説明

航空機の客室照明装置

【課題】航空機の客室照明に適した照明装置を提供する。
【解決手段】有機EL照明パネル100を航空機の客室の天井部に機体の軸線に平行な方向に配置して客室内の照明を行う。また、有機EL照明パネルを窓パネルの上部に機体の軸線に平行な方向に配置して客室照明を行う。客室照明を制御する制御システムは、中央制御装置と、中央制御装置と電力・信号ラインで結ばれる客室内の各ゾーンで区分けされた窓パネル上方に配置された有機EL照明パネル100を有し、各ゾーン内の有機EL照明パネル100の色彩を変更し、制御する機能を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Organic Electro−Luminescence)を用いた航空機客室内の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機ELパネルを発光モジュールとして搭載した有機EL照明装置が実用され始めている。
有機ELパネルは面状のパネル全体で発光し、発光に要するエネルギーも少なくて済む。また、パネルを軽量に構成することができる。
下記の特許文献1、2は有機EL照明装置を開示している。
また、有機ELを自動車等の車内照明に利用することも特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−48814号公報
【特許文献2】特開2009−164022号公報
【特許文献3】特開2008−260391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
航空機に装備される各種の機器は作動の確実性が重要であり、かつ軽量化が要求される。
航空機の客室内の照明装置も客の安全を確保する照度と、発火等の危険性を避けることが不可欠である。
また、照明装置の長寿命が航空機の運用上要求され、当然に軽量化と省エネルギー化も必要である。
本発明の目的は、上述した各種の要求を満足する有機ELを用いた航空機の客室照明装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の航空機の客室照明装置は、有機EL照明パネルを客室の天井部に機体の軸線に平行な方向に配置したものである。また、有機EL照明パネルを窓パネルの上部に機体の軸線に平行な方向に配置することもできる。
また、航空機の客室に配置される複数の有機EL照明パネルをゾーン毎に区分けして形成される有機EL照明パネルと、各有機EL照明パネルと信号線及び電力線で接続される中央制御装置とを備え、中央制御装置は、各ゾーンの有機EL照明パネル照度と色彩を調整する機能を備えることや、各ゾーンの有機EL照明パネルの照明パターンを制御する機能を備えることもできる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の航空機の客室照明装置は、有機ELパネルを天井や窓パネルの上部に配置したので、軽量かつ省電力の照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例を示す説明図。
【図2】本発明の他の実施例を示す説明図。
【図3】本発明の照明装置の制御システムを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の航空機の客室内の有機EL照明装置の実施例を示す説明図である。
全体を符号1で示す航空機の客室は、機体の床10上に通路12等が設けられ、ドア80に通ずる。パッセンジャーサービスユニット(PSU)20には中央部の座席用の手荷物収納用のビン60等が設けられる。側壁には窓パネル40が装備され、窓42を支持する。床10上には適宜の間隔で座席50が配置され、座席50の上方にはパッセンジャーサービスユニット(PSU)が、また、前方にはギャレーと客室を分離するパネル70等が設けられる。
窓パネル40の上方にも手荷物収納用のビン62が配置される。
【0009】
本発明の航空機の客室照明装置は、窓パネル40の上方のビン62とパッセンジャーサービスユニット(PSU)20の間に有機EL照明装置100を装備したものである。有機EL照明装置100は、機体中央部座席50の上部のパッセンジャーサービスユニット(PSU)20に配置することもできる。
有機EL照明装置100は、パネル状で面全体で発光するので、照明効率が良い。また、軽量であるので航空機の室内照明に適している。
本実施例にあっては、有機EL照明装置100を機体の軸線に平行な方向に配置してある。
また、照度の調節等も乗務員によって容易に行うことができる。
本実施例にあっては、有機EL照明装置100を機体の軸線に平行な方向に配置してある。
【0010】
図2は、本発明の他の実施例を示す。
本実施例では窓パネル40の上部とパッセンジャーサービスユニット(PSU)90の間に幅寸法の小さな有機EL照明装置200を装備したものである。
スペースを有効利用することが可能となり、航空機の客室の照明に適している。
また、本実施例にあっては、有機EL照明装置100を機体の軸線に平行な方向に配置してある。直接照明にかえて間接照明とすることができる。
また、有機EL照明パネルは、平面だけではなく、曲面に形成することもできるので、曲面が多い航空機の客室の内装に適したものである。
【0011】
図3は本発明の照明装置の制御システムを示す説明図である。
全体を符号300で示す制御システムは、中央制御装置310と、中央制御装置310と電力・信号ライン320で結ばれる客室内の各ゾーン410、420で区分けされた窓パネル上方に配置された有機EL照明パネル200を有する。
同様に客室内の各ゾーン510、520内の天井部に配置された有機EL照明パネル100も電力・信号ライン320により中央制御装置310に連結される。
中央制御装置310は、各ゾーン内の有機EL照明パネルの明るさを制御する機能を備える。また、この中央制御装置310は、各ゾーン内の有機EL照明パネルの色彩を変更し、制御する機能を備える。
上述した機能を備えることにより、各ゾーン毎の照度や色彩を調整することができ、乗客に対して最適な照明を提供することが可能となる。
更に、客室内全体、又は各ゾーン毎にライティングパターンを自由に設定する機能を有する。そこで、航空機周囲の状況や時間帯に応じて最適なライティングを乗客に提供することができる。
【符号の説明】
【0012】
1 航空機の客室
10 床
12 通路
20 パッセンジャーサービスユニット(PSU)
30 側壁
40 窓パネル
42 窓
50 座席
60、62 手荷物収納用ビン
70 パネル
80 ドア
90 パッセンジャーサービスユニット(PSU)
100 有機EL照明装置
200 有機EL照明装置
300 制御システム
310 中央制御装置
320 電力・信号ライン
410、420 客室内の各ゾーン
510、520 客室内の各ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の客室の座席の上部に配置される照明装置であって、
有機EL照明パネルを客室の天井部に機体の軸線に平行な方向に配置したことを特徴とする航空機の客室照明装置。
【請求項2】
航空機の客室の座席の上部に配置される照明装置であって、
有機EL照明パネルを窓パネルの上部に機体の軸線に平行な方向に配置したことを特徴とする航空機の客室照明装置。
【請求項3】
航空機の客室に配置される複数の有機EL照明パネルをゾーン毎に区分けして形成される有機EL照明パネルと、各有機EL照明パネルと信号線及び電力線で接続される中央制御装置とを備え、
中央制御装置は、各ゾーンの有機EL照明パネル照度と色彩を調整する機能を備えることを特徴とする航空機の客室照明装置。
【請求項4】
中央制御装置は各ゾーンの有機EL照明パネルの照明パターンを制御する機能を備えることを特徴とする請求項3記載の航空機の客室照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−140264(P2011−140264A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1976(P2010−1976)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000132013)株式会社ジャムコ (53)
【Fターム(参考)】