説明

芯抜き器、位置検出装置、ペンスタンド及び位置指示器の芯体の引き抜き方法

【課題】使用により摩耗した芯体を位置指示器の筐体から容易に引き抜くことができるようにする。
【解決手段】位置指示器2に設けられた芯体9を引き抜く芯抜き器10に、芯体9が挿入される挿入部11を有するケース5を設ける。そして、挿入部11に設けられ、かつこの挿入部11に挿入された芯体9と当接して芯体9を掛止可能に形成された少なくとも1つのフック部12とを備える。これにより、簡単な手段で位置指示器2から芯体9を引き抜くことができる芯抜き器を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置指示器に設けられた芯体を引き抜く芯抜き器、この芯抜き器を備えて構成される位置検出装置及びペンスタンドに関するものであり、さらに、この芯抜き器を用いた位置指示器の芯体の引き抜き方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータ装置等の情報処理装置における位置入力を行うための装置として、位置検出装置が用いられている。この位置検出装置は、例えば、ペン型に形成された位置指示器なる入力手段によりポインティング操作や文字及び図等の入力情報が入力される。
【0003】
位置指示器を入力手段として用いた入力方式としては、位置指示器に位置検出装置から送信される特定周波数の電磁波に対して共振する共振回路を設け、この共振回路によって生じた共振信号を位置検出装置に送信することにより位置検出装置に対して位置を指示する電磁誘導方式がある。そして、この電磁誘導方式の位置指示器は、共振回路を構成する位置検出用のコイル及びコンデンサと、このコイルを貫通する芯体から構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一般に、位置指示器は、使用により位置検出装置の入力面との摩擦で芯体が摩耗し、書き味が低下する。そのため、芯体が摩耗して書き味が低下すると、ユーザは、摩耗した芯体を位置指示器の筐体から引き抜いて、新しい芯体に交換していた。そして、この芯体を筐体から引き抜くには、毛抜きのような器具を用いて行われていた。
【0005】
【特許文献1】特開平5−275283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、芯体を引き抜くには、筐体の軸方向の一端から僅かに突出する芯体を挟持しなければならない。そのため、芯体を挟持し難く、芯体を引き抜く作業が大変煩わしいものであった。そして、位置指示器の芯体を容易に引き抜くことができ、かつ管理もし易い器具が求められていた。
【0007】
本発明の目的は、上述の問題点を考慮し、簡単な手段で位置指示器から芯体を引き抜くことができる芯抜き器、この芯抜き器を備えた位置検出装置及びペンスタンド、並びにこの芯抜き器を用いた位置指示器の芯体の引き抜き方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の芯抜き器は、位置指示器の芯体が挿入される挿入部を有する筐体と、挿入部に設けられ、かつ挿入部に挿入された芯体と当接して芯体を掛止可能に形成された少なくとも1つのフック部とを備えている。
【0009】
本発明の位置検出装置は、位置指示器の位置を検出する入力部及び位置指示器の芯体を引き抜く芯抜き器を有する筐体と、から構成されている。芯抜き器は、筐体に設けられ、位置指示器の芯体が挿入される挿入部と、挿入部に設けられ、かつ挿入部に挿入された芯体と当接して芯体を掛止可能に形成された少なくとも1つのフック部とを備えている。
【0010】
本発明のペンスタンドは、位置指示器を保持する保持部及び位置指示器の芯体を引き抜く芯抜き器を有する筐体と、から構成されえちる。芯抜き器は、前記保持部と一体に設けられ、位置指示器の芯体が挿入される挿入部と、挿入部に設けられ、かつ挿入部に挿入された芯体と当接して芯体を掛止可能に形成された少なくとも1つのフック部とを備えている。
【0011】
また、本発明の位置指示器の芯体の引き抜き方法は、位置指示器に設けられた芯体を芯抜き器の挿入部に挿入する挿入工程と、この挿入工程の後に、芯体を芯抜き器のフック部に押し当てて掛止する掛止工程と、を具備する。更に、芯体を前記フック部に掛止した状態で、位置指示器の筐体を挿入部から離反する方向に持ち上げて、芯体を位置指示器の筐体から引き抜く工程を具備している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の芯抜き器、位置検出装置及びペンスタンド、並びに位置指示器の芯体の引き抜き方法によれば、位置指示器の芯体を挿入部に挿入し、フック部に引っ掛けて持ち上げることにより、極めて簡単に位置指示器から芯体を引き抜くことができる。また、本発明の位置検出装置及びペンスタンドによれば、芯抜き器を筐体に一体に形成することで、部品点数を削減することができると共にユーザが芯抜き器を別途管理する手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の位置検出装置の実施形態例について、図1〜図20を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
【0014】
[位置検出装置の構成]
まず、本発明が適用される位置検出装置の概略構成を図1に従って説明する。図1は、本発明が適用される位置検出装置を示す斜視図である。
この図1に示すように、本発明の実施の形態例(以下、「本例」という。)である位置検出装置1は、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の図示しない外部装置にケーブル8を介して接続することによって、これら外部装置の入力装置として用いられるものである。なお、特に図示して説明していないが、かかる位置検出装置1をパーソナルコンピュータ等に内蔵しても良い。
【0015】
位置検出装置1は、入力情報が入力される入力部4と、この入力部4を有する中空の薄い略直方体をなす筐体であるケース5と、位置指示器2の芯体を引き抜く芯抜き器10等から構成されている。ケース5は、入力部4の入力面を露出させるための開口部6を有する上ケース7と、この上ケース7に重ね合わされる図示しない下ケースを有している。そして、上ケース7は、入力部4の入力面を露出させる四角形の開口部6を有しており、この開口部6に、入力部4が嵌め込まれる。このような構成を有する位置検出装置1は、位置指示器2を介したポインティング操作による文字及び図等の入力が行われる。
【0016】
[位置指示器の構成]
位置指示器2は、電磁誘導方式により位置検出装置1に対して位置を指示するものである。即ち、位置指示器2は、位置検出装置1から送信される特定周波数の電磁波に対して共振する、コイルとコンデンサからなる共振回路を有している。そして、この共振回路で検出した共振信号を位置検出装置1に送信することにより位置検出装置1に対して位置を指示するようになっている。位置指示器2は、中空のペン型をなす筐体3と、この筐体3に着脱可能に保持される芯体9を有している。
【0017】
図2は、図1に示す位置指示器2のA−A′線断面図である。
この図2に示すように、筐体3は、中空のペン型に形成されている。この筐体3は、長手方向の一端部3bの先端に、開口部3aが設けられている。そして、この一端部3bは、略円錐状に形成されている。そして、この筐体3に芯体9が一部を筐体3の開口部3aから外側に突出させた状態で保持されている。
【0018】
芯体9は、棒状の部材からなり、軸方向の一端にペン先の役割を有する指示部9aと、軸方向の他端に基端部9bとを有している。この芯体9は、筐体3の軸方向に沿って筐体3内に収納されている。指示部9aは、略円錐状をなしており、芯体9を筐体3内に収納した際に、開口部3aから外側に突出する。そして、この指示部9aの反対側である基端部9bは、筐体3内に固定された芯ホルダ14に取り付けられている。
【0019】
芯ホルダ14は、略円筒形をなしており、その筒穴14aに芯体9の基端部9bが挿入される。また、芯ホルダ14の外周には、2つの係合部14b,14bが設けられている。そして、この芯ホルダ14は、2つの係合部14b,14bを筐体3の内壁に係合して、筐体3に固定されている。
【0020】
また、この位置指示器2は、入力時に芯体9の指示部9aが位置検出装置1の入力部4に接触する。そして、芯体9は、樹脂等で形成されており、位置検出装置1の入力部4との摩擦により指示部9aが摩耗する。そのため、この芯体9は、必要に応じて新しい芯体に交換されるものである。
【0021】
1.第1の実施の形態
[芯抜き器の構成]
次に、図1、図3及び図4Aを参照して本発明の芯抜き器の第1の実施の形態例を説明する。図3は、芯抜き器の第1の実施形態を示す斜視図、図4Aは図3に示す芯抜き器のB−B′線断面図である。
【0022】
図1、図3及び図4Aに示すように、芯抜き器10は、ケース5に設けられた挿入部11と、フック部12とから構成されている。挿入部11は、略円柱状に凹んだ凹部であり、ケース5の開口部6から露出する入力部4の入力面と同一方向に開口している。この挿入部11は、略円形に開口された開口部11aと、開口部11aと対向する略円形の底面部11bと、この底面部11bの外縁から略垂直をなして上方に連続する側面部11cとを有している。その結果、挿入部11が底面部11bと側面部11cを有することで、挿入部11からゴミや埃等が位置検出装置1のケース5の内部に侵入することを防止することができる。
【0023】
この挿入部11は、開口部11aの直径が位置指示器2の芯体9の直径よりもやや大きく設定されている。また、挿入部11の深さは、位置指示器2の筐体3の開口部3aから突出する芯体9の指示部9aの長さとほぼ等しく、あるいはやや長く設定されている。更に、挿入部11の側面部11cには、平板状のフック部12が配設されている。そして、この挿入部11に、芯体9の指示部9aが挿入される。
【0024】
フック部12は、挿入部11の側面部11cに対して略垂直に突出している。また、このフック部12は、芯体9と当接する側の一辺に刃を有する板状部材である。すなわち、フック部12における芯体9と当接する一辺は、断面が鋭角に形成されている。これにより、芯体9をフック部12に押し当てたときに、フック部12の一辺が芯体9の指示部9aに食い込み、芯体9を掛止することができる。
【0025】
なお、挿入部11は、略円柱状に凹んだ凹部だけでなく、角柱状や円錐台形状に凹んだ凹部でもよく、位置指示器2の芯体9を挿入することができれば、その目的を達成できるものである。更に、挿入部11は、ケース5を上下方向に貫通する貫通孔でもよい。なお、挿入部11を、ケース5を貫通する孔部として形成する場合、ケース5に収納されている電子基板等を避けて形成することが望ましい。
【0026】
また、本例では、フック部12を一辺に刃を設けた例を説明したが、平板状のフック部における芯体9と当接する一辺が芯体9を掛止できればよい。更に、フック部12を板状部材として説明したが、針状に形成してもよい。なお、フック部12の材質としては、芯体9が押し当てられた際に変形することを防ぐために、芯体9よりも硬い材質であることが好ましく、金属やエンジニアリングプラスチック等が挙げられる。
【0027】
更に、芯抜き器10をケース5における入力部4の入力面と同一方向である正面部に設けたが、芯抜き器10は、ケース5の側面部あるいは入力部4の入力面とは反対側であるケース5の背面側に設けてもよい。そして、芯抜き器10を位置検出装置1と別部材として構成してもよい。
【0028】
また、図5は、芯体の他の具体例を示すものである。
この図5に示すように、芯体9Bは、指示部9aBに凹み9bBが設けられている。そして、この凹み9bBに芯抜き器10のフック部12が掛止される。
【0029】
[芯体の交換作業]
このような構成を有する芯抜き器10による位置指示器2の芯体9の交換作業を、図2、図4A、図4B及び図6を参照して説明する。
まず、図4Bに示すように、位置指示器2における芯体9の指示部9aを挿入部11に挿入する(挿入工程)。次に、矢印Aに示すように、芯体9の指示部9aを挿入部11の側面部11cに設けたフック部12に押し当てて、指示部9aをフック部12に引っ掛ける(掛止工程)。そして、指示部9aをフック部12に引っ掛けた状態で、図4B及び図6に示すように、位置指示器2をケース5から離反する方向(矢印Bの方向)に持ち上げる(引き抜き工程)。これにより、芯ホルダ14の筒穴14aから芯体9の基端部9bが外れ、芯体9が筐体3から引き抜かれる。
【0030】
次に、ユーザは、位置指示器2の筐体3の開口部3aから、新しい芯体9を挿入する。そして、図2に示すように、芯体9の基端部9bを芯ホルダ14の筒穴14aに嵌合させる。これにより、芯体9が芯ホルダ14に保持されて、位置指示器2に新しい芯体9を取り付けることができる。その結果、位置指示器2の芯体9の交換作業が完了する。
【0031】
このように、挿入部11に芯体9を挿入してフック部12に掛止することで、芯体9を筐体3から極めて容易に引き抜くことできる。また、位置検出装置1のケース5に芯抜き器10を一体に設けたことにより、部品点数を削減することができ、ユーザが芯抜き器を別途管理する手間を省くことができる。さらに、芯抜き器10の挿入部11は、入力部4の入力面と同一方向に開口している。その結果、ケース5を裏返したりすることなく、ケース5の姿勢を入力操作時と同一姿勢で芯体9の引き抜き動作を行うことができる。
【0032】
2.第2の実施の形態
次に、図7を参照して芯抜き器の第2の実施の形態例について説明する。図7は、本発明の芯抜き器の第2の実施の形態を示す断面図である。
図7に示すように、第2の実施の形態の芯抜き器20に係るフック部22は、挿入部21の側面部21cから底面部21bに向けて傾斜して配設されている。
【0033】
従って、第2の実施の形態に係る芯抜き器20は、芯体9を挿入部21に挿入して引き抜くときに、芯体9がフック部22の一端に当接し易い。そのため、芯体9をフック部22に押し当てることなく、フック部22に芯体9を掛止させることができる。その結果、この第2の実施の形態に係る芯抜き器20は、第1の実施の形態に係る芯抜き器10よりも簡単に位置指示器2の芯体9を引き抜くことが可能である。
【0034】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する芯抜き器20によっても、前述した第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様の作用効果を得ることができる。
【0035】
3.第3の実施の形態
次に、図8を参照して芯抜き器の第3の実施の形態例について説明する。図8は、本発明の芯抜き器の第3の実施の形態を示す断面図である。
この第3の実施の形態に係る芯抜き器30は、フック部32を2つ設けたものである。すなわち、図8に示すように、挿入部31の一側に第1のフック部32aが配設され、この第1のフック部32aと対向するように挿入部31の他側に第2のフック部32bが配設されている。前述した第2の実施の形態に係るフック部22と同様に、第1のフック部32a及び第2のフック部32bは、芯体9と当接する一端を挿入部31の底面部31b側に向けて取り付けられている。
【0036】
これにより、位置指示器2の芯体9を挿入部31に挿入するときに、第1及び第2のフック部32a,32bにガイドされるようにして芯体9を挿入することができる。また、挿入部31の側面部31cの一側または他側のどちらに芯体9を押し当てても芯体9をフック部32に掛止させることができる。
【0037】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する芯抜き器30によっても、前述した第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
4.第4の実施の形態
次に、図9及び図10を参照して芯抜き器の第4の実施の形態例について説明する。図9は、本発明の芯抜き器の第4の実施の形態を示す斜視図、図10は、図9に示す芯抜き器のC−C′線断面図である。
【0039】
図9及び図10に示すように、第4の実施の形態に係る芯抜き器40は、挿入部41の開口部41aの外縁にこの開口部41aと同心円状をなして形成されたガイド部43が設けられている。ガイド部43は、挿入部41の開口部41aの外縁から円弧状に形成されている。そして、ガイド部43の形状は、位置指示器2における筐体3の開口部3a側である軸方向の一端部の形状に対応している。そのため、位置指示器2を挿入部41に挿入する際に、ガイド部43に一端部3bが当接する。そして、このガイド部43に沿って位置指示器2の芯体9が挿入部41まで案内される。これにより、ユーザが位置指示器2の芯体9を交換する際に、芯体9の指示部9aをスムースに挿入部41に挿入することができる。
【0040】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する芯抜き器40によっても、前述した第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様の作用効果を得ることができる。
【0041】
5.第5の実施の形態
次に、図11を参照して芯抜き器の第5の実施の形態例について説明する。図11は、本発明の芯抜き器の第5の実施の形態を示す斜視図である。
図11に示すように、第5の実施の形態に係る芯抜き器50は、フック部52における芯体9の指示部9aと当接する一端に略半円状の切り欠き52aを設けたものである。この切り欠き52aの直径は、位置指示器2の芯体9の直径と略等しくなるように設定されている。
【0042】
これにより、位置指示器2の芯体9をフック部52側に押し当てた際に、フック部52に設けた切り欠き52aに芯体9が嵌り込む。その結果、前述した第1の実施の形態に係るフック部12よりも、フック部52と芯体9が当接する箇所が増加し、フック部52で芯体9を確実に掛止することができ、極めて容易に位置指示器2の筐体から芯体9を引き抜くことができる。
【0043】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する芯抜き器50によっても、前述した第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様の作用効果を得ることができる。なお、本実施の形態では、フック部52における略半円状の切り欠き52aのみに刃を形成してもよい。
【0044】
6.第6の実施の形態
次に、図12を参照して芯抜き器の第6の実施の形態例について説明する。図12は、本発明の芯抜き器の第6の実施の形態を示す斜視図である。
この図12に示すように、第6の実施の形態に係る芯抜き器60は、フック部62における芯体9の指示部9aと当接する一端にV字状の切り欠き62aを設けたものである。この切り欠き62aは、フック部62の一端から挿入部61における側面部61c側の他端に近づくにつれて、切り欠きの間隔が徐々に狭くなるように設定されている。
【0045】
これにより、位置指示器2の芯体9をフック部62側に押し当てた際に、芯体9がフック部62の切り欠き62aの端面に呼び込まれるようにして切り欠き62aに掛止される。その結果、フック部62の切り欠き62aで芯体9を確実に掛止することができ、極めて容易に芯体9を筐体3から引き抜くことができる。
【0046】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する芯抜き器60によっても、前述した第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様の作用効果を得ることができる。なお、本実施の形態では、フック部62におけるV字状の切り欠き62aを形成する2辺に刃が形成されている。
【0047】
7.第7の実施の形態
次に、図13及び図14を参照して芯抜き器の第7の実施の形態例について説明する。図13は、本発明の芯抜き器の第7の実施の形態を示す斜視図、図14は、図13に示す芯抜き器のD−D′線断面図である。
【0048】
図13に示すように、第7の実施の形態に係る芯抜き器70は、弾性部材の一具体例を示す板ばね74を有している。板ばね74は、挿入部71の側面部71cに配設されている。この板ばね74は、弾性を有しており、挿入部71に挿入された芯体9の指示部9cをフック部72側へ付勢する。これにより、挿入部71に位置指示器2の芯体9を挿入すると、図14に示すように、芯体9の指示部9aは、板ばね74の弾性力によりフック部72側に付勢されて、フック部72と板ばね74に挟持される。その結果、位置指示器2の芯体9をフック部72側に押し当てる動作を省略することができ、確実に芯体9の指示部9aをフック部72に掛止させることができる。なお、挿入部71に配設する弾性部材としては、板ばねの他にコイルばね等や他の弾性を有する部材を適用してもよい。
【0049】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する芯抜き器70によっても、前述した第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
なお、この実施の形態に係る芯抜き器70に、前述した第4の実施の形態に係る芯抜き器のように、挿入部の開口側の外縁に位置指示器を案内するガイド部を設けてもよいことは言うまでもない。
【0051】
8.第8の実施の形態
次に、図15を参照して芯抜き器の第8の実施の形態例について説明する。図15は、本発明の芯抜き器の第8の実施の形態を示す斜視図である。
図15に示すように、第8の実施の形態に係る芯抜き器80は、挿入部81を溝部として形成したものである。挿入部81は、略長方形状に開口された開口部81aと、この開口部81aと対向する底面部81bを有している。この挿入部81は、底面部81bの長手方向の他端側の一辺を除く3辺から略垂直をなして上方の開口部81aと連続する側面部81cを有している。また、挿入部81は、底面部81bの長手方向の一端側の側面部81cにフック部82が設けられており、また長手方向の他端が開口している。
【0052】
そして、上述した第4の実施の形態と同様に、挿入部81の開口部81aの外縁に沿ってガイド部83が設けられている。ガイド部83は、位置指示器2における筐体3の開口部3a側の形状に対応するように、円弧状に形成されている。
【0053】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する芯抜き器80によっても、前述した第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
この実施の形態に係る芯抜き器80は、例えば次のようにして位置指示器2の芯体9の引き抜き動作が行われる。まず、位置指示器2の開口部3a側である軸方向の一端部を挿入部81における長手方向の他端の開口側から挿入する(挿入工程)。次に、位置指示器2を挿入部81の側面部81cに設けたフック部82側へ移動させる(矢印Aの方向)。これにより、芯体9が側面部81cに設けたフック部82に当接して掛止される(掛止工程)。次に、ユーザは、芯体9がフック部82に掛止された状態で位置指示器2を芯抜き器80から離反する方向(矢印Bの方向)に移動させる(引き抜き工程)。これにより、位置指示器2の芯体9を容易に筐体3から引き抜きことができる。
【0055】
なお、本実施の形態に係る芯抜き器80によれば、挿入部81が上方の開口部81aだけでなく、長手方向の他端側も開口している。これにより、挿入部81内に塵や埃等が入り込んだ際に、挿入部81の長手方向の他端の開口から容易に掃き出すことができる。その結果、挿入部81に塵や埃がたまり、位置指示器2の芯体9が挿入し難くなることを抑制し、または防止することができる。
【0056】
9.第9の実施の形態
次に、図16を参照して芯抜き器の第9の実施の形態例について説明する。図16は、本発明の芯抜き器の第9の実施の形態を示す斜視図である。
この図16に示す芯抜き器90は、上述した第8の実施の形態に係る芯抜き器80におけるフック部82の形状を変形させたものである。この実施の形態に係るフック部92には、V字状の切り欠き92aが設けられている。これにより、位置指示器2を挿入部91の側面部91cに設けたフック部92側へ移動させると、芯体9がフック部92の切り欠き92aに呼び込まれるようにして掛止される。その結果、位置指示器2の芯体9をフック部92で確実に掛止することができる。
【0057】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する芯抜き器90によっても、前述した第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様の作用効果を得ることができる。更に、この第9の実施の形態に係る芯抜き器90における位置指示器2の芯体9の引き抜き動作は、上述した第8の実施の形態に係る芯抜き器80における動作と同様であるため、その説明は省略する。
【0058】
10.第10の実施の形態
次に、図17A及び図17Bを参照して芯抜き器の第10の実施の形態例について説明する。図17A及び図17Bは、本発明の芯抜き器の第10の実施の形態を示す断面図である。
図17A及び図17Bに示すように、第10の実施の形態に係る芯抜き器100は、フック部を挿入部の側面部から進退移動可能に構成したものである。すなわち、芯抜き器100は、フック部102が収納され且つ移動可能に挿通される収納部103を有している。収納部103は、挿入部101の側面部101cから筐体であるケース5の側面部まで連続して開口している。そして、この収納部103にフック部102が進退移動可能に収納されている。
【0059】
また、フック部102は、抜け止め片104と、スライド釦105とを有している。抜け止め片104は、フック部102の一面から一方に向けて突出している。この抜け止め片104は、収納部103の側壁に当接することで、フック部102が収納部103から抜け落ちることを防止している。また、フック部102における刃が設けられた先端部102aとは反対側である基端部102bには、スライド釦105が設けられている。このスライド釦105を図17Aに示す矢印Sの方向へ押すことにより、図17Bに示すように、フック部102が、収納部103内を移動して挿入部101の側面部101cから突出する。また、このスライド釦105を引っ張ることにより、フック部102が、収納部103に収納される。
【0060】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する芯抜き器100によっても、前述した第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様の作用効果を得ることができる。
【0061】
この実施の形態に係る芯抜き器100は、例えば次のようにして位置指示器2の芯体9の引き抜き動作が行われる。まず、図17Aに示すように、フック部102が収納部103に収納されている状態で、挿入部101に位置指示器2の芯体9の指示部9aを挿入する。次に、図17Bに示すように、フック部102のスライド釦105を矢印Sの方向へ押圧して、フック部102を挿入部101の側面部101cから突出させる。これにより、フック部102が芯体9の指示部9aと掛止する。そして、この状態で位置指示器2を芯抜き器100から離反することで、芯体9が位置指示器2から引き抜かれる。
【0062】
また、フック部102の先端部102aを挿入部101の側面部101cから突出させた状態で、フック部102の位置を固定する固定部材を設けてもよい。これにより、フック部102が芯体9に押されて収納部103内に引っ込むことを防止でき、確実にフック部102を芯体9の指示部9aに掛止させることができる。
【0063】
なお、この実施の形態に係る芯抜き器100に、前述した第2及び第3の実施の形態に係る芯抜き器のように、フック部に切り欠きを形成してもよく、更に第4の実施の形態に係る芯抜き器のように、位置指示器を案内するガイド部を設けてよい、ことは言うまでもない。
【0064】
11.第11の実施の形態
次に、図18〜図20を参照してペンスタンドに本発明の芯抜き器を備えた例について説明する。図18及び図19は芯抜き器を備えたペンスタンドを示す斜視図、図20は図18に示すペンスタンドのE−E′線断面図である。
【0065】
[ペンスタンドの構成]
この図18〜図20に示すように、この実施の形態に係るペンスタンド110は、ペン型の位置指示器2を未使用時に立て掛けるものである。ペンスタンド110は、略円錐台形状の筐体である本体111と、芯抜き器120(図20を参照)とから構成されている。本体111は、略円形の底面部111aと、この底面部111aと対向して配置される上面部111bと、底面部111aと上面部111bを接続する側面部111cを有している。上面部111bは、略半球状に凹んでおり、その略中央に位置指示器2を保持する保持部112が設けられている。なお、本体111の形状は、略円錐台形状に限定されるものではなく、角柱状や円柱状等に形成してもよい。
【0066】
図20に示すように、保持部112は、本体111の上面部111bの略中央から略円錐形状に凹んだ凹部である。この保持部112は、本体111の上面部111bから底面部111aまで開口している。また、保持部112には、位置指示器2を保持する板バネ113が設けられている。これにより、図19及び図20に示すように、この保持部112に位置指示器2を、一端部3b側から挿入することで、板バネ113に挟持されて位置指示器2を立て状態で保持することができる。また、この保持部112には、本体111の底面部111a側に芯抜き器120が連続して一体に設けられている。
【0067】
[芯抜き器の構成]
図20に示すように、芯抜き器120は、保持部112と連続して一体に形成された挿入部121と、この挿入部121に配設されたフック部122とから構成されている。その他の構成は、第1の実施の形態にかかる芯抜き器10と同様であるため、それらの説明は省略する。
【0068】
また、芯体9を引き抜くときには、保持部112に保持されている位置指示器2を芯抜き器120の挿入部121側に押し込む。これにより、保持部112に設けた板バネ113が位置指示器2に押されて弾性変形する。そして、位置指示器2の芯体9が、芯抜き器120の挿入部121に挿入されると共にフック部122に掛止される。
【0069】
ペンスタンド110の本体111と芯抜き器120を一体に形成することにより、芯抜き器の部品点数を削減することができるだけでなく、位置指示器2をペンスタンド110に保持した状態から、位置指示器2の芯体9を引き抜くことができる。なお、この実施の形態に係るペンスタンド110においても、前述した第10の実施の形態例に係る芯抜き器のように、フック部122をスライド移動させる機構を設けてもよい。
【0070】
なお、本発明は前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。また、フック部における芯体と当接する辺を直線状あるいは曲線状に形成した例を説明したが、芯体と当接する一辺を鋸刃状に形成してもよい。さらに、上述した実施の形態例では、検出方式として電磁誘導方式の位置指示器を用いた例を説明したが、芯体が交換可能な位置指示器であれば、抵抗膜方式や静電容量方式等、その他各種の検出方式の位置指示器の芯体の交換に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の位置検出装置の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す位置指示器をA−A′線で断面して示す説明図である。
【図3】本発明の芯抜き器の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】本発明の芯抜き器の第1の実施の形態を示すもので、図4Aは図3に示すB−B′線断面図、図4Bは挿入部に芯体を挿入した状態を示す断面図である。
【図5】位置指示器の芯体の他の具体例の要部を拡大して示す説明図である。
【図6】本発明の芯抜き器を用いて位置指示器の芯体を引き抜いた状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の芯抜き器の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図8】本発明の芯抜き器の第3の実施の形態を示す断面図である。
【図9】本発明の芯抜き器の第4の実施の形態を示す斜視図である。
【図10】本発明の芯抜き器の第4の実施の形態を示す図9のC−C′線断面図である。
【図11】本発明の芯抜き器の第5の実施の形態を示す斜視図である。
【図12】本発明の芯抜き器の第6の実施の形態を示す斜視図である。
【図13】本発明の芯抜き器の第7の実施の形態を示す斜視図である。
【図14】本発明の芯抜き器の第7の実施の形態を示す図13のD−D′線断面図である。
【図15】本発明の芯抜き器の第8の実施の形態を示す斜視図である。
【図16】本発明の芯抜き器の第9の実施の形態を示す斜視図である。
【図17】本発明の芯抜き器の第10の実施の形態を示すもので、図17Aはフック部を収納させた状態を示す断面図、図17Bはフック部を挿入部から突出させた状態を示す断面図である。
【図18】本発明の芯抜き器を備えたペンスタンドの実施の形態を示す斜視図である。
【図19】本発明のペンスタンドに位置指示器を保持させた状態を示す斜視図である。
【図20】本発明のペンスタンドを示すもので、図18のE−E′線断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1…位置検出装置、 2…位置指示器、 3…筐体、 3b…底面部、 4…入力部、 5…ケース(筐体)、 6…開口部、 7…上ケース、 8…ケーブル、 9…芯体、 9a…指示部、 10…芯抜き器、 11…挿入部、 12…フック部、 43…ガイド部、 52a,62a…切り欠き、 74…板ばね、 104…抜け止め片、 105…スライド釦、 103…収納部、 110…ペンスタンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置指示器に設けられた芯体を引き抜く芯抜き器において、
前記位置指示器の芯体が挿入される挿入部を有する筐体と、
前記挿入部に設けられ、かつ前記挿入部に挿入された前記芯体と当接して前記芯体を掛止可能に形成された少なくとも1つのフック部と
を備えた芯抜き器。
【請求項2】
前記位置指示器を前記挿入部内に案内するガイド部を設けた
請求項1に記載の芯抜き器。
【請求項3】
前記フック部は、板状の部材からなり、少なくとも一辺が前記芯体を掛止する
請求項1又は2に記載の芯抜き器。
【請求項4】
前記フック部は、前記芯体が当接する箇所に略半円状の切り欠きが形成されている
請求項1〜3のいずれかに記載の芯抜き器。
【請求項5】
前記挿入部に、前記挿入部に挿入された前記芯体を前記フック部側に付勢する弾性部材を設けた
請求項1〜4のいずれかに記載の芯抜き器。
【請求項6】
前記挿入部は、底面部を有する凹部である
請求項1〜5のいずれかに記載の芯抜き器。
【請求項7】
前記フック部は、前記芯体と当接する一端を前記挿入部が延在する方向に向けて傾斜している
請求項1〜6のいずれかに記載の芯抜き器。
【請求項8】
前記筐体に、前記フック部を収納する収納部を設け、
前記フック部は、前記収納部に収納された状態と前記挿入部から突出する状態に移動可能に構成されている
請求項1〜7のいずれかに記載の芯抜き器。
【請求項9】
位置指示器の位置を検出する入力部及び前記位置指示器の芯体を引き抜く芯抜き器を有する筐体と、から構成され、
前記芯抜き器は、
前記筐体に設けられ、前記位置指示器の芯体が挿入される挿入部と、
前記挿入部に設けられ、かつ前記挿入部に挿入された前記芯体と当接して前記芯体を掛止可能に形成された少なくとも1つのフック部と
を備えた位置検出装置。
【請求項10】
位置指示器を保持する保持部及び前記位置指示器の芯体を引き抜く芯抜き器を有する筐体と、から構成され、
前記芯抜き器は、
前記保持部と一体に設けられ、かつ前記位置指示器の芯体が挿入される挿入部と、
前記挿入部に設けられ、かつ前記挿入部に挿入された前記芯体と当接して前記芯体を掛止可能に形成された少なくとも1つのフック部と
を備えたペンスタンド。
【請求項11】
位置指示器に設けられた芯体を芯抜き器の挿入部に挿入する挿入工程と、
前記挿入工程の後に、前記芯体を前記芯抜き器のフック部に押し当てて掛止する掛止工程と、
前記芯体を前記フック部に掛止した状態で、前記位置指示器の筐体を前記挿入部から離反する方向に持ち上げて、前記芯体を前記位置指示器の筐体から引き抜く工程と
を具備する位置指示器の芯体の引き抜き方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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