサンガー法によってシーケンシングし、SNP多型の存在を確認した。図6に示すように、SNP確認の結果には、9個のナンセンスSNP、28個の非保存的ミスセンスSNP、および1個のスプライス部位SNPが含まれている。
【0118】
実施例6
被験者および遺伝子解析:大型で多重の自閉症家族から、55人の自閉症家族メンバーを選択し、ゲノムワイドCNV解析および同定を行った。600人の健常被験者集団を参照コントロール集団として用いた。
【0119】
簡潔に記載すると、自閉症およびコントロール被験者に関するCNV解析を、Affymetrix Human Genome-Wide SNP 6.0アレイ・データで実施した。最初に、Affymetrix社のGenotyping Console(GTC 4.0)(Affymetrix社。米国カリフォルニア州サンタクララ)を用いてコピー数解析を行った。まず、この解析により、アレイ・データ(CELファイル)を用いて参照モデル・ファイルを作製した。次に、参照モデル・ファイルの作製に使用したCELファイルのぞれぞれをこの参照モデル・ファイルに対して解析した。この比較から、隠れマルコフ・モデルによってサンプルのコピー数およびLOH(ヘテロ接合性喪失)データを得る。
【0120】
CNV同定には、Golden Helix社の遺伝子解析プログラム・パッケージSNP & Variation Suite 7(Golden Helix社。米国モンタナ州ボーズマン)で提供されるCNV解析ツール(CNAM)も利用した。CNAMには厳密なクオリティー・コントロール処理が組み込まれ、バッチの影響(プレート、機器、および位置の変化)、遺伝的波動(genomics waves)、人口統計、一貫性の無いサンプル抽出および調製手順、細胞型、温度変動、更には研究室における室温オゾン・レベルによって導入されうるバイアスが最少化された。これらのバッチの影響により、定義が曖昧なセグメントから誤った再現性のない結果にまで及ぶ困難な状況が生じる。CNAMは、それらの変化全てを同時に補正し、シグナル-ノイズ比を有意に向上させることを可能とする強力な主成分分析法を採用している。またCNAMは、ダイナミック・プログラミングを用いる最適セグメント化アルゴリズムを使用してサンプル毎(一変量)および多サンプル(多変量)についての遺伝性およびデノボCNVを検出する。異なるコピー数状態の平均値が一定であると仮定する隠れマルコフ・モデルとは異なり、最適セグメント化はモザイク現象の存在中でCNVの境界をプローブ1個のレベルで正確に描き出し、感度および偽発見率の制御が可能である。
【0121】
結果:図7に、同定された合計4,449個のCNVを、その染色体領域(hg18位置)およびCNV分類と共に示す。図7に示すように、CNV分類の増加または減少は、自閉症被験者に見られる各CNV領域がゲノムの重複/増幅(増加)または欠失(減少)のいずれであるかを示す。また図7に示すように、同じCNV領域がある患者で増加し、別の患者で減少する場合、同じCNV領域がそれぞれ増加および減少で2回記載されている。
【0122】
図8に、図7の4,449個のCNVから選択した28個の候補CNVの染色体領域および分類を示す(候補CNVは、55人の罹患被験者うち1人より多くで観察され、600人の健常コントロール被験者では全く観察されなかったCNVだけを選択することによって決定した)。
【0123】
当業者に明白なように、本発明の基本原理から逸脱することなく、上記の詳細な態様に多くの改変を行うことができる。従って、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体における自閉症スペクトラム障害(ASD)を診断または予測する方法であって、
個体から遺伝子サンプルを採取し;
遺伝子サンプルをASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在についてアッセイし、ここで、ASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子は1p12、1q21、2p14、2q23-q31、2q37、2p25.3-p24.1、3q13、3q26-q27、3q13.2-q13.31、3q26.31-q27.3、4p15、4q28-q31、6q22.32-q24.1、7q31.31-q32.3、7q31.31-q32.3、7p21、7p14、7q21-q31、7q31、7q35-36、7p14.1-p11.22、9p24.3、12q21、12q21、13q12.11-q12.3、14q11-q21、14q32、15q13.1-q14、15q14-q21.1、15q21.2-q22.1、15q21.1-q22.2、15q11、15q12-q21、15q21-q22、16q22-23、20p12、20p11-q13、20q13、および20q11.21-q13.12から成る群から選択されるヒト染色体領域と連鎖不平衡にある、
ことを含み、遺伝子サンプルにおけるASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在は、個体がASDに罹患している、またはASDの素因を有することを示す、上記方法。
【請求項2】
ASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子は、rs792065、rs1570056、rs909475、rs9295417、rs1990790、rs1419437、rs6490970、rs8033248、rs723049、rs11856、rs383902、rs725463、rs4801273、rs964795、rs2032088、rs1016694、rs2835667、rs1012959から成る群から選択される1ヌクレオチド多型(SNP)である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
被験者からの遺伝子サンプルの採取は遺伝子サンプルの精製を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
被験者からの遺伝子サンプルの採取は遺伝子サンプル中の少なくとも1つのヌクレオチドを増幅することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在についての遺伝子サンプルのアッセイは遺伝子サンプルのマイクロアレイ分析を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのASD関連遺伝子マーカーは、ヒト15番染色体15q13.1-q14領域と連鎖不平衡にある少なくとも1つのSNP、ヒト15番染色体15q14-q21.1領域と連鎖不平衡にあるSNP、およびヒト15番染色体15q21.2-q22.1領域と連鎖不平衡にあるSNP、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのASD関連遺伝子マーカーはヒト染色体2p25.3-p24.1領域と連鎖不平衡にある、請求項1記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのASD関連遺伝子マーカーはSNP rs792065である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのASD関連遺伝子マーカーはヒト染色体7q31.31-q32.3領域と連鎖不平衡にある、請求項1記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのASD関連遺伝子マーカーはSNP rs1990790である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのASD関連遺伝子マーカーはヒト染色体13q12.11-q12.3領域と連鎖不平衡にある、請求項1記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つのASD関連遺伝子マーカーはSNP rs6490970である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
ヒト染色体15q13.1-q14領域と連鎖不平衡にある少なくとも1つの遺伝子マーカーはSNP rs8033248である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
ヒト染色体15q14-q21.1領域と連鎖不平衡にある少なくとも1つの遺伝子マーカーはSNP rs723049である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
ヒト染色体15q21.2-q22.1領域と連鎖不平衡にある少なくとも1つの遺伝子マーカーはSNP rs11856である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
個体におけるASDを診断または予測するためのインビトロ診断検査であって、
個体由来の遺伝子サンプルをASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在についてアッセイするための少なくとも1つの臨床検査;
を含み、遺伝子サンプルにおけるASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在は、個体がASDに罹患している、またはASDの素因を有することを示す、上記インビトロ診断検査。
【請求項17】
ASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在をアッセイするための少なくとも1つのインビトロ診断検査はアレイに基づくアッセイを含む、請求項16記載のインビトロ診断検査。
【請求項18】
ASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子は、1p12、1q21、2p14、2q23-q31、2q37、2p25.3-p24.1、3q13、3q26-q27、3q13.2-q13.31、3q26.31-q27.3、4p15、4q28-q31、6q22.32-q24.1、7q31.31-q32.3、7q31.31-q32.3、7p21、7p14、7q21-q31、7q31、7q35-36、7p14.1-p11.22、9p24.3、12q21、12q21、13q12.11-q12.3、14q11-q21、14q32、15q13.1-q14、15q14-q21.1、15q21.2-q22.1、15q21.1-q22.2、15q11、15q12-q21、15q21-q22、16q22-23、20p12、20p11-q13、20q13、および20q11.21-q13.12から成る群から選択されるヒト染色体領域の少なくとも1つと連鎖不平衡にある、請求項16記載のインビトロ診断検査。
【請求項19】
ASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子は、rs792065、rs1570056、rs909475、rs9295417、rs1990790、rs1419437、rs6490970、rs8033248、rs723049、rs11856、rs383902、rs725463、rs4801273、rs964795、rs2032088、rs1016694、rs2835667、rs1012959から選択されるSNPである、請求項16記載のインビトロ診断検査。
【請求項20】
ASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子は、chr1:1263780、chr1:29058101、chr1:119766587、chr1:119858612、chr1:218858461、chr2:71214095、chr2:71214149、chr2:73325289、chr2:73528735、chr2:73995390、chr2:166974436、chr2:167021776、chr2:170196614、chr2:238337442、chr3:182170684、chr3:185507271、chr4:26031446、chr4:72054541、chr7:4866564、chr7:4867056、chr7:5534505、chr7:95651559、chr7:98929208、chr7:99506771、chr7:100395546、chr7:142790211、chr7:148058211、chr7:149137143、chr7:149146123、chr7:150543700、chr14:23716246、chr14:92830014、chr14:94973061、chr14:96392267、chr15:23167006、chr15:23167974、chr15:30878395、chr15:31924372、chr15:32309401、chr15:32872933、chr15:38372478、chr16:30701961、chr16:74227476、chr17:4936913、chr17:7071455、chr17:10201831、chr17:10475692、chr17:10491274、chr17:26584174、chr17:26612891、chr17:42574238、chr17:42604329、chr17:59399410、chr17:77092876、chr17:77093634、chr20:22510710、chr20:22511269、chr20:22964569、chr20:36962649、chr20:40146764、chr20:55523287、chr20:62309884、chrX:69286838、chr1:120282135、chr1:143642818、chr1:143706015、chr1:143823771、chr2:66649410、chr2:67484633、chr2:68903445、chr2:69030773、chr2:69504234、chr2:69588140、chr2:70911738、chr2:70914509、chr2:71065913、chr2:71190712、chr2:73156164、chr2:73528735、chr2:73533464、chr2:74127837、chr2:74543547、chr2:74609836、chr2:75768493、chr2:158666851、chr2:159662421、chr2:160312625、chr2:162841642、chr2:165655210、chr2:166482066、chr2:167823571、chr2:167824043、chr2:169660419、chr2:169771223、chr2:169805953、chr2:169837793、chr2:169855748、chr2:170075397、chr2:171084214、chr2:171108695、chr2:171357656、chr2:171530822、chr2:231573388、chr2:231795719、chr2:231864328、chr2:232166687、chr2:234059308、chr2:234406547、chr2:237909702、chr2:237912473、chr3:112093827、chr3:176647773、chr3:180579202、chr3:184066088、chr3:185236972、chr3:185558457、chr4:140860153、chr4:141539531、chr6:10810785、chr7:8234803、chr7:11643113、chr7:36884209、chr7:37747188、chr7:37900671、chr7:38323363、chr7:38434448、chr7:40465321、chr7:91552847、chr7:91562391、chr7:91574620、chr7:92090311、chr7:92571911、chr7:92573090、chr7:92663124、chr7:94132918、chr7:95588991、chr7:97659791、chr7:97690335、chr7:98716480、chr7:98870453、chr7:98923039、chr7:99557938、chr7:99610234、chr7:99616221、chr7:99636683、chr7:100043642、chr7:100209036、chr7:100209409、chr7:100295514、chr7:100389562、chr7:100390071、chr7:100468079、chr7:100473497、chr7:100604621、chr7:100626011、chr7:100987485、chr7:101900231、chr7:102452856、chr7:103021438、chr7:105448208、chr7:105458503、chr7:107214558、chr7:107214563、chr7:107483484、chr7:107507398、chr7:107621849、chr7:116199159、chr7:147773902、chr7:147774021、chr7:149107052、chr7:149112927、chr7:149115460、chr7:149144493、chr7:149146708、chr7:149146729、chr7:149147419、chr7:149148911、chr7:149149894、chr7:149153095、chr7:149154517、chr7:150131460、chr7:150185525、chr7:150363958、chr7:150504687、chr7:151135431、chr7:151135628、chr9:115122468、chr11:5321069、chr12:51729223、chr12:81276690、chr12:87004364、chr12:87425022、chr14:22946107、chr14:22956249、chr14:23104999、chr14:23576850、chr14:23596289、chr14:23597029、chr14:23604756、chr14:23633179、chr14:23637338、chr14:23675369、chr14:23684201、chr14:23703843、chr14:23747134、chr14:23876742、chr14:23906655、chr14:23971116、chr14:23979353、chr14:29165482、chr14:32085148、chr14:35859480、chr14:36205504、chr14:38615002、chr14:44044716、chr14:44045261、chr14:44676037、chr14:65549893、chr14:92482551、chr14:92488069、chr14:93500464、chr14:93826223、chr14:93917015、chr14:93982649、chr14:94003226、chr14:94005815、chr14:94005863、chr14:94749445、chr14:94982141、chr14:95841712、chr14:96023031、chr14:99047892、chr14:99058300、chr14:99864892、chr14:99917276、chr14:100268170、chr14:101088716、chr14:102941336、chr14:103004241、chr14:103451203、chr15:25933648、chr15:29117258、chr15:30797704、chr15:31147053、chr15:31233603、chr15:31867807、chr15:31947233、chr15:32183139、chr15:32435939、chr15:32436227、chr15:32436539、chr15:38087546、chr15:38331785、chr15:38331812、chr15:38331909、chr15:38446768、chr15:38462735、chr15:38462785、chr15:38702138、chr15:39095657、chr15:39591046、chr15:39615049、chr15:39816112、chr15:39899045、chr15:39907634、chr15:39916346、chr15:39965414、chr15:40079445、chr15:40082164、chr15:40089725、chr15:40150370、chr15:40151383、chr15:40173922、chr15:40389913、chr15:41409390、chr15:41557143、chr15:41855277、chr15:42687962、chr15:42749480、chr15:43036413、chr15:43179367、chr15:43180306、chr15:43191358、chr15:43195706、chr15:43197024、chr15:43202449、chr15:43227892、chr15:43254832、chr15:43278374、chr15:43278428、chr15:43482826、chr15:53510164、chr15:53626499、chr15:53703995、chr15:53931921、chr15:53995755、chr15:54173160、chr15:55518627、chr15:56770880、chr16:69475356、chr16:74203924、chr16:75039502、chr16:75040248、chr16:75090084、chr16:75144850、chr16:75804018、chr16:77023938、chr17:42613950、chr17:42613953、chr17:69862619、chr19:52515711、chr20:7912476、chr20:8646451、chr20:25405022、chr20:29440610、chr20:29516983、chr20:29517040、chr20:30240809、chr20:30486620、chr20:30831863、chr20:31083176、chr20:33051846、chr20:33485478、chr20:33611736、chr20:33653491、chr20:33682087、chr20:34273264、chr20:34942544、chr20:35182837、chr20:36048999、chr20:36074389、chr20:36301520、chr20:36388138、chr20:36408359、chr20:36426747、chr20:39482993、chr20:40146778、chr20:49482124、chr20:49840909、chr20:51626044、chr20:55517073、chr20:55623391、chr20:56479171、chr20:56702274、chr20:56715597、chr20:56722424、chr20:56849229、chr20:56862842、chr20:57202002、chr21:42404472、chr2:73489288、chr2:237070852、chr7:95052983、chr14:23749768、chr14:23876143、chr14:101799639、chr14:101819626、chr15:42408207、chr15:53510174、chr2:65979948、chr2:71151379、chr2:232087036、chr2:233543168、chr2:238307199、chr3:144853891、chr3:184708990、chr7:92908747、chr7:97705858、chr7:99526888、chr7:99899245、chr7:107588172、chr7:149149144、chr14:23182201、chr14:30860637、chr14:36751311、chr14:44674211、chr14:99329632、chr14:99861879、chr15:39891447、chr15:39920587、chr15:43591939、chr16:76314015、chr20:29918618、chr20:31231133、chr20:31232063、chr20:35363230、chr20:37024463、およびchr20:56998090から成る群から選択されるヒト染色体領域の少なくとも1つに位置する少なくとも1つのSNPである、請求項16記載のインビトロ診断検査。
【請求項21】
ASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子は、chr2:51125559-51189547、chr2:52274067-52437594、chr3:6699453-7021515、chr4:58506555-58511567、chr4:101770239-101835304、chr5:99662671-99710597、chr6:44221894-44288199、chr6:62501698-62520254、chr6:147630445-147706364、chr7:6805237-6830596、chr7:105073185-105108589、chr7:124333486-124367438、chr8:4895081-4898830、chr9:115507944-115671495、chr10:60463309-60527538、chr11:97653609-97718006、chr11:100322865-100325873、chr12:125874456-125880958、chr14:27575946-27590096、chr14:36998504-37018142、chr15:85631534-85671493、chr16:16153230-16164268、chr16:81003756-81269005、chr16:82466542-82483869、chr17:3954343-4271157、chr17:36465434-36474838、chr22:49402766-49581309、およびchrX:3216732-3226695から成る群から選択されるヒト染色体領域の少なくとも1つに位置する少なくとも1つのコピー数多型(CNV)である、請求項16記載のインビトロ診断検査。
【請求項22】
個体におけるASDのリスクを測定する方法であって、
個体から遺伝子サンプルを採取し;
chr1:1263780、chr1:29058101、chr1:119766587、chr1:119858612、chr1:218858461、chr2:71214095、chr2:71214149、chr2:73325289、chr2:73528735、chr2:73995390、chr2:166974436、chr2:167021776、chr2:170196614、chr2:238337442、chr3:182170684、chr3:185507271、chr4:26031446、chr4:72054541、chr7:4866564、chr7:4867056、chr7:5534505、chr7:95651559、chr7:98929208、chr7:99506771、chr7:100395546、chr7:142790211、chr7:148058211、chr7:149137143、chr7:149146123、chr7:150543700、chr14:23716246、chr14:92830014、chr14:94973061、chr14:96392267、chr15:23167006、chr15:23167974、chr15:30878395、chr15:31924372、chr15:32309401、chr15:32872933、chr15:38372478、chr16:30701961、chr16:74227476、chr17:4936913、chr17:7071455、chr17:10201831、chr17:10475692、chr17:10491274、chr17:26584174、chr17:26612891、chr17:42574238、chr17:42604329、chr17:59399410、chr17:77092876、chr17:77093634、chr20:22510710、chr20:22511269、chr20:22964569、chr20:36962649、chr20:40146764、chr20:55523287、chr20:62309884、chrX:69286838、chr1:120282135、chr1:143642818、chr1:143706015、chr1:143823771、chr2:66649410、chr2:67484633、chr2:68903445、chr2:69030773、chr2:69504234、chr2:69588140、chr2:70911738、chr2:70914509、chr2:71065913、chr2:71190712、chr2:73156164、chr2:73528735、chr2:73533464、chr2:74127837、chr2:74543547、chr2:74609836、chr2:75768493、chr2:158666851、chr2:159662421、chr2:160312625、chr2:162841642、chr2:165655210、chr2:166482066、chr2:167823571、chr2:167824043、chr2:169660419、chr2:169771223、chr2:169805953、chr2:169837793、chr2:169855748、chr2:170075397、chr2:171084214、chr2:171108695、chr2:171357656、chr2:171530822、chr2:231573388、chr2:231795719、chr2:231864328、chr2:232166687、chr2:234059308、chr2:234406547、chr2:237909702、chr2:237912473、chr3:112093827、chr3:176647773、chr3:180579202、chr3:184066088、chr3:185236972、chr3:185558457、chr4:140860153、chr4:141539531、chr6:10810785、chr7:8234803、chr7:11643113、chr7:36884209、chr7:37747188、chr7:37900671、chr7:38323363、chr7:38434448、chr7:40465321、chr7:91552847、chr7:91562391、chr7:91574620、chr7:92090311、chr7:92571911、chr7:92573090、chr7:92663124、chr7:94132918、chr7:95588991、chr7:97659791、chr7:97690335、chr7:98716480、chr7:98870453、chr7:98923039、chr7:99557938、chr7:99610234、chr7:99616221、chr7:99636683、chr7:100043642、chr7:100209036、chr7:100209409、chr7:100295514、chr7:100389562、chr7:100390071、chr7:100468079、chr7:100473497、chr7:100604621、chr7:100626011、chr7:100987485、chr7:101900231、chr7:102452856、chr7:103021438、chr7:105448208、chr7:105458503、chr7:107214558、chr7:107214563、chr7:107483484、chr7:107507398、chr7:107621849、chr7:116199159、chr7:147773902、chr7:147774021、chr7:149107052、chr7:149112927、chr7:149115460、chr7:149144493、chr7:149146708、chr7:149146729、chr7:149147419、chr7:149148911、chr7:149149894、chr7:149153095、chr7:149154517、chr7:150131460、chr7:150185525、chr7:150363958、chr7:150504687、chr7:151135431、chr7:151135628、chr9:115122468、chr11:5321069、chr12:51729223、chr12:81276690、chr12:87004364、chr12:87425022、chr14:22946107、chr14:22956249、chr14:23104999、chr14:23576850、chr14:23596289、chr14:23597029、chr14:23604756、chr14:23633179、chr14:23637338、chr14:23675369、chr14:23684201、chr14:23703843、chr14:23747134、chr14:23876742、chr14:23906655、chr14:23971116、chr14:23979353、chr14:29165482、chr14:32085148、chr14:35859480、chr14:36205504、chr14:38615002、chr14:44044716、chr14:44045261、chr14:44676037、chr14:65549893、chr14:92482551、chr14:92488069、chr14:93500464、chr14:93826223、chr14:93917015、chr14:93982649、chr14:94003226、chr14:94005815、chr14:94005863、chr14:94749445、chr14:94982141、chr14:95841712、chr14:96023031、chr14:99047892、chr14:99058300、chr14:99864892、chr14:99917276、chr14:100268170、chr14:101088716、chr14:102941336、chr14:103004241、chr14:103451203、chr15:25933648、chr15:29117258、chr15:30797704、chr15:31147053、chr15:31233603、chr15:31867807、chr15:31947233、chr15:32183139、chr15:32435939、chr15:32436227、chr15:32436539、chr15:38087546、chr15:38331785、chr15:38331812、chr15:38331909、chr15:38446768、chr15:38462735、chr15:38462785、chr15:38702138、chr15:39095657、chr15:39591046、chr15:39615049、chr15:39816112、chr15:39899045、chr15:39907634、chr15:39916346、chr15:39965414、chr15:40079445、chr15:40082164、chr15:40089725、chr15:40150370、chr15:40151383、chr15:40173922、chr15:40389913、chr15:41409390、chr15:41557143、chr15:41855277、chr15:42687962、chr15:42749480、chr15:43036413、chr15:43179367、chr15:43180306、chr15:43191358、chr15:43195706、chr15:43197024、chr15:43202449、chr15:43227892、chr15:43254832、chr15:43278374、chr15:43278428、chr15:43482826、chr15:53510164、chr15:53626499、chr15:53703995、chr15:53931921、chr15:53995755、chr15:54173160、chr15:55518627、chr15:56770880、chr16:69475356、chr16:74203924、chr16:75039502、chr16:75040248、chr16:75090084、chr16:75144850、chr16:75804018、chr16:77023938、chr17:42613950、chr17:42613953、chr17:69862619、chr19:52515711、chr20:7912476、chr20:8646451、chr20:25405022、chr20:29440610、chr20:29516983、chr20:29517040、chr20:30240809、chr20:30486620、chr20:30831863、chr20:31083176、chr20:33051846、chr20:33485478、chr20:33611736、chr20:33653491、chr20:33682087、chr20:34273264、chr20:34942544、chr20:35182837、chr20:36048999、chr20:36074389、chr20:36301520、chr20:36388138、chr20:36408359、chr20:36426747、chr20:39482993、chr20:40146778、chr20:49482124、chr20:49840909、chr20:51626044、chr20:55517073、chr20:55623391、chr20:56479171、chr20:56702274、chr20:56715597、chr20:56722424、chr20:56849229、chr20:56862842、chr20:57202002、chr21:42404472、chr2:73489288、chr2:237070852、chr7:95052983、chr14:23749768、chr14:23876143、chr14:101799639、chr14:101819626、chr15:42408207、chr15:53510174、chr2:65979948、chr2:71151379、chr2:232087036、chr2:233543168、chr2:238307199、chr3:144853891、chr3:184708990、chr7:92908747、chr7:97705858、chr7:99526888、chr7:99899245、chr7:107588172、chr7:149149144、chr14:23182201、chr14:30860637、chr14:36751311、chr14:44674211、chr14:99329632、chr14:99861879、chr15:39891447、chr15:39920587、chr15:43591939、chr16:76314015、chr20:29918618、chr20:31231133、chr20:31232063、chr20:35363230、chr20:37024463、およびchr20:56998090から成る群から選択されるヒト染色体領域の少なくとも1つに位置するSNPの少なくとも1つの対立遺伝子の存在について遺伝子サンプルをアッセイする、
ことを含み、遺伝子サンプルにおけるSNPの少なくとも1つの対立遺伝子の存在は、個体がASDのリスクを有することを示す、上記方法。
【請求項23】
個体におけるASDのリスクを測定する方法であって、
個体から遺伝子サンプルを採取し;
chr2:51125559-51189547、chr2:52274067-52437594、chr3:6699453-7021515、chr4:58506555-58511567、chr4:101770239-101835304、chr5:99662671-99710597、chr6:44221894-44288199、chr6:62501698-62520254、chr6:147630445-147706364、chr7:6805237-6830596、chr7:105073185-105108589、chr7:124333486-124367438、chr8:4895081-4898830、chr9:115507944-115671495、chr10:60463309-60527538、chr11:97653609-97718006、chr11:100322865-100325873、chr12:125874456-125880958、chr14:27575946-27590096、chr14:36998504-37018142、chr15:85631534-85671493、chr16:16153230-16164268、chr16:81003756-81269005、chr16:82466542-82483869、chr17:3954343-4271157、chr17:36465434-36474838、chr22:49402766-49581309、およびchrX:3216732-3226695から成る群から選択されるヒト染色体領域の少なくとも1つに位置する少なくとも1つのCNVの存在について遺伝子サンプルをアッセイする、
ことを含み、遺伝子サンプルにおける少なくとも1つのCNVの存在は、個体がASDのリスクを有することを示す、上記方法。
【請求項24】
個体における自閉症スペクトラム障害(ASD)のリスクを測定する方法であって、
個体から遺伝子サンプルを採取し;
遺伝子サンプルをASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在についてアッセイし、ここで、ASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子は有効な遺伝子マーカーである、
ことを含み、遺伝子サンプルにおける有効なASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在は、個体が高いASDリスクを有することを示す、上記方法。
【請求項25】
有効な遺伝子マーカーは、chr2:66649410、chr2:73528735、chr2:166482066、chr2:167824043、chr7:38323363、chr7:98716480、chr7:101900231、chr7:105448208、chr7:149115460、chr7:150131460、chr7:151135628、chr12:81276690、chr14:23604756、chr14:23675369、chr14:23979353、chr14:94749445、chr14:96023031、chr15:31147053、chr15:39916346、chr15:40150370、chr15:40173922、chr15:42687962、chr15:42749480、chr15:43278374、chr15:53510164、chr15:53703995、chr15:53995755、chr20:30831863、chr2:73489288、chr2:237070852、chr7:95052983、chr14:23749768、chr14:23876143、chr14:101799639、chr14:101819626、chr15:42408207、and chr15:53510174から成る群から選択されるヒト染色体領域の少なくとも1つに位置する有効なSNPである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
個体における自閉症スペクトラム障害(ASD)のリスクを測定する方法であって、
個体から遺伝子サンプルを採取し;
遺伝子サンプルをASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在についてアッセイし、ここで、ASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子は1p12、1q21、2p14、2q23-q31、2q37、2p25.3-p24.1、3q13、3q26-q27、3q13.2-q13.31、3q26.31-q27.3、4p15、4q28-q31、6q22.32-q24.1、7q31.31-q32.3、7q31.31-q32.3、7p21、7p14、7q21-q31、7q31、7q35-36、7p14.1-p11.22、9p24.3、12q21、12q21、13q12.11-q12.3、14q11-q21、14q32、15q13.1-q14、15q14-q21.1、15q21.2-q22.1、15q21.1-q22.2、15q11、15q12-q21、15q21-q22、16q22-23、20p12、20p11-q13、20q13、and 20q11.21-q13.12から成る群から選択されるヒト染色体領域と連鎖不平衡にある、
ことを含み、遺伝子サンプルにおけるASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在は、個体が高いASDリスクを有することを示す、上記方法。
【請求項27】
個体におけるASDのリスクを測定するためのインビトロ診断検査であって、
個体由来の遺伝子サンプルをASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在についてアッセイするための少なくとも1つの臨床検査;
を含み、遺伝子サンプルにおけるASD関連遺伝子マーカーの少なくとも1つの対立遺伝子の存在は、個体が高いASDリスクを有することを示す、上記インビトロ診断検査。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5−1】
image rotate

【図5−2】
image rotate

【図5−3】
image rotate

【図5−4】
image rotate

【図5−5】
image rotate

【図5−6】
image rotate

【図5−7】
image rotate

【図5−8】
image rotate

【図5−9】
image rotate

【図5−10】
image rotate

【図5−11】
image rotate

【図5−12】
image rotate

【図5−13】
image rotate

【図5−14】
image rotate

【図5−15】
image rotate

【図5−16】
image rotate

【図5−17】
image rotate

【図5−18】
image rotate

【図5−19】
image rotate

【図5−20】
image rotate

【図5−21】
image rotate

【図5−22】
image rotate

【図5−23】
image rotate

【図5−24】
image rotate

【図5−25】
image rotate

【図5−26】
image rotate

【図5−27】
image rotate

【図5−28】
image rotate

【図5−29】
image rotate

【図5−30】
image rotate

【図5−31】
image rotate

【図5−32】
image rotate

【図5−33】
image rotate

【図5−34】
image rotate

【図5−35】
image rotate

【図5−36】
image rotate

【図5−37】
image rotate

【図5−38】
image rotate

【図5−39】
image rotate

【図5−40】
image rotate

【図5−41】
image rotate

【図5−42】
image rotate

【図5−43】
image rotate

【図5−44】
image rotate

【図5−45】
image rotate

【図5−46】
image rotate

【図5−47】
image rotate

【図5−48】
image rotate

【図5−49】
image rotate

【図5−50】
image rotate

【図5−51】
image rotate

【図5−52】
image rotate

【図5−53】
image rotate

【図5−54】
image rotate

【図5−55】
image rotate

【図5−56】
image rotate

【図5−57】
image rotate

【図5−58】
image rotate

【図5−59】
image rotate

【図5−60】
image rotate

【図5−61】
image rotate

【図5−62】
image rotate

【図5−63】
image rotate

【図5−64】
image rotate

【図5−65】
image rotate

【図5−66】
image rotate

【図5−67】
image rotate

【図5−68】
image rotate

【図5−69】
image rotate

【図5−70】
image rotate

【図5−71】
image rotate

【図5−72】
image rotate

【図5−73】
image rotate

【図5−74】
image rotate

【図5−75】
image rotate

【図5−76】
image rotate

【図5−77】
image rotate

【図5−78】
image rotate

【図5−79】
image rotate

【図5−80】
image rotate

【図5−81】
image rotate

【図5−82】
image rotate

【図5−83】
image rotate

【図6−1】
image rotate

【図6−2】
image rotate

【図6−3】
image rotate

【図6−4】
image rotate

【図6−5】
image rotate

【図6−6】
image rotate

【図6−7】
image rotate

【図6−8】
image rotate

【図6−9】
image rotate

【図7−1】
image rotate

【図7−2】
image rotate

【図7−3】
image rotate

【図7−4】
image rotate

【図7−5】
image rotate

【図7−6】
image rotate

【図7−7】
image rotate

【図7−8】
image rotate

【図7−9】
image rotate

【図7−10】
image rotate

【図7−11】
image rotate

【図7−12】
image rotate

【図7−13】
image rotate

【図7−14】
image rotate

【図7−15】
image rotate

【図7−16】
image rotate

【図7−17】
image rotate

【図7−18】
image rotate

【図7−19】
image rotate

【図7−20】
image rotate

【図7−21】
image rotate

【図7−22】
image rotate

【図7−23】
image rotate

【図7−24】
image rotate

【図7−25】
image rotate

【図7−26】
image rotate

【図7−27】
image rotate

【図7−28】
image rotate

【図7−29】
image rotate

【図7−30】
image rotate

【図7−31】
image rotate

【図7−32】
image rotate

【図7−33】
image rotate

【図7−34】
image rotate

【図7−35】
image rotate

【図7−36】
image rotate

【図7−37】
image rotate

【図7−38】
image rotate

【図7−39】
image rotate

【図7−40】
image rotate

【図7−41】
image rotate

【図7−42】
image rotate

【図7−43】
image rotate

【図7−44】
image rotate

【図7−45】
image rotate

【図7−46】
image rotate

【図7−47】
image rotate

【図7−48】
image rotate

【図7−49】
image rotate

【図7−50】
image rotate

【図7−51】
image rotate

【図7−52】
image rotate

【図7−53】
image rotate

【図7−54】
image rotate

【図7−55】
image rotate

【図7−56】
image rotate

【図7−57】
image rotate

【図7−58】
image rotate

【図7−59】
image rotate

【図7−60】
image rotate

【図7−61】
image rotate

【図7−62】
image rotate

【図7−63】
image rotate

【図7−64】
image rotate

【図7−65】
image rotate

【図7−66】
image rotate

【図7−67】
image rotate

【図7−68】
image rotate

【図7−69】
image rotate

【図7−70】
image rotate

【図7−71】
image rotate

【図7−72】
image rotate

【図7−73】
image rotate

【図7−74】
image rotate

【図7−75】
image rotate

【図7−76】
image rotate

【図7−77】
image rotate

【図7−78】
image rotate

【図7−79】
image rotate

【図7−80】
image rotate

【図7−81】
image rotate

【図7−82】
image rotate

【図7−83】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2012−508579(P2012−508579A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536477(P2011−536477)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/064252
【国際公開番号】WO2010/056897
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(500189230)ユニバーシティ・オブ・ユタ・リサーチ・ファウンデーション (11)
【出願人】(510330367)リニアゲン,インク. (2)
【Fターム(参考)】