説明

色再現方法及びその装置

【課題】 入力信号値を、効率的かつ高精度に出力機器の色域内の出力信号値に再現することができる色再現方法及びその装置を提供する。
【解決手段】 入力信号を出力信号へ変換するための変換テーブルに基づいて、処理対象の入力信号が出力装置の色再現範囲外であるかどうかを判定する。判定の結果、前記処理対象の入力信号が出力装置の色再現範囲外である場合、該処理対象の入力信号の主成分に基づいて、その処理対象の入力信号を該出力装置の色再現範囲内の色にマッピングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色再現装置により、入力装置にて取得された分光反射率データを入力信号として、その入力信号から出力装置における出力信号へ変換する色再現方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラやスキャナ等の入力装置から取得した画像データを、ディスプレイやプロジェクタ、プリンタ等の出力装置で忠実に色再現する場合、3原色説に基づき、条件等色を利用し、入力の三刺激値と出力の三刺激値を一致させる測色的色再現を行ってきた。
【0003】
一般的には、三刺激値を定量化した空間としてCIE(国際照明委員会)が既定するCIE−XYZ表色系やCIE−Lab表色系が用いられている。図13は、一般的な測色的色再現システムの流れを示している。
【0004】
図13に示すように、デジタルカメラ等のRGB入力機器によって取得した画像は、デバイスに非依存な色空間であるXYZ色空間やL*a*b*色空間において画像処理され、ディスプレイやプリンタ等のRGB(CMY)出力機器によって出力される。しかしながら、XYZ値やL*a*b*値は、照明光源の影響を受けるため、ある照明光源下においてオリジナル色と再現色のXYZ三刺激値やL*a*b*値が一致していたとしても、異なる照明光源下では全く異なる値になる場合が存在してしまう。つまり、オリジナル色と再現色は異なる色と知覚されてしまう。
【0005】
そこで、カラーマネージメント等の分野においては、より忠実な色再現方法として、分光的色再現の実現が望まれている。分光的色再現では、色情報として照明光源を含まない物体の分光反射率そのものを再現する。そのため、任意の照明光源下でもオリジナル色と再現色の色が等しくなる。
【0006】
この分光的色再現を実現する技術として、マルチバンド入出力技術が期待されている。測色的色再現は、RGBやCMY等の3原色に基づく色再現であるのに対して、マルチバンド入出力技術は、4原色以上を用いて物体の色情報を取得し、分光反射率を再現する技術である。入力機器としては、4バンド以上のマルチバンドカメラの開発が進められている(特許文献1)。また、出力機器としても、多原色プロジェクタの開発等や多原色プリンタの実用化によって、マルチバンド出力機器の開発も進められている(特許文献2)。
【0007】
図14はマルチバンド入出力機器による分光的色再現システムの流れを示している。
【0008】
図14に示すように、分光的色再現システムでは、まず、被写体に対して、マルチバンド入力機器によって、各画素に分光反射率を持つ分光画像を取得する。次に、デバイス及び照明光源に非依存な分光空間において、画像の保存・処理・伝送が行われる。最後に、マルチバンド出力機器によって、分光画像が再現される。
【0009】
ここで、測色的色再現システムでは、出力機器の色域外の色が入力機器によって入力された場合には、出力機器の色域内の色に置き換えなければならない(以下、マッピングと言う)。このマッピング技術は、測色的色再現システムでは、多くの提案がなされている。
【0010】
例えば、特許文献3によれば、入力色空間であるモニタの色空間とカラープリンタにおける出力色空間へのマッピングに際して、モニタ上に表示した色を明度(L)、彩度(C)、色相(H)の三次元の色空間に変換し、モニタの明度をプリンタの明度範囲へ圧縮した後、色相毎にLC空間にて最小となる点にマッピングを行っている。
【0011】
一方、分光的色再現システムでは、分光反射率は可視光領域380nm〜730nmを10nm毎にサンプリングしたとしても1色に付き36次元のデータとなり、処理対象となるデータ量が非常に膨大ものとなってしまう。また、入力の分光反射率を完全に再現して出力するためには、36次元のデータすべてが等しくなければならないが、実際には特別な場合を除いて、36次元のデータすべてを等しく再現することは、非常に困難である。つまり、36次元のデータに係る処理では、出力機器の色域外となってしまう。そこで、データ量を削減し、分光反射率の近い色にマッピングすることが分光的色再現システムの課題である。
【0012】
この課題を解決するため、一般に、分光反射率データに対して主成分分析を行い、分光反射率データを主成分ベクトルとその加算率(以下、主成分係数という)で表すことで、分光反射率のデータ量を削減し、主成分係数の多次元空間において処理をする手法が知られている。ここで、上記した測色的色再現システムでのマッピング処理を主成分係数の多次元空間に適用する手法が考えられる。また、特許文献4においては、主成分係数空間上で、各次元数の主成分係数を等間隔に変化させ、対応する出力信号値から、主成分係数を出力信号値に変換する変換テーブルである、いわゆる、Look−Up−Table(以下、LUT(ルックアップテーブル)と言う)を作成し、主成分係数を入力として、それを対応する出力信号値に変換して出力する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−086383号公報
【特許文献2】特開2001−054131号公報
【特許文献3】特開2000−287096号公報
【特許文献4】特開2002−254708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、特許文献3のような測色的色再現に用いられる3次元空間でのマッピング処理を主成分係数空間のn次元(n>3)に拡張した場合を考える。この時、測色的色再現で用いられる3次元色空間は、均等色空間であるのに対して、主成分係数空間では、図4に示すように各次元に寄与率が存在し、各次元に含まれる情報量が異なる。そのため、測色的色再現における手法をそのまま適用したのでは、高精度なマッピングが行えない。
【0014】
また、特許文献4では、LUTを作成するために、等間隔に配置された主成分係数に対応する出力信号値を全出力信号値から探し出す必要があるため、LUT作成には膨大な時間が掛かってしまう。また、出力色域外の色が入力された場合には、どのように処理したらよいか明記されていない。
【0015】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、入力信号値を、効率的かつ高精度に出力機器の色域内の出力信号値に再現することができる色再現方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するための本発明による色再現方法は以下の構成を備える。即ち、
色再現装置により、入力装置にて取得された分光反射率データを入力信号として、その入力信号から出力装置における出力信号へ変換する色再現方法であって、
前記入力信号を前記出力信号へ変換するための変換テーブルに基づいて、処理対象の入力信号が前記出力装置の色再現範囲外であるかどうかを判定する判定工程と、
前記判定工程による判定の結果、前記処理対象の入力信号が前記出力装置の色再現範囲外である場合、該処理対象の入力信号の主成分に基づいて、その処理対象の入力信号を該出力装置の色再現範囲内の色にマッピングするマッピング工程と
を備える。
【0017】
また、好ましくは、前記変換テーブルは、前記入力信号である分光反射率データを主成分ベクトルの加算率で表現し、前記加算率から前記出力信号へ変換するためのテーブルである。
【0018】
また、好ましくは、前記マッピング工程は、多次元空間において、前記処理対象の入力信号である分光反射率データの主成分ベクトルの寄与率を重みとして設定されるベクトルの方向に、該処理対象の入力信号を該出力装置の色再現範囲内の色にマッピングする。
【0019】
また、好ましくは、前記マッピング工程で用いるデータを入力するための操作画面を表示部に表示する表示工程と、
前記操作画面を介して入力されたデータを記憶部に記憶する記憶工程とを更に備え、
前記マッピング工程は、前記記憶部に記憶されたデータを用いて、前記処理対象の入力信号を該出力装置の色再現範囲内の色にマッピングする。
【0020】
また、好ましくは、前記操作画面は、処理対象の入力画像と、該入力画像の処理後の出力画像を表示する表示領域と、前記マッピング工程で用いるデータを入力する入力領域と、前記入力画像と処理後の出力画像の内、マッピング処理が行われた領域についての誤差情報を示す表示領域を備える。
【0021】
また、好ましくは、前記入力信号を表現する主成分の次元数は、前記出力信号を表現する成分の次元数を越えない。
【0022】
上記の目的を達成するための本発明による色再現装置は以下の構成を備える。即ち、
入力装置にて取得された分光反射率データを入力信号として、その入力信号から出力装置における出力信号へ変換する色再現装置であって、
前記入力信号を前記出力信号へ変換するための変換テーブルに基づいて、処理対象の入力信号が前記出力装置の色再現範囲外であるかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果、前記処理対象の入力信号が前記出力装置の色再現範囲外である場合、該処理対象の入力信号の主成分に基づいて、その処理対象の入力信号を該出力装置の色再現範囲内の色にマッピングするマッピング手段と
を備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、入力信号値を、効率的かつ高精度に出力機器の色域内の出力信号値に再現することができる色再現方法及びその装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施形態1)
以下、本発明に係る一実施形態である分光的色再現装置の構成例を図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の実施形態1の分光的色再現装置を備えるシステムの構成を示すブロック図である。
【0026】
1は実施形態1の分光的色再現装置である。2は出力部であり、処理後の画像データを出力する。3は入力部であり、分光データ、分光画像データ、主成分ベクトルデータ及び出力色域の分光反射率データ等の各種データを入力する。4は画像バッファであり、入力の画像データ及び処理中の画像データを記憶する。
【0027】
5は主成分ベクトル記憶部であり、主成分ベクトルを記憶する。6は出力色域記憶部であり、出力装置(例えば、画像出力装置14やディスプレイ15)の出力色域データを記憶する。7はデータ量削減処理部であり、主成分ベクトル記憶部5に記憶している主成分ベクトルを用いて、画像バッファ4に記憶している分光画像データのデータ量を削減する。
【0028】
8は色域内外判定部であり、画像バッファ4に記憶している、データ量が削減された画像データの各画素について、出力色域記憶部6に記憶している出力色域データの内外(色再現範囲外)にあるかどうかを判定する。9はマッピング処理部であり、出力色域外色を出力色域内にマッピング処理する。10は色変換処理部であり、画像バッファ4に記憶している画像データ(入力信号値)を出力信号値に変換する。
【0029】
11はマルチバンドカメラ等の画像入力装置である。12は分光反射率測定装置である。13は外部記憶装置であり、ハードディスクやCD−ROM、DVD−ROM等で実現される。14はプリンタ等の画像出力装置である。また、プリンタの印刷方式としては、例えば、インクジェット方式、レーザービーム方式、熱転写方式等が挙げられる。15はCRTやLCD等のディスプレイである。16は外部ネットワークである。
【0030】
尚、分光的色再現装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータに搭載される標準的な構成要素(例えば、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、外部記憶装置、ネットワークインタフェース、ディスプレイ、キーボード、マウス等)を有している。そして、これらの構成要素が、分光的色再現装置1を構成する各種構成要素を、ハードウェア的、あるいはソフトウェア的、あるいはそれらを協調的に動作させて実現する。
【0031】
<全体の処理の流れ>
図2は本発明の実施形態1の分光的色再現装置が実行する処理の全体を示すフローチャートである。
【0032】
まず、ステップS201では、入力部3にて、画像入力装置11、外部記憶装置13または外部ネットワーク16のいずれかより、分光画像データを分光的色再現装置1に入力して、画像バッファ4に記憶する。ステップS202では、データ量削減処理部7にて、主成分ベクトル記憶部5に記憶している主成分ベクトル(詳細は後述)を用いて、画像バッファ4に記憶している分光画像のデータ量削減処理を実行し(詳細は後述)、その処理結果を画像バッファ4に記憶する。
【0033】
ステップS203では、画像出力装置14の出力色域データを算出し、出力色域記憶部6に記憶する(詳細は後述)。ステップS204では、画像バッファ4に記憶している画像データに対して、出力色域記憶部6に記憶している出力色域データを用いて、マッピング処理部9にて色域外色を色域内にマッピングし(詳細は後述)、そのマッピング結果を画像バッファ4に記憶する。
【0034】
ステップS205では、画像バッファ4に記憶している画像データを色変換処理部10にて出力信号値へ変換し、その変換結果を画像バッファ4に記憶する。ステップS206では、画像バッファ4に記憶している色変換処理後の画像データを出力部3にて、画像出力装置14を用いて出力する。
【0035】
<主成分ベクトル>
主成分ベクトル記憶部5に記憶している主成分ベクトルについて詳細に説明する。
【0036】
主成分ベクトル記憶部5に記憶している主成分ベクトルは、ある分光反射率データに対して、主成分分析を行って算出した主成分ベクトルである。ここで、主成分分析を行う分光反射率データとして、マクベスカラーチェッカー等のカラーチャート、入力の分光画像データ、出力装置によって出力したパッチ等が考えられるが、これに限定されることはなく用途に応じた分光反射率データであれば何でも良い。
【0037】
実施形態1では、マクベスカラーチェッカー24色の分光反射率データに対して、主成分分析を行い、その分析結果を主成分ベクトル記憶部5に記憶する。図3に、実施形態1において主成分分析によって算出した主成分ベクトルの内、第1〜第6主成分ベクトルを示す。
【0038】
<データ量削減処理>
ステップS202におけるデータ量削減処理について詳細に説明する。
【0039】
主成分ベクトル記憶部5に記憶している第i主成分ベクトルをvi[v380,i390,i ・・・ v730,iT(i=1〜n)とすると、主成分係数(主成分ベクトルの加算率)ai(i=1〜n)を用いて、分光反射率o=[o380390 ・・・ o730Tは、下記の式(1)で表される。ここで、Tは転置行列を示す。
【0040】
【数1】

【0041】
ここで、m=[m380390 ・・・ m730Tは、対象となる分光反射率データの平均値分光反射率である。nは使用次元数であり、入力の次元数と等しい。図4は、マクベスカラーチャート24色の分光反射率データに対して主成分分析を行った時の次元数と寄与率の関係を示している。
【0042】
寄与率とは、主成分分析によって算出した主成分ベクトルがどの程度分光反射率データに対して情報量を持っているかを示す割合である。図4に示すように、第1主成分の寄与率が最も大きく、第2、第3となるに従って寄与率が小さくなる。そのため、入力の次元数nよりも低次の主成分ベクトルまでしか用いなくても、それほど情報量を失わずに入力の分光反射率の高精度な近似が可能となる。また、図4に示すように、所定主成分(ここでは、第7主成分)以降は寄与率がほぼゼロとなり、第6主成分までを用いれば、十分、マクベスカラーチャート24色の分光反射率を再現できることがわかる。
【0043】
次に、主成分係数aiの算出方法について詳細に説明する。
【0044】
例として、第6主成分ベクトルまでを用いて、入力の分光反射率を近似した場合を考える。この時、式(1)は、行列を用いれば、下記の式(2)のように表される。
【0045】
【数2】

【0046】
そして、式(2)によれば、
【0047】
【数3】

【0048】
と表現できる。ここで、主成分係数aは、擬似逆行列を用いて、下記の式(4)から算出することができる。
【0049】
【数4】

【0050】
よって、主成分係数a=[a1,a2,・・・,a6Tの算出が可能となる。この主成分係数aを用いることで、36次元のデータからなる分光反射率oを6次元で近似することが可能となる。
【0051】
また、実施形態1では例として、6次元の主成分ベクトルを用いて説明したが、任意の次元数において同様の処理で主成分係数aを算出することが可能となる。
【0052】
<出力色域算出>
ステップS203の出力色域算出について、図面を参照して詳細に説明する。
【0053】
図5は本発明の実施形態1のステップS203の処理の詳細を示すフローチャートである。
【0054】
まず、ステップS301では、画像出力装置14の分光反射率データにおける出力色域データを取得する(詳細は後述)。ステップS302では、ステップS301にて取得した分光反射率データにおける出力色域データに対して、データ量削減部7にて、上述したデータ量削減処理を行い、主成分係数における出力色域データを算出する。ステップS303では、ステップS302にて算出した主成分係数における出力色域データを出力色域記憶部6に記憶する。
【0055】
ここで、ステップS301で取得した画像出力装置14の分光反射率データにおける出力色域データについて詳細に説明する。
【0056】
例えば、画像出力装置14が、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、レッド(R)、グリーン(G)の6色を搭載したインクジェットプリンタとし、また出力信号の強度として、0、1、・・・255の256レベルを出力可能であるとする。この場合、表現可能な色は256×256×256×256×256×256≒約28兆色となる(実際には、紙面上に打ち込み可能なインク量には上限があるため、このすべてが表現可能なわけではない)。
【0057】
しかし、このすべての色に対して、分光反射率データを出力・測定することは現実的ではない。そこで、実施形態1では、C、M、Y、K、R、Gの出力信号値を各々0、64、128、192、255に5分割し、5×5×5×5×5×5=15625色の出力カラーパッチを、画像出力装置14を用いて出力し、分光反射率測定装置12を用いて分光反射率データを取得する。
【0058】
次に、図6で示すように、C、M、Y、K、R、Gの出力信号値と主成分係数値(主成分ベクトルの加算率)を対応付け、これを変換テーブルであるLUTとしてLUT記憶部4に記憶する。この時、6色のインクに対して、6次元の主成分を用いれば、主成分係数値を出力信号値に変換する変換テーブルとして、6対6のLUTを作成することができる。
【0059】
尚、実施形態1では、出力色域データを算出する構成としたが、これに限定されないのは言うまでもない。例えば、予め算出された出力色域データを読み込む構成にしても構わない。
【0060】
<マッピング処理>
ステップS204の出力色域内へのマッピング処理について、図面を参照して詳細に説明する。
【0061】
図7は本発明の実施形態1のステップS204の処理の詳細を示すフローチャートである。
【0062】
ステップS401では、ステップS202にて算出し、画像バッファ4に記憶している画像データから画素データとして、その主成分係数値を取得する。ステップS402では、ステップS401で取得した主成分係数値が出力色域記憶部6に記憶している出力色域内かどうかを判定する。
【0063】
出力色域内の場合(ステップS402でYES)、ステップS404に進む。一方、出力色域外の場合(ステップS402でNO)、ステップS403に進み、後述する方法によって、出力色域外の色を出力色域内にマッピングする。
【0064】
次に、ステップS404では、処理後の画像データを画像バッファ4に記憶する。ステップS405では、全画素に対して処理が行われたかどうかを判定する。全画素に対して処理が行われた場合(ステップS405でYES)、処理を終了する。一方、全画素に対して処理が行われていない場合(ステップS405でNO)、ステップS401に戻り、未処理画素に対して同様の処理を行う。
【0065】
次に、ステップS403における出力色域内へのマッピング処理について詳細に説明する。
【0066】
図8は出力色域外色の出力色域内へのマッピングについて、簡単のため、第1主成分、第2主成分による2次元主成分係数空間でのマッピングの概要を示している。
【0067】
図8に示すように、出力色域外色の入力色P1(u1、v1)は出力色域内の色の中で分光的に最も近い色P(u,v)にマッピングされなければならない。そこで、入力色P1(u1、v1)、基準色P0(u0、v0)(詳細は後述)、マッピング方向ベクトルo=(t1、t2)とすると(詳細は後述)、P(u,v)は、以下の式(5)により算出する。
【0068】
【数5】

【0069】
ここで、→はベクトルを示す、また、sは主成分係数空間における外層との交点演算から算出する係数である。
【0070】
<基準色>
実施形態1において、式(5)における基準色は、出力色域の平均値とする。つまり、出力色域の分光反射率データの平均値に対して、式(4)のデータ量削減を行い算出した主成分係数を基準色P0(u0、v0)とする。しかしながら、これに限定されることなく、例えば、可視光領域で分光反射率が0.5であるデータを基準色としても構わない。つまり、用途に応じて基準色は任意に定めて構わない。
【0071】
<マッピング方向ベクトル>
上述した式(5)におけるマッピング方向ベクトルo=(t1、t2)について詳細に説明する。
【0072】
上述したように、主成分係数空間では低次元の主成分ほど情報量を持つため、出力色域内にマッピングする場合、低次元の主成分ほど情報量を優先的に保存する必要がある。そこで、寄与率kと重みwの関係(重み関数データ)を次式(6)とし、式(5)におけるマッピング方向ベクトル(入力信号である分光反射率データの主成分ベクトルの寄与率を重みとして設定されるベクトル)o=(t1、t2)は、次式(7)のように決定する。
【0073】
尚、実施形態1におけるf(k)は、図9の実線で示すような線形の関数あるいは図9の破線で示すような非線形の関数であっても構わない。つまり、単調減少関数であれば、特に限定されることはない。
【0074】
【数6】

【0075】
【数7】

【0076】
ここで、umax、umin、vmax、vminはそれぞれ分光反射率データの第1主成分の最大値および最小値、第2主成分の最大値および最小値であり、w1、w2はそれぞれ第1主成分、第2主成分の寄与率k1、k2に対応する重みである。
【0077】
以上、簡単のため第1主成分、第2主成分の2次元主成分係数空間を用いて説明したが、上述した方法を、用いる主成分の次元数まで拡張することで、多次元の主成分係数空間でのマッピング処理を行う。
【0078】
<実施形態1の効果>
以上説明したように、実施形態1によれば、入力の分光反射率を、出力装置を用いて再現する分光的色再現技術において、入力の分光反射率が出力装置の色域外であったとしても、多次元空間の幾何学計算による高速処理が可能となる。また、できるだけ分光反射率の再現精度を保存しながら出力色域内へのマッピング処理を行うことが可能となる。
【0079】
(実施形態2)
次に、本発明に係る実施形態2である分光的色再現装置の概要について述べる。
【0080】
実施形態2は、ユーザーインタフェース(操作画面)を用いて、実施形態1における主成分ベクトル、出力色域データ、基準色、及び式(6)におけるf(k)を決定し、マッピング処理後の画像と定量値をユーザーインタフェース上で確認しながら処理を行えることを特徴とする。
【0081】
以下に、本発明に係る実施形態2である分光的色再現装置の構成例を図面を参照して詳細に説明する
図10は本発明の実施形態2の分光的色再現装置を備えるシステムの構成を示すブロック図である。
【0082】
501は実施形態2の分光的色再現装置である。502は出力部であり、処理後の画像データ及びRGB画像データを出力する。503は入力部であり、分光データ及び分光画像データを入力する。504は画像バッファであり、入力の画像データ及び処理中の画像データを記憶する。
【0083】
505は主成分ベクトル記憶部であり、主成分ベクトルデータを記憶する。506は出力色域記憶部であり、出力装置(例えば、画像出力装置519やディスプレイ520)の出力色域データを記憶する。507はデータ量削減処理部であり、主成分ベクトル記憶部505に記憶している主成分ベクトルを用いて、画像バッファ504に記憶している分光画像データのデータ量を削減する。
【0084】
508は色域内外判定部であり、画像バッファ504に記憶しているデータ量削減された画像データの各画素について、出力色域記憶部506に記憶している出力色域の内外にあるかどうかを判定する。509はマッピング処理部であり、出力色域外色を出力色域内にマッピング処理する。510は色変換処理部であり、画像バッファ504に記憶しているマッピング処理後の画像データの各画素について、出力信号値に変換する。
【0085】
511は分光反射率推定部であり、画像バッファ504に記憶しているマッピング処理後の画像データから分光画像を推定する。512はUI(ユーザーインタフェース)部であり、ユーザーインタフェースを表示する。513は誤差算出部であり、画像バッファ504に記憶している入力画像と出力画像の誤差を算出する。514はマッピング設定記憶部であり、UI部512にて設定されたマッピング設定情報を記憶する。515はRGB算出部であり、分光反射率をデバイスRGBに変換する。
【0086】
516はマルチバンドカメラ等の画像入力装置である。517は分光反射率測定装置である。518は外部記憶装置であり、ハードディスクやCD−ROM、DVD−ROM等で実現される。519はプリンタ等の画像出力装置である。520はCRTやLCD等のディスプレイである。521は外部ネットワークである。
【0087】
図11は本発明の実施形態2のユーザーインタフェースの一例である。
【0088】
601は入力画像表示部であり、入力画像を表示する。602は入力エディットボックスであり、入力画像への入力先であるパスを入力する。603は出力画像表示部であり、処理後の画像を表示する。604は設定部であり、マッピング処理を行うための設定を行うための各種コントロールで構成される。
【0089】
605は主成分ベクトルエディットボックスであり、主成分ベクトルデータが記憶されているパスを入力するためのコントロールである。606は基準色エディットボックスであり、基準色データが記憶されているパスを入力するためのコントロールである。607はマッピング先の重み関数エディットボックスであり、マッピング先の重み関数が記憶されているパスを入力するためのコントロールである。608は出力色域エディットボックスであり、出力色域データが記憶されているパスを入力するためのコントロールである。
【0090】
609は誤差表示部であり、誤差を表示する。610は画像を入力するための入力ボタンである。611は処理を実行するための実行ボタンである。612は出力画像を印刷するための印刷ボタンである。
【0091】
尚、ユーザーインタフェースはUI部512にて、ディスプレイ520に表示される。また、ユーザーインタフェースの構成は一例であり、本発明に係る処理を実現するための各種データを入力可能な構成であれば、図11に示す以外のコントロール(例えば、プルダウンメニュー、リストボックス、ラジオボタン、チェックボックス等)を構成できることは言うまでもない。
【0092】
<全体の処理の流れ>
図12は本発明の実施形態2の分光的色再現装置が実行する処理の全体を示すフローチャートである。
【0093】
ステップS701では、入力ボタン610が押されたかどうかを判定する。押されていない場合(ステップS701でNO)、押されるまで待機する。一方、押された場合(ステップS701でYES)、ステップS702に進む。
【0094】
ステップS702では、入力エディットボックス602に入力のパスに記憶されている分光画像を入力部503にて入力し、画像バッファ504に記憶する。ステップS703では、ステップS702にて入力した分光画像をRGB算出部515にてデバイスRGBに変換し、出力部502にて画像表示部601に表示する。
【0095】
ステップS704では、実行ボタン611が押されたかどうか判定する。押されていない場合(ステップS704でNO)、押されるまで待機する。一方、押された場合(ステップS704でYES)、ステップS705に進む。
【0096】
ステップS705では、主成分ベクトルエディットボックス605に入力のパスに記憶されている主成分ベクトルデータを主成分ベクトル記憶部505に記憶する。ステップS706では、基準色エディットボックス606に入力のパスに記憶されている基準色データをマッピング設定記憶部514に記憶する。
【0097】
ステップS707では、マッピング先の重み関数エディットボックス607に入力のパスに記憶されているマッピング先の重み関数データをマッピング設定記憶部514に記憶する。ステップS708では、出力色域エディットボックス608に入力のパスに記憶されている出力色域データを出力色域記憶部506に記憶する。ステップS709では、主成分ベクトル記憶部505に記憶している主成分ベクトルデータを用いて、実施形態1と同様にデータ量削減処理部507にて画像バッファ504に記憶している画像データのデータ量削減を行い、画像バッファ504に記憶する。
【0098】
ステップS710では、の実施形態1と同様に、画像バッファ504に記憶している画像データに対して出力色域記憶部506に記憶している出力色域データを用いて、マッピング処理部509にてマッピング処理を行い、画像バッファ504に記憶する。ステップS711では、画像バッファ504に記憶している出力画像データから分光反射率推定部511にて分光反射率を推定し、画像バッファ504に記憶する。尚、分光反射率は、上記式(3)を用いることで推定できる。
【0099】
ステップS712では、ステップS711にて記憶した出力分光画像データをRGB算出部515にて、デバイスRGBに変換し、出力部502にて、出力画像表示部603に表示する。この際、出力画像表示部603において、マッピング処理を行った画素領域にマークを表示する。ステップS713では、画像バッファ504に記憶した入力画像とステップS711にて記憶した出力分光画像データに対して誤差を算出し(詳細は後述)、出力部502にて誤差表示部609に表示する。
【0100】
ステップS714では、印刷ボタン608が押されたかどうかを判定する。押されていない場合(ステップS714でNO)、押されるまで待機する。一方、押された場合(ステップS714でYES)、ステップS715に進む。
【0101】
ステップS715では、画像バッファ504に記憶しているマッピング処理後の出力画像データに対して、色変換処理部510にて出力信号に変換し、出力部502にて画像出力装置518を用いて画像出力する。
【0102】
<誤差表示>
ステップS713における誤差表示について詳細に説明する。
【0103】
入力画像と処理後の出力画像の内、マッピング処理が行われた領域について、誤差の計算が行われることが望ましい。誤差としては、入力の分光反射率と分光反射率推定部511にて推定した分光反射率の平均RMS誤差(Root Mean Sqaure Err)であっても構わないし、平均色差でも構わない。
【0104】
また、色差の計算にはΔE、ΔE94及びΔE2000等を用いても構わないし、照明光源としてCIE標準補助の光源D65やCIE標準光源Aであっても構わない。つまり、どんな光源であっても構わない。
【0105】
さらに、実施形態2において、図11に示すように、誤差の表示は平均RMSと平均式差を同時に表示したり、平均RMSや平均色差だけを表示したりしても構わない。それ以外にも、出力画像表示部603上をマウスポインタで指定した画素領域の誤差を表示する構成にしても構わない。
【0106】
<実施形態2の効果>
以上説明したように、実施形態2によれば、入力の分光反射率を、出力装置を用いて再現する分光的色再現技術において、ユーザーインタフェースを用いて、任意の主成分ベクトル、任意の基準色、任意のマッピング先の重み関数及び出力色域等の設定によって、入力の分光反射率が出力装置の色域外であってもマッピング処理が行うことが可能となる。また、マッピング後の画像や定量値を確認しながら処理を行うことが可能となる。
【0107】
(その他の実施形態)
<サンプリング間隔>
上記実施形態では、分光反射率のサンプリング間隔を10nmとしているが、これに限定されないのは言うまでもない。例えば、5nmであっても構わないし、1nmであっても構わない。つまり、所望の精度を満足するサンプリング間隔であれば、どのようなものでもよい。また、サンプリング範囲についても、上記実施形態では、380〜730nmの可視光領域にとしているが、これに限定されるものではない。
【0108】
<出力信号数>
上記実施形態では、画像出力装置であるプリンタが使用する記録剤としては、C、M、Y、K、R、Gの6色インク(あるいはトナー)を用いたが、これに限定されないのは言うまでもない。例えば、それ以上のインク数でも構わないし、C、M、Y、Kの4色インク(トナー)でも構わない。また、ディスプレイやプロジェクタにおけるR、G、B信号値でも構わない。
【0109】
<データ量削減>
上記実施形態では、C、M、Y、K、R、Gの6色インクに対応させるため、6次元までの主成分を用いて、データ量を削減するとしたが、これに限定されないのは言うまでもない。例えば、6色のインクと3次元までの主成分係数でも構わない。つまり、入力の次元数が出力の次元数を越えない関係を満足できれは、どのような関係でも構わない。また、入力の次元数と出力の次元数が異なる時には、複数の入出力の対応関係が存在する可能性があるが、分光特性、色差、粒状性および階調性等を評価値として、一意に決める構成であれば特に限定されるものではない。
【0110】
<入力データ>
上記実施形態では、入力データとして分光画像データを用いたが、これに限定されないのは言うまでもない。例えば、分光反射率測定装置によって測定された分光反射率データであっても構わないし、分光放射輝度によって測定された分光放射輝度から、分光反射率データを算出しても構わない。
【0111】
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0112】
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0113】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0114】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0115】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0116】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0117】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0118】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0119】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の実施形態1の分光的色再現装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1の分光的色再現装置が実行する処理の全体を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態1のマクベスカラーチェッカー24色の分光反射率に対する第1〜第6主成分ベクトルの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1の主成分の次元数と寄与率の関係を表すグラフである。
【図5】本発明の実施形態1のステップS203の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態1の色域データの形式の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態1のステップS204の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態1のマッピング処理の概念を説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態1の方向ベクトルを決定するための寄与率と重みの関係を示すグラフである。
【図10】本発明の実施形態2の分光的色再現装置を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施形態2の分光的色再現装置のユーザーインタフェースの一例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態1の分光的色再現装置が実行する処理の全体を示すフローチャートである。
【図13】測色的色再現の流れを示す概念図である。
【図14】分光的色再現の流れを示す概念図である。
【符号の説明】
【0121】
1 分光的色再現装置
2 入力部
3 出力部
4 画像バッファ
5 主成分ベクトル記憶部
6 出力色域記憶部
7 データ量削減処理部
8 色域内外判定部
9 マッピング処理部
10 色変換処理部
11 画像入力装置
12 分光反射率測定装置
13 外部記憶装置
14 画像出力装置
15 ディスプレイ
16 外部ネットワーク
501 分光的色再現装置
502 入力部
503 出力部
504 画像バッファ
505 主成分ベクトル記憶部
506 出力色域記憶部
507 データ量削減処理部
508 色域内外判定部
509 マッピング処理部
510 色変換処理部
511 分光反射率推定部
512 UI部
513 誤差算出部
514 マッピング設定記憶部
515 RGB算出部
516 画像入力装置
517 分光反射率測定装置
518 外部記憶装置
518 画像出力装置
519 ディスプレイ
520 外部ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色再現装置により、入力装置にて取得された分光反射率データを入力信号として、その入力信号から出力装置における出力信号へ変換する色再現方法であって、
前記入力信号を前記出力信号へ変換するための変換テーブルに基づいて、処理対象の入力信号が前記出力装置の色再現範囲外であるかどうかを判定する判定工程と、
前記判定工程による判定の結果、前記処理対象の入力信号が前記出力装置の色再現範囲外である場合、該処理対象の入力信号の主成分に基づいて、その処理対象の入力信号を該出力装置の色再現範囲内の色にマッピングするマッピング工程と
を備えることを特徴とする色再現方法。
【請求項2】
前記変換テーブルは、前記入力信号である分光反射率データを主成分ベクトルの加算率で表現し、前記加算率から前記出力信号へ変換するためのテーブルである
ことを特徴とする請求項1に記載の色再現方法。
【請求項3】
前記マッピング工程は、多次元空間において、前記処理対象の入力信号である分光反射率データの主成分ベクトルの寄与率を重みとして設定されるベクトルの方向に、該処理対象の入力信号を該出力装置の色再現範囲内の色にマッピングする
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の色再現方法。
【請求項4】
前記マッピング工程で用いるデータを入力するための操作画面を表示部に表示する表示工程と、
前記操作画面を介して入力されたデータを記憶部に記憶する記憶工程とを更に備え、
前記マッピング工程は、前記記憶部に記憶されたデータを用いて、前記処理対象の入力信号を該出力装置の色再現範囲内の色にマッピングする
ことを特徴とする請求項1に記載の色再現方法。
【請求項5】
前記操作画面は、処理対象の入力画像と、該入力画像の処理後の出力画像を表示する表示領域と、前記マッピング工程で用いるデータを入力する入力領域と、前記入力画像と処理後の出力画像の内、マッピング処理が行われた領域についての誤差情報を示す表示領域を備える
ことを特徴とする請求項4に記載の色再現方法。
【請求項6】
前記入力信号を表現する主成分の次元数は、前記出力信号を表現する成分の次元数を越えない
ことを特徴とする請求項1に記載の色再現方法。
【請求項7】
入力装置にて取得された分光反射率データを入力信号として、その入力信号から出力装置における出力信号へ変換する色再現装置であって、
前記入力信号を前記出力信号へ変換するための変換テーブルに基づいて、処理対象の入力信号が前記出力装置の色再現範囲外であるかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果、前記処理対象の入力信号が前記出力装置の色再現範囲外である場合、該処理対象の入力信号の主成分に基づいて、その処理対象の入力信号を該出力装置の色再現範囲内の色にマッピングするマッピング手段と
を備えることを特徴とする色再現装置。
【請求項8】
色再現装置を制御することによって、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の色再現方法を実行することを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載されたプログラムが記録されたことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−295709(P2006−295709A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115909(P2005−115909)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】