説明

色彩記憶性ステンドグラス

【目的】ステンドグラスの彩色を温度の変化によって可逆的に変色させ温度を示す機能を備えると共に児童幼児の興趣を促し色彩の変化によるる妙味、意外性、装飾性をも併せ有するものを提供する。
【構成】 温度変化によって可逆的に変色する示温顔料を混合分散した合成樹脂エマルジョンを基材とする絵の具によって透明基板にステンドグラスを構成する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本考案は温度変化によって可逆的に変色するステンドグラスにして、幼児用玩具、学校教材用あるいは一般成人の鑑賞用、温度目視用などに好適な温度の変化によって色の変化するステンドグラスに関する。
【0002】
【従来の技術】 透明なガラス板、プラスチック板などに、合成樹脂系の異なった色による絵の具を用いてステンドグラス風の色彩を施した造形物は既にあり、特に児童幼児でも容易に制作することができる。これらは工作工芸用、鑑賞用あるいは一般造形物として使用されているものである。
【0003】 しかしこれらは制作時の色彩を保持しているのみであり色変化による妙味、意外性、装飾性等ということはなかった。温度変化によって色彩の変化する絵の具によるステンドグラスは未だ開示されていないものであった。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】 本考案の目的は、ステンドグラスの本来の機能である鑑賞するのみでなく、温度による色彩の変化によって温度を示す機能を備えると共に児童幼児の興趣を促し、色彩の変化による妙味、意外性、装飾性をも併せ有するものを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】 本考案に係るステンドグラスは温度変化によって可逆的に変色する示温顔料を混合分散した合成樹脂エマルジョンを基材とする絵の具による彩色を透明なガラス板、プラスチック板などに形成したものである。
【0006】 本考案に係るステンドグラスに使用する絵の具は、合成樹脂エマルジョンの重量に対して10〜30重量部の示温顔料を混入するものである。
【0007】 ここで使用する合成樹脂エマルジョンは、塗材、絵の具などに使用されているものであれば良く、アクリル系樹脂エマルジョン、酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、塩化ビニル系樹脂エマルジョン、塩化ビニリデン系樹脂エマルジョン、スチレン・ブタジエン系樹脂エマルジョン、エポキシ系樹脂エマルジョンなどがある。
【0008】 さらにこれらの共重合したもの例えば、塩化ビニリデン/ブチルアクリレート共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。本考案に係るステンドグラスに使用する絵の具の基材としてより好適なのはアクリル酸エステル系樹脂エマルジョン、酢酸ビニル系樹脂エマルジョンである。
【0009】 本考案に使用する示温顔料は既知の感温変色性色素或いは色彩記憶性感温変色性色素で電子供与性呈色性有機化合物とフェノール性水酸基を有する化合物とアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類のいずれかより選んだ化合物の3成分を必須成分とするものである。
【0010】 感温変色性色素或いは色彩記憶性感温変色性色素は示温染料と称するものでそのままあるいはエポキシ樹脂などの微小カプセルに内包したものを合成樹脂エマルジョンに分散混合する。尚この場合エマルジョンへの分散を均一に行なうことができるよう水系の樹脂分散液を添加することが好ましい。
【0011】 示温染料をエポキシ樹脂などによる微小カプセルに内包したものを示温顔料と言い本考案においては示温染料の状態でも示温顔料の状態においても使用することができるが、混合分散性の点から示温顔料が好ましく用いられる。
【0012】 上記の絵の具の色は任意に選択することが可能であるばかりか、0〜50℃内において変色温度域を任意に設けることができる。例えば10〜18℃における常温域で呈する色を20℃以上を変色温度域とすることができる。
従って常温域でのステンドグラスの色彩が20℃以上になることによってすべて変化させることができるのである。
【0013】 また10〜18℃における常温域で呈する色を10℃以下を変色温度域とすることもできるのである。
【0014】
【作用】 かかる如く本考案になるステンドグラスはその色彩が雰囲気温度の変化によって変わり、その美観の変化を目視することができステンドグラスに対する興趣は一段と増大するものである。またステンドグラスの色の変色温度差を細かく設定することによって正確な気温を示すことも可能である。
【0015】 また基板にポリプロピレン板を使用し基板表面に該絵の具を用いて彩色を施しステンドグラスを形成した後、絵の具の基材たる合成樹脂エマルジョンの硬化後ポリプロピレン板面からステンドグラスを容易に剥離することによって薄片状のステンドグラスを製作し、他の基板に貼付することもできる。
【0016】
【実施例】 以下本考案の実施例について図面に基づいて詳述する。
【0017】 実施例 1図1に示すように本考案のステンドグラスは基板となる透明のガラス板に3色の異なった色によって色彩が施され各色の境界はコーキング材によって仕切られている。図1は常温域である10〜18℃において制作した場合の色調を示したものである。
【0018】 図2は本考案のステンドグラスを30℃以上の雰囲気中に置いた場合の色調の変化を示したものである。かかる如く温度によって変化することにより朝夕の温度差や季節の温度変化をステンドグラスの色の変化によって知ることができる。
【0019】 実施例 2図3は透明ガラス板に3色の異なった変色温度域による絵の具によって色彩が施され各色の境界をコーキング材によって仕切ったもので、常温域である10〜18℃において制作した場合の色調を示したものである。この異なる各々の色の変色温度域を20℃、25℃、30℃と変えることによって20℃、25℃、30℃になるとそれぞれの色の変化をさせることができる。
【00120 図4は20℃になった時のステンドグラスの彩色の変化を示したもの、図5は25℃になった時のステンドグラスの彩色の変化を示したもの、図6R>6は30℃になった時のステンドグラスの彩色を示したものである。
【0021】 本実施例はステンドグラスのそれぞれの色にそれぞれ異なる温度の変色域を設けたもので、かかる如く変色温度の差を細かく設定することにより単に鑑賞用のみでなく正確な気温を示すことも可能となり、冷暖機器使用温度の目視指針としても有効なものとなる。
【0018】
【考案の効果】 以上の如く本考案に係るステンドグラスは従来工作工芸用としてあるいは鑑賞としてのみのものを温度によってその色彩が変化する機能を加味したことによって幼児用玩具、学校教材用はむろんのこと一般成人の鑑賞用、温度目視用として優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案の実施例1の常温制作時を示す正面図である。
【図2】 実施例1が30℃以上となった場合を示す正面図である。
【図3】 実施例2の常温制作時を示す正面図である。
【図4】 実施例2が20℃の時の正面図である。
【図5】 実施例2が25℃の時の正面図である。
【図6】 実施例2が30℃の時の正面図である。
【符号の説明】
1.基板
2.常温域緑色部分
3.常温域紫色部分
4.常温域橙色部分
5.常温域緑色部分
6.常温域紫色部分
7.常温域橙色部分
8.コーキング材
21.30℃以上黄色部分
31.30℃以上ピンク色部分
41.30℃以上黄色部分
51.20℃以上青色部分
61.25℃以上青色部分
71.30℃以上ピンク色部分

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項 1】 温度変化によって可逆的に変色する示温顔料を混合分散した合成樹脂エマルジョンを基材とする絵の其によって透明基板に形成したことを特徴とするステンドグラス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【登録番号】第3004584号
【登録日】平成6年(1994)9月14日
【発行日】平成6年(1994)11月22日
【考案の名称】色彩記憶性ステンドグラス
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−6286
【出願日】平成6年(1994)4月25日
【出願人】(592196123)株式会社パジコ (5)