説明

芳香族化合物の超臨界メチル化方法

【課題】 メチル化物の選択率が向上するメチル化方法及び2,6−ジメチルナフタレンの製造方法を提供すること、また、本発明は溶剤を必要としないことが可能で、反応容積効率にも優れた2,6−ジメチルナフタレンの製造方法を提供。
【解決手段】 メタノール及びジメチルエーテルから選択される少なくとも1種類以上のメチル化剤を反応させて、炭素数が6以上の芳香族化合物のメチル化を行うに当たり、固体酸触媒の存在下、反応温度が300〜450℃の範囲で、それに対応する反応圧力がメチル化剤の臨界圧力の0.2〜6.5倍の範囲となり、メチル化剤が亜臨界又は超臨界状態となる条件下で反応させる芳香族化合物のメチル化方法であって、固体酸触媒はその細孔径の長径が0.58〜0.68nmであり、その外部酸点を被覆処理したものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は芳香族化合物の超臨界メチル化方法に関するものであり、より詳細には、超臨界又は亜臨界状態のメチル化剤によりメチル化する芳香族化合物の超臨界メチル化方法、及びその方法を使用する2,6−ジメチルナフタレンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
芳香族化合物のメチル化に関するものに、2−メチルナフタレンのメチル化による2,6−ジメチルナフタレン製造に関するものがある。2,6−ジメチルナフタレン(以下、ジメチルナフタレンをDMNともいう。)は、ポリエステル等の高分子材料、染料中間体等として有用な2,6−ナフタレンジカルボン酸の合成における中間体である。2,6−DMNを製造するにあたって、ナフタレン又は2−メチルナフタレンを原料としてゼオライト触媒(ZSM−5)を用いたメチル化により製造する方法(例えば、特許文献1、特許文献2など)がよく知られている。しかし、上記方法では、反応転化率、2,6−DMN選択率があまり高くないので、より高い方法が望まれている。
【0003】
非特許文献1は、各種ゼオライト触媒を用い、気相でのメチルナフタレンのメタノールによるアルキル化を報告している。これによれば、ゼオライトの細孔内で形状選択的にメチル化反応を行うことにより、2,6−DMNの選択性は向上し、全DMNに対する2,6−DMNのモル比(以下、2,6−選択率という)及び2,6−DMNと2,7−DMNのモル比(以下、2,6−/2,7−比と言う)で評価すると、気相反応では、最大細孔径の小さいゼオライト触媒(ZSM−11)が最も2,6−ジメチルナフタレン選択性が高いことが示されている。
【0004】
また、非特許文献2にはMFI構造のゼオライト(最大細孔径5.6A)の骨格に金属元素を導入することにより、2,6−ジメチルナフタレンの選択性がさらに向上することを報告している。Fe−MFIの場合、前記2,6−選択率(質量%)と2,6−/2,7−比が、それぞれ44.2%と1.7である。
【0005】
一方、特許文献5では、表面被覆処理したゼオライト触媒の調製方法を教えている。これによれば、シクロヘキサン中でシリル化剤にテトラエチレンシリケート用いて、ゼオライトのシリル化を行い、空気中538℃で焼成することにより表面被覆処理したゼオライト触媒を調製しているが、ガソリンを芳香族とオレフィンに転換する方法を教えるものであり、表面被覆処理したゼオライト触媒を用いるアルキル化や2,6−DMNの製造法を教えるものではない。
【0006】
ところで、特許文献3では、ナフタレン類とメチル化剤を、多孔質固体酸触媒の存在下に、芳香族溶剤を使用し、溶剤の亜臨界又は超臨界状態で反応する方法を教えている。この方法では触媒寿命を延長させるため芳香族溶剤を使用し、触媒としてHZSM−5を使用し、メチル化剤としてメタノールを使用しているが、2,6−DMNの収率は約7%前後であることが読み取れる。また、特許文献4では、ナフタレン類をポリメチルベンゼン又はメタノール等のアルキル化剤を使用し、ゼオライト触媒の存在下に、200〜450℃で、WHSVが0.01〜8/hr、3〜60気圧で反応する方法を開示している。その例2によれば、ZSM−12を使用し、350℃、40バール、液相、ナフタレン1部に対し、トリメチルベンゼン10部、メタノール3部、WHSV0.86/hrで反応している。この方法では、前記2,6−選択率は29.4%と報告されている。しかし、上記特許文献の方法は、メチル化剤に対し数倍もの多量の芳香族化合物溶剤を使用する必要があるか、液相反応である必要がある。
【0007】
一般に高温高圧反応容器は、内部の高圧に耐えうる強度を維持するために、容器サイズが大きくなるほど(径の2乗に比例して)、肉厚で強度に優れた材料を使用して設計強度を高くする必要があり、価格や設計の点から実質的に大きさに限界がある。大きさに限界がある反応容器では、原料と生成物以外の直接反応に寄与しない溶剤等は極力少ないことが望まれる。
【0008】
【特許文献1】西独特許公開3334084号公報
【特許文献2】特開昭63−201135号公報
【特許文献3】特開平4−247045号公報
【特許文献4】特開平11−322640号公報
【特許文献5】特開平10−151351公報
【非特許文献1】Applied Catalysis A; General, 146巻,305頁,1996年
【非特許文献2】Stud. Surf. Sci. Catal., 84巻,1821頁,1994年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は目的とするメチル化物の選択率が向上するメチル化方法及び2,6−DMN製造方法を提供することである。また、本発明は溶剤を必要としないことが可能で、反応容積効率にも優れた2,6−DMNの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記方法を確立するため、鋭意研究を行った結果、メチル化剤が亜臨界又は超臨界状態となる条件下で、且つ表面被覆処理した固体酸触媒を用いることにより、2,6−/2,7−比が向上することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の芳香族化合物の超臨界メチル化方法は以下の構成或いは構造を有することを特徴とする。
【0011】
(1)メタノール及びジメチルエーテルから選択される少なくとも1種類以上のメチル化剤を反応させて、芳香族化合物のメチル化を行うに当たり、固体酸触媒の存在下、反応温度が300〜450℃の範囲で、それに対応する反応圧力がメチル化剤の臨界圧力の0.2〜6.5倍の範囲となり、メチル化剤が亜臨界又は超臨界状態となる条件下で反応させる芳香族化合物のメチル化位置の選択的なメチル化方法であって、固体酸触媒はその細孔径の長径が0.58〜0.68nmであり、その外部酸点を被覆処理したものであることを特徴とする芳香族化合物の超臨界メチル化方法。
【0012】
(2)芳香族化合物がナフタレン及び2−メチルナフタレンから選択される少なくとも1種のナフタレン類であり、またメチル化により選択的に2,6−ジメチルナフタレンを生成することを特徴とする上記(1)に記載の芳香族化合物の超臨界メチル化方法。
(3)固体酸触媒がゼオライト系触媒であり、その外部酸点の被覆処理に予め液相反応あるいはCVD法にてシリル化した後に焼成するものである上記(1)又は(2)に記載の芳香族化合物の超臨界メチル化方法。
(4)固体酸触媒を液相反応あるいはCVD法でシリル化するに当たり、シリル化剤がハロゲン化シリル化合物又はアルコキシシリル化合物である上記(3)に記載の芳香族化合物の超臨界メチル化方法。
(5)固体酸触媒がゼオライト系触媒であり、その外部酸点の被覆処理に予め超臨界のメタノール又は炭素数が6以上の芳香族化合物を接触させてなる上記(1)に記載の芳香族化合物の超臨界メチル化方法。
【0013】
(6)反応下、溶媒としての作用を有する成分をメチル化剤に対して1.0質量倍以下使用する上記(2)記載の芳香族化合物の超臨界メチル化方法。
(7)メチル化剤がメタノールであり、反応温度が300〜450℃の範囲で、反応圧力が5〜30MPaの範囲である上記(2)記載の芳香族化合物の超臨界メチル化方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、2,6−DMNを選択性良く製造することができる。反応温度、反応圧力を上記範囲内とし、上記のメチル化剤を使用し、特に、長径が0.58〜0.68nmの範囲である、外部酸点を予め被覆処理したゼオライト触媒と組み合わせることによって、2,6−/2,7−比が向上する。2,6−/2,7−比向上は、外部酸点を予め被覆処理したため、ゼオライト触媒の細孔内部の酸点で原料である2−メチルナフタレンが選択的に反応しているためと考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の芳香族化合物の超臨界メチル化方法について最良の形態を示しながら詳述する。
本発明でメチル化剤として使用する化合物は、メタノール、ジメチルエーテル又はこれらの混合物である。特に、メタノールが好ましい。このメチル化剤についても、新鮮な原料の他、反応後の生成物から分離される回収未反応メチル化剤が使用できる。メチル化剤と原料芳香族化合物類の使用量は特に限定されるものではなく、芳香族化合物1モルに対してメチル化剤0.8モル以上、好ましくは1.0〜6.0モル、より好ましくは2.0〜4.0モルの範囲とすることがよい。
芳香族化合物は、メチル化位置の選択的なメチル化が可能であるものである。即ち、ベンゼン系、ナフタレン系、アントラセン系等であり、これらに選択的なメチル化が行われるものである。特に、2.6−ジメチルナフタレンを選択的に生成するものとして、後述するナフタレン、2−メチルナフタレン類などを挙げることができる。
【0016】
反応温度条件は300〜450℃の範囲である。好ましくは350〜450℃の範囲である。反応圧力条件は、メチル化剤の臨界圧力が0.2〜6.5倍の範囲である。好ましくは0.5〜5倍の範囲である。ここで、メタノールの臨界温度は240℃、臨界圧力は8.0MPa、ジメチルエーテルの臨界温度は127℃、臨界圧力は5.3MPaであることが知られている。したがって、反応圧力としては5〜50MPaの範囲、好ましくは6〜40MPaの範囲である。本発明でいう亜臨界状態とは、メチル化剤の臨界温度以上であり、5〜50MPaの範囲の圧力を満足する条件をいう。
【0017】
本発明の製造方法は、連続的、半連続的、回分的に実施することができる。また、本発明では無溶剤で十分な効果を発現することができる。また必要に応じて溶剤を使用することができるが、溶剤はメチル化剤の1質量倍以下であることが好ましい。反応速度の低下を抑制するためには、溶剤を実質的に使用しないか、使用してもせいぜいで上記範囲以下、好ましくは1/2以下、より好ましくは0.2質量倍以下とすることがよい。また、添加する場合、その臨界温度が反応温度を下回るものであることが好ましい。溶剤は、脂肪族系炭化水素、芳香族系炭化水素等を使用することができる。
【0018】
本発明の方法で使用する固体触媒は、その細孔径の長径が0.58〜0.68nm範囲であるゼオライト系触媒である。ゼオライト原料としては、高温加熱及び熟成をさせることによりゼオライトを生じるゾル状の原料が使用できる。ゾル状の原料からゼオライトを生成する際、通常の条件を使用して、その細孔径を上記範囲に調整しながら生成とする。
【0019】
また、固体触媒は、外部酸点を被覆処理したものである。外部酸点は上記細孔を形成する環状分子鎖中のSi−O(又はSi=O)との結合によって形成される酸点であって細孔の内部ではなく外部に位置する酸点である。
外部酸点の被覆処理方法は、液相反応あるいはCVD法にてシリル化することが好ましい。また、シリル化剤としてはハロゲン化シリル化合物又はアルコキシシリル化合物等があり、特に、ジフェニル系シリル化剤にあっては外部酸点に対して優位に反応する。
【0020】
また別の外部酸点の被覆処理方法としては、超臨界のメタノール又は炭素数が6以上の芳香族化合物でその酸点をコーティングすることが好ましい。この場合も外部酸点が特異に覆われる。このような被覆処理方法を連続法で行う場合はWHSVが1〜20/hrとなる程度であることがよい。また、本発明の超臨界メチル化方法にあっては、同一装置の系内で、予め超臨界のメタノール又は炭素数が6以上の芳香族化合物で固体触媒の外部酸点を被覆処理した後に、反応を同一装置内で実施しても良い。
炭素数が6以上の芳香族化合物としては、例えば、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、等が挙げられる。
【0021】
次に、本発明の2,6−ジメチルナフタレン(2,6−DMN)の製造方法について説明する。
2,6−DMNの製造方法は、反応原料の芳香族化合物として、ナフタレン又は2−メチルナフタレンを使用する他は、上記メチル化方法と同じメチル化剤、反応条件、触媒を使用することができる。好ましい反応温度と反応圧力は300〜400℃、5〜30MPaの範囲である。なお、ナフタレンのみを反応原料の芳香族化合物として使用する場合は、メチル化剤の使用量はその2倍モル以上、好ましくは2.5〜4倍モルであるが、2−メチルナフタレンを使用する場合、ナフタレンと2−メチルナフタレンの混合物を使用する場合は、それより少なくてもよい。
【実施例】
【0022】
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0023】
<調製例1>
調製例1には、一般的なSAPO−11の調製法を示す。SAPO−11は、Al(Sasol North America社製 Catapal Alumina)1モルに対して、HPO(関東化学(株)製):0.95モル、SiO(日産化学(株)製 スノーテックス40):0.1モル、HO(関東化学(株)製 蒸留水):96.0モル、(NH(関東化学(株)製):1.3モル(組成比 Al:0.95HPO:0.1SiO:96.0HO:1.3(NH)をビーカーにそれぞれ量り取り、このSAPO−11のゲル組成物50gを、室温下、2時間かき混ぜた。その後オートクレーブにて200℃、24時間加熱し結晶化させた。室温まで放冷した後、水中懸濁液にて4回洗浄し、100℃にて24時間乾燥した。その後マッフル炉にて600℃、3時間焼成するとSAPO−11が得られた。なお、SAPO−11の構造解析は、公知のSAPO−11のXRDスペクトルと比較することにより確認した。
【0024】
<調製例2>
シリル化にて外部酸点を被覆処理したSAPO−11は以下のように製造した。調製例1で合成したSAPO−11を三口フラスコに3g量り取り、窒素風船にて置換した。続いて、トルエン10mL、PhSiCl(信越シリコーン社製)1mL加え、室温下、3時間かき混ぜた。その後SAPO−11を濾別し、メタノールでよく洗浄した後、100℃にて24時間乾燥した。SAPO−11にシリル化されているかの有無は、Tg−DTA(SHIMADU DTG−60H)を測定し、シリル化剤のアルキル基の燃焼による450〜600℃のTg曲線の減少率により確認した。その後、さらに、マッフル炉にて600℃、3時間焼成すると外部酸点が被覆処理されたSAPO−11が得られた。
【0025】
<調製例3〜7>
調製例1と同様のSAPO−11を用いシリル化を行った。用いるシリル化剤と反応時間を変えた以外は、調製例2と同様な操作を行った。変化させたシリル化剤と反応時間、それぞれの条件でのTg曲線の減少率の結果を表1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
表1から、Tg−DTA測定において、450〜600℃にシリル化剤のアルキル基に起因すると考えられる質量減少が観測されることからSAPO−11の外部酸点がシリル化していると考えられる。反応時間の違いにより、質量減少率が増えていることから、反応時間の増加により、SAPO−11の酸点が十分にシリル化できていることが見てとれる。
【0028】
<調製例8>
超臨界のメタノールで外部酸点を被覆処理したSAPO−11は以下のように製造した。容量12mlのステンレス製反応管に、調整例1のSAPO−11を3g仕込み、コーティング(被覆処理)を行った。コーティングは400℃に保った浴槽中、WHSV6.5g/(h・g)、圧力8.2MPaで、連続的にメタノールをステンレス製反応管に供給しながら反応を行った。供給後、一時間でステンレス製反応管を400℃に保った浴槽中から出し、室温まで放冷した。SAPO−11がコーティングされているかの有無は、Tg−DTA(SHIMADU DTG−60H)を測定し、コークの燃焼による450〜650℃のTg曲線の減少率により確認した。
【0029】
<調製例9〜10>
調製例1と同様のSAPO−11を用い、コーティングを行った。用いるコーティング化剤を変えた以外は、調製例8と同様な操作を行った。変化させたコーティング化剤の反応時間、それぞれの条件でのTg曲線の減少率の結果を表2に示す。
【0030】
【表2】

【0031】
表2から、Tg−DTA測定において、450〜600℃にコーティングに起因すると考えられる質量減少が観測されることからSAPO−11の外部酸点が被覆されていると考えられる。
【0032】
(実施例1)
2,6−DMNの製造は流通系反応において以下のように製造した。容量12mlのステンレス製反応管に、固体酸触媒2.5ccを仕込み、反応を行った。固体酸触媒としては、それぞれ調製例1〜調製例10で合成したSAPO−11を使用した。反応は400℃に保った浴槽中、LHSV3.6mL/(h・mL)、反応圧力8.2MPaで、連続的に2−メチルナフタレンとメタノールの混合液(2−メチルナフタレン/メタノール(モル比)=1/5)をステンレス製反応管に供給しながら反応を行った。反応混合物の各成分組成をガスクロマトグラフィーにより分析した。2,6−/2,7−比の評価を行った結果、表3に実施例1〜実施例10で示すように、活性点である酸点が被覆処理されたことにより、2−メチルナフタレンの転化率は低下するものの、2,6−/2,7−比が向上することがわかった。
【0033】
【表3】

【0034】
表3からTg−DTAの質量減少率と2,6−/2,7−比は、ほぼ比例関係にあることが見て取れる。すなわち、実施例2と比べ、質量減少率が大きいものは、外部酸点のコーティングにより、2,6−/2,7−比が向上することが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の芳香族化合物のメチル化方法によれば、芳香族化合物の選択的なメチル化ができ、具体的には、溶剤を必要としないことが可能で、反応容積効率にも優れた2,6−ジメチルナフタレンの製造ができる産業上の利用可能性の高い方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタノール及びジメチルエーテルから選択される少なくとも1種類以上のメチル化剤を反応させて、芳香族化合物のメチル化を行うに当たり、固体酸触媒の存在下、反応温度が300〜450℃の範囲で、それに対応する反応圧力がメチル化剤の臨界圧力の0.2〜6.5倍の範囲となり、メチル化剤が亜臨界又は超臨界状態となる条件下で反応させる芳香族化合物のメチル化位置の選択的なメチル化方法であって、固体酸触媒はその細孔径の長径が0.58〜0.68nmであり、その外部酸点を被覆処理したものであることを特徴とする芳香族化合物の超臨界メチル化方法。
【請求項2】
芳香族化合物がナフタレン及び2−メチルナフタレンから選択される少なくとも1種のナフタレン類であり、またメチル化により選択的に2,6−ジメチルナフタレンを生成することを特徴とする請求項2記載の芳香族化合物の超臨界メチル化方法。
【請求項3】
固体酸触媒がゼオライト系触媒であり、その外部酸点の被覆処理に予め液相反応あるいはCVD法にてシリル化した後に焼成するものである請求項1又は2に記載の芳香族化合物の超臨界メチル化方法。
【請求項4】
固体酸触媒を液相反応あるいはCVD法でシリル化するに当たり、シリル化剤がハロゲン化シリル化合物又はアルコキシシリル化合物である請求項3に記載の芳香族化合物の超臨界メチル化方法。
【請求項5】
固体酸触媒がゼオライト系触媒であり、その外部酸点の被覆処理に予め超臨界のメタノール又は炭素数が6以上の芳香族化合物を接触させてなる請求項1に記載の芳香族化合物の超臨界メチル化方法。
【請求項6】
反応下、溶媒としての作用を有する成分をメチル化剤に対して1.0質量倍以下使用する請求項2に記載の芳香族化合物の超臨界メチル化方法。
【請求項7】
メチル化剤がメタノールであり、反応温度が300〜450℃の範囲で、反応圧力が5〜30MPaの範囲である請求項2に記載の芳香族化合物の超臨界メチル化方法。

【公開番号】特開2006−257033(P2006−257033A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−77874(P2005−77874)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構  超臨界流体利用環境負荷低減技術研究開発委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】