説明

舌清掃チップ及び舌清掃装置

【課題】舌表面の清掃時に舌表面を吸着することのない舌清掃チップ及び舌清掃装置を提供する。
【解決手段】吸引側ホース5に接続自在な接続部9を基端部側に備えた吸引パイプ7の先端部に、舌の表面を掻くための突起部13を、前記吸引パイプ7の長手方向に対して交差する方向へ突出して備え、上記突起部13の裾部付近に吸引口15を備え、前記吸引口15は、前記突起部13より前記基端部側に設けてあり、かつ前記吸引パイプ7の先端側に、吸引孔17を備えている。そして、前記吸引パイプ7の先端側は扁平状に形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舌の表面を清掃するための舌清掃チップ及びその舌清掃チップを用いた舌清掃装置に係り、さらに詳細には、舌表面の清掃時に舌が吸引されることのない舌清掃チップ及び舌清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
口臭治療等のために舌表面に付着している舌苔等を吸引除去することにより、舌表面を清掃することが行われている(特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特許第3249469号公報
【特許文献2】特開2001−161590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1の記載に係る舌清掃用バキュームチップは、円筒形状の筒状体よりなるものであり、この筒状体の先端に斜め交差方向に開いた開口に、舌の表面を掻くためのへら及びブラシを備えた構成である。そして、前記へら及びブラシは、前記開口の開口平面内に配置してある。
【0004】
したがって、前記筒状体の開口部を舌の表面に接触すると、柔軟な舌の表面が開口部に吸引されて、開口部全体が塞がれ易いという問題がある。また、筒状体の先端部に斜めに開口を備えた構成であることにより、口腔内に奥深く筒状体を挿入すると、前記開口が舌表面にうまく接触しなくなり、舌表面の奥の部分を良好に清掃することが難しいという問題があると共に、口を大きく開くことのできない患者等に対しての使用が難しいという問題がある。
【0005】
前記特許文献2の記載に係る舌苔吸引器においては、細い舌苔吸引管部の先端側に大きな吸引口部を、前記舌苔吸引管部の長手方向に対して直交する方向に開口して備えた構成である。したがって、口腔内の奥深く舌苔吸引管部の先端を挿入した場合であっても、前記吸引口部を舌表面に接触することができる。しかし、前記吸引口部は舌背形状に適合するように凹面形態に形成してあるので、柔軟な舌が吸引口部に全面的に吸引吸着されて、吸引口部を塞ぎ易いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、吸引側ホースに接続自在な接続部を基端部側に備えた吸引パイプの先端部に、舌の表面を掻くための突起部を、前記吸引パイプの長手方向に対して交差する方向へ突出して備え、上記突起部の裾部付近に吸引口を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
また、舌清掃チップにおいて、前記吸引口は、前記突起部より前記基端部側に設けてあり、かつ前記吸引パイプの先端側に、吸引孔を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
また、舌清掃チップにおいて、前記吸引パイプの先端側は扁平状に形成してあることを特徴とするものである。
【0009】
また、吸引手段と、この吸引手段に一端側を接続した吸引側ホースと、この吸引側ホースの他端側に接続した吸引パイプとを備え、前記吸引パイプは、舌の表面を掻くための突起部を前記吸引パイプの長手方向に対して交差する方向に突出して備え、この突起部の裾部付近に吸引口を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、舌の表面を掻くための突起部が吸引パイプの先端部に、吸引パイプの長手方向に対して交差する方向へ突出してあり、この突起部の裾部付近に吸引口が備えられているので、前記突起部の先端でもって舌の表面を掻くとき、吸引口は舌表面から離れた状態にあり、舌苔の吸引を行うことができると共に柔軟な舌表面を吸引口に吸着するようなことがないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る舌清掃装置について説明するに、舌清掃装置1は、図1に概念的,概略的に示すように、例えばブロワーなどのごとき適宜の負圧発生装置よりなる吸引手段3と、この吸引手段3に一端側を接続した吸引側ホース(吸引管)5と、この吸引側ホース5の他端側に着脱交換自在に接続した清掃チップとしての吸引パイプ7とを備えている。なお、前記吸引手段3及び吸引側ホース5は、例えば歯科医の設備として備えている一般的な吸引設備を兼ねることも可能であり、吸引手段等に関しては周知であるから詳細な説明は省略する。
【0012】
前記吸引パイプ7は、図2,図3に示すように、前記吸引側ホース(吸引管)5に接続自在な円筒形状の接続部9を基端部側に備えている。この吸引パイプ7において、前記接続部9から先端部側(図2,3において左側)の部分は、例えば患者や介護者などの口腔内へ挿入し易いように、扁平状のパイプに形成してある。そして、扁平状のパイプ本体11の先端部付近には、舌の表面を掻くための一条の突起部13が形成してある。
【0013】
上記突起部13は、扁平状である前記パイプ本体11における平面部側の面に形成してあるものであって、吸引パイプ7の長手方向に対して交差する方向(直交する方向)へ突出して形成してある。そして、上記突起部13の裾部付近であって、突起部13よりは前記基端部側の位置には、前記突起部13によって掻き取られた例えば舌苔等を吸引するための吸引口15が適数形成してある。さらに、前記吸引パイプ7の先端部付近には、外気を吸引するための小さな吸引孔17が設けられている。
【0014】
上記吸引孔17は、前記吸引口15による吸引作用を阻害しない程度に小さな孔であって、仮りに吸引口15が舌表面によって塞がれたような場合であっても、吸引パイプ7内に空気の流れを確保するためのものである。
【0015】
以上のごとき構成において、吸引側ホース5に吸引パイプ7を接続し、吸引手段3を駆動した状態において、前記吸引パイプ7を患者等の口腔内に挿入し、吸引パイプ7の先端部側に備えた突起部13を舌表面に当てて掻くことにより、舌表面に付着している舌苔等が突起部13の部分に掻き出される。そして、掻き出された舌苔等は吸引口15から吸引されて除去されることになる。
【0016】
前述のごとく突起部13によって舌表面を掻くとき、舌表面は突起部13の先端によって押圧された部分が凹状に変形するものの、前記吸引口15は突起部13の裾部付近に備えられているので、吸引口15は舌表面から離れた状態にあり、柔軟な舌を吸着して塞ぐようなことがないものである。したがって、吸引パイプ7内に流体の流れを確保することができ舌苔などの吸引除去を継続して良好に行うことができるものである。
【0017】
ところで、舌表面に対する前記突起部13の押圧力が大きすぎ、舌表面に大きな窪みが生じて舌表面の一部が前記吸引口15に吸着されて、吸引口15が塞がれたような場合であっても、吸引パイプ7の先端側に設けた吸引孔17から空気が流入されて、吸引パイプ7内に流体の流れが確保される。したがって、吸引パイプ7内に吸引した舌苔等が吸引パイプ7内に滞留することがなく、排除を確実に行うことができるものである。
【0018】
なお、本発明は、前記実施形態のみに限るものではなく、適宜の変更を行うことにより、その他の形態でも実施可能である。すなわち、前記突起部13は一条設けた場合について例示したが、二条以上とすることも可能である。また、突起部13は、パイプ本体11の長手方向に対して直交する方向に長い直線にて例示してあるが、波形に形成しても良く、さらに、前記吸引口15の3方向を囲むように円弧状或いはコ字形状など、種々の形状とすることも可能である。またさらに、吸引口15は円形状に限ることなく適宜形状の長穴とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る舌清掃装置を概念的,概略的に示した説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る舌清掃チップを示す正面説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る舌清掃チップを示す底面説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1 舌清掃装置
3 吸引手段
5 吸引側ホース(吸引管)
7 吸引パイプ
9 接続部
11 パイプ本体
13 突起部
15 吸引口
17 吸引孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引側ホースに接続自在な接続部を基端部側に備えた吸引パイプの先端部に、舌の表面を掻くための突起部を、前記吸引パイプの長手方向に対して交差する方向へ突出して備え、上記突起部の裾部付近に吸引口を備えていることを特徴とする舌清掃チップ。
【請求項2】
請求項1に記載の舌清掃チップにおいて、前記吸引口は、前記突起部より前記基端部側に設けてあり、かつ前記吸引パイプの先端側に、吸引孔を備えていることを特徴とする舌清掃チップ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の舌清掃チップにおいて、前記吸引パイプの先端側は扁平状に形成してあることを特徴とする舌清掃チップ。
【請求項4】
吸引手段と、この吸引手段に一端側を接続した吸引側ホースと、この吸引側ホースの他端側に接続した吸引パイプとを備え、前記吸引パイプは、舌の表面を掻くための突起部を前記吸引パイプの長手方向に対して交差する方向に突出して備え、この突起部の裾部付近に吸引口を備えていることを特徴とする舌清掃チップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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