説明

航空エンジンのための燃料供給回路

本発明は、航空エンジンのための燃料供給回路(10)に関する。燃料供給回路(10)は、燃焼室インジェクタ(24)に高圧の燃料を送出するための高圧ポンプシステム(18)を備える。高圧ポンプシステムは、エンジンによって同時に駆動される第1および第2の容積型ギヤポンプ(18a、18b)を有する。油圧スイッチ部材(38)は、ポンプのそれぞれの出口(36a、36b)の間に配置される。この部材は、一方の状態では、燃焼室インジェクタに高圧の燃料を送出するために2つのポンプからの出口流れを合流させ、他方の状態では、第1のポンプからの出口流れの一部または全部を低圧供給ライン(20)に送る。電気制御部材(50)は、油圧スイッチ部材を一方の状態から他方の状態へ移行させるように働く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空エンジンのための燃料供給回路に関し、より詳細には、エンジンの燃焼室インジェクタに燃料を供給するために、また、任意選択的に、エンジンの可変形状部材のアクチュエータを制御するための作動流体として使用するために、燃料を送出する回路に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、航空エンジンの燃料供給回路は、高圧ポンプに結合された低圧ポンプから構成されるポンプシステムを有する。高圧ポンプは、一般に、一定のシリンダ容積を有する容積型ギヤポンプの形態である。容積型ギヤポンプは、アクセサリギヤボックス(AGB)を介して、エンジンによって駆動される。ポンプの機能は、燃焼室インジェクタに、および、エンジンの可変形状部材のアクチュエータに高圧の燃料を送出することである。
【0003】
燃料供給回路によっては、高圧ポンプは、2段のポンプである。つまり、このような高圧ポンプは、エンジンによって同時に駆動され、かつ、異なるシリンダ容積を有するギヤの2つの異なる段を有する。このタイプのポンプでは、段のうちの一方が、もっぱら燃焼室インジェクタに燃料を供給するためのものであり、他方の段が、エンジンの可変形状部材を作動するためのアクチュエータに燃料を供給するためのものである。
【0004】
どのような構成が、高圧ポンプのために選択されたとしても、燃料が送出されるレートは、エンジンの実際の要求と一致せず、エンジンの回転レートの広い範囲にわたってこのような要求を上回ってしまう。その結果、エンジンがこのようなレートで回転している間に、燃料回路によって消費されない燃料の流れが、高圧ポンプよりも上流に戻ってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような強制される燃料の戻りは、第1に、高圧ポンプを駆動するために取り出される機械力(この力は、エンジンからの推力に寄与しない)を生み出し、第2に、燃料の温度を上昇させる。燃料のこの加熱は、エンジンの温度全体に影響を与える。なぜなら、燃料が、「冷たい」流体を構成し、一方で、油が、「熱い」流体を構成するからである。結果として、燃料による冷却能力が低下し、それにより、空気/油熱交換器によって、熱を空気中に発散させる必要が生じる。これは、重量、収容空間、および、抗力の点で損失である。
【0006】
したがって、本発明の主な目的は、次のような、航空エンジンのための燃料供給回路を提案することによって、このような欠点を緩和することである。燃料供給回路は、単純かつ信頼できる方式で、異なるシリンダ容積を用いながら、燃焼室インジェクタに、および、エンジンの可変形状アクチュエータに燃料を送出することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、次のような航空エンジンのための燃料供給回路によって達成される。燃料供給回路は、低圧供給ラインから燃焼室インジェクタに高圧の燃料を送出するためのものであり、かつ、エンジンによって同時に駆動される第1および第2の容積型ギヤポンプを有する高圧ポンプシステムを備える、燃料供給回路であって、
ポンプのそれぞれの出口の間に配置される油圧スイッチ部材であって、一方の状態では、2つのポンプからの出口流れを合流させ、それにより、高圧燃料を燃焼室インジェクタに送出し、他方の状態では、第1のポンプからの出口流れの一部または全部を低圧供給ラインに送ることを可能にする油圧スイッチ部材と、
油圧スイッチ部材を一方の状態から他方の状態に移行させるために油圧スイッチ部材を制御するための電気制御部材と
をさらに備えることを特徴とする、燃料供給回路である。
【0008】
本発明の燃料回路ポンプは、異なるシリンダ容積を有する。詳細にいえば、第1のポンプは、好ましくは、第2のポンプよりも高い圧送性能を有する。このようにして、エンジンの動作点に応じて、燃料の送出される流れが、両方のポンプ、または、これらのうちの1つのみ(詳細には、第2のポンプ)からくることを、スイッチ部材に保証させることが可能になる。例えば、エンジンを始動させるとき(高流量の燃料を必要とする)に、スイッチ部材は、送出される燃料流れが、両方のポンプからくるように、作動されてもよい。アイドリング状態と巡航状態との間の動作点では、つまり、このような高流量を必要としない点では、スイッチ部材は、送出される燃料の流れが、第2のポンプのみからくるように、作動される。最後に、巡航点を越える動作点では、スイッチ部材は、送出される燃料の流れが、両方のポンプからくるように、作動される。
【0009】
したがって、従来技術における知られている解決策と比べて、本発明の燃料回路は、熱出力の点(高圧に高められ、その後、戻される燃料の量を制限することによって)、および、テークオフされる機械力の量の点(この場合、エンジン推力に寄与しないこのような機械的テークオフが、抑えられ得る)の両方の点で、大幅な改善をもたらす。
【0010】
さらに、上記の回路に必要なのは、油圧スイッチ部材および電気制御部材のみを備え付けることであるため、そのような回路は、実施するのが簡単である。燃料回路の他の構成要素への影響はない。詳細にいえば、調整バルブまたは燃料計測装置への影響はない。
【0011】
本発明の燃料回路は、さらに、使用時に高い融通性を提供する。詳細にいえば、1つのポンプのみが作動している、アイドリング状態から巡航状態の範囲の動作点の場合に、加熱される燃料が必要な冷却条件下で、他のポンプを駆動するようにスイッチ部材に作用することが可能である。さらに、過レートの場合、電気制御下で、第1のポンプのスイッチを切り、それにより、燃料が噴射されるレートを最大巡航レートに相当するレートまで減少させることが可能である。
【0012】
最後に、本発明の燃料回路は、第2のポンプのシリンダ容積の寸法を最適化し、それにより、より良い熱的な改善およびより良い機械的テークオフの改善を得るのに適しているという利点を有する。
【0013】
好ましくは、スイッチ部材が、ポンプのそれぞれの出口の間に配置され、かつ、油圧方向制御バルブを備える油圧スイッチ部材を備え、油圧方向制御バルブが、第1のポンプの出口に接続された供給口と、第2のポンプの出口に接続された高圧送出口と、燃料戻り管によって低圧供給ラインに接続された低圧送出口とを有し、供給口が、油圧バルブのスライドの制御された位置に応じて、高圧送出口、または、低圧送出口に接続されることが可能であり、これにより、2つのポンプからの出口流れを合流させるか、または、第1のポンプからの出口流れの一部または全部を低圧供給ラインに送る。
【0014】
電気制御装置は、燃料分岐管に配置されるソレノイドバルブを備えてもよい。この場合の燃料分岐管は、第1に、戻り管に接続され、第2に、油圧バルブのパイロット室の一方に接続される。このような状況下で、油圧バルブの他方のパイロット室は、第2のポンプの出口に接続される。油圧バルブのパイロット室は、ダイヤフラムを介して、相互に連通している。
【0015】
あるいは、スイッチ部材を制御するための電気部材は、燃料戻り管に配置されるソレノイドバルブを備えてもよい。このような状況下で、ソレノイドバルブはオン/オフ式であっても、または、流量調整型であってもよい。
【0016】
本発明は、さらに、上に規定した燃料供給回路を備える航空エンジンを提供する。
【0017】
本発明の他の特徴および利点は、添付図面を参照しながら与えられる以下の説明から明らかになる。添付図面は、実施形態を示しているが、実施形態は、いかなる限定的な特徴も有さない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による燃料供給回路の第1の実施形態を示す。
【図1A】本発明による燃料供給回路の第1の実施形態を示す。
【図2】本発明による燃料供給回路の第2の実施形態を示す。
【図2A】本発明による燃料供給回路の第2の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による燃料供給回路の第1の実施形態が、図1および図1Aを参照しながら、ガスタービン飛行機エンジンへの応用という脈絡の中で、説明される。しかしながら、本発明の応用分野は、他の航空機、特に、ヘリコプターのためのガスタービンエンジンにまで及び、また、ガスタービン以外の航空エンジンにまで及ぶ。
【0020】
本発明のこの第1の実施形態の燃料供給回路10は、従来通りに、低圧ポンプ12と、燃料/油熱交換器14と、メイン燃料フィルタ16と、高圧ポンプシステム18とを備える(熱交換器14の位置およびフィルタ16の位置は、例として示されているが、これらの要素は他の方式で配置されることが可能である)。
【0021】
低圧ポンプ12は、上流側では飛行機の燃料タンク(図示せず)に接続されており、下流側では低圧供給ライン20を介して高圧ポンプシステム18に接続されている。
【0022】
高圧ポンプシステム18の出口で、燃料供給回路10は、複数の別個の燃料ラインに分かれている。つまり、これらの燃料ラインとは、燃焼室インジェクタ24に燃料を供給するための燃料ライン22(燃料がインジェクタに噴射されるレートは、燃料計測装置26による知られている方式で計測される)と、エンジンの可変形状部材30のアクチュエータに動力を供給するための別の燃料ライン28と、使用されない燃料の流れを低圧供給ライン20に戻すための、調整バルブ34を備える燃料戻りライン32とである。
【0023】
高圧ポンプシステム18は、2段式である。つまり、高圧ポンプシステム18は、2つの容積型ギヤポンプ18aおよび18bから構成されている。これらのギヤポンプは、エンジンによって同時に駆動され、異なるシリンダ容積を送出する。より正確にいえば、第1のポンプ18aは、第2のポンプ18bよりも大きなシリンダ容積を有する。つまり、作動時に、第1のポンプ18aは、第2のポンプによって作動時に燃料が噴射されるレートよりも速いレートで燃料を噴射することができる。言い換えれば、高圧ポンプシステムの第1のポンプ18aは、第2のポンプ18bよりも高い圧送性能を有する。
【0024】
低圧ポンプ12、さらに高圧ポンプシステム18の2つのポンプ18aおよび18bは、AGBを介してエンジンの高圧軸によって同時に駆動される。
【0025】
本発明によると、燃料供給回路10は、さらに、油圧スイッチ部材を、スイッチ部材を制御するための電気制御部材とともに備える。油圧スイッチ部材は、高圧ポンプシステムの2つのポンプ18aおよび18bのそれぞれの出口36aおよび36bの間に配置される。
【0026】
図1および図1Aの第1の実施形態では、スイッチ部材は、油圧方向制御バルブ38の形態である。電気制御部材の動作の下で、油圧バルブ38は、2つの異なる位置を取ることができる。第1の位置では、2つのポンプ18aおよび18bの出口36aおよび36bが、相互に連通する。これにより、2つのポンプの流れが合流して、高圧燃料が、燃焼室インジェクタ24および可変形状アクチュエータ30に送出される(図1を参照のこと)。第2の位置では、第1のポンプ18aの出口が、燃料戻り管40と連通する。これにより、ポンプ18aからの出口流れのすべてが、低圧供給ライン20に送られる(図1Aを参照のこと)。
【0027】
より正確にいえば、油圧バルブ38は、第1のポンプ18aの出口36aに接続された供給口OAと、第2のポンプ18bの出口36bに接続された高圧送出口U1と、燃料戻り管40に接続された低圧送出口U2とを備える。
【0028】
バルブ38は、さらに、スライド42を有する。スライド42は、電気制御部材の動作の下で、シリンダ内部を直線的に平行移動することができる。スライドの位置が、上記した2つの位置を規定している。第1の位置では、供給口OAが、高圧送出口U1に接続される。これにより、2つのポンプの出口36aおよび36bが相互に連通し、低圧送出口U2が遮蔽される(図1)。第2の位置では、供給口OAが、低圧送出口U2と連通する。これにより、燃料が戻り管40を介して低圧供給ライン20に戻されることが可能になり、高圧送出口U1が、遮蔽される(図1A)。
【0029】
バルブ38は、さらに、2つのパイロット室を有する。つまり、2つのパイロット室とは、第2のポンプ18bの出口36bに接続された第1のパイロット室P1と、後述される分岐管44に接続された第2のパイロット室P2とである。また、第2のパイロット室P2には、ばね46が、配置されている。さらに、パイロット室P1およびP2は、チャネル48によって、相互に連通している。チャネル48は、スライド42を貫通しており、チャネル48に取り付けられたダイヤフラム49を有する。
【0030】
バルブを制御するための電気制御部材は、第2のパイロット室P2に加わる圧力に影響を与えるように働く。このとき、パイロット室P1およびP2に加わる圧力が、相反するように働いて、バルブのスライド42の移動を制御する。
【0031】
この目的のために、バルブの電気制御部材は、ソレノイドバルブ50(つまり、電気的に制御されるバルブ)を備える。ソレノイドバルブ50は、分岐管44に配置されている。分岐管44は、第1に、燃料戻り管40に接続され、第2に、バルブの第2のパイロット室P2に接続されている。
【0032】
このソレノイドバルブ50は、オン/オフ式である。つまり、通電された場合、ソレノイドバルブが開き、燃料が、第2のパイロット室P2と燃料戻り管40との間の分岐管44を流れることができる。しかしながら、ソレノイドバルブに通電されない場合、ソレノイドバルブが閉まり、少しの燃料の流れも、分岐管を流れない。異なる実施形態では、ソレノイドバルブが、調整された流量を提供する型であってもよい。
【0033】
このように、ソレノイドバルブ50に通電されない場合、第1の室P1の内部の圧力は、第2のポンプ18bの出口36bにおける高圧PHPと等しい。分岐管44が閉じているので、第2の室P2内に存在する圧力は、圧力PHPと等しい(このパイロット室P2は、チャネル48を介して他方のパイロット室P1と連通している)。その上に、ばね46によって圧力が加えられる。このようにして、第2の室P2内の力が、より高くなり、油圧バルブのスライド42が、第1の位置に移動する(図1に示されているように、この場合、2つのポンプの出口が、相互に連通している)。
【0034】
ソレノイドバルブ50に通電される場合、第1の室P1の内部の圧力は、高圧PHPと等しいままである。このときは分岐管44が開いているので、第2の室P2内に存在する圧力は、低圧ポンプの出口に存在する圧力PLPと等しい(このパイロット室P2は、分岐管40および戻り管44を介して、低圧供給ライン20と連通する)。その上に、ばね46によって力が加えられる。このようにして、第1の室P1内の圧力が、より高くなり、油圧バルブのスライド42が、第2の位置に移動する(図1Aに示されているように、この場合、第1のポンプによって噴射される流れが戻される)。
【0035】
ソレノイドバルブ50は、エンジン制御装置(ECU)によって制御される。エンジン制御装置(ECU)は、バルブに通電するのに必要な電力を供給する。
【0036】
さらに、この第1の実施形態の変形例を考えることができる。詳細にいえば、油圧バルブのスライドおよびソレノイドバルブが、1つの部品に一体化され得る。
【0037】
図2および図2Aを参照しながら、本発明の第2の実施形態における燃料供給回路10’について説明する。
【0038】
回路10’は、特に次の点で第1の実施形態の回路と異なっている。それは、油圧バルブ38’が、第1のポンプ18aの出口36aに接続された供給口OAと、第2のポンプ18bの出口に接続されたただ1つの送出口U1とを有している点である。
【0039】
さらに、この油圧バルブ38’を制御するための電気制御部材が、燃料戻り管40に直接配置されたソレノイドバルブ50’を備える。
【0040】
第1の実施形態の回路をさらに参照すると、油圧バルブの第1のパイロット室P1が、第2のポンプ18bの出口36bに接続され、第2のパイロット室P2が、第1のポンプ18aの出口36aに接続されている。
【0041】
この場合、油圧バルブの動作は、以下の通りである。最初に、ばね46からの力が、調整され、それにより、バルブのスライド42が、供給口OAと高圧送出口U1とを連通させるように配置される。これにより、2つのポンプの出口が、相互に連通する。これ以降、ソレノイドバルブ50’の位置に応じて、動作が異なる。
【0042】
ソレノイドバルブ50’に通電されない(バルブが閉じる)場合、油圧バルブの第2の室P2の内部の圧力は、第1のポンプの出口36aにおける高圧にばね46からの力を加えたものと等しい。結果的に、油圧バルブのスライド42は、供給口OAが高圧送出口U1と連通する位置にとどまる(図2に示されているように)。
【0043】
ソレノイドバルブ50’に通電される(バルブが開く)場合、油圧バルブの第1の室P1の内部の圧力は、第2のポンプの出口36bにおける燃料の高圧と等しくなり、一方で、第2の室P2が、分岐管40(低圧の燃料)に接続される。このようにして、油圧バルブのスライドが、供給口OAおよび高圧送出口U1が遮蔽される第2の位置に移動する(図2Aに示されているように、この場合、第1のポンプによって噴射される流れが、燃料戻り管40によって戻される)。
【0044】
第1の実施形態の場合のように、ソレノイドバルブ50’は、ECUによって制御される。ECUは、バルブを制御するために必要な通電をする。
【0045】
さらに、ソレノイドバルブ50’は、オン/オフ式であっても、または、流量調整型であってもよい。ソレノイドバルブ50’が、調整型の場合、第1のポンプ18aによって噴射される燃料の戻される流れは、このようにして、有利に調整されてもよい。
【0046】
さらに、この第2の実施形態の変形例を考えることができる。詳細にいえば、ソレノイドバルブは、第1のポンプ18aの出口36aと分岐管44との間のノードに配置されてもよい。このようにして、油圧バルブからスライドを取り除くことが可能になる。このとき、スライドが果たす機能は、ソレノイドバルブの圧力を調整することによって実施される(このとき、ソレノイドバルブは、第1のポンプの出口36aに接続された入口と、2つの出口(1つは、戻り管40に接続され、もう1つは、第2のポンプの出口36bに接続される)とを有すべきである)。さらに、油圧バルブのスライド42を貫通しているチャネル48内のダイヤフラム49の存在は、この実施形態では必須ではない。
【0047】
より一般的には、特定の変形例が、上記した実施形態の両方に適用される。
【0048】
詳細にいえば、燃料戻り管40が低圧供給ライン20につながるのは、図に示されているように熱交換器14より上流、または、熱交換器14とメイン燃料フィルタ16との間、または、メイン燃料フィルタより上流(高圧ポンプシステムのポンプ18aおよび18bの両入口への分岐点より上流、または、第1のポンプ18aの入口より上流)のいずれであってもよい。
【0049】
さらに、両実施形態に共通する、本発明の有利な提供形態では、チェックバルブ60が、油圧バルブ38、38’の高圧送出口U1を第2のポンプ18bの出口36bに接続している燃料ラインに配置される。図2の実施形態では、このチェックバルブ60が、可変形状アクチュエータに燃料を供給するための燃料ライン28と高圧送出口U1との間に配置されるものとした。このようにして、このような状況下では、チェックバルブは、スイッチングがおこなわれる間、燃料戻り管40を介する低圧ラインへの寄生流れ(parasitic flow)を回避するように働く。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧供給ライン(20)から燃焼室インジェクタ(24)に高圧の燃料を送出するためのものであり、かつ、エンジンによって同時に駆動される第1および第2の容積型ギヤポンプ(18a、18b)を有する高圧ポンプシステム(18)を備える、航空エンジンのための燃料供給回路(10、10’)であって、
ポンプのそれぞれの出口(36a、36b)の間に配置され、かつ、油圧方向制御バルブ(38、38’)を備える油圧スイッチ部材(38、38’)であって、油圧方向制御バルブ(38、38’)が、第1のポンプ(18a)の出口(36a)に接続された供給口(OA)と、第2のポンプ(18b)の出口(36b)に接続された高圧送出口(U1)と、燃料戻り管(40)によって低圧供給ライン(20)に接続された低圧送出口(U2)とを有し、供給口が、油圧バルブのスライド(42)の制御された位置に応じて、一方の状態では、高圧送出口に接続されることが可能であり、他方の状態では、低圧送出口に接続されることが可能であり、これにより、2つのポンプからの出口流れが合流するか、または、第1のポンプからの出口流れの一部もしくは全部が、低圧供給ラインに送られる、油圧スイッチ部材(38、38’)と、
油圧スイッチ部材を一方の状態から他方の状態に移行させるために油圧スイッチ部材を制御するための電気制御部材(50、50’)と
をさらに備えることを特徴とする、燃料供給回路
【請求項2】
電気制御部材が、燃料分岐管(44)に配置されるソレノイドバルブ(50)を備え、燃料分岐管(44)が、第1に、戻り管(40)に接続され、第2に、油圧バルブの一方のパイロット室(P2)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
油圧バルブの他方のパイロット室(P1)が、第2のポンプ(18b)の出口(36b)に接続され、油圧バルブのパイロット室(P1、P2)が、ダイヤフラム(49)を介して、相互に連通することを特徴とする、請求項2に記載の回路。
【請求項4】
スイッチ部材を制御するための電気部材が、燃料戻り管(40)に配置されるソレノイドバルブ(50’)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の回路。
【請求項5】
ソレノイドバルブ(50’)が、オン/オフ式であることを特徴とする、請求項4に記載の回路。
【請求項6】
ソレノイドバルブ(50’)が、流量調整型であることを特徴とする、請求項4に記載の回路。
【請求項7】
チェックバルブ(60)が、油圧バルブ(38、38’)の高圧送出口(U1)と第2のポンプ(18b)の出口(36b)との間に配置されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の回路。
【請求項8】
第1のポンプ(18a)が、第2のポンプ(18b)より高い圧送性能を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の回路。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の燃料供給回路(10、10’)を備える航空エンジン。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図2A】
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【公表番号】特表2013−506794(P2013−506794A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532646(P2012−532646)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052063
【国際公開番号】WO2011/042641
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)