説明

色信号処理回路

【課題】回路規模を少なくしてコスト削減を図るとともに高画質化を実現する。
【解決手段】PAL信号処理時における色平均処理、及びSECAM信号処理時における同時化処理で使用するラインメモリ131を共有することによりコスト削減を図る。さらに、相関信号とSECAM復調信号とを間引いて多重化することで、SECAM復調信号の同時化処理を相関関係を用いて適応処理することができ、高画質化が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PAL放送方式の映像信号とSECAM放送方式の映像信号の2種類の放送方式を処理する装置において、映像信号の重畳されているクロマ信号を復調する色信号処理回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
欧州では、イギリス等で採用されているPAL放送方式とフランス等で採用されているSECAM放送方式との2種類のテレビジョン方式が混在しており、1つの地域で2つの放送方式が受信できる地域もあるために、テレビやビデオ等のカラーテレビジョン放送を扱う機器にはPAL方式とSECAM方式の両方の放送方式に対応したものがある。
【0003】
以下、色平均処理部と同時化処理部にそれぞれラインメモリを1個使用したときの従来の色信号処理回路の一例について図面を参照しながら説明する。図4は従来の色信号処理回路の構成を示すブロック図である。
【0004】
図4において、S1はクロマ信号を入力する入力端子、S2は放送方式を選択するためのPAL/SECAMセレクタ信号を入力する入力端子、S3は同時化処理の選択回路を制御するラインID信号、S4はR−Y信号/B−Y信号が多重された信号を出力する出力端子である。
【0005】
また、101は入力クロマ信号(C信号)がPAL方式の場合にR−Y信号とB−Y信号に復調するPAL用クロマ復調回路、102は入力クロマ信号がSECAM方式の場合にR−Y信号とB−Y信号に復調するSECAM用クロマ復調回路、103,104は画素を間引いた後に多重する間引きMPX回路、106,107は入力信号を1ライン遅延させるラインメモリ、108は垂直方向に画素の平均値を算出する演算回路、109は線順次信号を同時化させるための同時化処理セレクタ、105はPAL方式の色差信号とSECAM方式の色差信号とを選択的に出力するセレクタである。また、200は色平均処理部、300は同時化処理部である。
【0006】
以下、図4を参照しながら、従来の色信号処理回路について説明する。図4において、PAL方式のクロマ信号が入力端子S1に入力された場合には、PAL用クロマ復調回路101により色差信号(R−Y信号とB−Y信号)に復調される。
【0007】
復調された色差信号は、間引きMPX回路103で色差信号の画素がそれぞれ半分に間引かれ、それらの信号が多重されて色平均処理部200に出力される。これは、例えばデジタル符号化規格のように、色信号は人の目の感度が小さいのでデータ量を削減する際に良く使われるものである。
【0008】
前記色平均処理部200では、間引きMPX回路103の出力信号とラインメモリ106から出力される1ライン遅延信号とを用いて垂直方向の平均処理が行われ、平均処理された色差信号がセレクタ105に出力される。
【0009】
ここで、PAL方式のクロマ信号は、サブキャリア信号がライン毎に180°位相反転した信号で変調されているために、PAL方式のクロマ信号を色差信号に復調する際には入力端子S1までの伝送系による歪みや復調精度等により復調角がずれてしまい、その結果、色差信号に誤差成分が入り込む場合がある。このとき、PAL用クロマ復調回路101が出力する色差信号は色相むらや横引きノイズが発生して画質を著しく損なってしまう。そこで、色平均処理部で色平均処理をすることで色むら等が軽減されるようになる。
【0010】
一方、SECAM方式のクロマ信号が入力端子S1に入力された場合には、SECAM用クロマ復調回路102により色差信号に復調される。SECAM方式ではR−Y信号とB−Y信号が線順次で伝送されてくるため、SECAM用クロマ復調回路102では復調すると同時にR−Y信号又はB−Y信号を認識するラインID信号S3を出力している。そして、SECAM用クロマ復調回路102で復調された色差信号とラインID信号S3とが、同時化処理部300に出力される。
【0011】
前記同時化処理部300では、ラインID信号S3を用いて、SECAM用クロマ復調回路102からの出力信号とラインメモリ107から出力される1ライン遅延信号とによりR−Y信号とB−Y信号の同時化を行う。同時化されたR−Y信号とB−Y信号とは間引きMPX回路104に出力される。
【0012】
前記間引きMPX回路104では、前記間引きMPX回路103と同様に色差信号の画素がそれぞれ半分に間引かれ、それらの信号が多重されてセレクタ105に出力される。
【0013】
前記セレクタ105では、入力端子S2に入力されたPAL/SECAMセレクタ信号に基づいて、PAL方式の色差信号又はSECAM方式の色差信号の何れかが選択され出力端子S4に出力される。
【0014】
図5は、従来の色信号処理回路の別の構成を示すブロック図であり、図4に示す色信号処理回路との違いは、色平均処理部と同時化処理部とにそれぞれラインメモリを2個使用した点であるため、図4に示す色信号処理回路と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0015】
図5において、110,111はラインメモリであり、112は垂直方向に画素の平均値を算出する演算回路、113は3入力の画素の平均値を算出する演算回路である。また、201は3入力色平均処理部、301は3入力同時化処理部である。
【0016】
ここで、PAL方式のクロマ信号が入力端子S1に入力された場合には、PAL用クロマ復調回路101で色差信号に復調され、間引きMPX回路103で色差信号の画素がそれぞれ半分に間引かれた後、それらの信号が多重されて3入力色平均処理部201に出力される。
【0017】
前記3入力色平均処理部201では、間引きMPX回路103の出力信号とラインメモリ106,110から出力される1ライン遅延信号とを用いて垂直方向の平均処理が行われ、平均処理された色差信号がセレクタ105に出力される。
【0018】
ここで、図4のラインメモリを1個使用したときの色平均処理部200では、垂直方向の中心が間引きMPX回路103の出力信号とラインメモリ106との中間になるため、垂直方向の中心が0.5画素ずれた位置になるが、3入力色平均処理部201であれば、垂直方向の中心がラインメモリ106の出力信号S41になる。
【0019】
このとき、輝度信号(図示せず)もラインメモリ110を用いて1ライン遅らせると輝度信号と色信号の垂直方向のずれが無くなり、図4の色平均処理部200に比べて画質が向上する。
【0020】
また、出力信号S40,S41,S42を用いて垂直方向の相関検出による平均化処理のON/OFF制御や演算回路113において重み付け演算を行うことにより、さらに高画質化を図ることができる。
【0021】
一方、SECAM方式の信号が入力された場合には、SECAM用クロマ復調回路102により色差信号に復調され、該色差信号とラインID信号S3とが、3入力同時化処理部301に出力される。
【0022】
前記3入力同時化処理部301では、ラインID信号S3を用いて、SECAM用クロマ復調回路102からの出力信号とラインメモリ107,111から出力される1ライン遅延信号とによりR−Y信号とB−Y信号の同時化を行う。同時化されたR−Y信号とB−Y信号とは間引きMPX回路104に出力される。
【0023】
ここで、図4のラインメモリを1個使用したときの同時化処理部300では、常に色差信号の1つが1ライン前の信号を使用するために出力されるR−Y信号とB−Y信号の垂直方向中心が1画素ずれているが、3入力同時化処理部301では、例えば、ラインメモリ107の出力信号S44がR−Y信号のときは、SECAM用クロマ復調回路102の出力信号S43とラインメモリ111の出力信号S45はB−Y信号であり、出力信号S43,S45の平均値演算を演算回路112で行うようにしている。
【0024】
これにより、3入力同時化処理部301では、出力されるR−Y信号とB−Y信号の垂直方向中心が同じになり高画質化を実現することができる。
【特許文献1】特開平4−104598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、図4に示す色信号処理回路では、PAL処理で使用する色平均処理部とSECAM処理で使用する同時化処理部とにそれぞれラインメモリを設ける必要がありコストが高くなるという問題があった。
【0026】
また、図5に示す色信号処理回路では、3入力同時化処理部301の出力信号S43,S44,S45のうち出力信号S44がR−Y信号とすると、その他の出力信号S43,S45はB−Y信号と異なるため、3入力を用いた垂直方向の相関検出ができない。そのため、演算回路112は演算のON/OFF制御等の適応処理ができず垂直解像度を向上させることができないという問題があった。
【0027】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、回路規模を少なくしてコスト削減を図るとともに高画質化を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
前記目的を達成するため、本発明では、色平均処理部と同時化処理部は排他利用であることから、ラインメモリを共用することにより色信号処理回路のコスト削減を図り、また、同時化処理回路において垂直相関情報を用いた適応処理を行うことにより高画質化を実現するようにした。
【0029】
すなわち、本発明は、複数放送方式の映像信号を処理する色信号処理回路であって、
PAL方式のクロマ信号を復調処理してPALクロマ復調信号を出力するPAL復調手段と、
SECAM方式のクロマ信号を復調処理してSECAMクロマ復調信号を出力するSECAM復調手段と、
前記PALクロマ復調信号と前記SECAMクロマ復調信号とを入力とし、一方の復調信号を選択して第1の復調信号として出力する復調信号選択手段と、
前記第1の復調信号を遅延させた第2の復調信号を生成して出力する遅延手段と、
前記PAL方式のクロマ信号処理時に、前記第1及び第2の復調信号に基づいて復調信号の平均化処理を行う色平均処理手段と、
前記SECAM方式のクロマ信号処理時に、前記第1及び第2の復調信号に基づいて復調信号の同時化処理を行う同時化処理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0030】
また、本発明は、前記SECAMクロマ復調信号と、所定画素の垂直方向における相関関係を示す相関信号とを入力とし、該SECAMクロマ復調信号と該相関信号とをそれぞれ間引いた後に多重化したクロマ相関多重信号を生成して出力する間引き手段をさらに備え、
前記復調信号選択手段は、前記SECAMクロマ復調信号の代わりに前記クロマ相関多重信号を入力とし、前記PALクロマ復調信号又は該クロマ相関多重信号のうち一方を選択して前記第1の復調信号として出力するように構成されていることを特徴とするものであってもよい。
【0031】
また、本発明は、前記クロマ相関多重信号から前記相関信号を抽出する相関信号抽出手段をさらに備え、
前記同時化処理手段は、前記相関信号抽出手段で抽出した相関信号に基づいて、前記SECAMクロマ復調信号を適応処理するように構成されていることを特徴とするものであってもよい。
【0032】
また、本発明は、前記SECAMクロマ復調信号と輝度信号とを入力とし、該SECAMクロマ復調信号と該輝度信号とをそれぞれ間引いた後に多重化したクロマ輝度多重信号を生成して出力する間引き手段をさらに備え、
前記復調信号選択手段は、前記SECAMクロマ復調信号の代わりに前記クロマ輝度信号多重信号を入力とし、前記PALクロマ復調信号又は該クロマ輝度多重信号のうち一方を選択して前記第1の復調信号として出力するように構成されていることを特徴とするものであってもよい。
【0033】
また、本発明は、前記クロマ輝度多重信号から輝度信号を抽出する輝度信号抽出手段と、
前記抽出した輝度信号の相関関係を検出する相関検出手段とをさらに備え、
前記同時化処理手段は、前記相関検出手段の検出結果に基づいて、前記SECAMクロマ復調信号を適応処理するように構成されていることを特徴とするものであってもよい。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明によれば、PAL用クロマ復調回路の出力とSECAM用クロマ復調回路の出力の何れかを選択する選択手段を備えることにより遅延手段を共用して使用でき、回路規模を少なくしてコストが削減できる。
【0035】
また、SECAMクロマ復調信号と相関信号とをそれぞれ間引いた後に多重化してクロマ相関多重信号を生成し、SECAM処理時に、クロマ相関多重信号をラインメモリで遅延させた遅延信号からSECAMクロマ復調信号と相関信号を抽出して、相関信号に基づいてSECAM復調信号を適応処理することにより、SECAM処理時に高画質化を実現することができる。
【0036】
また、SECAMクロマ復調信号と輝度信号とをそれぞれ間引いた後に多重化してクロマ輝度多重信号を生成し、SECAM処理時に、クロマ輝度多重信号をラインメモリで遅延させた遅延信号からSECAMクロマ復調信号と輝度信号を抽出し、さらに輝度信号から相関信号を生成して、相関信号に基づいてSECAMクロマ復調信号を適応処理することにより、SECAM処理時に高画質化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0038】
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る色信号処理回路の構成を示すブロック図である。図1において、101は入力端子S1に入力される入力クロマ信号がPAL方式の場合にR−Y信号とB−Y信号に復調するPAL用クロマ復調回路、102は入力端子S2に入力される入力クロマ信号がSECAM方式の場合にR−Y信号とB−Y信号に復調するSECAM用クロマ復調回路、103,104は画素を間引いた後に多重する間引きMPX回路、130は復調信号を選択するセレクタ、131は入力信号を1ライン遅延させるラインメモリ、108は垂直方向に画素の平均値を算出する演算回路、109は線順次信号を同時化させるための同時化処理セレクタ、105はPAL方式の色差信号とSECAM方式の色差信号を選択的に出力するセレクタである。
【0039】
ここで、PAL方式のクロマ信号が入力端子S1に入力された場合には、PAL用クロマ復調回路101により色差信号(R−Y信号とB−Y信号)に復調される。
【0040】
復調された色差信号は、間引きMPX回路103で色差信号の画素がそれぞれ半分に間引かれ、それらの信号が多重されてセレクタ130に出力される(図6参照)。
【0041】
一方、SECAM方式のクロマ信号が入力端子S1に入力された場合には、SECAM用クロマ復調回路102により色差信号に復調される。SECAM方式ではR−Y信号とB−Y信号が線順次で伝送されてくるため、SECAM用クロマ復調回路102では復調すると同時にR−Y信号又はB−Y信号を認識するラインID信号S3を出力している。そして、SECAM用クロマ復調回路102で復調された色差信号がセレクタ130に出力され、ラインID信号S3が同時化処理セレクタ109に出力される。
【0042】
また、PAL方式の色差信号又はSECAM方式の色差信号を選択するためのPAL/SECAMセレクタ信号が入力端子S2に入力され、セレクタ105,130にそれぞれ出力される。
【0043】
前記セレクタ130では、前記PAL/SECAMセレクタ信号に基づいて、PAL方式の色差信号又はSECAM方式の色差信号の何れかが選択される。
【0044】
具体的に、PAL方式が選択された場合には、セレクタ130から間引きMPX回路103の出力信号が出力され、演算回路108において間引きMPX回路103の出力信号とラインメモリ131から出力される1ライン遅延信号とを用いて垂直方向の平均処理が行われ、平均処理された色差信号がセレクタ105に出力される。
【0045】
前記セレクタ105では、前記PAL/SECAMセレクタ信号に基づいて、演算回路108で処理されたR−Y/B−Y多重信号が出力端子S4に出力される。
【0046】
一方、SECAM方式が選択された場合には、セレクタ130からSECAM用クロマ復調回路102の出力信号が出力され、同時化処理セレクタ109においてラインID信号S3を用いて、SECAM用クロマ復調回路102からの出力信号とラインメモリ131から出力される1ライン遅延信号とによりR−Y信号とB−Y信号の同時化が行われる。同時化されたR−Y信号とB−Y信号とは間引きMPX回路104に出力される。
【0047】
前記間引きMPX回路104では、色差信号の画素がそれぞれ半分に間引かれ、それらの信号が多重されてセレクタ105に出力される。
【0048】
前記セレクタ105では、前記PAL/SECAMセレクタ信号に基づいて、間引きMPX回路104で多重されたR−Y/B−Y多重信号が出力端子S4に出力される。
【0049】
ここで、PAL方式とSECAM方式では、輝度信号は同じであって色信号の変調方式のみが異なる。そのため、PAL信号処理時のクロックとSECAM信号処理時のクロックが同じであれば1ラインの画素数が同じであり、ラインメモリ131のメモリ容量もPAL信号処理とSECAM信号処理とで同じになることから、ラインメモリ131を共用しても無駄な容量は無い。
【0050】
以上により、本発明の実施形態1に係る色信号処理回路によれば、PAL信号処理時とSECAM信号処理時にラインメモリ131を共用して使用することができ、回路規模を少なくしてコストを削減する上で有利となる。
【0051】
<実施形態2>
図2は、本発明の実施形態2に係る色信号処理回路の構成を示すブロック図である。前記実施形態1との違いは、注目画素が垂直方向について上下どちらの相関が大きいかを表す相関信号に基づいて色信号の出力を選択するようにした点であるため、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0052】
図2において、SECAM方式のクロマ信号が入力端子S1に入力された場合には、SECAM用クロマ復調回路102により色差信号に復調される。SECAM方式ではR−Y信号とB−Y信号が線順次で伝送されてくるため、SECAM用クロマ復調回路102では復調すると同時にR−Y信号又はB−Y信号を認識するラインID信号S3を出力している。そして、SECAM用クロマ復調回路102で復調された色差信号が間引きMPX回路132に出力され、ラインID信号S3が同時化処理セレクタ109に出力される。
【0053】
また、PAL方式又はSECAM方式の色差信号を選択するためのPAL/SECAMセレクタ信号が入力端子S2に入力され、セレクタ105,130にそれぞれ出力される。さらに、注目画素が垂直方向について上下どちらの相関が大きいかを示す相関信号が入力端子S10に入力され、間引きMPX回路132に出力される。
【0054】
なお、相関信号は、例えば図示しない輝度信号処理回路等でラインメモリを利用することにより生成することができる。
【0055】
前記間引きMPX回路132は、色差信号の画素を間引いた後に相関信号を多重するものである。この間引きMPX回路132における信号の入出力について、図7を用いて説明する。
【0056】
図7に示すように、相関信号は、注目画素がHigh(1)のときに上位ラインの画素と相関が大きく、Low(0)のときに下位ラインの画素と相関が大きいとすると、間引き回路132においてR−Y信号と相関信号とが同じ画素位置で間引かれた後に多重されてセレクタ130に出力される。
【0057】
前記セレクタ130では、前記PAL/SECAMセレクタ信号に基づいて、間引きMPX回路132の出力信号が選択的に出力され、間引きMPX回路132の出力信号と、入力信号を1ライン遅延させるラインメモリ133,134から出力される1ライン遅延信号とを用いて、3ライン分の映像信号が生成される。生成された3ライン分の映像信号S100,S101,S102は、色信号抽出回路135に出力される。
【0058】
一方、ラインメモリ133の出力信号が相関信号抽出回路136に出力される。相関信号抽出回路136は重畳された相関信号を抜き出すものであり、抽出された相関信号は、セレクタ137に出力される。
【0059】
前記色信号抽出回路135は、重畳された色信号を抜き出すものであり、抽出された色信号のうち、映像信号S101の色信号が同時化処理セレクタ109に出力され、映像信号S100,102の色信号がそれぞれセレクタ137に出力される。
【0060】
前記セレクタ137は、相関信号抽出回路136で抽出した相関信号に基づいて、相関関係の大きい色信号を選択的に出力するものである。以下、セレクタ137の選択動作について図8に示す具体例を用いて説明する。
【0061】
図8に示すように、映像信号S101の相関信号であるFlg1がHigh(1)であるので、セレクタ137において映像信号S100側のR−Y11信号が選択的に出力される。続いて、Flg2がLow(0)であるので、映像信号S102側のR−Y33信号が選択的に出力される。以下、同様の選択処理を繰り返す。
【0062】
前記色信号抽出回路135から出力された映像信号S101と、セレクタ137で選択的に出力された映像信号とが、線順次信号を同時化させるための同時化処理セレクタ109に入力される。
【0063】
前記同時化処理セレクタ109では、ラインID信号S3を用いて、R−Y信号とB−Y信号の同時化が行われる。同時化されたR−Y信号とB−Y信号とはMPX回路138に出力される。前記MPX回路138では、R−Y信号とB−Y信号とが多重化され、R−Y/B−Y多重信号がセレクタ105に出力される。
【0064】
前記セレクタ105では、前記PAL/SECAMセレクタ信号に基づいて、MPX回路138で多重されたR−Y/B−Y多重信号が出力端子S4に出力される。
【0065】
次に、PAL方式のクロマ信号が入力端子S1に入力された場合について説明する。PAL方式のクロマ信号は、PAL用クロマ復調回路101により色差信号(R−Y信号とB−Y信号)に復調される。
【0066】
復調された色差信号は、間引きMPX回路103で色差信号の画素がそれぞれ半分に間引かれ、それらの信号が多重されてセレクタ130に出力される。
【0067】
前記セレクタ130では、前記PAL/SECAMセレクタ信号に基づいて、間引きMPX回路103の出力信号が出力され、演算回路108において間引きMPX回路103の出力信号とラインメモリ133,134から出力される1ライン遅延信号とを用いて垂直方向の平均処理が行われ、平均処理された色差信号がセレクタ105に出力される。
【0068】
前記セレクタ105では、前記PAL/SECAMセレクタ信号に基づいて、演算回路108で処理されたR−Y/B−Y多重信号が出力端子S4に出力される。
【0069】
以上により、本実施形態2に係る色信号処理回路によれば、入力される相関信号とSECAM復調信号とを間引いて多重する間引きMPX回路132を用いることにより、SECAM復調信号の同時化処理を相関関係を用いて適応処理することができ、高画質化が可能となる。
【0070】
なお、本実施形態2では、相関信号によって色信号抽出信号をセレクタ137で選択しているが、この形態に限定するものではなく、相関信号によって色信号抽出信号を重み付け演算するようにしても構わない。
【0071】
<実施形態3>
図3は、本発明の実施形態3に係る色信号処理回路の構成を示すブロック図である。前記実施形態2との違いは、輝度信号(Y信号)を抜き出すY信号抽出回路を設けた点であるため、以下、実施形態2と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0072】
図3において、SECAM方式のクロマ信号が入力端子S1に入力された場合には、SECAM用クロマ復調回路102により色差信号に復調される。SECAM方式ではR−Y信号とB−Y信号が線順次で伝送されてくるため、SECAM用クロマ復調回路102では復調すると同時にR−Y信号又はB−Y信号を認識するラインID信号S3を出力している。そして、SECAM用クロマ復調回路102で復調された色差信号が間引きMPX回路142に出力され、ラインID信号S3が同時化処理セレクタ109に出力される。
【0073】
また、PAL方式又はSECAM方式の色差信号を選択するためのPAL/SECAMセレクタ信号が入力端子S2に入力され、セレクタ105,130にそれぞれ出力される。さらに、輝度信号(Y信号)が入力端子S20に入力され、間引きMPX回路142に出力される。
【0074】
前記間引きMPX回路142は、色差信号の画素を間引いた後に多重するものである。この間引きMPX回路142における信号の入出力について、図9を用いて説明する。
【0075】
図9に示すように、間引きMPX回路142では、SECAM用クロマ復調回路102の出力信号と入力端子S20から出力される輝度信号とがそれぞれ半分に間引かれる。具体的に、図9では、R−Y2信号やY2信号が間引かれ、間引き後に多重化された出力信号がセレクタ130に出力される。
【0076】
前記セレクタ130では、前記PAL/SECAMセレクタ信号に基づいて、間引きMPX回路142の出力信号が選択的に出力され、間引きMPX回路142の出力信号と、入力信号を1ライン遅延させるラインメモリ133,134から出力される1ライン遅延信号とを用いて、3ライン分の映像信号が生成される。生成された3ライン分の映像信号S110,S111,S112は、色信号抽出回路135に出力される一方、Y信号抽出回路140にも出力される。
【0077】
前記Y信号抽出回路140は、重畳された輝度信号(Y信号)を抜き出すものであり、抽出された輝度信号は相関検出回路141に出力される。
【0078】
前記相関検出回路141は、輝度信号から相関関係を判別するものであり、判別結果に基づく相関信号がセレクタ137に出力される。
【0079】
前記色信号抽出回路135は、重畳された色信号を抜き出すものであり、抽出された色信号のうち、映像信号S111の色信号が同時化処理セレクタ109に出力され、映像信号S110,112の色信号がそれぞれセレクタ137に出力される。
【0080】
前記セレクタ137は、相関検出回路141で検出した相関信号に基づいて、相関関係が大きい色信号を選択的に出力するものである。以下、セレクタ137の選択動作について図10に示す具体例を用いて説明する。
【0081】
図10は、Y信号抽出回路140において輝度信号Y11,Y12,Y13が抽出され、相関検出回路141において、例えばY12−Y11の絶対値とY12−Y13の絶対値との演算結果が、
|Y12−Y11|<|Y12−Y13|
となった場合を示している。
【0082】
この場合には、輝度信号Y12は輝度信号Y11との相関が大きいと判断され、相関検出回路141の出力信号としてHigh(1)が出力される。その結果、セレクタ137において映像信号S110側のR−Y11信号が選択的に出力される。
【0083】
前記色信号抽出回路135から出力された映像信号S111と、セレクタ137で選択的に出力された映像信号とが、線順次信号を同時化させるための同時化処理セレクタ109に入力される。
【0084】
前記同時化処理セレクタ109では、ラインID信号S3を用いて、R−Y信号とB−Y信号の同時化が行われる。同時化されたR−Y信号とB−Y信号とはMPX回路138に出力される。前記MPX回路138では、R−Y信号とB−Y信号とが多重化され、R−Y/B−Y多重信号がセレクタ105に出力される。
【0085】
前記セレクタ105では、前記PAL/SECAMセレクタ信号に基づいて、MPX回路138で多重されたR−Y/B−Y多重信号が出力端子S4に出力される。
【0086】
なお、PAL方式のクロマ信号が入力端子S1に入力された場合については、前記実施形態2と同様であるため、その説明を省略する。
【0087】
以上により、本発明の実施形態3に係る色信号処理回路によれば、入力される輝度信号とSECAM復調信号とを間引いて多重する間引きMPX回路142を用いることにより、輝度信号処理回路(図示せず)等でラインメモリを利用して相関信号を生成する必要がなくSECAM復調信号の同時化処理を相関関係を用いて適応処理することができ、高画質化が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上説明したように、本発明は、回路規模を少なくしてコスト削減を図るとともに高画質化を実現することができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施形態1に係る色信号処理回路の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態2に係る色信号処理回路の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態3に係る色信号処理回路の構成を示すブロック図である。
【図4】従来の色信号処理回路においてラインメモリを1つ使用した場合の構成を示すブロック図である。
【図5】従来の色信号処理回路においてラインメモリを2つ使用した場合の構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態1における間引きMPX回路の動作を示す図である。
【図7】本実施形態2における間引きMPX回路の動作を示す図である。
【図8】本実施形態2における相関信号検出の動作を示す図である。
【図9】本実施形態3における間引きMPX回路の動作を示す図である。
【図10】本実施形態3における相関信号検出の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
101 PAL用クロマ復調回路
102 SECAM用クロマ復調回路
103 間引きMPX回路
104 間引きMPX回路
105 セレクタ
108 演算回路
109 同時化処理セレクタ
130 セレクタ
131 ラインメモリ
132 間引きMPX回路
133 ラインメモリ
134 ラインメモリ
135 色信号抽出回路
136 相関信号抽出回路
140 Y信号抽出回路
141 相関検出回路
142 間引きMPX回路
200 色平均処理部
201 3入力色平均処理部
300 同時化処理部
301 3入力同時化処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数放送方式の映像信号を処理する色信号処理回路であって、
PAL方式のクロマ信号を復調処理してPALクロマ復調信号を出力するPAL復調手段と、
SECAM方式のクロマ信号を復調処理してSECAMクロマ復調信号を出力するSECAM復調手段と、
前記PALクロマ復調信号と前記SECAMクロマ復調信号とを入力とし、一方の復調信号を選択して第1の復調信号として出力する復調信号選択手段と、
前記第1の復調信号を遅延させた第2の復調信号を生成して出力する遅延手段と、
前記PAL方式のクロマ信号処理時に、前記第1及び第2の復調信号に基づいて復調信号の平均化処理を行う色平均処理手段と、
前記SECAM方式のクロマ信号処理時に、前記第1及び第2の復調信号に基づいて復調信号の同時化処理を行う同時化処理手段とを備えたことを特徴とする色信号処理回路。
【請求項2】
請求項1に記載された色信号処理回路において、
前記SECAMクロマ復調信号と、所定画素の垂直方向における相関関係を示す相関信号とを入力とし、該SECAMクロマ復調信号と該相関信号とをそれぞれ間引いた後に多重化したクロマ相関多重信号を生成して出力する間引き手段をさらに備え、
前記復調信号選択手段は、前記SECAMクロマ復調信号の代わりに前記クロマ相関多重信号を入力とし、前記PALクロマ復調信号又は該クロマ相関多重信号のうち一方を選択して前記第1の復調信号として出力するように構成されていることを特徴とする色信号処理回路。
【請求項3】
請求項2に記載された色信号処理回路において、
前記クロマ相関多重信号から前記相関信号を抽出する相関信号抽出手段をさらに備え、
前記同時化処理手段は、前記相関信号抽出手段で抽出した相関信号に基づいて、前記SECAMクロマ復調信号を適応処理するように構成されていることを特徴とする色信号処理回路。
【請求項4】
請求項1に記載された色信号処理回路において、
前記SECAMクロマ復調信号と輝度信号とを入力とし、該SECAMクロマ復調信号と該輝度信号とをそれぞれ間引いた後に多重化したクロマ輝度多重信号を生成して出力する間引き手段をさらに備え、
前記復調信号選択手段は、前記SECAMクロマ復調信号の代わりに前記クロマ輝度信号多重信号を入力とし、前記PALクロマ復調信号又は該クロマ輝度多重信号のうち一方を選択して前記第1の復調信号として出力するように構成されていることを特徴とする色信号処理回路。
【請求項5】
請求項4に記載された色信号処理回路において、
前記クロマ輝度多重信号から輝度信号を抽出する輝度信号抽出手段と、
前記抽出した輝度信号の相関関係を検出する相関検出手段とをさらに備え、
前記同時化処理手段は、前記相関検出手段の検出結果に基づいて、前記SECAMクロマ復調信号を適応処理するように構成されていることを特徴とする色信号処理回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−181054(P2007−181054A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378999(P2005−378999)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】