説明

臭いを中和する金属酸化物ケイ酸塩を含む組成物

悪臭のある化合物を吸収できる金属酸化物ケイ酸塩、および、賦形剤を含むパーソナルケア用流体組成物を開示する。本パーソナルケア用流体組成物は、ヒトの発汗に関連する悪臭に対して、有効な長期にわたる抑制を示す。本パーソナルケア用組成物は、固体スティック式の消臭剤、液体ロールオン式の消臭剤、エアロゾルおよびポンプスプレー式の消臭剤、半固体のゲル状消臭剤、棒状石鹸、ならびに、消臭剤の形態が可能である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
人体に関連する悪臭、特に、発汗により発生する悪臭、および、発汗に関連する悪臭を中和するために、ヒトの皮膚へ塗布する様々な局部的パーソナルケアおよびパーソナル衛生用品が利用できる。これらの製品としては、消臭剤、制汗薬、足および体用のパウダー、体用スプレーが挙げられ、特に、スポーツおよび競技用スプレーおよびパウダーが挙げられる。
【0002】
従来のパーソナルケアおよび化粧用品は、多種多様な方法で体臭を抑え、中和するように配合されていると思われる。例えば、これらの悪臭は、悪臭を隠す、または紛らすために消臭剤に十分な量の香料成分を配合することによって「マスクする」、または、隠すこともできる。香料は、化粧用またはパーソナルケア製品に望ましい芳香(例えば多種多様なさわやかな、パストラル系の、または麝香の香り)を付与するというさらなる利点を提供する。しかしながら、「マスクすること」はまた、別個の制限も有する。いくつかの悪臭は、揮発性が高い(それゆえに、迅速に空気中に放散する)か、または、極めて強力であるため、香料を単に添加しただけではマスクすることができない。実際に、いくつかのケースにおいて、パーソナルケア製品にも過度に強い匂いの香りを与えることなく、潜在的な悪臭を十分に隠せるように十分な量の香料を添加することが不可能な場合もある。
【0003】
その他の体臭を抑える方法は、トリクロサンのような局部的な抗菌剤の使用によるものである。発汗に関連する体臭は、一般的に、微生物、発汗、および、皮脂腺からのトリグリセリド分泌の相互作用の結果であり、これらが合わさって、悪臭があり刺激臭のする脂肪酸が生産される。従って、皮膚表面上の微生物群をコントロールすることによって、悪臭を強力に除去する、または減少させることができる。
【0004】
しかしながら、抗菌剤の使用もまたある種の問題がある。抗菌剤の過剰使用は強く抑制されており、これは、場合によっては、病気に耐性を有する微生物の発達に寄与する可能性があり、加えて、抗菌剤が人体に蓄積することは、未知の副作用を起こす恐れがあるためである。その上、これらの抗菌剤を典型的な消臭剤組成物に添加することは、消臭剤が皮膚を刺激する原因になり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の問題を回避しつつ、悪臭も減少させるその他のアプローチは、活性炭やゼオライトのような臭いの吸収剤の使用に関与する。これらの消臭化合物は、悪臭と汗を吸収することによって機能し、上述のトリートメント化合物とは異なり、皮膚を刺激したり、または、過度な匂いの香りを組成物に付与したりしない。しかしながら、活性炭やゼオライトからなる臭いの吸収剤は、湿潤すると(例えば、それらが汗と接触すると)、臭いの吸収に関して効果がなくなるという不利点を有する。同様の理由で、これらの臭いの吸収剤はまた、ほんの少量でも水を含む組成物には、配合が困難であるという可能性もある。
【0006】
上述のことを考慮すると、ヒトの発汗に関連する悪臭を効果的に抑制するための成分を含む化粧用およびパーソナルケア製品が引き続き必要である。このような悪臭を抑制する成分は、好ましくは、健康上または衛生上のその他の副作用がなく、多種多様の化粧用およびパーソナルケア製品に容易に配合することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の簡単な要約
本発明は、悪臭のある化合物を吸収できる金属酸化物ケイ酸塩、および、賦形剤を含むパーソナルケア用流体組成物を含み、ここで、該金属酸化物ケイ酸塩は、式:xMO:SiOで示され、式中、xは、Mは、多価金属であり、xは、金属酸化物のモル数であり、xは、1より大きく;および、該金属酸化物ケイ酸塩は、50ml/100gより大きい油吸収値を有する。
【0008】
本発明はまた、悪臭のある化合物を吸収できる金属酸化物ケイ酸塩を含むパーソナルケア用組成物の有効量を皮膚に都付することによって体臭を抑制する方法も含み、ここで、該金属酸化物ケイ酸塩は、式:xMO:SiOで示されることを特徴とし、式中、xは、Mは、多価金属であり、xは、金属酸化物のモル数であり、xは、1より大きく;および、該金属酸化物ケイ酸塩は、50ml/100gより大きい油吸収値を有する。
【0009】
発明の詳細な説明
本明細書で用いられる全ての部、パーセンテージおよび割合は、特に他の規定がない限り、重量で示される。本明細書で引用された全ての文献は、参照により開示に含まれる。
【0010】
「パーソナルケア用流体組成物」は、100℃未満かつ32℃より高い温度で液体の化粧品における使用が許容できる成分の1種またはそれ以上(例えば消臭剤、制汗剤、競技用スプレー、ボディスプレー、ヘアーコンディショナー、シャンプー、皮膚用コンディショナー、ボディウォッシュ、液状バスソープ、顔用クレンザー、メイクアップリムーバー、ベビーバス、ハンドソープなど)を、20%より多く含む組成物を意味する。
【0011】
本発明は、臭いを吸収する、臭いを中和する金属ケイ酸塩を、組成物が皮膚に塗布された際に金属酸化物ケイ酸塩の一様の分布が容易になるように臭いを吸収する金属酸化物ケイ酸塩に適合できる賦形剤(例えば希釈剤またはキャリアー)の少なくとも1種を共に含む、局部的なパーソナルケア用流体組成物を含む。本発明はまた、エアロゾルの場合のような揮発性の賦形剤からの流動化および塗布も含む。(適切な賦形剤、同様に、その他の適切なパーソナルケア用組成物の成分は、以下でより詳細に考察する)。上記ケイ酸塩は、体臭、特に発汗に関連する体の悪臭を吸収および中和するための臭いの吸収剤および中和剤として作用する。これらの金属酸化物ケイ酸塩を包含することによって、有効で長期にわたる臭いの吸収および中和を提供する多種多様のパーソナルケア用組成物を、生産することができる。これは、香料を過剰使用したり、または、抗菌剤に依存することなく、有効な体臭抑制が可能である。これらの利点に加えて、本金属酸化物ケイ酸塩はまた、それらが包含されるパーソナルケア用組成物の「感触」も改善する。特に、本パーソナルケア用組成物は、皮膚に塗布され、接触した際に、よりなめらかな、さらさらした感触を有する。
【0012】
このような金属酸化物ケイ酸塩を包含するパーソナルケア用流体組成物は、有効な臭いの中和および抑制を提供することができるが、これは当業者でも驚くものと想像できる。なぜなら、粒状の金属酸化物ケイ酸塩は、数種のその他の成分と混合されて、それらと接触すると、体臭を中和および抑制できないようになる傾向があると思われるためである。しかしながら、本発明によれば、パーソナルケア用流体組成物は、ケイ酸塩粒子の臭いを吸収および中和する能力を減少させることなく、金属酸化物ケイ酸塩粒子を十分な量包含されるように配合されている。
【0013】
理論に制限されることは望まないが、本発明に従って製造された化粧用組成物中の本金属酸化物ケイ酸塩は、ヒトの皮膚に由来する悪臭、同様に、皮膚上に存在する脂肪酸の両方を吸収すると考えられる。従って、これらの金属酸化物ケイ酸塩は、体臭を中和する2つの手段を提供すると考えられ、すなわち悪臭そのものを吸収するだけでなく、悪臭の原因の一部である多量の脂肪酸も減少させる。多くの本金属酸化物ケイ酸塩の高い油吸収能は、本金属酸化物ケイ酸塩内に形成された粒子内の孔と間隙への悪臭のある化合物の移動を促進する。
【0014】
数種の天然に存在する金属酸化物を含む物質が、かなり顕著な量の臭いを減少させ得ることが認められているが、一般的には、合成材料が好ましい。本発明のケイ酸塩のような合成材料は、天然に存在する物質より高い吸収と臭いの中和能を有するように製造することができるため、好ましい。それにもかかわらず、ブレディジト(Bredigite)、ダイオプサイド、頑火輝石、ケイ酸カルシウム水和物(I型とII型の両方)、トバモライト、オーケナイト、またはその他の天然材料のような鉱物ケイ酸塩が、臭いを減少させる用途において有用であると予想される。
【0015】
これらの優れた吸収および中和特性そのものは、本金属酸化物ケイ酸塩の高い表面領域と油吸収特性によるものと考えられる。本金属酸化物ケイ酸塩粒子の高い表面領域によって、揮発して悪臭と脂肪酸を形成すると予想される化学物質を容易にケイ酸塩粒子の表面に接触させることが可能であり、それと同時に、ケイ酸カルシウムの高い油吸収能が、粒子表面から揮発した悪臭と脂肪酸の、本金属酸化物ケイ酸塩粒子の内部への移動を促進する。
【0016】
従って、本発明のパーソナルケア用流体組成物は、揮発性の悪臭の原因となる化学物質および脂肪酸を吸収し、それによって、ヒトの発汗に関連する悪臭を中和する合成の非晶質金属酸化物ケイ酸塩を含む。好ましくは、これらのケイ酸塩の油吸収値は、約20ml/100g〜約500ml/100g、好ましくは50ml/100g〜250ml/100gである。表面領域(BET)は、好ましくは、約5m/g〜200m/gであり、好ましくは、約50m/g〜約200m/gである。pHは、好ましくは、約7〜12、より好ましくは約9〜10である。粒度は、好ましくは30ミクロン未満であり、より好ましくは15ミクロン未満である。
【0017】
これらの金属酸化物ケイ酸塩は、最も一般的には、反応性シリカと、アルカリ土類金属もしくは遷移金属反応物、好ましくはアルカリ土類金属酸化物もしくは水酸化物、または、複数種の金属酸化物もしくは水酸化物の混合物との反応によって製造される。本ケイ酸塩の最終的な特性はシリカの反応性に依存するため、シリカ原料は、可溶性ケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウム(ただしこれらに限定されない)、および、鉱酸、例えば硫酸の反応生成物であることが好ましい。
【0018】
単一の金属酸化物ケイ酸塩が有用であり、悪臭を減少させる利点を示すことが示されているが、本発明では、所定の組み合わせがさらなる利点を示すことを教示する。それぞれ利点を提供することができる金属酸化物の組み合わせは、異なる金属酸化物反応物と反応性シリカとを共に反応させることによって製造され、個々の金属酸化物ケイ酸塩または成分の単なるブレンドよりも強化された利点を有する複合非晶質ケイ酸塩を形成することができる。この複合ケイ酸塩は、臭いを制御するための、より有効な、より皮膚用として許容できる材料を提供する。
【0019】
正常な皮膚は通常、5.4〜6.2のpHを有する。正常な皮膚のpH範囲からかなり逸脱したpHを有する化粧品を塗布すると皮膚に負担をかける可能性があり、それにより、皮膚のpHと表面の化学状態の変化が生じ、刺激が発生する恐れがある。本発明は、吸収剤としての金属酸化物ケイ酸塩の製造プロセスを開示し、ここで、これらのケイ酸塩は、体臭の減少において有用であり、同時に、皮膚表面への負担がより少なくなるように、より低いpHを有する。このようなプロセスの発見は、様々な金属酸化物が、様々な程度の溶解性と固有のアルカリ度を有するという十分認識された事実に基づいており、非晶質ケイ酸塩中の酸化物の成分の割合の操作を経て、その臭いを減少させる能力を損なうことなく皮膚用として許容できるpHの特有の組み合わせを有するケイ酸塩が生産される。
【0020】
具体的には、これらの皮膚用として許容できるpHを有する有用な金属酸化物ケイ酸塩は、好ましくは、ケイ酸塩をそれらの反応媒体に懸濁しながらケイ酸塩を合成することによって製造される。この方法が好ましいが、本発明の方法は、乾燥した粒状の金属酸化物ケイ酸塩の直接的な処理に限定されない。pHの調節は、希釈した鉱酸または有機酸を用いて行うことができる。好ましくは、このような酸は、化粧品の配合に許容できることが周知のものであり、例えばクエン酸または炭酸である。最も好ましくは、このような酸は炭酸であり、液状またはガス状のいずれかで添加され、望ましい皮膚用として許容できるpHを有するケイ酸塩の吸収剤を提供することができる。
【0021】
本発明に従って製造されたパーソナルケア用流体組成物は、臭いを中和する金属酸化物ケイ酸塩を約0.5重量%〜約20重量%、好ましくは約0.2重量%〜約5重量%含む。本発明のパーソナルケア用流体組成物はまた、本金属酸化物ケイ酸塩に加えて、1種またはそれ以上の皮膚用として許容できる化粧用成分を含むことも考えられる。
【0022】
皮膚用として許容できる化粧用成分としては、まず第一に、かつ最も重要なものとして、希釈剤またはキャリアーが挙げられる。賦形剤、希釈剤またはキャリアーは、様々な成分から選択することができる。賦形剤は、水、および/または、水混和性もしくは分散性有機の液体を含んでもよく、その代わりに、または、それに加えて、水不混和性の液体およびワックスを含んでもよい。化粧品として許容できる賦形剤は、好ましくは、組成物の95重量%〜99.2重量%を構成すると予想され、その他の化粧用添加剤の非存在下で、組成物の残余部分を形成することができる。賦形剤は、水性、非水性またはその両者の組み合わせ、例えば乳濁液が挙げられる。組み合わせの賦形剤において、油または油性材料が、1種またはそれ以上の乳化剤と共に存在していてもよく、主として用いられる乳化剤の平均親水性−親油性バランス(HLB)に応じて、油中水型乳濁液または水中油型乳濁液のいずれかを提供することができる。これはまた、多様な乳濁液:水中油中水型、または、油中水中油型乳濁液も含む。
【0023】
本組成物が、水性賦形剤成分と非水性賦形剤成分との組み合わせを含むような場合、水相は、賦形剤の約90重量%〜約10重量%が可能であり、非水相も同様である。賦形剤が水性であるか、または、水性成分と非水性成分の混合物で構成される本発明の実施形態において、好ましくは、賦形剤は、賦形剤の重量に基づき少なくとも80重量%が水である。好ましくは、水は、本発明の組成物の少なくとも85重量%、最も好ましくは本発明の組成物の90〜95重量%で含まれる。
【0024】
賦形剤が非水性成分で構成される本発明の実施形態において、賦形剤中の皮膚用として許容できる非水性化粧用成分は、通常、組成物の80重量%〜99.9重量%を構成すると予想され、その他の化粧用添加物の非存在下で、組成物の残余部分を形成することができる。
【0025】
適切な非水性キャリアーの例としては、アルコール、ポリアルコキシル化グリコール(例えばプロピレングリコール)、揮発性および不揮発性の液状シリコーンキャリアー(例えば環状シリコーンポリマー)、炭化水素およびミネラルオイル、ならびに、噴射剤として有用な分岐状炭化水素および炭化水素の組み合わせが挙げられる。使用に適した有機性の液体の具体的な非限定的な例としては、オクチルドデカノール、ステアリン酸ブチル、リンゴ酸ジイソプロピル、および、それらの組み合わせが挙げられる。また、アクリル酸ベースのポリマーも使用に適している。
【0026】
本発明の組成物における臭いを吸収する成分が、体の局所的にそれらが塗布された領域に実質的に局部的に残存したままでいることが望ましい。このようになるのを補助するため、さらに、組成物のための代替のディスペンザーも用いられるようにするために、例えば目的に応じた1種またはそれ以上の材料を導入することによって賦形剤を増粘化するか、または、構造してもよい。増粘化または構造された組成物は、一般的に、フィルム、スティック、ソフトソリッド、および、クリームの形態をとる。このような環境において、上記材料は、構成材(structurant)またはゲル化剤と称されることが多く、場合によっては、最終的な組成物の形態に応じて、その代わりに増粘剤と称されることもある。賦形剤をさらに、揮発性の噴射剤で希釈して、エアロゾルとして用いてもよい;エアロゾルは、追加の液体および/またはその他の成分と混合して、例えばロールオンまたはスクイーズスプレー製品として用いてもよい;または、1種またはそれ以上の増粘剤および/または構成材と混合して、例えばゲル、ソフトソリッドまたは固体スティック製品として用いてもよい。
【0027】
典型的な増粘剤は、架橋ポリアクリレート材料であり、B.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Company)製のカルボポール(Carbopol)(商標)として入手可能である。ゴム類は、キサンタン、カラゲナン、ゼラチン、カラヤ、ペクチンおよびローカストビーンガムなどを用いてもよい。特定の環境下では、増粘作用は、キャリアーまたは皮膚軟化薬の賦形剤としても役立つ材料で達成することもできる。例えば、10センチストークスを超えるシリコーンゴム類、および、ステアリン酸グリセロールのようなエステルは、このような二重の機能性を有する。増粘剤は通常、組成物の約0.1〜20重量%の量で、好ましくは約0.5重量%〜10重量%の量で存在すると予想される。
【0028】
その他の皮膚用として許容できる化粧用成分としては、凝固剤およびゲル化剤のようなレオロジーに作用する物質(すなわちレオロジー改質剤)が挙げられる。凝固剤は、パーソナルケア用組成物に、室温で固体(または半固体)の形態になるような固形性が付与されるように作用する。適切な凝固剤としては、特に高融点のワックス(融点は65℃〜110℃)が挙げられ、例えば、硬化ヒマシ油、パラフィン、合成ワックス、セレシン、蜜蝋、およびその他の類似のワックスが挙げられる。また、低融点のワックス(融点は37℃〜65℃)も許容でき、例えば、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドなどが挙げられる。
【0029】
ゲル化剤は、固体スティック組成物の場合に用いられ、スティックに適切な粘稠度を付与し、加工の完了時に適切なゲルマトリックスと製品の硬度を提供することができる。ゲル化剤は、本パーソナルケア用組成物特定の形態、および、本パーソナルケア用組成物が水性または非水性であるかどうかに応じて様々なものが可能である。適切なゲル化剤としては、脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸ゲル化剤のエステルおよびアミド、脂肪酸ゲル化剤、脂肪酸、脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸ゲル化剤のエステルおよびアミドの塩、コレステロール系材料、ラノリン系材料、脂肪族アルコール、トリグリセリド、およびその他の適切な固体、非高分子ゲル化剤が挙げられる。好ましいゲル化剤(水性および非水性組成物の両方にとって)としては、脂肪族アルコールが挙げられ、最も好ましくはステアリルアルコールである。これらのゲル化剤成分の量は、組成物の約0.001重量%〜20重量%の範囲であり得る。
【0030】
本発明の組成物は、目的とする配合物の使用に応じて、多数の望ましい「活性」成分のいずれかを含んでいてもよく、このような成分としては、医薬物質、例えば抗炎症薬、局所麻酔剤、抗真菌剤など;皮膚保護剤またはコンディショナー;潤滑剤;などが挙げられる。
【0031】
本発明に従って製造されたパーソナルケア用流体製品もまた、その他の任意の成分を含んでいてもよい。CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,第8版,2000年(これは、その全体を参照により本発明に含める)では、スキンケア組成物に一般的に使用され、本発明の組成物での使用に適する多種多様の化粧用成分および製薬成分が説明されている。これらの任意の成分としては、pH緩衝剤、追加の悪臭を制御する物質、芳香材料、色素および顔料、保存剤、皮膚用補助物質(例えばアロエ)、化粧用収斂薬、液状または固形の皮膚軟化薬、乳化剤、フィルム形成剤、噴射剤、皮膚コンディショニング剤、例えば潤滑剤、皮膚保護剤、溶媒、可溶化剤、懸濁化剤、界面活性剤、防水剤、増粘剤(水性および非水性)、ワックス、湿潤剤、およびその他の任意の成分が挙げられる。これらの補助的な成分量は、組成物の約0.001重量%〜20重量%の範囲であり得る。
【0032】
このような製品そのものは、多種多様な形態で配合することができ、このような形態としては、例えば固体および半固形のスティック式の消臭剤(例えば乳濁液のスティックまたは懸濁質のスティック)、ロールオン式の消臭剤、ならびに、消臭エアロゾルおよびポンプスプレーが挙げられ、さらには棒状石鹸も可能である。
【0033】
本発明のパーソナルケア用流体組成物は、本明細書で説明されている必須の材料を含むパーソナルケア用流体組成物を提供するに適したあらゆる既知の技術、または、それとは別の有効な技術によって製造することもできる。このような組成物を形成する技術は当業界で十分周知である。本発明は、いかなる特定の配合技術にも依存することはなく、当然ながら具体的な配合成分の選択によりいくつかの具体的な配合手法が必要になると認識される。
【0034】
本発明のパーソナルケア用流体組成物の製造方法には、従来の配合および混合技術が含まれる。本発明の組成物を配合する多くの改変法があり、いずれも本発明の範囲内とみなされる。適切な方法としては、本金属酸化物ケイ酸塩(臭いを吸収/中和する物質)と、液体賦形剤の一部または全部とを合わせることが挙げられる。液体は、本金属酸化物ケイ酸塩に完全に吸収されてもよく、そのような場合、本金属酸化物ケイ酸塩が均一に分散するまで追加の液体およびその他の材料を添加する。増粘剤またはゲル化剤を添加し、この組成物を混合し、均一な混合に必要であれば加熱してもよい。この時点で、補助剤および/または追加の材料を添加してもよく、このバッチを必要に応じて冷却してもよい。増粘化またはゲル化した組成物は、適切なコンテナーまたはディスペンザー内で粘性化または凝固させることができる。
【0035】
以下の具体的な非限定的な実施例で、本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0036】
実施例1〜4
これらの実施例において、酸化カルシウム:シリカのモル比が1:1〜3:1の範囲で様々なケイ酸カルシウムを製造した。
【0037】
これらの実施例の第一工程において、本発明の金属ケイ酸塩製造に使用するのに適した非晶質シリカは、非晶質ケイ酸の沈殿に作用させるためによく撹拌している混合容器中で希釈した水ガラス溶液に硫酸を添加することによって製造された。具体的には、総計で1052リットルの硫酸(濃度11.5%)を、1893リットルの13%ケイ酸ナトリウム固体を含む水ガラス溶液(SiO/NaOモル比は3.3)に、17.8lpm(リットル/分)の速度で、温度95℃で混合しながら添加した。pHが5.5になるまで硫酸の添加を続け、この反応混合物を1時間消化した。得られたシリカ粒子の懸濁液をろ過によって回収し、洗浄し、乾燥させ、細粒化した反応性シリカ粉末を形成した。その後の合成のための中間体材料として、乾燥していない材料をろ過したケークの形態のままにしておくことも同様に有用である。
【0038】
次に、上記で生産された反応性シリカを、定トルクのかきまぜ機とパドルブレードを備えた反応容器中で、水中で規定の固体%にスラリー化した。次に、この反応器に、水と規定の固体%の石灰スラリーを添加した。この反応器の温度を規定の温度に上げ、この反応混合物を消化した。次に、得られた金属ケイ酸塩をろ過し、乾燥させ、磨砕した。加えて、実施例2においては、予め乾燥させ磨砕した材料を900℃で60分間加熱することによってさらに脱水させた。実施例2は、脱水時にケイ酸カルシウムの結晶性形状に転換した。
【0039】
以下の表1に、実施例1〜4の反応変数を示す。
【0040】
【表1】

【0041】
実施例1〜4の特性を、以下の表4にまとめる。
実施例5〜8
これらの実施例において、実施例1、3および4で生産されたケイ酸カルシウムのpHを、乾燥の前または後のいずれかに、化粧品として許容できる酸性成分で材料を処理することによって、より化粧品として許容できるpHに低めた。
【0042】
実施例5および6において、実施例1で生産された多量のケイ酸カルシウムを50℃に加熱し、それぞれ二酸化炭素ガスまたは5%クエン酸溶液でpH8.9になるまで処理し、次に、消化し、ろ過し、乾燥させ、磨砕した。
【0043】
実施例7において、95℃で60分の消化時間の後に、スラリーのpHが8.7に達するまで、COガスを、104.5分間、84.95lpmの速度でスラリーにバブリングしたことを除いては、実施例3の生成物を再生産した。次に、このスラリーを15分間消化し、ろ過し、乾燥させ、磨砕した。
【0044】
実施例8において、実施例4の生成物を多量に回収し、その後、乾燥前に60分消化した。次に、回収されたスラリーに二酸化炭素ガスをバブリングし、これを、スラリーのpHが8.7に達するまで15分間、50℃に加熱し、その後、このスラリーを消化し、ろ過し、乾燥させ、磨砕した。
【0045】
以下の表2に、実施例5〜8のプロセス条件を示す。
【0046】
【表2】

【0047】
実施例5〜8の特性を、以下の表4にまとめる。
実施例9〜12
これらの実施例において、ケイ酸マグネシウム(実施例9および12)、ケイ酸カルシウムマグネシウム(実施例10および11)を製造した。前述の実施例で説明した一般的なプロセススキームに従った(以下の表3に、試薬の置き換えと追加を示す)。実施例10〜11において、カルシウム原料の添加の前に、シリカ原料とマグネシウム原料との反応の完了を確かめるために、石灰スラリーの添加の前に、反応性シリカ、水および水酸化マグネシウムを、一緒に5分間混合した。
【0048】
【表3】

【0049】
実施例9〜12の特性を、以下の表4にまとめる。
実施例13
この実施例において、ケイ酸マグネシウム亜鉛を製造した。まず、ケイ酸亜鉛の湿潤ケークを、濃度13.3%のケイ酸ナトリウム溶液2021g(SiO/NaOモル比は3.3)と、BASF Z−Coat ZnO粉末80gとを撹拌容器中で混合することによって作製した。この混合物を90℃に加熱した。加熱した懸濁液に、スラリーのpHが5.83に達するまで、11.4%硫酸を35ml/分の速度で25.5分間添加し、次に、これを15分間消化した。このケイ酸亜鉛の湿潤ケークをろ過によって回収し、熱水で洗浄した。
【0050】
423.4gのケイ酸亜鉛の湿潤ケーク(固体23.6%)を、250gの水と混合し、次に98.0gの水酸化マグネシウム(固体51%)を添加した。この反応物を、混合しながら、1時間、90℃に加熱した。得られたケイ酸マグネシウム亜鉛生成物をろ過し、乾燥させ、磨砕した。以下の表4に、実施例13の特性をまとめる。
【0051】
【表4】

【0052】
本願で記載される表面領域は、J.Am.Chem.Soc.60,309(1938年)で報告されているようなBrunaur等のBETの窒素吸収法で決定された。真の密度は、ヘリウムピクノメータで決定した。
【0053】
粒度は、ホリバ・インスツルメンツ(Horiba Instruments,ブースウィン,ペンシルバニア州)より入手可能な、モデルLA−910レーザー光散乱装置を用いて決定した。レーザー光線は、液体に懸濁された移動する粒子の流れを含む透明なセルを通過して発射された。粒子に衝突する光線は、それらの大きさに逆比例する角度で散乱する。光検出器のアレイは、数種の予め決められた角度で光の量を測定する。次に、測定された光束値に比例する電気信号をマイクロコンピュータシステムで加工し、粒子の粒度分布のマルチチャンネルのヒストグラムを形成する。
【0054】
本願で示される油吸収値は、擦り付け方法で測定された。この試験において、油とケイ酸塩とを混合し、滑らかな表面上に、硬いパテ状のペーストが形成されるまでスパーテルで擦り付けた。塗り広げた際に巻き上がると予想されるペースト状混合物が得られるのに必要な油の量を測定することによって、ケイ酸塩の油吸収値を計算することができ、この値は、ケイ酸塩の単位重量あたりの、ケイ酸塩吸収能を完全に飽和させるのに必要な油の容積を示すものである。油吸収値の計算は、方程式(I)に従って行われた。
【0055】
【数1】

【0056】
孔の容積は、オートポアII(Autopore II)9220多孔度測定器(マイクロメリティクス社(Micromeritics Corporation))を用いて決定された。この機器では、様々な材料の空隙容量と孔の粒度分布が測定される。圧力の関数として、水銀を空隙に押し込み、サンプル1gあたりの侵入した水銀の容積をそれぞれの圧力環境下で計算する。本明細書で表される孔の総容積は、真空〜60,000psiの圧力で侵入した水銀の累積的な容積を示す。それぞれの圧力環境下における容積の増加量(ml/g)を、その圧力環境の増加量に相当する孔の半径に対してプロットする。孔の半径の曲線に対する侵入した容積のピークは、圧力環境の増加量である。孔の半径の曲線に対する侵入した容積のピークは孔の粒度分布の形態に相当するので、サンプルにおける最も一般的な孔径を確認できる。
【0057】
実施例14
この実施例において、実施例1〜8で製造された数種のケイ酸カルシウム、同様に、比較物質のフーバーソルブ600(Hubersorb600;J.M.フーバー社(J.M.Huber Corporation),エジソン,ニュージャージー州より入手可能)、および、鉱物のケイ灰石(R.T.ヴァンダービルト社(R.T.Vanderbilt Company),ノーウォーク,コネチカット州より入手可能)を、以下で説明されるインビトロでの臭いの吸収能試験で評価した。表5に、臭いに関する能力の評価の結果をまとめる。
【0058】
トランス−3−メチル−2−ヘキセン酸は、腋窩(わきの下)の臭いに関連する主要な活性成分であるが、これは市販されていない。試験物質として、イソ吉草酸(3−メチルブタン酸)を選択したが、これは、トランス−3−メチル−2−ヘキセン酸と化学的によく関連しているためである。イソ吉草酸は、類似の調査で用いられる。
【0059】
イソ吉草酸は、足および体の発汗による悪臭に関連し、それに寄与するものである。この悪臭のある材料の市販のサンプルをモデル化合物として用いて、本発明に従って製造された合成金属ケイ酸塩材料を含む化粧用組成物の、これらの悪臭のある材料に関連する臭いを除去する能力を評価した。
【0060】
インビトロでの臭いに関する能力のためのサンプルを、以下のようにして製造した。20mlのクリンプキャップ付きヘッドスペースサンプリングバイアル(VWR製品番号66064−348)に、0.25グラムの臭いを吸収/中和する試験化合物をに量り入れることによって試験品を製造した。次に、このバイアルに、5mlの5%NaCl溶液、および、適切な量のイソ吉草酸(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)製品番号3314699)を添加した;イソ吉草酸の容積は、中和されずに残留した酸が、検量線の範囲内(すなわち20〜100μl)になるように選択された。この容積は、過去のデータ、試験物質の物理特性および 試行錯誤によって決定される。次に、得られた混合物にキャップをし、ボルテックスかきまぜ機で徹底的に撹拌し、手動で振盪し、24時間平衡化させ、次に、GCMS(「ガスクロマトグラフィーマススペクトロメトリー」)を用いて解析した。
【0061】
GCMS解析は、質量選択検出器(MS)に直接取り付けられたガスクロマトグラフ(GC)からなるシステムで行った。GCに存在するガス状の溶質はそれぞれ、電子ビームでイオン化された。特定の溶質によって形成されたイオンは、分子中の結合の性質に依存すると予想され、イオン化分子、および、その分子のイオンフラグメントの両方が生じる可能性がある。次に、このイオンはセパレーターの方向に流され、セパレーターにおいて、質量に従ってイオンを分離し、カウントする。質量のピークの配列と相対強度からは、溶質の化学的同一性に関する情報が得られる。ピークの絶対強度からは、存在する物質の量に関する情報が得られる:ピーク領域の量が大きければ大きいほど、存在する物質の量は大きくなる。
【0062】
2つのサンプリング方法を用いて、吸収されていない臭いを引き起こす物質(イソ吉草酸)の検出可能な量、または、それぞれの試料における臭いの中和能力:高温のヘッドスペース解析、および、低温の固相微量抽出(SPME)解析を決定した。
【0063】
高温のヘッドスペース解析は、HP7694ヘッドスペースオートサンプラー、HP5890ガスクロマトグラフ、および、HP5972質量選択検出器からなる、ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)GCMSシステムを用いて行われた。GCに、レステック社(Restek Corporation, ベレフォンテ,ペンシルベニア州)より入手可能な、レステックRTX624Volatilesカラム(長さ30m,直径0.25mm,フィルム厚さ1.4μm)を装備させた。このGCMSシステムを以下の運転条件に設定した。
【0064】
【表5】

【0065】
低温SPME解析は、100μmのPDMS固相微量抽出ファイバー(スペルコ(Supelco)/シグマ−アルドリッチより入手可能;製品番号57300−U)、および、手動式ファイバーホルダー(製品番号57330−U)を用いてサンプリングされたバイアルを用いて行われた。このファイバーを室温に5分間にさらし、続いてGCMSに脱着させた。この解析に用いられたヒューレット・パッカードGCMSシステムは、HP5890ガスクロマトグラフ、および、HP5972質量選択検出器からなる。このGCに、レステックStabilwaxカラム(長さ60m,直径0.25mm,df0.25μm)(レステック社(ベレフォンテ,ペンシルベニア州)より製品番号10626で入手可能)を装備させた。GCMSシステムを以下の運転条件に設定した。
【0066】
【表6】

【0067】
検量線を以下のようにして作成した。各サンプリング方法に応じて20μl〜100μlのイソ吉草酸を、密封したヘッドスペースバイアル中で、5mlの5%NaClに添加した。次に、標準バイアルを、高温または低温手法を用いるかどうかにかかわらず上述したようにして解析した。典型的には、R=0.98〜0.99の線形の検量線が作製できる。
【0068】
検出器応答において日々発生する横流れを補正するために、複製された標準を、初期の5mlの5%NaClでの60μlのローディングから、それぞれの分析設定の最終値まで泳動することによって較正を行った。これらの泳動の平均ピーク領域を用いて、60μlにおける単一点の感度係数を計算した。
【0069】
各試料の臭いを中和する能力を計算するために、既知の量のイソ吉草酸を、5mlの5%NaCl中の0.25gの試料に添加した。添加された量は、ヘッドスペースまたはSPME解析に利用可能なバイアル中に過量のイソ吉草酸(すなわち中和されていない)が存在するような程度であった。60μlでの感度係数から計算された、バイアル中に残留した酸の量を、添加された量から差し引き、試料の重量で割った。これは、中和されたイソ吉草酸の量、または、臭いを吸収する能力(μl/g)である。
【0070】
【数2】

【0071】
【表7】

【0072】
この実施例では、合成非晶質ケイ酸カルシウムを本発明に従って製造し、シリカに対する酸化カルシウムのより高いモル比を有することは、改善された臭いに関する能力を提供することが説明される。同じモル比だがpHが減少している合成非晶質ケイ酸カルシウムは、このような臭いに関するより高い能力を実質的に維持しており、同時に、消費者にとってより許容できるものである。
【0073】
実施例15
この実施例において、実施例3、9、10および11のサンプルを、上記で説明されているインビトロでの臭いの吸収能試験で評価した。以下の表6に、臭いに関する能力の評価の結果をまとめる。
【0074】
【表8】

【0075】
これらの実施例は全て、優れた臭いに関する能力を有しており、2金属酸化物:1シリカの割合でさらに優れた能力を有することがわかった。酸化物を混合した生成物が、低いpHで有効であり、同時に優れた臭いに関する能力を維持した。
【0076】
実施例16
この実施例において、実施例11の本発明のケイ酸カルシウムマグネシウムの臭いの吸収能を、ケイ酸カルシウムと、ケイ酸マグネシウムまたは炭酸マグネシウムのいずれかとの物理的な混合物と比較した。
【0077】
ケイ酸カルシウムとケイ酸マグネシウムの物理的な混合物を、実施例3の5.68gのケイ酸カルシウムと、実施例12の13.5gのケイ酸マグネシウムを乾燥状態でブレンドし、次に、この混合物を乾燥状態で磨砕し、サンプルを均質化することによって作製した。得られたブレンドは、実施例11のケイ酸カルシウムマグネシウムと同じモル比を有するが、より高いpHを有していた。
【0078】
比較するために、10gのフーバーソルブ600ケイ酸カルシウム(J.M.フーバー社,エジソン,ニュージャージー州より入手可能)と、6.76gの炭酸マグネシウム(EMサイエンス(EM Science),ギブスタウン,ニュージャージー州)との物理的な混合物を、乾燥状態でブレンドし、磨砕し、均質化した。このブレンドは、実施例11と同じモル比とpHを有していた。
【0079】
臭いに関する能力を、他の場所でのインビトロでの臭いの吸収能試験で評価した。以下の表7に、臭いに関する能力の評価の結果をまとめる。
【0080】
【表9】

【0081】
実施例3と実施例12との物理的なブレンド(実施例11と同じ組成で)は、優れた臭いに関する能力を示したが、実施例11のケイ酸カルシウムマグネシウムより高いpHを有していた。比較例としての、フーバーソルブ600ケイ酸カルシウムと炭酸マグネシウムとの物理的なブレンドは、実施例11と同じモル濃度組成とpHを有していたが、臭いに関する能力はそれよりかなり低かった。この実施例では、本発明に従って製造されたような合成で生成したケイ酸塩は、比較のブレンドと比較して相乗的に改善された臭いを吸収する能力を提供し、許容できるpHで優れた臭いに関する能力に関する独自の利点を示すことを説明する。このような性能は、当業者でも予想し得なかったであろう。
【0082】
実施例17
実施例13のケイ酸マグネシウム亜鉛を、ケイ酸マグネシウムと炭酸亜鉛との物理的なブレンド、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、ならびに、ケイ酸マグネシウムアルミニウムと比較した。この炭酸亜鉛と炭酸マグネシウムは、EMサイエンス社(ギブスタウン,ニュージャージー州)から入手した。用いられたケイ酸マグネシウムアルミニウムは、U.S.コスメティック社(U. S. Cosmetics Corporation,デイビル,コネチカット州)から得られたセブマース(Sebumase)である。
【0083】
物理的なブレンドを、10gの実施例9のケイ酸マグネシウムと、8.73g 炭酸亜鉛とを合わせて、ブレンドし、磨砕して均質化することによって作製した。
上記で説明されているインビトロでの臭いの吸収能試験で、臭いに関する能力を評価した。以下の表8に、臭いに関する能力の評価の結果をまとめる。
【0084】
【表10】

【0085】
表8によれば、本発明に従って製造された実施例13の臭いに関する能力、および、本発明に従って製造され、炭酸亜鉛とブレンドされた実施例9の臭いに関する能力は、単一で用いられた炭酸亜鉛または炭酸マグネシウムの能力より勝っており、さらに、既知の従来技術のケイ酸マグネシウムアルミニウムの能力よりもかなり勝っていたことが観察される。
【0086】
実施例18
固体スティック式の消臭剤のベース産物に包含された、混合された金属酸化物ケイ酸塩の臭いを吸収する性能と有効性を評価するために、本発明に従って製造された数種の機能的なケイ酸塩を含み、市販のスティック消臭剤の配合物に類似した固体スティック式消臭剤配合物を製造し、ヒト被検体で実際の使用条件下で試験した。水コンデンサーを取り付けたガラス製反応器中で、以下の表9に列挙したような様々な化粧用成分を混合し、次に、ライトニングミキサーとテフロン(登録商標)製かきまぜ機によって撹拌しながら80〜85℃に加熱した。その他の成分全てを添加し終えたら、その中で、規定された吸収剤(以下に示す量で)、または、トリクロサン(ステアリルアルコールと予備混合された)を撹拌し、臨床試験に適したコンテナーに充填する前に、混合物を52℃に冷却した。
【0087】
【表11】

【0088】
用いられたシクロメチコンは、SF−1202であり、GEシリコーン(GE Silicone,ウォーターフォード,ニューヨーク州)より入手可能;用いられたステアリルアルコールは、Lanette18DEOであり、コグニス社(Cognis Corp.,シンシナティ,オハイオ州)より入手可能;硬化ヒマシ油は、Castor Wax MP−80であり、フランクB.ロス社(Frank B.Ross Co.,ジャージーシティ,ニュージャージー州)より入手可能;トリコンタニルPVPは、GANEX(R)WP−660であり、コグニス社(シンシナティ,オハイオ州)より入手可能;および、フェニルトリメチコンは、DC−556であり、ダウ・コーニング(Dow Corning,テイラー,ミシガン州)より入手可能であった。
【0089】
臨床試験は、連邦行政規則集第50編の表題21に従って適用できる医薬品の臨床試験の実施の基準に従って行われた。この研究では、4対(実施例7、実施例11および実施例13、それぞれ抗菌剤トリクロサンと対を形成する)を用いた一対比較試験の設定が用いられた。それぞれの被検体の一方の腋下に、試験品をランダムに割り当て、それと反対の腋下に、トリクロサンを含むコントロール試験品を与えた。約20人の被検体にそれぞれの対を完成させた。試験品の正確な組成については、上記の表9を参照すること。
【0090】
年齢18歳以上であり、最低限過去7日間は、各個人の入浴中に非抗菌性の芳香剤を含まない石鹸製品のみを使用することからなる内容の基準を満たす約80人の男性および女性の被検体を選択した。被検体は、腋下の刺激性、活性な乾癬、湿疹、皮膚ガンまたは皮膚病学的な状態を有していなかった。容認された被検体は、以下の手法に従って、石鹸を用いる管理された洗浄に参加した。右の腋下を、標準的な石鹸の2%溶液で飽和させた使い捨てタオルで約10秒間洗浄した。新しい使い捨てタオルを流水下で湿潤させ、これを用いて、腋下を石鹸が全て除去されるまでリンスした。乾燥した使い捨てのタオルを用いて、腋下を穏やかにパッティングして乾燥させた。この手法を左の腋下に繰り返した。
【0091】
被検体には、記録に従って、ランダム化に対応する処理の割り当て番号が付与された。各被検体は、2段階処理による塗布(腋下の1回の塗布あたり0.40gと0.02g)を受けた。専門家により、腋下のアーチを中心として約4×6cmの領域を均一に覆うように試験品を塗布した。用いられた試験品の量は、それぞれの単位を、それぞれの使用の前後に計量することによって決定された。被検体は、最低で10分間待機し、新しく洗濯した白いTシャツが与えられ、被験者はこれを試験期間中に着用した。
【0092】
2回目の処理による塗布の後、10(±0.5)時間で被検体の臭いを評価した。臭いの評価のスコア付けシステムは、10ポイントのスケールに基づく。このスコア付けシステムは、腋の下の臭いを、悪臭なし(0)〜中程度の悪臭(5)〜極めて強い悪臭(10)の範囲にすることに基づく。臭いの測定は、手法および評価システムに精通した訓練を受けた審査員によって主観的になされた。
【0093】
ソースデータは、処理後の評価で、3人の訓練を受けた審査員によって指定された個々の被検体の悪臭スコアである。それぞれの処理対(試験品A対B、試験品A対C、および、試験品A対D)について、個別の解析を行った。試験品の一対比較評価のために、Non−parametric Statistical Methods,Hollander,M.およびWolfe,D.A.,(1973年)第3章で説明されているような分布によらない符号順位検定を用いて、3人の審査員の処理間の平均差異を解析した。帰無仮説(対の試験品間の差異がゼロに等しいことを言う)は、符号順位検定p値が0.05未満または0.05に等しい場合に棄却された。この結果を、以下の表10、11および12に示す。
【0094】
【表12】

【0095】
【表13】

【0096】
【表14】

【0097】
悪臭の比較がなされた材料の対のいずれにおいても性能における有意差は観察されなかった。本発明に従って製造されたケイ酸塩の吸収剤を含むが、トリクロサンは含まれない試験品B、CおよびDはそれぞれ、臨床的に同等の臭いに関する利点を示した。
【0098】
従って、本発明に従って製造されたケイ酸塩の吸収剤を包含する消臭剤製品は、トリクロサンを包含する固体スティック消臭剤の、安全で効果的な代用品を提供する。
当業者にとっては当然であるが、上記で説明されている実施形態に、本発明の広範囲の概念から逸脱することなく変更を施すことができる。従って、本発明は開示された特定の実施形態に限定されないが、添付の請求項で定義される本発明の本質および範囲内の改変も含むものと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
悪臭のある化合物を吸収できる金属酸化物ケイ酸塩、および、賦形剤を含むパーソナルケア用流体組成物であって、該金属酸化物ケイ酸塩は、式:xMO:SiOで示され、式中、Mは、少なくとも1種の多価の金属陽イオンであり、xは、金属酸化物のモル数であり、xは、約1と等しいか、または、それより大きく;および、該金属酸化物ケイ酸塩は、50ml/100gより大きい油吸収値を有する、上記組成物。
【請求項2】
Mは、カルシウム、マグネシウム、および、亜鉛からなる群より選択される、請求項1に記載のパーソナルケア用流体組成物。
【請求項3】
xは、約2〜約3の範囲である、請求項1に記載のパーソナルケア用流体組成物。
【請求項4】
前記金属酸化物ケイ酸塩は、約50ml/100g〜約250ml/100gの油吸収値を有する、請求項1に記載のパーソナルケア用流体組成物。
【請求項5】
前記金属酸化物ケイ酸塩は、5%のpHが約9〜約10である、請求項1に記載のパーソナルケア用流体組成物。
【請求項6】
前記金属酸化物ケイ酸塩は、30μm未満の平均粒度を有する、請求項1に記載のパーソナルケア用流体組成物。
【請求項7】
前記多価の金属陽イオンの少なくとも1種は、カルシウム陽イオン、および、マグネシウム陽イオンからなる群より選択される、請求項1に記載のパーソナルケア用流体組成物。
【請求項8】
前記多価の金属陽イオンの少なくとも1種は、カルシウム陽イオン、および、マグネシウム陽イオンからなる群より選択される、請求項3に記載のパーソナルケア用流体組成物。
【請求項9】
前記組成物は消臭剤であり、固体スティック式の消臭剤、液体ロールオン式の消臭剤、エアロゾル、および、ポンプスプレー式の消臭剤、半固体のゲル状消臭剤、棒状石鹸、および、消臭ローションおよびクリームからなる群より選択される形態である、請求項1に記載のパーソナルケア用流体組成物。
【請求項10】
(a)約0.5重量%〜約20重量%の金属酸化物ケイ酸塩、ここで、該金属酸化物ケイ酸塩は、式:xMO:SiOで示され、式中、Mは、少なくとも1種の多価の金属陽イオンであり、xは、金属酸化物のモル数であり、xは、約1と等しいか、または、それより大きく;および、該金属酸化物ケイ酸塩は、50ml/100gより大きい油吸収値を有する;および、
(b)賦形剤、増粘剤、レオロジー改質剤、pH緩衝剤、追加の悪臭を制御する物質、芳香材料、色素および顔料、保存剤、皮膚用補助物質、化粧用収斂薬、液状または固形の皮膚軟化薬、乳化剤、フィルム形成剤、噴射剤、皮膚コンディショニング剤、例えば潤滑剤、皮膚保護剤、溶媒、可溶化剤、懸濁化剤、界面活性剤、防水剤、増粘剤、ワックス、および、湿潤剤からなる群より選択される、約80重量%〜約99.9重量%のその他のパーソナルケア用組成物の成分、
を含む、パーソナルケア用流体組成物。
【請求項11】
悪臭のある化合物を吸収できる金属酸化物ケイ酸塩を含むパーソナルケア用組成物の有効量を皮膚に都付することによって体臭を抑制する方法であって、該金属酸化物ケイ酸塩は、式:xMO:SiOで示されることを特徴とし、式中、Mは、少なくとも1種の多価の金属陽イオンであり、xは、金属酸化物のモル数であり、xは、約1と等しいか、または、それより大きく;および、該金属酸化物ケイ酸塩は、50ml/100gより大きい油吸収値を有する、上記方法。

【公表番号】特表2008−504213(P2008−504213A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526868(P2006−526868)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/020810
【国際公開番号】WO2005/034888
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(596129189)ジェイ・エム・ヒューバー・コーポレーション (22)
【Fターム(参考)】