舗装用ブロック連結部材
【課題】舗装用ブロック間の段差抑制効果が高い舗装用ブロック連結部材を提供する。
【解決手段】舗装用ブロックXの側面に設けられた嵌合溝10に嵌る水平板1と、水平板1に立設し隣り合う舗装用ブロックXの目地に挟まれる垂直板2とを備え、垂直板2には舗装用ブロックXとの間に隙間を形成し目地砂を通す目地砂充填構造4が形成されている。目地から目地砂を流入させ、目地砂を舗装用ブロック連結部材Aと嵌合溝10との隙間に充填することができ、目地における段差抑制効果をさらに高めることができ、荷重がかかることによって舗装用ブロックが沈下し、目地における段差が発生することを防止することができる。
【解決手段】舗装用ブロックXの側面に設けられた嵌合溝10に嵌る水平板1と、水平板1に立設し隣り合う舗装用ブロックXの目地に挟まれる垂直板2とを備え、垂直板2には舗装用ブロックXとの間に隙間を形成し目地砂を通す目地砂充填構造4が形成されている。目地から目地砂を流入させ、目地砂を舗装用ブロック連結部材Aと嵌合溝10との隙間に充填することができ、目地における段差抑制効果をさらに高めることができ、荷重がかかることによって舗装用ブロックが沈下し、目地における段差が発生することを防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装用ブロック連結部材に関する。さらに詳しくは、歩道や公共広場などに敷設される舗装用ブロックを連結するための舗装用ブロック連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
バリアフリー社会の実現のため、歩道や公共広場などの舗装面は、段差や不陸がなく、車椅子やベビーカーの走行に適し、歩行者のつまずきなどを防止できるものとする必要がある。
このような舗装面に舗装用ブロックを敷設する場合には、敷設した舗装用ブロックがずれないように、個々の舗装用ブロックの位置を安定させることが必要であるとともに、目地における段差を小さくして、舗装面を平滑に保持することが要求される。また、荷重がかかることによって舗装用ブロックが沈下し、目地における段差が発生することを防止するため、沈下耐力も要求される。
【0003】
本願発明者は、これらの課題を解決するため、特許文献1に記載の連結部材を考案している。この連結部材を用いて舗装用ブロックを連結することにより、一般歩道では舗装面の平滑性、荷重に対する沈下耐力を向上させることができている。
しかし、車両が横断する歩道の車両乗入部においては、作用荷重が大きいこともあり、舗装用ブロックの沈下、目地における段差が発生しやすい。そこで、このような荷重にも耐えうるように、平滑性、沈下耐力の向上が求められている。
また、舗装用ブロックに設けられる嵌合溝と連結部材とのクリアランスにより段差が発生するという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4113541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、従来の連結部材に比べて、より舗装用ブロック間の段差抑制効果が高い舗装用ブロック連結部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の舗装用ブロック連結部材は、舗装用ブロックの側面に設けられた嵌合溝に嵌る水平板と、該水平板に立設し、隣り合う舗装用ブロックの目地に挟まれる垂直板とを備え、前記垂直板には、前記舗装用ブロックとの間に隙間を形成し目地砂を通す目地砂充填構造が形成されていることを特徴とする。
第2発明の舗装用ブロック連結部材は、第1発明において、前記目地砂充填構造は、前記垂直板の表面に形成された溝であることを特徴とする。
第3発明の舗装用ブロック連結部材は、第1発明において、前記目地砂充填構造は、前記垂直板に形成された櫛形の切り込みであることを特徴とする。
第4発明の舗装用ブロック連結部材は、第1発明において、前記目地砂充填構造は、前記垂直板に突起を設けることにより形成されていることを特徴とする。
第5発明の舗装用ブロック連結部材は、第1発明において、前記目地砂充填構造は、前記垂直板の厚みを目地幅よりも薄くすることにより形成されていることを特徴とする。
第6発明の舗装用ブロック連結部材は、舗装用ブロックの側面に設けられた嵌合溝に嵌る水平板と、該水平板の底面にのみ立設し、隣り合う舗装用ブロックの目地に嵌る垂直板とを備えることを特徴とする。
第7発明の舗装用ブロック連結部材は、第1,第2,第3,第4,第5または第6発明において、前記水平板と前記垂直板とでできる入隅に、該水平板と該垂直板とを接続する斜面をなす入隅斜部が設けられていることを特徴とする。
第8発明の舗装用ブロック連結部材は、第7発明において、前記入隅斜部は、水平断面が円弧状であることを特徴とする。
第9発明の舗装用ブロック連結部材は、第7または第8発明において、前記目地砂充填構造は、前記垂直板のみ、または、前記入隅斜部のみ、または、前記垂直板と前記入隅斜部の両方に形成されていることを特徴とする。
第10発明の舗装用ブロック連結部材は、第1,第2,第3,第4,第5,第6,第7,第8または第9発明において、前記水平板に位置決め突起が形成されており、該位置決め突起は、前記水平板の中央から放射状に配置されていることを特徴とする。
第11発明の舗装用ブロック施工方法は、第1,第2,第3,第4,第5,第6,第7,第8,第9または第10発明の舗装用ブロック連結部材を用い、隣り合う舗装用ブロックを、該舗装用ブロックの側面に設けられた嵌合溝に前記舗装用ブロック連結部材の水平板を嵌めて連結し、前記隣り合う舗装用ブロックの目地から目地砂を流入させ、該目地砂を前記舗装用ブロック連結部材と前記嵌合溝との隙間に充填することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、舗装用ブロックの側面に設けられた嵌合溝に嵌る水平板を備えているので、隣り合う舗装用ブロックを嵌合溝に水平板を嵌めて連結することで、舗装用ブロックの高さが揃えられるとともに、目地における段差が生じないようにすることができる。また、隣り合う舗装用ブロックの目地に挟まれる垂直板を備えているので、目地幅を一定に保持することができる。さらに、垂直板には目地砂充填構造が形成されているので、目地から目地砂を流入させ、目地砂を舗装用ブロック連結部材と嵌合溝との隙間に充填することができ、目地における段差抑制効果をさらに高めることができ、荷重がかかることによって舗装用ブロックが沈下し、目地における段差が発生することを防止することができる。
第2発明によれば、垂直板の表面に形成された溝を通して目地砂を充填することができるので、第1発明と同様の効果を奏することができる。
第3発明によれば、垂直板に形成された櫛形の切り込みを通して目地砂を充填することができるので、第1発明と同様の効果を奏することができる。
第4発明によれば、垂直板に突起が設けられているので、突起が舗装用ブロックに接することにより垂直板との間に隙間ができ、その隙間から目地砂を充填することができるので、第1発明と同様の効果を奏することができる。
第5発明によれば、垂直板の厚みが目地幅よりも薄く、垂直板と舗装用ブロックとの隙間から目地砂を充填することができるので、第1発明と同様の効果を奏することができる。
第6発明によれば、垂直板が水平板の底面にのみ立設し、水平板の上方の目地を塞ぐものがないので、目地から目地砂を充填することができ、第1発明と同様の効果を奏することができる。
第7発明によれば、水平板と垂直板とでできる入隅に入隅斜部が設けられているので、舗装用ブロック連結部材の強度を高めることができ、隣り合う舗装用ブロックを強固に連結することができる。また、舗装用ブロックの嵌合溝の開口部上縁に形成される迎えテーパと舗装用ブロック連結部材との隙間を一定にすることにより、目地砂の流れを良くし、水平板と垂直板とでできる入隅に空気だまりが残らないようにすることができる。
第8発明によれば、入隅斜部の水平断面が円弧状であるので、目地から流入する目地砂を放射状に広げることができ、目地砂を舗装用ブロック連結部材と嵌合溝との隙間にまんべんなく行き渡らせることができる。
第9発明によれば、目地砂充填構造は入隅斜部にも形成されているので、迎えテーパと舗装用ブロック連結部材との隙間が狭い場合であっても、目地砂を流入させ、舗装用ブロック連結部材と嵌合溝との隙間に充填することができる。また、垂直板と入隅斜部の高さが等しい場合には、垂直板に目地砂充填構造が形成されていなくても、入隅斜部に形成された目地砂充填構造により、目地砂を流入させ、舗装用ブロック連結部材と嵌合溝との隙間に充填することができる。
第10発明によれば、位置決め突起が放射状に配置されているので、目地から流入する目地砂を放射状に広げることができ、目地砂を舗装用ブロック連結部材と嵌合溝との隙間にまんべんなく行き渡らせることができる。また、目地砂充填後は、位置決め突起が目地砂に引っかかり、隣り合う舗装用ブロックを強固に連結することができる。さらに、位置決め突起が嵌合溝に接触することにより、水平板が嵌合溝内で上下に動くことがないので、目地砂を充填する前段階でも、隣り合う舗装用ブロックの上下方向の動きを抑制することができ、目地における段差が生じないようにすることができる。
第11発明によれば、隣り合う舗装用ブロックを嵌合溝に水平板を嵌めて連結するので、舗装用ブロックの高さが揃えられるとともに、目地における段差が生じないようにすることができる。目地から目地砂を流入させ、目地砂を舗装用ブロック連結部材と嵌合溝との隙間に充填するので、目地における段差抑制効果をさらに高めることができ、荷重がかかることによって舗装用ブロックが沈下し、目地における段差が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る舗装用ブロック連結部材Aの平面図である。
【図2】同舗装用ブロック連結部材Aの正面図である。
【図3】同舗装用ブロック連結部材Aの側面図である。
【図4】同舗装用ブロック連結部材Aを用いた施工方法の説明図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図5】目地砂の充填状態の説明図である。
【図6】舗装用ブロックXの敷設状態の説明図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る舗装用ブロック連結部材Bを用いた施工方法の説明図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図8】その他の実施形態に係る舗装用ブロック連結部材の説明図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図9】その他の実施形態に係る舗装用ブロック連結部材の説明図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図10】その他の実施形態に係る舗装用ブロック連結部材の説明図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図11】その他の実施形態に係る舗装用ブロック連結部材の平面図である。
【図12】その他の実施形態に係る舗装用ブロック連結部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1から図3に示すように、本発明の第1実施形態に係る舗装用ブロック連結部材Aは、平面視で横長角丸の八角形の水平板1と、その水平板1の上面に立設され、平面視一文字状の垂直板2とを備えている。舗装用ブロック連結部材Aは水平板1と垂直板2とで側面視T字形をしている。
【0010】
水平板1と垂直板2とでできる入隅には、水平板1と垂直板2とを接続する斜面をなす入隅斜部3が設けられている。入隅斜部3は中央付近が幅広で両端に行くにしたがい幅狭となっており、水平断面が円弧状となっている。この入隅斜部3は垂直板2を挟んだ両側に設けられている。
入隅斜部3により、水平板1と垂直板2との接続が強固になり、舗装用ブロック連結部材Aの強度を高めることができる。そのため、舗装用ブロックを強固に連結することができる。
【0011】
垂直板2と入隅斜部3には、垂直板2の上縁から水平板1まで目地砂充填溝4が間隔をあけて複数本形成されている。そのため、平面視では、垂直板2が凹凸になっており、その凹部をなす目地砂充填溝4が、垂直板2では垂直に、入隅斜部3では傾斜して、水平板1まで繋がっている。
【0012】
水平板1の上面の外周縁近傍には、ドーム形の位置決め突起5が複数形成されており、その位置決め突起5は水平板1の中央から放射状に配置されている。
【0013】
このような形状を有する舗装用ブロック連結部材Aは、比較的剛性の高い合成樹脂、あるいは鉄その他の金属により形成されている。
【0014】
一方、舗装用ブロック連結部材Aを用いて敷設される舗装用ブロックXは、図6に示すように、平面視矩形の板状のブロックである。舗装用ブロックXの側面には突起20が形成されており、突起20が隣り合う舗装用ブロックXの側面に接することにより、目地幅を一定に保つことができるようになっている。
舗装面には、この舗装用ブロックXが縦横の目地が格子状に連続した、いわゆる芋目地状に敷設される。
【0015】
隣り合う舗装用ブロックXの互いに対向する側部および角部には、舗装用ブロックXの上面からの高さが一定となる位置に嵌合溝10が形成されている。
図4に示すように、嵌合溝10は舗装用ブロックXの側面に水平に形成されており、平面視円弧状となっている。その厚みは舗装用ブロック連結部材Aの水平板1と位置決め突起5とを合わせた厚みとほぼ等しい。
嵌合溝10の高さ位置は、舗装用ブロックXの上面から舗装用ブロックXの厚さの約2/3あたりとするのが好ましい。この位置であれば、嵌合溝10の溝切り加工などによって舗装用ブロックXの側部や角部に割れが発生した場合でも、仕上面にほとんど影響が及ばないからである。
【0016】
また、嵌合溝10の開口部上縁には、開口側に拡がる迎えテーパ11が形成されている。この迎えテーパ11は、水平断面が円弧状となっており、舗装用ブロック連結部材Aを挿入したときに、入隅斜部3と一定間隔で対向するようになっている。
【0017】
嵌合溝10は、円板状の砥石をセットしたディスクグラインダによって加工すればよい。円板状の砥石の厚みを、水平板1と位置決め突起5とを合わせた厚みとすることにより、一回の溝切り操作で、砥石の径に応じた円弧状の嵌合溝10を容易に加工することができる。迎えテーパ11は、例えば円錐状の砥石をセットしたグラインダによって加工すればよい。また、嵌合溝10と迎えテーパ11とを同時に加工できるような専用形状の砥石を用いて加工してもよい。
【0018】
つぎに、舗装用ブロック連結部材Aを用いた舗装用ブロックXの施工方法について説明する。
(1)舗装用ブロックXの連結
隣り合う舗装用ブロックXを、嵌合溝10に舗装用ブロック連結部材Aの水平板1を嵌め込むことにより連結する。
このとき、位置決め突起5がドーム形であるので、嵌合溝10にひっかからず、舗装用ブロック連結部材Aを挿入しやすい。
また、位置決め突起5が嵌合溝10に接触するから、水平板1が嵌合溝10内で上下に動くことがない。したがって次工程で目地砂を充填する前段階でも、隣り合う舗装用ブロックXの上下方向の動きを抑制することができ、目地における段差が生じないようにすることができる。
【0019】
このように連結することで、舗装用ブロックXの高さが揃えられるとともに、上下方向の動きが制限されて、目地における段差が生じないようにすることができる。
また、垂直板2が隣り合う舗装用ブロックXの間に挟まれるので、舗装用ブロックXに突起20がない場合であっても、目地幅を一定に保持することができる。
このとき、平面視で垂直板2の凸部が舗装用ブロックXの側面と接し、目地幅を定めており、凹部である目地砂充填溝4が開口した状態となっている。すなわち、垂直板2は目地幅を定めるとともに、舗装用ブロックXの側面との間に隙間を形成している。
【0020】
連結の際、先に位置決めされた舗装用ブロックXの側部および角部に舗装用ブロック連結部材Aを嵌め込み、これに隣接する舗装用ブロックXを合わせてゆく。このとき、後から合わせる舗装用ブロックXは上から斜めにして舗装用ブロック連結部材Aに当てがわれるが、迎えテーパ11が形成されていることにより、水平板1が開口部上縁に引っ掛かることなくスムーズに嵌め込まれる。
【0021】
また、舗装用ブロックXを並べながら位置決めする際には、舗装用ブロックXの底面が舗装面の砂を多少引きずることになるが、舗装用ブロックXは、その底面周縁部12が面取り加工されて砂の逃げ場となるように構成されているので、砂の引きずりによる不陸の発生を防ぐことができる。
【0022】
(2)目地砂の充填
舗装用ブロックXを連結後、隣り合う舗装用ブロックXの間の目地から固化剤を含む目地砂を流入させる。ここで、固化剤としては、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル・ベオバ共重合樹脂等の再浮化形エマルジョンパウダー、セメントなどが用いられる。
図4に示す矢印のように、目地に流入された目地砂は、垂直板2および入隅斜部3に形成された目地砂充填溝4を通り、舗装用ブロック連結部材Aと嵌合溝10との隙間に充填される。
【0023】
このとき、入隅斜部3により迎えテーパ11と舗装用ブロック連結部材Aとの隙間が一定となっているので、目地砂の流れが良く、水平板1と垂直板2とでできる入隅に空気だまりが残らないようにすることができる。
また、入隅斜部3の水平断面が円弧状であり、位置決め突起5が放射状に配置されているので、目地砂を放射状に広げることができ、目地砂を舗装用ブロック連結部材Aと嵌合溝10との隙間にまんべんなく行き渡らせることができる。
【0024】
(3)目地砂の固化
図5に示すように、充填した目地砂が固化すると、舗装用ブロック連結部材Aと舗装用ブロックXとの隙間が無くなり、目地における段差抑制効果をさらに高めることがでる。これにより、荷重がかかることによって舗装用ブロックXが沈下し、目地における段差が発生することを防止することができる。
また、目地砂が固化すると、位置決め突起5が目地砂に引っかかり、隣り合う舗装用ブロックXを強固に連結することができる。
以上の施工を行うことにより、図6に示すように舗装用ブロックXを敷設することができる。
【0025】
なお、固化剤を含まない目地砂を用いても良い。この場合でも、目地砂を舗装用ブロック連結部材Aと舗装用ブロックXとの隙間に充填することにより、目地における段差抑制効果を高めることがでる。ただし、固化剤を含む目地砂の方が、舗装用ブロックXの連結が強くなり、段差抑制効果が高くなるため好ましい。
【0026】
(第2実施形態)
図7に示すように、本発明の第2実施形態に係る舗装用ブロック連結部材Bは、第1実施形態に係る舗装用ブロック連結部材Aにおいて、垂直板2にのみ目地砂充填溝4が形成されており、また、位置決め突起5がくさび形をしている。その余の構成は、第1実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0027】
本実施形態では、入隅斜部3に目地砂充填溝4が形成されていないが、舗装用ブロックXに形成される迎えテーパ11と入隅斜部3との隙間が広い場合には、この隙間に目地砂を流すことができるので、舗装用ブロック連結部材Bと嵌合溝10との隙間に目地砂を充填することができる。
【0028】
位置決め突起5は、V字形の先端が垂直板2から離れる方向を向いて形成されている。その厚みは先端に行くほど薄く、後端に行くほど厚くなるようになっており、後端は水平板1に対して垂直な平面となっている。すなわち、かえしのようになっており、嵌合溝10に水平板1を挿入することは容易にできるが、その逆は引っ掛かるようになっている。
また、充填した目地砂が固化すると、位置決め突起5が目地砂に引っかかり、隣り合う舗装用ブロックXを強固に連結することができる。
【0029】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の方法で舗装用ブロックXを施工することができ、目地における段差抑制効果を高めることができ、荷重がかかることによって舗装用ブロックXが沈下し、目地における段差が発生することを防止することができる。
【0030】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、垂直板2および入隅斜部3に目地砂充填溝4を形成することで、目地砂の充填を可能としていたが、これに限定されず、舗装用ブロックXとの間に隙間を形成し目地砂を通す構造を有すればよい。
例えば、図8に示すように、垂直板2を櫛形に形成してもよい。この場合、櫛の歯部分が舗装用ブロックXの側面と接し目地幅を定めており、櫛の切り込み部分6が舗装用ブロックXとの間に隙間を形成する。したがって、この切り込み部分6を通して目地砂を充填することができる。なお、目地砂を通すため、切り込み部分6は、迎えテーパ11に通ずる高さまで形成される。
【0031】
また、図9に示すように、垂直板2に突起7を設けてもよい。垂直板2の両面に設けられた突起7が舗装用ブロックXの側面に接することにより、垂直板2と舗装用ブロックXとの間に隙間ができ、その隙間から目地砂を充填することができる。
【0032】
さらに、図10に示すように、垂直板2の厚みを目地幅よりも薄くするように形成してもよい。この場合、目地幅は舗装用ブロックXの突起20により一定に保たれている。垂直板2と舗装用ブロックXとの間には隙間があいているので、その隙間から目地砂を充填することができる。
以上のような形状としても、第1実施形態と同様に、目地砂を充填することにより段差抑制効果が高くすることができる。
【0033】
舗装用ブロック連結部材の水平板1は、平面視円弧状に形成された嵌合溝10に対し、適度の遊びをもって、かつ、ずれにくい状態で挿入されるものであれば、どのような形状でもよい。例えば、図10に示すような、円形(a)、楕円形(b)、角丸状の四角形(c)、多角形(d)を挙げることができる。(c)に示した角丸状の四角形については、角部のRが、少なくとも辺長の1/4程度以上あるのが望ましい。(d)の多角形については、例えば正八角形など、六角以上を有する均整のとれた多角形が実用的である。四角形の角部を欠いた形状も八角形とみなすことができる。多角形の角部にはRが形成されていてもよい。いずれにせよ、線対称かつ点対称となる平面形状が、加工も容易であり、かつ垂直板2をバランスよく配置することができて好適である。
【0034】
垂直板2は、平面視一文字状(b)に限らず、三又状(a)、T字状(c)、十字状(d)としてもよい。一文字状(b)は舗装用ブロックの側面同士を連結するのに用いられる。三又状(a)は3つの舗装用ブロックの集まる角部に用いられる。T字状(c)はいわゆる破れ目地用として用いられる。十字状(d)は4つの舗装用ブロックの集まる角部に用いられる。そのほか、舗装用ブロック連結部材を挿入する場所によって、垂直板2の形状を任意に選択することができる。
【0035】
図12に示すように、垂直板2は、水平板1を挟んで対称に、水平板1の上面と底面に設けてもよい(e)。そうすれば、底面の垂直板2によっても、目地幅を一定に保持することができる。また、入隅斜部3を、底面の垂直板2と水平板1とでできる入隅にも設けてもよい(f)。このとき、上面の垂直板2の高さと底面の垂直板2の高さを等しくしておけば、現場で上下方向を問わずに使用することができ、施工性が向上する。なお、目地砂充填溝4は上面の垂直板2および入隅斜部3に形成すれば足りる。
【0036】
また、(f)において上面の垂直板2の高さを低くし、入隅斜部3と等しい高さとしてもよい(g)。この場合には、垂直板2に目地砂充填溝4が形成されていなくても、入隅斜部3に目地砂充填溝4を形成すれば、目地砂を充填することができる。さらに、水平板1の上面に垂直板2を設けず、水平板1の底面にのみ垂直板2を設けてもよい(h)。この場合には、水平板1の上方の目地を塞ぐものがないので、目地から目地砂を充填することができる。
【0037】
入隅斜部3は、舗装用ブロック連結部材の強度を高めることができ、かつ、目地砂の流れを良くしできる形状であればよく、側面視平らな形状に限らず(図3参照)、曲面状としてもよい(i)。
【符号の説明】
【0038】
A、B 舗装用ブロック連結部材
X 舗装用ブロック
1 水平板
2 垂直板
3 入隅斜部
4 目地砂充填溝
5 位置決め突起
10 嵌合溝
11 迎えテーパ
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装用ブロック連結部材に関する。さらに詳しくは、歩道や公共広場などに敷設される舗装用ブロックを連結するための舗装用ブロック連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
バリアフリー社会の実現のため、歩道や公共広場などの舗装面は、段差や不陸がなく、車椅子やベビーカーの走行に適し、歩行者のつまずきなどを防止できるものとする必要がある。
このような舗装面に舗装用ブロックを敷設する場合には、敷設した舗装用ブロックがずれないように、個々の舗装用ブロックの位置を安定させることが必要であるとともに、目地における段差を小さくして、舗装面を平滑に保持することが要求される。また、荷重がかかることによって舗装用ブロックが沈下し、目地における段差が発生することを防止するため、沈下耐力も要求される。
【0003】
本願発明者は、これらの課題を解決するため、特許文献1に記載の連結部材を考案している。この連結部材を用いて舗装用ブロックを連結することにより、一般歩道では舗装面の平滑性、荷重に対する沈下耐力を向上させることができている。
しかし、車両が横断する歩道の車両乗入部においては、作用荷重が大きいこともあり、舗装用ブロックの沈下、目地における段差が発生しやすい。そこで、このような荷重にも耐えうるように、平滑性、沈下耐力の向上が求められている。
また、舗装用ブロックに設けられる嵌合溝と連結部材とのクリアランスにより段差が発生するという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4113541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、従来の連結部材に比べて、より舗装用ブロック間の段差抑制効果が高い舗装用ブロック連結部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の舗装用ブロック連結部材は、舗装用ブロックの側面に設けられた嵌合溝に嵌る水平板と、該水平板に立設し、隣り合う舗装用ブロックの目地に挟まれる垂直板とを備え、前記垂直板には、前記舗装用ブロックとの間に隙間を形成し目地砂を通す目地砂充填構造が形成されていることを特徴とする。
第2発明の舗装用ブロック連結部材は、第1発明において、前記目地砂充填構造は、前記垂直板の表面に形成された溝であることを特徴とする。
第3発明の舗装用ブロック連結部材は、第1発明において、前記目地砂充填構造は、前記垂直板に形成された櫛形の切り込みであることを特徴とする。
第4発明の舗装用ブロック連結部材は、第1発明において、前記目地砂充填構造は、前記垂直板に突起を設けることにより形成されていることを特徴とする。
第5発明の舗装用ブロック連結部材は、第1発明において、前記目地砂充填構造は、前記垂直板の厚みを目地幅よりも薄くすることにより形成されていることを特徴とする。
第6発明の舗装用ブロック連結部材は、舗装用ブロックの側面に設けられた嵌合溝に嵌る水平板と、該水平板の底面にのみ立設し、隣り合う舗装用ブロックの目地に嵌る垂直板とを備えることを特徴とする。
第7発明の舗装用ブロック連結部材は、第1,第2,第3,第4,第5または第6発明において、前記水平板と前記垂直板とでできる入隅に、該水平板と該垂直板とを接続する斜面をなす入隅斜部が設けられていることを特徴とする。
第8発明の舗装用ブロック連結部材は、第7発明において、前記入隅斜部は、水平断面が円弧状であることを特徴とする。
第9発明の舗装用ブロック連結部材は、第7または第8発明において、前記目地砂充填構造は、前記垂直板のみ、または、前記入隅斜部のみ、または、前記垂直板と前記入隅斜部の両方に形成されていることを特徴とする。
第10発明の舗装用ブロック連結部材は、第1,第2,第3,第4,第5,第6,第7,第8または第9発明において、前記水平板に位置決め突起が形成されており、該位置決め突起は、前記水平板の中央から放射状に配置されていることを特徴とする。
第11発明の舗装用ブロック施工方法は、第1,第2,第3,第4,第5,第6,第7,第8,第9または第10発明の舗装用ブロック連結部材を用い、隣り合う舗装用ブロックを、該舗装用ブロックの側面に設けられた嵌合溝に前記舗装用ブロック連結部材の水平板を嵌めて連結し、前記隣り合う舗装用ブロックの目地から目地砂を流入させ、該目地砂を前記舗装用ブロック連結部材と前記嵌合溝との隙間に充填することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、舗装用ブロックの側面に設けられた嵌合溝に嵌る水平板を備えているので、隣り合う舗装用ブロックを嵌合溝に水平板を嵌めて連結することで、舗装用ブロックの高さが揃えられるとともに、目地における段差が生じないようにすることができる。また、隣り合う舗装用ブロックの目地に挟まれる垂直板を備えているので、目地幅を一定に保持することができる。さらに、垂直板には目地砂充填構造が形成されているので、目地から目地砂を流入させ、目地砂を舗装用ブロック連結部材と嵌合溝との隙間に充填することができ、目地における段差抑制効果をさらに高めることができ、荷重がかかることによって舗装用ブロックが沈下し、目地における段差が発生することを防止することができる。
第2発明によれば、垂直板の表面に形成された溝を通して目地砂を充填することができるので、第1発明と同様の効果を奏することができる。
第3発明によれば、垂直板に形成された櫛形の切り込みを通して目地砂を充填することができるので、第1発明と同様の効果を奏することができる。
第4発明によれば、垂直板に突起が設けられているので、突起が舗装用ブロックに接することにより垂直板との間に隙間ができ、その隙間から目地砂を充填することができるので、第1発明と同様の効果を奏することができる。
第5発明によれば、垂直板の厚みが目地幅よりも薄く、垂直板と舗装用ブロックとの隙間から目地砂を充填することができるので、第1発明と同様の効果を奏することができる。
第6発明によれば、垂直板が水平板の底面にのみ立設し、水平板の上方の目地を塞ぐものがないので、目地から目地砂を充填することができ、第1発明と同様の効果を奏することができる。
第7発明によれば、水平板と垂直板とでできる入隅に入隅斜部が設けられているので、舗装用ブロック連結部材の強度を高めることができ、隣り合う舗装用ブロックを強固に連結することができる。また、舗装用ブロックの嵌合溝の開口部上縁に形成される迎えテーパと舗装用ブロック連結部材との隙間を一定にすることにより、目地砂の流れを良くし、水平板と垂直板とでできる入隅に空気だまりが残らないようにすることができる。
第8発明によれば、入隅斜部の水平断面が円弧状であるので、目地から流入する目地砂を放射状に広げることができ、目地砂を舗装用ブロック連結部材と嵌合溝との隙間にまんべんなく行き渡らせることができる。
第9発明によれば、目地砂充填構造は入隅斜部にも形成されているので、迎えテーパと舗装用ブロック連結部材との隙間が狭い場合であっても、目地砂を流入させ、舗装用ブロック連結部材と嵌合溝との隙間に充填することができる。また、垂直板と入隅斜部の高さが等しい場合には、垂直板に目地砂充填構造が形成されていなくても、入隅斜部に形成された目地砂充填構造により、目地砂を流入させ、舗装用ブロック連結部材と嵌合溝との隙間に充填することができる。
第10発明によれば、位置決め突起が放射状に配置されているので、目地から流入する目地砂を放射状に広げることができ、目地砂を舗装用ブロック連結部材と嵌合溝との隙間にまんべんなく行き渡らせることができる。また、目地砂充填後は、位置決め突起が目地砂に引っかかり、隣り合う舗装用ブロックを強固に連結することができる。さらに、位置決め突起が嵌合溝に接触することにより、水平板が嵌合溝内で上下に動くことがないので、目地砂を充填する前段階でも、隣り合う舗装用ブロックの上下方向の動きを抑制することができ、目地における段差が生じないようにすることができる。
第11発明によれば、隣り合う舗装用ブロックを嵌合溝に水平板を嵌めて連結するので、舗装用ブロックの高さが揃えられるとともに、目地における段差が生じないようにすることができる。目地から目地砂を流入させ、目地砂を舗装用ブロック連結部材と嵌合溝との隙間に充填するので、目地における段差抑制効果をさらに高めることができ、荷重がかかることによって舗装用ブロックが沈下し、目地における段差が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る舗装用ブロック連結部材Aの平面図である。
【図2】同舗装用ブロック連結部材Aの正面図である。
【図3】同舗装用ブロック連結部材Aの側面図である。
【図4】同舗装用ブロック連結部材Aを用いた施工方法の説明図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図5】目地砂の充填状態の説明図である。
【図6】舗装用ブロックXの敷設状態の説明図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る舗装用ブロック連結部材Bを用いた施工方法の説明図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図8】その他の実施形態に係る舗装用ブロック連結部材の説明図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図9】その他の実施形態に係る舗装用ブロック連結部材の説明図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図10】その他の実施形態に係る舗装用ブロック連結部材の説明図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図11】その他の実施形態に係る舗装用ブロック連結部材の平面図である。
【図12】その他の実施形態に係る舗装用ブロック連結部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1から図3に示すように、本発明の第1実施形態に係る舗装用ブロック連結部材Aは、平面視で横長角丸の八角形の水平板1と、その水平板1の上面に立設され、平面視一文字状の垂直板2とを備えている。舗装用ブロック連結部材Aは水平板1と垂直板2とで側面視T字形をしている。
【0010】
水平板1と垂直板2とでできる入隅には、水平板1と垂直板2とを接続する斜面をなす入隅斜部3が設けられている。入隅斜部3は中央付近が幅広で両端に行くにしたがい幅狭となっており、水平断面が円弧状となっている。この入隅斜部3は垂直板2を挟んだ両側に設けられている。
入隅斜部3により、水平板1と垂直板2との接続が強固になり、舗装用ブロック連結部材Aの強度を高めることができる。そのため、舗装用ブロックを強固に連結することができる。
【0011】
垂直板2と入隅斜部3には、垂直板2の上縁から水平板1まで目地砂充填溝4が間隔をあけて複数本形成されている。そのため、平面視では、垂直板2が凹凸になっており、その凹部をなす目地砂充填溝4が、垂直板2では垂直に、入隅斜部3では傾斜して、水平板1まで繋がっている。
【0012】
水平板1の上面の外周縁近傍には、ドーム形の位置決め突起5が複数形成されており、その位置決め突起5は水平板1の中央から放射状に配置されている。
【0013】
このような形状を有する舗装用ブロック連結部材Aは、比較的剛性の高い合成樹脂、あるいは鉄その他の金属により形成されている。
【0014】
一方、舗装用ブロック連結部材Aを用いて敷設される舗装用ブロックXは、図6に示すように、平面視矩形の板状のブロックである。舗装用ブロックXの側面には突起20が形成されており、突起20が隣り合う舗装用ブロックXの側面に接することにより、目地幅を一定に保つことができるようになっている。
舗装面には、この舗装用ブロックXが縦横の目地が格子状に連続した、いわゆる芋目地状に敷設される。
【0015】
隣り合う舗装用ブロックXの互いに対向する側部および角部には、舗装用ブロックXの上面からの高さが一定となる位置に嵌合溝10が形成されている。
図4に示すように、嵌合溝10は舗装用ブロックXの側面に水平に形成されており、平面視円弧状となっている。その厚みは舗装用ブロック連結部材Aの水平板1と位置決め突起5とを合わせた厚みとほぼ等しい。
嵌合溝10の高さ位置は、舗装用ブロックXの上面から舗装用ブロックXの厚さの約2/3あたりとするのが好ましい。この位置であれば、嵌合溝10の溝切り加工などによって舗装用ブロックXの側部や角部に割れが発生した場合でも、仕上面にほとんど影響が及ばないからである。
【0016】
また、嵌合溝10の開口部上縁には、開口側に拡がる迎えテーパ11が形成されている。この迎えテーパ11は、水平断面が円弧状となっており、舗装用ブロック連結部材Aを挿入したときに、入隅斜部3と一定間隔で対向するようになっている。
【0017】
嵌合溝10は、円板状の砥石をセットしたディスクグラインダによって加工すればよい。円板状の砥石の厚みを、水平板1と位置決め突起5とを合わせた厚みとすることにより、一回の溝切り操作で、砥石の径に応じた円弧状の嵌合溝10を容易に加工することができる。迎えテーパ11は、例えば円錐状の砥石をセットしたグラインダによって加工すればよい。また、嵌合溝10と迎えテーパ11とを同時に加工できるような専用形状の砥石を用いて加工してもよい。
【0018】
つぎに、舗装用ブロック連結部材Aを用いた舗装用ブロックXの施工方法について説明する。
(1)舗装用ブロックXの連結
隣り合う舗装用ブロックXを、嵌合溝10に舗装用ブロック連結部材Aの水平板1を嵌め込むことにより連結する。
このとき、位置決め突起5がドーム形であるので、嵌合溝10にひっかからず、舗装用ブロック連結部材Aを挿入しやすい。
また、位置決め突起5が嵌合溝10に接触するから、水平板1が嵌合溝10内で上下に動くことがない。したがって次工程で目地砂を充填する前段階でも、隣り合う舗装用ブロックXの上下方向の動きを抑制することができ、目地における段差が生じないようにすることができる。
【0019】
このように連結することで、舗装用ブロックXの高さが揃えられるとともに、上下方向の動きが制限されて、目地における段差が生じないようにすることができる。
また、垂直板2が隣り合う舗装用ブロックXの間に挟まれるので、舗装用ブロックXに突起20がない場合であっても、目地幅を一定に保持することができる。
このとき、平面視で垂直板2の凸部が舗装用ブロックXの側面と接し、目地幅を定めており、凹部である目地砂充填溝4が開口した状態となっている。すなわち、垂直板2は目地幅を定めるとともに、舗装用ブロックXの側面との間に隙間を形成している。
【0020】
連結の際、先に位置決めされた舗装用ブロックXの側部および角部に舗装用ブロック連結部材Aを嵌め込み、これに隣接する舗装用ブロックXを合わせてゆく。このとき、後から合わせる舗装用ブロックXは上から斜めにして舗装用ブロック連結部材Aに当てがわれるが、迎えテーパ11が形成されていることにより、水平板1が開口部上縁に引っ掛かることなくスムーズに嵌め込まれる。
【0021】
また、舗装用ブロックXを並べながら位置決めする際には、舗装用ブロックXの底面が舗装面の砂を多少引きずることになるが、舗装用ブロックXは、その底面周縁部12が面取り加工されて砂の逃げ場となるように構成されているので、砂の引きずりによる不陸の発生を防ぐことができる。
【0022】
(2)目地砂の充填
舗装用ブロックXを連結後、隣り合う舗装用ブロックXの間の目地から固化剤を含む目地砂を流入させる。ここで、固化剤としては、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル・ベオバ共重合樹脂等の再浮化形エマルジョンパウダー、セメントなどが用いられる。
図4に示す矢印のように、目地に流入された目地砂は、垂直板2および入隅斜部3に形成された目地砂充填溝4を通り、舗装用ブロック連結部材Aと嵌合溝10との隙間に充填される。
【0023】
このとき、入隅斜部3により迎えテーパ11と舗装用ブロック連結部材Aとの隙間が一定となっているので、目地砂の流れが良く、水平板1と垂直板2とでできる入隅に空気だまりが残らないようにすることができる。
また、入隅斜部3の水平断面が円弧状であり、位置決め突起5が放射状に配置されているので、目地砂を放射状に広げることができ、目地砂を舗装用ブロック連結部材Aと嵌合溝10との隙間にまんべんなく行き渡らせることができる。
【0024】
(3)目地砂の固化
図5に示すように、充填した目地砂が固化すると、舗装用ブロック連結部材Aと舗装用ブロックXとの隙間が無くなり、目地における段差抑制効果をさらに高めることがでる。これにより、荷重がかかることによって舗装用ブロックXが沈下し、目地における段差が発生することを防止することができる。
また、目地砂が固化すると、位置決め突起5が目地砂に引っかかり、隣り合う舗装用ブロックXを強固に連結することができる。
以上の施工を行うことにより、図6に示すように舗装用ブロックXを敷設することができる。
【0025】
なお、固化剤を含まない目地砂を用いても良い。この場合でも、目地砂を舗装用ブロック連結部材Aと舗装用ブロックXとの隙間に充填することにより、目地における段差抑制効果を高めることがでる。ただし、固化剤を含む目地砂の方が、舗装用ブロックXの連結が強くなり、段差抑制効果が高くなるため好ましい。
【0026】
(第2実施形態)
図7に示すように、本発明の第2実施形態に係る舗装用ブロック連結部材Bは、第1実施形態に係る舗装用ブロック連結部材Aにおいて、垂直板2にのみ目地砂充填溝4が形成されており、また、位置決め突起5がくさび形をしている。その余の構成は、第1実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0027】
本実施形態では、入隅斜部3に目地砂充填溝4が形成されていないが、舗装用ブロックXに形成される迎えテーパ11と入隅斜部3との隙間が広い場合には、この隙間に目地砂を流すことができるので、舗装用ブロック連結部材Bと嵌合溝10との隙間に目地砂を充填することができる。
【0028】
位置決め突起5は、V字形の先端が垂直板2から離れる方向を向いて形成されている。その厚みは先端に行くほど薄く、後端に行くほど厚くなるようになっており、後端は水平板1に対して垂直な平面となっている。すなわち、かえしのようになっており、嵌合溝10に水平板1を挿入することは容易にできるが、その逆は引っ掛かるようになっている。
また、充填した目地砂が固化すると、位置決め突起5が目地砂に引っかかり、隣り合う舗装用ブロックXを強固に連結することができる。
【0029】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の方法で舗装用ブロックXを施工することができ、目地における段差抑制効果を高めることができ、荷重がかかることによって舗装用ブロックXが沈下し、目地における段差が発生することを防止することができる。
【0030】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、垂直板2および入隅斜部3に目地砂充填溝4を形成することで、目地砂の充填を可能としていたが、これに限定されず、舗装用ブロックXとの間に隙間を形成し目地砂を通す構造を有すればよい。
例えば、図8に示すように、垂直板2を櫛形に形成してもよい。この場合、櫛の歯部分が舗装用ブロックXの側面と接し目地幅を定めており、櫛の切り込み部分6が舗装用ブロックXとの間に隙間を形成する。したがって、この切り込み部分6を通して目地砂を充填することができる。なお、目地砂を通すため、切り込み部分6は、迎えテーパ11に通ずる高さまで形成される。
【0031】
また、図9に示すように、垂直板2に突起7を設けてもよい。垂直板2の両面に設けられた突起7が舗装用ブロックXの側面に接することにより、垂直板2と舗装用ブロックXとの間に隙間ができ、その隙間から目地砂を充填することができる。
【0032】
さらに、図10に示すように、垂直板2の厚みを目地幅よりも薄くするように形成してもよい。この場合、目地幅は舗装用ブロックXの突起20により一定に保たれている。垂直板2と舗装用ブロックXとの間には隙間があいているので、その隙間から目地砂を充填することができる。
以上のような形状としても、第1実施形態と同様に、目地砂を充填することにより段差抑制効果が高くすることができる。
【0033】
舗装用ブロック連結部材の水平板1は、平面視円弧状に形成された嵌合溝10に対し、適度の遊びをもって、かつ、ずれにくい状態で挿入されるものであれば、どのような形状でもよい。例えば、図10に示すような、円形(a)、楕円形(b)、角丸状の四角形(c)、多角形(d)を挙げることができる。(c)に示した角丸状の四角形については、角部のRが、少なくとも辺長の1/4程度以上あるのが望ましい。(d)の多角形については、例えば正八角形など、六角以上を有する均整のとれた多角形が実用的である。四角形の角部を欠いた形状も八角形とみなすことができる。多角形の角部にはRが形成されていてもよい。いずれにせよ、線対称かつ点対称となる平面形状が、加工も容易であり、かつ垂直板2をバランスよく配置することができて好適である。
【0034】
垂直板2は、平面視一文字状(b)に限らず、三又状(a)、T字状(c)、十字状(d)としてもよい。一文字状(b)は舗装用ブロックの側面同士を連結するのに用いられる。三又状(a)は3つの舗装用ブロックの集まる角部に用いられる。T字状(c)はいわゆる破れ目地用として用いられる。十字状(d)は4つの舗装用ブロックの集まる角部に用いられる。そのほか、舗装用ブロック連結部材を挿入する場所によって、垂直板2の形状を任意に選択することができる。
【0035】
図12に示すように、垂直板2は、水平板1を挟んで対称に、水平板1の上面と底面に設けてもよい(e)。そうすれば、底面の垂直板2によっても、目地幅を一定に保持することができる。また、入隅斜部3を、底面の垂直板2と水平板1とでできる入隅にも設けてもよい(f)。このとき、上面の垂直板2の高さと底面の垂直板2の高さを等しくしておけば、現場で上下方向を問わずに使用することができ、施工性が向上する。なお、目地砂充填溝4は上面の垂直板2および入隅斜部3に形成すれば足りる。
【0036】
また、(f)において上面の垂直板2の高さを低くし、入隅斜部3と等しい高さとしてもよい(g)。この場合には、垂直板2に目地砂充填溝4が形成されていなくても、入隅斜部3に目地砂充填溝4を形成すれば、目地砂を充填することができる。さらに、水平板1の上面に垂直板2を設けず、水平板1の底面にのみ垂直板2を設けてもよい(h)。この場合には、水平板1の上方の目地を塞ぐものがないので、目地から目地砂を充填することができる。
【0037】
入隅斜部3は、舗装用ブロック連結部材の強度を高めることができ、かつ、目地砂の流れを良くしできる形状であればよく、側面視平らな形状に限らず(図3参照)、曲面状としてもよい(i)。
【符号の説明】
【0038】
A、B 舗装用ブロック連結部材
X 舗装用ブロック
1 水平板
2 垂直板
3 入隅斜部
4 目地砂充填溝
5 位置決め突起
10 嵌合溝
11 迎えテーパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装用ブロックの側面に設けられた嵌合溝に嵌る水平板と、
該水平板に立設し、隣り合う舗装用ブロックの目地に挟まれる垂直板とを備え、
前記垂直板には、前記舗装用ブロックとの間に隙間を形成し目地砂を通す目地砂充填構造が形成されている
ことを特徴とする舗装用ブロック連結部材。
【請求項2】
前記目地砂充填構造は、前記垂直板の表面に形成された溝である
ことを特徴とする請求項1記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項3】
前記目地砂充填構造は、前記垂直板に形成された櫛形の切り込みである
ことを特徴とする請求項1記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項4】
前記目地砂充填構造は、前記垂直板に突起を設けることにより形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項5】
前記目地砂充填構造は、前記垂直板の厚みを目地幅よりも薄くすることにより形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項6】
舗装用ブロックの側面に設けられた嵌合溝に嵌る水平板と、
該水平板の底面にのみ立設し、隣り合う舗装用ブロックの目地に嵌る垂直板とを備える
ことを特徴とする舗装用ブロック連結部材。
【請求項7】
前記水平板と前記垂直板とでできる入隅に、該水平板と該垂直板とを接続する斜面をなす入隅斜部が設けられている
ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項8】
前記入隅斜部は、水平断面が円弧状である
ことを特徴とする請求項7記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項9】
前記目地砂充填構造は、前記垂直板のみ、または、前記入隅斜部のみ、または、前記垂直板と前記入隅斜部の両方に形成されている
ことを特徴とする請求項7または8記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項10】
前記水平板に位置決め突起が形成されており、
該位置決め突起は、前記水平板の中央から放射状に配置されている
ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項11】
請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10記載の舗装用ブロック連結部材を用い、
隣り合う舗装用ブロックを、該舗装用ブロックの側面に設けられた嵌合溝に前記舗装用ブロック連結部材の水平板を嵌めて連結し、
前記隣り合う舗装用ブロックの目地から目地砂を流入させ、該目地砂を前記舗装用ブロック連結部材と前記嵌合溝との隙間に充填する
ことを特徴とする舗装用ブロック施工方法。
【請求項1】
舗装用ブロックの側面に設けられた嵌合溝に嵌る水平板と、
該水平板に立設し、隣り合う舗装用ブロックの目地に挟まれる垂直板とを備え、
前記垂直板には、前記舗装用ブロックとの間に隙間を形成し目地砂を通す目地砂充填構造が形成されている
ことを特徴とする舗装用ブロック連結部材。
【請求項2】
前記目地砂充填構造は、前記垂直板の表面に形成された溝である
ことを特徴とする請求項1記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項3】
前記目地砂充填構造は、前記垂直板に形成された櫛形の切り込みである
ことを特徴とする請求項1記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項4】
前記目地砂充填構造は、前記垂直板に突起を設けることにより形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項5】
前記目地砂充填構造は、前記垂直板の厚みを目地幅よりも薄くすることにより形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項6】
舗装用ブロックの側面に設けられた嵌合溝に嵌る水平板と、
該水平板の底面にのみ立設し、隣り合う舗装用ブロックの目地に嵌る垂直板とを備える
ことを特徴とする舗装用ブロック連結部材。
【請求項7】
前記水平板と前記垂直板とでできる入隅に、該水平板と該垂直板とを接続する斜面をなす入隅斜部が設けられている
ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項8】
前記入隅斜部は、水平断面が円弧状である
ことを特徴とする請求項7記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項9】
前記目地砂充填構造は、前記垂直板のみ、または、前記入隅斜部のみ、または、前記垂直板と前記入隅斜部の両方に形成されている
ことを特徴とする請求項7または8記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項10】
前記水平板に位置決め突起が形成されており、
該位置決め突起は、前記水平板の中央から放射状に配置されている
ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9記載の舗装用ブロック連結部材。
【請求項11】
請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10記載の舗装用ブロック連結部材を用い、
隣り合う舗装用ブロックを、該舗装用ブロックの側面に設けられた嵌合溝に前記舗装用ブロック連結部材の水平板を嵌めて連結し、
前記隣り合う舗装用ブロックの目地から目地砂を流入させ、該目地砂を前記舗装用ブロック連結部材と前記嵌合溝との隙間に充填する
ことを特徴とする舗装用ブロック施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−179266(P2011−179266A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46117(P2010−46117)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【特許番号】特許第4635104号(P4635104)
【特許公報発行日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000230836)日本興業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【特許番号】特許第4635104号(P4635104)
【特許公報発行日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000230836)日本興業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】
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