説明

臭素化ポリフェニレンオキシド及び難燃剤としてのその使用

ポリブロモアリールエーテルのための溶媒に、(1)構造HO−Ar−Xの少なくとも1つの化合物(式中、Arはアリール基であり、X、X、X、X及びXは独立して、水素及び臭素からなる群から選択され、但し、X、X、X、X及びXの少なくとも1つは臭素である)、(2)少なくとも1つのアルカリ又は水酸化アルカリ金属、及び、(3)少なくとも1つの重合開始剤の混合物を加えるステップ(但し、ポリブロモアリールエーテルのための前記溶媒は臭化アルカリ金属のための非溶媒である)を含む、ポリブロモアリールエーテルを調製するためのプロセス、このプロセスによって調製されるポリブロモアリールエーテル。本発明はまた、ポリマー樹脂と、本発明の方法によって調製されるポリブロモアリールエーテルとの混合物を含む組成物に関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願人は、米国仮特許出願第60/839,137号(2006年8月22日出願、発明の名称:臭素化難燃剤)に対する米国特許法120条による利益を主張する。
【0002】
本発明は、樹脂において使用される難燃剤、及び、そのような難燃剤の使用方法に関連する。具体的には、本発明は、ポリアミドを含めて、様々な樹脂において使用される難燃剤添加物としてのポリブロモアリールエーテル及び前記エーテルの使用方法、並びに、そのような難燃剤の使用方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
様々な添加剤物質が、最終的な組成物の特性を増強するために、又は、最終的な組成物の特性に影響を及ぼすために配合時にポリマー樹脂との配合物において使用される。これらの添加剤の中で、難燃剤が、可燃性を低下させるためにポリマー樹脂に加えられる。難燃剤物質の使用は、使用されている具体的な系に依存して、ポリマー特性に悪影響を及ぼすことがある。これらのポリマー特性に対する難燃剤の影響は時には、他の難燃剤物質に対して、より低い鉛レベルで利用され得るより効率的な難燃剤を使用することによって最小限に抑えることができる。ポリブロモアリールエーテルとして知られている種類の難燃剤は、標準的な臭素化ポリスチレン型の物質よりもポリアミド樹脂において効率的であり、また、同じレベルの難燃性を達成するために、より低い負荷量で使用することができ、一方で、系の全体的な特性に対する影響をそれほど有していない。
【0004】
これらのポリブロモアリールエーテルは非常に熱安定性の物質である。結果として、ポリブロモアリールエーテルは、改善された熱特性を、ポリブロモアリールエーテルが用いられる樹脂系に与える。より低いイオン性不純物を伴うポリブロモアリールエーテルを製造することによって、改善された熱特性を一層さらに実現することができる。このことは様々な改善された特性をもたらし、例えば、より少ない「オフガス発生」を射出成形時にもたらすこと、及び、これらのタイプの物質を用いて作製される部品が「膨れること」を最小限に抑えることにより何らかの改善を同様に提供することによる改善された特性などをもたらす。
【0005】
PO−64又はPO−64Pとして商業的に知られる分子が、1970年代後半に、(Velsicol Chemical Corporationとして後には知られる)本発明者らの研究所で発明され、ポリアミドにおける使用について促進された。この物質はポリブロモアリールエーテルであり、水性媒体におけるトリブロモフェノールの重合によって作製されたが、今日でも様々な他の企業によって依然として作製される。この物質(これは以前にはFiremaster935として知られた)の初期の開示では、この製造物をポリアミド及びポリエステルの様々な適用において使用することの利点が詳しく記載される。例えば、R.C.Nametz他、25、SOC.PLAST.ENG.TECH.PAP.、488〜91(1979);P.H.Burleigh他、7(1)、J.Fire RETARD.CHEM.、47〜57(1980);及び、P.H.Burleigh他、4、PROC.INT.CONF.FIRE SAF.、279〜93(1979)を参照のこと。
【0006】
臭素化フェノール類の縮合生成物が、水系プロセス又は二相の水−溶媒プロセスのいずれかを伴う様々なプロセスによって作製される。米国特許第4,141,880号は、有機溶媒−水系であるプロセスを開示する。様々な開始剤、例えば、過酸化ベンゾイルなどが、水及び有機溶媒(例えば、クロロホルム又は1,2,4−トリクロロベンゼンなど)を使用する臭素化フェノラート類の重合を開始するために使用される。
【0007】
米国特許第4,141,880号は、臭素化されたフェノール類及びフェノラート類に由来する縮合生成物を含む難燃化された非ブルーミング性ポリアミド組成物を開示する。これらの組成物は、良好な熱安定性を有する材料を提供する。この特許はポリアミド組成物に焦点を置いている。開示されたプロセスにおいて、多数の溶媒が議論され、テトラヒドロフランが言及されており、しかし、その中心は、有機−水性に基づく反応系、又は、他の高沸点溶媒の使用に対してである。本発明によって認識される、テトラヒドロフランを使用することの利点は、この特許では認識されず、また、どのような様式でも示されなかった。
【0008】
3、日本化学会誌、403〜08(1977)では、銅(II)塩が、DMF−CuCl錯体によって触媒される2,4,6−トリブロモフェノールの縮重合のための触媒として使用される方法が議論される。いくつかの溶媒及び塩基がこのプロセスのために記載される。テトラヒドロフランが、生成物の精製において使用されるとして開示される。粗重合生成物が酸性メタノールの中に沈殿させられる。生成物が、粗生成物をテトラヒドロフランに溶解することによって精製される。その場合、溶液がろ過され、生成物がメタノールの中に再沈殿させられる。
【0009】
特願平06−068433は、水における臭素化フェノラートが、硝酸又は硝酸銀反応においてカチオン性になるハロゲン化有機化合物を含む開始剤系により重合させられる、臭素化ポリフェニレンエーテルを調製するためのプロセスを開示する。
【0010】
このようなポリマーを作製するためのすべての開示された方法は、ポリマーを水から沈殿させること、不純物を取り込むこと、又は、臭化物塩を水洗により除き、ポリマーを選択された非溶媒において沈殿させることが必要であることを欠点として有しており、或いは、そのような方法は工業的にとても実用的ではない。この物質を、別個の洗浄クリーンアップステップを必要とすることなく、低いイオン性不純物を伴って作製することができるプロセスが求められている。
【0011】
ある種の電気素子は、はんだリフロープロセス時における無鉛はんだのより高い温度要件のために、上昇した加工温度に耐えることが要求される。これは、表面実装技術(SMT)を利用する素子については特に当てはまる。そのような加工は、材料が熱的に丈夫でないならば、素子部品が、気泡、又は、リフロープロセス後における部品の表面での膨れを時には形成することをもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,141,880号
【特許文献2】特願平06−068433
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】P.H.Burleigh他、7(1)、J.Fire RETARD.CHEM.、47〜57(1980)
【非特許文献2】P.H.Burleigh他、4、PROC.INT.CONF.FIRE SAF.、279〜93(1979)
【非特許文献3】日本化学会誌、403〜08(1977)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、熱に安定な難燃剤系を提供し、最終的なポリマーに対する加工の悪影響のいくらかを軽減する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、ポリブロモアリールエーテルのための溶媒に、(1)下記構造の少なくとも1つの化合物:
HO−Ar−X (I)
(式中、Arはアリール基であり、X、X、X、X及びXは独立して、水素及び臭素からなる群から選択され、但し、X、X、X、X及びXの少なくとも1つは臭素である)、(2)少なくとも1つのアルカリ又は水酸化アルカリ金属、及び、(3)少なくとも1つの重合開始剤の混合物を加えるステップ(但し、ポリブロモアリールエーテルのための前記溶媒はアルカリ又は臭化アルカリ金属のための非溶媒である)を含む、ポリブロモアリールエーテルを調製するためのプロセス、及び、このプロセスによって調製されるポリブロモアリールエーテルに関連する。混合物が反応して、化合物Iを重合し、ポリブロモアリールエーテルと、少なくとも1つのアルカリ又は臭化アルカリ金属副生成物とを形成する。その後、化合物Iの重合が停止され、その後、不溶性のアルカリ又は臭化アルカリ金属副生成物が可溶性のポリブロモアリールエーテルから分離される。好ましくは、本発明は、別個の精製ステップを必要としない、本発明の化合物を作製するためのプロセスに関連する。
【0016】
本発明はまた、ポリマー樹脂と、本発明の方法によって調製されるポリブロモアリールエーテルとの混合物を含む組成物に関連する。
【0017】
本発明のポリブロモアリールエーテル化合物は下記の一般式を有する:
【化1】


(式中、Rは、H、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、Xは、アリール環上の1置換から全置換まで臭素原子を表す)。
本発明には、上記一般式がオルト置換又はパラ置換の混合である難燃剤が含まれ、但し、その置換パターンは定義されない。本発明には、この化合物を、Underwriters Laboratories(UL)94V−0の分類を達成するように、改善された熱安定性、改善された膨れ抵抗性、改善されたポリマー相容性、並びに、難燃剤及び相乗剤の低下した負荷レベルを提供するためのポリマー樹脂における難燃剤添加物として使用する方法が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の化合物と臭素化ポリスチレン系物質の比較のための走査電子顕微鏡写真(SEM)画像である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、ポリブロモアリールエーテルのための溶媒に、(1)下記構造の少なくとも1つの化合物:
HO−Ar−X (I)
(式中、Arはアリール基であり、X、X、X、X及びXは独立して、水素及び臭素からなる群から選択され、但し、X、X、X、X及びXの少なくとも1つは臭素である)、(2)少なくとも1つのアルカリ又は水酸化アルカリ金属、及び、(3)少なくとも1つの重合開始剤の混合物を加えるステップ(但し、ポリブロモアリールエーテルのための前記溶媒はアルカリ又は臭化アルカリ金属のための非溶媒である)を含む、ポリブロモアリールエーテルを調製するためのプロセス、このプロセスによって調製されるポリブロモアリールエーテルに関連する。混合物が反応して、化合物Iを重合し、ポリブロモアリールエーテルと、少なくとも1つのアルカリ又は臭化アルカリ金属副生成物とを形成する。その後、化合物Iの重合が停止され、その後、不溶性のアルカリ又は臭化アルカリ金属副生成物が可溶性のポリブロモアリールエーテルから分離される。好ましくは、本発明は、別個の精製ステップを必要としない、本発明の化合物を作製するためのプロセスに関連する。
【0020】
本発明はまた、ポリマー樹脂と、本発明の方法によって調製されるポリブロモアリールエーテルとの混合物を含む組成物に関連する。
【0021】
本発明には、下記の一般式を有する化合物が含まれる:
【化2】


(式中、Rは、水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、Xは、ポリマーにおけるアリール成分についての臭素化の程度を表す)。Xについての値は1〜4であり、但し、5個までの臭素が末端基には存在する。nについての値は、効果的な難燃性ポリマーを提供する任意の数字である。好ましくは、nについての値は約3〜約300である。
【0022】
本発明の最も好ましい実施形態には、下記の一般式の化合物が含まれる:
【化3】


(式中、Rは、水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、nは約3〜約300であり、生成物はオルト置換及び/又はパラ置換であるか、或いは、これらの混合である)。
【0023】
本発明の化合物は、500パーツパーミリオン(ppm)未満の低いトリブロモフェノール(TBP)含有量及び100ppm未満の低いイオン性不純物を伴う高純度の難燃剤物質を提供する方法によって製造することができる。本発明の方法では、別個の洗浄クリーンアップステップの必要性が除かれる。
【0024】
好ましくは、本発明の方法によって調製されるポリブロモアリールエーテルは、0〜200(ppm)の臭化ナトリウムが残留している。最も好ましくは、0〜50ppmの臭化ナトリウムが、本発明の方法によって調製されるポリブロモアリールエーテルにおいて残留している。
【0025】
本発明の方法は、歴史的な水系プロセスによって作製される物質と比較して、制御された分子量分布を有するポリマー組成物をもたらす。本発明の方法は、10,000〜62,000ダルトンの範囲の分子量のポリマー組成物をもたらす。より低い低分子量のポリマー組成物が、およそ700〜10,000ダルトンの範囲にある場合でもまた、このプロセスの改変によって可能である。
【0026】
本発明の方法では、好ましくは、生成物ポリマーのための溶解性を提供し、それにもかかわらず、臭化物金属塩の副産物については非溶媒である溶媒が利用される。好ましい溶媒はエーテルである。本発明の方法において使用されるエーテルの例には、とりわけ、アニソール、ジベンジルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジフェニルエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン及びテトラヒドロピランが含まれる。最も好ましくは、溶媒はテトラヒドロフランである。
【0027】
本発明の塩基は、構造Iのフェノール性プロトンとの反応によりフェノールの塩を生じさせるために構造Iと反応することができる塩基である。塩基の一般的な種類には、アミン、炭酸塩、アルコキシド、アルカリ金属アミド、水素化物及びカルバニオンが含まれるが、これらに限定されない。本発明の方法において使用される塩基の例には、とりわけ、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、並びに、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸リチウム、リン酸カリウム及びリン酸ナトリウムが含まれる。好ましくは、塩基は水酸化ナトリウムである。
【0028】
本発明において使用される開始剤はジアロイルペルオキシドである。本発明の方法において使用される開始剤の例には、とりわけ、過酸化ベンゾイル、ビス(4−クロロベンゾイル)ペルオキシド、ジ(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、2−メチルベンゾイルペルオキシド及び4−メチルベンゾイルペルオキシドが含まれる。好ましくは、開始剤は過酸化ベンゾイルである。
【0029】
本発明の方法の望ましい実施形態は、溶媒が、化合物Iに基づいて約100重量%〜600重量%のテトラヒドロフランであり、水酸化アルカリ金属が、化合物Iに基づいて約100モル%〜120モル%の水酸化ナトリウムであり、重合開始剤が、化合物Iに基づいて約0.1モル%〜30モル%の過酸化ベンゾイルである実施形態である。
【0030】
本発明の望ましい実施形態は、30.0モル%〜0.5モル%の過酸化ベンゾイルが反応して、4,000〜62,000ダルトンの範囲の分子量を有するポリブロモアリールエーテルを生じさせる実施形態、又は、3.0モル%〜1.0モル%の過酸化ベンゾイルが反応して、15,000〜40,000ダルトンの範囲の分子量を有する前記ポリブロモアリールエーテルを生じさせる実施形態である。
【0031】
本発明は、臭素化ポリスチレン系難燃剤及び市販のPO−64P難燃剤と比較して、改善された熱安定性を有するポリマー組成物を提供する。本発明の難燃剤の使用は、他の臭素化難燃剤(特に、臭素化ポリスチレン系難燃剤)と比較したとき、低下した臭素負荷レベルで、任意のポリアミド樹脂において可能である。そのような負荷レベルは、臭素化ポリスチレン系難燃剤によって要求されるレベルよりも少なく、しかし、UL−94V−Oの難燃剤評価を依然として達成することができ、このことは、改善された効率が、本発明の難燃剤を使用することによって得られることを示している。
【0032】
本発明とともに使用される望ましいポリアミド樹脂には、ポリアミド−6及びポリアミド−6,6並びにこれらのブレンドが含まれ、しかし、本発明とともに使用される望ましいポリアミド樹脂にはまた、融解温度が280℃を越えるそのようなポリアミドが含まれる。そのようなポリマー組成物の例には、ポリアミド−4,6、ポリアミド−4,8、ポリアミド−4,9、ポリアミド−4,10、ポリアミド−4,11、ポリアミド−4,12、ポリアミド−4,13、ポリアミド−4,14、及び、半芳香族ポリアミド、例えば、ポリアミド−6,6/6T、ポリアミド−4,6/4T/4I、ポリアミド−9T、ポリアミド−12Tなど、並びに、これらの樹脂のいずれかの様々なブレンド、又は、これらの樹脂と、他の熱可塑性樹脂とのアロイ及びブレンドが含まれる。
【0033】
好ましくは、本発明によって調製されるポリブロモアリールエーテルは、330℃での等温熱重量分析(TGA)の最初の20分におけるパーセント/分での重量減少率の値が0.01パーセント/分〜0.20パーセント/分であることによって明らかにされる熱安定性を有するポリマー組成物を提供する。最も好ましくは、本発明によって調製されるポリブロモアリールエーテルは、330℃での等温熱重量分析の最初の20分における重量減少率の値が0.01パーセント/分〜0.10パーセント/分であるポリマー組成物を提供する。
【0034】
本発明の化合物は、最終的なポリマー組成物を調製する際に使用することが望ましい他の添加物とともに使用することができる。これらの他の添加物には、フィラー、耐衝撃改良剤、強化剤(例えば、ガラス繊維など)、着色剤、安定剤(例えば、ハイドロタルサイトなど)、流動増強剤、難燃性補助剤及び相乗剤(例えば、アンチモン化合物、亜鉛化合物など)、並びに、当業者によって知られている他の添加物が含まれ得る。
【0035】
本発明の組成物の望ましい実施形態は、約20重量%〜90重量%のポリアミド樹脂、約0重量%〜60重量%の無機強化材又は無機フィラー、約5重量%〜30重量%のポリブロモアリールエーテル、約0重量%〜15重量%の相乗剤、約0重量%〜5重量%の離型剤、及び、約0重量%〜5重量%の液垂れ抑制剤を含む。
【0036】
本発明において使用される樹脂組成物は様々な方法によって調製することができ、例えば、溶液ブレンディング及び溶融ブレンディングなどによって調製することができる。しかしながら、溶融ブレンディング方法が好ましい。溶融ブレンディング装置の例には、二軸スクリュー押出し機、単軸スクリュー押出し機、Banburyミキサー、ロールミキサー、混練機などが含まれる。しかしながら、二軸スクリュー押出し機を使用する溶融ブレンディングが好ましい。溶融ブレンディング温度は、使用されている樹脂に依存し、150℃〜400℃の範囲内である。
【0037】
押出し機を溶融ブレンディングのために使用するとき、いくつかの場合には、押出し物が小さいダイ穴から排出され、溶融組成物のストランドが、水浴を通過することによって冷却される。冷却されたストランドはペレット化することができる。ペレットは、成形品を調製するために使用することができる。いくつかの場合において、組成物を成形前に乾燥することが必要である。
【0038】
本発明の難燃性ポリアミド組成物は、改善された熱安定性を提供する。このことは、臭素化ポリスチレン化合物に基づく組成物と比較して、射出成形時における製造物の低下した鋳型付着物又は「ガス放出」を提供する組成物をもたらす。これは、射出成形の高熱条件のもとでの物質の分解が大きく低下しているためである。改善された熱安定性を有することの別の顕在化は、そのような組成物を用いて作製される材料が、部品における膨れをはんだリフロープロセス期間中に形成する傾向をより一層示さないことである。
【0039】
本発明の難燃性ポリアミド組成物はまた、本発明を使用することによって要求される改善された難燃性効率及び低下した難燃剤負荷レベルのために、臭素化ポリスチレン化合物に基づく組成物と比較して、改善された機械的特性を提供する。改善された機械的特性はまた、母材のポリアミド樹脂との改善された相容性を有する本発明の難燃剤から生じ得る。
【0040】
本発明はまた、以前の方法(具体的には、「PO−64P」を製造するための水系プロセス)によって調製されるポリマーと比較して、改善されたポリマー色相を提供する。本発明によって調製されるポリブロモアリールについての望ましい色相は、APHA色相範囲が1〜300である。
【0041】
本発明は、ポリエステル(例えば、PBT又はPETなど)、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン及びポリオレフィン、エポキシ、又は、これらの樹脂のアロイ及びブレンド(これらに限定されない)を含めて、難燃性を必要とする他の樹脂において使用することができる。
【0042】
本発明は、粉塵を形成しない形態で製造物を取り扱うことを改善するために、相乗剤及び/又は他の樹脂とのブレンドを含む本発明の「マスターバッチ」配合物に基づく改善された製造物組成を提供する。改善された製造物組成のマスターバッチはまた、本発明の製造物と、他の臭素化難燃剤又は塩素化難燃剤とのブレンドに基づくことができる。
【実施例】
【0043】
比較プロセス1:歴史的な水性プロセスによるポリブロモアリールエーテルの調製
機械的撹拌装置、温度制御及び加熱用マントルを備えた丸底フラスコに、170gの水、100gのトリブロモフェノール及び12.1gの水酸化ナトリウムを加えた。内容物を45℃に加熱し、2.7gの過硫酸カリウム(K)を加えて、反応を開始させた。反応混合物を、完了するまで50℃〜80℃の間で保った。反応液スラリーをろ過して、生成物を単離した。生成物を必要に応じて洗浄及び乾燥して、化合物1を得た。
【0044】
比較プロセス2:2相の水−溶媒プロセスによるポリブロモアリールエーテルの調製
機械的撹拌装置、温度制御及び加熱用マントルを備えた丸底フラスコに、170gの水、100gのトリブロモフェノール及び12.1gの水酸化ナトリウムを加えた。次に、250gのクロロホルムを加え、混合物を45℃に加熱した。過硫酸カリウム(K、2.7g)を加え、反応混合物を、完了するまで55℃〜80℃の間で保った。有機層及び水層が乳化していた。乳化を完全に壊すことができなかった。単離された生成物/クロロホルム相を好適な非溶媒に注いで、生成物を沈殿させた。生成物をろ過及び乾燥によって単離した。
【0045】
比較プロセス3:代わりの2相の水−溶媒プロセスによるポリブロモアリールエーテルの調製
機械的撹拌装置、温度制御及び加熱用マントルを備えた丸底フラスコに、170gの水、100gのトリブロモフェノール及び12.1gの水酸化ナトリウムを加えた。内容物を45℃に加熱し、2.7gの過硫酸カリウム(K)を加えた。反応混合物を、完了するまで55℃〜80℃の間で保った。反応後、クロロベンゼン(395g)を加え、5分間〜60分間撹拌した。有機層及び水層が相分離し、生成物/クロロベンゼンの混合物を好適な非溶媒に注いで、生成物を沈殿させた。生成物をろ過及び乾燥によって単離した。
【0046】
比較プロセス4:代わりの2相の水−溶媒プロセスによるポリブロモアリールエーテルの調製
機械的撹拌装置、温度制御及び加熱用マントルを備えた丸底フラスコに、400gのトルエン、100gのトリブロモフェノール及び12.1gの水酸化ナトリウムを加えた。過酸化ベンゾイル(1.4g)を加え、反応混合物を、完了するまで80℃で保った。反応停止剤を加え、反応混合物を冷却した。脱イオン水(50g)を加え、混合物を5分間〜60分間撹拌した。層を相分離させ、有機トルエン層を好適な非溶媒に注いで、生成物を沈殿させた。生成物をろ過及び乾燥によって単離した。
【0047】
比較プロセス5:本発明のテトラヒドロフランプロセスによるポリブロモアリールエーテルの調製
この調製では、テトラヒドロフラン(「THF」)が反応溶媒として使用された。テトラヒドロフラン(675g)を、機械的撹拌装置、温度制御及び加熱用マントルを備えた丸底フラスコに加えた。トリブロモフェノール(450g)、水酸化ナトリウム(54g)及び過酸化ベンゾイル(6.6g)を順次加えた。反応液を、完了するまで還流状態で保った。好適な反応停止剤を加え、混合物をろ過して、臭化ナトリウム副生成物を除いた。生成物−テトラヒドロフランの溶液を好適な非溶媒において沈殿させて、生成物を単離した。生成物をろ過し、乾燥して、化合物2を得た(収率=94%)。
【0048】
比較プロセス6:本発明のテトラヒドロフランプロセスによる、より低分子量のポリブロモアリールエーテルの調製
この調製では、テトラヒドロフラン(「THF」)が、低い分子量を有するポリブロモアリールエーテルを達成するための反応溶媒として使用された。テトラヒドロフラン(1200g)を、機械的撹拌装置、温度制御及び加熱用マントルを備えた丸底フラスコに加えた。トリブロモフェノール(600g)、水酸化ナトリウム(73g)及び適切なレベルの過酸化ベンゾイルを順次加えた。反応液を、完了するまで還流状態で保った。好適な反応停止剤を加え、混合物をろ過して、臭化ナトリウム副生成物を除いた。生成物−テトラヒドロフランの溶液を好適な非溶媒において沈殿させて、生成物を単離した。生成物をろ過し、乾燥して、化合物3a〜化合物3dを得た(収率=85%〜90%)。
表1.様々な分子量のポリブロモアリールエーテルの調製
【表1】


トリブロモフェノールのモル数に基づく
【0049】
表1に示されるように、本発明の方法を使用したとき、得られるポリブロモアリールエーテルの分子量を、使用される過酸化ベンゾイルの量を調節することによって制御することが可能である。
【0050】
比較例1:3つの異なるプロセスによって作製されたポリブロモアリールエーテルの性質の比較
(a)歴史的な水性プロセス(比較プロセス1)、(b)2相の水−溶媒プロセス(比較プロセス2)、(c)代わりの2相の水−溶媒プロセス(比較プロセス3)、(d)代わりの2相の水−溶媒プロセス(比較プロセス4)、及び、(e)本発明のテトラヒドロフランプロセス(比較プロセス5)による調製から得られる異なるポリブロモアリールエーテルの性質の比較が表2に示される。
表2.ポリブロモアリールエーテルの性質
【表2】


乳化された混合物
【0051】
表2は、使用された異なるプロセスから生じるポリブロモアリールエーテル化合物の分子量における違い、及び、化合物に存在する不純物(臭化ナトリウム及びトリブロモフェノール)のレベルを例示する。加えて、本発明の方法の得られる化合物は、ポリブロモアリールエーテルを調製するための他のプロセスのどれよりもはるかに低いレベルの不純物をもたらしている。
【0052】
ポリブロモアリールエーテルのポリアミド樹脂への配合
ポリアミド組成物を、二軸スクリュー押出し機を樹脂の要件に依存して約280℃〜約330℃の温度で使用することによって調製する。得られた組成物を、使用されている樹脂に依存して約280℃〜約330℃の温度で射出成形装置で成形した。鋳型の温度を約80℃〜約120℃で設定した。
【0053】
実施例1:様々な難燃剤物質の熱安定性
比較プロセス5のテトラヒドロフランプロセス(上記)によって作製されるような本発明の難燃剤物質の熱安定性が表3に示される(化合物2)。熱安定性が、20分間にわたる等温熱重量分析(「TGA」)実験における330℃での質量減少率(MLR)によって測定される。より低い質量減少率の値は、増大した熱安定性を示す。本発明の方法によって作製された化合物2が、比較プロセス1の水性プロセスによって作製されたポリブロモアリールエーテル(化合物1)、トリブロモフェノールポリマー(例えば、Uniplex FRP−64Pの商品名で販売されるようなポリマー(「FRP−64P」)など)、及び、臭素化ポリスチレン系難燃剤(「BPS」)(例えば、Saytex3010の商品名で販売されるような難燃剤など)と比較される。化合物2は、比較された難燃剤物質の中で最も低い質量減少率MLRの値を有しており、したがって、比較された難燃剤物質の中で最も高い熱安定性を有する。
表3.等温TGAによる種々の難燃剤物質の熱安定性
【表3】

【0054】
本発明の方法によって調製される化合物2を含む難燃剤についての質量減少率の値は、他のプロセスによって作製される物質、又は、臭素化ポリスチレン系物質についての質量減少率の値よりもはるかに低い。このことは、本発明の方法によって調製される化合物の使用では、加工期間中のより良好な熱安定性があり、この熱安定性により、射出成形操作期間中のより少ない「オフガス発生」がもたらされることを示している。オフガス発生は鋳型の表面における材料の付着物の増加をもたらし、これにより、成形品における欠陥が引き起こされ、また、最終的には、凝縮したオフガス残留物による排気ラインの詰まりが引き起こされるので、オフガス発生は、いくつかのより高温の樹脂を加工することに伴う問題である。
【0055】
実施例2:様々な難燃剤物質を含有するポリアミド配合物の熱安定性
30パーセントガラス繊維強化PA6T/66ポリアミド配合物における難燃剤物質の熱安定性が表4に示される。データは、本発明の方法によって調製される化合物2を使用する配合物の全体的な熱安定性における改善を示す。表4におけるデータから、正味の難燃剤化合物について上記で議論された質量減少率データが確認される。本発明の方法によって調製される化合物2を含有する配合物は、比較された難燃剤物質の中で最も低い値を有しており、したがって、比較された難燃剤物質の中で最も高い熱安定性を有する。
表4.等温TGAによる30パーセントガラス繊維強化PA6T/66配合物の熱安定性
【表4】

【0056】
表5は、30パーセントガラス繊維強化PA6,6配合物で試験された難燃剤についての質量減少率データを示す。
表5.等温TGAによる30パーセントガラス繊維強化PA6,6配合物の熱安定性
【表5】

【0057】
試験された以前の配合物の場合と同様に、化合物2は30パーセントガラス繊維強化PA6,6配合物において最も低い質量減少率の値を有しており、したがって、より良好な熱安定性を有する。
【0058】
化合物2を難燃剤として含有する30パーセントガラス繊維強化PA4,6ポリアミド配合物の熱安定性もまた、0.12%/分であることが320℃での等温TGA法によって求められた。
【0059】
これらの例では、本発明の難燃剤物質を含有する配合物の熱安定性における広範囲の改善が、高温ポリアミド樹脂配合物及び標準的なPA6,6ポリアミド樹脂配合物を示すことによって明らかにされる。
【0060】
実施例3:ポリブロモアリールエーテルを難燃剤として使用する高温ポリアミド配合物の膨れ抵抗性
表面実装技術を伴う多くのコネクター適用において、無鉛はんだの使用はより高い加工温度をもたらしている。この使用は時には、ポリアミド部分が表面において膨れを形成することをもたらす。本発明の難燃剤化合物の使用は、表6に示されるように、膨れ性能を改善する。
【0061】
膨れ抵抗性を、成形部品を指定された期間の時間にわたって高レベルの湿度にさらし、その後、試料を、5℃の温度上昇での異なるピークリフロー温度を使用してはんだリフローオーブンに通すことによって求めた。リフローオーブンの温度プロフィルは、IPC/JEDEC J−STD−020C合同産業基準に記載される温度プロフィルに基づく。膨れ抵抗性温度が、膨れが生じなかった最高温度として表された。化合物2を含有する配合物は、臭素化ポリスチレン系樹脂配合物と比較して、膨れ抵抗性性能における改善を示す。
表6.30パーセントガラス繊維強化PA6T/66配合物の膨れ抵抗性温度
【表6】

【0062】
表6に示されるように、化合物2を難燃剤として含む配合物は、臭素化ポリスチレン系難燃剤の膨れ抵抗性温度よりも高い膨れ抵抗性温度を維持することをもたらした。膨れ抵抗性におけるこの改善は、臭素化ポリスチレン系難燃剤と比較して、この難燃剤に関して見られる改善された相容性に関連づけられ得る。
【0063】
この傾向はまた、表7に示されるように、他の高温ポリアミド樹脂に関しても当てはまる。
表7.他の30パーセントガラス繊維強化PA配合物の膨れ抵抗性温度
【表7】

【0064】
PA9T樹脂(これは、非常に高い膨れ抵抗性だけを有することで知られている)は、化合物2を難燃剤として加えることにより、膨れ抵抗性の値が低下しないことを示す。PA4,6樹脂系(これは、かなり低い膨れ抵抗性の値を有することで知られている)は、臭素化ポリスチレン系難燃剤と比較して、化合物2の添加によりわずかに改善されるにすぎない。
【0065】
実施例7:樹脂−難燃剤相容性の比較
本発明の化合物の使用では、母材のポリアミド樹脂との改善された相容性が示される。図1の走査電子顕微鏡写真(SEM)画像では、本発明の方法によって調製される化合物2が、臭素化ポリスチレン系物質と比較されたとき、ポリアミド樹脂中により一様に分布されることが示される。化合物2についてのより一様に分布された配合物と比較して、BPS配合物における難燃剤ドメインの球状体の形成に留意すること。
【0066】
化合物2の一様な分布は、部分的には、ウェルドラインの引張強さ、引張り伸び、膨れ抵抗性のような特性を改善すること、及び、同様にまた、以前に議論された非ブルーミング特性を提供することに関わっている可能性がある。これらは、部品が、かなり小さくなる傾向があり、また、より高い加工温度にさらされ得るコネクター市場では非常に重要な特性である。
【0067】
実施例8:製造物の色相の比較
薄く着色した難燃剤樹脂配合物を調製するための薄く着色した難燃剤が産業界では非常に望まれる。本発明の方法は、水性プロセスによって製造される製造物よりも薄い固有的色相を有する製造物をもたらす。使用されるAPHA色相法では、1.0gのサンプルを50ミリリットルのテトラヒドロフラン(「THF」)に溶解することが要求された。色相の値を、HunterLabs Colorquest II装置を使用して求めた。比較APHA色相データが、水性プロセス又はテトラヒドロフランプロセスのどちらかを使用する一連の反応物について表8に示される。表8に示されるように、本発明の方法によって調製されたサンプルについてのAPHA色相の値は、水性プロセスによって調製されたサンプルよりもはるかに低く、したがって、はるかに薄い。
表8.異なるプロセスにより作製された製造物の色相
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリブロモアリールエーテルを調製するための方法であって、
(A)ポリブロモアリールエーテルのための溶媒に、
(1)下記構造の少なくとも1つの化合物:
HO−Ar−X (I)
(式中、Arはアリール基であり、X、X、X、X及びXは独立して、水素及び臭素からなる群から選択され、但し、X、X、X、X及びXの少なくとも1つは臭素である)
(2)少なくとも1つのアルカリ又は水酸化アルカリ金属、及び
(3)少なくとも1つの重合開始剤
の混合物を加えるステップ(但し、ポリブロモアリールエーテルのための前記溶媒はアルカリ又は臭化アルカリ金属のための非溶媒である)、
(B)(A)で調製された物質を混合して化合物Iを重合し、ポリブロモアリールエーテルと、少なくとも1つのアルカリ又は臭化アルカリ金属副生成物とを形成するステップ、
(C)化合物Iの重合を停止させるステップ、及び
(D)不溶性のアルカリ又は臭化アルカリ金属副生成物を可溶性のポリブロモアリールエーテルから分離するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記溶媒がテトラヒドロフランである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒が、化合物Iに基づいて約100重量%〜600重量%のテトラヒドロフランであり、
前記水酸化アルカリ金属が、化合物Iに基づいて約100モル%〜120モル%の水酸化ナトリウムであり、及び、
前記重合開始剤が、化合物Iに基づいて約0.1モル%〜30モル%の過酸化ベンゾイルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
30.0モル%〜0.5モル%の過酸化ベンゾイルが反応して、4,000〜62,000ダルトンの範囲の分子量を有する前記ポリブロモアリールエーテルを生じさせる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
3.0モル%〜1.0モル%の過酸化ベンゾイルが反応して、15,000ダルトン〜40,000ダルトンの範囲の分子量を有する前記ポリブロモアリールエーテルを生じさせる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ポリブロモアリールエーテルであって、
(A)ポリブロモアリールエーテルのための溶媒に、
(1)下記構造の少なくとも1つの化合物:
HO−Ar−X (I)
(式中、Arはアリール基であり、X、X、X、X及びXは独立して、水素及び臭素からなる群から選択され、但し、X、X、X、X及びXの少なくとも1つは臭素である)
(2)少なくとも1つのアルカリ又は水酸化アルカリ金属、及び
(3)少なくとも1つの重合開始剤
の混合物を加えるステップ(但し、ポリブロモアリールエーテルのための前記溶媒はアルカリ又は臭化アルカリ金属のための非溶媒である)、
(B)(A)で調製された物質を混合して化合物Iを重合し、ポリブロモアリールエーテルと、少なくとも1つのアルカリ又は臭化アルカリ金属副生成物とを形成するステップ、
(C)化合物Iの重合を停止させるステップ、及び、その後、
(D)不溶性のアルカリ又は臭化アルカリ金属副生成物を可溶性のポリブロモアリールエーテルから分離するステップ
を含む方法によって調製される、ポリブロモアリールエーテル。
【請求項7】
前記溶媒がテトラヒドロフランである、請求項6に記載のポリブロモアリールエーテル。
【請求項8】
前記溶媒が、化合物Iに基づいて約100重量%〜600重量%のテトラヒドロフランであり、
前記水酸化アルカリ金属が、化合物Iに基づいて約100モル%〜120モル%の水酸化ナトリウムであり、及び、
前記重合開始剤が、化合物Iに基づいて約0.1モル%〜30モル%の過酸化ベンゾイルである、請求項6に記載のポリブロモアリールエーテル。
【請求項9】
30.0モル%〜0.5モル%の過酸化ベンゾイルが反応して、4,000〜62,000ダルトンに及ぶ分子量を有する前記ポリブロモアリールエーテルを生じさせる、請求項6に記載のポリブロモアリールエーテル。
【請求項10】
3.0モル%〜1.0モル%の過酸化ベンゾイルが反応して、15,000〜40,000ダルトンに及ぶ分子量を有する前記ポリブロモアリールエーテルを生じさせる、請求項6に記載のポリブロモアリールエーテル。
【請求項11】
0ppm〜200ppmの臭化ナトリウムが前記ポリブロモアリールエーテルに残留する、請求項6に記載のポリブロモアリールエーテル。
【請求項12】
0ppm〜50ppmの臭化ナトリウムが前記ポリブロモアリールエーテルに残留する、請求項6に記載のポリブロモアリールエーテル。
【請求項13】
1〜300のAPHA色相範囲を有する、請求項6に記載のポリブロモアリールエーテル。
【請求項14】
330℃での等温TGA実験の最初の20分におけるパーセント/分での質量減少率の値が0.01パーセント/分〜0.20パーセント/分である、請求項6に記載のポリブロモアリールエーテル。
【請求項15】
330℃での等温TGA実験の最初の20分におけるパーセント/分での質量減少率の値が0.01パーセント/分〜0.10パーセント/分である、請求項6に記載のポリブロモアリールエーテル。
【請求項16】
組成物であって、
(A)ポリマー樹脂、及び
(B)ポリブロモアリールエーテルであって、
(1)ポリブロモアリールエーテルのための溶媒に、
(a)下記構造の少なくとも1つの化合物:
HO−Ar−X (I)
(式中、Arはアリール基であり、X、X、X、X及びXは独立して、水素及び臭素からなる群から選択され、但し、X、X、X、X及びXの少なくとも1つは臭素である)
(b)少なくとも1つのアルカリ又は水酸化アルカリ金属、及び
(c)少なくとも1つの重合開始剤
の混合物を加えるステップ(但し、ポリブロモアリールエーテルのための前記溶媒はアルカリ又は臭化アルカリ金属のための非溶媒である)、
(2)(1)で調製された物質を混合して化合物Iを重合し、ポリブロモアリールエーテルと、少なくとも1つのアルカリ又は臭化アルカリ金属副生成物とを形成するステップ、
(3)化合物Iの重合を停止させるステップ、及び、その後、
(4)不溶性のアルカリ又は臭化アルカリ金属副生成物を可溶性のポリブロモアリールエーテルから分離するステップ
を含む方法によって調製される、ポリブロモアリールエーテル
の混合物を含む、組成物。
【請求項17】
前記溶媒がテトラヒドロフランである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記溶媒が、化合物Iに基づいて約100重量%〜600重量%のテトラヒドロフランであり、
前記水酸化アルカリ金属が、化合物Iに基づいて約100モル%〜120モル%の水酸化ナトリウムであり、
前記重合開始剤が、化合物Iに基づいて約0.1モル%〜30モル%の過酸化ベンゾイルである、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
30.0モル%〜0.5モル%の過酸化ベンゾイルが反応して、4,000〜62,000ダルトンの範囲の分子量を有する前記ポリブロモアリールエーテルを生じさせる、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
3.0モル%〜1.0モル%の過酸化ベンゾイルが反応して、15,000〜40,000ダルトンの範囲の分子量を有する前記ポリブロモアリールエーテルを生じさせる、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
約20重量%〜90重量%のポリアミド樹脂、
約0重量%〜60重量%の無機強化材又は無機フィラー、
約5重量%〜30重量%のポリブロモアリールエーテル、
約0重量%〜15重量%の相乗剤、
約0重量%〜5重量%の離型剤、及び
約0重量%〜5重量%の液垂れ抑制剤
をさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
前記相乗剤が、アンチモン酸ナトリウム、酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記ポリアミド樹脂が6T/66コポリマーである、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物の膨れ抵抗性が260〜280℃である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
330℃での等温TGA実験の最初の20分におけるパーセント/分での質量減少率の値が0.01パーセント/分〜0.10パーセント/分である、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記ポリアミド樹脂がPA4,6である、請求項21に記載の組成物。
【請求項27】
300℃での等温TGA実験の最初の20分におけるパーセント/分での質量減少率の値が0.01パーセント/分〜0.15パーセント/分である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記ポリアミド樹脂がPA6,6である、請求項21に記載の組成物。
【請求項29】
280℃での等温TGA実験の最初の20分におけるパーセント/分での質量減少率の値が0.01パーセント/分〜0.12パーセント/分である、請求項28に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2010−501666(P2010−501666A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525598(P2009−525598)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/018434
【国際公開番号】WO2008/073163
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(508201282)ケムチュア コーポレイション (69)
【Fターム(参考)】