説明

航空照明用絶縁変圧器およびこれを用いた航空照明回路

【課題】航空照明用絶縁変圧器における二次側開放時における異常電圧の発生の防止を図る。
【解決手段】変圧器本体11を有する航空照明用絶縁変圧器を備え、変圧器本体11の二次側には、変圧器本体11の二次側の電圧が閾値電圧(例えば650V)を越えたときに短絡動作する異常電圧発生防止回路(電子パーツ5)が接続されている。異常電圧発生防止回路としての電子パーツ5は、変圧器本体11の二次側の電圧が閾値電圧を越えたときに短絡動作する短絡回路や変圧器本体11の二次側に発生した異常電圧が消滅したときに短絡動作を解除する復帰回路を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、航空照明用絶縁変圧器およびこれを用いた航空照明回路に係わり、特に一次側が定電流装置に接続され、二次側が灯器に接続される航空照明用絶縁変圧器およびこれを用いた航空照明回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、滑走路などの航空照明回路においては、多数個の灯器の光度を一定にして均一な見え方にする必要があるため、定電流装置を電源とした直列点灯回路が採用されている。
【0003】
このような航空照明回路においては、灯器断芯時の回路開放防止および一次側の高圧回路と二次側の低圧回路を絶縁するため、ゴム被覆絶縁変圧器を介して灯器が接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、このような航空照明回路においては、ゴム被覆絶縁変圧器の一次側には所定の定電流が流れていることから、灯器断芯などにより変圧器の二次側が開放状態になると、ゴム被覆絶縁変圧器の鉄心が磁気飽和を起こし、ゴム被覆絶縁変圧器の二次側に異常パルス電圧が出力されることになる。
【0005】
従来、このようなゴム被覆絶縁変圧器の二次側に接続される灯器としてハロゲンランプが使用されているため、ゴム被覆絶縁変圧器の変流比が1:1となっており、二次側が開放になった場合でも500Wのゴム被覆絶縁変圧器で二次側の電圧が1500V以下に抑えられるように構成されている。
【0006】
一方、近時においては、寿命が長く、低消費電力の観点からLED(Light Emitting Diode)を光源とした灯器が開発されており、かかるLEDをハロゲンランプに代えてゴム被覆絶縁変圧器の二次側に接続することが試みられている。このようなLEDから成る灯器においては、必要な電流値はハロゲンランプの1/10程度でよいことから、ゴム被覆絶縁変圧器の変流比もそれに合わせて10:1のものが開発されている。
【0007】
しかしながら、ゴム被覆絶縁変圧器の電流比が10:1になると、ゴム被覆絶縁変圧器の電圧比が1:10となるため、ゴム被覆絶縁変圧器の二次側が開放状態になった場合に発生する異常パルス電圧も従来の10倍の電圧が出力するという難点がある。そして、二次側開放時に従来の10倍の電圧が出力すると、ゴム被覆絶縁変圧器の二次側に最大で15000Vの電圧が発生することとなり、ひいてはゴム被覆絶縁変圧器の絶縁破壊や、ゴム被覆絶縁変圧器の二次側回路の絶縁破壊を引き起こす可能性があるとともに、人が触った場合に感電災害を引き起こす可能性もある。
【0008】
【特許文献1】特開平8−69707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の難点を解決するためになされたもので、航空照明用絶縁変圧器の二次側に、航空照明用絶縁変圧器の二次側の電圧が閾値電圧を越えたときに短絡動作する異常電圧発生防止回路を接続することで、二次側開放時における異常電圧の発生を防止することができる航空照明用絶縁変圧器およびこれを用いた航空照明回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様である航空照明用絶縁変圧器は、変圧器本体を備え、変圧器本体の一次側に定電流装置が、二次側に灯器が接続される航空照明用絶縁変圧器において、変圧器本体の二次側に、変圧器本体の二次側の電圧が閾値電圧を越えたときに短絡動作する異常電圧発生防止回路が接続されているものである。
【0011】
本発明の第2の態様は、変圧器本体を備え、変圧器本体の一次側に定電流装置が、二次側に灯器が接続される航空照明用絶縁変圧器において、変圧器本体の二次側に、変圧器本体の二次側の電圧が閾値電圧を越えたときに短絡動作する異常電圧発生防止回路が着脱自在に接続されているものである。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様である航空照明用絶縁変圧器において、異常電圧発生防止回路は、変圧器本体の二次側の電圧が閾値電圧を越えたときに短絡動作する短絡回路を備えるものである。
【0013】
本発明の第4の態様は、第3の態様である航空照明用絶縁変圧器において、異常電圧発生防止回路は、変圧器本体の二次側に発生した異常電圧が消滅したときに短絡動作を解除する復帰回路を備えるものである。
【0014】
本発明の第5の態様は、第1の態様乃至第4の態様の何れかの態様であるである航空照明用絶縁変圧器において、異常電圧発生防止回路は、電子パーツで構成されているものである。
【0015】
本発明の第6の態様は、第5の態様である航空照明用絶縁変圧器において、変圧器本体と灯器間を接続する二次側リード線の中間部にゴムモールド体が設けられ、ゴムモールド体に電子パーツが埋設されているものである。
【0016】
本発明の第7の態様は、第5の態様である航空照明用絶縁変圧器において、変圧器本体と灯器間にゴムモールド体が設けられ、ゴムモールド体に前記電子パーツが埋設されているものである。
【0017】
本発明の第8態様は、第6の態様または第7の態様である航空照明用絶縁変圧器において、ゴムモールド体は、常温硬化型ゴムで形成されているものである。
【0018】
本発明の第9態様は、第8の態様である航空照明用絶縁変圧器において、常温硬化型ゴムは、ウレタンゴムから成るものである。
【0019】
本発明の第10の態様である航空照明回路は、定電流装置、灯器および第1の態様乃至第9の態様の何れかの態様である航空照明用絶縁変圧器を備え、航空照明用絶縁変圧器の一次側には一次側リード線を介して定電流装置が、二次側には二次側リード線を介して灯器が接続されているものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の航空照明用絶縁変圧器およびこれを用いた航空照明回路によれば、航空照明用絶縁変圧器の二次側に、当該二次側の電圧が閾値電圧を越えたときに短絡動作する異常電圧発生防止回路を接続することで、二次側開放時における異常電圧の発生を防止することができ、ひいては航空照明用絶縁変圧器の絶縁破壊や、航空照明用絶縁変圧器の二次側回路の絶縁破壊を引き起こすおそれがなくなり、また人が触った場合に感電災害を引き起こすおそれもなくなる。また、変圧器本体の二次側に、異常電圧発生防止回路を着脱自在に接続した場合においては、当該異常電圧発生防止回路が故障した場合に異常電圧発生防止回路のみを交換することで迅速に事故に対応することができ、また、航空照明用絶縁変圧器の全体を交換せずに異常電圧発生防止回路のみの交換で事故に対応し得ることからコストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の航空照明用絶縁変圧器およびこれを用いた航空照明回路を適用した好ましい実施の形態例について、図面を参照して説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の航空照明用絶縁変圧器を用いた航空照明回路の説明図を示している。
【0022】
同図において、本発明における航空照明回路(直列点灯回路)は、滑走路などに沿って所定の間隔をおいて配置される多数個のゴム被覆絶縁変圧器から成る航空照明用絶縁変圧器1を備えており、各航空照明用絶縁変圧器1の一次側は一次側リード線L1を介して変電所内に配設された定電流装置2に直列に接続され、二次側は二次側リード線L2を介してLEDから成る灯器3に接続されている。ここで、一次側リード線L1は、後述するように、航空照明用絶縁変圧器1の一次巻線に接続される第1、第2の一次側リード線L1a、L1bと定電流装置2に接続される第3、第4の一次側リード線L1c、L1dとを備え、二次側リード線L2は、第1、第2の二次側リード線L2a、L2bを備えている。
【0023】
航空照明用絶縁変圧器1は、図2に示すように、コア(不図示)や一次、二次巻線(不図示)等をゴムモールドして成る変圧器本体11を備えており、当該変圧器本体11の一次巻線の一方の端部には第1の一次側リード線L1aが、他方の端部には第2の一次側リード線L1bがそれぞれ接続され、また、変圧器本体11の二次巻線には第1の二次側リード線L2aが接続され、当該第1の二次側リード線L2aにはゴムモールド体4を介して第2の二次側リード線L2bが接続されている。
【0024】
ここで、ゴム被覆絶縁変圧器から成る航空照明用絶縁変圧器1は、変圧器の一次側を高圧定電流回路に接続し、二次側を灯器3に接続することにより灯器3を一次側の高圧から絶縁するとともに、灯器3が断芯した場合に定電流回路が解放状態となるのを防ぐために使用されるもので、当該航空照明用絶縁変圧器1においては、二次側の電流値を小さく変成し二次側の電圧値が増大するように構成されている。また、第1、第2の一次側リード線L1a、L1bは、例えば5000V単心8mmのエチレンプロピレンゴム絶縁クロロプレンシースケーブル(以下「PNケーブル」という。)等から成り、第1の一次側リード線L1aの先端部には例えばプラグP1が、第2の一次側リード線L1bの先端部には例えばレセプタクルR1が取り付けられている。また、第1、第2の二次側リード線L2a、L2bは、例えば600V2心3.5mmのエチレンプロピレンゴム絶縁クロロプレンキャブタイヤーケーブル(以下「PNCTケーブル」という。)等から成り、第2の二次側リード線L2bの先端部にはLEDから成る灯器3を接続するためのレセプタクルR2が取り付けられている。なお、図1に示す第3、第4の一次側リード線L1c、L1dも、第1、第2の一次側リード線L1a、L1bと同様に例えば5000V単心8mmのPNケーブル等から成り、これらの第3、第4の一次側リード線L1c、L1dの先端部にもプラグ(不図示)またはレセプタクル(不図示)が取り付けられている。これらのプラグやレセプタクルを取り付けることで、直列点灯回路のPNケーブルと航空照明用絶縁変圧器1の一次側リード線L1a、L1bとの接続、またはPNケーブル相互間の接続、および航空照明用絶縁変圧器1の二次側リード線L2a、L2bと灯器3の接続をワンタッチで行なうことができる。
【0025】
一方、二次側リード線L2の中間部、すなわち第1の二次側リード線L2aと第2の二次側リード線L2bとの接続部には、正面視で紡錘形状のゴムモールド体4が設けられており、このゴムモールド体4には後述する異常電圧発生防止回路としての電子パーツ5が埋設されている。なお、電子パーツ5は、回路基板51(図4参照)上に分圧抵抗、ダイオード、ツェナーダイオードおよびサイリスタ(SCR)等の電子部品を実装したもので構成されている。
【0026】
異常電圧発生防止回路としての電子パーツ5は、図3に示すように、変圧器本体11(図2参照)の二次側の電圧を検知する電圧検知回路5aと、変圧器本体11の二次側の電圧が閾値電圧(例えば650V)を越えたときに短絡動作する短絡回路5bと、異常電圧(閾値電圧)が消滅したときに短絡動作を解除して通常状態に復帰させる復帰回路5cとを備えている。ここで、短絡回路5bは電圧検知回路5aおよび復帰回路5cに接続され、電圧検知回路5aには第1、第2の端子T1、T2が接続されている。
【0027】
図4は、航空照明用絶縁変圧器1の二次側リード線L2の中間部に設けられたゴムモールド体4の説明図を示している。
【0028】
図4(a)において、ゴムモールド体4は、例えば常温硬化型のウレタンゴムから成るモールド本体41を備えており、当該モールド本体41内には第1、第2の二次側リード線L2a、L2bの接続部6と、当該接続部6と平行に配置された異常電圧発生防止回路としての電子パーツ5が埋設されている。
【0029】
第1、第2の二次側リード線L2a、L2bの接続部6は、次のようにして形成されている。すなわち、図4(c)に示すように、先ず、第1、第2の二次側リード線L2a、L2bの対向する端部をそれぞれ段剥することでそれぞれ絶縁線心61a〜61dや導体(不図示)が露出され、露出された各導体には圧着端子(不図示)がそれぞれ圧着されている。そして、第1の二次側リード線L2aの絶縁線心61a、61bは二股に分けられた上で絶縁線心61a、61bを構成する導体(圧着端子)が電子パーツ5を構成する回路基板51に離間して設けられた第1、第2の端子T1、T2に接続される。また、第2の二次側リード線L2bの絶縁線心61c、61dは矩形状の電子パーツ5(回路基板51)の周縁を囲むように配線された上で前述と同様にして絶縁線心61c、61dを構成する導体(圧着端子)が回路基板51の第1、第2の端子T1、T2に接続される。ここで、第2の二次側リード線L2bの絶縁線心61c、61dを矩形状の電子パーツ5の周縁を囲むように配線したのは回路基板51上に存在する電子部品(不図示)に悪影響を与えないためである。
【0030】
モールド本体41は、図4(b)に示すように、断面視で略楕円状に形成することが好ましい。このように形成することで、その形状を角型にしたものに比し金型内の空間に液状のウレタンゴムを隙間なく容易に注入することができ、ひいては絶縁特性の良好なモールド本体41を提供することができる。
【0031】
ここで、ゴムモールド体4に異常電圧発生防止回路としての電子パーツ5を埋設した理由について説明する。先ず、航空照明用絶縁変圧器1は水没状態での使用も想定されているため、電子パーツ5としての短絡回路5bを含む異常電圧発生防止回路も同様な環境で使用されることを前提にして取り付け場所を選定する必要がある。次に、短絡回路5bを含む異常電圧発生防止回路は電子パーツ5で構成されているため、変圧器本体11を構成するコアに電子パーツ5を取り付けると、ゴムモールド時の熱(例えば150℃×1時間)で破損するおそれがある。このため、本発明においては、航空照明用絶縁変圧器1の二次側リード線L2の中間部に電子パーツ5を配設し、これを常温で硬化するウレタンゴムでモールドすることで電子パーツ5の破損を防止することができる。また、電子パーツ5をウレタンゴムでモールドすることで航空照明用絶縁変圧器1における水没状態での使用も可能となる。
【0032】
一方、異常電圧発生防止回路としての短絡回路5bは繰り返しの使用が可能となるように構成されており、また、異常電圧が消滅した場合は短絡動作も解除され通常状態に復帰するように構成されている。これにより、繰り返し連続使用が可能な短絡回路5bを航空照明用絶縁変圧器1の二次側リード線L2の中間部に取り付けて常温でモールド加工することで、従来のゴム被覆絶縁変圧器と同じ扱いが可能な上、異常電圧の発生を防止することができる。
【0033】
次に、本発明の航空照明回路における異常電圧発生防止回路の動作について説明する。
【0034】
先ず、定電流装置2からの出力は一次側リード線L1、航空照明用絶縁変圧器1および二次側リード線L2を介してLEDから成る灯器3に供給されている。しかして、このような航空照明回路において、LEDから成る灯器3が断芯すると航空照明用絶縁変圧器1の二次側が開放状態になることで二次側に例えば650Vを越える異常パルス電圧が出力されることになる。かかる異常パルス電圧が異常電圧発生防止回路としての電圧検知回路5aで検知されると、異常電圧発生防止回路としての短絡回路5bが動作して二次側が短絡されることになる。また、短絡回路5bの短絡動作により二次側に発生した異常電圧(閾値電圧)が消滅すると、復帰回路5cにより短絡動作が解除して通常状態に復帰する。これにより、航空照明用絶縁変圧器1の二次側開放時の異常電圧の発生が防止されることになる。
【0035】
以上のように、本発明の航空照明用絶縁変圧器1およびこれを用いた航空照明回路によれば、変圧器本体11の二次側に異常電圧発生防止回路(電子パーツ5)が接続されていることから、変圧器本体11の二次側の電圧が閾値電圧を越えたときに異常電圧発生防止回路の短絡回路5bが短絡動作することで変圧器本体11の二次側に発生した異常電圧を消滅させることができ、また、異常電圧発生防止回路に復帰回路5cを搭載した場合には、短絡動作を解除する復帰回路5cが動作することで、通常状態に復帰させることができる。従って、本発明の航空照明用絶縁変圧器1およびこれを用いた航空照明回路によれば、航空照明用絶縁変圧器1の絶縁破壊や、航空照明用絶縁変圧器1の二次側回路の絶縁破壊を引き起こすおそれがなくなり、また人が触った場合に感電災害を引き起こすおそれもなくなる。
[実施例2]
図5は、本発明の他の実施例における航空照明用絶縁変圧器の正面図、図6は同航空照明用絶縁変圧器の二次側に着脱自在に接続されるゴムモールド体の説明図を示している。なお、図5、図6において、図1乃至図4と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0036】
図5、図6において、この実施例においては、図2に示す第1の二次側リード線L2aに代えて、先端部に例えばレセプタクルR3が取り付けられた第1の二次側リード線L2a´が変圧器本体11の二次巻線(不図示)に接続されている。また、図2、図4に示すゴムモールド体4に代えて、入力側に例えばプラグP2が取り付けられ、出力側にLEDから成る灯器3(図1参照)を接続するためのレセプタクルR4が取り付けられたゴムモールド体4´が第1の二次側リード線L2a´に着脱自在に接続されている。ここで、第1の二次側リード線L2a´とゴムモールド体4´との接続部分には例えば自己融着性絶縁テープの巻回およびポリ塩化ビニルテープの巻回により防水処理を施すことが好ましい。このような防水処理を施した場合には、航空照明用絶縁変圧器の水没状態での使用も可能になる。
【0037】
なお、第1の二次側リード線L2a´としては、第1の二次側リード線L2aと同様に、例えば600V2心3.5mmのPNCTケーブルが使用される。図6中、符合7a〜7dは絶縁線心61a〜61dの導体、8a〜8dは圧着端子を示している。
【0038】
この実施例においては、第1の二次側リード線L2a´のレセプタクルR3にゴムモールド体4´のプラグP2をワンタッチで接続することで、変圧器本体11の二次側(第1の二次側リード線L2a´)に、異常電圧発生防止回路(ゴムモールド体4´)を着脱自在に接続することができる。
【0039】
従って、この実施例によれば、第1の実施例と同様の作用効果に加え、異常電圧発生防止回路(電子パーツ5)が故障した場合に当該異常電圧発生防止回路(電子パーツ5)のみを交換することで迅速に事故に対応することができ、また、航空照明用絶縁変圧器の全体を交換せずに異常電圧発生防止回路(電子パーツ5)のみの交換で事故に対応し得ることからコストの低減を図ることができる。
[実施例3]
図7は、本発明の他の実施例における航空照明用絶縁変圧器の正面図を示している。なお、同図において、図1乃至図5と共通する部分には同一の符合を付して詳細な説明を省略する。
【0040】
この実施例においては、図5に示すゴムモールド体4´に代えて、入力側に第1の二次側リード線L2a´と同種の構成のリード線L3aを介して例えばプラグP3が取り付けられ、出力側に第1の二次側リード線L2a´と同種の構成の他のリード線L3bを介してLEDから成る灯器3(図1参照)を接続するためのレセプタクルR5が取り付けられたゴムモールド体4´´が第1の二次側リード線L2a´に着脱自在に接続されている。なお、第1の二次側リード線L2a´とゴムモールド体4´´との接続部分には第2の実施例と同様に防水処理を施すことが好ましい。
【0041】
この実施例においても、第1の二次側リード線L2a´のレセプタクルR3にゴムモールド体4´´のプラグP3をワンタッチで接続することで、変圧器本体11の二次側(第1の二次側リード線L2a´)に、異常電圧発生防止回路(ゴムモールド体4´´)を着脱自在に接続することができる。
【0042】
従って、この実施例においても、第1の実施例と同様の作用効果に加え、異常電圧発生防止回路(電子パーツ5)が故障した場合に当該異常電圧発生防止回路(電子パーツ5)のみを交換することで迅速に事故に対応することができ、また、航空照明用絶縁変圧器の全体を交換せずに異常電圧発生防止回路(電子パーツ5)のみの交換で事故に対応し得ることからコストの低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
前述の実施例においては、図面に示した特定の実施の形態をもって本発明を説明しているが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、次のように構成してもよい。
【0044】
第1に、前述の実施例においては、ゴムモールド体4を常温硬化型のウレタンゴムで形成しているが常温硬化型のシリコ−ンゴムで形成してもよい。
【0045】
第2に、前述の実施例においては、一次側リード線L1として5kVのPNケーブルを使用しているが3kVのPNケーブルを使用してもよい。
【0046】
第3に、前述の実施例においては、閾値電圧を650Vにしているが、当該閾値電圧はこれに限定されず例えば450Vとしてもよい。
【0047】
第4に、前述の第2、第3の実施例においては、第1の二次側リード線L2a´の先端部にレセプタクルR3を取り付け、ゴムモールド体4´、4´´の入力側にプラグP2、P3を取り付けているが、第1の二次側リード線L2a´の先端部にプラグを取り付け、ゴムモールド体4´、4´´の入力側にレセプタクルを取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の航空照明用回路の一例を示す説明図。
【図2】本発明の航空照明用絶縁変圧器の一例を示す正面図。
【図3】本発明の異常電圧発生防止回路(電子パーツ)のブロック構成図。
【図4】本発明の航空照明用絶縁変圧器の二次側に設けられたゴムモールド体の説明図で、分図(a)は正面図、分図(b)は側面図、分図(c)は上面図。
【図5】本発明の航空照明用絶縁変圧器の他の例を示す正面図。
【図6】図5に示す航空照明用絶縁変圧器の二次側に接続されるゴムモールド体の説明図で、分図(a)は正面図、分図(b)は側面図、分図(c)は上面図。
【図7】本発明の航空照明用絶縁変圧器の他の例を示す正面図。
【符号の説明】
【0049】
1・・・航空照明用絶縁変圧器
11・・・変圧器本体
2・・・定電流装置
3・・・灯器
4、4´、4´´・・・ゴムモールド体
5・・・異常電圧発生防止回路(電子パーツ)
5a・・・電圧検知回路
5b・・・短絡回路
5c・・・復帰回路
L1・・・一次側リード線
L2・・・二次側リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変圧器本体を備え、前記変圧器本体の一次側に定電流装置が、二次側に灯器が接続される航空照明用絶縁変圧器において、
前記変圧器本体の二次側に、前記変圧器本体の二次側の電圧が閾値電圧を越えたときに短絡動作する異常電圧発生防止回路が接続されていることを特徴とする航空照明用絶縁変圧器。
【請求項2】
変圧器本体を備え、前記変圧器本体の一次側に定電流装置が、二次側に灯器が接続される航空照明用絶縁変圧器において、
前記変圧器本体の二次側に、前記変圧器本体の二次側の電圧が閾値電圧を越えたときに短絡動作する異常電圧発生防止回路が着脱自在に接続されていることを特徴とする航空照明用絶縁変圧器。
【請求項3】
前記異常電圧発生防止回路は、前記変圧器本体の二次側の電圧が閾値電圧を越えたときに短絡動作する短絡回路を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の航空照明用絶縁変圧器。
【請求項4】
前記異常電圧発生防止回路は、前記変圧器本体の二次側に発生した異常電圧が消滅したときに前記短絡動作を解除する復帰回路を備えることを特徴とする請求項3記載の航空照明用絶縁変圧器。
【請求項5】
前記異常電圧発生防止回路は、電子パーツで構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4何れか1項記載の航空照明用絶縁変圧器。
【請求項6】
前記変圧器本体と前記灯器間を接続する二次側リード線の中間部にゴムモールド体が設けられ、前記ゴムモールド体に前記電子パーツが埋設されていることを特徴とする請求項5記載の航空照明用絶縁変圧器。
【請求項7】
前記変圧器本体と前記灯器間にゴムモールド体が設けられ、前記ゴムモールド体に前記電子パーツが埋設されていることを特徴とする請求項5記載の航空照明用絶縁変圧器。
【請求項8】
前記ゴムモールド体は、常温硬化型ゴムで形成されていることを特徴とする請求項6または請求項7記載の航空照明用絶縁変圧器。
【請求項9】
前記常温硬化型ゴムは、ウレタンゴムから成ることを特徴とする請求項8記載の航空照明用絶縁変圧器。
【請求項10】
定電流装置、灯器および請求項1乃至請求項9何れか1項記載の航空照明用絶縁変圧器を備え、前記航空照明用絶縁変圧器の一次側には一次側リード線を介して前記定電流装置が、二次側には二次側リード線を介して前記灯器が接続されていることを特徴とする航空照明回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−9939(P2009−9939A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142720(P2008−142720)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(306013120)昭和電線ケーブルシステム株式会社 (218)
【Fターム(参考)】