説明

艶消しカレンダ仕上げ

【課題】艶消しカレンダ仕上げを提供すること。
【解決手段】本発明は、紙ウェブ、厚紙ウェブ又は他の繊維ウェブ(1)を製造及び/又は仕上げるための機械でそれらのウェブ(1)を艶消しカレンダ仕上げするための方法ならびに装置に関し、この方法では、繊維ウェブ(1)の少なくとも1つの側面に塗布装置(2)によってコーティングが施され、次に、少なくとも1つの加熱された平滑用間隙を通して繊維ウェブ(1)が案内される。この場合、匹敵する光沢の場合の繊維ウェブ(1)の平滑性は、平滑用間隙が延長され、かつ加熱される平滑用間隙の線力が300N/mm超であり、かつ加熱される平滑用間隙のプレス面が90〜130℃の温度で加熱されることによって向上される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙ウェブ、厚紙ウェブ又は他の繊維ウェブを製造及び/又は仕上げるための機械でそれらのウェブを艶消しカレンダ仕上げするための方法ならびに装置に関し、この方法では、繊維ウェブの少なくとも1つの側面に塗布装置によってコーティングが施され、次に、少なくとも1つの加熱された平滑用間隙を通して繊維ウェブが案内される。
【背景技術】
【0002】
コーティングされた繊維ウェブは、通常、ソフトカレンダで平滑仕上げされる。この場合、表面に光沢を付与し過ぎることなく、印刷適正にふさわしい平滑性を形成することに問題が生じる。
【0003】
このことは、今までまだ十分に達成できていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、艶消しカレンダ仕上げの際の平滑性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、上記課題は、平滑用間隙が延長され、かつ加熱される平滑用間隙の線力が300N/mm超であり、かつ加熱される平滑用間隙のプレス面が90〜130℃の温度で加熱されることによって解決される。
【0006】
艶消しカレンダ仕上げに一般的でない高線力による繊維ウェブの応力は、平滑用間隙の延長された形態のため相対化される。
【0007】
これによって、艶消しカレンダ仕上げ中の容積の大きすぎる低減も心配する必要がない。しかし、平滑用間隙の繊維ウェブのより長い滞留時間によって平滑性が著しく向上される。
【0008】
平滑用間隙内の温度も、その他の艶消しカレンダ仕上げで見られる場合よりもはるかに高い。驚くべきことに、より長い滞留時間に関連したより高い温度が平滑性に積極的に作用するが、同一の範囲で光沢に影響しないことが明らかになっている。
【0009】
特に高い機械速度で十分な滞留時間を保証できるために、加熱される平滑用間隙の長さは40〜90mmであるべきであろう。
【0010】
加熱されるプレス面は、簡明性のため加熱された平滑仕上げローラから形成されるべきであろう。
【0011】
延長された平滑用間隙を形成するため、加熱されるプレス面に対向するプレス面は、弾性カバーを有するローラとして、又はシュープレスローラとして形成されるべきであろう。
【0012】
この場合、繊維ウェブを節約するために、シュープレスローラの柔軟なローラ外被は、少なくとも表面で95ショア(A)未満の硬度を有するべきであろう。
【0013】
繊維ウェブの両面性を最小にするために、繊維ウェブの両側には塗布装置によってコーティングを施すべきであろう。
【0014】
艶消しカレンダ仕上げを完全にするために、少なくとも2つの平滑用間隙を通して繊維ウェブを案内することがさらに推奨される。
【0015】
この2つの平滑用間隙が加熱され、かつ延長された2つの平滑用間隙である場合、加熱される平滑用間隙の加熱されるプレス面は、繊維ウェブの様々な側面に配置されるべきであろう。
【0016】
このようにしてのみ、対応するプレス面の温度上昇は、結果として、同一の範囲の繊維ウェブの両側に影響を及ぼすことができる。
【0017】
しかし、加熱され、延長された平滑用間隙及び弾性の平滑用間隙を通して繊維ウェブが走行する場合、有利であり得、この場合、弾性の平滑用間隙は2つのプレス面によって形成され、その内の少なくとも1つのプレス面は弾性カバーを有する。
【0018】
構造を単純化するために、弾性の平滑用間隙は2つのプレスローラによって形成されるべきであり、その内の少なくとも1つのプレスローラは弾性カバーを有する。弾性カバーによって、同様に平滑用間隙の延長が得られる。
【0019】
さらに、2つのプレスローラにより、弾性の平滑用間隙に、特に繊維ウェブ厚さを輪郭形成できる利点が提供される。
【0020】
繊維ウェブの種類及び繊維ウェブに対する要件に応じて、加熱される平滑用間隙の前又は後に弾性の平滑用間隙が配置される場合、有利であり得る。
【0021】
ここで、繊維ウェブ、特に35%未満のTappi 75の光沢値を有する紙ウェブが、光沢がないと考えられる。この場合、Tappi 75は、試験方法Tappi T480による75°における紙の反射光沢を測定するための方法である。
【0022】
以下に、2つの実施例を参照して、本発明について詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
両方の場合、繊維ウェブ1は、カレンダ加工の前に、塗布装置2を通過する間に両側に塗布される。これにより、表面の性質の本質的な向上の基礎が形成される。
【0024】
次に、繊維ウェブ1は、加熱され、かつ延長された第1の平滑用間隙を通して案内される。この平滑用間隙は、加熱される円筒状の及び繊維ウェブ1の下に配置された平滑仕上げローラ4によって、及び上方のシュープレスローラ3によって形成される。
【0025】
シュープレスローラ3は、凹状のプレス面を有する圧着要素8によって平滑仕上げローラ4に対し押圧される可撓性のローラ外被7を有する。ローラ外被7は、95ショア(A)未満の硬度を有し、繊維ウェブ1の表面を損なわない程度に十分に軟質である。
【0026】
凹状のプレス面を介して、平滑用間隙は、40〜90mmの長さに延長される。これによって生じる平滑用間隙内の繊維ウェブ1のより長い滞留時間のため、大きすぎる体積低減の危険なしに、線力を300N/mmの上方の値に高めることができる。
【0027】
加熱される平滑仕上げローラ4のローラ外被の温度は、90〜130℃であり、長い滞留時間と関連して、平滑性の本質的な向上に寄与する。
【0028】
繊維ウェブ1の平滑仕上げをさらに向上させるために、これに関し、図1による形態の場合、加熱され、かつ延長された第2の平滑用間隙が続く。繊維ウェブ1の最小化された両面性の観点で、加熱される平滑仕上げローラ4は、繊維ウェブ1の異なる側面に配置される。
【0029】
図2に示した形態の場合、ウェブ走行方向9の加熱される平滑用間隙に、弾性の平滑用間隙が従う。
【0030】
この弾性の平滑用間隙は、弾性のローラカバーを有する2つのプレスローラ5、6によって形成される。この場合も、ローラ被覆の弾性によって、延長された平滑用間隙が設定される。
【0031】
この弾性の平滑用間隙は、シュープレスローラによる平滑用間隙に対し、より少ない費用で済む。
【0032】
これによって得られる平滑性の向上は、多くの用途にとって十分に満足できる。さらに同一の処理によって、繊維ウェブ1の存在するかもしれない両面性が低減される。
【0033】
両方の場合、平滑仕上げ工程の際の水分損失を少なくとも部分的に再び補正するために、特に加熱され、かつ延長された平滑用間隙の前で繊維ウェブ1を加湿することが有利であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】延長され、かつ加熱される2つの平滑用間隙を有する装置の図面である。
【図2】光沢のない繊維ウェブ1、特に紙ウェブを製造するための、延長され、かつ加熱される1つのみの平滑用間隙を有する装置の図面である。
【符号の説明】
【0035】
1 繊維ウェブ
2 塗布装置
3 シュープレスローラ
4 平滑仕上げローラ
5、6、8 プレスローラ
7 ローラ外被
9 ウェブ走行方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙ウェブ、厚紙ウェブ又は他の繊維ウェブ(1)を製造及び/又は仕上げるための機械で前記ウェブ(1)を艶消しカレンダ仕上げするための方法であって、前記繊維ウェブ(1)の少なくとも1つの側面に塗布装置(2)によってコーティングが施され、次に、少なくとも1つの加熱された平滑用間隙を通して前記繊維ウェブ(1)が案内される方法において、
前記平滑用間隙が延長され、かつ加熱される平滑用間隙の線力が300N/mm超であり、かつ前記加熱される平滑用間隙のプレス面が90〜130℃の温度で加熱される方法。
【請求項2】
前記加熱される平滑用間隙の長さが40〜90mmであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記繊維ウェブ(1)が、2つの加熱される平滑用間隙を通して案内されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱される平滑用間隙の加熱されるプレス面が、前記繊維ウェブ(1)の様々な側面に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記繊維ウェブ(1)が、加熱される平滑用間隙と、弾性の平滑用間隙とを通して走行し、その際前記弾性の平滑用間隙が、2つのプレス面によって形成され、該2つのプレス面の内の少なくとも1つのプレス面が弾性カバーを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記弾性の平滑用間隙が、前記加熱される平滑用間隙の前に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記弾性の平滑用間隙が、前記加熱される平滑用間隙の後に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記繊維ウェブ(1)の両側に、前記塗布装置(2)によってコーティングが施されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
特に請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法を実施するために、紙ウェブ、厚紙ウェブ又は他の繊維ウェブ(1)を製造及び/又は仕上げるための機械で前記ウェブ(1)を艶消しカレンダ仕上げするための装置であって、前記繊維ウェブ(1)の少なくとも1つの側面に塗布装置(2)によってコーティングが施され、次に、少なくとも1つの加熱された平滑用間隙を通して前記繊維ウェブ(1)が案内される装置において、
前記平滑用間隙が延長され、前記加熱される平滑用間隙の線力が300N/mm超であり、かつ前記加熱される平滑用間隙のプレス面が90〜130℃の温度で加熱される装置。
【請求項10】
前記加熱されるプレス面が、加熱される平滑仕上げローラ(4)から形成されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記加熱される平滑用間隙の加熱されないプレス面が、シュープレスローラ(3)によって形成され、該シュープレスローラのローラ外被表面が、95ショア(A)未満の硬度を有することを特徴とする、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記加熱される平滑用間隙の長さが40〜90mmであることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記繊維ウェブ(1)が、2つの加熱される平滑用間隙を通して案内されることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記加熱される平滑用間隙の加熱されるプレス面が、前記繊維ウェブ(1)の様々な側面に配置されることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記繊維ウェブ(1)が、加熱される平滑用間隙と、弾性の平滑用間隙とを通して走行し、その際前記弾性の平滑用間隙が、好ましくは2つのプレスローラ(5、8)によって形成され、該2つのプレスローラの内の少なくとも1つのプレスローラが弾性カバーを有することを特徴とする、請求項9〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記弾性の平滑用間隙が、前記加熱される平滑用間隙の前に配置されることを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記弾性の平滑用間隙が、前記加熱される平滑用間隙の後に配置されることを特徴とする、請求項15に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−182666(P2007−182666A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352075(P2006−352075)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(506294244)ボイス パテント ゲーエムベーハー (57)
【氏名又は名称原語表記】Voith Patent GmbH
【Fターム(参考)】