説明

花台用化粧カバー

【課題】 新設、既設いずれの花台にも、容易に十分な強度を持って取り付け得る花台用化粧カバーを提供する。花台の草花に水やりをする場合の余剰水や雨水などが直接下方に流下飛散するのを防止する。
【解決手段】 カバー(B)は底壁(5a)とその底壁から立ち上がる周壁(5b)とからなるカバー本体(5)を有し、カバー本体は底壁と周壁とによって形成された、花台の底部を収容できる凹部(5c)を備え、周壁の下部に内側に突出して花台に接続するための接続金具(6)が埋設されている。カバー本体の底壁は周壁方向にやや下り傾斜し、周壁に近い位置に水抜き孔(5d)が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば窓の屋外側又はバルコニー等の周壁の風孔の外側に張り出して取り付けられる花台に装着される化粧カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
階上の窓の下部に屋外側に張り出す、防護柵を兼ねる花台が、また、バルコニーの周壁の風孔に外側に張り出す、防護柵を兼ねる花台が設けられ、その花台にプランターや植木鉢(以下、代表的に植木鉢という。)を置いて草花を楽しむ例は少なくない。これらの花台は、通常、通風性と透視性と装飾性を備えるため、金属製の棒材又は管材の接続(溶接、ビスによる結合又は金具とビスによる結合)によって、スケルトン(骨組又はフレーム)状に組み立てられている。
【特許文献1】特になし。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、従来の花台はスケルトン状に形成されているから、花台に載置されている植木鉢が外から見えるばかりでなく、植木鉢の不揃い、汚れ、しおれた又は枯れたままの草花等も露見されるため、窓又はバルコニーの外観体裁が損なわれるという不具合がある。また、草花に水やりをする時は、余剰水が植木鉢から直接花台の下方に流下飛散して、階下の窓に干してある物や下方を通行する人に汚れた水滴を付着させる問題がある。
【0004】
このような不具合を解消するために、植木鉢が外から見えないように隠蔽する手段、余剰水の直接流下を防止する手段を備えることを提案することは可能であるが、新設される花台、既設の花台のいずれにも容易にかつ十分な強度を持って取り付けることができるものはまだ提供されていない。
【0005】
従って、本発明が解決しようとする第1の課題は、新設される花台と既設の花台のいずれにも容易にかつ十分な強度を持って取り付けることができる花台用化粧カバーを提供することにある。第2の課題は、花台の草花に水やりをする場合の余剰水や雨水などが直接下方に流下飛散するのを防止することもできる花台用化粧カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記第1の課題を解決するため、本発明は、壁の外側に張り出して取り付けられる花台に装着される化粧カバーにおいて、底壁とその底壁の前記壁側の辺を除く周辺から立ち上がる周壁とからなるカバー本体を有し、前記カバー本体は前記底壁と前記周壁とによって形成された、前記花台の下部を収容できる凹部を備え、かつ、前記周壁を構成する前面壁と側面壁の下部に内側に突出して前記花台に接続するための接続金具が設けられていることを特徴としている(請求項1)。
上記構成により、壁に取り付けられている花台の下部を化粧カバーの凹部に収容し、カバー本体の周壁の前面壁の下部及び側面壁の下部に突設されている接続金具をビスにより花台の下枠に固着して、化粧カバーを花台に取り付け、その花台の前面及び側面の下部を隠蔽し、かつ、花台の底面を覆うことができる。
【0007】
カバー本体の周壁の前面壁と側面壁の接続金具の一方又は双方に補助金具を前記接続金具からの突出量を調整可能に固着し、その補助金具を花台の下枠にねじで固着するようにしてもよい(請求項2)。
花台のサイズとカバー本体のサイズに多少の違いがある場合は、接続金具に前記サイズの違いに対応する補助金具を固着し、その補助金具を花台の下枠に接続することにより、装飾カバーを花台に強固に取り付けることができる。
【0008】
カバー本体の底壁は、前面側に向かってやや下り傾斜され、底壁のその前面壁に近い位置に水抜き孔が形成されていることが望ましい(請求項3)。
上記構成により、花台に載置されている植木鉢の草花に水やりをする場合の余剰水又は雨水は底壁上面の前面壁側に集まり、水抜き孔からのみ流下する。従って、余剰水や雨水が建物の外壁やバルコニーの周壁に沿って流下したり、直接、花台の下方に滴下又は飛散したりするのを防止できる。
【0009】
カバー本体は、FRPで成形され、接続金具はそのカバー本体に埋設されていることが好ましい(請求項4)。
FRP製のカバー本体は要求される耐候性と機械的強度を備え、花台のサイズに合わせて大きいサイズに成形された化粧カバーも使用に耐える。接続金具がカバー本体に埋設されて、カバー本体と接続金具との結合強度が大きいので、化粧カバーを花台に堅固に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、壁に取り付けられている花台の底部をカバーの凹部に収容し、カバー本体の周壁の内面下部に突設されている接続金具をビスにより花台に接続して、化粧カバーを花台に取り付けることができる。従って、新設される花台と既設の花台のいずれにも取付可能である。そして、花台の下部が隠蔽されるから、花台に載置されている植木鉢などが外から見えないので、窓やバルコニーなどの外観体裁が損なわれることが防止される。さらに、花台の底面がカバーの底壁で覆われるので、植木鉢の草花に水やりをする場合の余剰水や雨水が直接、花台の下方に流下又は飛散することが防止される。
【0011】
請求項2の発明によれば、カバー本体の周壁の前面壁と側面壁の接続金具の一方又は双方に補助金具を前記接続金具からの突出量を調整可能に固着し、その補助金具を花台の下枠にねじで固着するようにしたので、花台と化粧カバーのサイズに多少の違いがあっても、接続金具にサイズの違いに対応する補助金具を固着し、その補助金具を花台の下枠に接続することにより、装飾カバーを花台に強固に取り付けることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、カバー本体の底壁が周壁の前面壁に向かってやや下り傾斜され、その前面壁に近い位置に水抜き孔が形成されているから、花台の草花に水やりをする場合の余剰水又は雨水が底壁上面の前面壁側に集まり、水抜き孔からのみ流下するので、建物外壁やバルコニーの周壁に沿って流下したり、直接、花台の下方に滴下又は飛散したりするのを防止できる。
【0013】
請求項4の発明によれば、化粧カバーのサイズに対応する機械的強度と耐候性に対する要求を満たすカバー本体の成形が容易にでき、接続金具の埋設も容易であり、カバー本体と接続金具との結合強度も大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の最良の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る花台用化粧カバー(以下、単にカバーという。)を花台に取り付けた状態の斜視図、図2は同じく正面図、図3は同じく平面図、図4は図2のX−X線断面図、図5は花台のみの正面図、図6は同じく花台のみの平面図、図5はカバーのみの平面図、図6は図5のY−Y線断面図、図9はカバーの花台に対する取付要領の説明図である。
【0015】
各図において、Aは窓やバルコニーの防護柵を兼ねる花台の一例であり、Bは本発明に係るカバーの一例である。
【0016】
花台Aは、鋳造又は押出成形された多数の棒材又は管材を溶接、ビスによる相互接続、又は接続金具とビスによる結合などにより組み立てられている。図示された具体例についてさらに詳しく説明する。花台Aは、上枠1と、下枠2と、縦格子材3と、縦取付材4とからなっている。
【0017】
上枠1は建物の窓方向又はバルコニーの風孔方向に開口するほぼコ字形又はU字形に形成されている。下枠2は上枠1とほぼ同一形状の主部材2aの両端部に直線状の横取付材2bの両端部を接続し、主部材2aの前部と横取付材2bの間に横取付材に対して直角方向に長い奥行き材2cが複数本間隔をおいて設けられ、その奥行き材の上面に主部材2aの両側間を横取付材2bと平行に延びる横材2dが一つの平面上に複数本間隔をおいて配設されて構成されている。縦格子材3は、上枠1の外側面と下枠2の主部材2aの外側面とに当接させた状態で上枠1と主部材2aとに接続されている。しかし、縦格子材の形状は任意であり、棒材又は管材を用いるものに限定されず、パネル状のものでもよい。縦取付材4は横取付材2bの各端部からそれぞれ上枠1の各端部を越えた上方まで延長され、各端部に接続されている。そして、横取付材2bにはその長手方向に間隔をおいてねじ貫通孔h1が設けられ、縦取付材4の上端部にもねじ貫通孔h2が設けられている(図5参照)。
【0018】
上記花台Aは、図1〜図4に示されているように、窓Wの下部の屋外側に張り出す態様で、縦取付材4及び下枠2の横取付材2bをそれらのねじ貫通孔h1,h2からねじを外壁にねじ込むことにより取り付けられる。バルコニーの風孔に対しても同じ要領で取り付けることができる。
【0019】
続いて、花台用カバーBの構成について、主として図7,8に基づいて説明する。カバーBは、カバー本体5と複数の接続金具6とからなっている。カバー本体5は、FRP(繊維強化プラスチック)で成形されて、カバーが屋外での使用に耐えうる耐候性と、サイズが大きい場合にも自重に耐えうる機械的強度とを備えている。そして、カバー本体5は、花台Aの下枠2の平面形状よりもやや小さな相似形の底壁5aと、その底壁の窓側の直線状の辺を除く辺、すなわち、正面と側面の辺から上方に延びる周壁5bとを一体に有し、これらの底壁5aと周壁5bにより上方に開口する、花台の下部を収容するための凹部5cが形成されている。周壁5bは、底壁の正面と側面の辺から起立する下側起立壁5b1と、その下側起立壁の上端部から外側に上り傾斜する又は外側に水平に張り出す段壁5b2と、その段壁の外端部から起立する上部起立壁5b3とからなっている。段壁5b2は、その上面に花台Aの底部を載置することができる平面形状を有している。また、上部起立壁5b3は、段壁5b2に載置された花台の下部の外面、すなわち、縦格子材5の下部外面の至近位置を起立して、花台の下部を隠蔽することができるように横断面形状と高さが設定されている。そして、好ましくは、カバー本体の底壁5aは下側起立壁5b1から遠い側の端部(取付状態においては建物外壁側端部)から下側起立壁5b1の方向に下り傾斜され、下側起立壁5b1に近い位置に水抜き孔5dが下側起立壁5b1の長手方向に間隔を置いて複数個設けられている。
【0020】
接続金具6は、短冊状の金属板をL字形に屈曲して形成され、一辺はカバー本体の周壁の上部起立壁5b3に埋め込まれ、他辺は上部起立壁5b3の内方に突出されている。そして、接続金具6(6a,6b)は、起立壁5b3の正面側と両側面側における内面の段壁5b2よりも若干高い位置に設けられている。
【0021】
続いて、カバーの花台Aに対する取付方法を図9を参照しながら説明する。カバーBを図9の矢印AR方向より花台Aの下側に差し込んでカバーBの凹部5cに花台Aの下部を嵌合して花台Aの下枠2をカバーの段壁5b2に載せ、各接続金具6を下枠2の上面、さらに詳しくは、主部材2aの正面側部分と側面側部分を構成する棒材又は管材の上面に載せると、カバーBを花台Aの下枠2に仮固定することができる。そして、正面側接続金具6aはこれをセルフドリリングネジn1により花台Aの下枠の主部材2aの正面側部分に、また、側面側接続金具6bはこれをセルフドリリングネジn2により花台Aの下枠の主部材2aの側面側部分にそれぞれ固着する。
【0022】
この場合、接続金具6a,6bのいずれかが下枠の主部材2aの上面まで達しないときは、図9に側面側接続金具6bについて例示するように、当該接続金具に補助金具7をセルフドリリングネジn3により接続する。補助金具7は短冊状金属板の先端を直角下方に屈曲させた形状を有するものであり、その水平な辺の一端側にはネジ貫通用の長孔7aが、他端側にはビス貫通用の円孔7bが設けてある。そして、補助金具7は水平辺を接続金具6bに載せ、垂直辺が下枠の主部材2aの側面部分の内面に当たるまでカバーの周壁方向に移動した後、円孔7bからセルフドリリングネジn2をねじ込んで固着した後、長孔7aからセルフドリリングネジn3を接続金具6bのねじ孔にねじ込む。
【0023】
こうして、花台AにカバーBを取り付けた状態では、カバーの下部がカバーの凹部5cに収容されて、カバーの底壁が花台Aの底面を覆い、カバーの周壁が花台Aの縦格子材の下部の外側面を覆う。従って、花台Aの底部(床横材)に植木鉢などを置いても、窓側からは見えるが屋外側からは見えず、植えてある草花のみが見える。これにより、植木鉢の大きさや色彩の不揃いによって窓の外観体裁が損なわれることが防止される。また、花台Aの下方にカバーの底壁が存在するので、植木鉢の草場に水やりをする場合に鉢から流出する余剰水はそのカバーの底壁に受け止められるから、汚水が植木鉢から直接に花台Aの下方に流下飛散することが防止される。カバーの底壁が周壁方向に下り傾斜され、その周壁付近に水抜き孔5dが設けられた場合は、カバーの底壁に受けられた水が周壁方向に誘導された後、水抜き孔5dからのみ流下するので、建物又はバルコニーの外壁面が汚水で汚染されることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るカバーを花台に取り付けた状態の斜視図。
【図2】同じく正面図。
【図3】同じく平面図。
【図4】図2のX−X線断面図。
【図5】花台のみの正面図。
【図6】同じく花台のみの平面図。
【図7】カバーのみの平面図。
【図8】図7のY−Y線断面図。
【図9】カバーの花台に対する取付要領の説明図。
【符号の説明】
【0025】
A 花台
2 下枠
B カバー
5 カバー本体
5a 底壁
5b 周壁
5b1 下部起立壁
5b2 段壁
5b3 上部起立壁
6 接続金具
7 補助金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁の外側に張り出して取り付けられる花台に装着される化粧カバーであって、底壁とその底壁の前記壁側の辺を除く周辺から立ち上がる周壁とからなるカバー本体を有し、前記カバー本体は前記底壁と前記周壁とによって形成された、前記花台の下部を収容できる凹部を備え、かつ、前記周壁を構成する前面壁と側面壁の下部に内側に突出して前記花台に接続するための接続金具が設けられていることを特徴とする花台用化粧カバー。
【請求項2】
カバー本体の周壁の前面壁と側面壁の接続金具の一方又は双方に補助金具が前記接続金具からの突出量を調整可能に固着してあり、その補助金具が花台の下枠にねじで固着されることを特徴とする請求項1に記載の花台用化粧カバー。
【請求項3】
カバー本体の底壁は周壁の前面壁に向かってやや下り傾斜され、前記前面壁に近い位置に水抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の花台用化粧カバー。
【請求項4】
カバー本体は、FRPで成形され、接続金具はそのカバー本体に埋設されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の花台用化粧カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−110230(P2006−110230A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302874(P2004−302874)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】