説明

舗装体の継目構造および継目ブロック

【課題】弾性係数が異なる舗装体の継ぎ目を、沈み込み量の急激な変化がなく安全、円滑に通過でき、継ぎ目の損傷も防止する舗装体の継目構造及び継目ブロックを提供する。
【解決手段】弾性係数が異なる2つの舗装体の継目部分に緩衝エリア11を設け、この緩衝エリア11の弾性係数が、弾性係数が大きいアスファルト舗装体1側から弾性係数が小さい多孔質弾性舗装体2側に向かって、アスファルト舗装体1の弾性係数から多孔質弾性舗装体2の弾性係数まで漸減している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装体の継目構造および継目ブロックに関し、さらに詳しくは、弾性係数が異なる2つの舗装体の継ぎ目を通過する際に、沈み込み量の急激な変化を防止して、安全で円滑な通過を確保でき、継ぎ目の損傷も防止できる舗装体の継目構造および継目ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、道路の路面構造体として、排水性と騒音吸収性に優れるという理由から、粒度を単粒化した砕石を改質されたアスファルトで固結した排水性舗装体が広く用いられている。
【0003】
一方、最近では、より大きな騒音低減性能を有するゴムチップ等からなる弾性骨材と、
珪砂等などの硬質骨材とを樹脂バインダーで固結した多孔質弾性舗装体を用いることが期待されてきている(例えば、特許文献1を参照)。しかし、多孔質弾性舗装体を路盤に敷設する場合には、現状で一般的に敷設されているアスファルト舗装体とは弾性係数が大きく異なり、アスファルト舗装体に対して多孔質弾性舗装体は軟質である。そのため、弾性係数が異なる2つの舗装体の継ぎ目を通過する際には、沈み込み量が急激に変化する。
【0004】
これに伴って、それら2つの舗装体の継ぎ目を車両が通過する際に、車両の荷重により多孔質弾性舗装体に変形歪みが生じ、その結果として継ぎ目に段差が生じてタイヤの乗り上げ又は乗り下げ時に衝撃荷重が発生するため、舗装体やその下層構造が損傷を受けると共に、車両だけでなく沿道にも振動や騒音が発生するという問題があった。安全走行を確保するという観点からも好ましくない。
【0005】
このような継ぎ目を人が通過する場合にも、転倒し易くなる等の安全上の問題がある。特に、高齢者、幼児、足腰が弱い人、ハイヒール等の踵の高い靴を履いている人等にとっては危険性が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−188102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、弾性係数が異なる2つの舗装体の継ぎ目を通過する際に、沈み込み量の急激な変化を防止して、安全で円滑な通過を確保でき、継ぎ目の損傷も防止できる舗装体の継目構造および継目ブロックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明の舗装体の継目構造は、弾性係数が異なる2つの舗装体の継目部分に緩衝エリアを設け、この緩衝エリアの弾性係数が、弾性係数が大きい舗装体側から弾性係数が小さい舗装体側に向かって、弾性係数が大きい舗装体の弾性係数から弾性係数が小さい舗装体の弾性係数まで漸減していることを特徴とする。
【0009】
本発明の継目ブロックは、弾性係数が異なる2つの舗装体の継目部分に設置される継目ブロックであって、弾性係数が一方端から他方端に向かって、弾性係数が大きい舗装体の弾性係数から弾性係数が小さい舗装体の弾性係数まで漸減していて、一方端が弾性係数の大きい方の舗装体側になり、他方端が弾性係数の小さい方の舗装体側になるように、前記継目部分に設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の舗装体の継目構造および継目ブロックによれば、継目部分が、弾性係数が大きい舗装体側から弾性係数が小さい舗装体側に向かって、弾性係数が大きい舗装体の弾性係数から弾性係数が小さい舗装体の弾性係数まで、弾性係数が漸減しているので、舗装体の継ぎ目を通過する際に、沈み込み量が急激に変化することがない。それ故、安全で円滑に通過でき、継ぎ目の損傷防止にも寄与する。
【0011】
本発明の舗装体の継目構造では、例えば、前記緩衝エリアの表面層が、弾性係数が小さい方の舗装体と同じ弾性係数の軟質層にする。この仕様では、継目部分を通過する車両や人は軟質層に接することになるので、車両や人に対する負荷を緩衝し易くなる。前記軟質層は、例えば、弾性係数が小さい方の舗装体と同じ材質にする。
【0012】
前記緩衝エリアが前記軟質層と、この軟質層の下に積層されて、この軟質層よりも弾性係数が大きい硬質層とからなり、弾性係数が小さい方の舗装体側から弾性係数が大きい方の舗装体側に向かって前記軟質層の厚さが漸減し、弾性係数の小さい方の舗装体側から弾性係数の大きい方の舗装体側に向かって前記硬質層の厚さが漸増している仕様にすることもできる。この仕様にすることにより、緩衝エリアの弾性係数を容易に円滑に変化させることができる。
【0013】
或いは、前記緩衝エリアが前記軟質層と、この軟質層の下に積層されて、この軟質層よりも弾性係数が大きい硬質層とからなり、この硬質層が同じ一定厚さの複数の補強ブロックを、弾性係数の大きい方の舗装体側から弾性係数の小さい方の舗装体側に向かって、弾性係数が小さくなる順に配列して構成されている仕様にすることもできる。この仕様では、緩衝エリアの弾性係数の変化具合を詳細に調整し易くなる。
【0014】
隣り合う前記補強ブロックの弾性係数の差が、すべて等しくなっている仕様にすると、緩衝エリアを通過する際の沈み込み量の変化が均等化して、より安全、円滑に通過し易くなる。また、局部的な損傷が生じ難くなる。
【0015】
弾性係数が大きい方の舗装体は、例えば、硬質骨材をアスファルトで固結した舗装体であり、弾性係数の小さい方の舗装体は、例えば、弾性骨材を樹脂バインダーで固結した多孔質弾性舗装体である。
【0016】
本発明の継目ブロックは、例えば、弾性係数が小さい方の舗装体と同じ弾性係数の軟質層と、弾性係数が大きい方の舗装体と同じ弾性係数の硬質層とを積層して構成され、前記軟質層の厚さが一方端から他方端に向かって漸増し、前記硬質層の厚さが一方端から他方端に向かって漸減している仕様にする。この仕様では、軟質層、硬質層の厚さを変えることにより、継目ブロックの弾性係数の変化具合を調整できる。ここで、例えば、前記軟質層が表面側になるように、前記継目部分に設置される。この場合、継目部分を通過する車両や人は軟質層に接することになるので、車両や人に対する負荷を緩衝し易くなる。前記軟質層は、例えば、弾性係数が小さい方の舗装体と同じ材質からなり、前記硬質層は、例えば、弾性係数が大きい方の舗装体と同じ材質からなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の舗装体の継目構造の第1の実施形態を例示する斜視図である。
【図2】補強ブロックの形状を示す断面図であって、(a)は三角形状の場合を、(b)は階段形状の場合を、それぞれ示す。
【図3】補強ブロックの構成を示す断面であって、(a)は図2(a)の補強ブロックの場合を、(b)は図2(b)の補強ブロックの場合を、それぞれ示す。
【図4】本発明の舗装体の継目構造の第2の実施形態を例示する斜視図である。
【図5】本発明の継目ブロックを配置した継目構造を例示する断面図である。
【図6】本発明の継目ブロックを配置した別の継目構造を例示する断面図である。
【図7】本発明の継目ブロックを例示する斜視図である。
【図8】本発明の継目ブロックを組み立てる工程を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1に例示する本発明の舗装体の継目構造(以下、「継目構造」という。)の第1実施形態は、硬質骨材をアスファルトで固結した舗装体(以下、「アスファルト舗装体」という。)1と、弾性骨材及び硬質骨材を樹脂バインダーで固結した多孔質弾性舗装体2とを、路盤3の長手方向に向けて順に敷設した場合におけるものであり、それぞれの端部1a、2aが継ぎ目4において接続している。
【0020】
アスファルト舗装体1は、2.36mmふるい通過分が20〜35質量%である骨材粒度を有する粗粒度アスファルト舗装体5と、2.36mmふるい通過分が35〜50質量%である骨材粒度を有する密粒度アスファルト舗装体6とを、路盤3上に順に積層した構造を有している。また、多孔質弾性舗装体2は、剛性と接着性を向上するために、2.36mmふるい通過分が15〜30質量%である骨材密度を有する開粒度アスファルト舗装にセメントミルクを浸透させてなる半たわみ性舗装体7の上に敷設されている。これらアスファルト舗装体1及び多孔質弾性舗装体2の弾性係数は、一般的に、それぞれ5000〜8000MPa及び20〜50MPaの範囲にある。
【0021】
このような継目構造において、多孔質弾性舗装体2の端部2aには、アスファルト舗装体1から多孔質弾性舗装体2へ向けて厚さが薄くなる形状の補強ブロック8が埋設されており、その補強ブロック8の弾性係数は、アスファルト舗装体1(図1の例では、密粒度アスファルト舗装体6)の弾性係数を上限とし、多孔質弾性舗装体2の弾性係数を下限とする範囲内の値となっている。
【0022】
即ち、図1に例示する実施形態では、アスファルト舗装体1と、多孔質弾性舗装体2との弾性係数が異なる2つの舗装体の継目部分に、緩衝エリア11を有している。この場合、アスファルト舗装体1は相対的に弾性係数が大きい舗装体であり、多孔質弾性舗装体2は相対的に弾性係数が小さい舗装体となる。緩衝エリア11は、アスファルト舗装体1側から多孔質弾性舗装体2側に向かって、弾性係数が漸減している。そして、緩衝エリア11の弾性係数は、アスファルト舗装体1の弾性係数から多孔質弾性舗装体2の弾性係数まで漸減している。
【0023】
緩衝エリア11の弾性係数とは、緩衝エリア11において表面層となる多孔質弾性舗装体2(軟質層13)と、この多孔質弾性舗装体2よりも弾性係数が大きい補強ブロック8(硬質層14)とが積層された積層体の弾性係数である。
【0024】
この実施形態のように、補強ブロック8を多孔質弾性舗装体2の端部2aに埋設することにより、アスファルト舗装体1と多孔質弾性舗装体2との継ぎ目4から多孔質弾性舗装体2へ向けて、緩衝エリア11の弾性係数が次第に小さくなるため、継ぎ目4を車両が通過する際に、車両の荷重により継ぎ目4に段差が生じることがない。そのため、アスファルト舗装体1及び多孔質弾性舗装体2の損傷と、車両や沿道における振動や騒音の発生とを防止することができる。舗装体の継ぎ目4を通過する際には、緩衝エリア11の上を通るので、沈み込み量が急激に変化することがなく、通過する車両の安全走行を確保するには有利である。
【0025】
また、人が舗装体の継ぎ目4を通過する場合にも、沈み込み量が急激に変化することがないので転倒防止等には有利である。特に、高齢者、幼児、身体的ハンデキャップがある人、ハイヒール等の踵の高い靴を履いている人が転倒する等の危険性が小さくなる。
【0026】
補強ブロック8の弾性係数は、車両の乗心地性を向上する観点から、アスファルト舗装体1(図1の例では、密粒度アスファルト舗装体6)と同じ値にすることが好ましい。
補強ブロック8の材料構成は、特に限定するものではないが、製造容易の観点から、多孔質弾性舗装体2と同じ材料構成とするのがよい。また、補強ブロック8の材質は、接着性の観点から、多孔質弾性舗装体2の樹脂バインダーと接着性が良好な樹脂系やセメント系からなるものとすることが好ましい。
【0027】
補強ブロック8の形状は、路盤3の長手方向に沿った断面が、弾性係数が連続的に変化する三角形状(図2(a))、あるいは弾性係数が断続的に変化する階段形状(図2(b))とするのが望ましい。即ち、緩衝エリア11を、軟質層13である多孔質弾性舗装体2と、この軟質層13の下に積層されてこの軟質層13よりも弾性係数が大きい硬質層14である補強ブロック8とで構成する。そして、多孔質弾性舗装体2側からアスファルト舗装体1側に向かって、軟質層13の厚さを漸減させ、多孔質弾性舗装体2側からアスファルト舗装体1側に向かって硬質層14の厚さを漸増させる。この仕様によれば、緩衝エリア11の弾性係数を容易に円滑に変化させることができる。
【0028】
上記の補強ブロック8は一体物として製造する必要はなく、施工を容易にするために、
複数の部材から構成してもよい。例えば、上記に示した路盤の長手方向に沿った断面が三角形状となる補強ブロック8を、路盤3の長手方向に分離可能な2つの部材8A、8Bから構成した場合を図3(a)に示す。また、上記に示した路盤3の長手方向に沿った断面が階段形状となる補強ブロック8を、路盤3の長手方向に分離可能な4つの部材8C〜8Fから構成した場合を図3(b)に示す。
【0029】
この実施形態では、緩衝エリア11の表面層が、弾性係数が小さい方の舗装体(多孔質弾性舗装体2)と同じ弾性係数の軟質層13になっている。そのため、継目部分を通過する車両や人は軟質層に接することになるので、車両や人に対する負荷を緩衝し易くなる。軟質層13は、弾性係数が小さい方の舗装体(多孔質弾性舗装体2)と同じ材質にすることもでき、異なる材質にすることもできる。
【0030】
図4に例示する本発明の舗装体の継目構造の第2実施形態は、アスファルト舗装体1(図4の例では、密粒度アスファルト舗装体6)及び多孔質弾性舗装体2の弾性係数をそれぞれ上限及び下限とし、かつ互いに異なる弾性係数を有する複数の補強ブロック9を、アスファルト舗装体1から多孔質弾性舗装体2へ向けて弾性係数が小さくなる順に配列して、多孔質弾性舗装体2の端部2aに埋設したものである。つまり、図4の例では、弾性係数の大きさは、補強ブロック9A>9B>9C>9Dの順になっている。
【0031】
即ち、緩衝エリア11を、多孔質弾性舗装体2からなる軟質層13と、この軟質層13の下に積層されてこの軟質層13よりも弾性係数が大きい硬質層14とで構成する。そして、硬質層14を、同じ一定厚さの複数の補強ブロック9を、アスファルト舗装体1側から多孔質弾性舗装体2側に向かって、弾性係数が小さくなる順に配列して構成する。
【0032】
このような複数の補強ブロック9を多孔質弾性舗装体2の端部2aに埋設することによっても、アスファルト舗装体1と多孔質弾性舗装体2との継ぎ目4から多孔質弾性舗装体2へ向けて弾性係数を次第に小さくすることができる。この実施形態では、それぞれの補強ブロック9(9A、9B、9C、9D)の弾性係数や配列方向長さを変化させることにより、緩衝エリア11の弾性係数の変化具合を詳細に調整することが可能になる。そのため、通過する車両の種類や人に応じて、緩衝エリア11の弾性係数を精度よく設計どおりに設定し易くなる。
【0033】
なお、第2実施形態において、第1実施形態と同じ符号で示す構成は、第1実施形態の構成と同じものである。
【0034】
補強ブロック9の材料構成は、特に限定するものではないが、多孔質弾性舗装体2と同じ材料構成とするのがよく、その場合には、硬質骨材の量と弾性骨材の量を調節することにより弾性係数の大きさを調整することができる。
【0035】
複数の補強ブロック9は、路盤3の長手方向に沿った断面が矩形状となる全て同一の寸法形状(大きさ)であることが望ましい。そのようにすることで、補強ブロック9の製造及び施工を容易にすることができると共に、敷設時の施工性を向上することができる。
【0036】
また、車両の乗心地を安定させるため、隣接する補強ブロック9間の弾性係数の差が等しくなるようにすることが望ましい。即ち、隣り合う補強ブロック9の弾性係数の差が、すべて等しくなっている仕様にすると、緩衝エリア11を通過する際の沈み込み量の変化が均等化して、より安全、円滑に通過し易くなる。また、緩衝エリア11の局部的な損傷が生じ難くなる。
【0037】
図5に本発明の継目ブロック12の実施形態を例示する。
【0038】
この継目ブロック12は、アスファルト舗装体1および多孔質弾性舗装体2のような弾性係数が異なる2つの舗装体の継目部分に設置される。そして、弾性係数が小さい方の舗装体(多孔質弾性舗装体2)と同じ弾性係数の軟質層13と、弾性係数が大きい方の舗装体(アスファルト舗装体1)と同じ弾性係数の硬質層14とを積層して継目ブロック12が構成されている。軟質層13の厚さは一方端から他方端に向かって漸増し、硬質層14の厚さは一方端から他方端に向かって漸減している。そして、一方端が弾性係数の大きい方の舗装体(アスファルト舗装体1)側になり、他方端が弾性係数の小さい方の舗装体(多孔質弾性舗装体2)側になるように、継目部分の下地10上に設置される。
【0039】
下地10は一般的な路盤や、例えば、半たわみ舗装体などであり、材質は特に限定されない。継目ブロック12と、下地10、アスファルト舗装体1および多孔質弾性体2とは、接着剤等によって接合される。
【0040】
このように継目ブロック12を舗装体の継目部分に配置することにより、緩衝エリア11を形成するので、車両や人が舗装体の継ぎ目4を通過する際に、沈み込み量が急激に変化することがない。それ故、安全で円滑に通過できる。また、継ぎ目4を車両が通過する際に、車両の荷重により継ぎ目4に段差が生じることがない。そのため、アスファルト舗装体1及び多孔質弾性舗装体2の損傷と、車両や沿道における振動や騒音の発生とを防止することができる。
【0041】
図5の実施形態では、軟質層13が表面側になるように継目ブロック12が継目部分に設置されている。これにより、継目部分を通過する車両や人は軟質層13に接することになるので、車両や人に対する負荷を緩衝し易くなる。
【0042】
図6の実施形態のように硬質層14を表面側にして継目ブロック12を継目部分に設置することもできる。
【0043】
継目ブロック12の軟質層13は、例えば、弾性係数が小さい方の舗装体(多孔質弾性舗装体2)と同じ材質で形成し、硬質層13は弾性係数が大きい方の舗装体(アスファルト舗装体1)と同じ材質で形成する。
【0044】
継目ブロック12は、図7に例示するように、同形状かつ同サイズの三角柱形状の軟質層13と硬質層14とを互いの斜面を当接させて積層することにより、一定厚さに形成される。軟質層13と硬質層14とは接着剤等によって接合する。
【0045】
図8に例示するように、互いの当接面には凸部12aおよび凹部12bを設けることもできる。対向する凸部12aと凹部12bを嵌合させて軟質層13と硬質層14とを積層すると、互いがずれ難くなり、また、積層する際の位置決めも容易になる。
【0046】
図7、図8に例示するような継目ブロック12にすると、1種類の継目ブロック12であっても、図5に例示するように左右両側の継目部分に設置することができる。また、図6に例示するように左右両側の継目部分に設置することができる。このように、同形状かつ同サイズの三角柱形状の軟質層13と硬質層14とを互いの斜面を当接させて積層した一定厚さの継目ブロック12であれば、1種類だけであっても様々な場所に設置することが可能になり、汎用性が高くなる。
【0047】
上記のいずれの実施形態においても、硬質骨材には、コスト低減の観点から、砕石、砂利及び珪砂などの天然系の骨材を用いることが望ましい。また、弾性骨材には、資源の再利用の観点から、廃タイヤを粉砕したゴムチップを用いることが望ましい。
【0048】
本発明の継目ブロック12は、上述した実施形態に限定されるものではない。その弾性係数が一方端から他方端に向かって、弾性係数が大きい舗装体(アスファルト舗装体1)の弾性係数から弾性係数が小さい舗装体(多孔質弾性舗装体2)の弾性係数まで漸減し、一方端が弾性係数の大きい方の舗装体(アスファルト舗装体1)側になり、他方端が弾性係数の小さい方の舗装体(多孔質弾性舗装体2)側になるように、継目部分に設置されるものであれば、例示した実施形態とは異なる仕様を採用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 アスファルト舗装体
1a (アスファルト舗装体の)端部
2 多孔質弾性舗装体
2a (多孔質弾性舗装体の)端部
3 路盤
4 継ぎ目
5 粗粒度アスファルト舗装体
6 密粒度アスファルト舗装体
7 半たわみ性舗装体
8、9 補強ブロック
10 下地
11 緩衝エリア
12 継目ブロック
12a 凸部
12b 凹部
13 軟質層
14 硬質層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性係数が異なる2つの舗装体の継目部分に緩衝エリアを設け、この緩衝エリアの弾性係数が、弾性係数が大きい舗装体側から弾性係数が小さい舗装体側に向かって、弾性係数が大きい舗装体の弾性係数から弾性係数が小さい舗装体の弾性係数まで漸減していることを特徴とする舗装体の継目構造。
【請求項2】
前記緩衝エリアの表面層が、弾性係数が小さい方の舗装体と同じ弾性係数の軟質層である請求項1に記載の舗装体の継目構造。
【請求項3】
前記軟質層が、弾性係数が小さい方の舗装体と同じ材質からなる請求項2に記載の舗装体の継目構造。
【請求項4】
前記緩衝エリアが前記軟質層と、この軟質層の下に積層されて、この軟質層よりも弾性係数が大きい硬質層とからなり、弾性係数が小さい方の舗装体側から弾性係数が大きい方の舗装体側に向かって前記軟質層の厚さが漸減し、弾性係数の小さい方の舗装体側から弾性係数の大きい方の舗装体側に向かって前記硬質層の厚さが漸増している請求項2または3に記載の舗装体の継目構造。
【請求項5】
前記緩衝エリアが前記軟質層と、この軟質層の下に積層されて、この軟質層よりも弾性係数が大きい硬質層とからなり、この硬質層が同じ一定厚さの複数の補強ブロックを、弾性係数の大きい方の舗装体側から弾性係数の小さい方の舗装体側に向かって、弾性係数が小さくなる順に配列して構成されている請求項2または3に記載の舗装体の継目構造。
【請求項6】
隣り合う前記補強ブロックの弾性係数の差が、すべて等しくなっている請求項5に記載の舗装体の継目構造。
【請求項7】
弾性係数が大きい方の舗装体が、硬質骨材をアスファルトで固結した舗装体であり、弾性係数の小さい方の舗装体が、弾性骨材を樹脂バインダーで固結した多孔質弾性舗装体である請求項1〜6のいずれかに記載の舗装体の継目構造。
【請求項8】
弾性係数が異なる2つの舗装体の継目部分に設置される継目ブロックであって、弾性係数が一方端から他方端に向かって、弾性係数が大きい舗装体の弾性係数から弾性係数が小さい舗装体の弾性係数まで漸減していて、一方端が弾性係数の大きい方の舗装体側になり、他方端が弾性係数の小さい方の舗装体側になるように、前記継目部分に設置されることを特徴とする継目ブロック。
【請求項9】
弾性係数が小さい方の舗装体と同じ弾性係数の軟質層と、弾性係数が大きい方の舗装体と同じ弾性係数の硬質層とを積層して構成され、前記軟質層の厚さが一方端から他方端に向かって漸増し、前記硬質層の厚さが一方端から他方端に向かって漸減している請求項8に記載の継目ブロック。
【請求項10】
前記軟質層が表面側になるように、前記継目部分に設置されることを特徴とする請求項9に記載の継目ブロック。
【請求項11】
前記軟質層は、弾性係数が小さい方の舗装体と同じ材質からなり、前記硬質層は、弾性係数が大きい方の舗装体と同じ材質からなる請求項9または10に記載の継目ブロック。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate