色補正装置及び方法
【課題】入力された画像の色ヒストグラムを検出し、色の分布及び頻度に応じてパラメータを動的に制御することにより、画像の「距離感」及び「立体感」を向上させ、よりリアルな画像の再現を可能にする色補正装置及び方法を提供する。
【解決手段】色差平面上の所定の角度範囲を1つの色軸範囲とし、この色軸範囲を複数設定し、かつ、それぞれの色軸範囲を複数の領域に分割して、この分割した領域内に含まれる入力映像信号のフィールドごと又はフレームごとの各画素の出現頻度を表す色ヒストグラムを検出する色ヒストグラム検出手段11と、色相、彩度、輝度に関する予め所定の値に設定されている各補正値を、色ヒストグラムに基づいてフィールドごと又はフレームごとに変化させるデータ処理手段2と、データ処理手段により変化させた色相、彩度、輝度に関する各補正値によって入力映像信号を色軸範囲ごとに補正する色補正手段12とを備える。
【解決手段】色差平面上の所定の角度範囲を1つの色軸範囲とし、この色軸範囲を複数設定し、かつ、それぞれの色軸範囲を複数の領域に分割して、この分割した領域内に含まれる入力映像信号のフィールドごと又はフレームごとの各画素の出現頻度を表す色ヒストグラムを検出する色ヒストグラム検出手段11と、色相、彩度、輝度に関する予め所定の値に設定されている各補正値を、色ヒストグラムに基づいてフィールドごと又はフレームごとに変化させるデータ処理手段2と、データ処理手段により変化させた色相、彩度、輝度に関する各補正値によって入力映像信号を色軸範囲ごとに補正する色補正手段12とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の映像信号における特定の色及びその近傍の色のみを対象に色相、彩度及び輝度等を補正する色補正装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、LCD(液晶ディスプレイ)パネル及びPDP(プラズマディスプレイパネル)等の表示装置には多様な機種があるが、同一の機種であっても3原色の色度点はばらついている。そのため、表示された映像信号は、色調(色相または彩度)や階調(輝度)のずれが発生する。そこで、発生したずれを修正するために、特定の色及びその近傍の色のみを対象に色相、彩度、輝度などを補正する色補正回路が用いられる。従来の色補正回路として、特定の補正領域のみ色相や彩度を補正し、併せてガンマ補正を施す技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
色補正回路には、2つの色差信号(R−Y,B−Y)と輝度信号(Y)に跨る3次元の補正が要求される。また、色の3つの独立要素として色相、彩度、輝度が直感的にも分かりやすいため、色補正回路はこの3要素を独立に補正するように構成されている。また、入力画像の特徴に応じて、色信号成分を適応的に制御することで、色補正回路のS/Nの改善を図る技術が提案されている(特許文献2及び特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−348614号公報
【特許文献2】特開2005−318137号公報
【特許文献3】特開2007−049341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の色補正回路では、調整時に色補正量が一義的に決定され、その設定値のまま色補正回路の補正量が固定される。そのため、入力されるあらゆる映像に対して最適な色補正を行なう事が困難であるという問題がある。一例として、目標とする色に近づけるため、色相の選択範囲を狭く設定した場合、色数が多い森などの絵柄においては、その色数を最大限に表現することができない問題がある。
【0006】
本発明は、入力された画像の色ヒストグラムを検出し、色の分布及び頻度に応じてパラメータを動的に制御することにより、画像の「距離感」及び「立体感」を向上させ、よりリアルな画像の再現を可能にする色補正装置及び方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の態様は、下記(1)〜(3)の構成を有する色補正装置、下記(4)〜(6)の構成を有する色補正方法を提供する。
【0008】
(1)
映像信号の色成分を表す第1及び第2の色差信号の一方の色差信号のレベルをX軸、他方の色差信号のレベルを前記X軸に直交するY軸とする色差平面において、当該色差平面上の所定の角度範囲を1つの色軸範囲とし、この色軸範囲を複数設定し、かつ、それぞれの色軸範囲を複数の領域に分割して、この分割した領域内に含まれる入力映像信号のフィールドごと又はフレームごとの各画素の出現頻度を表す色ヒストグラムを検出する色ヒストグラム検出手段と、
映像信号の色相、彩度、輝度に関する予め所定の値に設定されている各補正値を、前記検出された色ヒストグラムに基づいてフィールドごと又はフレームごとに変化させるデータ処理手段と、
前記データ処理手段により変化させた前記色相、彩度、輝度に関する各補正値によって前記入力映像信号を前記色軸範囲ごとに補正する色補正手段と、
を備えたことを特徴とする色補正装置。
【0009】
(2)
前記データ処理手段は、前記色ヒストグラムの分布に基づき、前記色相に関する前記補正値を変化させて前記分布の偏りを調整することを特徴とする(1)に記載の色補正装置。
【0010】
(3)
前記データ処理手段は、前記色ヒストグラムの頻度に応じて、前記頻度が多い場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を大きくする方向に変化させる処理を実行し、前記頻度が少ない場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を小さくする方向に変化させる処理の少なくともいずれかを実行することを特徴とする(1)に記載の色補正装置。
【0011】
(4)
映像信号の色成分を表す第1及び第2の色差信号の一方の色差信号のレベルをX軸、他方の色差信号のレベルを前記X軸に直交するY軸とする色差平面において、色ヒストグラム検出手段が、当該色差平面上の所定の角度範囲を1つの色軸範囲とし、この色軸範囲を複数設定し、かつ、それぞれの色軸範囲を複数の領域に分割して、この分割した領域内に含まれる入力映像信号のフィールドごと又はフレームごとの各画素の出現頻度を表す色ヒストグラムを検出する色ヒストグラム検出ステップと、
データ処理手段が、前記色相、彩度、輝度に関する予め所定の値に設定されている各補正値を、前記検出された色ヒストグラムに基づいてフィールドごと又はフレームごとに変化させるデータ処理ステップと、
色補正手段が、前記データ処理手段により変化させた前記色相、彩度、輝度に関する各補正値によって前記入力映像信号を前記色軸範囲ごとに補正する色補正ステップと、
を有することを特徴とする色補正方法。
【0012】
(5)
前記データ処理ステップは、前記色ヒストグラムの分布に基づき、前記色相に関する前記補正値を変化させて前記分布の偏りを調整することを特徴とする(4)に記載の色補正方法。
【0013】
(6)
前記データ処理ステップは、前記色ヒストグラムの頻度に応じて、前記頻度が多い場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を大きくする方向に変化させる処理を実行し、前記頻度が少ない場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を小さくする方向に変化させる処理の少なくともいずれかを実行することを特徴とする(4)に記載の色補正方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、入力された画像の色ヒストグラムを検出し、色の分布及び頻度に応じてパラメータを動的に制御することにより、画像の「距離感」及び「立体感」を向上させ、よりリアルな画像の再現を可能にする色補正装置及び方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る色補正装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る一画面内の判定領域の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る色ヒストグラム検出部のブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る色差平面を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る色差平面を分割した分割領域の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る色差平面の分割領域毎の色ヒストグラムの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る補正値算出器を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る色補正部が備える補正係数算出部で用いる色相の補正関数の概略図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る色補正部が備える補正係数算出部で用いる彩度の補正関数の概略図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るリーク型積分回路のブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る色補正部が備える補正係数算出部を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る補正係数算出部の処理を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る色補正装置が色補正処理を実施する際のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態に係る色補正装置100は、入力信号(輝度信号Y、色差信号B−Y,R−Y)に対して所定の演算処理を施して色相データと彩度データとを生成する色データ生成部10、色ヒストグラム検出部11及び色補正部12から成る映像処理部1と、CPUで構成されたデータ処理部2と、このデータ処理部2に与える色補正パラメータの初期値が記憶される記憶部3とから構成されている。
【0018】
<色ヒストグラム検出部11>
図2に、1フィールド(又は1フレーム)の画面30内に設けられた所定の判定領域31を示す。判定領域31は、色補正部12で指定される色補正範囲内の色ヒストグラム検出を行う色ヒストグラム検出枠31である。また、図3は、色ヒストグラム検出部11の一構成例を示すブロック図である。色ヒストグラム検出部11は、色ヒストグラム検出枠31内において、色補正範囲を指定して入力信号レベルに基づき色ヒストグラム検出を行う。
【0019】
〈色ヒストグラム検出部11の構成〉
図3に示すように、色ヒストグラム検出部11は、5つの選択器(第1選択器1111〜第5選択器1115)から成る選択器群111と、各選択器1111〜1115にそれぞれ対応する5つの論理積ゲート(第1論理積ゲート1121〜第5論理積ゲート1125)から成る論理積ゲート群112と、各論理積ゲート1121〜1125にそれぞれ対応する5つのカウンタ(第1カウンタ1131〜第5カウンタ1135)から成る累積カウンタ群113と、各カウンタ1131〜1135にそれぞれ対応する5つのレジスタ(第1レジスタ1141〜第5レジスタ1145)から成る保持レジスタ群114と、2値化演算部115とから構成されている。
【0020】
なお、以下の説明において、L0、L1、L2は、色相データまたは等色相線を示す。すなわち、図4に示すように、色差信号B−YをX軸(横軸)、色差信号R−YをY軸(縦軸)とする色差平面上において、回転方向が色相を表している。半径方向は彩度を表す。また、図4(a)に示すように角度θ0、θ1、θ2(θ1<θ0<θ2)の直線で示されるL0、L1、L2が等色相線を表している。等色相線L0が補正の中心線であって補正中心角θ0により設定される。角度θ1〜θ2は、等色相線L0の補正範囲である。本実施形態では、等色相線L0を基準として入力された各色相データの範囲を5群に分類してそれぞれの色ヒストグラムを検出するようにしている。
【0021】
図4(b)は等色相線L0の補正範囲内の色相を可変するイメージを示し、図4(c)は等色相線L0の補正範囲内の彩度を可変するイメージを示す図である。
【0022】
図5は、前述した図4と同様、色差信号R−Y、B−Yの直交座標における色補正範囲(等色相線を基準の軸とする色相データの補正範囲)を1軸、2軸、3軸、…、n軸のように任意の領域で分割したものである。図2に示す色ヒストグラム検出枠31内の図5に示す各軸の色補正範囲内において、検知される後述する補正関数M12の値を1フィールド又は1フレーム単位で表すと、図6に示すグラフとなる。図6は、図5の各軸の色補正範囲に示した検出結果をグラフ化したものであり、これら算出した各軸の検出量をデータ処理部2に与える。なお、以下の説明において、色ヒストグラム検出部11は、等色相線L0を1軸とする色ヒストグラムを構成する5つの群のヒストグラムを1軸色ヒストグラムCH1−1〜CH1−5と記載する。また、2軸、…、n軸における各5つ群のヒストグラムを2軸色ヒストグラムCH2−1〜CH2−5、…、n軸色ヒストグラムCHn−1〜CHn−5と記載する。そして、色ヒストグラム検出部11は、等色相線L0を基準として入力された等色相線L1、L2の領域の各色相データを5群に分類し、これを1軸として各軸の色ヒストグラムを検出するようにしている。
【0023】
〈色ヒストグラム検出部11の作用〉
色データ生成部10で生成された色相データLhは選択器群111に出力される。選択器群111を構成する複数の選択器は、色相データLhの取り得る値の範囲を所定の大きさの複数の色相領域に分割し、画素毎にその色相データLhがいずれかの領域に含まれるものであるかを判定する。本実施形態では、入力された色相データLhが、“L0−L1≦Lh<L0−L1/2”の範囲にあるとき第1選択器1111が論理信号“1”を出力し、“L0−L1/2≦Lh<L0”の範囲にあるとき第2選択器1112が論理信号“1”を出力し、“L0=Lh”であるとき第3選択器1113が論理信号“1”を出力し、“L0<Lh≦L0+L2/2”の範囲にあるとき第4選択器1114が論理信号“1”を出力し、“L0+L2/2<Lh≦L0+L2”の範囲にあるとき第5選択器1115が論理信号“1”を出力する。例えば、色相データLh=L0の画素であれば、第3選択器1113から“1”が出力され、その他の選択器からは“0”が出力される。
【0024】
一方、色データ生成部10で生成された彩度データは2値化演算部115に出力される。2値化演算部115は、入力された彩度データが予め設定した任意の閾値より大きい場合“1”を出力し、小さい場合“0”を出力して、画素が有する彩度の大きさを判断する。すなわち、彩度が所定の閾値以下である「色が薄い画素」はカウント(抽出)しないようにしている。例えば、空の水色等のような遠くの景色を表現する画像では、細かい色相の差異は無視してよい。逆に、彩度が所定の閾値以上である色が濃い画素は積極的にカウントしてその色ヒストグラムを検出している。例えば、森の緑の如く、近い部分の微妙な色相の差異は積極的に補正するようにしている。
【0025】
論理積ゲート群112は、選択器群111からの信号と2値化演算部115からの信号との論理積を行い、結果を累積カウンタ群113へ出力する。5つのカウンタ1131〜1135により構成された累積カウンタ群113は、対応する論理積ゲート1121〜1125から出力された信号をカウントアップし、そのカウント値を1だけインクリメントする。このカウント値は、選択器群111により分割された色相領域に含まれ、且つ、彩度レベルが2値化演算部115による一定の条件を満たした画素の総数を示している。5つのレジスタ1141〜1145により構成された保持レジスタ群114は、カウンタ群113から出力されるカウント値を保持する。このように、分割した色相領域に含まれる画素数をカウントして、色ヒストグラムの頻度数のデータを生成し、データ処理部2へ出力する。
【0026】
<データ処理部(CPU)2>
図7は図1のデータ処理部2の詳細を示す図である。データ処理部2は補正値算出器21を備え、補正値算出器21は、色ヒストグラム検出部11から各軸の色ヒストグラムデータ(1軸色ヒストグラムCH1−1〜CH1−5、2軸色ヒストグラムCH2−1〜CH2−5、…、n軸色ヒストグラムCHn−1〜CHn−5)を受け取り、記憶部3から取得した色補正パラメータの初期値を基準として補正値パラメータを算出し、図11に示す色補正部12が備える補正係数算出部1231〜123n(以下、任意の補正係数算出部を123i、i=1〜nとする)に出力する。
【0027】
図8は本実施形態の補正値算出器21が、補正値パラメータの1つである色相1の係数(p1)の初期値に付加するオフセット値p1_offsetの算出に用いる算出方法の一例を示しており、ここでは、図4(b)に示す色相を可変するレジスタを制御する。補正値算出器21は図8に示す算出方法で色相1の係数(p1)の初期値に付加されるオフセット値p1_offsetを求め、オフセット値p1_offsetと色相1の係数(p1)の初期値とを加算して(p1=初期値+p1_offset)、図11に示す色補正部12が備える補正係数算出部1231〜123nに出力する。
【0028】
図8に示すA、B、C、D、Eは、図6に示す色ヒストグラムの任意の軸を5分割した際のそれぞれの頻度量を表している。1軸を例として説明をすると、Aは1−1軸、Bは1−2軸、Cは1−3軸、Dは1−4軸、Eは1−5軸の各頻度量を示す。1−3軸は、1軸の中心である。横軸は、(B+D)−(A+E)を示し、この値は色の補正対象となる画像が色補正範囲の中心1−3軸(図4に示すL0)に対する偏りを示す。縦軸は、色相1の係数(p1)の初期値に付加するオフセット値p1_offsetを示す。図8の横軸の値(B+D)−(A+E)について説明する。横軸の値が0となるのは、(B+D)−(A+E)=0の場合である。この時(B+D)=(A+E)であり、色の補正対象となる画像は色補正範囲において偏りのないことを示す。横軸の値が図8右側の領域である正の値をとる場合は、(B+D)−(A+E)>0である。この時、(B+D)>(A+E)であり、色の補正対象となる画像は色補正範囲の中心(B〜D)に偏っていることを示す。
【0029】
横軸の値が図8左側の領域である負の値をとる場合は、(B+D)−(A+E)<0である。この時、(B+D)<(A+E)であり、色の補正対象となる画像は色補正範囲の境界(AやE)に偏っていることを示す。
【0030】
ここで、図8に示す{(A+E)−(|A−E|)}/(A+E)は、色補正範囲の境界付近において、図6に示す1軸の中心である1−3軸に対し、正方向(図6の1−5軸方向)及び負方向(図6の1−1軸方向)のヒストグラムの差分の割合を表している。例えば、A=5及びE=5の場合、{(A+E)−(|A−E|)}/(A+E)=1となるため、色補正範囲の境界付近の正側及び負側において均等に画像が存在する。この場合、p1_offset=rUpLimとなるため、図1のデータ処理部2は色相1の係数(p1)の初期値にオフセット値rUpLimを加算した1(p1)+rUpLimを色補正部12が備える補正係数算出部123i(ここでは、1軸を例としているためi=1の補正係数算出部1231とする)に入力する。すなわち、データ処理部2は色相1の係数(p1)を縮小する方向に制御する。またA=5及びE=0の場合、{(A+E)−(|A−E|)}/(A+E)=0となるため、色補正範囲の境界付近において、1軸の中心である1−3軸の負側に画像が存在する。この場合、p1_offset=rUpLim=0となるため、データ処理部2は色相1の係数(p1)の初期値にオフセット値0を加算した1(p1)を補正係数算出部1231に入力する。すなわち、データ処理部2は色相1の係数(p1)の制御は行わない。なお、r0,r1,r2,r3,rLowLim,rUpLimは可変なレジスタを表している。
【0031】
つぎに、図8に示す{(B+D)−(|B−D|)}/(B+D)は、色補正範囲の中心付近において、図6に示す1軸の中心である1−3軸に対し、正方向及び負方向のヒストグラムの差分の割合を表している。例えば、B=5及びD=5の場合、{(B+D)−(|B−D|)}/(B+D)=1となるため、色補正範囲の中心付近の正側及び負側において均等に画像が存在する。この場合、p1_offset=rLowLimとなるため、図1のデータ処理部2は色相1の係数(p1)の初期値にオフセット値rLowLimを加算した1(p1)+rLowLimを補正係数算出部1231に入力する。すなわち、データ処理部2は色相1の係数(p1)を拡大する方向に制御する。またB=5及びD=0の場合、{(B+D)−(|B−D|)}/(B+D)=0となるため、色補正範囲の中心付近において、1軸の中心である1−3軸の負側(B側)に画像が存在する。この場合、p1_offset=rLowLim=0となるため、データ処理部2は色相1の係数(p1)の初期値にオフセット値0を加算した1(p1)を補正係数算出部123iに入力する。
【0032】
本発明の実施の形態に係る色補正装置100は、分布の少ない色相へ色を配分(補間)することができ、そのため補正対象の画像に対して色数を増加させる効果がある。また、色補正部12による色補正を行った結果、色相1の係数(p1)の初期値を図4(a)に示す中心軸L0に対して、正側のL2及び負側のL1がそれぞれ独立して同時に拡張及び縮小するよう制御することができる。そのため、色補正範囲において色数を増やす効果を達成することができる。
【0033】
図9は本実施形態の補正値算出器21が、補正値パラメータの1つである彩度の係数(s)の初期値に付加するオフセット値s_offsetを算出に用いる算出方法の一例を示しており、ここでは図4(c)に示す彩度を可変するレジスタを制御する。補正値算出器21は、図9に示す算出方法で彩度の係数(s)の初期値に付加されるオフセット値s_offsetを求め、図11に示す補正係数算出部1231〜123nに出力する。
【0034】
図9中のA、B、C、D、Eも図8と同様、図6に示す色ヒストグラムの任意の軸を5分割した際のそれぞれの頻度量を表しており、ここでは1軸を例とする。Aは1−1軸、Bは1−2軸、Cは1−3軸、Dは1−4軸、Eは1−5軸の各頻度量を示す。横軸は、(A+B+C+D+E)であり、軸の範囲内に含まれる色頻度の合計を表す値である。縦軸は、彩度の係数(s)の初期値に付加するオフセット値s_offsetを表している。本発明の実施の形態に係る色補正装置100は、色頻度が多い(色面積が大きい)場合は彩度を大きくし、色頻度が少ない(色面積が小さい)場合は彩度を小さくする。図9は彩度の係数(s)のオフセット値を算出する一例であり、色頻度が少ない場合の彩度を小さくする処理は行わなくてもよい。これにより、色の面積により濃淡が強調され、立体感、奥行き感を生む効果がある。色頻度が多いということは、画面に占める色の量が多いため、彩度に正のオフセットを加算して色を濃くし、鮮明を強くすることで、立体感を出すことができる。なお、彩度と同様な補正をYガンマの係数(gy)、Cガンマの係数(cy)に対して行ってもよい。なお、s0、s1、s2、s3、sLowLim、sUpLimは可変のレジスタを表している。
【0035】
ここで、補正係数算出部1231〜123nに入力する係数p1、s、gy、cyをフィールドごと又はフレームごとに変化させると、色補正後の色の変化が急峻になり、動画の場合に不具合が発生する可能性がある。そこで、上記の係数p1、s、gy、cyの変化をある程度緩やかにすることが望まれる場合がある。色ヒストグラムの変化が急峻に変化しても最終的に映像信号に掛ける補正値が緩やかに変化するようになれば動画の場合に不具合は発生しない。
【0036】
つぎに、図10を用いて、色相1の係数(p1)の生成例を説明する。補正値算出器21は、加算器141と、レジスタ142と乗算器143は時間方向にリーク型の積分回路を備え、レジスタ142には1フィールド前又は1フレーム前の係数、色相1の係数(p1)の値p1k-1が格納されている。このリーク型積分回路は今回のフィールド又はフレームの値p1kに基づき、P1=p1k+p1k-1×15/16の演算を行う。この演算結果がレジスタ142に格納される。乗算器144はP1’=P1×(1/16)の演算を行い、この演算結果が今回のフィールド又は今回のフレームの色相1の係数(p1)として補正係数算出部1231〜123nに設定される。この構成により、スタティックな処理をダイナミックな処理にすることができる。
【0037】
<色補正部12>
図1に示す色補正部12は、図11に示す回路構成となる。色を補正するためには2つの色差信号R−Y、B−Yと輝度信号Yに跨る補正が要求される。また、色の3つの独立要素として色相、彩度、輝度が直感的にも分かりやすいので、色補正部12の色補正回路はこの3要素を独立に補正するように構成するのが望ましい。なお、以下の説明では、色差信号R−Y、B−Yの角度をTとして説明する。
【0038】
図11に示す色補正部12は、色差信号R−Y、B−Yをノイズ除去用のLPF121を介して角度T算出部122に出力する。角度T算出部122は色差信号R−Y、B−Yの角度Tを算出する。
【0039】
補正係数算出部1231〜123nは補正対象の色の数(n)に応じて設けられ、角度Tをパラメータとして補正対象の色の数に応じて彩度の補正係数Si、色相の補正係数Pi、Y(輝度)ガンマの補正係数Gyi、C(彩度)ガンマの補正係数Gciを算出する。
【0040】
補正係数算出部1231〜123nは次の処理を行う。「色相1補正」では、図4(a)に示すように等色相線L0を中心としてL1〜L2内の色相をその中心の色相L0(又はL1、L2)に補正する。これにより例えば肌色の近傍の色を肌色に近づけることができる。「色相2補正」では、図4(b)に示すようにL1〜L2内の色相を同一方向に回転して補正する。「彩度補正」では、図4(c)に示すようにL1〜L2内において色相(色度点)を等色相線L0に平行な方向に移動させて彩度を補正する。
【0041】
「Yガンマ補正」では、図4(c)と同様にL1〜L2内においてY信号のガンマを補正する。「Cガンマ補正」では、「Yガンマ補正」に連動して彩度のガンマを補正する。「高彩度時の飽和補正」では、高彩度の色に対して、彩度増加時の飽和による色相変動を抑制する。
【0042】
補正係数算出部1231〜123nには、データ処理部2によって、等色相線L0、L1、L2それぞれの補正範囲を決める角度θ0、θ1、θ2、あるいは角度θ0及び補正範囲Rが入力される。本実施形態では、補正係数算出部1231〜123nそれぞれに入力される角度をθ0、θ1、θ2とし、その角度θ0、θ1、θ2を角度θ01、θ11、θ21〜θ0n、θ1n、θ2nと表している。そして角度θ01〜θ0nを総称して角度θ0、角度θ11〜θ1nを総称して角度θ1、角度θ21〜θ2nを総称して角度θ2とする。なお、補正範囲Rは複数の補正係数算出部で重なった範囲を設定することも可能である。
【0043】
補正係数算出部123iは補正対象の色に応じた所定の補正中心角θ0、角度θ1〜θ2を決める補正範囲Rと、補正の度合いをディスプレイごとに変化させるために色相の補正係数Piを補正する色相1の係数p1、色相2の係数p2、彩度の補正係数Siを補正する彩度係数s、彩度リミッタ、Yガンマの補正係数Gyiを補正するYガンマ係数gy、Cガンマの補正係数Gciを補正するCガンマ係数gcが設定される。
【0044】
角度Tにおける色相の補正係数P(T)は、(1)式を用いて上述した色相1補正及び色相2補正の加算より求める。彩度の補正係数S(T)は(2)式より求める。Yガンマの補正係数Gy(T)は(3)式より求める。Cガンマの補正係数Gc(T)は(4)式より求める。
【0045】
P(T)=p1×M012+p2×M12; …(1)式
S(T)=s1×M12; …(2)式
Gy(T)=gy×M12; …(3)式
Gc(T)=gc×M12; …(4)式
上記(1)式〜(4)式によって生成された色相の補正係数P(T)、彩度の補正係数S(T)、Yガンマの補正係数Gy(T)、Cガンマの補正係数Gc(T)をそれぞれP(T)i、S(T)i、Gy(T)i、Gc(T)i(i=1〜n)とする。
【0046】
補正係数算出部1231〜123nが行う処理について、図12を用いてさらに説明する。
【0047】
補正係数算出部1231〜123nは、次の(5)式に基づいて、映像信号(色相、彩度、輝度)を補正するための第1の補正関数M12を生成する。
【0048】
M12=Min(FL1,FL2); …(5)式
ここで、図4の等色相線L1の角度θ1よりも角度の大きい部分を示す関数をFL1とし、これを数式で表すと、次の(6)式となる。
【0049】
FL1=T−θ1; if(FL1<0) FL1=0; …(6)式
この(6)式は、図12(a)に示す特性となる。
【0050】
同様に、図4の等色相線L2よりも角度の小さい部分を示す関数をFL2とし、これを数式で表すと、(7)式となる。
【0051】
FL2=θ2−T; if(FL2<0) FL2=0; …(7)式
この(7)式は、図12(b)に示す特性となる。
【0052】
(5)式で求めた第1の補正関数M12は、(6)式で示されるFL1と(7)式で示されるFL2との小さい方を選択するものであり、図12(c)に示すように角度θ0に頂点を有する三角形状の特性となる。第1の補正関数M12の特性としては、三角形状に限定されることはなく、上限値を設けて台形状にしたり、余弦関数状にしたりしてもよい。なお、第1の補正関数M12は、補正範囲R(図4(a)に示す等色相線L1とL2で囲まれる範囲)外である角度θ1、θ2の外側を0とすることが必要である。
【0053】
また補正係数算出部1231〜123nは、次の(8)式に基づいて、映像信号(色相、彩度、輝度)を補正するための第2の補正関数M012を生成する。
【0054】
M012=Min(FL0,FL1);
M012=Max(M012,−FL2); …(8)式
また、図4の等色相線L0よりも角度の大きい部分と小さい部分とを示す関数をFL0とし、これを数式で表すと、(9)式となる。
【0055】
FL0=θ0−T; …(9)式
この(9)式は、図12(d)に示す特性となる。
【0056】
第2の補正関数M012は、(9)式で示されるFL0と(6)式で示されるFL1との小さい方を第2の補正関数M012とし、さらに、この第2の補正関数M012と−FL2との大きい方を第2の補正関数M012として求めるものである。このようにして得た第2の補正関数M012は、図12(e)に示すように、角度θ1と角度θ0との中央部に正の頂点を有する上に凸の三角形状と、角度θ0と角度θ2との中央部に負の頂点を有する下に凸の三角形状とを合わせた特性となる。第2の補正関数M012も、補正範囲外である角度θ1、θ2の外側を0とすることが必要である。
【0057】
ところで、θ1=θ0−R、θ2=θ0+Rとしたとき、角度算出部122で算出された角度Tは0°〜360°の値であり、角度θ1や角度θ2が0°又は360°を跨ぐ場合には、角度の値に不連続が生じる。そこで、補正係数算出部1231〜123nは、上記の(6)、(7)、(9)式で用いる角度Tを次の(10)式によって予め補正しておく。
【0058】
if(T−θ1)≧360) T=T−360;
if(θ2−T)≧360) T=T+360; …(10)式
この(10)式により、角度θ1や角度θ2が0°又は360°を跨ぐ場合であっても、角度θ1〜θ2の範囲内に角度Tが含まれるとき、角度Tを連続的な値に補正することによって角度θ1〜θ2の範囲内で角度Tの値の不連続が生じないようにすることができる。よって、図12(c)、(e)に示す第1、第2の補正関数M12、M012を正しく生成することができる。以上のようにして、角度θ0を中心とする補正範囲として、θ1=θ0−R、θ2=θ0+Rとしたとき、補正角度Rを180°近傍まで、すなわち、θ0±180°の補正範囲を設定することができる。
【0059】
図11に戻り、加算器124は補正係数算出部123iにより算出された彩度の補正係数Siを加算してその合計ΣSiを求め、また、加算器125は色相の補正係数Piの合計ΣPi、加算器126はYガンマの補正係数Gyiの合計ΣGyi、加算器127はCガンマの補正係数Gciの合計ΣGciをそれぞれ求める。色相/彩度補正処理部128は色差信号R−Y、B−Yの彩度、色相をそれぞれ彩度の補正係数合計値ΣSi、色相の補正係数合計値ΣPiに基づいて積和演算して補正する。このとき、色差信号R−Y、B−Yをそれぞれiry、iby、これらの補正信号をiry′、iby′とすると、補正演算式は次の通りである。
【0060】
iby′=iby*cos(ΣPi)−iry*sin(ΣPi);
iry′=iby*sin(ΣPi)+iry*cos(ΣPi);
iby =iby+iby′*ΣSi;
iry =iry + iry′*ΣSi;
輝度ガンマ処理・彩度ガンマ処理部129はY信号の輝度ガンマと、色相/彩度補正処理部128により補正された色差信号R−Y、B−Yの彩度ガンマをそれぞれYガンマの補正係数合計値ΣGyi、Cガンマの補正係数合計値ΣGciに基づいて補正する。また、輝度ガンマを補正すると彩度が見かけ上変化するので、これを防止するために彩度補正部130が輝度ガンマ処理・彩度ガンマ処理部129により補正されたY信号、色差信号R−Y、B−Yの彩度を補正係数SatCorrectに基づいて補正する。
【0061】
つぎに、本発明の実施の形態に係る色補正装置100において、入力された映像信号の色を補正する方法について、図1、図7に示すブロック図等及び図13に示すフローチャート図を参照しながら説明する。
【0062】
(イ)ステップS101において、図1に示す映像処理部1が映像信号の入力信号を受信し、色データ生成部10及び色補正部12に出力する。ステップS102において、色ヒストグラム検出部11は、色ヒストグラム検出枠31における色ヒストグラムを検出する。ステップS103において、色ヒストグラム検出部11が検出した色ヒストグラム及び記憶部3が記憶する色補正パラメータの初期値を元に、補正値算出器21が補正値パラメータを算出する。
【0063】
(ロ)ステップS104において、色補正部12は、補正値算出器21が算出した補正値パラメータ及び映像処理部1が入力した映像信号の入力信号を元に色の補正処理を行う。ステップS105において、映像処理部1は、色補正部12が色の補正を実施した映像信号を出力信号として出力する。
【0064】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る色補正装置100は、入力された画像の色ヒストグラムを検出して、色の分布に応じて色相を制御することでテクスチャのきめ細かい色の差を表現できる。さらに、色の頻度に応じて彩度を制御することで濃淡の差が生まれ、立体感、奥行き感を表現できる。すなわち、色の分布や頻度に応じて、色補正回路の補正値パラメータを動的に制御する事により、映像の「距離感」及び「立体感」を向上させ、よりリアルな映像再現が可能となる。
【0065】
以上、本発明を一実施の形態によって説明したが、上記実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成物品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0066】
1…映像処理部
2…データ処理部(CPU)
3…記憶部
10…色データ生成部
11…色ヒストグラム検出部
12…色補正部
100…色補正装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の映像信号における特定の色及びその近傍の色のみを対象に色相、彩度及び輝度等を補正する色補正装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、LCD(液晶ディスプレイ)パネル及びPDP(プラズマディスプレイパネル)等の表示装置には多様な機種があるが、同一の機種であっても3原色の色度点はばらついている。そのため、表示された映像信号は、色調(色相または彩度)や階調(輝度)のずれが発生する。そこで、発生したずれを修正するために、特定の色及びその近傍の色のみを対象に色相、彩度、輝度などを補正する色補正回路が用いられる。従来の色補正回路として、特定の補正領域のみ色相や彩度を補正し、併せてガンマ補正を施す技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
色補正回路には、2つの色差信号(R−Y,B−Y)と輝度信号(Y)に跨る3次元の補正が要求される。また、色の3つの独立要素として色相、彩度、輝度が直感的にも分かりやすいため、色補正回路はこの3要素を独立に補正するように構成されている。また、入力画像の特徴に応じて、色信号成分を適応的に制御することで、色補正回路のS/Nの改善を図る技術が提案されている(特許文献2及び特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−348614号公報
【特許文献2】特開2005−318137号公報
【特許文献3】特開2007−049341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の色補正回路では、調整時に色補正量が一義的に決定され、その設定値のまま色補正回路の補正量が固定される。そのため、入力されるあらゆる映像に対して最適な色補正を行なう事が困難であるという問題がある。一例として、目標とする色に近づけるため、色相の選択範囲を狭く設定した場合、色数が多い森などの絵柄においては、その色数を最大限に表現することができない問題がある。
【0006】
本発明は、入力された画像の色ヒストグラムを検出し、色の分布及び頻度に応じてパラメータを動的に制御することにより、画像の「距離感」及び「立体感」を向上させ、よりリアルな画像の再現を可能にする色補正装置及び方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の態様は、下記(1)〜(3)の構成を有する色補正装置、下記(4)〜(6)の構成を有する色補正方法を提供する。
【0008】
(1)
映像信号の色成分を表す第1及び第2の色差信号の一方の色差信号のレベルをX軸、他方の色差信号のレベルを前記X軸に直交するY軸とする色差平面において、当該色差平面上の所定の角度範囲を1つの色軸範囲とし、この色軸範囲を複数設定し、かつ、それぞれの色軸範囲を複数の領域に分割して、この分割した領域内に含まれる入力映像信号のフィールドごと又はフレームごとの各画素の出現頻度を表す色ヒストグラムを検出する色ヒストグラム検出手段と、
映像信号の色相、彩度、輝度に関する予め所定の値に設定されている各補正値を、前記検出された色ヒストグラムに基づいてフィールドごと又はフレームごとに変化させるデータ処理手段と、
前記データ処理手段により変化させた前記色相、彩度、輝度に関する各補正値によって前記入力映像信号を前記色軸範囲ごとに補正する色補正手段と、
を備えたことを特徴とする色補正装置。
【0009】
(2)
前記データ処理手段は、前記色ヒストグラムの分布に基づき、前記色相に関する前記補正値を変化させて前記分布の偏りを調整することを特徴とする(1)に記載の色補正装置。
【0010】
(3)
前記データ処理手段は、前記色ヒストグラムの頻度に応じて、前記頻度が多い場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を大きくする方向に変化させる処理を実行し、前記頻度が少ない場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を小さくする方向に変化させる処理の少なくともいずれかを実行することを特徴とする(1)に記載の色補正装置。
【0011】
(4)
映像信号の色成分を表す第1及び第2の色差信号の一方の色差信号のレベルをX軸、他方の色差信号のレベルを前記X軸に直交するY軸とする色差平面において、色ヒストグラム検出手段が、当該色差平面上の所定の角度範囲を1つの色軸範囲とし、この色軸範囲を複数設定し、かつ、それぞれの色軸範囲を複数の領域に分割して、この分割した領域内に含まれる入力映像信号のフィールドごと又はフレームごとの各画素の出現頻度を表す色ヒストグラムを検出する色ヒストグラム検出ステップと、
データ処理手段が、前記色相、彩度、輝度に関する予め所定の値に設定されている各補正値を、前記検出された色ヒストグラムに基づいてフィールドごと又はフレームごとに変化させるデータ処理ステップと、
色補正手段が、前記データ処理手段により変化させた前記色相、彩度、輝度に関する各補正値によって前記入力映像信号を前記色軸範囲ごとに補正する色補正ステップと、
を有することを特徴とする色補正方法。
【0012】
(5)
前記データ処理ステップは、前記色ヒストグラムの分布に基づき、前記色相に関する前記補正値を変化させて前記分布の偏りを調整することを特徴とする(4)に記載の色補正方法。
【0013】
(6)
前記データ処理ステップは、前記色ヒストグラムの頻度に応じて、前記頻度が多い場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を大きくする方向に変化させる処理を実行し、前記頻度が少ない場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を小さくする方向に変化させる処理の少なくともいずれかを実行することを特徴とする(4)に記載の色補正方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、入力された画像の色ヒストグラムを検出し、色の分布及び頻度に応じてパラメータを動的に制御することにより、画像の「距離感」及び「立体感」を向上させ、よりリアルな画像の再現を可能にする色補正装置及び方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る色補正装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る一画面内の判定領域の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る色ヒストグラム検出部のブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る色差平面を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る色差平面を分割した分割領域の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る色差平面の分割領域毎の色ヒストグラムの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る補正値算出器を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る色補正部が備える補正係数算出部で用いる色相の補正関数の概略図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る色補正部が備える補正係数算出部で用いる彩度の補正関数の概略図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るリーク型積分回路のブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る色補正部が備える補正係数算出部を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る補正係数算出部の処理を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る色補正装置が色補正処理を実施する際のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態に係る色補正装置100は、入力信号(輝度信号Y、色差信号B−Y,R−Y)に対して所定の演算処理を施して色相データと彩度データとを生成する色データ生成部10、色ヒストグラム検出部11及び色補正部12から成る映像処理部1と、CPUで構成されたデータ処理部2と、このデータ処理部2に与える色補正パラメータの初期値が記憶される記憶部3とから構成されている。
【0018】
<色ヒストグラム検出部11>
図2に、1フィールド(又は1フレーム)の画面30内に設けられた所定の判定領域31を示す。判定領域31は、色補正部12で指定される色補正範囲内の色ヒストグラム検出を行う色ヒストグラム検出枠31である。また、図3は、色ヒストグラム検出部11の一構成例を示すブロック図である。色ヒストグラム検出部11は、色ヒストグラム検出枠31内において、色補正範囲を指定して入力信号レベルに基づき色ヒストグラム検出を行う。
【0019】
〈色ヒストグラム検出部11の構成〉
図3に示すように、色ヒストグラム検出部11は、5つの選択器(第1選択器1111〜第5選択器1115)から成る選択器群111と、各選択器1111〜1115にそれぞれ対応する5つの論理積ゲート(第1論理積ゲート1121〜第5論理積ゲート1125)から成る論理積ゲート群112と、各論理積ゲート1121〜1125にそれぞれ対応する5つのカウンタ(第1カウンタ1131〜第5カウンタ1135)から成る累積カウンタ群113と、各カウンタ1131〜1135にそれぞれ対応する5つのレジスタ(第1レジスタ1141〜第5レジスタ1145)から成る保持レジスタ群114と、2値化演算部115とから構成されている。
【0020】
なお、以下の説明において、L0、L1、L2は、色相データまたは等色相線を示す。すなわち、図4に示すように、色差信号B−YをX軸(横軸)、色差信号R−YをY軸(縦軸)とする色差平面上において、回転方向が色相を表している。半径方向は彩度を表す。また、図4(a)に示すように角度θ0、θ1、θ2(θ1<θ0<θ2)の直線で示されるL0、L1、L2が等色相線を表している。等色相線L0が補正の中心線であって補正中心角θ0により設定される。角度θ1〜θ2は、等色相線L0の補正範囲である。本実施形態では、等色相線L0を基準として入力された各色相データの範囲を5群に分類してそれぞれの色ヒストグラムを検出するようにしている。
【0021】
図4(b)は等色相線L0の補正範囲内の色相を可変するイメージを示し、図4(c)は等色相線L0の補正範囲内の彩度を可変するイメージを示す図である。
【0022】
図5は、前述した図4と同様、色差信号R−Y、B−Yの直交座標における色補正範囲(等色相線を基準の軸とする色相データの補正範囲)を1軸、2軸、3軸、…、n軸のように任意の領域で分割したものである。図2に示す色ヒストグラム検出枠31内の図5に示す各軸の色補正範囲内において、検知される後述する補正関数M12の値を1フィールド又は1フレーム単位で表すと、図6に示すグラフとなる。図6は、図5の各軸の色補正範囲に示した検出結果をグラフ化したものであり、これら算出した各軸の検出量をデータ処理部2に与える。なお、以下の説明において、色ヒストグラム検出部11は、等色相線L0を1軸とする色ヒストグラムを構成する5つの群のヒストグラムを1軸色ヒストグラムCH1−1〜CH1−5と記載する。また、2軸、…、n軸における各5つ群のヒストグラムを2軸色ヒストグラムCH2−1〜CH2−5、…、n軸色ヒストグラムCHn−1〜CHn−5と記載する。そして、色ヒストグラム検出部11は、等色相線L0を基準として入力された等色相線L1、L2の領域の各色相データを5群に分類し、これを1軸として各軸の色ヒストグラムを検出するようにしている。
【0023】
〈色ヒストグラム検出部11の作用〉
色データ生成部10で生成された色相データLhは選択器群111に出力される。選択器群111を構成する複数の選択器は、色相データLhの取り得る値の範囲を所定の大きさの複数の色相領域に分割し、画素毎にその色相データLhがいずれかの領域に含まれるものであるかを判定する。本実施形態では、入力された色相データLhが、“L0−L1≦Lh<L0−L1/2”の範囲にあるとき第1選択器1111が論理信号“1”を出力し、“L0−L1/2≦Lh<L0”の範囲にあるとき第2選択器1112が論理信号“1”を出力し、“L0=Lh”であるとき第3選択器1113が論理信号“1”を出力し、“L0<Lh≦L0+L2/2”の範囲にあるとき第4選択器1114が論理信号“1”を出力し、“L0+L2/2<Lh≦L0+L2”の範囲にあるとき第5選択器1115が論理信号“1”を出力する。例えば、色相データLh=L0の画素であれば、第3選択器1113から“1”が出力され、その他の選択器からは“0”が出力される。
【0024】
一方、色データ生成部10で生成された彩度データは2値化演算部115に出力される。2値化演算部115は、入力された彩度データが予め設定した任意の閾値より大きい場合“1”を出力し、小さい場合“0”を出力して、画素が有する彩度の大きさを判断する。すなわち、彩度が所定の閾値以下である「色が薄い画素」はカウント(抽出)しないようにしている。例えば、空の水色等のような遠くの景色を表現する画像では、細かい色相の差異は無視してよい。逆に、彩度が所定の閾値以上である色が濃い画素は積極的にカウントしてその色ヒストグラムを検出している。例えば、森の緑の如く、近い部分の微妙な色相の差異は積極的に補正するようにしている。
【0025】
論理積ゲート群112は、選択器群111からの信号と2値化演算部115からの信号との論理積を行い、結果を累積カウンタ群113へ出力する。5つのカウンタ1131〜1135により構成された累積カウンタ群113は、対応する論理積ゲート1121〜1125から出力された信号をカウントアップし、そのカウント値を1だけインクリメントする。このカウント値は、選択器群111により分割された色相領域に含まれ、且つ、彩度レベルが2値化演算部115による一定の条件を満たした画素の総数を示している。5つのレジスタ1141〜1145により構成された保持レジスタ群114は、カウンタ群113から出力されるカウント値を保持する。このように、分割した色相領域に含まれる画素数をカウントして、色ヒストグラムの頻度数のデータを生成し、データ処理部2へ出力する。
【0026】
<データ処理部(CPU)2>
図7は図1のデータ処理部2の詳細を示す図である。データ処理部2は補正値算出器21を備え、補正値算出器21は、色ヒストグラム検出部11から各軸の色ヒストグラムデータ(1軸色ヒストグラムCH1−1〜CH1−5、2軸色ヒストグラムCH2−1〜CH2−5、…、n軸色ヒストグラムCHn−1〜CHn−5)を受け取り、記憶部3から取得した色補正パラメータの初期値を基準として補正値パラメータを算出し、図11に示す色補正部12が備える補正係数算出部1231〜123n(以下、任意の補正係数算出部を123i、i=1〜nとする)に出力する。
【0027】
図8は本実施形態の補正値算出器21が、補正値パラメータの1つである色相1の係数(p1)の初期値に付加するオフセット値p1_offsetの算出に用いる算出方法の一例を示しており、ここでは、図4(b)に示す色相を可変するレジスタを制御する。補正値算出器21は図8に示す算出方法で色相1の係数(p1)の初期値に付加されるオフセット値p1_offsetを求め、オフセット値p1_offsetと色相1の係数(p1)の初期値とを加算して(p1=初期値+p1_offset)、図11に示す色補正部12が備える補正係数算出部1231〜123nに出力する。
【0028】
図8に示すA、B、C、D、Eは、図6に示す色ヒストグラムの任意の軸を5分割した際のそれぞれの頻度量を表している。1軸を例として説明をすると、Aは1−1軸、Bは1−2軸、Cは1−3軸、Dは1−4軸、Eは1−5軸の各頻度量を示す。1−3軸は、1軸の中心である。横軸は、(B+D)−(A+E)を示し、この値は色の補正対象となる画像が色補正範囲の中心1−3軸(図4に示すL0)に対する偏りを示す。縦軸は、色相1の係数(p1)の初期値に付加するオフセット値p1_offsetを示す。図8の横軸の値(B+D)−(A+E)について説明する。横軸の値が0となるのは、(B+D)−(A+E)=0の場合である。この時(B+D)=(A+E)であり、色の補正対象となる画像は色補正範囲において偏りのないことを示す。横軸の値が図8右側の領域である正の値をとる場合は、(B+D)−(A+E)>0である。この時、(B+D)>(A+E)であり、色の補正対象となる画像は色補正範囲の中心(B〜D)に偏っていることを示す。
【0029】
横軸の値が図8左側の領域である負の値をとる場合は、(B+D)−(A+E)<0である。この時、(B+D)<(A+E)であり、色の補正対象となる画像は色補正範囲の境界(AやE)に偏っていることを示す。
【0030】
ここで、図8に示す{(A+E)−(|A−E|)}/(A+E)は、色補正範囲の境界付近において、図6に示す1軸の中心である1−3軸に対し、正方向(図6の1−5軸方向)及び負方向(図6の1−1軸方向)のヒストグラムの差分の割合を表している。例えば、A=5及びE=5の場合、{(A+E)−(|A−E|)}/(A+E)=1となるため、色補正範囲の境界付近の正側及び負側において均等に画像が存在する。この場合、p1_offset=rUpLimとなるため、図1のデータ処理部2は色相1の係数(p1)の初期値にオフセット値rUpLimを加算した1(p1)+rUpLimを色補正部12が備える補正係数算出部123i(ここでは、1軸を例としているためi=1の補正係数算出部1231とする)に入力する。すなわち、データ処理部2は色相1の係数(p1)を縮小する方向に制御する。またA=5及びE=0の場合、{(A+E)−(|A−E|)}/(A+E)=0となるため、色補正範囲の境界付近において、1軸の中心である1−3軸の負側に画像が存在する。この場合、p1_offset=rUpLim=0となるため、データ処理部2は色相1の係数(p1)の初期値にオフセット値0を加算した1(p1)を補正係数算出部1231に入力する。すなわち、データ処理部2は色相1の係数(p1)の制御は行わない。なお、r0,r1,r2,r3,rLowLim,rUpLimは可変なレジスタを表している。
【0031】
つぎに、図8に示す{(B+D)−(|B−D|)}/(B+D)は、色補正範囲の中心付近において、図6に示す1軸の中心である1−3軸に対し、正方向及び負方向のヒストグラムの差分の割合を表している。例えば、B=5及びD=5の場合、{(B+D)−(|B−D|)}/(B+D)=1となるため、色補正範囲の中心付近の正側及び負側において均等に画像が存在する。この場合、p1_offset=rLowLimとなるため、図1のデータ処理部2は色相1の係数(p1)の初期値にオフセット値rLowLimを加算した1(p1)+rLowLimを補正係数算出部1231に入力する。すなわち、データ処理部2は色相1の係数(p1)を拡大する方向に制御する。またB=5及びD=0の場合、{(B+D)−(|B−D|)}/(B+D)=0となるため、色補正範囲の中心付近において、1軸の中心である1−3軸の負側(B側)に画像が存在する。この場合、p1_offset=rLowLim=0となるため、データ処理部2は色相1の係数(p1)の初期値にオフセット値0を加算した1(p1)を補正係数算出部123iに入力する。
【0032】
本発明の実施の形態に係る色補正装置100は、分布の少ない色相へ色を配分(補間)することができ、そのため補正対象の画像に対して色数を増加させる効果がある。また、色補正部12による色補正を行った結果、色相1の係数(p1)の初期値を図4(a)に示す中心軸L0に対して、正側のL2及び負側のL1がそれぞれ独立して同時に拡張及び縮小するよう制御することができる。そのため、色補正範囲において色数を増やす効果を達成することができる。
【0033】
図9は本実施形態の補正値算出器21が、補正値パラメータの1つである彩度の係数(s)の初期値に付加するオフセット値s_offsetを算出に用いる算出方法の一例を示しており、ここでは図4(c)に示す彩度を可変するレジスタを制御する。補正値算出器21は、図9に示す算出方法で彩度の係数(s)の初期値に付加されるオフセット値s_offsetを求め、図11に示す補正係数算出部1231〜123nに出力する。
【0034】
図9中のA、B、C、D、Eも図8と同様、図6に示す色ヒストグラムの任意の軸を5分割した際のそれぞれの頻度量を表しており、ここでは1軸を例とする。Aは1−1軸、Bは1−2軸、Cは1−3軸、Dは1−4軸、Eは1−5軸の各頻度量を示す。横軸は、(A+B+C+D+E)であり、軸の範囲内に含まれる色頻度の合計を表す値である。縦軸は、彩度の係数(s)の初期値に付加するオフセット値s_offsetを表している。本発明の実施の形態に係る色補正装置100は、色頻度が多い(色面積が大きい)場合は彩度を大きくし、色頻度が少ない(色面積が小さい)場合は彩度を小さくする。図9は彩度の係数(s)のオフセット値を算出する一例であり、色頻度が少ない場合の彩度を小さくする処理は行わなくてもよい。これにより、色の面積により濃淡が強調され、立体感、奥行き感を生む効果がある。色頻度が多いということは、画面に占める色の量が多いため、彩度に正のオフセットを加算して色を濃くし、鮮明を強くすることで、立体感を出すことができる。なお、彩度と同様な補正をYガンマの係数(gy)、Cガンマの係数(cy)に対して行ってもよい。なお、s0、s1、s2、s3、sLowLim、sUpLimは可変のレジスタを表している。
【0035】
ここで、補正係数算出部1231〜123nに入力する係数p1、s、gy、cyをフィールドごと又はフレームごとに変化させると、色補正後の色の変化が急峻になり、動画の場合に不具合が発生する可能性がある。そこで、上記の係数p1、s、gy、cyの変化をある程度緩やかにすることが望まれる場合がある。色ヒストグラムの変化が急峻に変化しても最終的に映像信号に掛ける補正値が緩やかに変化するようになれば動画の場合に不具合は発生しない。
【0036】
つぎに、図10を用いて、色相1の係数(p1)の生成例を説明する。補正値算出器21は、加算器141と、レジスタ142と乗算器143は時間方向にリーク型の積分回路を備え、レジスタ142には1フィールド前又は1フレーム前の係数、色相1の係数(p1)の値p1k-1が格納されている。このリーク型積分回路は今回のフィールド又はフレームの値p1kに基づき、P1=p1k+p1k-1×15/16の演算を行う。この演算結果がレジスタ142に格納される。乗算器144はP1’=P1×(1/16)の演算を行い、この演算結果が今回のフィールド又は今回のフレームの色相1の係数(p1)として補正係数算出部1231〜123nに設定される。この構成により、スタティックな処理をダイナミックな処理にすることができる。
【0037】
<色補正部12>
図1に示す色補正部12は、図11に示す回路構成となる。色を補正するためには2つの色差信号R−Y、B−Yと輝度信号Yに跨る補正が要求される。また、色の3つの独立要素として色相、彩度、輝度が直感的にも分かりやすいので、色補正部12の色補正回路はこの3要素を独立に補正するように構成するのが望ましい。なお、以下の説明では、色差信号R−Y、B−Yの角度をTとして説明する。
【0038】
図11に示す色補正部12は、色差信号R−Y、B−Yをノイズ除去用のLPF121を介して角度T算出部122に出力する。角度T算出部122は色差信号R−Y、B−Yの角度Tを算出する。
【0039】
補正係数算出部1231〜123nは補正対象の色の数(n)に応じて設けられ、角度Tをパラメータとして補正対象の色の数に応じて彩度の補正係数Si、色相の補正係数Pi、Y(輝度)ガンマの補正係数Gyi、C(彩度)ガンマの補正係数Gciを算出する。
【0040】
補正係数算出部1231〜123nは次の処理を行う。「色相1補正」では、図4(a)に示すように等色相線L0を中心としてL1〜L2内の色相をその中心の色相L0(又はL1、L2)に補正する。これにより例えば肌色の近傍の色を肌色に近づけることができる。「色相2補正」では、図4(b)に示すようにL1〜L2内の色相を同一方向に回転して補正する。「彩度補正」では、図4(c)に示すようにL1〜L2内において色相(色度点)を等色相線L0に平行な方向に移動させて彩度を補正する。
【0041】
「Yガンマ補正」では、図4(c)と同様にL1〜L2内においてY信号のガンマを補正する。「Cガンマ補正」では、「Yガンマ補正」に連動して彩度のガンマを補正する。「高彩度時の飽和補正」では、高彩度の色に対して、彩度増加時の飽和による色相変動を抑制する。
【0042】
補正係数算出部1231〜123nには、データ処理部2によって、等色相線L0、L1、L2それぞれの補正範囲を決める角度θ0、θ1、θ2、あるいは角度θ0及び補正範囲Rが入力される。本実施形態では、補正係数算出部1231〜123nそれぞれに入力される角度をθ0、θ1、θ2とし、その角度θ0、θ1、θ2を角度θ01、θ11、θ21〜θ0n、θ1n、θ2nと表している。そして角度θ01〜θ0nを総称して角度θ0、角度θ11〜θ1nを総称して角度θ1、角度θ21〜θ2nを総称して角度θ2とする。なお、補正範囲Rは複数の補正係数算出部で重なった範囲を設定することも可能である。
【0043】
補正係数算出部123iは補正対象の色に応じた所定の補正中心角θ0、角度θ1〜θ2を決める補正範囲Rと、補正の度合いをディスプレイごとに変化させるために色相の補正係数Piを補正する色相1の係数p1、色相2の係数p2、彩度の補正係数Siを補正する彩度係数s、彩度リミッタ、Yガンマの補正係数Gyiを補正するYガンマ係数gy、Cガンマの補正係数Gciを補正するCガンマ係数gcが設定される。
【0044】
角度Tにおける色相の補正係数P(T)は、(1)式を用いて上述した色相1補正及び色相2補正の加算より求める。彩度の補正係数S(T)は(2)式より求める。Yガンマの補正係数Gy(T)は(3)式より求める。Cガンマの補正係数Gc(T)は(4)式より求める。
【0045】
P(T)=p1×M012+p2×M12; …(1)式
S(T)=s1×M12; …(2)式
Gy(T)=gy×M12; …(3)式
Gc(T)=gc×M12; …(4)式
上記(1)式〜(4)式によって生成された色相の補正係数P(T)、彩度の補正係数S(T)、Yガンマの補正係数Gy(T)、Cガンマの補正係数Gc(T)をそれぞれP(T)i、S(T)i、Gy(T)i、Gc(T)i(i=1〜n)とする。
【0046】
補正係数算出部1231〜123nが行う処理について、図12を用いてさらに説明する。
【0047】
補正係数算出部1231〜123nは、次の(5)式に基づいて、映像信号(色相、彩度、輝度)を補正するための第1の補正関数M12を生成する。
【0048】
M12=Min(FL1,FL2); …(5)式
ここで、図4の等色相線L1の角度θ1よりも角度の大きい部分を示す関数をFL1とし、これを数式で表すと、次の(6)式となる。
【0049】
FL1=T−θ1; if(FL1<0) FL1=0; …(6)式
この(6)式は、図12(a)に示す特性となる。
【0050】
同様に、図4の等色相線L2よりも角度の小さい部分を示す関数をFL2とし、これを数式で表すと、(7)式となる。
【0051】
FL2=θ2−T; if(FL2<0) FL2=0; …(7)式
この(7)式は、図12(b)に示す特性となる。
【0052】
(5)式で求めた第1の補正関数M12は、(6)式で示されるFL1と(7)式で示されるFL2との小さい方を選択するものであり、図12(c)に示すように角度θ0に頂点を有する三角形状の特性となる。第1の補正関数M12の特性としては、三角形状に限定されることはなく、上限値を設けて台形状にしたり、余弦関数状にしたりしてもよい。なお、第1の補正関数M12は、補正範囲R(図4(a)に示す等色相線L1とL2で囲まれる範囲)外である角度θ1、θ2の外側を0とすることが必要である。
【0053】
また補正係数算出部1231〜123nは、次の(8)式に基づいて、映像信号(色相、彩度、輝度)を補正するための第2の補正関数M012を生成する。
【0054】
M012=Min(FL0,FL1);
M012=Max(M012,−FL2); …(8)式
また、図4の等色相線L0よりも角度の大きい部分と小さい部分とを示す関数をFL0とし、これを数式で表すと、(9)式となる。
【0055】
FL0=θ0−T; …(9)式
この(9)式は、図12(d)に示す特性となる。
【0056】
第2の補正関数M012は、(9)式で示されるFL0と(6)式で示されるFL1との小さい方を第2の補正関数M012とし、さらに、この第2の補正関数M012と−FL2との大きい方を第2の補正関数M012として求めるものである。このようにして得た第2の補正関数M012は、図12(e)に示すように、角度θ1と角度θ0との中央部に正の頂点を有する上に凸の三角形状と、角度θ0と角度θ2との中央部に負の頂点を有する下に凸の三角形状とを合わせた特性となる。第2の補正関数M012も、補正範囲外である角度θ1、θ2の外側を0とすることが必要である。
【0057】
ところで、θ1=θ0−R、θ2=θ0+Rとしたとき、角度算出部122で算出された角度Tは0°〜360°の値であり、角度θ1や角度θ2が0°又は360°を跨ぐ場合には、角度の値に不連続が生じる。そこで、補正係数算出部1231〜123nは、上記の(6)、(7)、(9)式で用いる角度Tを次の(10)式によって予め補正しておく。
【0058】
if(T−θ1)≧360) T=T−360;
if(θ2−T)≧360) T=T+360; …(10)式
この(10)式により、角度θ1や角度θ2が0°又は360°を跨ぐ場合であっても、角度θ1〜θ2の範囲内に角度Tが含まれるとき、角度Tを連続的な値に補正することによって角度θ1〜θ2の範囲内で角度Tの値の不連続が生じないようにすることができる。よって、図12(c)、(e)に示す第1、第2の補正関数M12、M012を正しく生成することができる。以上のようにして、角度θ0を中心とする補正範囲として、θ1=θ0−R、θ2=θ0+Rとしたとき、補正角度Rを180°近傍まで、すなわち、θ0±180°の補正範囲を設定することができる。
【0059】
図11に戻り、加算器124は補正係数算出部123iにより算出された彩度の補正係数Siを加算してその合計ΣSiを求め、また、加算器125は色相の補正係数Piの合計ΣPi、加算器126はYガンマの補正係数Gyiの合計ΣGyi、加算器127はCガンマの補正係数Gciの合計ΣGciをそれぞれ求める。色相/彩度補正処理部128は色差信号R−Y、B−Yの彩度、色相をそれぞれ彩度の補正係数合計値ΣSi、色相の補正係数合計値ΣPiに基づいて積和演算して補正する。このとき、色差信号R−Y、B−Yをそれぞれiry、iby、これらの補正信号をiry′、iby′とすると、補正演算式は次の通りである。
【0060】
iby′=iby*cos(ΣPi)−iry*sin(ΣPi);
iry′=iby*sin(ΣPi)+iry*cos(ΣPi);
iby =iby+iby′*ΣSi;
iry =iry + iry′*ΣSi;
輝度ガンマ処理・彩度ガンマ処理部129はY信号の輝度ガンマと、色相/彩度補正処理部128により補正された色差信号R−Y、B−Yの彩度ガンマをそれぞれYガンマの補正係数合計値ΣGyi、Cガンマの補正係数合計値ΣGciに基づいて補正する。また、輝度ガンマを補正すると彩度が見かけ上変化するので、これを防止するために彩度補正部130が輝度ガンマ処理・彩度ガンマ処理部129により補正されたY信号、色差信号R−Y、B−Yの彩度を補正係数SatCorrectに基づいて補正する。
【0061】
つぎに、本発明の実施の形態に係る色補正装置100において、入力された映像信号の色を補正する方法について、図1、図7に示すブロック図等及び図13に示すフローチャート図を参照しながら説明する。
【0062】
(イ)ステップS101において、図1に示す映像処理部1が映像信号の入力信号を受信し、色データ生成部10及び色補正部12に出力する。ステップS102において、色ヒストグラム検出部11は、色ヒストグラム検出枠31における色ヒストグラムを検出する。ステップS103において、色ヒストグラム検出部11が検出した色ヒストグラム及び記憶部3が記憶する色補正パラメータの初期値を元に、補正値算出器21が補正値パラメータを算出する。
【0063】
(ロ)ステップS104において、色補正部12は、補正値算出器21が算出した補正値パラメータ及び映像処理部1が入力した映像信号の入力信号を元に色の補正処理を行う。ステップS105において、映像処理部1は、色補正部12が色の補正を実施した映像信号を出力信号として出力する。
【0064】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る色補正装置100は、入力された画像の色ヒストグラムを検出して、色の分布に応じて色相を制御することでテクスチャのきめ細かい色の差を表現できる。さらに、色の頻度に応じて彩度を制御することで濃淡の差が生まれ、立体感、奥行き感を表現できる。すなわち、色の分布や頻度に応じて、色補正回路の補正値パラメータを動的に制御する事により、映像の「距離感」及び「立体感」を向上させ、よりリアルな映像再現が可能となる。
【0065】
以上、本発明を一実施の形態によって説明したが、上記実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成物品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0066】
1…映像処理部
2…データ処理部(CPU)
3…記憶部
10…色データ生成部
11…色ヒストグラム検出部
12…色補正部
100…色補正装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号の色成分を表す第1及び第2の色差信号の一方の色差信号のレベルをX軸、他方の色差信号のレベルを前記X軸に直交するY軸とする色差平面において、当該色差平面上の所定の角度範囲を1つの色軸範囲とし、この色軸範囲を複数設定し、かつ、それぞれの色軸範囲を複数の領域に分割して、この分割した領域内に含まれる入力映像信号のフィールドごと又はフレームごとの各画素の出現頻度を表す色ヒストグラムを検出する色ヒストグラム検出手段と、
映像信号の色相、彩度、輝度に関する予め所定の値に設定されている各補正値を、前記検出された色ヒストグラムに基づいてフィールドごと又はフレームごとに変化させるデータ処理手段と、
前記データ処理手段により変化させた前記色相、彩度、輝度に関する各補正値によって前記入力映像信号を前記色軸範囲ごとに補正する色補正手段と、
を備えたことを特徴とする色補正装置。
【請求項2】
前記データ処理手段は、前記色ヒストグラムの分布に基づき、前記色相に関する前記補正値を変化させて前記分布の偏りを調整することを特徴とする請求項1に記載の色補正装置。
【請求項3】
前記データ処理手段は、前記色ヒストグラムの頻度に応じて、前記頻度が多い場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を大きくする方向に変化させる処理を実行し、前記頻度が少ない場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を小さくする方向に変化させる処理の少なくともいずれかを実行することを特徴とする請求項1に記載の色補正装置。
【請求項4】
映像信号の色成分を表す第1及び第2の色差信号の一方の色差信号のレベルをX軸、他方の色差信号のレベルを前記X軸に直交するY軸とする色差平面において、色ヒストグラム検出手段が、当該色差平面上の所定の角度範囲を1つの色軸範囲とし、この色軸範囲を複数設定し、かつ、それぞれの色軸範囲を複数の領域に分割して、この分割した領域内に含まれる入力映像信号のフィールドごと又はフレームごとの各画素の出現頻度を表す色ヒストグラムを検出する色ヒストグラム検出ステップと、
データ処理手段が、映像信号の色相、彩度、輝度に関する予め所定の値に設定されている各補正値を、前記検出された色ヒストグラムに基づいてフィールドごと又はフレームごとに変化させるデータ処理ステップと、
色補正手段が、前記データ処理手段により変化させた前記色相、彩度、輝度に関する各補正値によって前記入力映像信号を前記色軸範囲ごとに補正する色補正ステップと、
を有することを特徴とする色補正方法。
【請求項5】
前記データ処理ステップは、前記色ヒストグラムの分布に基づき、前記色相に関する前記補正値を変化させて前記分布の偏りを調整することを特徴とする請求項4に記載の色補正方法。
【請求項6】
前記データ処理ステップは、前記色ヒストグラムの頻度に応じて、前記頻度が多い場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を大きくする方向に変化させる処理を実行し、前記頻度が少ない場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を小さくする方向に変化させる処理の少なくともいずれかを実行することを特徴とする請求項4に記載の色補正方法。
【請求項1】
映像信号の色成分を表す第1及び第2の色差信号の一方の色差信号のレベルをX軸、他方の色差信号のレベルを前記X軸に直交するY軸とする色差平面において、当該色差平面上の所定の角度範囲を1つの色軸範囲とし、この色軸範囲を複数設定し、かつ、それぞれの色軸範囲を複数の領域に分割して、この分割した領域内に含まれる入力映像信号のフィールドごと又はフレームごとの各画素の出現頻度を表す色ヒストグラムを検出する色ヒストグラム検出手段と、
映像信号の色相、彩度、輝度に関する予め所定の値に設定されている各補正値を、前記検出された色ヒストグラムに基づいてフィールドごと又はフレームごとに変化させるデータ処理手段と、
前記データ処理手段により変化させた前記色相、彩度、輝度に関する各補正値によって前記入力映像信号を前記色軸範囲ごとに補正する色補正手段と、
を備えたことを特徴とする色補正装置。
【請求項2】
前記データ処理手段は、前記色ヒストグラムの分布に基づき、前記色相に関する前記補正値を変化させて前記分布の偏りを調整することを特徴とする請求項1に記載の色補正装置。
【請求項3】
前記データ処理手段は、前記色ヒストグラムの頻度に応じて、前記頻度が多い場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を大きくする方向に変化させる処理を実行し、前記頻度が少ない場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を小さくする方向に変化させる処理の少なくともいずれかを実行することを特徴とする請求項1に記載の色補正装置。
【請求項4】
映像信号の色成分を表す第1及び第2の色差信号の一方の色差信号のレベルをX軸、他方の色差信号のレベルを前記X軸に直交するY軸とする色差平面において、色ヒストグラム検出手段が、当該色差平面上の所定の角度範囲を1つの色軸範囲とし、この色軸範囲を複数設定し、かつ、それぞれの色軸範囲を複数の領域に分割して、この分割した領域内に含まれる入力映像信号のフィールドごと又はフレームごとの各画素の出現頻度を表す色ヒストグラムを検出する色ヒストグラム検出ステップと、
データ処理手段が、映像信号の色相、彩度、輝度に関する予め所定の値に設定されている各補正値を、前記検出された色ヒストグラムに基づいてフィールドごと又はフレームごとに変化させるデータ処理ステップと、
色補正手段が、前記データ処理手段により変化させた前記色相、彩度、輝度に関する各補正値によって前記入力映像信号を前記色軸範囲ごとに補正する色補正ステップと、
を有することを特徴とする色補正方法。
【請求項5】
前記データ処理ステップは、前記色ヒストグラムの分布に基づき、前記色相に関する前記補正値を変化させて前記分布の偏りを調整することを特徴とする請求項4に記載の色補正方法。
【請求項6】
前記データ処理ステップは、前記色ヒストグラムの頻度に応じて、前記頻度が多い場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を大きくする方向に変化させる処理を実行し、前記頻度が少ない場合には前記彩度及び輝度又は前記彩度に関する前記補正値を小さくする方向に変化させる処理の少なくともいずれかを実行することを特徴とする請求項4に記載の色補正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−15894(P2012−15894A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151999(P2010−151999)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
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