説明

船舶用転舵装置、及び船舶

【課題】左右方向に転舵させた船舶推進機を中立位置の方向に転舵させるときに、操作感良く転舵させることができる船舶用転舵装置及び船舶を提供する。
【解決手段】電動モータ20aが、左右方向に配設されたネジ棒21に装着され、このネジ棒21に沿って電動モータ20aが左右方向に移動することで船外機12を転舵させる船舶において、ネジ棒21の両端部にスプリング18a,18bを設ける。転舵角が最大転舵角を含む所定角度範囲内にある船外機12を中立位置の方向に戻す際に、いずれかのスプリング18a,18bが電動モータ20aをネジ棒21の中央方向に押圧し、電動モータ20aの転舵トルクをアシストするようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングと船外機とを電気的に接続した船舶用転舵装置、及び船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種の船舶用転舵装置においては、特許文献1に記載されたようなものがある。即ち、この特許文献1には、船体の外部に、内燃機関、進行用のプロペラ(スクリュー)、舵などを備えた船舶推進機としての船外機が設けられ、船体と船外機との接続部分には、船外機を左右方向に転舵させるための転舵用アクチュエータとしての転舵モータが設けられ、転舵モータと操船席に設けられたハンドルとが信号の送受信が可能な信号ケーブルによって接続されている。ハンドルには回転角センサが設けられ、転舵モータは回転角センサの検知したハンドルの回転方向及び回転角に基づいて回転して船外機を転舵させる。
【0003】
図10は、従来の船外機における転舵角と転舵に必要なトルクの関係を示す模式図である。同図は、「図の見方」として示した通り、横軸が転舵角(0が転舵角0°を示し、同位置より右側が右方向転舵角、同位置より左側が左方向転舵角を示す。)、縦軸が転舵に必要なトルクの大きさを示す(船外機を右方向に転舵させる時は同図上側ほどトルクが大きいことを示し、船外機を左方向に転舵させる時は同図下側ほどトルクが大きいことを示す)。そして、舵を切るときに必要なトルクは、右方向に舵を切るとき(縦軸より右側)は図の上側(第一象限)ほど、左方向に舵を切るとき(縦軸より左側)は図の下側(第三象限)ほど大きいことを示す。一方、舵を戻すときに必要な転舵トルクは、右方向から舵を戻すとき(縦軸より右側)は図の下側(第四象限)ほど、左方向から舵を戻すとき(縦軸より左側)は図の上側(第二象限)ほど大きいことを示す。
【0004】
図10に示す通り、転舵角0°から右方向に舵を切る場合(同図矢印(1)に示す場合)、及び転舵角0°から左方向に舵を切る場合(同図矢印(3)に示す場合)には、転舵角0°の時が必要なトルクは最大で、転舵角が大きくなるほど必要なトルクは小さくなる。一方、右方向に舵を切った状態から転舵角0°方向に舵を戻す場合(同図矢印(2)に示す場合)、及び左方向に舵を切った状態から転舵角0°方向に舵を戻す場合(同図矢印(4)に示す場合)には、転舵角が大きいほど必要な転舵トルクが大きく、転舵角が小さくなるほど必要な転舵トルクは小さくなる。
【特許文献1】特許第2959044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、船舶の航行中に船舶を旋回させた場合、船外機には転舵した方向に水圧が加わる。そのため、図10の模式図に示す通り、船外機を左右方向のうち転舵角が大きくなる方向に転舵させる(本明細書において「舵を切る」と称する。)ときよりも、一旦左方向又は右方向に転舵させた船外機を中立位置(船外機の前後方向が船体の前後方向に沿った、転舵角0度の位置のこと。本明細書において同じ。)方向に転舵させる(本明細書において「舵を戻す」と称する。)ときの方が大きな転舵トルクが必要となる。
【0006】
しかし、引用文献1に記載の発明においては、このような転舵トルクの不均衡に対処するための機構は設けられていないため、舵を切るときよりも舵を戻すときの転舵トルクが大きくなるという問題がある。また、船外機の転舵に必要な転舵トルクは、船外機に設けられたプロペラ(スクリュー)の回転によって生ずるプロペラ回転反力の大きさや向き等によっても相違するため(例えば図10の模式図に示す通り、一方側に転舵するときの最大転舵トルクAは、他方側に転舵するときの最大転舵トルクBよりも大きくなる。)、引用文献1に記載の発明においては、これらの諸条件に起因して、特定方向から舵を戻す際の操作感が良くないという問題もある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、左右方向に転舵させた船舶推進機を中立位置の方向に転舵させるときに、操作感良く転舵させることができる船舶用転舵装置、及び当該船舶用転舵装置を搭載した船舶を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、転舵用アクチュエータの駆動力によって、船舶推進機を船体に対して水平方向に回動させて中立位置から左右方向に転舵させる船舶用転舵装置において、前記船舶推進機が前記中立位置に対し左右方向の少なくとも何れか一方に転舵された際に、前記中立位置の方向に所定の付勢力を発生させる転舵アシスト手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記転舵アシスト手段は、前記船舶推進機の転舵角が最大転舵角を含む所定角度範囲内にあるときに前記転舵用アクチュエータに対し前記付勢力を付与することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記転舵アシスト手段は、前記船舶推進機を駆動させた際に生ずるプロペラ回転反力が作用する方向と逆方向に前記付勢力を付与することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項 乃至3の何れか一つに記載の構成に加え、軸方向が前記船体の左右方向に沿って配設された軸を備え、該軸の前記軸方向に沿って前記転舵用アクチュエータを移動可能に設置し、前記転舵アシスト手段は、前記軸の端部に配設されて前記転舵用アクチュエータを前記中立位置の方向に押圧する付勢手段であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一つに記載の構成に加え、前記軸に配設された前記転舵用アクチュエータと、該転舵用アクチュエータに取り付けられた連結ブラケットと、該連結ブラケット及び前記船舶推進機の回動中心であるスイベル軸とを備え、前記転舵アシスト手段は、前記転舵用アクチュエータを前記船体の前方方向に平行移動させる付勢手段であることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一つに記載の構成に加え、前記転舵アシスト手段は、前記船舶推進機の転舵方向に配設され該船舶推進機が転舵された際に前記船舶推進機の一部を押圧する付勢手段であることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項4乃至6の何れか一つに記載の構成に加え、前記付勢手段は、シリンダ及びピストン、ばね、トーションスプリングのうち少なくとも何れか一つによって形成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れか一つに記載の構成に加え、前記転舵用アクチュエータは電動アクチュエータであることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の何れか一つに記載の船舶用転舵装置を搭載した船舶であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記請求項1に記載の発明によれば、船舶用転舵装置において、船舶推進機が中立位置に対し左右方向の少なくとも何れか一方に転舵された際に、中立位置の方向に所定の付勢力を発生させる転舵アシスト手段を備えたことにより、船舶推進機の舵を切ったのち中立位置の方向に舵を戻す際に、転舵アシスト手段が転舵用アクチュエータと同じ方向に付勢力を発生させて、転舵用アクチュエータの負荷を減らすことができる。これにより、左右方向に転舵させた船舶推進機を中立位置の方向に転舵させるときに、操作感良く転舵させることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、船舶推進機の転舵角が最大転舵角を含む所定角度範囲内にあるときに転舵用アクチュエータに対し付勢力を付与することにより、船舶推進機を転舵させるために必要な転舵トルク量が最大又は最大近傍になる時点において転舵用アクチュエータの転舵トルクをアシストし、転舵用アクチュエータの転舵トルクを低減させることができる。これにより、左右方向に転舵させた船舶推進機を中立位置の方向に転舵させるときに、一層操作感良く転舵させることができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、転舵アシスト手段は、船舶推進機を駆動させた際に生ずるプロペラ回転反力が作用する方向と付勢力を付与することにより、船舶推進機を転舵させるために必要な転舵トルク量が最大となる転舵方向において転舵用アクチュエータの転舵トルクをアシストし、転舵用アクチュエータの転舵トルクを低減させることができる。これにより、左右方向に転舵させた船舶推進機を中立位置の方向に転舵させるときに、一層操作感良く転舵させることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、軸方向が船体の左右方向に沿って配設された軸を備え、軸の軸方向に沿って転舵用アクチュエータを移動可能に設置し、転舵アシスト手段は、軸の端部に配設されて転舵用アクチュエータを中立位置の方向に押圧する付勢手段であることにより、軸に沿って船体の左右方向に転舵用アクチュエータを移動させて船舶推進機を転舵させる船舶用転舵装置において、簡易な構成で確実に転舵用アクチュエータにアシスト力を付与することを可能とし、転舵用アクチュエータの転舵トルクを低減させることができる。これにより、左右方向に転舵させた船舶推進機を中立位置の方向に転舵させるときに、一層操作感良く転舵させることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、軸に配設された転舵用アクチュエータと、該転舵用アクチュエータに取り付けられた連結ブラケットと、連結ブラケット及び船舶推進機の回動中心であるスイベル軸とを備え、転舵アシスト手段は、転舵用アクチュエータを船体の前方方向に平行移動させる付勢手段であることにより、転舵用アクチュエータが軸の端部側に移動するほど付勢手段の付勢によって転舵用アクチュエータが船体前方に移動する。そして、転舵トルクが大きくなるほど転舵用アクチュエータとスイベル軸との距離が長くなり、舵を戻すときの転舵用アクチュエータの転舵トルクを低減させることができる。これにより、左右方向に転舵させた船舶推進機を中立位置の方向に転舵させるときに、一層操作感良く転舵させることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、転舵アシスト手段は、船舶推進機の転舵方向に配設され船舶推進機が転舵された際に船舶推進機の一部を押圧する付勢手段であることにより、転舵用アクチュエータを直接押圧するための特段の構成を付加することなく、簡易な構成で転舵用アクチュエータにアシスト力を付与することを可能とし、転舵用アクチュエータの転舵トルクを低減させることができる。これにより、左右方向に転舵させた船舶推進機を中立位置の方向に転舵させるときに、一層操作感良く転舵させることができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、付勢手段は、シリンダ及びピストン、ばね、トーションスプリングのうち少なくとも何れか一つによって形成されたことにより、付勢部材を機械的構成によって形成することができる。これにより、簡易な構成で確実に転舵用アクチュエータにアシスト力を付与することが可能となる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、転舵用アクチュエータは電動アクチュエータであることにより、電力によって駆動するアクチュエータにおいて、左右方向に転舵させた船舶推進機を中立位置の方向に転舵させるときに、操作感良く転舵させることができる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、上記効果を有する船舶用転舵装置が搭載された船舶を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
(発明の実施の形態1)
【0027】
図1乃至図3には、この発明の第1の実施の形態を示す。
【0028】
まず構成を説明すると、この第1の実施の形態の船舶は、図1に示すように、船体10の船尾板11に「船舶推進装置」としての船外機12がクランプブラケット13を介して取り付けられ、この船外機12は、上下方向に沿うスイベル軸(操舵ピボット軸)14廻りに回転可能となっている。
【0029】
このスイベル軸14の上端部には、ステアリングブラケット15が固定され、このステアリングブラケット15の前端部15aに舵切り装置16aが連結され、この舵切り装置16aが、操船席に配設されたハンドル17により操作されて駆動されるようになっている。
【0030】
その舵切り装置16aは、図2に示すように、「転舵用アクチュエータ」及び「電動アクチュエータ」としての例えばDD(Direct Drive)型電動モータ20aを有し、この電動モータ20aが、左右方向に配設された「軸」としてのネジ棒21に装着され、このネジ棒21に沿って左右方向に移動するように構成されている。
【0031】
そのネジ棒21は、両端部が左右一対の支持部材22に支持され、これら支持部材22は、チルト軸23に支持されている。
【0032】
そして、その電動モータ20aには、連結ブラケット24が後方に向けて突設され、この連結ブラケット24とステアリングブラケット15とが連結ピン25を介して連結されている。
【0033】
これにより、電動モータ20aが駆動して、ネジ棒21に対して左右方向に移動することにより、連結ブラケット24及びステアリングブラケット15を介して船外機12が、スイベル軸14を中心として回動するように構成されている。
【0034】
ネジ棒21の両端部には、それぞれ「転舵アシスト手段」及び「付勢手段」としてのスプリング18a,18bが配設されている。スプリング18a,18bは内径がネジ棒21より若干大きなコイルばねであって、支持部材22の両端部とネジ棒21の両端部近傍にそれぞれ配設された円環状のストッパ19a,19bとの間に挟持されている。「転舵アシスト手段」及び「付勢手段」をスプリング18a,18bという機械的構成によって形成したことにより、簡易な構成で確実に電動モータ20aにアシスト力を付与できる。
【0035】
スプリング18a,18bの弾力は、船外機12の舵を戻す際のプロペラ回転反力が大きくなる側は、プロペラ回転反力が小さくなる側よりも大きくなるように設定されている。
【0036】
スプリング18a,18bの弾力の大きさは、電動モータ20aに要求される転舵トルク量に基づいて設定されている。具体的には、舵を戻す際のプロペラ回転反力が大きくなる側のスプリング(ここではスプリング18a)の弾力は、舵を戻す際のプロペラ回転反力が小さくなる側のスプリング(ここではスプリング18b)よりも、一方側の最大転舵トルクから他方側の最大転舵トルクを引いた分(例えば図7において、一方側の最大転舵トルクAから他方側の最大転舵トルクBを引いた分)だけ大きくなり、電動モータ20aの転舵トルクの不均衡が是正されるように設定されている。
【0037】
さらに、スプリング18a,18bの弾力は、船外機12や船体10の重量等、船外機12を転舵させるとき電動モータ20aの転舵トルクに影響を及ぼす物理量にも基づいて設定されている。具体的には、船外機12や船体10の重量が大きいほど、スプリング18a,18bの弾力は大きく設定される。
【0038】
なお、この実施の形態では直接関係しないが、船体10に船外機12を複数設けた船舶に本発明を適用する場合は、各船外機の船体に対する設置位置もスプリング18a,18bの弾力設定の基となる物理量として用いられる。具体的には、各船外機が船尾板11の内側寄りに設けられている場合にはスプリング18a,18bの弾力は小さく設定され、逆に、船尾板11の外側寄りに設けられている場合にはスプリング18a,18bの弾力は大きく設定される。
【0039】
一方、ハンドル17は、図1に示すように、ハンドル軸26に固定され、このハンドル軸26の基端部にハンドル制御部27が設けられ、このハンドル制御部27には、ハンドル17の操舵角を検出するハンドル操舵角センサ28及び、ハンドル17の操作時にこのハンドル17に対して所望の反力を付与する反力モータ29が設けられている。
【0040】
このハンドル制御部27が、信号ケーブル30を介して制御装置(ECU Engine Control Unit)31に接続され、この制御装置31が舵切り装置16aの電動モータ20aに接続され、この制御装置31にハンドル操舵角センサ28からの信号が入力され、この制御装置31にて電動モータ20aが制御駆動されると共に、この制御装置31にて反力モータ29が制御されるように構成されている。
【0041】
その制御装置31には、船体10の各所や船外機12に設けられた各種検知手段32から、ハンドル17の操舵状態、船外機12の転舵状態、船体10の走行状態等の検知信号が供給される。この各種検知手段32は、例えば、ハンドル操作に従った転舵に必要な転舵トルクを検出するトルクセンサ、船外機12の現在の操舵角度、操舵速度、操舵方向を検出する船外機操舵角センサ、ハンドル操作に従った転舵の転舵角度偏差を検出する偏差検出手段、船舶の喫水位置や重量を検出する重量検出手段と、船舶のトリム角を検出するトリム角センサ、船舶の速度、加速度、推力、船外機12の出力等を検出する速度センサ等により構成されている。
【0042】
さらに、制御装置31には、船外機12の数量、船外機12の船舶に対する搭載位置、船外機12に設けられたプロペラ33(図3参照)の回転方向の情報を記憶しこれらの情報を制御装置31の要求に基づいて出力する操舵記憶手段34が接続されている。勿論、操舵記憶手段34は制御装置31に内蔵されていても良い。
【0043】
次に、この実施の形態の作用について説明する。
【0044】
まず、操船者によってハンドル17が所定量回転されるとハンドル操舵角センサ28や各種検知手段32の検知信号が制御装置31に信号が送られ、更に各種検知手段32から検知信号や各種信号が制御装置31に送られる。制御装置31は、これらの検知信号や各種情報、更に及び操舵記憶手段34に記憶された各種情報に基づいて、船外機12の転舵に必要な転舵トルク、ハンドル操作に基づく操舵の操舵角度、操舵速度、操舵方向等を算出する。制御装置31は、これらの信号や算出結果に基づいて電動モータ20aを回動させる。電動モータ20aが回動すると、ネジ棒21に沿って左右方向に移動し、船外機12がスイベル軸14を中心に回動して向きを変える。
【0045】
例えば、船外機12について、左側(図2の下側)一杯に舵を切る場合を考える。ハンドル17が左側に切られると、電動モータ20aが一方側に回動しネジ棒21上を右側(図2の上側)に移動してネジ棒21の右端近傍まで移動する。このとき、電動モータ20aとストッパ19aとが接触する接触範囲α11において、電動モータ20aの端部がスプリング18aを押圧する。この状態から船外機12の舵を戻すためにハンドル17を右側に切ると、電動モータ20aが他方側に回動する。このとき、接触範囲α11において、電動モータ20aにはスプリング18aの弾力が加わる。そして、電動モータ20aは自身の回動力に加えてスプリング18aの弾力によってネジ棒21上を中央方向に移動することになる。一方、船外機12について右側一杯に舵を切った後に舵を戻す場合は、接触範囲α21において、電動モータ20aは自身の回動力に加えてスプリング18bの弾力によってネジ棒21を中央方向に移動する。
【0046】
以上、この実施の形態においては、ネジ棒21の端部に電動モータ20aをネジ棒21の軸方向に押圧するスプリング18a,18bを設けたことにより、ネジ棒21に沿って左右方向に電動モータ20aを移動させて船外機12を転舵させる構成において、簡易な構成で確実に電動モータ20aにアシスト力を付与することが可能となる。
【0047】
また、この実施の形態においては、電動モータ20aがネジ棒21の端部における接触範囲α11,α21、即ち船外機12の転舵角が最大転舵角を含む所定角度範囲内にあるときに、スプリング18a,18bは電動モータ20aに対してアシスト力を付与することにより、船外機12において舵を戻すために必要な転舵トルク量が最大又は最大近傍になる時点において電動モータ20aの転舵トルクをアシストすることができる。
【0048】
また、この実施の形態においては、スプリング18a,18bのうち一方は、船外機12において舵を戻す際のプロペラ回転反力が大きくなる側においてアシスト力を付与することにより、船外機12の舵を戻すために必要な転舵トルク量が最大となる転舵方向において電動モータ20aの転舵トルクをアシストできる。
【0049】
また、この実施の形態においては、スプリング18a,18bのアシスト力は、船外機12の舵を戻す際の転舵トルクや、転舵トルクに影響を与える物理量としての船体10及び船外機12の重量に基づいて設定されていることにより、スプリング18a,18bの弾性力を、電動モータ20aに的確なアシスト力が付与されるように設定する。
【0050】
図4は、この実施の形態に係る船外機12の転舵角と転舵に必要なトルクの関係を示す模式図である。同図は、船外機12の転舵角と転舵に必要なトルクの関係を、前述した図10の模式図と同様に示したものである。
【0051】
この図4の模式図に示すように、左右方向に転舵させた船外機12の舵を戻すとき、一方側から転舵する際の転舵トルクと他方側から転舵する際の転舵トルクの不均衡を是正することができる。
【0052】
そして、この実施の形態においては、船外機12の舵を戻すときの電動モータ20aの負荷を減らすことができる。具体的には、図4の模式図に示すように、接触範囲α11(図2参照)の角度α、接触範囲α21(図2参照)の角度αにおいて電動モータ20aにスプリング18a,18bのアシスト力が加わった結果、舵を戻す際のトルクの値Tはアシスト力なしで舵を戻す場合のトルクの値Tよりも減少する。これにより、左右方向に転舵させた船外機12を中立位置の方向に転舵させるときに、操作感良く転舵させることができる。
【0053】
なお、この実施の形態においてはネジ棒21の両端部にスプリング18a,18bを設ける構成としたが、船外機12の舵を戻す際のプロペラ回転反力が大きくなる側のみにスプリングを設ける構成としてもよい。
(発明の実施の形態2)
【0054】
図5に、この発明の第2の実施の形態を示す。
【0055】
この実施の形態においては、実施の形態1の船舶における舵切り装置16aに代えて図5に示す舵切り装置16bが設けられている。同図に示す通り、舵切り装置16bの電動モータ20bの両端部には押圧突起部41a,41bが設けられている。押圧突起部41a,41bは内径がネジ棒21の外径よりもやや大きい略円筒形であり、ネジ棒21に挿通されている。
【0056】
また、この実施の形態においては、支持部材22の両端部にはそれぞれシリンダ42a,42bが設けられ、シリンダ42a,42bの内部にはそれぞれピストン43a,43bが配設され、シリンダ42a,42b及びピストン43a,43bは「付勢部材」を形成している。シリンダ42a,42bはネジ棒21の外形よりも内径の大きな略円筒形であって、軸方向がネジ棒21の軸方向に沿った形でそれぞれ内側に突設されている。ピストン43a,43bは、内径がネジ棒21の外径に略等しく、外径がシリンダ42a,42bの内径に略等しい円環状に形成されている。ピストン43a,43bは、シリンダ42a,42bの内部をシリンダ42a,42b及びネジ棒21の軸方向に摺動可能となっている。「付勢手段」をシリンダ42a,42b及びピストン43a,43bという機械的構成によって形成したことにより、簡易な構成で確実に電動モータ20bにアシスト力を付与できる。
【0057】
シリンダ42a,42bの内部はそれぞれ空隙部44a,44bに形成され、この空隙部44a,44bには、圧縮空気など、大気圧よりも高圧の気体が封入されている。
【0058】
空隙部44a,44bに封入された空気圧は、実施の形態1のスプリング18a,18bの弾力と同様、電動モータ20bに要求される転舵トルク量に基づいて設定されている。具体的には、舵を戻す際のプロペラ回転反力が大きくなる側のシリンダ(ここではシリンダ42a)における空隙部(ここでは空隙部44a)の空気圧は、舵を戻す際のプロペラ回転反力が小さくなる側のシリンダ(ここではシリンダ42b)における空隙部(ここでは空隙部44b)よりも、一方側の最大転舵トルクから他方側の最大転舵トルクを引いた分(例えば図8に示す、最大転舵トルクAから最大転舵トルクBを引いた分)だけ大きくなり、電動モータ20bの転舵トルクの不均衡が是正されるように設定されている。
【0059】
さらに、空隙部44a,44bの空気圧は、船外機12や船体10の重量等、船外機12を転舵させるとき電動モータ20bの転舵トルクに影響を及ぼす物理量にも基づいて設定されている。
【0060】
その他の構成は実施の形態1に係る発明と同じである。
【0061】
次に、この実施の形態の作用について説明する。
【0062】
ハンドル17が切られ、制御装置31の制御に基いて電動モータ20bが回動してネジ棒21に沿って左右方向に移動すると、船外機12がスイベル軸14を中心に回動して向きを変える。
【0063】
実施の形態1と同様に、例えば、船外機12を左側(図5の下側)一杯に転舵する場合を考える。ハンドル17が左側に切られ、電動モータ20bがネジ棒21の右端近傍まで移動すると、押圧突起部41aがシリンダ42aの内部に挿入され、押圧突起部41aがシリンダ42aに接触してシリンダ42aをネジ棒21の端部方向に押圧する。この状態からハンドル17を右側に切ると、電動モータ20bは中央方向に移動を開始するが、押圧突起部41aとシリンダ42aとが接触する接触範囲α12においてこのとき電動モータ20bにはピストン43aを介して空隙部44a内の気圧に基づく弾力が加わる。そして、ネジ棒21の端部近傍にある電動モータ20bを中央方向に戻すとき(即ち、船外機12を最大転舵角まで転舵した状態から中立位置の方向に戻すとき)は、接触範囲α12において電動モータ20bは自身の回動力に加え、ピストン43aの弾力によってネジ棒21上を中央方向に移動する。同様に、ネジ棒21の他方側の接触範囲α12においても、電動モータ20bは自身の回動力に加え、ピストン43bの弾力によってネジ棒21上を中央方向に移動する。
【0064】
この実施の形態においても実施の形態1と同様の作用を奏し、船外機12の舵を戻すときの電動モータ20bの負荷を減らし、左右方向に転舵させた船舶推進機を中立位置の方向に転舵させるときに、操作感良く転舵させることができる。
(発明の実施の形態3)
【0065】
図6に、この発明の実施の形態を示す。
【0066】
この実施の形態においては、実施の形態1の舵切り装置16aに代えて舵切り装置16cが設けられている。舵切り装置16cは、電動モータ20aに代えて電動モータ20cが設けられ、ネジ棒21を支持する一対の支持部材22に代えて、「付勢手段」としての一対の支持部材51が設けられている。支持部材51は、連結部本体52aと略円柱状の支柱部52bと支柱部52bの周囲に配設されたスプリング52cとからなる。支柱部52bは連結部本体52aの内部に挿脱されることにより前後方向(図6における左右方向)に伸縮自在に形成され、スプリング52cはネジ棒21とクランプブラケット13とを前後方向に付勢している。電動モータ20cの上部には連結ブラケット53の一端部が連結され、連結ブラケット53の他端部は連結ピン54を介してステアリングブラケット15に連結されている。
【0067】
その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0068】
次に、この実施の形態の作用について説明する。
【0069】
ハンドル17が切られ、制御装置31の制御に基いて電動モータ20cが回動してネジ棒21に沿って左右方向に移動すると、船外機12がスイベル軸14を中心に回動して向きを変える。
【0070】
ここで、ネジ棒21とクランプブラケット13とはスプリング52cの付勢力によって離間方向に押圧されているので、電動モータ20cがネジ棒21の端部寄りに移動するほど支持部材51の支柱部52bが前後方向に伸長する。その結果、電動モータ20cから転舵時の回動中心であるスイベル軸14(図6に図示せず)までの距離が長くなる。従って、船外機12の転舵角度が大きいほど電動モータ20cは回動中心から遠距離でステアリングブラケット15に回動力を付与することになる。換言すれば、船外機12の転舵角が大きいほど電動モータ20cに瞬時に加わる負荷が軽減され、舵を戻すときの(単位時間当たりに必要な)電動モータ20cの転舵トルクが低減する。
(発明の実施の形態4)
【0071】
図7に、この発明の実施の形態を示す。
【0072】
この実施の形態においては、実施の形態1の舵切り装置16aに代えて舵切り装置16dが設けられている。舵切り装置16dは、ステアリングブラケット15に代えてステアリングブラケット61が設けられている。このステアリングブラケット61は、船外機12の舵を戻す時のプロペラ回転反力が他方に比べて大きくなる側である一側側に、「付勢手段」としてのスプリング62が設けられている。スプリング62はコイルばねであって一端部がステアリングブラケット61に固着されている。また、ステアリングブラケット61の下方に設けられたスイベル14aには、ステアリングブラケット61が一杯まで回動した際にスプリング62が当接する位置にストッパ63が突設されている。
【0073】
スプリング62の弾力は、電動モータ20a(図7に図示せず)に要求される転舵トルク量に基づいて設定されている。具体的には、スプリング62の弾力は、一方側の最大転舵トルクから他方側の最大転舵トルクを引いた分(例えば図8において、一方側の最大転舵トルクAから他方側の最大転舵トルクBを引いた分)の大きさに設定されている。
【0074】
それ以外の構成は実施の形態1と同じである。
【0075】
次に、この実施の形態の作用について説明する。
【0076】
船外機12を他方側(図7の右側)一杯に舵を切る場合、ハンドル17が他方側に切られると、電動モータ20aが一方側(図7における左側)に回動しネジ棒21上を左側に移動してネジ棒21の左端近傍まで移動する。このとき、ストッパ63がスプリング62に当接し、ストッパ63とスプリング62と接触する接触範囲α13において、スプリング62の弾力がストッパ63に加わる。そして、ネジ棒21の左端部近傍にある電動モータ20aを中央方向に戻すとき(即ち、船外機12を最大転舵角まで転舵した状態から舵を戻すとき)は、接触範囲α13において、電動モータ20aは自身の回動力に加え、スプリング62の弾力によってネジ棒21上を中央方向に移動する。
【0077】
以上、この実施の形態においては、電動モータ20aを直接押圧するための特段の構成を付加することなく、船外機12の舵を戻すときの電動モータ20aの負荷を減らし、また、左右方向に転舵させた船舶推進機を中立位置の方向に転舵させるときに、操作感良く転舵させることができる。
【0078】
なお、上記実施の形態4においては、スプリング62及びストッパ63を転舵時の転舵トルクが大きくなる一方側にのみ設けたが、スプリング及びストッパを他方側にも設け、双方の転舵トルクが最大になる際の電動モータ20aに加わる負荷を軽減することもできる。
(発明の実施の形態5)
【0079】
図8に、この発明の第5の実施の形態を示す。
【0080】
この実施の形態においては、実施の形態1の船舶におけるステアリングブラケット15に代えて、ステアリングブラケット71が設けられている。このステアリングブラケット71は、スイベル軸側の第一部材72の一端部と連結ブラケット24側の第二部材73の一端部とが、「付勢手段」としてのスプリング74によって連結されている構成を有する。このスプリング74はコイルばねであって、高い弾力を有すると共に、第一部材72と第二部材73とが離間する方向に引っ張る引張り力に対し高い戻り方向の付勢力を有する。尚、同様の機能を有するものであれば、「付勢手段」をコイルばね以外のスプリングや、スプリング以外の弾性体で形成してもよい。
【0081】
その他の構成は実施の形態1に係る発明と同じである。
【0082】
次に、この実施の形態の作用について説明する。
【0083】
ハンドル17が切られ、制御装置31の制御に基いて電動モータ20a(図8には図示せず)が回動してネジ棒21(図8には図示せず)に沿って左右方向に移動すると、船外機12がスイベル軸14を中心に回動して向きを変える。このとき、電動モータ20とスイベル軸14との間に介在するステアリングブラケット71には第一部材72と第二部材73とが離間する方向に引っ張る引張り力が加わり、この引張り力によってスプリング74が伸張する。これにより、スプリング74には付勢力が生じる。この付勢力によって第二部材73には引張り力と同じ方向(図8における斜め左上方向)に力F1が働き、この力F1が、ネジ棒21に装着されている電動モータ20aにおいては、ネジ棒21の中央方向に向かう分力F2として作用する。従って、舵を切った後に舵を戻す場合は、電動モータ20aは自身の回動力に加えて分力F2によってネジ棒21を中央方向に移動する。
【0084】
以上、この実施の形態においては、ステアリングブラケット71を軸方向に伸縮させるコイルばね74を設けたことにより、ネジ棒21に沿って左右方向に電動モータ20aを移動させて船外機12を転舵させる構成において、簡易な構成で確実に電動モータ20aにアシスト力を付与することが可能となる。
(発明の実施の形態6)
【0085】
図9に、この発明の第6の実施の形態を示す。
【0086】
この実施の形態においては、実施の形態1の船舶における連結ブラケット24に代えて、連結ブラケット81が設けられている。この連結ブラケット81は、ステアリングブラケット15側の第一部材82の一端部と電動モータ20a(図9に図示せず)側の第二部材83の一端部とが、「付勢手段」としてのスプリング84によって連結されている構成を有する。このスプリング84はコイルばねであって高い弾力を有すると共に、第一部材82と第二部材83とが離間する方向に引っ張る引張り力に対し高い戻り方向の付勢力を有する。尚、同様の機能を有するものであれば、「付勢手段」をコイルばね以外のスプリングや、スプリング以外の弾性体で形成してもよい。
【0087】
その他の構成は実施の形態1に係る発明と同じである。
【0088】
次に、この実施の形態の作用について説明する。
【0089】
ハンドル17が切られ、制御装置31の制御に基いて電動モータ20aが回動してネジ棒21(図9に図示せず)に沿って左右方向に移動すると、船外機12がスイベル軸14を中心に回動して向きを変える。このとき、電動モータ20aとスイベル軸14との間に介在する連結ブラケット81には第一部材82と第二部材83とが離間する方向に引っ張る引張り力が加わり、この引張り力F11によってスプリング84が伸張する。これにより、スプリング84には付勢力が生じる。この付勢力によって第一部材82には引張り力と逆方向(図9における下方向)に力F11が働き、この力F11が、ステアリングブラケット15においては、スイベル軸14を中心に戻り方向(図9に示す下方向)に回動するモーメントMとして作用する。このモーメントMは、電動モータ20aに対してネジ軸の中央方向に向かう分力F12として作用する。従って、舵を切った後に舵を戻す場合は、電動モータ20aは自身の回動力に加えて分力F12によってネジ棒21を中央方向に移動する。
【0090】
以上、この実施の形態においては、連結ブラケット81を軸方向に伸縮させるスプリング84を設けたことにより、ネジ棒21に沿って左右方向に電動モータ20aを移動させて船外機12を転舵させる構成において、簡易な構成で確実に電動モータ20aにアシスト力を付与することが可能となる。
【0091】
上記実施の形態1、2、4においては、付勢手段をシリンダ及びピストン、又はばねによって形成したが、トーションスプリングによって形成することもできる。
【0092】
上記各実施においては、転舵モータ20a,20b,20cに加わる負荷を軽減させる構成を1つずつ設けたが、これら各実施の形態にて設けた構成のうち2つ以上を組み合わせて設け、電動モータ20a,20b,20cに加わる負荷を一層軽減させてもよい。
【0093】
上記各実施の形態では、「転舵用アクチュエータ」を「電動アクチュエータ」としての電動モータ20a,20b,20cによって形成したが、これに限定されず、「転舵用アクチュエータ」を、電力以外の動力によって駆動するアクチュエータによって形成してもよい。
【0094】
上記各実施の形態では、電動モータ20a,20b,20cが配設された「軸」をネジ棒21によって形成したが、「転舵用アクチュエータ」を配設するための、ネジ棒21以外の「軸」を用いてもよい。
【0095】
上記各実施の形態では、「船舶推進装置」について船外機12を適用したが、これに限らず、船内外機でも良いことは勿論である。
【0096】
上記各実施の形態は例示であり、本発明が上記各実施の形態にのみ限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係る船舶の平面図である。
【図2】同実施の形態に係る船舶の舵取り装置の、一部を断面図として表した拡大平面図である。
【図3】同実施の形態に係る船舶の制御系統の機能ブロック図である。
【図4】同実施の形態に係る船外機の転舵角と転舵に必要なトルクの関係を示す模式図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態に係る船舶の舵取り装置の、一部を断面図として表した拡大平面図である。
【図6】この発明の第3の実施の形態に係る船舶の舵取り装置の部分拡大側面図である。
【図7】この発明の第4の実施の形態に係る船舶の舵取り装置の部分拡大平面図である。
【図8】この発明の第5の実施の形態に係る船舶の舵取り装置の部分拡大平面図である。
【図9】この発明の第6の実施の形態に係る船舶の舵取り装置の部分拡大平面図である。
【図10】従来の船外機における転舵角と転舵に必要なトルクの関係を示す模式図である。
【符号の説明】
【0098】
10 船体
12 船外機(船舶推進機)
14 スイベル軸
15,61 ステアリングブラケット
18a,18b スプリング(転舵アシスト手段、付勢手段)
20a,20b,20c 電動モータ(転舵用アクチュエータ、電動アクチュエータ)
21 ネジ棒(軸)
22,53 連結ブラケット
42a,42b シリンダ(転舵アシスト手段、付勢手段)
43a,43b ピストン(転舵アシスト手段、付勢手段)
51 支持部材(転舵アシスト手段、付勢手段)
62,74,84 スプリング(転舵アシスト手段、付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転舵用アクチュエータの駆動力によって、船舶推進機を船体に対して水平方向に回動させて中立位置から左右方向に転舵させる船舶用転舵装置において、
前記船舶推進機が前記中立位置に対し左右方向の少なくとも何れか一方に転舵された際に、前記中立位置の方向に所定の付勢力を発生させる転舵アシスト手段を備えたことを特徴とする船舶用転舵装置。
【請求項2】
前記転舵アシスト手段は、前記船舶推進機の転舵角が最大転舵角を含む所定角度範囲内にあるときに前記転舵用アクチュエータに対し前記付勢力を付与することを特徴とする請求項1に記載の船舶用転舵装置。
【請求項3】
前記転舵アシスト手段は、前記船舶推進機を駆動させた際に生ずるプロペラ回転反力が作用する方向と逆方向に前記付勢力を付与することを特徴とする請求項1又は2に記載の船舶用転舵装置。
【請求項4】
軸方向が前記船体の左右方向に沿って配設された軸を備え、
該軸の前記軸方向に沿って前記転舵用アクチュエータを移動可能に設置し、
前記転舵アシスト手段は、前記軸の端部に配設されて前記転舵用アクチュエータを前記中立位置の方向に押圧する付勢手段であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の船舶用転舵装置。
【請求項5】
前記軸に配設された前記転舵用アクチュエータと、該転舵用アクチュエータに取り付けられた連結ブラケットと、該連結ブラケット及び前記船舶推進機の回動中心であるスイベル軸とを備え、
前記転舵アシスト手段は、前記転舵用アクチュエータを前記船体の前方方向に平行移動させる付勢手段であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の船舶用転舵装置。
【請求項6】
前記転舵アシスト手段は、前記船舶推進機の転舵方向に配設され該船舶推進機が転舵された際に前記船舶推進機の一部を押圧する付勢手段であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の船舶用転舵装置。
【請求項7】
前記付勢手段は、シリンダ及びピストン、ばね、トーションスプリングのうち少なくとも何れか一つによって形成されたことを特徴とする請求項4乃至6の何れか一つに記載の船舶用転舵装置。
【請求項8】
前記転舵用アクチュエータは電動アクチュエータであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一つに記載の船舶用転舵装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一つに記載の船舶用転舵装置を搭載したことを特徴とする船舶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−126775(P2008−126775A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312228(P2006−312228)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000176213)ヤマハマリン株式会社 (256)