説明

芳香剤容器

【課題】 本発明は、収納容器体のケース体への装着により、収納容器体の密封を解除して芳香剤の放散を可能とすることにより、密閉強度の高い収納容器体を、シール機能部分をゴミにすることなく、簡単に開封することを目的とする。
【解決手段】 芳香剤を収納している収納容器体1の開口部を密閉するシート蓋13を、浸透シート14とシール膜15との積層構造とし、収納容器体1のケース体22への着脱自在な装着により、シール膜15を破断して破断孔16を開設し、この破断孔16に露出した浸透シート14に、収納容器体1に設けた浸透芯9を通して供給された芳香剤を、気散シート17に浸透させて放散する。この気散シート17は、収納容器体1の開口部に制約されることなく、その大きさを自由に設定することができるので、芳香剤の放散能力を所望程度に設定することが容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状の芳香剤を収納した収納容器体と、この収納容器体を、収納した芳香剤を放散可能な状態で安定して保持するケース体とから成る芳香剤容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、消臭剤を含めた液状の芳香剤を放散する芳香剤容器としては、液状の芳香剤を密に収納保持する収納容器体と、この収納容器体を一定姿勢で組付け保持すると共に、芳香剤を適正に放散できる状態に維持するケース体とから構成されたものが多用されている。例えば、特許文献1に記載された芳香剤容器は、収納容器体に、気化した芳香剤を通過放散させるための放散孔を開設しオーバーキャップと、収納容器体を安定して起立姿勢に保持する台座とからなるケース体を組付けて構成し、収納容器体が使用済みとなったならば、取外したケース体を、新たな収納容器体に組み替えして芳香剤容器を構成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−205986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、新たな収納容器体をケース体に組付けようとするたびに、収納容器体を密閉している密封シールを剥がして、収納容器体を開封状態としなければならず、このため面倒な密封シールの剥ぎ取り操作を必要とすると共に、密封シールを適正にかつ簡単に剥ぎ取ることができる構成とすることが要求され、さらに剥ぎ取った密封シールがゴミとなって手元に残ってしまう、と云う問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、収納容器体のケース体への装着により、収納容器体の密封を解除して芳香剤の放散を可能とすることを技術的課題とし、もって密閉強度の高い収納容器体を、シール機能部分をゴミにすることなく、簡単に開封することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するための本発明の主たる構成は、
液状の芳香剤を収納し、開口部をシート蓋で塞いだ収納容器体と、この収納容器体の開口部に空気置換用の吸気機構を併設して組付けられ、芳香剤中に漬かる浸透芯と、収納容器体内から浸透芯により導き出された芳香剤を浸漬して気散させる気散シートと、収納容器体を装着部に係止組付けするケース体とから構成されること、
浸透芯を、毛細管作用により芳香剤を導く素材で構成すること、
シート蓋を、芳香剤の浸透が可能な柔軟性に富んだ浸透シートの内側に、伸び変形不能で破断し易いバリヤー性に富んだシール膜を積層して構成すること、
気散シートを浸透シートに当接させて組付けること、
装着部に破断突板を設けること、
この破断突板を、装着部に組付けられた収納容器体のシート蓋に押込み状に突き当って、このシート蓋のシール膜を破断して破断孔を開設するものとすること、
この破断孔を開設した状態で浸透シートに浸透芯を当接させる構成とすること、にある。
【0007】
開口部をシート蓋で密閉した収納容器体の、ケース体の装着部に対する組付けは、収納容器体を装着部に強引に押し込む打栓組付け状に達成されるので、この挿入組付け時の衝撃力が、収納容器体のシート蓋に押込み状に突き当たるケース体の破断突板に伝わる。この破断突板に伝わった衝撃力は、そのままシート蓋に作用するが、シート蓋の浸透シートは柔軟性に富んでいるので、この衝撃力により破断することなく柔軟に撓み変形するのに対して、シート蓋のシール膜は伸び変形不能で破断し易いので、容易に破断して破断孔を開設する。
【0008】
この際、破断突板はケース体に一体設されたものであるので、構造的に安定しており、シート蓋に押込み状に突き当った際に、確実にかつ強力に衝撃力をシート蓋に作用させ、シート蓋のシール膜に破断孔を確実に開口する。破断孔が開設されると、浸透シートが破断孔から収納容器体内に露出した状態となると共に、浸透芯の先端に当接するので、収納容器体内の芳香剤が浸透芯に導かれて浸透シートに浸透し、さらに浸透シートを介して気散シートに浸透し、気散シートの表面から気散される。破断孔は浸透シートを破断して形成されるものであるので、シート蓋の一部が分離してゴミとなることがない。
【0009】
芳香剤の気散を目的とした気散シートが設けられているので、この気散シートの大きさを適当に設定することにより、収納容器体の開口部の大きさ、すなわちシート蓋の大きさに制限されることなく、芳香剤の気散能力を所望程度に設定することができる。
【0010】
本発明の別の構成は、上記した主たる構成において、ケース体の筒壁に、この筒壁内を上下に区画する隔壁を設け、この隔壁に収納容器体を係止保持する複数の係止板片と破断突板を立設して装着部を構成した、ものである。
【0011】
隔壁に収納容器体を係止保持する複数の係止板片と破断突板を立設して装着部を構成したものにあっては、係止板片の弾性揺動変位が容易であるので、ケース体に対する収納容器体の係止組付けの着脱が簡単となる。
【0012】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成において、吸気機構を、吸気パイプで構成した、ものである。
【0013】
吸気機構を吸気パイプで構成したものにあっては、収納容器体の開口部を芳香剤が塞いだ状態であっても、置換用の空気を収納容器体内に導くことができる。
【0014】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成において、吸気機構を、浸透芯と、この浸透芯を保持する支持筒部との間に形成される吸気間隙で構成した、ものである。
【0015】
吸気機構を、吸気間隙で構成したものにあっては、収納容器体の開口部の一部を、そのまま吸気機構として機能させることができる。
【0016】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成において、気散シートを載置するリング板に、収納容器体に係止する複数の板片状の係止片を立設して構成したジョイントを設けた、ものである。
【0017】
ジョイントを設けたものにあっては、ジョイントにより気散シートの取扱いを行うことができる。
【0018】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成において、破断突板を、二つの板片を十文字状に組合せて構成とした、ものである。
【0019】
破断突板を、二つの板片を十文字状に組合せて構成としたものにあっては、シール膜が破断されて形成される破断孔の開口面積を大きくすることができ、これにより浸透芯と浸透シートとの当接を確実に得ることができる。
【0020】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成において、収納容器体を、合成樹脂製ブロー成形ボトルとし、このボトルの開口筒部に、中央を開口部としたリング状のキャップ体を密に組付けし、このキャップ体上に開口部を塞ぐシート蓋を密に溶着した、ものである。
【0021】
収納容器体を、合成樹脂製ブロー成形ボトルとし、開口筒部にリング状のキャップ体を組付けたものにあっては、収納容器体の成形が容易であると共に、安価に得ることができ、カートリッジ状の取扱いが容易である。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成にあっては、収納容器体をケース体の装着部に係止組付けにより破断孔を容易にかつ確実に開口し、これにより収納容器体内の芳香剤の気散動作を確実に得ることができる。また、収納容器体の開口部は浸漬シートで塞がれた状態のままであり、浸漬シート自体は芳香剤の浸透は許すものの通過を許さないので、収納容器体による芳香剤の収納保持を安定して確保し、芳香剤容器の安全な使用状態を得ることができる。さらに、気散シート全体が浸透した芳香剤の気散に作用するので、気散シートの大きさにより芳香剤の気散能力を自由に設定することができる。またさらに、破断孔の開設によりゴミを発生させることがないので、後処理を簡潔にすることができる。
【0023】
隔壁に収納容器体を係止保持する複数の係止板片と破断突板を立設して装着部を構成したものにあっては、ケース体に対する収納容器体の係止組付けの着脱が簡単に行うことができ、これにより収納容器体をレフィール容器として取り扱い易くなる。
【0024】
吸気機構を吸気パイプで構成したものにあっては、収納容器体の開口部を芳香剤が塞いだ状態であっても、置換用の空気を収納容器体内に導くことができるので、収納容器体を倒立姿勢で使用するのに有利である。
【0025】
吸気機構を、吸気間隙で構成したものにあっては、収納容器体の開口部の一部を、そのまま吸気機構として機能させることができるので、吸気機能の構造を簡単にすることができると共に、収納容器体を正立姿勢で使用するのに有利である。
【0026】
ジョイントを設けたものにあっては、ジョイントにより気散シートの取扱いを行うことができるので、芳香剤に濡れた状態となっている気散シートに指先を触れることなく、気散シートの交換を行うことができる。
【0027】
破断突板を、二つの板片を十文字状に組合せて構成としたものにあっては、浸透芯と浸透シートとの当接を確実に得ることができるので、浸透芯を介しての芳香剤の気散シートへの供給を確実にかつ安定して達成でる。
【0028】
収納容器体を、合成樹脂製ブロー成形ボトルとし、開口筒部にリング状のキャップ体を組付けたものにあっては、収納容器体の成形が容易であると共に、安価に得ることができ、カートリッジ状の取扱いが容易であるので、取扱い性の優れた収納容器体を簡単に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の芳香剤容器の第1実施形態例を示す、全体縦断正面図である。
【図2】図1に示した実施形態例のケース体側の、平面図である。
【図3】図1の実施形態例の組立て状態を示す、縦断面図である。
【図4】図1に示した例のシート蓋取付け状態を示す、要部拡大断面図である。
【図5】図1に示した例の破断孔開口時の状態を示す、要部拡大断面図である。
【図6】本発明の芳香剤容器の第2実施形態例を示す、全体縦断正面図である。
【図7】図6に示した実施形態例のケース体側の、底面図である。
【図8】図6に示した例のシート蓋取付け状態を示す、要部拡大断面図である。
【図9】図8の一部を平断した、要部拡大平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態例に沿って、図面を参照しながら説明する。
図1〜図5は、本発明の芳香剤容器の第1の実施形態例を示すものであり、図6〜図9は、本発明の芳香剤容器の第2の実施形態例を示すものである。芳香剤容器は、PET樹脂によりボトル状に2軸延伸ブロー成形された収納容器体1と、ポリプロピレン樹脂製の射出成形品であるケース体22とを着脱可能に係止組付けして構成されている。
【0031】
液状の芳香剤を収納する収納容器体1は、PET樹脂によりボトル状に2軸延伸ブロー成形された本体部分である胴部4の上端に、基端にネックリング3を周設した円筒状の開口筒部2を起立設して構成されている。この収納容器体1の開口筒部2には、ポリエチレン樹脂製のキャップ体6が、その二重リング筒片状に構成された装着筒部7(図4、図8参照)により嵌め込み固定されており、この装着筒部7内には、収納容器体1の内部に延びる支持筒部8(図1、図6参照)が連設されている。
【0032】
キャップ体6の支持筒部8には、収納容器体1内の芳香剤に浸って、これを毛細管現象により導く浸透芯9が、収納容器体1内に延びる形態で組付けられており、またこの浸透芯9には、収納容器体1内に導き出した芳香剤の量に見合った外気を吸気するための吸気機構10が併設されている。
【0033】
また、キャップ体6には、開口部を塞ぐように装着筒部7の上面にシート蓋13が密に溶着固定(図4、図8参照)されているが、このシート蓋13は、浸透シート14にシール膜15を積層した(図4、図8参照)構造となっていて、浸透シート14は、芳香剤の浸透が可能な柔軟性に富んだ不織布等の布材シートや、連続発泡構造の発泡樹脂シートで構成され、シール膜15は、伸び変形不能で破断し易いバリヤー性に富んだアルミ箔フィルムが適しており、シール膜15に破断孔16が開口された際に、浸透シート14の伸び変形がシール膜15に邪魔されることがないように、浸透シート14とシール膜15との間は、弱い接合力で積層されることが望ましい。
【0034】
ケース体22(以下、特に図1および図6参照)は、ケース体22の外殻を構成し、収納容器体1の段部5にその端縁を突き当てて、収納容器体1とケース体22との安定した組付き姿勢を維持する筒壁内に、収納容器体1を係止組付けする装着部26を設けており、この装着部26は、筒壁内を上下に区画する形態で設けられた隔壁25に形成されており、隔壁25の中央に、二つの板片を十字状に組合せて起立状に設けられた破断突板28と、この破断突板28を囲んで起立状に設けられた四つの係止板片27(図2および図7参照)とから構成されている。各係止板片27は、収納容器体1のネックリング3に係止することにより、収納容器体1の装着部26に対する係止組付きを達成維持する。
【0035】
また、破断突板28の起立端の中央には突起29(図5参照)が設けられているが、この突起29は、破断突板28がシート蓋13に押込み状に突き当った際に、浸透シート14を破ることなく、対向するシール膜15の箇所に押込み力を集中させ、これによりこのシール膜15箇所に破断を生じさせ、もって略一定した形態で破断孔16を容易に形成できるようにしている。なお、隔壁25には、係止板片27および破断突板28を避けて、多数の放散孔30(図2および図7参照)が開設されており、気散する芳香剤のケース体22外への放散路を形成している。
【0036】
さらに、ケース体22の筒壁には、多数の放散窓31(図1、図2、図6、図7参照)が開設されており、気化した芳香剤が周囲に偏り無く放散されるようにしていると共に、放散窓31の形状を工夫することにより、芳香剤容器の外観体裁の優れた装飾性を与えることを可能としている。
【0037】
ケース体22の隔壁25に載置状に組付けられる円板状に成形された気散シート17は、充分な浸透性および保液性を発揮する不織布等の材料で成形され、中央に破断突板28が、またその周囲に係止板片27が突き抜け状に位置することのできる透孔18を開設している。この気散シート17は、ケース体22に収納容器体1が組付けられた状態で、シート蓋13の浸透シート14に接触(図5参照)して、浸透シート14を介して芳香剤が浸透供給される状態となっている。
【0038】
次に、収納容器体1とケース体22との組付け状態を説明する。
図3に示すように、ケース体22の装着部26に収納容器体1を挿入状に係止組付けすると、その挿入組付け操作力により、破断突板28がシート蓋13に押込み状に突き当たり、破断突板28がシート蓋13の浸透シート14を伸び変形させると共にシール膜15を破断(図5参照)して、このシール膜15部分に破断孔16(図5参照)を開けて、収納容器体1内に対して浸透シート14を露出させると共に、収納容器体1の開口部に先端を臨ませている浸透芯9の先端に当接させる。
【0039】
それゆえ、収納容器体1内の芳香剤は、浸透芯9から浸透シート14を通って気散シート17に浸透供給され、この気散シート17の表面から気化して放散される。この際、破断突板28により押込み状に変位した浸透シート14に先端を当接させる浸透芯9は、浸透シート14の変位による押圧力により容易に変位できる程度の組付き力でキャップ体6の支持筒部8に組付けられているので、浸透シート14を傷付けることなく、当接状態を保ちながら後退する。また、収納容器体1から気散シート17に対する芳香剤の供給に併行して、浸透芯9に併設された吸気機構10を通して、供給された芳香剤の量に見合った外気が収納容器体1内に吸引される。
【0040】
芳香剤を消費し尽くす等して収納容器体1を組付け交換する際には、収納容器体1に対してもぎ取り状に力を作用させてケース体22から分離させた後、新たな収納容器体1を上述した手順で組付ければよい。この際、収納されている芳香剤の種類によっては、気散シート17を新しいものと交換しておく。このようにケース体22に対する収納容器体1の組付け交換を簡単にかつ安全に行うことができるので、収納容器体1をカートリッジ容器として取扱うことが簡単である。
【0041】
図1〜図5に示した第1の実施形態例の場合、収納容器体1は球状の胴部4を有しており、ケース体22に倒立状に組付けられる。このため、浸透芯9に併設される吸気機構10は、収納された芳香剤に没することがないように、筒状に構成された浸透芯9に挿入組付けされ、延出端を胴部4の底部まで伸ばしたパイプ状の吸気パイプ11で構成されている。なお、収納容器体1を倒立姿勢で使用する第1の実施形態例にあっては、収納容器体1の開口部の近くに位置する浸透芯9部分が、常に収納されている芳香剤に浸っているので、図示のように浸透芯9が収納容器体1の底部間近まで伸びる必要はなく、芳香剤に常に浸ることが可能な状態でその長さを短くしてもよい。
【0042】
また、ケース体22の筒壁は、上端縁を収納容器体1の段部5に当接させると共に、下端部を脚部として機能させる外筒壁23と、この外筒壁23の内周面中央箇所から下方に縮径した筒状に連設された内筒壁24とから構成されており、外筒壁23と内筒壁24のそれぞれには、複数の放散窓31が開設されている。また、隔壁25は、内筒壁24の底壁として設けられている。
【0043】
この第1の実施形態例にあっては、気散シート17にジョイント19を組付けて、指先を触れることなく気散シート17を取扱うことができるようにしている。このジョイント19は、気散シート17を載置するリング板20に、気散シート17に開設された透孔18を突き抜けて立ち上がる複数(図示実施例の場合、4つ)の板片状の係止片21を設けて構成されており、係止片21を例えばキャップ体6に軽く係止させることにより、収納容器体1に対して気散シート17を仮止め状に組付けることを可能とし、また係止片21を指先で摘むことにより、芳香剤が浸透している気散シート17に触れることなく、この気散シート17を取扱うことを可能としている。
【0044】
図6〜図9に示した第2の実施形態例の場合、収納容器体1はケース体22に正立状に組付けられる。それゆえ、浸透芯9に併設される吸気機構10は、浸透芯9を挿入組付けしている支持筒部8と浸透芯9との間に形成される部分的な隙間である吸気間隙12で構成することが可能であり、これにより吸気機構10をきわめて簡単に構成することが可能である。
【0045】
すなわち、図9に示すように、浸透芯9を支持している支持筒部8の筒部分の内面に、周囲から突き当って浸透芯9を支持する多数の縦リブ状の支持リブ12aを突設し、この支持リブ12aにより浸透芯9を支持して、支持筒部8と浸透芯9との間に間隙を形成し、この間隙を吸気間隙12としている。なお、収納容器体1を正立姿勢で使用する第2実施形態例にあっては、消費が進んで量の少なくなった芳香剤が収納容器体1の底部付近に位置することになるので、浸透芯9の延出端を常に芳香剤に浸しておくために、浸透芯9は収納容器体1の底部間近まで延ばしておく。
【0046】
また、ケース体22の筒壁は、ケース体22の外殻を形成する外筒壁23だけで構成されており、この外筒壁23には、複数の放散窓31が開設されている。そして、隔壁25は、この外筒壁23に設けられている。
【0047】
なお、収納容器体1とケース体22の成形材料および成形方法は、実施形態例に示されたものに限定されることはなく、適当と思われる他の成形材料および成形方法を選択して利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上説明したように、本発明の芳香剤容器は、芳香剤の適正な放散作用を維持した状態で、芳香剤を安全にかつ簡便に取扱うことができるものであり、特に取扱いに手間の掛かり易い液状芳香剤を取扱う用途での幅広い利用展開が期待される。
【符号の説明】
【0049】
1 ;収納容器体
2 ;開口筒部
3 ;ネックリング
4 ;胴部
5 ;段部
6 ;キャップ体
7 ;装着筒部
8 ;支持筒部
9 ;浸透芯
10;吸気機構
11;吸気パイプ
12;吸気間隙
12a;支持リブ
13;シート蓋
14;浸透シート
15;シール膜
16;破断孔
17;気散シート
18;透孔
19;ジョイント
20;リング板
21;係止片
22;ケース体
23;外筒壁
24;内筒壁
25;隔壁
26;装着部
27;係止板片
28;破断突板
29;突起
30;放散孔
31;放散窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の芳香剤を収納し、開口部をシート蓋(13)で塞いだ収納容器体(1)と、該収納容器体(1)の開口部に空気置換用の吸気機構(10)を併設して組付けられ、前記芳香剤中に漬かる浸透芯(9)と、前記収納容器体(1)内から浸透芯(9)により導き出された芳香剤を浸漬して気散させる気散シート(17)と、前記収納容器体(1)を装着部(26)に係止組付けするケース体(22)とから構成し、前記浸透芯(9)を、毛細管作用により芳香剤を導く素材で構成し、前記シート蓋(13)を、芳香剤の浸透が可能な柔軟性に富んだ浸透シート(14)の内側に、伸び変形不能で破断し易いバリヤー性に富んだシール膜(15)を積層して構成し、前記気散シート(17)を浸透シート(14)に当接させて組付け、前記装着部(26)に破断突板(28)を設け、該破断突板(28)を、前記装着部(26)に組付けられた収納容器体(1)のシート蓋(13)に押込み状に突き当って、該シート蓋(13)のシール膜(15)を破断して破断孔(16)を開設するものとし、該破断孔(16)を開設した状態で浸透シート(14)に浸透芯(9)を当接させる構成としたことを特徴とする芳香剤容器。
【請求項2】
ケース体(22)の筒壁に、該筒壁内を上下に区画する隔壁(25)を設け、該隔壁(25)に収納容器体(1)を係止保持する複数の係止板片(27)と破断突板(28)を立設して装着部(26)を構成した請求項1に記載の芳香剤容器。
【請求項3】
吸気機構(10)を、吸気パイプ(11)で構成した請求項1または2に記載の芳香剤容器。
【請求項4】
吸気機構(10)を、浸透芯(9)と、該浸透芯(9)を保持する支持筒部(8)との間に形成される吸気間隙(12)で構成した請求項1または2に記載の芳香剤容器。
【請求項5】
気散シート(17)を載置するリング板(20)に、収納容器体(1)に係止する複数の板片状の係止片(21)を立設して構成したジョイント(19)を設けた請求項1〜4の何れか1項に記載の芳香剤容器。
【請求項6】
破断突板(28)を、二つの板片を十文字状に組合せて構成とした請求項1〜5の何れか1項に記載の芳香剤容器。
【請求項7】
収納容器体(1)を、合成樹脂製ブロー成形ボトルとし、該ボトルの開口筒部(2)に、中央を開口部としたリング状のキャップ体(6)を密に組付けし、該キャップ体(6)上に開口部を塞ぐシート蓋(13)を密に溶着した請求項1〜6の何れか1項に記載の芳香剤容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−116513(P2012−116513A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267045(P2010−267045)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】