船舶の隔壁を通る管、導管、母線路及び電気ケーブルの通路の開口を閉鎖する為の閉鎖システム
【課題】船舶の隔壁を通る管、管路、母線路及び電気ケーブルの通路の開口を閉鎖する為の閉鎖システムを提供する。
【解決手段】A60級として知られる60分間耐火性の、及び下級の、及び水頭下の、バルクヘッドやデッキ等の船舶の隔壁を通る管、管路19、母線路及び電気ケーブル20の通路の開口を閉鎖する為の閉鎖システムであって、空いたままの開口15をモジュール式充填要素12により栓をし、栓を不燃性で弾力性のあるシーリング材13により被覆する閉鎖システムとする。
【解決手段】A60級として知られる60分間耐火性の、及び下級の、及び水頭下の、バルクヘッドやデッキ等の船舶の隔壁を通る管、管路19、母線路及び電気ケーブル20の通路の開口を閉鎖する為の閉鎖システムであって、空いたままの開口15をモジュール式充填要素12により栓をし、栓を不燃性で弾力性のあるシーリング材13により被覆する閉鎖システムとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、A60級として知られる60分間耐火性の、及び下級の、及び水頭下の、バルクヘッドやデッキ等の船舶の隔壁を通る管、導管、母線路及び電気ケーブルの通路の開口を閉鎖する為の閉鎖システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、船舶は、事前に設定された期間の間、火災及び水頭に耐えられなければならない隔壁を有する。
【0003】
しかしながら、これらの隔壁は一般的に管、電気ケーブル、母線路及び導管の通路として開口を備えていなければならず、該開口は技術サービスシステムを作動する為に必要である。
【0004】
火災及び水頭に対する隔壁の所定の耐性を無効にしない為に、通路は入念に断熱されて保護されなければならない。
【0005】
一般的な管、電気ケーブル、母線路及び導管は、実際に優れた熱伝導体であり、場合によっては、炎を運ぶ道具となる。なぜなら、それらは火が押し寄せることを可能にする開口を構成するからである。
【0006】
従来技術によると、A60級の船舶の隔壁を管及び導管が通過することを可能にする為に2つのシステムが使用されていた。
【0007】
第1の方法によると、交差部分が管の一体部品として事前に備えられる。通路は隔壁上に連続的に溶接され、その後、回路の継続の為に両側において管に結合される。
【0008】
もう1つの方法によると、金属スリーブが挿入されて隔壁上に連続溶接により取付けられ、その後、諸設備の非金属又は金属中空管が金属スリーブの内側に挿入され、その後、諸設備の管と金属スリーブの間の隙間を密閉する。非金属管においては、装置は「火止め」として知られており、バネ装置無しで管を閉鎖する膨張材料を内部に備えている。
【0009】
従来技術によると、船上で管は、個別の取付金具により固定されて束になって平行に走っているが、それぞれの管が個別に、対応する管の直径よりも明らかに大きな体積を有する、対応する鍔又はスリーブの配置を可能にする為に、隔壁においては半径方向に間隔をあける必要がある。
【0010】
また、まずは管の間隔をあける為に、そして、その後に管を再び集める為に、それぞれの管は隔壁の両側で2回湾曲されなければならない。
【0011】
このことは、労働、必要な特別な部品、複数の穴の準備、様々な管の放射状の配置を提供する為の管の配置、鍔の準備と密閉、そして、その後に取付けられる断熱材の為の費用の顕著な増大、及び、技術的な観点からはそれぞれの湾曲が圧力損失を引き起こすという重大な欠点を結果としてもたらす。
【0012】
従来技術によると、ケーブルの通過の為に隔壁に、100x80mmから500x240mmの間で変更できる寸法を有する通常長方形の開口が備えられる。
【0013】
これらの開口を周囲で閉鎖する為に、それぞれの側において約200mm突出するスリーブが溶接されて連続的に密閉され、そして、スリーブ内に共通の鋼枠が配置され、鋼枠内に剛性ブロックが配置される。いくつかのブロックはケーブルがぴったり通過できる、ケーブルの直径と同じ大きさの穴を備えている。通過するケーブルの数は限定され、ケーブルの寸法は事前に設定されなければならない。
【0014】
海上生命安全確保の為のSOLAS基準は、開口の空いている隙間の40%だけがケーブルにより占有されることができると規定している。
【0015】
ケーブルによって占有されていない残りの60%は、同様の完全に閉鎖された通し穴の無い剛性ブロックにより塞がれたままである。ギロチンのような方法で上部に配置された磨耗したネジが、横断要素によりブロック群を圧迫して、ブロック群を所望の位置に固定し、そして、通路を耐火性及び防水性にする。
【0016】
そのような従来のシステムはいくつかの重大な欠点を有する。
【0017】
従来のシステムの欠点の1つは、枠内のブロックの組立てが多大な量の仕事を引き起こすことである。なぜなら、ケーブルは時には大きく、互いに異なる寸法を有するからである。
【0018】
従来のシステムのもう1つの欠点は、従来のシステムは設計の観点から厳しい制限となることである。なぜなら、船上には何キロにも及ぶケーブルが存在し、建造の何年も前からどのケーブルが特定の開口を通過するか正確に予測する必要があるからである。
【0019】
従来のシステムは、取付け時に同様の寸法を有する通過要素の間で小さな変更は可能であるが、ケーブルの数及び寸法の実質的な変更への事後の適応は不可能である。
【0020】
しかしながら、そのような従来のシステムは、有効な耐火性だけでなく、浸水した場合に予想される水圧への耐水性をも必要とする水頭下、即ち船舶の水面下の領域において使用されている。
【0021】
水頭上の領域に配置された隔壁に開口がある場合、開口の周りに鍔を溶接することを必要とするもう1つのシステムが現在使用されている。鍔の上側には2つの管が備えられ、1つの管から空気が出て行き、そして、もう1つの管は液状の材料を収容するタンクに接続され、液状の材料がポンプにより鍔内に供給される。液体の横漏れを防止する為に、適応する圧縮スポンジが両側、並びに、ケーブルの間の隙間及びケーブルと鍔の間の隙間に配置され、その後、水を噴射され、膨張することにより、スポンジが確かな密閉を提供する。その後、そのような液体はポンプで送り込まれ、ケーブルの間等の隙間に広がる。そのような液体は、数時間後に固体となり、通路は耐火性を維持することができる。
【0022】
そのような従来のシステムの主な欠点は、隔壁の両側において20cmの空間を占有することを必要とし、液体材料で満たされた時にかなりの重量を構成することである。周知のように、船上においては常に占有面積及び重量を最小化する必要がある。
【0023】
もう1つの欠点は、建造の観点から、そのような取付けは複雑で困難である。なぜなら、グラウンド上のブロックに開口を備えて鍔、鋲留め及び溶接を提供する必要があり、次に、全ての隙間に上手にスポンジを配置することは困難であるからである。なぜなら、ケーブルはたくさんあり、様々な直径を有し、実際に、ポンプで送り込むステップにおいてよく漏れが起こるからである。また一方、取付けされる時まで、管及び管路、また特に電気ケーブルは変更を行う可能性があり、したがって、通路に栓をする為の従来の保護システムの重大な欠点は、取付けの間の予期せぬ変更を可能にする十分な適応性が無いことである。
【0024】
上記従来のシステムの更なる欠点は、管、管路及び電気ケーブルの取付け後にどのような変更も実施することができないことである。
【0025】
改善された閉鎖システムは、隔壁の適応する開口内に諸設備の管を挿入した後に、まだ空いている隙間をモジュール式充填要素により栓をすることを必要とする。次に、栓は外部から膨張材、即ち火によって膨張する材料により密閉され、最後に、シースにより露出したままの端が密閉される。
【0026】
しかしながら、この膨張材は2つの制限を有する。第1の制限は管の束に栓をすることに関する実験段階において観察された。即ち、A60級バルクヘッドの実物模型による実験の最終段階で、実物模型の変形が極度の限界にあった時に、ケーブル及び金属部分の間の様々な変形により、膨張栓材料が管にぴったり付着したままになり、実物模型の金属部分の変形により引き起こされた吸着効果により隔壁から引き離されるような、システムの剛性であることである。
【0027】
第2の制限は、船上で使用する材料に関して従うべき新たな基準を規定する、次のIMO(国際海事機関)国際規定により課せられる、火災時に生成される煙の毒性及び不透明性に特に注目した、さらに厳しい規制の結果として生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は、周知技術の欠点を克服した、船舶の隔壁を通る管の通路の開口を閉鎖する為の閉鎖システムを提供することである。
【0029】
この目的の範囲内で、本発明の目的はA60級以下の、及び水頭下の、船舶の隔壁の開口の為の閉鎖システムを提供することである。
【0030】
本発明の重要な目的は単純で経済的なシステムを提供するものである。
【0031】
本発明のもう1つの目的は、その特有の建造特徴のおかげで、使用時に安全性及び信頼性の最高の保証を与えることができるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
これらの目的及び以下でより明らかになる他の目的は、船舶の隔壁を通る管、導管、母線路及び電気ケーブルの通路の開口を閉鎖する為の閉鎖システムであって、空いたままの開口をモジュール式充填要素により栓をし、栓を不燃性で弾力性のあるシーリング材により被覆することを特徴とする閉鎖システムにより達成される。
【0033】
本発明によると、従来技術の制限を解消する為に、膨張材の代わりに不燃性で弾力性のあるシーリング材を使用している。特に、単一構成の繊維基材である、商標名「Navycross」として知られている材料が特に適していると証明されている。本発明によると、管、電気ケーブル、母線路及び管路が通過する開口の周囲で空いたままの隙間が、複数のケーブルの場合必要であれば互いの距離を維持したまま、モジュール式充填要素により栓をされる。
【0034】
事実、本発明は束ねられた電気ケーブルを密閉することを可能にする栓の解決法を提供する。
【0035】
事実、とても頻繁に、電気ケーブルは、一般的に隔壁との交差領域の前後で適切な結合具により固定され、1つの束に集められて船上を走りめぐらされる。この場合、ケーブル間の相互距離は0mmであると推定される。この特有の構成が、ケーブルとケーブルの間に充填モジュールが存在しないで、中に存在する電気ケーブルの寸法と関係なく、束の外表面の処理が「Navycross」により100mmの長さにわたってされ、この方法で検討されている隔壁の耐火等級が維持されるように、必要な改良を加えた「Navycross」システムにより密閉できることを標準耐火実験は実証した。
【0036】
栓は不燃性で弾力性のあるシーリング材により密閉して閉められ、随意的に、大きい寸法の管、電気ケーブル、母線路及び管路をも約100mmの長さにわたって被覆している。
【0037】
本発明は、金属管と同様に処理しなければならない強化繊維ガラスを除く、非金属管を密閉することを可能にする栓の解決法をも提供する。
【0038】
この場合、「鍔」として知られる膨張材を含む金属装置が使用され、鍔はその場で取付けられて隔壁との交差領域において管の周りを覆う。この鍔は、例えば連結フラップ型の、管上でその位置を固定するのに適した機械的固定装置と共に提供される。その後、隔壁内に備えられる開口よりも小さな寸法を有する鍔は「Navycross」シーリング材により被覆される。
【0039】
本発明による閉鎖システムにより、従来のシステムの全ての欠点が解消され、その上、A60級までのバルクヘッドにおいて突発的な火災時及び水頭下における閉鎖システムの完全な密閉と共に、設置が簡単で、とても経済的で、軽量で、縮小された容積であるという利点が得られる。
【0040】
本発明によると、船舶の隔壁に1つの開口を備えるだけで十分である。管の間の半径方向間隔はもはや必要ではなく、管、電気ケーブル、母線路及び管路はその進路を常に直線的に平行に保ちながら、隔壁との交差領域においてより多くの空間を占有することなく、隔壁を通過することができる。
【0041】
本発明はいつでも、例え取付け後でも変更を実施することを可能にする。
【0042】
さらに、周知のシステムにおいては使用することが必要であった、鍔及び/又はスリーブを対応する溶接に置き換えることが削除される。
【0043】
開口に栓をする為のモジュール式充填要素は事前に設定された幅を有する柔軟なストリップにより構成され、必要な抵抗を保証する為に、最終閉鎖システムの厚さを一定に維持する。ケーブルの場合、必要であればストリップの一定の厚さが相互距離を維持して保証する。
【0044】
モジュール式充填要素のストリップは、延焼が制限された栓の特性を有する、自消性又は断熱性の材料、例えば自消性ポリウレタン発泡体、ミネラルウール等から成る。
【0045】
モジュール式充填要素の柔軟性及びそれらの標準化された寸法が素早くきれいに栓をすることを可能にし、同時に、その後のシーリング材の使用の為に十分な固定支持を提供する。
【0046】
不燃性で弾力性のあるシーリング材が栓上及び大きな寸法の管、母線路、管路及び電気ケーブル上に塗布されて、栓をされた後に約100mmの長さにわたって管等を被覆する。
【0047】
本発明による閉鎖システムを提供する方法は以下の通りである。
【0048】
管、管路及び母線路の場合、通路の空いている隙間がその外周領域から始めに、モジュール式充填要素により充填される。その後、管、管路及び母線路の間に空いたままの中央領域を充填することにより作業が完了する。
【0049】
非金属管の場合、隔壁の開口及び鍔の間に空いている隙間が充填される。
【0050】
所定の相互距離を必要とする電気ケーブルの場合、ケーブルは、開口の中心に配置されたケーブルから始まり、最も外周に至るケーブルまで、モジュール式充填要素により覆われる。その後、開口の縁とケーブルの間に空いたままの外周領域を充填することにより作業が完了する。
【0051】
束ねられた電気ケーブルの場合、開口の縁と束の間の開放領域を閉鎖する為にモジュール式充填要素が充填される。開口が完全に栓をされると、栓が、例えば単一構成の繊維基材からなり、へらや押出し成形により簡単に塗布できる、不燃性で弾力性のあるシーリング材により被覆される。シーリング材の塗布は、管、管路、母線路及び中央電気ケーブルの周りから始まり、次第に外周領域に向かい、隔壁まで達する。いわゆる「標準」システムの場合、交差領域の両側に対称的にシーリング材が塗布され、また、いわゆる「片側」システムの場合、塗布の全体の厚さを最小に維持したままで片側からシーリング材が塗布される。
【0052】
2つの構成が同等であることは、SOLASにより提供された耐火性の標準実験の実施により実証されている。
【0053】
「片側」システムは、塗布が必要な船上の隔壁の両側の片側にアクセスすることが困難な場合に、特に有益である
【0054】
管、管路、母線路及び電気ケーブルは、例えば直径52mm以上の大きな寸法を有し、また、随意的に閉鎖システムの両側において、100mmの長さにわたってシーリング材により被覆されている。
【0055】
シーリング材の層の厚さは、参考として、モジュール式要素の幅を有し、「標準」システムの場合、10mmの最小厚さでモジュール式要素上に塗布され、「片側」システムの場合、20mmの最小厚さである。
【0056】
シーリング材を備えた、大きな寸法を有する管、管路、母線路及び電気ケーブルの被覆の厚さは、数ミリで十分である。
【0057】
開口を通過する管、管路、母線路及び電気ケーブルの適切な次の改良の場合、時間が経って固化したシーリング材に穴を開け、新しい管、管路、母線路及び電気ケーブルを得られた穴に挿入し、その後、へらによりまだ空いている開口にシーリング材を配置して全てが修復される。
【0058】
本発明による閉鎖システムの提供により、その後の予期せぬ通過を利用可能にする為に追加の穴を空いたままにすることも可能であるが、使用されない場合、穴は閉じられる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】準備段階を示す、本発明による管及び電気ケーブルの通路の閉鎖システムの前断面図である。
【図2】図1のII−II面に沿った横断面図である。
【図3】図1と同様の、管及び電気ケーブルの通路の完成した閉鎖システムの前断面図である。
【図4】図3のIV−IV面に沿った横断面図である。
【図5】本発明による管及び電気ケーブルの通路の更なる閉鎖システムの前断面図である。
【図6】図5のVI−VI面に沿った横断面図である。
【図7】本発明による母線路の通路の更なる閉鎖システムの前断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII面に沿った横断面図である。
【図9】本発明による鋼及び軽合金構造物上の電気ケーブル、管及び管路の通路の更なる閉鎖システムの側断面図である。
【図10】本発明による水密性鋼及び軽合金構造物上の電気ケーブル、管及び管路の通路の更なる閉鎖システムの側断面図である。
【図11】図1と同様の、非金属管の通路の完成した閉鎖システムの前断面図である。
【図12】図11のXII−XII面に沿った横断面図である。
【図13】非金属管の挿入ステップを示す斜視図である。
【図14】図11と同様の、完成した閉鎖システムを示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
更なる特性及び利点は、添付の図面に非限定例として図示する、本発明の好ましいが非限定的な実施形態の記載からより明らかになるであろう。
【0061】
様々な図面において、同様の要素は同じ符号により示されている。
【0062】
開口15は、管及び/又は管路19及び母線路22の間の通路の空いている隙間にモジュール式充填要素12を充填することにより栓をされる。
【0063】
モジュール式充填要素12がケーブル20の周りを覆い、そして、手で適切な長さに切断され、又は折られる。
【0064】
中央のケーブルから始まって全てのケーブルが覆われた後に、ケーブル20と開口15の縁の間に空いたままの外周領域に、この位置においても符号12で示されているモジュール式充填要素を充填することにより作業が完了する。
【0065】
特定の場合においては、モジュール式充填要素12として、商標名「MODULI DI RIEMPIMENTO FR」として知られる、厚さ30mm、幅40mm及び長さ1mを有するストリップの寸法の、自消性ポリウレタンのストリップから成る材料が使用される。30mmの厚さ及び材料の密度により、ストリップが取付けられた時に、加圧時においても最小必要距離を確保する。
【0066】
一定の幅40mmが栓の最小厚さを確保する。ケーブル20、管及び管路19、並びに母線路22に対して、モジュール式充填要素12の両側にシーリング材13が塗布される。図示されている例においては、商標名「Navycross」として知られる、不燃性で弾力性のあるシーリング材13が使用されている。
【0067】
栓の完全な閉鎖を提供して適切な機械的強度を与える、シーリング材13の層の厚さは両側に10mmずつであり、したがって、充填要素12の幅40mmに加えられ、閉鎖装置の全体の厚さは60mmである。
【0068】
閉鎖装置の全体の厚さは「片側」システムの場合にも60mmに達し、前記の「標準」システムにおける10mmのシーリング材+40mmの充填モジュール+10mmのシーリング材が、40mmの充填モジュール+20mmのシーリング材に置き換えられる。
【0069】
図11〜14に符号23で示されている、強化繊維ガラスを除く非金属管の交差部分に栓をする場合、60分間の必要な耐火性を確保する為に、シーリング材13は鍔24の長さ全体を完全に被覆するように隔壁の両側に塗布される。
【0070】
この事実は基準を順守する保証を与える。なぜなら、船舶登録の認可は使用されている材料の厚さ及び対応する組立システムの順守に関連しているからである。
【0071】
さらに、図2、4、6及び8においてより詳しく示しているように、52mm以上の直径を有する大きな寸法の管、管路及びケーブルも、閉鎖システムの厚さに加えて、約100mmの長さの部分にわたって、約3mmの厚さの同様の不燃性で弾力性のあるシーリング材13で被覆される。
【0072】
上記構成は、耐火試験において越えてはいけない最大許容試験温度に関するSOLAS基準を順守する為に、炎により影響を受けないバルクヘッドの傍らに提供される。
【0073】
図示した例による規定により、水頭下及びA60級バルクヘッドの特性の継続性を復元する閉鎖システムが得られる。
【0074】
水頭下における閉鎖システムの使用は、図10に概略的に示しているように、防水材30によるシーリング材の表面処理を必要とする。
【0075】
実際に、本発明は意図する目的を達成することが見出されている。
【0076】
本発明は、2011年2月1日出願のイタリア国特許出願GE2011A000010の優先権を主張するものであり、その内容は参照として組み込まれている。
【符号の説明】
【0077】
12 モジュール式充填要素
13 シーリング材
15 開口
19 管、管路
20 ケーブル
22 母線路
23 非金属管
24 鍔
30 防水材
【技術分野】
【0001】
本発明は、A60級として知られる60分間耐火性の、及び下級の、及び水頭下の、バルクヘッドやデッキ等の船舶の隔壁を通る管、導管、母線路及び電気ケーブルの通路の開口を閉鎖する為の閉鎖システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、船舶は、事前に設定された期間の間、火災及び水頭に耐えられなければならない隔壁を有する。
【0003】
しかしながら、これらの隔壁は一般的に管、電気ケーブル、母線路及び導管の通路として開口を備えていなければならず、該開口は技術サービスシステムを作動する為に必要である。
【0004】
火災及び水頭に対する隔壁の所定の耐性を無効にしない為に、通路は入念に断熱されて保護されなければならない。
【0005】
一般的な管、電気ケーブル、母線路及び導管は、実際に優れた熱伝導体であり、場合によっては、炎を運ぶ道具となる。なぜなら、それらは火が押し寄せることを可能にする開口を構成するからである。
【0006】
従来技術によると、A60級の船舶の隔壁を管及び導管が通過することを可能にする為に2つのシステムが使用されていた。
【0007】
第1の方法によると、交差部分が管の一体部品として事前に備えられる。通路は隔壁上に連続的に溶接され、その後、回路の継続の為に両側において管に結合される。
【0008】
もう1つの方法によると、金属スリーブが挿入されて隔壁上に連続溶接により取付けられ、その後、諸設備の非金属又は金属中空管が金属スリーブの内側に挿入され、その後、諸設備の管と金属スリーブの間の隙間を密閉する。非金属管においては、装置は「火止め」として知られており、バネ装置無しで管を閉鎖する膨張材料を内部に備えている。
【0009】
従来技術によると、船上で管は、個別の取付金具により固定されて束になって平行に走っているが、それぞれの管が個別に、対応する管の直径よりも明らかに大きな体積を有する、対応する鍔又はスリーブの配置を可能にする為に、隔壁においては半径方向に間隔をあける必要がある。
【0010】
また、まずは管の間隔をあける為に、そして、その後に管を再び集める為に、それぞれの管は隔壁の両側で2回湾曲されなければならない。
【0011】
このことは、労働、必要な特別な部品、複数の穴の準備、様々な管の放射状の配置を提供する為の管の配置、鍔の準備と密閉、そして、その後に取付けられる断熱材の為の費用の顕著な増大、及び、技術的な観点からはそれぞれの湾曲が圧力損失を引き起こすという重大な欠点を結果としてもたらす。
【0012】
従来技術によると、ケーブルの通過の為に隔壁に、100x80mmから500x240mmの間で変更できる寸法を有する通常長方形の開口が備えられる。
【0013】
これらの開口を周囲で閉鎖する為に、それぞれの側において約200mm突出するスリーブが溶接されて連続的に密閉され、そして、スリーブ内に共通の鋼枠が配置され、鋼枠内に剛性ブロックが配置される。いくつかのブロックはケーブルがぴったり通過できる、ケーブルの直径と同じ大きさの穴を備えている。通過するケーブルの数は限定され、ケーブルの寸法は事前に設定されなければならない。
【0014】
海上生命安全確保の為のSOLAS基準は、開口の空いている隙間の40%だけがケーブルにより占有されることができると規定している。
【0015】
ケーブルによって占有されていない残りの60%は、同様の完全に閉鎖された通し穴の無い剛性ブロックにより塞がれたままである。ギロチンのような方法で上部に配置された磨耗したネジが、横断要素によりブロック群を圧迫して、ブロック群を所望の位置に固定し、そして、通路を耐火性及び防水性にする。
【0016】
そのような従来のシステムはいくつかの重大な欠点を有する。
【0017】
従来のシステムの欠点の1つは、枠内のブロックの組立てが多大な量の仕事を引き起こすことである。なぜなら、ケーブルは時には大きく、互いに異なる寸法を有するからである。
【0018】
従来のシステムのもう1つの欠点は、従来のシステムは設計の観点から厳しい制限となることである。なぜなら、船上には何キロにも及ぶケーブルが存在し、建造の何年も前からどのケーブルが特定の開口を通過するか正確に予測する必要があるからである。
【0019】
従来のシステムは、取付け時に同様の寸法を有する通過要素の間で小さな変更は可能であるが、ケーブルの数及び寸法の実質的な変更への事後の適応は不可能である。
【0020】
しかしながら、そのような従来のシステムは、有効な耐火性だけでなく、浸水した場合に予想される水圧への耐水性をも必要とする水頭下、即ち船舶の水面下の領域において使用されている。
【0021】
水頭上の領域に配置された隔壁に開口がある場合、開口の周りに鍔を溶接することを必要とするもう1つのシステムが現在使用されている。鍔の上側には2つの管が備えられ、1つの管から空気が出て行き、そして、もう1つの管は液状の材料を収容するタンクに接続され、液状の材料がポンプにより鍔内に供給される。液体の横漏れを防止する為に、適応する圧縮スポンジが両側、並びに、ケーブルの間の隙間及びケーブルと鍔の間の隙間に配置され、その後、水を噴射され、膨張することにより、スポンジが確かな密閉を提供する。その後、そのような液体はポンプで送り込まれ、ケーブルの間等の隙間に広がる。そのような液体は、数時間後に固体となり、通路は耐火性を維持することができる。
【0022】
そのような従来のシステムの主な欠点は、隔壁の両側において20cmの空間を占有することを必要とし、液体材料で満たされた時にかなりの重量を構成することである。周知のように、船上においては常に占有面積及び重量を最小化する必要がある。
【0023】
もう1つの欠点は、建造の観点から、そのような取付けは複雑で困難である。なぜなら、グラウンド上のブロックに開口を備えて鍔、鋲留め及び溶接を提供する必要があり、次に、全ての隙間に上手にスポンジを配置することは困難であるからである。なぜなら、ケーブルはたくさんあり、様々な直径を有し、実際に、ポンプで送り込むステップにおいてよく漏れが起こるからである。また一方、取付けされる時まで、管及び管路、また特に電気ケーブルは変更を行う可能性があり、したがって、通路に栓をする為の従来の保護システムの重大な欠点は、取付けの間の予期せぬ変更を可能にする十分な適応性が無いことである。
【0024】
上記従来のシステムの更なる欠点は、管、管路及び電気ケーブルの取付け後にどのような変更も実施することができないことである。
【0025】
改善された閉鎖システムは、隔壁の適応する開口内に諸設備の管を挿入した後に、まだ空いている隙間をモジュール式充填要素により栓をすることを必要とする。次に、栓は外部から膨張材、即ち火によって膨張する材料により密閉され、最後に、シースにより露出したままの端が密閉される。
【0026】
しかしながら、この膨張材は2つの制限を有する。第1の制限は管の束に栓をすることに関する実験段階において観察された。即ち、A60級バルクヘッドの実物模型による実験の最終段階で、実物模型の変形が極度の限界にあった時に、ケーブル及び金属部分の間の様々な変形により、膨張栓材料が管にぴったり付着したままになり、実物模型の金属部分の変形により引き起こされた吸着効果により隔壁から引き離されるような、システムの剛性であることである。
【0027】
第2の制限は、船上で使用する材料に関して従うべき新たな基準を規定する、次のIMO(国際海事機関)国際規定により課せられる、火災時に生成される煙の毒性及び不透明性に特に注目した、さらに厳しい規制の結果として生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は、周知技術の欠点を克服した、船舶の隔壁を通る管の通路の開口を閉鎖する為の閉鎖システムを提供することである。
【0029】
この目的の範囲内で、本発明の目的はA60級以下の、及び水頭下の、船舶の隔壁の開口の為の閉鎖システムを提供することである。
【0030】
本発明の重要な目的は単純で経済的なシステムを提供するものである。
【0031】
本発明のもう1つの目的は、その特有の建造特徴のおかげで、使用時に安全性及び信頼性の最高の保証を与えることができるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
これらの目的及び以下でより明らかになる他の目的は、船舶の隔壁を通る管、導管、母線路及び電気ケーブルの通路の開口を閉鎖する為の閉鎖システムであって、空いたままの開口をモジュール式充填要素により栓をし、栓を不燃性で弾力性のあるシーリング材により被覆することを特徴とする閉鎖システムにより達成される。
【0033】
本発明によると、従来技術の制限を解消する為に、膨張材の代わりに不燃性で弾力性のあるシーリング材を使用している。特に、単一構成の繊維基材である、商標名「Navycross」として知られている材料が特に適していると証明されている。本発明によると、管、電気ケーブル、母線路及び管路が通過する開口の周囲で空いたままの隙間が、複数のケーブルの場合必要であれば互いの距離を維持したまま、モジュール式充填要素により栓をされる。
【0034】
事実、本発明は束ねられた電気ケーブルを密閉することを可能にする栓の解決法を提供する。
【0035】
事実、とても頻繁に、電気ケーブルは、一般的に隔壁との交差領域の前後で適切な結合具により固定され、1つの束に集められて船上を走りめぐらされる。この場合、ケーブル間の相互距離は0mmであると推定される。この特有の構成が、ケーブルとケーブルの間に充填モジュールが存在しないで、中に存在する電気ケーブルの寸法と関係なく、束の外表面の処理が「Navycross」により100mmの長さにわたってされ、この方法で検討されている隔壁の耐火等級が維持されるように、必要な改良を加えた「Navycross」システムにより密閉できることを標準耐火実験は実証した。
【0036】
栓は不燃性で弾力性のあるシーリング材により密閉して閉められ、随意的に、大きい寸法の管、電気ケーブル、母線路及び管路をも約100mmの長さにわたって被覆している。
【0037】
本発明は、金属管と同様に処理しなければならない強化繊維ガラスを除く、非金属管を密閉することを可能にする栓の解決法をも提供する。
【0038】
この場合、「鍔」として知られる膨張材を含む金属装置が使用され、鍔はその場で取付けられて隔壁との交差領域において管の周りを覆う。この鍔は、例えば連結フラップ型の、管上でその位置を固定するのに適した機械的固定装置と共に提供される。その後、隔壁内に備えられる開口よりも小さな寸法を有する鍔は「Navycross」シーリング材により被覆される。
【0039】
本発明による閉鎖システムにより、従来のシステムの全ての欠点が解消され、その上、A60級までのバルクヘッドにおいて突発的な火災時及び水頭下における閉鎖システムの完全な密閉と共に、設置が簡単で、とても経済的で、軽量で、縮小された容積であるという利点が得られる。
【0040】
本発明によると、船舶の隔壁に1つの開口を備えるだけで十分である。管の間の半径方向間隔はもはや必要ではなく、管、電気ケーブル、母線路及び管路はその進路を常に直線的に平行に保ちながら、隔壁との交差領域においてより多くの空間を占有することなく、隔壁を通過することができる。
【0041】
本発明はいつでも、例え取付け後でも変更を実施することを可能にする。
【0042】
さらに、周知のシステムにおいては使用することが必要であった、鍔及び/又はスリーブを対応する溶接に置き換えることが削除される。
【0043】
開口に栓をする為のモジュール式充填要素は事前に設定された幅を有する柔軟なストリップにより構成され、必要な抵抗を保証する為に、最終閉鎖システムの厚さを一定に維持する。ケーブルの場合、必要であればストリップの一定の厚さが相互距離を維持して保証する。
【0044】
モジュール式充填要素のストリップは、延焼が制限された栓の特性を有する、自消性又は断熱性の材料、例えば自消性ポリウレタン発泡体、ミネラルウール等から成る。
【0045】
モジュール式充填要素の柔軟性及びそれらの標準化された寸法が素早くきれいに栓をすることを可能にし、同時に、その後のシーリング材の使用の為に十分な固定支持を提供する。
【0046】
不燃性で弾力性のあるシーリング材が栓上及び大きな寸法の管、母線路、管路及び電気ケーブル上に塗布されて、栓をされた後に約100mmの長さにわたって管等を被覆する。
【0047】
本発明による閉鎖システムを提供する方法は以下の通りである。
【0048】
管、管路及び母線路の場合、通路の空いている隙間がその外周領域から始めに、モジュール式充填要素により充填される。その後、管、管路及び母線路の間に空いたままの中央領域を充填することにより作業が完了する。
【0049】
非金属管の場合、隔壁の開口及び鍔の間に空いている隙間が充填される。
【0050】
所定の相互距離を必要とする電気ケーブルの場合、ケーブルは、開口の中心に配置されたケーブルから始まり、最も外周に至るケーブルまで、モジュール式充填要素により覆われる。その後、開口の縁とケーブルの間に空いたままの外周領域を充填することにより作業が完了する。
【0051】
束ねられた電気ケーブルの場合、開口の縁と束の間の開放領域を閉鎖する為にモジュール式充填要素が充填される。開口が完全に栓をされると、栓が、例えば単一構成の繊維基材からなり、へらや押出し成形により簡単に塗布できる、不燃性で弾力性のあるシーリング材により被覆される。シーリング材の塗布は、管、管路、母線路及び中央電気ケーブルの周りから始まり、次第に外周領域に向かい、隔壁まで達する。いわゆる「標準」システムの場合、交差領域の両側に対称的にシーリング材が塗布され、また、いわゆる「片側」システムの場合、塗布の全体の厚さを最小に維持したままで片側からシーリング材が塗布される。
【0052】
2つの構成が同等であることは、SOLASにより提供された耐火性の標準実験の実施により実証されている。
【0053】
「片側」システムは、塗布が必要な船上の隔壁の両側の片側にアクセスすることが困難な場合に、特に有益である
【0054】
管、管路、母線路及び電気ケーブルは、例えば直径52mm以上の大きな寸法を有し、また、随意的に閉鎖システムの両側において、100mmの長さにわたってシーリング材により被覆されている。
【0055】
シーリング材の層の厚さは、参考として、モジュール式要素の幅を有し、「標準」システムの場合、10mmの最小厚さでモジュール式要素上に塗布され、「片側」システムの場合、20mmの最小厚さである。
【0056】
シーリング材を備えた、大きな寸法を有する管、管路、母線路及び電気ケーブルの被覆の厚さは、数ミリで十分である。
【0057】
開口を通過する管、管路、母線路及び電気ケーブルの適切な次の改良の場合、時間が経って固化したシーリング材に穴を開け、新しい管、管路、母線路及び電気ケーブルを得られた穴に挿入し、その後、へらによりまだ空いている開口にシーリング材を配置して全てが修復される。
【0058】
本発明による閉鎖システムの提供により、その後の予期せぬ通過を利用可能にする為に追加の穴を空いたままにすることも可能であるが、使用されない場合、穴は閉じられる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】準備段階を示す、本発明による管及び電気ケーブルの通路の閉鎖システムの前断面図である。
【図2】図1のII−II面に沿った横断面図である。
【図3】図1と同様の、管及び電気ケーブルの通路の完成した閉鎖システムの前断面図である。
【図4】図3のIV−IV面に沿った横断面図である。
【図5】本発明による管及び電気ケーブルの通路の更なる閉鎖システムの前断面図である。
【図6】図5のVI−VI面に沿った横断面図である。
【図7】本発明による母線路の通路の更なる閉鎖システムの前断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII面に沿った横断面図である。
【図9】本発明による鋼及び軽合金構造物上の電気ケーブル、管及び管路の通路の更なる閉鎖システムの側断面図である。
【図10】本発明による水密性鋼及び軽合金構造物上の電気ケーブル、管及び管路の通路の更なる閉鎖システムの側断面図である。
【図11】図1と同様の、非金属管の通路の完成した閉鎖システムの前断面図である。
【図12】図11のXII−XII面に沿った横断面図である。
【図13】非金属管の挿入ステップを示す斜視図である。
【図14】図11と同様の、完成した閉鎖システムを示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
更なる特性及び利点は、添付の図面に非限定例として図示する、本発明の好ましいが非限定的な実施形態の記載からより明らかになるであろう。
【0061】
様々な図面において、同様の要素は同じ符号により示されている。
【0062】
開口15は、管及び/又は管路19及び母線路22の間の通路の空いている隙間にモジュール式充填要素12を充填することにより栓をされる。
【0063】
モジュール式充填要素12がケーブル20の周りを覆い、そして、手で適切な長さに切断され、又は折られる。
【0064】
中央のケーブルから始まって全てのケーブルが覆われた後に、ケーブル20と開口15の縁の間に空いたままの外周領域に、この位置においても符号12で示されているモジュール式充填要素を充填することにより作業が完了する。
【0065】
特定の場合においては、モジュール式充填要素12として、商標名「MODULI DI RIEMPIMENTO FR」として知られる、厚さ30mm、幅40mm及び長さ1mを有するストリップの寸法の、自消性ポリウレタンのストリップから成る材料が使用される。30mmの厚さ及び材料の密度により、ストリップが取付けられた時に、加圧時においても最小必要距離を確保する。
【0066】
一定の幅40mmが栓の最小厚さを確保する。ケーブル20、管及び管路19、並びに母線路22に対して、モジュール式充填要素12の両側にシーリング材13が塗布される。図示されている例においては、商標名「Navycross」として知られる、不燃性で弾力性のあるシーリング材13が使用されている。
【0067】
栓の完全な閉鎖を提供して適切な機械的強度を与える、シーリング材13の層の厚さは両側に10mmずつであり、したがって、充填要素12の幅40mmに加えられ、閉鎖装置の全体の厚さは60mmである。
【0068】
閉鎖装置の全体の厚さは「片側」システムの場合にも60mmに達し、前記の「標準」システムにおける10mmのシーリング材+40mmの充填モジュール+10mmのシーリング材が、40mmの充填モジュール+20mmのシーリング材に置き換えられる。
【0069】
図11〜14に符号23で示されている、強化繊維ガラスを除く非金属管の交差部分に栓をする場合、60分間の必要な耐火性を確保する為に、シーリング材13は鍔24の長さ全体を完全に被覆するように隔壁の両側に塗布される。
【0070】
この事実は基準を順守する保証を与える。なぜなら、船舶登録の認可は使用されている材料の厚さ及び対応する組立システムの順守に関連しているからである。
【0071】
さらに、図2、4、6及び8においてより詳しく示しているように、52mm以上の直径を有する大きな寸法の管、管路及びケーブルも、閉鎖システムの厚さに加えて、約100mmの長さの部分にわたって、約3mmの厚さの同様の不燃性で弾力性のあるシーリング材13で被覆される。
【0072】
上記構成は、耐火試験において越えてはいけない最大許容試験温度に関するSOLAS基準を順守する為に、炎により影響を受けないバルクヘッドの傍らに提供される。
【0073】
図示した例による規定により、水頭下及びA60級バルクヘッドの特性の継続性を復元する閉鎖システムが得られる。
【0074】
水頭下における閉鎖システムの使用は、図10に概略的に示しているように、防水材30によるシーリング材の表面処理を必要とする。
【0075】
実際に、本発明は意図する目的を達成することが見出されている。
【0076】
本発明は、2011年2月1日出願のイタリア国特許出願GE2011A000010の優先権を主張するものであり、その内容は参照として組み込まれている。
【符号の説明】
【0077】
12 モジュール式充填要素
13 シーリング材
15 開口
19 管、管路
20 ケーブル
22 母線路
23 非金属管
24 鍔
30 防水材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の隔壁を通る管、管路、母線路及び電気ケーブルの通路の開口を閉鎖する為の閉鎖システムであって、
空いたままの開口をモジュール式充填要素により栓をし、栓を不燃性で弾力性のあるシーリング材により被覆することを特徴とする閉鎖システム。
【請求項2】
不燃性で弾力性のあるシーリング材が、閉鎖の片側又は両側において、例えば52mm以上の直径を有する大きな寸法の管、管路、母線路及び電気ケーブルを、約100mmの長さにわたって約3mmの厚さで被覆することを特徴とする請求項1に記載の閉鎖システム。
【請求項3】
不燃性で弾力性のあるシーリング材が、商標名「Navycross」として知られる材料等から成ることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖システム。
【請求項4】
モジュール式充填要素が、事前に設定された幅を有する自消性ポリウレタン発泡体、ミネラルウール等のストリップから成ることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖システム。
【請求項5】
モジュール式充填要素が、商標名「Moduli di riempimento FR」として知られる材料から成ることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖システム。
【請求項6】
不燃性で弾力性のあるシーリング材が、単一構成の繊維基材から成ることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖システム。
【請求項7】
モジュール式充填要素が厚さ30mm、幅40mm及び長さ1mを有し、かつ、不燃性で弾力性のあるシーリング材の厚さが両側に10mmずつであり、それにより、閉鎖システムの全体の厚さが60mmであることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖システム。
【請求項8】
通路の外周領域から始まり通路の空いている開口にモジュール式充填要素を充填することにより、管、管路及び母線路に栓がされ、その後、管、管路及び母線路の間に空いたままの中央領域にモジュール式充填要素を充填することにより作業が完了し、一方、電気ケーブルの通路については、開口の中央に位置したケーブルから始まり最も外周に位置したケーブルまで、ケーブルをモジュール式充填要素により覆うことにより充填がなされ、その後、開口の縁とケーブルの間に空いたままの外周領域にモジュール式充填要素を充填することにより作業が完了し、
開口が完全に栓をされた後に、中央管、管路、母線路及び電気ケーブルの周りから始まり徐々に外周領域に向かい隔壁に至るまで、へら又は押出し成形により塗布される不燃性で弾力性のあるシーリング材により被覆され、
例えば52mm以上の直径を有する大きな寸法の管、管路、母線路及び電気ケーブルが、閉鎖システムの片側又は両側において約100mmの長さにわたって約3mmの厚さで、不燃性で弾力性のあるシーリング材により被覆される、
ことを特徴とする請求項1に記載の閉鎖システム。
【請求項1】
船舶の隔壁を通る管、管路、母線路及び電気ケーブルの通路の開口を閉鎖する為の閉鎖システムであって、
空いたままの開口をモジュール式充填要素により栓をし、栓を不燃性で弾力性のあるシーリング材により被覆することを特徴とする閉鎖システム。
【請求項2】
不燃性で弾力性のあるシーリング材が、閉鎖の片側又は両側において、例えば52mm以上の直径を有する大きな寸法の管、管路、母線路及び電気ケーブルを、約100mmの長さにわたって約3mmの厚さで被覆することを特徴とする請求項1に記載の閉鎖システム。
【請求項3】
不燃性で弾力性のあるシーリング材が、商標名「Navycross」として知られる材料等から成ることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖システム。
【請求項4】
モジュール式充填要素が、事前に設定された幅を有する自消性ポリウレタン発泡体、ミネラルウール等のストリップから成ることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖システム。
【請求項5】
モジュール式充填要素が、商標名「Moduli di riempimento FR」として知られる材料から成ることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖システム。
【請求項6】
不燃性で弾力性のあるシーリング材が、単一構成の繊維基材から成ることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖システム。
【請求項7】
モジュール式充填要素が厚さ30mm、幅40mm及び長さ1mを有し、かつ、不燃性で弾力性のあるシーリング材の厚さが両側に10mmずつであり、それにより、閉鎖システムの全体の厚さが60mmであることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖システム。
【請求項8】
通路の外周領域から始まり通路の空いている開口にモジュール式充填要素を充填することにより、管、管路及び母線路に栓がされ、その後、管、管路及び母線路の間に空いたままの中央領域にモジュール式充填要素を充填することにより作業が完了し、一方、電気ケーブルの通路については、開口の中央に位置したケーブルから始まり最も外周に位置したケーブルまで、ケーブルをモジュール式充填要素により覆うことにより充填がなされ、その後、開口の縁とケーブルの間に空いたままの外周領域にモジュール式充填要素を充填することにより作業が完了し、
開口が完全に栓をされた後に、中央管、管路、母線路及び電気ケーブルの周りから始まり徐々に外周領域に向かい隔壁に至るまで、へら又は押出し成形により塗布される不燃性で弾力性のあるシーリング材により被覆され、
例えば52mm以上の直径を有する大きな寸法の管、管路、母線路及び電気ケーブルが、閉鎖システムの片側又は両側において約100mmの長さにわたって約3mmの厚さで、不燃性で弾力性のあるシーリング材により被覆される、
ことを特徴とする請求項1に記載の閉鎖システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−159194(P2012−159194A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−17569(P2012−17569)
【出願日】平成24年1月31日(2012.1.31)
【出願人】(512025517)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月31日(2012.1.31)
【出願人】(512025517)
【Fターム(参考)】
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