説明

舗装方法

【課題】石炭灰及び高炉スラグを材料として簡易且つ確実に地面を舗装することが可能な舗装方法を提供する。
【解決手段】溝31が形成されるように地盤から土砂をすき取る第1の工程と、自硬性を有するように二酸化ケイ素と酸化カルシウムを所定の割合で含有する石炭灰と水とが混合されて硬化した後の複数の粒状の固体を、溝31に敷設する第2の工程と石炭灰と水と粉末状の高炉スラグが混合されて硬化する前の液体を、溝31に敷設された複数の固体の上から撒く第3の工程とを有する舗装方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行者専用の通路等は、車道に比べて載荷重が小さいため、雨水によるぬかるみや雑草の繁茂等を防止するべく、例えば砂利や砕石等の骨材によって地面が舗装されている。このような地面の舗装方法としては、例えば、(i)溝が形成されるように地盤から土砂をすき取る工程、(ii)形成された溝に対してセメントを添加した骨材を敷設する工程、(iii)セメントが固化するように敷設された骨材に散水する工程、を行うことが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−101398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した舗装方法の場合、骨材やセメント等の材料を用意する必要があるため、手間やコストがかかるという問題がある。特に、近年、砂利や砕石等の天然の骨材が減少しており、地面の舗装に適した天然の骨材を入手し難くなっている。
【0005】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、石炭灰及び高炉スラグを材料として簡易且つ確実に地面を舗装することが可能な舗装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための発明は、溝が形成されるように地盤から土砂をすき取る第1の工程と、自硬性を有するように二酸化ケイ素と酸化カルシウムを所定の割合で含有する石炭灰と水とが混合されて硬化した後の複数の粒状の固体を、前記溝に敷設する第2の工程と、前記石炭灰と前記水と粉末状の高炉スラグとが混合されて硬化する前の液体を、前記溝に敷設された前記複数の固体の上から撒く第3の工程とを有する舗装方法である。
【0007】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、石炭灰及び高炉スラグを材料として簡易且つ確実に地面を舗装することが可能な舗装方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態にかかる舗装方法を説明するための模式図である。
【図2】加圧流動床複合発電システムの概略構成を示す模式図である。
【図3】造粒装置の概略構成を示す模式図である。
【図4】(a)は砕石を用いた簡易砕石舗装層の写真であり、(b)はPFBC灰固化体を用いた簡易舗装層の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
以下、本発明の一実施形態にかかる舗装方法について説明する。本実施形態は、例えば、加圧流動床複合発電システム1で発生するPFBC(Pressurized Fluidized Bed Combustion)灰を材料として、歩行者専用通路等の地面を舗装する舗装方法である。そこで、先ず、加圧流動床複合発電システム1について、図2を参照して説明する。
【0011】
<<<加圧流動床複合発電システムについて>>>
加圧流動床複合発電システム1は、加圧容器2、3と、加圧流動床ボイラ4、5と、燃料供給管6、7と、給水管8と、蒸気タービン9と、発電機10、13と、遠心力式集塵装置11と、ガスタービン12と、排煙脱硝装置14と、ろ過式集塵装置15とを備えている。加圧流動床複合発電システム1は、加圧流動床ボイラ4、5で石炭が燃焼した結果得られる燃焼熱と燃焼排ガスにより、蒸気タービン9とガスタービン12とを夫々駆動し、複合的な発電を行うシステムである。
【0012】
加圧流動床ボイラ4、5は夫々、その内部が加圧状態となるように加圧容器2、3内に収容されている。燃料供給管6、7は夫々加圧容器2、3を介して加圧流動床ボイラ4、5に結合されており、燃料供給管6、7から加圧流動床ボイラ4、5内に石炭及び石灰石が燃料として供給される。
【0013】
石炭と石灰石が加圧された状態の加圧流動床ボイラ4、5内に供給されると、石炭は、石灰石を流動媒体として流動しながら燃焼(加圧流動床燃焼)し、石灰石は、加圧流動床燃焼時に発生する硫黄酸化物を吸収する。
【0014】
給水管8は、加圧容器2、3を介して、加圧流動床ボイラ4から加圧流動床ボイラ5へと連続して通過するように設けられている。そして、給水管8に水が供給されると、給水管8が加圧流動床燃焼で発生した熱で加熱されることにより、給水管8内の水は沸点を超えて水蒸気となる。蒸気タービン9は、給水管8からの水蒸気によって駆動される。発電機10は、蒸気タービン9の駆動力に従って発電を行う。
【0015】
また、加圧流動床燃焼が行われると、二酸化炭素や石炭灰(PFBC灰)等を含む燃焼排ガスが発生する。加圧流動床ボイラ4、5から排出された燃焼排ガスは遠心力式集塵装置11に供給され、燃焼排ガス中に含まれるPFBC灰等の粉塵が分離される。
【0016】
ガスタービン12は、遠心力式集塵装置11からの燃焼排ガスによって駆動される。発電機13は、ガスタービン12の駆動力に従って発電を行う。排煙脱硝装置14は、ガスタービン12を駆動した後の燃焼排ガス中の窒素酸化物を窒素と水に分解することで、燃焼排ガスから窒素酸化物を除去する。
【0017】
ろ過式集塵装置15は例えばポーラスフィルタを備え、排煙脱硝装置14からの燃焼排ガスがポーラスフィルタを通過することで、燃焼排ガスから遠心力式集塵装置11で分離しきれなかった粉塵を分離する。ろ過式集塵装置15で粉塵が分離された燃焼排ガスは、煙突16から排気される。
【0018】
つまり、加圧流動床複合発電システム1では、燃焼排ガスに含まれるPFBC灰を、遠心力式集塵装置11及びろ過式集塵装置15によって燃焼排ガスから分離して回収することができる。
【0019】
このPFBC灰は、前述したように、加圧流動床ボイラ4、5で、石灰石(CaCO)を流動媒体として、石炭が加圧流動床燃焼することで発生する。石灰石は、加圧流動床燃焼時に発生する硫黄酸化物(SO)を吸収すると共に、加圧流動床ボイラ4、5内において加熱分解されると酸化カルシウム(CaO)となる。このため、PFBC灰は、表1に示す成分例のように、一般的な石炭火力発電システムから発生するフライアッシュ等の石炭灰に比べ、三酸化硫黄(SO)やポルトランドセメントの主成分である酸化カルシウムを多く含む。これによって、PFBC灰を水と混合すると、例えばけい酸カルシウム水和物(nCaO・SiO2・mHO)などの水に難溶な水和物が生成して硬化する。つまり、PFBC灰は、ポルトランドセメント等のセメントと同様に、自硬性を有する。
【表1】

【0020】
さらに、PFBC灰は、粒径が3μm〜10μmの不定形状を有し、球状のフライアッシュ等に比べて比表面積が大きいため、硬化反応を生じやすい。
【0021】
つまり、PFBC灰は、例えば表1に示すように、成分全体に対して二酸化ケイ素の含有率が42.40%であり酸化カルシウムの含有率が24.10%である石炭灰、つまり二酸化ケイ素に対する酸化カルシウムの割合が略50%であり自硬性を有する石炭灰である。このPFBC灰の自硬性により、PFBC灰と水とを混合することで、粒状の固体を形成することができる。本実施形態にかかる舗装方法では、PFBC灰から形成される粒状の固体(以下、PFBC灰固化体と称する)を利用して、地面を舗装する。そこで、以下、図3を参照して、PFBC灰固化体100を製造するための造粒装置20について説明する。
【0022】
<<<造粒装置について>>>
造粒装置20は、サイロ21と、計量器22と、水タンク23と、ミキサ24と、攪拌羽24Aと、サージビン25と、配管25Aと、ブリケットマシン26と、篩27と、養生ヤード28と、ベルトコンベア29とを備えている。
【0023】
サイロ21は、PFBC灰固化体100を製造するべく造粒装置20に供給されるPFBC灰を一時的に貯蔵する容器であり、計量器22にPFBC灰を供給する。計量器22は、PFBC灰を計量して後述する所定量ずつミキサ24に供給する。ミキサ24には、水タンク23から後述する所定量ずつ水が供給されており、ミキサ24の内部において攪拌羽24Aが回転することでPFBC灰と水とが混合される。ミキサ24で生成されたPFBC灰と水との混合物(以下、単に混合物と称する)は、サージビン25に一時的に貯蔵される。そして、この混合物はサージビン25から配管25Aを介してブリケットマシン26に供給される。
【0024】
ブリケットマシン26は、円筒形状の一対のロールから構成されている。このロールの夫々の外周面には、後述する所定の大きさの粒状に混合物を成型するための凹部が形成されている。一方のロールに形成された凹部と他方のロールに形成された凹部とが対向して合わさることで、ロールの外周面同士の間に所定の大きさの粒状の空間が形成されるようになっている。一対のロールが互いに向かい合う方向に夫々回転することで、外周面同士が接触すると共に、互いの凹部が対向して合わさる。回転しているロールの外周面同士の間を混合物が通過することで、対向する凹部によって形成される空間に入り込んだ混合物が粒状に成型される。
【0025】
ブリケットマシン26で粒状に成型された混合物は、例えば篩27によって、所定の大きさに成型されたものと所定の大きさに満たなかったものとに篩い分けられる。所定の大きさに成型された混合物は、養生ヤード28において例えば2〜3日間養生することで硬化する。これによって、PFBC灰固化体100が製造される。一方、所定の大きさに満たない混合物は、ベルトコンベア29によって回収され、原料としてミキサ24に戻される。
【0026】
ここで、計量器22からミキサ24に供給されるPFBC灰の所定量と水タンク23からミキサ24に供給される水の所定量は、PFBC灰の重量に対する水の重量の割合(以下、PFBC灰の混合比率と称する)が例えば25〜30%となるような量に調整されることが好ましい。このような混合比率とすることで、ブリケットマシン26において混合物を所定の大きさに成型しやすい硬度とすることができると共に、成型された混合物を必要十分に硬化させてPFBC灰固化体100を製造することができる。
【0027】
また、ブリケットマシン26によって成型される混合物の所定の大きさ、即ちPFBC灰固化体100の大きさは、例えば最長部分の長さが5cm程度の粒状に成型されることが好ましい。これによって、後述するように複数のPFBC灰固化体100を地面に敷設した場合に、PFBC灰固化体100同士の間に透水孔となるような隙間を効率よく形成することができる。
【0028】
<<<舗装方法について>>>
本実施形態にかかる舗装方法では、このPFBC灰固化体100と、硬化用スラリーとを利用して地面を舗装する。硬化用スラリーとは、PFBC灰と、水と、粉末状の高炉スラグ(高炉スラグ微粉末)とを混合したスラリー状の液体である。高炉スラグは、高炉で銑鉄を製造する際に副産物として発生するものである。高炉スラグ微粉末は、高炉から排出された溶融状態の高炉スラグを水や空気により急冷して非晶質としてから粉砕して粉末にしたものである。この高炉スラグ微粉末は、潜在水硬性を有している。
【0029】
潜在水硬性とは、高炉スラグ中のSiOやAlの鎖状結合がpH12以上のアルカリ性となると解かれ、固溶されていたCaO、Al、Mg等が溶出し、カルシウムシリケート水和物(C−S−Hゲル)やカルシウムアルミネート水和物(C−A−Hゲル)を生成して硬化する性質である。
【0030】
ところで、PFBC灰は、前述したようにCaOを含み、水に溶解すると水酸化カルシウム(Ca(OH))を生成する。これによって、硬化用スラリーはpH12以上のアルカリ性を示す。このため、硬化用スラリーは、PFBC灰の自硬性と共に、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性によって経時的に硬化する作用を有している。
【0031】
以下、図1を参照して、本実施形態にかかる舗装方法について説明する。
第1の工程では、図1(a)及び図1(b)に示すように、歩行者専用通路等の地面の施工面30に、溝31が形成されるように例えばショベルや油圧ショベル等を用いて地盤から土砂をすき取る。
【0032】
第2の工程では、図1(c)に示すように、溝31に複数のPFBC灰固化体100を敷設する。前述したようにPFBC灰固化体100は、例えば最長部分の長さが5cm程度の粒状を呈しているため、溝31に敷設された複数のPFBC灰固化体100同士の間には隙間が形成されている。
【0033】
第3の工程では、図1(d)に示すように、硬化する前の硬化用スラリーを、溝31に敷設された複数のPFBC灰固化体100の上から撒く。このとき、PFBC灰固化体100の上から撒かれた硬化用スラリーは、図1(e)に示すように、PFBC灰固化体100同士の間の隙間を、PFBC灰固化体100に付着しながら通過して、溝31の底面側まで浸透することが好ましい。このため、後述するように、硬化用スラリーにおけるPFBC灰及び高炉スラグ微粉末に対する水の重量の割合(以下、硬化用スラリーの混合比率と称する)は、40〜60%に調整される。
【0034】
また、PFBC灰固化体100の上から撒かれる硬化用スラリーの量は、硬化用スラリーが溝31に敷設された複数のPFBC灰固化体100全体に行き渡るのに十分な量であって、溝31内の底面まで到達した硬化用スラリーにPFBC灰固化体100が浸らない程度の量である。
【0035】
複数のPFBC灰固化体100の全体に行き渡った硬化用スラリーが硬化すると、硬化した硬化用スラリーを介して、PFBC灰固化体100同士の接触面が固着する。このため、溝31内において、複数のPFBC灰固化体100同士が互いに隙間を有するように一体に固着して、舗装層32が形成される。舗装層32は、PFBC灰固化体100同士の隙間によって、透水性を有している。
【0036】
尚、硬化用スラリーの混合比率について、例えばこの混合比率を略40%よりも低い略30%とした場合、PFBC灰及び高炉スラグ微粉末の含有率が高くなり、硬化用スラリーの流動性が低くなる。硬化用スラリーの流動性が低くなると、溝31に敷設された複数のPFBC灰固化体100の上から撒いた際に、硬化用スラリーがPFBC灰固化体100同士の間の隙間を通過することが困難となる。このため、硬化用スラリーがPFBC灰固化体100の上部に留まってしまい、溝31内の複数のPFBC灰固化体100全体に硬化用スラリーを行き渡らせることが困難となる。即ち、PFBC灰固化体100を一体に固着させて舗装層32を形成することが困難となる。また、硬化用スラリーがPFBC灰固化体100同士の隙間を塞いでしまうため、透水性を有する舗装層32を形成することが困難となる。
【0037】
一方、例えば硬化用スラリーの混合比率を略60%よりも高い略70%とした場合、PFBC灰及び高炉スラグ微粉末の含有率が低くなり、硬化用スラリーの流動性は高くなるが硬化したときの硬化用スラリーの強度が低くなる。硬化したときの硬化用スラリーの強度が低くなると、硬化用スラリーによってPFBC灰固化体100同士を固着させることが困難となる。即ち、複数のPFBC灰固化体100を一体に固着させて舗装層32を形成することが困難となる。よって、硬化用スラリーの混合比率は略40〜60%であることが好ましい。
【0038】
また、硬化用スラリーにおけるPFBC灰の重量と高炉スラグ微粉末の重量との割合は、硬化した硬化用スラリーがPFBC灰固化体100同士を固着させるのに十分な強度となるように調整される。例えば、硬化用スラリーのpHが、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性が作用する強度のアルカリ性の値となるように、PFBC灰の割合が調整される。また、PFBC灰の自硬性による強度よりも、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性による強度の方がより高いため、潜在水硬性が十分に発揮されるように、高炉スラグ微粉末の割合が調整される。よって、硬化用スラリーにおけるPFBC灰に対する高炉スラグ微粉末の重量の割合は、30%に調整されることが好ましい。
【0039】
以上より、本実施形態にかかる舗装方法では、例えば加圧流動床複合発電システム1によって発電を行う際に副産物として発生するPFBC灰と、高炉で銑鉄を製造する際に副産物として発生する高炉スラグ微粉末とを材料として地面を舗装することができる。このため、本来廃棄物となる材料を有効利用することができ、骨材やセメント等の材料を用意する手間を省くことができる。よって、舗装にかかるコストを削減できると共に、砂利や砕石等の天然の骨材を節約できる。
【0040】
また、本実施形態にかかる舗装方法では、造粒装置20において、混合比率を例えば25〜30%とした混合物を生成することで、効率よく混合物を成型してPFBC灰固化体100を製造することができる。PFBC灰固化体100を例えば最長部分の長さが5cm程度の粒状に製造することで、複数のPFBC灰固化体100を溝31に敷設した場合に、PFBC灰固化体100同士の間に透水孔となる隙間を効率よく形成することができる。このように溝31に敷設した複数のPFBC灰固化体100の上から、硬化用スラリーを撒く。硬化用スラリーの混合比率は、PFBC灰固化体100同士の間の隙間を、PFBC灰固化体100に付着しながら通過して、溝31の底面側まで浸透するように調整されている。尚、例えば、硬化用スラリーの混合比率は略40〜60%であり、混合物のPFBC灰の混合比率(25〜30%)よりも大きくなっている。このため、硬化用スラリーはPFBC灰固化体100同士の隙間を塞ぐことなく、溝31内の複数のPFBC灰固化体100全体に行き渡る。
【0041】
さらに、硬化用スラリーは、PFBC灰の自硬性と、高炉スラグ微粉末の潜在水硬性を有している。これによって、溝31内の複数のPFBC灰固化体100夫々を、舗装層32を形成するのに十分な強度で一体に固着することができる。
【0042】
よって、本実施形態にかかる舗装方法では、PFBC灰及び高炉スラグ微粉末を材料として簡易且つ確実に地面を舗装することができる。また、透水性を有するように地面を舗装することができ雨水等によって地面がぬかるむことを防止できると共に、地面を舗装するPFBC灰固化体100が散逸することを防止できる。
【0043】
また、PFBC灰固化体100は、砂利や砕石等の天然の骨材に比べて白い色調を有している。このため、PFBC灰固化体100及び硬化用スラリーから形成された舗装層32も、例えば砕石を敷設して形成された舗装層(以下、砕石舗装層と称する)よりも白い色調を有している。これによって、舗装層32は、砕石舗装層よりも光の反射率が高く、例えば夜間等においても砕石舗装層より視認しやすい。尚、図4(a)及び図4(b)は、舗装層32と砕石舗装層との色調を比較するための写真である。図4(a)は、容器41内に砕石を敷き並べて形成した簡易砕石舗装層42を示す写真である。図4(b)は、容器40内に敷き並べたPFBC灰固化体100の上から硬化用スラリーを撒いて形成した簡易舗装層32Aを示す写真である。図4(a)及び図4(b)に示すように、簡易舗装層32Aは簡易砕石舗装層42よりも白い色調を有しているため、舗装層32についても砕石舗装層より白い色調を有していることが明らかである。
【0044】
さらに、より白い色調を有する舗装層32を形成するためには、連続運転を行う加圧流動床複合発電システム1から回収されるPFBC灰を材料として用いることが好ましい。加圧流動床複合発電システム1を連続運転することによって、加圧流動床ボイラ4、5において石炭の不完全燃焼が生じることを抑制でき、回収されるPFBC灰に含まれる黒色のカーボンの量を低減できる。これによって、より白い色調を有するPFBC灰を得ることができるため、白色に着色する工程等を行うことなく、より白い色調を有する舗装層32を形成することができる。
【0045】
また、溝31内において舗装層32が地面を覆うように形成されることによって、地面から雑草が発芽することを防止できる。さらに、前述したようにPFBC灰は例えばpHが12.6〜13.0程度のアルカリ性を示すため、PFBC灰固化体100及び硬化用スラリーから形成される舗装層32もアルカリ性を示す。アルカリ性の土壌では雑草の生育が抑制されるため、舗装層32を形成することで雑草の繁茂をより効果的に抑制できる。
【0046】
===その他の実施形態について===
前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0047】
前述した舗装方法では、造粒装置20において、ブリケットマシン26で成型された混合物は、篩27によって所定の大きさに成型されたものと所定の大きさに満たなかったものとに篩い分けられることとした。そして、所定の大きさに成型された混合物が硬化したものをPFBC灰固化体100とした。しかし、特にこれに限定されるものではなく、例えばブリケットマシン26から得られる所定の大きさに満たない混合物についても、所定の大きさに成型された混合物と同様に養生ヤード28において硬化して、PFBC灰固化体100として用いてもよい。
【0048】
これによって、異なる大きさのPFBC灰固化体100を溝31に敷設することができ、溝31内のPFBC灰固化体100の密度が増加するため、より高強度の舗装層32を形成することができる。また、造粒装置20において、混合物を篩27によって篩い分ける工程や、ベルトコンベア29によって所定の大きさに満たなかった混合物をミキサ24に戻す工程が不要となる。これによって、PFBC灰固化体100の製造工程を簡略化することができ、PFBC灰固化体100の製造コストを低減することができる。
【0049】
また、前述した舗装方法では、溝31に敷設したPFBC灰固化体100の上から硬化用スラリーを撒くことで舗装層32を形成することとした。しかし、特にこれに限定されるものではなく、例えばPFBC灰固化体100に粉状のPFBC灰を混合したものを溝31に敷設し、この上から水を撒いてもよい。これによって、粉状のPFBC灰に水が混合されて硬化するため、溝31内でPFBC灰固化体100同士を固着させて舗装層を形成することができる。このとき、PFBC灰固化体100に対する粉状のPFBC灰の量を、PFBC灰固化体100同士が隙間を形成したままで一体に固着するように調整することで、透水性を有する舗装層を形成することができる。また、PFBC灰固化体100と粉状のPFBC灰と水を混合し,これを溝31に敷設しても良い。この方法によれば,強度が高いが流動性の低いスラリーであってもPFBC灰固化体100に均等に付着させることができ、透水性をもった舗装層を形成することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…加圧流動床複合発電システム 2、3…加圧容器 4、5…加圧流動床ボイラ
6、7…燃料供給管 8…給水管 9…蒸気タービン 10、13…発電機
11…遠心力式集塵装置 12…ガスタービン 14…排煙脱硝装置
15…ろ過式集塵装置 16…煙突 20…造粒装置 21…サイロ
22…計量器 23…水タンク 24…ミキサ 24A…攪拌羽
25…サージビン 25A…配管 26…ブリケットマシン 27…篩
28…養生ヤード 29…ベルトコンベア 30…施工面 31…溝
32…舗装層 32A…簡易舗装層 40、41…容器 42…簡易砕石舗装層
100…PFBC灰固化体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝が形成されるように地盤から土砂をすき取る第1の工程と、
自硬性を有するように二酸化ケイ素と酸化カルシウムを所定の割合で含有する石炭灰と水とが混合されて硬化した後の複数の粒状の固体を、前記溝に敷設する第2の工程と、
前記石炭灰と前記水と粉末状の高炉スラグとが混合されて硬化する前の液体を、前記溝に敷設された前記複数の固体の上から撒く第3の工程と、
を有することを特徴とする舗装方法。
【請求項2】
前記石炭灰における前記二酸化ケイ素に対する前記酸化カルシウムの割合は、略50%である
ことを特徴とする請求項1に記載の舗装方法。
【請求項3】
前記第3の工程における前記石炭灰及び前記粉末状の高炉スラグに対する前記水の混合の割合は、前記第2の工程における前記石炭灰に対する前記水の混合の割合よりも大きい
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の舗装方法。
【請求項4】
前記第3の工程における前記石炭灰及び前記粉末状の高炉スラグに対する前記水の混合の割合は、略40〜60%であることを特徴とする請求項3に記載の舗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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