説明

船舶におけるCPVCパイプ、金具および管状導管

船舶(100)は、廃水管理システム(102)の一部であるパイプおよび管状流体導管を備える。廃水管理システムは、下水または生活雑排水の少なくとも一方を輸送するのに使用されるCPVC配管(104)を備える。CPVC配管は、国際海事機関により規定された少なくとも1つの耐火性試験に適合する。さらにまたはあるいは、CPVC配管は、IMO A.653(16)に規定された少なくとも1つの試験に適合する。本明細書では、船舶での廃水の適用における塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)配管の使用について、より詳細に説明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国特許分類クラス138に分類され得る金具(fitting)、パイプ、および管状導管に関する。
【背景技術】
【0002】
水道全体を浄化することが、多くの管理機関にとって優先事項になっており、陸上または海上で事業を行う者に厳格な環境規制が課されている。船舶用途では、かなりの量の廃水が発生し得る。船舶用途で発生する廃水は、水質や環境全体に有害な影響を与える可能性のある、糞便大腸菌群、クリプトスポリジウムおよびジアルジア属、浮遊物等の汚染物質を含み得る。このため、種々の汚物処理方法、装置、およびシステムを使用して、廃水に関連する環境上の影響を低減している。汚物処理方法の例として、物理的/化学的分離方法、生物学的処理方法、および電解処理方法がある。
【0003】
物理的/化学的分離は、液状廃棄物を化学的に(例えばNaOClのCl)処理して、許可された場合に汚水を船外へ汲み出すフロースルーデバイスを要する。スクリーンにより固体が液体から分離された後、浸軟されて貯蔵部に移送され、非制限領域で放出される。このプロセスは、有害化学物質の輸送、貯蔵、および取扱いを伴う。また、このプロセスは、比較的大きな設置面積と、機器の定期的な手動洗浄とを必要とする。
【0004】
生物学的処理は、酸素と自然に蒸解した廃棄物とがあるところで、廃棄物を食べる微生物(細菌集落)を使用することを伴う。大きな回収タンクが廃水を受けて曝気し、不活性スラッジを有する余分な/死んだ微生物が沈殿により分離される。プロセスにより浄化された液体が、一般に、有害化学物質により消毒されて、許可された場合に排出される。このプロセスは、完了までに約30時間かかり、比較的大きな設置面積を必要とする。機器も重くなる傾向があり、低流量または停止の期間には、ある影響種の導入により、細菌集落が破壊され得る。細菌の破壊により汚水が腐敗し、硫化水素やメタン等の有毒ガスを生成する。
【0005】
電解処理システムは、汚水を海水と混合して電解槽中を流れるようにする。直流電流が海水を電解して酸化物(一般に次亜塩素酸ナトリウム)を生成し、この酸化物が有機材料を酸化して、病気を運ぶ病原菌を全滅させる。しかし、船舶の廃水管理に関連する規格がますます難しくなっているため、廃水管理方法/装置/システムの改良が望まれる。
【0006】
船や海上掘削プラットフォーム等の海上船舶における下水(black water)および生活雑排水(grey(gray) water)のドレン管路は、通常、ステンレス鋼または高価な金属合金から形成される。このようなドレン管路が動作する環境は、腐食性が非常に高い。耐食性の金属を使用しても、このようなドレン管路を、腐食のため3〜5年で頻繁に交換しなければならない。この交換には費用が掛かり、システムのメンテナンスを行うための金属加工工具が必要となる。
【0007】
使用する金属配管システムは、高価で重い。金属システムの重量により、船舶に搭載可能な「ペイロード」重量が小さくなる。通常のプラスチック配管は、適用可能な規格の炎および煙の要件を満たさないため、金属配管システムが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
船舶で下水および生活雑排水を取扱い可能な、より軽量で、耐食性のある配管システムを有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下は、主題の簡単な概要であり、これについては本明細書でさらに詳細に説明する。この概要は、特許請求の範囲に関して限定されるものではない。
【0010】
本明細書では、限定されないが、船、海上プラットフォーム、その他の船舶を含む船舶に関連する種々の技術について説明する。特に、本明細書では、船舶での廃水の適用における塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)配管の使用について、より詳細に説明する。例えば、CPVC配管を、船舶においてドレン、廃棄物、およびベント(DWV)の適用に使用することができる。さらに、CPVC配管を圧力金具と関連して使用することができる。さらに、CPVC配管を、船舶での生活雑排水の輸送および下水の輸送に関連して使用することができる。生活雑排水はドレン(シンクおよびシャワーを含む)から受ける廃水とすることができ、下水は衛生廃棄物を含むことができる。
【0011】
船舶のCPVC配管は、種々の継手、金具、接合部等を含むことができる。CPVC配管の一部を、接着剤、化学結合および/または機械的結合により接合することができる。CPVC配管を使用して、限定されないが、物理的/化学的分離システム、生物学的処理システム、および電解処理システムを含む適切な水処理システムおよび/または濾過システムに、廃水(下水および生活雑排水)を輸送することができる。
【0012】
本明細書で説明されるCPVC配管は、非金属配管について国際海事機関(IMO)により規定された規格に一致し得るものであり、さらにIMOにより規定された燃焼試験手順および規格に一致し得るものである。本明細書で説明されるCPVC配管は、耐衝撃性で、比較的軽量であり、耐食性で、加圧流の適用および真空流の適用の両方に使用することができる。ドレンの設定で使用するとき、CPVC配管は、スケジュール40またはスケジュール80に一致する壁幅を有することができる。生活雑排水を輸送するのに使用するときのCPVC配管の直径は、一般に、0.5〜8インチとすることができ、下水を輸送するのに使用するときのCPVC配管の直径は、一般に、1〜8インチとすることができるが、24インチ以下または24インチ超としてもよい。
【0013】
添付の図面および説明を読んで理解すれば、他の態様がわかるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、CPVC配管を有する廃水管理システムを備えた船舶のブロック図である。
【図2】図2は、船舶で下水を輸送するのに使用されるCPVC配管を示すブロック図である。
【図3】図3は、船舶で生活雑排水を輸送するのに使用されるCPVC配管を示すブロック図である。
【図4】図4は、CPVC DWV金具に接続されたCPVCパイプを有するCPVC配管システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下で、船舶でCPVC配管を使用して廃水を輸送することに関連する種々の技術について、図面を参照しながら説明する。同一の参照符号は、全体を通じて同一の要素を示す。さらに、説明の目的で、システムの例を示す複数の機能的なブロック図が、本明細書で例示され記載される。
【0016】
図1を参照すると、船舶100のブロック図が示される。船舶100は、船、石油プラットフォーム等のプラットフォーム、その他の海上構造とすることができる。船舶100は廃水システム102を備え、この廃水システム102は、配管、フィルタ、および/または処理システムを備えることができる。廃水システム102が備えることのできる処理システムの例として、物理的/化学的分離システム、生物学的処理システム、および電解処理システムがある。
【0017】
CPVC配管104を備える廃水システム102を使用して、船舶100の第1の位置から船舶100の第2の位置へ廃水を輸送する。例示的な実施形態では、CPVC配管104が、流体連通する複数の流体パイプ長を有する配管システムであるか、またはこのような配管システムを含むことができる。パイプ長は、塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)組成物から形成される。本明細書で使用される「CPVC組成物」、「CPVCパイプ」、および「CPVC配管」という用語は、CPVC組成物、CPVCパイプ、およびCPVC配管が、CPVCポリマーの連続相を有することを意味することができる。CPVCポリマーは、ポリマー成分の50体積%超、好ましくは70%超、より好ましくは80%超がCPVCである。他のポリマーをCPVCポリマーと組み合わせて、耐衝撃性、流動性増加、その他の特性を高めることができるが、このような他のポリマーは、通常、約5〜15重量%と少量使用することができる。CPVC配管104のセルクラス定格は、24448または23447とすることができる。
【0018】
CPVC配管104は、パイプ、金具、システム継手、内側および/または外側ライナ、カバー、被覆等を含むことができる。CPVC配管104の継手は、接着剤による結合、化学結合、積層、溶接等を含む、パイプを接合するための適切な方法を有する。例えば、継手は、参照により全体が本明細書に組み込まれている、2006年8月16日に出願した米国特許出願公開第2007/0205004号「SYSTEM AND METHOD OF ASSEMBLY OF CPVC FIRE SPRINKLER SYSTEM EMPLOYING MECHANICAL COUPLINGS AND SUPPORTS(機械的結合および支持部を使用するCPVC火災用スプリンクラーシステムの組立システムおよび方法)」に記載された機械的結合等の、パイプ間の機械的結合を有することができる。金具は、CPVCで形成されたベンド、エルボ、加工された分岐片等を含むことができる。
【0019】
一例では、CPVC配管104を、船舶100でドレン、廃棄物、および/またはベント(DWV)の適用に使用することができる。さらに、CPVC配管104を、船舶100で下水(衛生廃棄物)および生活雑排水(シンク、シャワー等からの廃水)を輸送するために使用することができる。CPVC配管104を、特定の色または一連の色になるように製造してもよい。したがって、下水を輸送するために使用するCPVC配管を第1の色に着色し、生活雑排水を輸送するために使用するCPVC配管を第2の色に着色することができる。ASTM D3311、ドレン、廃棄物およびベント(DWV)プラスチック金具パターンの標準規格に適合するCPVC DWVパターン金具、下水および生活雑排水を取り扱う海上プラットフォーム、船およびその他の海上浮遊構造物を使用する本発明は、燃焼試験手順、1998(FTPコード)「Test for Surface Flammability(表面燃焼性試験)」を適用するIMO国際コードの要件を満たす。このコードは、隔壁、天井、およびデッキの仕上げ材料の表面燃焼性についての燃焼試験手順改良に関するIMO決議A.653(16)の勧告に言及するものであり、配管材料は、隔壁、壁、および天井ライニングと同一基準に保持される。CPVC配管にインクまたは被覆で印を付けて、パイプ源、好ましい使用、および/または、ある必要な試験に通ったことを示すためにパイプが保持する証明書を明記することができる。
【0020】
本発明のCPVC配管に特に望ましい金具は、参照により全体が本明細書に組み込まれている、米国特許第7,178,557号に記載されたCPVC DWV金具である。このような金具の孔は、1フィートの長さにつき少なくとも0.25インチ変化するピッチを有する。この先細の孔は、輸送される下水または生活雑排水が完全に排出されるようにするものである。金具について、図4に関連して以下でさらに説明する。一実施形態では、DWV金具をスケジュール40または80の寸法にして(主に金具の壁厚さを調節して)スケジュール40または80のパイプに対応させ、DWVピッチの要件に適合させる。スケジュール40または80の寸法を金具とパイプとの両方で一致させたことにより、下水または生活雑排水が確実に完全に排出される。
【0021】
CPVCパイプを接合する共通の手段により、直状パイプを前記金具に接続することができる。金具をパイプに接合する最も好ましい方法は、溶剤セメントを使用することである。溶剤セメントは、通常、適切な溶剤または溶剤の混合物にCPVC樹脂を溶解することにより作られる。このようなタイプの溶剤セメントは市販されているので、本明細書ではさらに説明しない。
【0022】
例に従って、CPVC配管104は、海上配管システム、耐火性、燃焼性等について、国際海事機関(IMO)により課された規格に一致することができる。すなわち、CPVC配管104は、IMO A.735に記載された規格および試験手順、ならびにIMO A.653に記載された規格および試験手順に一致することができる。
【0023】
CPVC配管104は、圧力、温度、CPVC配管104の重量、および廃水システム102の一部により加えられる静荷重または動荷重が厳密に一致した状態を考慮するのに十分な強度を有することができる。CPVC配管104の適切な頑強さを確保するために、このようなCPVC配管104は、事前に定義された最小壁厚さを有して、船舶100で使用されるCPVC配管104の適切な強度を確保することができる。CPVC配管104の壁厚さは、CPVC配管104の予想される取扱い、CPVC配管104の輸送、CPVC配管104に関連する作業員の出入り等に少なくとも部分的に基づいて選択することもできる。例えば、CPVC配管104の少なくとも一部の壁厚さは、スケジュール80(壁厚さの指標)に一致することができる。したがって、例えば、CPVC配管104のドレンは、スケジュール80に一致する壁厚さを有することができる。別の例では、CPVC配管104のすべての配管が、スケジュール80またはスケジュール40に一致する壁厚さを有することができる。
【0024】
前述したように、CPVC配管104は、金具、継手等を含むことができる。金具、継手、および接合方法は、CPVC配管104のパイプに課された性能規格に適合することができる。
【0025】
CPVC配管104は、ある量の内圧を取り扱うように設計され得る。例えば、CPVC配管104は、動作状態で予想される最大作動圧力以上の内圧に対して、あるいはCPVC配管104に対応する安全弁または圧力除去デバイスの最大設定圧力に対して設計され得る。CPVC配管104のパイプの内圧定格は、短期静水圧試験破損圧力を安全率4で割ることにより、または長期(例えば、10万時間超)静水圧試験破損圧力を安全率2.5で割ることにより、どちらが小さい場合でも、判定することができる。試験破損圧力は、実験的に、または試験方法と計算方法との組合せにより確認することができる。
【0026】
また、CPVC配管は、ある量の外圧を取り扱うように設計され得る。外圧は、CPVC配管104の一部の内側に真空状態が存在するとき、または液体のヘッドがCPVC配管104の一部の外側に作用するときに考慮され得る。CPVC配管104は、パイプ外側の液体の最大位置ヘッドと真空(1バール)との合計以上の外圧に対して設計され得る。CPVC配管104のパイプの外圧定格は、崩壊試験圧力を安全率3で割ることにより判定することができる。崩壊試験圧力は、実験的に、または試験方法と計算方法との組合せにより確認することができる。
【0027】
CPVC配管104に関連する軸方向強度に対し、圧力、重量、ならびにその他の動荷重および支持荷重による長手方向応力の合計が、長手方向の許容される応力を超えないように、CPVC配管104を設計することができる。さらに、熱膨張、収縮、および外部荷重を考慮に入れて、CPVC配管104を製造/設置することができる。
【0028】
CPVC配管104は、最高加工温度が、CPVCの樹脂の最低熱変形温度(ISO 75の方法Aまたは等価な方法により判定された)より少なくとも20℃低くなるように製造される。CPVCの最低熱変形温度は、少なくとも80℃とすることができる。
【0029】
さらに、CPVC配管104は、適用可能な規格に一致するような耐衝撃性を有することができる。
【0030】
さらに、CPVCは、限定されないが、紫外線、塩水への暴露、温度、湿度等を含む環境影響に抵抗することができる。したがって、これらその他の環境影響によって、CPVC配管104の機械的および物理的特性が、IMOガイドラインに適合するのに必要な値を下回るまで劣化することはない。例えば、当業者がよく理解するように、CPVC配管104を廃水システム102で使用する前に、種々の物質に対する耐性について、実験室での老化試験をCPVC配管104に対して行うことができる。
【0031】
設計荷重がかなりの環状成分または変動成分を組み込む適用において、CPVC配管104の設置中に、CPVC配管104の疲労を考慮することができる。
【0032】
さらに、CPVC配管104は、耐侵食性があるものとすることができる。例えば、CPVC配管104内の流体が高流速で移動しているとき、研磨特性を有するとき、および/または不連続の流路により過度の乱流が発生するときに、起こり得る侵食の影響を考慮することができる。例えば、CPVC配管104の壁の厚さをこのような環境で増加させることができ、ライナを追加することができる等。
【0033】
また、CPVC配管104は、CPVC配管104による流体の吸収によって、CPVP配管104の機械的および物理的特性が、関連する規格が必要とするものよりも低くなるまで低下することがないように構成される。CPVC配管104は、このような配管104により運ばれる流体が、配管104の壁を透過しないように構成される。例えば、CPVC配管104を廃水システム102で使用する前に、CPVC配管104に対して、輸送する流体による劣化についての試験を行うことができる。
【0034】
CPVC配管104は、これにより運ばれる流体、または配管104が浸漬される流体と相溶性があるように構成され、CPVC配管104の設計強度が適切な規格よりも低くなるまで劣化することがない。
【0035】
さらに、CPVC配管104は、IMOにより規定された耐火性要件を満たす。配管システムの耐火性とは、予想された状態を反映する炎に晒されながら、その強度および完全性(例えば、意図した機能を果たすことができる)を所定時間維持することができる能力である。CPVC配管104は、耐火性の3つの異なるレベルの少なくとも1つに一致することができる。例えば、CPVC配管104は、耐火性の最高レベルに一致することができ、全規模の炭化水素火災の間、CPVC配管104の完全性を確保する。したがって、CPVC配管104を使用して引火性液体を運ぶことができる。別の例では、CPVC配管104が第2の耐火性規格に一致することができ、短い火災時間の後、船舶100の安全動作に不可欠なシステムでCPVC配管104を使用できるようになっており、消火後に廃水システム102を回復することができる。さらに別の例では、CPVC配管104が耐火性の第3のレベルに一致することができる。このような第3のレベルは、水の入った配管システムに必要な耐火性を提供して、短時間の局所的な火災に耐えるように考慮され、消火後にCPVC配管104の機能を回復することができる。
【0036】
CPVC配管104の耐火性に関連するさらなる詳細によれば、レベル1の耐火性は、船舶100の安全に不可欠な、機械空間外側の配管システムの規格であり、ここでは完全性がないため、引火性液体を流出させ、火災状況を悪化させ得る。したがって、CPVC配管104は、乾燥状態で完全性を損なうことなく、長時間の十分に広がった炭化水素火災に耐えるように設計され得る。例えば、乾燥状態で完全性を損なうことなく1時間の間、IMO(後述する)により規定された第1の耐火性試験に通るように、CPVC配管104を構成することができる。
【0037】
さらに、CPVC配管104を、レベル2の耐火性規格に適合するように構成することができる。これにより、消火後にCPVC配管104の機能を回復する能力を失うことなく耐火性を有するように、CPVC配管104を設計することができる。したがって、CPVC配管104は、乾燥状態で少なくとも30分間、IMOにより規定された耐火性試験に通ることができる。
【0038】
さらに、CPVC配管104を、レベル3の耐火性規格に適合するように構成することができる。これにより、消火後にCPVC配管104の機能を回復する能力を失うことなく耐火性を有するように、CPVC配管104を設計することができる。したがって、湿潤状態で少なくとも30分間、異なる耐火性試験に通るように、CPVC配管104を構成することができる。
【0039】
廃水システム102で使用されるCPVC配管104は、パイプに合わせて変更された、IMO A.653(16)により規定された試験手順に示された火炎(frame)拡散特性が低くなり得る。
【0040】
CPVC配管104は、静電気拡散性を有していてもよい。これにより、CPVC配管104を、有害な領域を通して使用することができる。すなわち、CPVP配管104の配管、ベンド、エルボ、加工された分岐片等の単位長さ当たりの抵抗が1×10Ω/mを越えず、地面からCPVC配管104の任意の点までの抵抗が1×10Ωを越えない。CPVC配管104のパイプおよび金具は、静電気拡散性材料で外面を被覆することにより静電気拡散性を有することができる。
【0041】
さらに、場合によって、CPVC配管104の1つまたは複数の部分に防火被覆を施して、前記耐火性規格に適合することができる。このような場合、CPVC配管は、防火被覆を適当な位置に施した状態で、製造者から供給される。この場合には、防火被覆を現場で施すと、設置のために必要なもの(例えば、継手)が限定されてしまう。別の例では、防火被覆を現場で施すことができる。防火被覆を使用するときに、被覆の液体吸収特性を考慮することができ、被覆が塩水、油、またはビルジスロップに晒されても、被覆の防火特性が弱まることのないようになっている。さらに、CPVC配管104に施すことのできる防火被覆は、紫外線、塩水への暴露、温度および湿度等の長期の環境影響により劣化することがない。防火被覆は、熱膨張、耐振動性、および弾性により劣化することもない。さらに、CPVC配管104に施される被覆は、フレーキング、チッピング、または粉化を受けることがない。さらに、CPVC配管104に施される防火被覆は、例えば、IMOに規定される最小衝撃抵抗要件を満たすことができる。
【0042】
CPVC配管104を、適切な規格に適合するように製造することができる。例えば、CPVC配管104は、ISO 9001「Quality systems - Model for quality assurance in design/development, production, installation and servicing(高品質のシステム−設計/開発、製造、設置および整備における品質保証のためのモデル)」、または等価の規格に適合することができる。また、CPVC配管104の寸法および公差は、承認された規格に一致することができる。
【0043】
CPVC配管104の配管および金具に、承認された規格に従って識別の印を(例えば、永久的に)付ける。印は、圧力定格、パイプまたは金具がそれに従って製造される設計規格、およびパイプまたは金具が製造される材料システムを含む。さらに、CPVC配管104のパイプの各長さを、製造者の製造施設で試験して、静水圧がパイプの定格圧力の1.5倍以上となるようにする。
【0044】
廃水システム102におけるCPVC配管104の設置に関して、パイプ支持部の選択および間隔を、許容できる応力および最大偏差基準の関数として決定することができる。CPVC配管104の支持部の間隔は、製造者により設けられる推奨間隔を超えないようにする。支持されるパイプの寸法、パイプの機械的および物理的特性、パイプおよび含まれる流体の質量、CPVC配管104が受け得る力、水撃作用、振動、最大加速度、ならびに支持部のタイプに少なくとも部分的に基づいて、CPVC配管104の支持部を選択し、配置することができる。
【0045】
各支持部は、パイプの荷重やその内容物を支持部の全幅にわたって均一に分配することができ、摩耗および摩滅を最小にするように設計され得る。さらに、弁や伸縮接合部等の、廃水システム102内の重い部品を独立して支持することができる。さらに、設置時に各パイプラインに適切な対策を行って、CPVCで形成されたパイプと他のタイプの配管(例えば、鋼)と間の相対移動を考慮したものとすることができる。例えば、熱膨張係数の差ならびに船の船体および/または構造の変形を考慮することができる。熱膨張を計算するときに、システム動作温度と、組立を行う温度とを考慮することができる。
【0046】
場合によっては、廃水システム102における一時的な点荷重を考慮に入れることができ、これは少なくとも100kgの荷重(人)により、外径が100mm超のパイプの中央で加わる力を含むことができる。
【0047】
前述したように、CPVC配管104のパイプを、接着剤結合、フランジ付け、または機械的に結合された継手を使用して、結合することができる。接着剤を使用するとき、このような接着剤は、意図した適用の温度および圧力範囲を通してパイプと金具との間を永久的に密閉するのに適したものとすることができる。フランジ付けまたは機械的に結合された継手の締付けは、製造者の指示に従って行うことができる。
【0048】
CPVCパイプを接合するために使用される技術は、MSC/円形449等の定義された規格に従ったものとすることができ、これは、製造者の設置ガイドライン、IMO決議A.753(18)4.4.5および4.4.6、ASME B31.3に従って製造すること、このような作業を行う作業員が、権威ある機関を満足させる資格を有すること、および船上配管設置の開始前に各結合手順が適格とされることを必要とする。
【0049】
CPVC配管104の設置後、システムの設計圧力の1.0倍以上で、CPVC配管104の圧力試験を行うことができる。CPVC配管104が必須ではないサービスに使用されるとき、CPVC配管104の動作状態で漏れを調べることができる。
【0050】
場合によっては、船舶100が海上にあるときに、CPVC配管104の一部の修理が必要になることがある。したがって、必要な材料および工具を船舶100上に配置することができる。CPVC配管104の修理は、元の配管と同一の機械的および物理的特性を呈することができる。
【0051】
再び耐火性に戻り、耐火性のレベルを確立するための試験例について説明する。CPVC配管104を、このような試験の1つまたは複数に適合するように構成することができる。
【0052】
試験1
試験1は、十分に広がった液体の炭化水素火災の際に発生する可能性のある、高速で温度上昇する加熱炉試験である。加熱炉の時間/温度は以下の通りとすることができる。
【0053】
5分後:945℃、
10分後:1033℃、
15分後:1098℃、
60分後:1100℃。
加熱炉の精度は以下の通り制御することができる。試験の最初の10分間は、平均加熱炉温度の曲線下の領域は、±15%より多く変化しない。試験の最初の30分間は、平均加熱炉温度の曲線下の領域は、標準曲線下の領域の±10%よりも多く変化しない。試験の最初の30分より後の期間は、平均加熱炉温度の曲線下の領域は、標準曲線下の領域の±5%よりも多く変化しない。試験の最初の10分より後のどの時点でも、平均加熱炉温度は、標準曲線と±100℃より大きく異なることはない。
【0054】
試験試料を、提案された適用で使用するための継手および金具により作成することができる。試料の数は、非金属および金属のパイプと使用する金具との間の継手を含む、一般的な継手および金具を試験するのに十分な数とすることができる。試料の端部を閉鎖することができる。端部の一方により、加圧された窒素を接続することができる。パイプ端部および閉鎖部が、加熱炉の外側にあってもよい。試料の大まかな向きは水平で、1つの固定支持部と、自由移動を可能にする残りの支持部とにより支持可能である。支持部間の自由長は、パイプ直径の8倍よりも小さくならないようにする。試験に通るために、CPVC配管104を、カバーを含み得る断熱材を有して構成することができる。試験手順は、断熱材およびカバーを含み得る。
【0055】
断熱材が水分を含むか、または水分を吸収しやすい場合、断熱材が空気乾燥状態になるまで、試料の試験を行わない。空気乾燥状態は、20±5℃で50%の相対湿度の周囲雰囲気を有する平衡状態として定義される。水分量を判定するために特別なサンプルを使用することができ、このサンプルを試験試料により調整することができる。同様の厚さおよび露出面を有することにより試料からの水蒸気の損失を表すように、これらのサンプルを構成することができる。
【0056】
試験中、試験試料内部の窒素圧力を、0.7±0.1バールに自動的に維持することができる。漏れを示すために、パイプ内の圧力および試料内外への窒素流を記録することができる。
【0057】
試験中、サンプルからの窒素漏れは生じない。加熱炉試験の終了後、試験試料および防火被覆(ある場合)は、静止空気中で周囲温度まで冷却され、その後、前述したようにパイプの定格圧力まで試験される。圧力は、最低15分、漏れることなく保持される。静水圧試験をベアパイプで行うことができる。
【0058】
試験2
試験2は、水の入った配管の耐火性についての試験方法である。高速で温度上昇するプロパンの複数バーナ試験を使用することができる。直径152mmまでの配管について、火源は5つのバーナ2列から構成することができる。平均して113.6kW/m(±10%)の一定の熱流束を、バーナアレイの中心線から12.5±1cm上方で維持することができる。この流束は、65kWの総熱発生率で5kg/hの燃料流速を有する、プロパンの予混合炎に対応することができる。一定の熱流束を維持するために、ガス消費量を少なくとも±3%の精度で測定することができる。最低95%の純度のプロパンを使用することができる。
【0059】
直径152mmよりも大きい配管について、パイプ直径が51mm増加するごとに、バーナの列を追加することができる。平均して113.6kW/m(±10%)の一定の熱流束を、バーナアレイの中心線から12.5±1cm上方で維持することができる。指定された熱流束を維持する必要に応じて、燃料流を増加することができる。
【0060】
バーナは、空気混合炎を生成する「シーベルトNo.2942」または等価のタイプとすることができる。バーナヘッドの内径は29mmとすることができる。バーナヘッドを同一面に取り付けて、マニホルドからガスを供給することができる。必要であれば、各バーナに、炎の高さを調節する弁を設けてもよい。
【0061】
バーナスタンドの高さは調節可能とすることができ、試験パイプの中央下方に、パイプ軸に平行なバーナ列を取り付けることができる。試験中、バーナヘッドとパイプとの間の距離を12.5±1cmに維持することができる。支持部間のパイプの自由長は、0.8±0.05mとすることができる。
【0062】
試験試料について、各パイプは約1.5mの長さを有することができる。試験パイプを、使用する永久継手および金具により作成することができる。継手の接着剤が破損の主要点であるときに、エルボおよびベンドに対して弁および直線継手のみを試験することができる。パイプ試料の数は、あらゆるタイプの継手および金具を試験するのに十分な数とすることができる。各パイプ試料の端部を閉鎖することができ、端部の一方によって加圧水が接続されるようにすべきである。
【0063】
パイプに施される断熱材が水分を含むか、または水分を吸収しやすい場合、断熱材が(前述した)空気乾燥状態になるまで、試料の試験を行うべきではない。水分量を判定するために特別なサンプルを使用することができ、このサンプルを試験試料により調整することができる。同様の厚さおよび露出面を有することにより試料からの水蒸気の損失を表すように、このようなサンプルを構成することができる。パイプサンプルは、2つのV字形支持部の水平位置に自由に載置可能である。パイプと支持部との摩擦を最小にすることができ、支持部を2つのスタンドから構成することができる。安全弁を各試料の端閉鎖部の1つに接続することができる。
【0064】
試験に影響する通風を防ぐため、遮蔽された試験場で試験を行うことができる。さらに、各パイプ試料を脱気水で完全に満たして、気泡を入れないようにすることができる。水温は、開始時に15℃未満にならないようにし、試験中に連続して測定することができる。サンプル内部の水は停滞し、試験中、圧力を3±0.5バールで維持することができる。
【0065】
試験に通るものとして容認されるため、パイプ壁を通るわずかな浸出が容認され得る以外は、サンプルからの漏れが生じるべきではない。バーナ調節試験の終了後、試験サンプルおよび防火被覆(ある場合)は周囲温度まで冷却され、その後、前述したようにパイプの定格圧力まで試験される。圧力は、最低15分、大きな漏れを生じることなく(例えば、0.2リットル/分を超えることなく)保持される。実行可能であれば、静水圧試験をベアパイプで行うことができる。
【0066】
試験3
第3の試験は、CPVC配管104の火炎拡散の試験をするためにCPVC配管104に適用され得る。CPVC配管を、このような試験に通過するように構成することができる。
【0067】
プラスチック配管の火炎拡散は、例えば、IMO決議A.653(16)「Recommendation on Improved Fire Test Procedures for Surface Flammability of Bulkhead, Ceiling and Deck Finish Materials(隔壁、天井、およびデッキの仕上げ材料の表面燃焼性についての燃焼試験手順改良に関する勧告)」を以下の通り修正して判定することができる。各パイプ材料およびサイズについて試験を行うことができる。試験サンプルは、パイプを長手方向に切断して個々の部分にした後、平らな面をできるだけ表すものとして、これらの部分を組み立てて試験サンプルとすることにより作製することができる。試験サンプルは、少なくとも2つの部分から構成され得る。試験サンプルの長さは800±5mmとすることができ、切断はすべてパイプ壁に対して直角に行うことができる。
【0068】
組み立てられて試験サンプルを形成する部分の数は、155mm〜180mmの等価の線形化した表面幅をもつ試験サンプルを形成することのできる部分の最も近い整数に対応する。表面幅は、放射パネルからの流束に晒された、組み立てられたパイプ部分の外周の測定合計として定義される。組み立てられた試験サンプルには、個々の部分間の間隙がないものとすることができる。
【0069】
組み立てられた試験サンプルを、2つの隣接する部分の縁部が試験ホルダの中心線に一致するように構成することができる。さらに、個々の試験部分を、ケイ酸カルシウム板を通して50mm間隔で挿入されたワイヤを使用して、ケイ酸カルシウム板の裏当てに取り付け、裏でねじることにより締め付けることができる。露出面の最も高い点が、通常面の露出された平面と同一面にあるように、個々のパイプ部分を取り付けることができる。試験サンプルの凹状の露出していない面とケイ酸カルシウム裏当て板の面との間の空間を、空のままにすることができる。パイプ区分の幅がサンプル保持フレームの側縁部の下を延びる場合、露出された試験面の上部とサンプルホルダフレームの底縁部との間の空間に、高温断熱ウールを入れることができる。
【0070】
前記試験およびそれに対応する手順は、参照により全体が本明細書に組み込まれている、IMO A.753に記載されている。
【0071】
前述した耐火性試験および燃焼性試験に加えて、CPVC配管104を種々の他の試験に通るように構成することができる。それらの他の試験としては、数ある中でも、不燃性試験、煙および毒性試験、「A」、「B」、および「F」クラス分割試験、表面燃焼性についての試験があるが、これらには限定されない。このような試験は、参照により全体が本明細書に組み込まれている、IMO A.653に記載されている。
【0072】
次に、図2を参照して、船舶で下水の輸送を促進するシステム200の例を示す。システム200は、下水の輸送に使用されるCPVC配管202の一部を含む。保持タンク204は下水を受け、このような下水の廃水プロセスが行われる間、または行われるまで、保持タンク204を使用して下水を保持する。このシステム200の例では、CPVC配管202が、24インチ以下または24インチ超の直径を有することができる。さらに、CPVC配管202を色分けして、このような配管202が下水の輸送に使用されることを示すことができる。
【0073】
図3に移り、船舶で生活雑排水の輸送を促進するシステム300の例を示す。システム300は、生活雑排水の輸送に使用されるCPVC配管302の一部を含む。濾過システム304が生活雑排水を受け、生活雑排水に対して1つまたは複数の濾過手順を行う。生活雑排水をリサイクルして、後で船舶において使用することができる。CPVC配管302は、0.5インチ〜8インチの直径を有することができる。さらに、CPVC配管302を色分けして、このような配管302が生活雑排水の輸送に使用されることを示すことができる。CPVC配管にインクまたは被覆で印を付けて、パイプ源、好ましい使用、および/または、ある必要な試験に通ったことを示すためにパイプが保持する証明書を明記することができる。
【0074】
図4に移り、船舶の廃棄物システムで下水または生活雑排水を輸送するために使用可能なCPVC配管システム400の例を示す。CPVC配管システム400は、3本のCPVCパイプ402を接続するために使用されるCPVC DWV金具414を有する。3本のCPVCパイプ402は、CPVC金具の受けフランジ404内に延びる。接触領域410のCPVC溶剤セメントを使用して、フランジ404の内面がCPVCパイプの外面に結合される。
【0075】
また図4は、表示の領域406を示す。これは、パイプ402の垂直部分に示されるが、すべてのCPVCパイプ部分にあることが好ましい。図4で「x」として表される表示408は、パイプ源、好ましい使用、圧力定格やサイズ等のパイプ規格、および/または、ある仕様に対するパイプの適合性を提示する文字とすることができる。本発明の配管が、廃棄物流を取り扱うために船舶で使用されるものであるため、配管の設置は、海洋規格や安全要件に適合していることを確かめるために、公的海洋機関により調査を受けなければならない。公的海洋機関として、アメリカ沿岸警備隊、アメリカ船級協会、フランス船級協会、中国船級協会、ドイツ船級協会、デットノルスケベリタス、ロイドレジスター、RINA、その他の承認および分類機関がある。すべての承認機関にとって、承認される海上配管を識別する容易な方法があることが有利であろう。これは、パイプが適合する規格を提示する文字でパイプに印を付けることにより、達成することができる。蛍光増白剤を含むインクまたは被覆で文字を施すことができ、蛍光増白剤は、ブラックライト等の紫外線源の照射により反射して見えるようになる。ブラックライトは、文字の蛍光増白剤が見えるようになるのに十分な波長を発する。一般的な波長が200〜380ナノメートルの紫外線放射のブラックライトにより、蛍光増白剤が見えるようになる。これにより、調査官は、パイプが必要な船舶規格に適合することがわかる。
【0076】
図4に示すドレン、廃棄物、およびベント金具414(以下DWV金具と称する)は、金具の孔内に作られた斜面または傾斜を有する。孔の斜面は、1フィートの長さにつき約0.25インチである。距離G1、G2の長さは等しくないことが明らかである。この差により、DWV金具414に斜面が作られる。DWV金具の斜面414は、配管システムを通って輸送される廃棄物が完全に排出されるようにするものである。異なるサイズ直径の金具についての一般的な距離G1およびG2について、以下の表に示す。
【0077】
【化1】

ソケット、孔ピッチ、または斜面が、1フィートにつき約0.25インチ以上で維持されていれば、異なるサイズのDWV CPVC金具を前述した以外のものとしてもよい。一実施形態では、DWV金具をスケジュール40または80の寸法にして(主に金具の壁厚さが調節される)スケジュール40または80のパイプに対応させ、DWVピッチ要件に適合させる。金具とパイプの両方でスケジュール40または80の寸法に一致すると、ソケット、孔ピッチ、または斜面が確実に維持され、下水または生活雑排水の完全な排出が達成される。
【0078】
CPVCパイプ402を、好ましくはCPVC溶剤セメントを使用してCPVC DWV金具414に接合する。CPVC溶剤セメントは、OatyおよびIPS等の複数の製造業者から市販されている。CPVCセメントは、金物店や配管用品店で入手可能である。このようなCPVC溶剤セメントは、一般に、CPVC樹脂を適切な溶剤に溶解することにより作られる。通常、CPVCセメントは、約15〜25重量%のCPVC樹脂を含む。CPVC樹脂と溶剤との混合物に、着色剤、シリカ等のチキソトロープ剤(thicksotropic)、熱安定剤等の種々の他の成分を加えてもよい。通常、これらの他の成分は、CPVCセメント組成物の5〜10重量%にすぎない。CPVCセメントは、1部のセメントまたは2部のセメントとすることができる。2部のセメントを使用するとき、使用される第1の部分は、通常、主に溶剤からなる洗浄液である。
【0079】
CPVCパイプをCPVC金具に接合するために、まずCPVC溶剤セメントをパイプの外面と金具ソケットの内面とに塗布する。パイプ端部を金具ソケットに挿入して90°回転させ、セメントが完全に覆われるようにする。約30分(60〜100°F)で初期設定が行われ、これにより配管システムの取扱いおよび設置が可能になる。約1時間(60〜100°F、16〜38℃)で全硬化時間が生じ、これにより、配管システムを使用可能に配置することができる。初期設定時間および全硬化時間は、周囲空気の周囲温度および湿度レベルに応じて変化する。温度がより低く湿度レベルがより高いと、初期設定時間および最終硬化時間がより長く必要となる。これは、CPVCパイプおよび金具を使用する配管システムを設置する当業者には、よく理解されるであろう。
【0080】
CPVCパイプシステムは、直線コネクタ、エルボ、およびY金具等の他の金具を有することができる。このような金具を、溶剤セメントを使用して同様に接合することができる。機械的金具を使用して、異なる長さのCPVCパイプを接合することもでき、またはCPVCパイプを金属パイプに接合することもできる。機械的金具は、通常、クラムシェル型構造であり、EPDMゴム等の可撓性のある密閉ガスケットが、パイプの隣接部分に貼り付けられ、クラムシェル機械的装置の圧力により適切な位置に保持される。
【0081】
本発明の明細書に示すCPVCパイプは、すべてポリマーパイプである。CPVC複合パイプを使用してもよいことを理解すべきである。CPVC複合パイプは、外面および内面にCPVCの層を有し、外層と内層との間に金属の層を有する。複合パイプは、直線CPVCポリマーパイプよりも重量が大きいが、より高い防火特性を有することができ、より高い剛性を有する。複合パイプは、呼び径パイプにおいて1/2〜3インチ等の小径のパイプで使用するのにより有利となり得る。CPVC複合パイプは、米国オハイオ州、クリーブランドのLubrizol Advanced Materials,Inc.により市販されている。
【0082】
図4は、パイプ内の廃棄物の流れ方向を矢印412で示す。廃棄物は、トイレ、シンク、シャワー等の発生源から受入点に輸送され、そこで処理されてさらに使用されるか、または排出される。
【実施例】
【0083】
本実施例は、表面燃焼性について試験を行ったCPVC配管の性能を示すために提示される。本実施例で使用されるCPVCパイプは、Corzan(登録商標)CPVCパイプである。特定の適用で、より高い圧力またはより細いパイプが望ましい場合、より高い設計基準の圧力パイプであるCorzan(登録商標)HPパイプを使用することができる。IMO決議A.653(16)に言及する、燃焼試験手順、1998(FTPコード)の適用についての国際海事機関(IMO)の国際コードの別添1、パート5にほぼ準拠してスクリーニング試験を行った。表1は、試験を行ったパイプ材料を示す。
【0084】
【表1】

サンプル作成および試験前までに、23℃±2℃および相対湿度50%±5%で維持された調整環境に、試料を配置した。各サンプルを公称長さ804mmで測定し、試験用にわずかに削る必要があった。
【0085】
試験前に、試験試料の縁部および後面をアルミ箔で覆い、10mmのケイ酸カルシウム板で裏当てし、凸面が露出したサンプルホルダに配置した。パイプの部分を並べて配置し、所要の幅を得た。部分を裏板に配線して、試験フレーム内に固定した。
【0086】
IMO FTPコードの別添1、パート5にほぼ準拠して試験が行われた。すなわち、規格による3つの試料ではなく、各材料の1つの試料を試験した。すべての他の試験プロトコルを順守した。試験結果の概要を表2および3に示す。
【0087】
【表2】

【0088】
【表3】

前記表2および3に示す試験結果は、規格に規定された必要な3つの試験の代わりに、1つの試験を基にした。
【0089】
説明の目的で、複数の例を示したことに注目されたい。これらの例は、本明細書に添付した特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきではない。さらに、本明細書に示した例は、特許請求の範囲に含まれたまま、順序を変えてもよいことを理解されたい。
【0090】
したがって、本明細書に記載された例示的な実施形態は、望ましい目的を達成し、先行システムの製造および使用の際に直面した困難をなくし、問題を解決し、本明細書に記載された望ましい結果を得る。
【0091】
前述した説明において、簡潔さ、明確さ、および理解のためにある用語を使用した。しかし、このような用語は説明の目的で使用されており、広く解釈すべきものであるので、不要な限定を意味するものではない。さらに、本明細書の説明および図示は、例として挙げたものであり、本発明は図示し説明した正確な詳細に限定されるものではない。
【0092】
以下の特許請求の範囲において、機能を果たすための手段として記載される特徴は、挙げた機能を果たすことのできる手段を含むものと解釈され、前述した説明における機能またはそれと単に等価の機能を果たすものとして示される特定の手段に限定されるものと考えられることはない。
【0093】
本発明の特徴、発見、原理、本発明が構成され動作される方法、得られる利点および有用な結果について説明したが、新規で有用な構造、デバイス、要素、配置、部品、組合せ、システム、動作、方法、および関係について、添付の特許請求の範囲で説明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶であって、
廃水システムを備え、前記廃水システムが、
前記船舶で下水または生活雑排水の一方を輸送する際に使用されるCPVC配管の一部を含む、船舶。
【請求項2】
海上石油プラットフォームである、請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
船である、請求項1に記載の船舶。
【請求項4】
軍用船である、請求項3に記載の船舶。
【請求項5】
クルーズ客船である、請求項1に記載の船舶。
【請求項6】
前記CPVC配管が下水を処理システムに輸送する、請求項1に記載の船舶。
【請求項7】
前記CPVC配管が生活雑排水を濾過システムに輸送する、請求項1に記載の船舶。
【請求項8】
前記CPVCパイプにインクまたは被覆で印を付けて、パイプ源、好ましい使用、または前記パイプが保持する証明書を明記する、請求項1に記載の船舶。
【請求項9】
前記インクまたは被覆が、前記印に紫外線ブラックライトを投影することにより見えるようになる蛍光増白剤色素を含む、請求項8に記載の船舶。
【請求項10】
前記ブラックライトが約200〜約380ナノメートルの波長を発する、請求項9に記載の船舶。
【請求項11】
前記CPVCパイプの呼び径が0.5インチ〜24.0インチである、請求項1に記載の船舶。
【請求項12】
前記CPVCパイプの呼び径が1.5インチ〜8.0インチである、請求項11に記載の船舶。
【請求項13】
前記CPVCパイプおよび必要に応じて金具が、スケジュール40またはスケジュール80のパイプの要件を満たす、請求項1に記載の船舶。
【請求項14】
前記CPVCパイプが複合CPVCパイプである、請求項1に記載の船舶。
【請求項15】
船舶であって、
下水または生活雑排水の一方を輸送するドレン廃棄物およびベント、ならびに/または圧力金具を使用するCPVC配管を備え、前記CPVC配管がIMO A.653(16)の耐火性試験に適合する、船舶。
【請求項16】
船舶に下水または生活雑排水ドレンシステムを形成する方法であって、
(a)複数の長さのCPVCパイプを設けるステップと、
(b)CPVCから形成された少なくとも1つのドレン廃棄物ベント金具を設けるステップと、
(c)前記CPVCパイプを前記金具に取り付けるステップとを含む方法。
【請求項17】
前記金具の孔が、1フィートの長さにつき少なくとも0.25インチ変化するピッチを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記パイプおよび前記金具が、溶剤セメントを使用して取り付けられる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記船舶が、船および海上石油プラットフォームからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−518771(P2013−518771A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552133(P2012−552133)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2011/023873
【国際公開番号】WO2011/097556
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(506347528)ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド (74)