説明

芋植付機

【課題】 複数条への植え付けを同時にできる芋植付機を提供する。
【解決手段】 機体11の上部に搬送距離の長い第1搬送コンベヤ12と搬送距離の短い第2搬送コンベヤ13を機体11の前後に対して左右向きに且つそれぞれの搬送先位置が左右で異なるように取り付ける。牽引車20を前進させて種芋Pを第1及び第2搬送コンベヤ12,13に載せると、種芋Pは右側へ搬送されて作業者Haの両側の植付け箇所31へそれぞれ落下する。落下後の種芋Pは覆土板11eで覆土された後、ドラム11fで軽く押し付けられて植え付けられる。以上のようにして、2体の第1及び第2搬送コンベヤ12,13で種芋Pを連続的に搬送・落下させることで、2条の植付け箇所31へ同時に植え付けできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、馬鈴薯や里芋等の種芋を畑へ植え付ける芋植付機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種芋の植え付け作業は特許文献1,2に示されるような芋植付機を利用して行われている。これらの芋植付機は、牽引車で牽引される機体に搬送コンベヤを機体の前後に対して左右向きに取り付た構造で、牽引車で芋植付機を牽引しながら種芋を搬送コンベヤに載せ、搬送された種芋が搬送先から畑へ落下して一定間隔に植え付けられていくものである。
【0003】
ところで、前記技術では搬送コンベヤが1体であるから単列条にしか植え付けできず、複数条に植え付ける場合は芋植付機を往復させる必要があった。また、搬送コンベヤを機体の左右に取り付けて複数条に同時に植え付けることも可能であるが、作業者を更に1人要し、しかも芋植付機が大型化してコストがかかる問題があった。近年では更なる効率化及び低コスト化が求められており、本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものである。
【特許文献1】特開平10−164913号公報
【特許文献2】特開2000−300014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、複数条への植え付けを同時にできる芋植付機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 牽引車で牽引される機体に複数の種芋を搬送して畑へ1個づつ落下させる搬送コンベヤを機体の前後に対して左右向きに備えた芋植付機において、前記搬送コンベヤを機体の前後に複数列設し、しかも各搬送コンベヤの種芋の落下位置が左右で異なるようにし、各搬送コンベヤを連動させる駆動手段を設け、各搬送コンベヤで搬送した種芋を複数条に植え付けできるようにしたことを特徴とする、芋植付機
2) 各搬送コンベヤの搬送距離がそれぞれ異なるものであって、各搬送コンベヤの種芋の載置位置が近接するように、且つ各搬送コンベヤの種芋の落下位置が異なるように列設した、前記1)記載の芋植付機
3) 駆動手段が、各搬送コンベヤを回動させるスプロケットと機体の車輪の車軸に備えたスプロケットとの間にベベルギヤを介して駆動チェーン又は駆動ベルトを掛架し、車輪の回転力を伝達して各搬送コンベヤを同速度で連動できるようにしたものである、前記1)又は2)記載の芋植付機
4) 機体の左右の車輪が車軸に固定されて一体的に回転するものである、前記3)記載の芋植付機
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の搬送コンベヤをその種芋の落下位置が左右で異なるように列設したから、各搬送コンベヤで搬送された種芋が異なる左右位置で畑へ落下して複数条に同時に植え付けられる。したがって、従来技術と比較して植え付け作業を大幅に効率化して生産コストを低減できるようになる。また、複数の搬送コンベヤは同じ向きに列設しているから、1体の搬送コンベヤを装備した従来の芋植付機と同程度の寸法に納まり、大型化することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の駆動手段は、牽引車の動力を利用してもよいが、機体の車輪の回転力を直接伝達できるようにすると、機体の進行速度に係わらず種芋の植え付け間隔を一定に保持でき、しかも牽引車との連結・分離が容易となる。機体の左右の車輪は車軸に固定して一体的に回転できるようにすると、走行中に片輪が浮いても搬送コンベヤを駆動し続けることができる。各搬送コンベヤは機体から突出する部分を下方へ折り曲げ可能にし、未使用時にコンパクトな形態にできるようにしてもよい。搬送コンベヤは一般的に2体列設されるが、機体に装備可能な範囲で3体、4体を列設してもよい。各搬送コンベヤは搬送距離がそれぞれ異なるものを用い、それぞれの種芋の載置位置が近接する(1人の作業者の手が容易に届く位置となる)ように、且つ各搬送コンベヤの種芋の落下位置が異なる(例えば2条の植付け箇所の間を歩行しながら牽引車を操作する作業者の両側位置となる)ように列設する。種芋は平坦な畑へ植え付けた後に畦土を形成してもよいし、予め形成した畦土に植え付けてもよい。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1〜5に示す実施例は、2体の搬送コンベヤを列設して2条の植付け箇所へ同時に植え付けできるようにした芋植付機の例である。図1は実施例の芋植付機の左側面図、図2は実施例の芋植付機の背面図、図3は実施例の搬送コンベヤの説明図、図4は実施例の搬送コンベヤへの動力伝達経路を示す説明図、図5は実施例の芋植付機の使用状態を示す平面図である。
【0009】
図中、10は芋植付機、11は機体、11aは車輪、11bは車軸、11cはスプロケット、11dは排土板、11eは覆土板、11fはドラム、11gは駆動チェーン、11hはベベルギヤ、11iは変速機、11jはテンションローラ、11kは遊車スプロケット、12は第1搬送コンベヤ、12aはスプロケット、12bはプーリー、12cはベルト、12dは仕切板、13は第2搬送コンベヤ、13aはスプロケット、13bはプーリー、13cはベルト、13dは仕切板、14は容器、20は牽引車、30は畑、31は植付け箇所、Ha,Hbは作業者、Pは種芋である。
【0010】
本実施例の芋植付機10は、図1,2に示すように機体10の前部には畑30の植付け箇所31の土を排土する排土板11dを備え、機体10の後部には車輪11aと、落下した種芋Pに覆土する覆土板11eと、覆土された種芋Pを軽く押し付けるドラム11fとを備えている。左右の車輪11aは車軸11bと一体的に固定され、走行中に片輪が浮いても両輪が回転できるようにしている。
【0011】
機体11の上部には、搬送距離の長い第1搬送コンベヤ12と搬送距離の短い第2搬送コンベヤ13を機体11の前後に対して左右向きにするとともに、それぞれの種芋Pの載置位置が種芋Pを載置する作業者Hbの手が容易に届く近接位置に、且つそれぞれの種芋Pの落下位置が牽引車20を操作する作業者Haの左右両側位置となるように取り付けている。第1及び第2搬送コンベヤ12,13の左側部分は下方へ折り曲げ可能で、未使用時はコンパクトな形態にできる。
【0012】
第1及び第2搬送コンベヤ12,13は、図3,4に示すように複数のプーリー12b,13bで無端のベルト12c,13cを略三角形状に張り渡し、ベルト12c,13cに種芋Pを1個づつに仕切る複数の仕切板12d,13dを等間隔に突設し、スプロケット12a,13aと車軸11bに備えたスプロケット11cとの間にベベルギヤ11hと変速機11iを介して駆動チェーン11gを掛架している。駆動チェーン11gはバネ(図示せず)で付勢されるテンションローラ11jで緊張している。
【0013】
本実施例では、図5に示すように芋植付機10を牽引車20に連結し、機体10の側部に種芋Pを収容する容器14を脱着自在に取り付ける。牽引車20を始動して芋植付機10を牽引すると、芋植付機10の車輪11aの回転力が車軸11b・駆動チェーン11g・変速機11i・ベベルギヤ11hを経由してスプロケット12a,13aに伝達され、第1及び第2搬送コンベヤ12,13が作動する。牽引車20を停止させると車輪11aの回転力が伝達されなくなり、第1及び第2搬送コンベヤ12,13も停止し、牽引車20の速度に応じて第1及び第2搬送コンベヤ12,13が同速度で連動する。
【0014】
作業者Haが2条の植付け箇所31の間を歩行しながら牽引車20を前進させ、作業者Hbが容器14から種芋Pを取り出して第1及び第2搬送コンベヤ12,13に載置する。それぞれの種芋Pは右側へ搬送されて降下し、作業者Haの両側の植付け箇所31それぞれへ落下する。落下後の種芋Pは覆土板11eで覆土され、ドラム11fで軽く押し付けて植え付けられる。以上のように、2体の第1及び第2搬送コンベヤ12,13で種芋Pを一定間隔に落下させることで2条の植付け箇所31へ同時に植え付けされ、従来の芋植付機と比較して効率的に植え付け作業できる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の芋植付機は、馬鈴薯や里芋等の種芋の植え付け作業に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例の芋植付機の左側面図である。
【図2】実施例の芋植付機の背面図である。
【図3】実施例の搬送コンベヤの説明図である。
【図4】実施例の搬送コンベヤへの動力伝達経路を示す説明図である。
【図5】実施例の芋植付機の使用状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0017】
10 芋植付機
11 機体
11a 車輪
11b 車軸
11c スプロケット
11d 排土板
11e 覆土板
11f ドラム
11g 駆動チェーン
11h ベベルギヤ
11i 変速機
11j テンションローラ
11k 遊車スプロケット
12 第1搬送コンベヤ
12a スプロケット
12b プーリー
12c ベルト
12d 仕切板
13 第2搬送コンベヤ
13a スプロケット
13b プーリー
13c ベルト
13d 仕切板
14 容器
20 牽引車
30 畑
31 植付け箇所
Ha,Hb 作業者
P 種芋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車で牽引される機体に複数の種芋を搬送して畑へ1個づつ落下させる搬送コンベヤを機体の前後に対して左右向きに備えた芋植付機において、前記搬送コンベヤを機体の前後に複数列設し、しかも各搬送コンベヤの種芋の落下位置が左右で異なるようにし、各搬送コンベヤを連動させる駆動手段を設け、各搬送コンベヤで搬送した種芋を複数条に植え付けできるようにしたことを特徴とする、芋植付機。
【請求項2】
各搬送コンベヤの搬送距離がそれぞれ異なるものであって、各搬送コンベヤの種芋の載置位置が近接するように、且つ各搬送コンベヤの種芋の落下位置が異なるように列設した、請求項1記載の芋植付機。
【請求項3】
駆動手段が、各搬送コンベヤを回動させるスプロケットと機体の車輪の車軸に備えたスプロケットとの間にベベルギヤを介して駆動チェーン又は駆動ベルトを掛架し、車輪の回転力を伝達して各搬送コンベヤを同速度で連動できるようにしたものである、請求項1又は2記載の芋植付機。
【請求項4】
機体の左右の車輪が車軸に固定されて一体的に回転するものである、請求項3記載の芋植付機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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