説明

苗植機

【課題】苗植機において、苗供給の作業性及び作業効率を向上することを課題とする。
【解決手段】走行車体2の後部に苗植付部4を設け、走行車体2の側部に機体前端側から苗箱C又は苗を載せた苗掬い板を供給する予備苗載部72を設けた苗植機において、該予備苗載部72を左右外枠91と該左右外枠91を連結する連結材92でフレームを構成し、該左右外枠91に苗箱C又は苗を載せた苗掬い板の左右側部の底面を受ける回動ローラ95を各々設け、左右外枠91間には広い空間部Sを設けた苗植機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体前部に予備苗載台を設けた苗植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、機体の前部左右両側に前後方向に長い予備苗載台を配置し、該予備苗載台に多数の回転ローラを設けたものがある。この予備苗載台は、機体の前部を畦際に近づけて機体を停止させて使用し、畦に居る作業者が畦から予備苗を連続的に予備苗載台前部から補給して、予備苗を予備苗載台上で後部まで移動させて、機体に搭乗している作業者が予備苗載台後部で予備苗を取り、苗植機の苗載台に供給するものであり、苗の供給作業が容易に行なえるようにしたものである。
【特許文献1】特開2005−176680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献に開示された左右予備苗載台は、機体前後方向に平行に配置されており、左右予備苗載台の前端部間は遠く離れている為に、畦に居る作業者が左右予備苗載台の前端部に苗箱を載せるとき、左右予備苗載台の前端部間を移動して作業をする必要があり、作業性及び作業効率が悪いと謂う課題があった。
【0004】
また、予備苗載台には左右フレーム間に亘る長い回転ローラを設けて苗箱を移動させる構成にしている為に、予備苗載台には苗箱を載せた時に泥や苗の根等が下方に落下する空間が少なく、回転ローラに泥や苗の根が絡みつき、回転ローラの回転が悪くなって、苗箱がスムーズに移動できなくなるような事態が発生し、作業性に課題があった。
【0005】
更に、左右予備苗載台の機体前端部からの突出量は一定であり、圃場と畦(道路)との距離が近い場合には、苗供給作業が行なえるが、例えば、圃場と畦(道路)との間に水路等があって圃場と畦(道路)との距離が遠い場合には、左右予備苗載台前端部が畦(道路)まで届かず苗供給作業が行なえないと謂うような課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、走行車体2の後部に苗植付部4を設け、走行車体2の側部に機体前端側から苗箱C又は苗を載せた苗掬い板を供給する予備苗載部72を設けた苗植機において、該予備苗載部72を左右外枠91と該左右外枠91を連結する連結材92でフレームを構成し、該左右外枠91に苗箱C又は苗を載せた苗掬い板の左右側部の底面を受ける回動ローラ95を各々設け、左右外枠91間には広い空間部Sを設けた苗植機としたものである。
【0007】
従って、機体前端側から苗植機へ苗を供給する作業において、予備苗載部72の前部に置いた苗箱C又は苗を載せた苗掬い板は、その左右側部の底面が回動ローラ95に支持され、回動ローラ95が自由回転することにより予備苗載部72の後部になめらかに移動する。その時、苗箱C又は苗を載せた苗掬い板はその左右側部の底面が回動ローラ95に支持され、左右外枠91間には広い空間部Sを設けているので、苗箱C又は苗を載せた苗掬い板に付着している泥や苗の根は、該広い空間部から落下し、左右外枠91に設けた苗箱C又は苗を載せた苗掬い板の左右側部の底面を受ける回動ローラ95に付着したり絡み付くような事態が発生することを防止でき、苗箱C又は苗を載せた苗掬い板を回動ローラ95の回転により適正に予備苗載部72の後部に移動することができる。よって、適切な苗供給作業を行なうことができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、予備苗載部72を走行車体2の左右両側部に各々設け、機体前端よりも前方に突出させて配置すると共に、該左右予備苗載部72を平面視で前部の左右間隔L1が後部の左右間隔L2よりも小さいハの字状に配置した請求項1記載の苗植機としたものである。
【0009】
従って、請求項1記載の発明の作用に加えて、機体前端側に居る作業者は左右予備苗載部72前端の間に立って、左右予備苗載部72,72の両方の前端部に作業性良く楽に苗箱C又は苗を載せた苗掬い板を載置でき、作業効率が良い。
【0010】
請求項3記載の発明は、予備苗載部72を機体前端よりも前方に突出させて配置し、予備苗載部72の機体前端からの突出長さを変更自在に設けた請求項1または請求項2記載の苗植機としたものである。
【0011】
従って、請求項1または請求項2記載の発明の作用に加えて、圃場と畦(道路)との距離に応じて、予備苗載部72の機体前端からの突出長さを変更することができ、色々条件の異なる圃場でも作業性良く適切な苗供給作業を行なうことができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、走行車体2の後部に施肥装置5の肥料ホッパ60を配置し、該肥料ホッパ60の上端面と予備苗載部72の回動ローラ95の上端とを略々同じ高さにすると共に、予備苗載部72の後端を肥料ホッパ60の左右外側部近くに配置した請求項1または請求項2または請求項3記載の苗植機としたものである。
【0013】
従って、請求項1または請求項2または請求項3記載の発明の作用に加えて、作業者は機体上の肥料ホッパ60の前側に立って予備苗載部72後部にある苗箱C又は苗を載せた苗掬い板を取上げ、肥料ホッパ60が苗供給の邪魔にならず、容易な姿勢で楽に作業性良く苗植付部4に苗を供給できる。
【0014】
請求項5記載の発明は、予備苗載部72の機体内側に苗箱Cを収納する部位を前下がり傾斜状態にした苗箱収納部73を設け、該苗箱収納部73を固定収納部73aと可動収納部73bで構成し、可動収納部73bを固定収納部73a側に収納した収納状態と機体前端よりも前方に突出した機体前後方向に長い作業状態とに変更自在に設け、可動収納部73bは作業状態で固定収納部73aに対して収納方向に移動自在に構成した請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の苗植機としたものである。
【0015】
従って、請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の発明の作用に加えて、可動収納部73bを作業状態にすると、苗箱収納部73は、前端部が機体前端よりも前下がり方向に大きく張り出して突出した位置になっているので、機体上に居る作業者が苗植付部4に苗を供給した後の空になった苗箱Cを苗箱収納部73の後端部に入れると、苗箱Cは苗箱収納部73内を滑って前端まで移動する。すると、畦(道路)に居る作業者がそれを取って回収する作業が容易に行なえる。更に、可動収納部73bは、固定収納部73aに対して収納方向には自由に移動できる構成としているので、例えば、苗補給の為に畦に機体前部を着ける時等に、苗箱収納部73の機体前端よりも大きく突出している可動収納部73bが畦等の障害物に接当しても、可動収納部73bは収納方向に移動するから破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、畦(道路)から苗植機への苗の供給作業が容易に行なえ、作業効率が良く、簡潔な構成で課題を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい一つの実施形態について説明する。
図1及び図2は本発明を用いた一実施例である施肥装置付き乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0018】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に各々左右フロントアクスルケース13a,13aを設けて、該左右フロントアクスルケース13a,13aに各々左右前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸10a,10aに左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸Aが設けられている。
【0019】
左右後輪ギヤケース18,18は連結フレーム19aで一体に連結されて、後輪支持部材としての後輪伝動ケース19が構成されている。
後輪伝動ケース19は、その左右中央部が前記後輪ローリング軸Aに回動自在に支持され、左右後輪ギヤケース18,18から各々外向きに突出する後輪車軸11a,11aに後輪11,11が取り付けられている。尚、左右後輪ギヤケース18,18には、ミッションケース12の後壁から突出して設けた左右後輪駆動軸に連結した左右後輪伝動軸18b,18bにて動力が伝達される構成となっている。
【0020】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが左右後輪ギヤケース18,18に伝達されて左右後輪11,11を駆動する。また、ミッションケース12の右側側面より取出された外部取出動力は、植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動される。尚、エンジン20のマフラー20aはエンジン20の左側で左リンクベースフレーム42の近くの外側に配置されており、エンジン20を冷却する冷却ファンはエンジン20の右側面にあって冷却風は機体右側から左側に排風される構成となっている。
【0021】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35の左右側には貫通孔が多数設けられた格子状部35a・35aが形成されており、座席31に着座して機体を操縦する操縦者が左右前輪10,10を見通せることができて操縦が容易な構成となっていると共に、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35の後部は、リヤステップを兼ねる後輪フェンダ36となっている。
【0022】
メインフレーム15の上方には左右上部フレーム15a,15aが設けられており、フロアステップ35は該左右上部フレーム15a,15aに支持されている。そして、左右上部フレーム15a,15aは、その前端部がミッションケース12の前部に連結支持されて機体左右方向に設けた前部フレーム15bに連結されており、その中途部が左右支持フレーム15c,15cを介して各々左右フロントアクスルケース13a,13aに連結されている。また、左右上部フレーム15a,15aの後端部は、後述のメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に連結している。従って、ミッションケース12,メインフレーム15,左右上部フレーム15a・15a,前部フレーム15b,左右支持フレーム15c・15c,左右フロントアクスルケース13a・13a,リンクベースフレーム42により枠状の機体フレームが構成されている。
【0023】
また、走行車体2の左右両側には、予備苗載台38,38が設けられている。
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、左右一対の上リンク40,40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、先端側には縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に基部を回動自在に枢支した昇降油圧シリンダ46の先端を下リンク41,41に一体形成したスイングアーム41aの先端部に連結して設けており、該昇降油圧シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、昇降リンク装置3が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0024】
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a…に供給すると苗送りベルト51b…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ53,53等を備えている。苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52…により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0025】
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド62a…まで導き、施肥ガイド62a…の前側に設けた作溝体62b…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。電動モータで駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62…に吹き込まれ、施肥ホース62…内の肥料を風圧で強制的に各フロート55,56,56に設けた各施肥ガイド62a…に搬送するようになっている。
【0026】
苗植付部4には圃場の乱れた泥土面を整地して均す整地ロータ27(左右サイドフロート56,56の各々の前方に配置された左右整地ロータ27a,27a,センターフロート55の前方に配置された中央整地ロータ27b)が取り付けられている。この整地ロータ27は、前記右後輪ギヤケース18に整地ロータ駆動用ケースを設けて、右後輪ギヤケース18から駆動力が伝動軸27cにて伝動される構成となっている。
【0027】
63,63は上部フレーム15aに上端基部が溶接固定された鉄製の左右補助ステップであって、作業者が機体に乗り降りする時に足を載せるステップである。
ここで、図に基づいて、機体の左右両側に作業者の作業通路B,Bを形成するフロアステップ35の左右両側に配置されている左右予備苗載台38,38の構成を説明する。
【0028】
左右予備苗載台38,38は、前部フレーム15bの左右側部に各々左右予備苗載台支持フレーム70,70の基部をボルト71…にて固定し、左右予備苗載台支持フレーム70,70の上端部に各々左右予備苗載部72,72と左右苗箱収納部73,73を回動及び固定自在に設けている。尚、前述の機体フレームを構成する左右上部フレーム15a,15aと左右フロントアクスルケース13a,13aに連結した左右支持フレーム15c,15cから機体左右外側方向に向けて左右支持体74,74を設けて、左右予備苗載台支持フレーム70,70の上部と左右支持体74,74の先端部とを各々連結体75,75にて連結して、左右予備苗載台支持フレーム70,70を補強している。
【0029】
そして、左右予備苗載部72,72は、平面視で前部の左右間隔L1が後部の左右間隔L2よりも小さいハの字状に配置構成し(平面視で左右予備苗載部72,72をハの字状に配置構成して左右間隔L1を小さくすることにより、機体の旋回半径内に機体前端に位置する左右予備苗載部72,72前端外側を収めることができ、畦ぎわで旋回するときに畦や他の障害物等に左右予備苗載部72,72前端部が接当して破損することが防止できる)、左右苗箱収納部73,73も、平面視で前部の左右間隔L3が後部の左右間隔L4よりも小さいハの字状に配置構成している。また、左右予備苗載部72,72は、側面視で水平に設け、施肥装置5の肥料ホッパ60上端と略々同じ高さに設けている。
【0030】
左右予備苗載部72,72及び左右苗箱収納部73,73の構成は左右対称で同じであるから、以下に右予備苗載台38の構成を詳細に説明する(左予備苗載台38は、右予備苗載台38と左右対称で同じ構成である)。
【0031】
予備苗載台支持フレーム70の上部に間隔を空けて上板76と下板77を溶接固定し、該上板76と下板77の平面視で同じ位置に各々貫通穴76a,77aを設け、該貫通穴76a,77aに回動フレーム78に固定して設けた回動ピン79を上方から挿入して、回動フレーム78が予備苗載台支持フレーム70に対して、自由に回動できる構成にしている。
【0032】
そして、回動フレーム78の回動ピン79の周りに円板80を溶接固定し、該円板80の同一円周上に貫通孔81aと貫通孔81bを回動ピン79の周りに180度空けた位置に設け、更に、貫通孔81aの外側方に貫通孔81cを設けている。一方、上板76と下板77との間に溶接固定した平面視コ字状の受け具82に操作レバー83の基部を上下回動操作自在に枢支ピン84にて軸支して設け、該操作レバー83の中途部に回動停止ピン85を係止ピン86にて連係させて、操作レバー83を上下操作すると回動停止ピン85が上板76と下板77に設けた貫通孔76b,77bに案内されて上下動する構成としている。そして、該回動停止ピン85が上動した位置では、その上部が前記回動フレーム78の円板80に設けた貫通孔81a,81b,81cに係合して、回動フレーム78の回動を固定する。尚、下板77と操作レバー83の間には圧縮バネ87が回動停止ピン85の外周に嵌まった状態で設けられており、操作レバー83及び回動停止ピン85は上動した位置に付勢された状態となっている。即ち、回動停止ピン85が上動して回動フレーム78の円板80に設けた貫通孔81a,81b,81cに係合して、回動フレーム78の回動を固定した状態で操作レバー83及び回動停止ピン85は圧縮バネ87によって保持されている。従って、作業者は操作レバー83を下動させて回動停止ピン85を貫通孔81a,81b,81cから外して回動フレーム78を回動させ、作業者が操作レバー83を離すと操作レバー83及び回動停止ピン85は圧縮バネ87によって上動しようとし、回動フレーム78を回動させて貫通孔81a,81b,81cが回動停止ピン85の位置にくると、自動的に回動停止ピン85は貫通孔81a,81b,81cに係合して回動フレーム78の回動は固定される。
【0033】
予備苗載部72は、中央の固定苗載部88とその前後に設けた第一回動苗載部89・第ニ回動苗載部90とによって構成されている。中央の固定苗載部88は、アルミ製凹状型材よりなる左右外枠91,91と該左右外枠91,91を連結する鉄製の連結材92…(左右外枠91,91と連結材92…は、ボルト93…で固定されている)でフレームを構成し、左右外枠91,91間の左右中央部には苗箱C(若しくは、苗箱Cからマット状苗を掬い取った苗掬い板)の底面を受けて予備苗載部72の長手方向に案内する鉄製の案内受け材94を前記連結材92…に溶接固定して設けている。案内受け材94の前後端は下方に折り曲げて構成しており、苗箱Cが移動する際に苗箱C前後壁面が案内受け材94の前後端に接当しないようにして、スムーズに苗箱Cが移動できるようにしている。また、該案内受け材94の前後端部には、樹脂製のキャップ94aを被せている。そして、図8に示すように、該案内受け材94の上面は左右に配置される回動ローラ95の上端部よりも低い位置になるように配置されており、予備苗載部72上を苗箱Cが左右の回動ローラ95…にて移動する際に、苗箱Cの左右中央部の下方への撓み部を受けると共に、苗箱Cが予備苗載部72に適正に載っていない場合に苗箱Cが予備苗載部72から下方へ落下することを防止する。
【0034】
左右外枠91,91の凹状部には、複数の回動ローラ95…を枢支軸96…にて回転自在に装着し、該複数の回動ローラ95…が苗箱C(若しくは、苗箱Cからマット状苗を掬い取った苗掬い板)の底面を受けて回転し、予備苗載部72の長手方向に苗箱Cがスムーズに移動できるようにしている。そして、各左右外枠91,91の前後端部に上方に突出する固定側アーム97…をボルト98…にて固定して設けている。第一回動苗載部89側の各固定側アーム97…の上端部には貫通孔97a…が設けられ、第ニ回動苗載部90側の各固定側アーム97…の上端部には回動枢支ピン97b…が溶接固定して設けられている。
【0035】
また、左右外枠91,91と連結材92…と案内受け材94の間は、広い空間部Sとなっており、固定苗載部88上を移動する苗箱C(若しくは、苗箱Cからマット状苗を掬い取った苗掬い板)に付着した泥土や苗の根は該広い空間部Sから下方に落下し、回動ローラ95に付着したり絡み付いたりすることがなく、回動ローラ95は適正な自由回転を維持できて、苗箱C(若しくは、苗箱Cからマット状苗を掬い取った苗掬い板)をなめらかに移動させることができる。
【0036】
該中央の固定苗載部88の連結材92…に、前記回動フレーム78の上端部が溶接固定されている。
第一回動苗載部89は、固定苗載部88と同様に、アルミ製凹状型材よりなる左右外枠91,91と該左右外枠91,91を連結する鉄製の連結材92…(左右外枠91,91と連結材92…は、ボルト93…で固定されている)でフレームを構成し、左右外枠91,91間の左右中央部には苗箱C(若しくは、苗箱Cからマット状苗を掬い取った苗掬い板)の底面を受けて予備苗載部72の長手方向に案内する鉄製の案内受け材94を前記連結材92…に溶接固定して設けている。案内受け材94の前後端は下方に折り曲げて構成しており、苗箱Cが移動する際に苗箱C前後壁面が案内受け材94の前後端に接当しないようにして、スムーズに苗箱Cが移動できるようにしている。尚、該案内受け材94の前後端部には、樹脂製のキャップ94aを被せている。
【0037】
左右外枠91,91の凹状部には、複数の回動ローラ95…を枢支軸96…にて回転自在に装着し、該複数の回動ローラ95…が苗箱C(若しくは、苗箱Cからマット状苗を掬い取った苗掬い板)の底面を受けて回転し、予備苗載部72の長手方向に苗箱Cがスムーズに移動できるようにしている。そして、各左右外枠91,91の固定苗載部88側の端部に上方に突出する第一回動側アーム99…をボルト100…にて固定して設けている。各第一回動側アーム99…の上端部には回動枢支ピン99a…が溶接固定して設けられており、該回動枢支ピン99a…を前記固定苗載部88の固定側アーム97…の貫通孔97a…に挿入して外側部を割りピン99b…にて抜け止めして、第一回動苗載部89が固定苗載部88と同一平面上に位置する展開作業状態と固定苗載部88の上方に回動して折り畳んだ収納状態とに変更できる構成となっている。
【0038】
また、左右外枠91,91と連結材92…と案内受け材94の間は、広い空間部Sとなっており、第一回動苗載部89上を移動する苗箱C(若しくは、苗箱Cからマット状苗を掬い取った苗掬い板)に付着した泥土や苗の根は該広い空間部Sから下方に落下し、回動ローラ95に付着したり絡み付いたりすることがなく、回動ローラ95は適正な自由回転を維持できて、苗箱C(若しくは、苗箱Cからマット状苗を掬い取った苗掬い板)をなめらかに移動させることができる。
【0039】
第ニ回動苗載部90は、固定苗載部88と同様に、アルミ製凹状型材よりなる左右外枠91,91と該左右外枠91,91を連結する鉄製の連結材92…(左右外枠91,91と連結材92…は、ボルト93…で固定されている)でフレームを構成し、左右外枠91,91間の左右中央部には苗箱C(若しくは、苗箱Cからマット状苗を掬い取った苗掬い板)の底面を受けて予備苗載部72の長手方向に案内する鉄製の案内受け材94を前記連結材92…に溶接固定して設けている。案内受け材94の前後端は下方に折り曲げて構成しており、苗箱Cが移動する際に苗箱C前後壁面が案内受け材94の前後端に接当しないようにして、スムーズに苗箱Cが移動できるようにしている。尚、該案内受け材94の前後端部には、樹脂製のキャップ94aを被せている。
【0040】
左右外枠91,91の凹状部には、複数の回動ローラ95…を枢支軸96…にて回転自在に装着し、該複数の回動ローラ95…が苗箱C(若しくは、苗箱Cからマット状苗を掬い取った苗掬い板)の底面を受けて回転し、予備苗載部72の長手方向に苗箱Cがスムーズに移動できるようにしている。そして、各左右外枠91,91の固定苗載部88側の端部に上方に突出する第ニ回動側アーム101…をボルト102…にて固定して設けている。各第ニ回動側アーム101…の上端部には貫通孔101a…が設けられており、該貫通孔101a…に前記固定苗載部88の固定側アーム97…の回動枢支ピン97b…を挿入して外側部を割りピン97c…にて抜け止めして、第ニ回動苗載部90が固定苗載部88と同一平面上に位置する展開作業状態と固定苗載部88の上方に回動して折り畳んだ収納状態とに変更できる構成となっている。
【0041】
また、左右外枠91,91と連結材92…と案内受け材94の間は、広い空間部Sとなっており、第ニ回動苗載部90上を移動する苗箱C(若しくは、苗箱Cからマット状苗を掬い取った苗掬い板)に付着した泥土や苗の根は該広い空間部Sから下方に落下し、回動ローラ95に付着したり絡み付いたりすることがなく、回動ローラ95は適正な自由回転を維持できて、苗箱C(若しくは、苗箱Cからマット状苗を掬い取った苗掬い板)をなめらかに移動させることができる。
【0042】
一方、予備苗載部72は、予備苗載台支持フレーム70に対して回動ピン79の周りに回動固定自在の回動フレーム78に固定されているので、操作レバー83を下方に向けて操作して回動停止ピン85を下動させて回動フレーム78の円板80に設けた貫通孔81a,81b,81cとの係合を外すと、回動ピン79の周りに自由に回動させることができる。そして、平面視で予備苗載部72の長手方向の中央から長手方向にずれた位置に回動ピン79が配置された構成となっており、即ち、回動ピン79の回動中心から一側端までの距離L5が回動ピン79の回動中心から他側端までの距離L6よりも小さくなるように構成している。
【0043】
従って、予備苗載部72を図2の状態にして、回動停止ピン85を回動フレーム78の円板80に設けた貫通孔81aに係合させて、予備苗載部72の回動を固定させると、左右予備苗載部72,72は、平面視で前部の左右間隔L1が後部の左右間隔L2よりも小さいハの字状に配置され、左右苗箱収納部73,73も、平面視で前部の左右間隔L3が後部の左右間隔L4よりも小さいハの字状に配置された状態となり、機体前端からの突出量L7が小さい状態となる。また、該突出量L7が小さい状態から左右予備苗載部72,72を各々180度回転させて図9の状態にして、回動停止ピン85を回動フレーム78の円板80に設けた貫通孔81bに係合させて、予備苗載部72の回動を固定させると、左右予備苗載部72,72は、同様に平面視で前部の左右間隔L1が後部の左右間隔L2よりも小さいハの字状に配置され、機体前端からの突出量L8が大きい状態となる。尚、この時、左右苗箱収納部73,73は、左右予備苗載部72,72から取り外して、左右予備苗載部72,72の内側に前下がり傾斜状態になるように各々装着し直す。
【0044】
尚、予備苗載部72の前後端部、即ち、第一回動苗載部89の前端部と第ニ回動苗載部90の後端部には、予備苗載部72に載置した苗箱Cが落下しないように端部苗箱受け杆103・103が設けられている。
【0045】
苗箱収納部73は、上端部が前記固定苗載部88の内側の外枠91に固定側アーム97を取り付けるボルト98にて共締めして固定されている前方視で凹状の鉄製の前後支持フレーム110,110と該前後支持フレーム110,110に溶接固定した5つの平行に設けた鉄製パイプ材111a,111b,111c,111d,111eよりなる固定収納部73aと該固定収納部73aの4つのパイプ材111a,111b,111c,111d内に挿入されて前下がり方向に移動自在に設けた鉄製棒材112a,112b,112c,112dよりなる可動収納部73bとによって構成されている。上方に位置する棒材112aは、パイプ材111a内を前下がり方向に移動する直線状部112a−1と該直線状部前端から下方に向けて折り曲げて延ばした垂下部112a−2とから構成されている。下方の中間部にある棒材112b,112dは、各々パイプ材111b,111d内を前下がり方向に移動する直線状部112b−1,112d−1と該直線状部前端から互いに対向する方向に向けて折り曲げて延ばした対向延設部112b−2,112d−2とから構成されている。
【0046】
113は位置調節固定用部材であって、上部に鉄製パイプ材114を設け、該鉄製パイプ材114下部に移動杆115を溶接固定している。そして、該移動杆115は、鉄製パイプ材114から下方に延びて、後方に向けて折れ曲がり、パイプ材111a〜111eと平行に後方に延びる直線状部115aが設けられており、該直線状部115aは最下方位置にあるパイプ材111cの先端下部に溶接固定されたガイド板116の貫通孔116aを貫通して設けられている。また、直線状部115aには、収納状態係止用貫通孔115a−1と突出状態係止用貫通孔115a−2が設けられている。
【0047】
そして、位置調節固定用部材113の鉄製パイプ材114内に両側方から前記棒材112b,112dの対向延設部112b−2,112d−2を挿入し、移動杆115の鉄製パイプ材114から下方に延びた部位に棒材112c先端部を溶接固定している。一方、棒材112aの下方に向けて折り曲げて延ばした垂下部112a−2は、その下部が棒材112bの対向延設部112b−2の内側に接当して下方に落下しないように止められた構成となっている。
【0048】
従って、可動収納部73bは、固定収納部73aから前下がり方向に張り出して突出した状態で位置調節固定用部材113の移動杆115に設けた突出状態固定用貫通孔115a−2に係止用のスナップピン117を嵌めると、移動杆115はガイド板116にて下方への移動が止められるので、苗箱収納部73は機体の前端から大きく突出した状態となる。この時、苗箱収納部73の内方空間は、苗箱Cを2つ重ねた状態で収納できる幅に設定しており、前後方向の長さは苗箱Cを2つ前後方向に収納できる構成としている。従って、片側の苗箱収納部73に苗箱Cを2つ重ねた状態で4つの苗箱Cを収納できる。
【0049】
また、苗箱収納部73は、その後端部がハンドル34の側方且つフロアステップ35側方に位置し、前端部が機体前端よりも前下がり方向に大きく張り出して突出した位置になっているので、機体のフロアステップ35上に居る作業者が苗載台51に苗を供給した後の空になった苗箱Cを苗箱収納部73の後端部に入れると、苗箱Cは苗箱収納部73内を滑って前端まで移動する。すると、畦に居る作業者がそれを取って回収する作業が容易に行なえる苗箱戻し装置としての機能がある。
【0050】
更に、可動収納部73bは、固定収納部73aに対して収納方向には自由に移動できる構成としているので、例えば、苗補給の為に畦に機体前部を着ける時等に、苗箱収納部73の機体前端よりも大きく突出している可動収納部73bが畦等の障害物に接当しても、可動収納部73bは収納方向に移動するから破損を防止することができる。
【0051】
次に、前記左右予備苗載台38,38が装着された施肥装置付き乗用型田植機にて行なう田植作業の説明をする。
先ず、圃場内に機体を入れて、機体前端部を畦(または、道路)に着けた状態にする。この時、機体前端部を畦に接近して停止できる圃場では、左右予備苗載台38,38は、図1及び図2に示すように、操作レバー83を操作して回動停止ピン85を回動フレーム78の円板80に設けた貫通孔81aに係合させて、左右予備苗載部72,72が平面視で前部の左右間隔L1が後部の左右間隔L2よりも小さいハの字状に配置され、左右苗箱収納部73,73も、平面視で前部の左右間隔L3が後部の左右間隔L4よりも小さいハの字状に配置された状態とし、機体前端からの突出量L7が小さい状態とする。尚、左右予備苗載部72,72は、各々第一回動苗載部89及び第ニ回動苗載部90が固定苗載部88と同一平面上に位置する展開作業状態(図1の実線の状態)にしておく。また、苗箱収納部73は、可動収納部73bが、固定収納部73aから前下がり方向に張り出して突出した状態で位置調節固定用部材113の移動杆115に設けた突出状態固定用貫通孔115a−2に係止用のスナップピン117を嵌めて、機体の前端から大きく突出した状態にしておく。
【0052】
左右予備苗載台38,38を図1及び図2に示す状態にすると、左右予備苗載部72,72は平面視でフロアステップ35の外側方に位置するので、作業者はハンドル34の左右両側にあるフロアステップ35上を機体前端部から後部の施肥装置5の肥料ホッパ60位置まで自由に移動できるようになる。
【0053】
この状態で、畦に居る作業者が左右予備苗載台38,38の左右予備苗載部72,72前端の間に位置して、畦から左右予備苗載部72,72前端に苗を育苗した苗箱Cを載置し、苗箱Cを押すと、苗箱Cは左右予備苗載部72,72の回動ローラ95…上を後端に向かってスムーズに移動する。この時、左右予備苗載部72,72は平面視で前部の左右間隔L1が後部の左右間隔L2よりも小さいハの字状に配置されているので、畦に居る作業者は左右予備苗載台38,38の左右予備苗載部72,72前端の間に位置して、左右予備苗載部72,72の前端部に作業性良く楽に苗箱Cを載置でき、作業効率が良い。
【0054】
一方、田植機体上に居る作業者は、左右予備苗載部72,72の何れかの後端部位置近くのフロアステップ35上に立って、前記予備苗載部72上を前端から後端に移動した苗箱Cを取上げて、苗箱Cから苗掬い板でマット状苗を掬い取って、後方の苗載台51に供給する。この時、予備苗載部72の後端部はフロアステップ35の外側方近くで且つ施肥装置5の肥料ホッパ60左右外側部近くにあるので、作業者は予備苗載部72後部の苗箱Cを取上げて、楽な姿勢で作業性良く苗載台51に苗供給作業をすることができる。即ち、苗載台51の左右外側の苗載部及び中央部の苗載部の全ての苗載部に対する苗供給作業が容易に行なえて作業効率が良い。
【0055】
そして、作業者がフロアステップ35後部に立ったままで、苗供給を終えて空になった苗箱Cを苗箱収納部73の後端部に入れると、苗箱Cは苗箱収納部73内を滑って前端まで移動する。すると、畦に居る作業者がそれを取って容易に畦上に回収する作業が行なえるので、空箱回収作業効率が良い。また、苗箱収納部73の可動収納部73bは、固定収納部73aに対して収納方向には自由に移動できる構成としているので、例えば、苗補給の為に畦に機体前部を着ける時等に、苗箱収納部73の機体前端よりも大きく突出している可動収納部73bが畦等の障害物に接当しても、可動収納部73bは収納方向に移動するから破損を防止することができる。
【0056】
そして、苗載台51の全ての苗載部に対する苗供給作業を終えると、畦に居る作業者は左右予備苗載部72,72前端側から順次苗を育苗した苗箱Cを載置して、左右予備苗載部72,72上に各々3つの苗箱C…を載置する。
【0057】
また、作業者は、フロアステップ35を通って機体前端から肥料ホッパ60まで肥料を運び肥料ホッパ60内に肥料を供給する。この時、左右予備苗載部72,72は、フロアステップ35の左右外側に位置するので、作業者は広いフロアステップ35上を肥料を持って移動でき、安全に作業性良く肥料供給作業が行なえる。
【0058】
そして、機体上の作業者は、座席31に着座して機体を操縦して各部を駆動し田植作業及び施肥作業を行なう。田植作業中に苗載台51の苗が残り少なくなると、作業者は左右予備苗載部72,72上に載置した苗箱C…から苗を取って苗載台51に供給して田植作業を継続する。この時、空の苗箱Cは、左右苗箱収納部73に収納しておく(苗箱収納部73の内方空間は、苗箱Cを2つ重ねた状態で収納できる幅に設定しており、前後方向の長さは苗箱Cを2つ前後方向に収納できる構成としているので、片側の苗箱収納部73に苗箱Cを2つ重ねた状態で4つの苗箱Cを収納できる。従って、左右予備苗載部72,72上に載置した6つの苗箱Cは、全て左右苗箱収納部73に収納できる)。
【0059】
そして、左右予備苗載部72,72上に載置した苗箱C…の苗を全て使って苗載台51に載置した苗が残り少なくなると、前記と同様に機体前端部を畦(または、道路)に着けた状態にして、前記と同様にして苗供給作業を行なう。
【0060】
また、圃場と畦(または、道路)との間に水路等があって、機体前端部を畦(または、道路)に着けた状態にできない場合(圃場と畦との距離が遠い場合)は、図9に示すように、操作レバー83を操作して左右予備苗載部72,72を180度回転させ回動停止ピン85を回動フレーム78の円板80に設けた貫通孔81bに係合させ、左右予備苗載部72,72が平面視で前部の左右間隔L1が後部の左右間隔L2よりも小さいハの字状に配置され、且つ、機体前端からの突出量L7が大きい状態とする。尚、この時、左右苗箱収納部73,73は、左右予備苗載部72,72から取り外して、左右予備苗載部72,72の内側に前下がり傾斜状態になるように各々装着し直す。
【0061】
この状態にすると、左右予備苗載部72,72の機体前端からの突出量L7が大きいので、圃場と畦(または、道路)との間に水路等があって機体前端部を畦(または、道路)に着けた状態にできない場合(圃場と畦との距離が遠い場合)でも、図9に示すように、左右予備苗載部72,72及び苗箱収納部73の前端部を畦(または、道路)上に位置させることができるので、前述と同様にして、楽な姿勢で効率よく畦から機体(苗載台51及び左右予備苗載部72,72)に苗を供給することができる。
【0062】
そして、田植作業を終えて、路上走行する場合やトラックに機体を載せる場合や納屋等に機体を入れる場合には、図10に示すように、操作レバー83を操作して回動停止ピン85を回動フレーム78の円板80に設けた貫通孔81cに係合させ、左右予備苗載部72,72が平面視で左右平行状態に配置され、且つ、機体前端からの突出量L7が小さい状態とする。すると、平面視で左右予備苗載部72,72の各々の内側部がフロアステップ35と重なった状態となって、左右予備苗載部72,72(左右予備苗載台38,38)の幅L8が苗載台51の幅L9よりも小さくなる。尚、図面中、120は前記各条の苗取出口51a…を設けた苗受け板であり、その苗載台51の幅L9から左右外側に突出した左右外側部120a・120aは苗載台51の下方内側に折畳み自在に構成している。また、121・121は苗受け板120の外側部に配置され苗受け板120の端部が畦や障害物に接当して破損することを防止する左右ガード体であり、その苗載台51の幅L9から左右外側に突出した状態から苗載台51の下方内側に折畳み自在に構成している。従って、田植作業をしない路上走行する場合やトラックに機体を載せる場合や納屋等に機体を入れる場合には、苗受け板120の左右外側部120a・120a及び左右ガード体121・121は苗載台51の下方内側に折畳んで機体左右幅はL9になっている。
【0063】
そして、左右予備苗載部72,72の第一回動苗載部89及び第ニ回動苗載部90は、固定苗載部88の上方に回動して折り畳んだ収納状態とし、左右予備苗載部72,72の前端部が機体側面視で機体前端部と略同じ位置になるようにする。また、左右苗箱収納部73,73は、可動収納部73bを固定収納部73a内に収納した状態として位置調節固定用部材113の移動杆115に設けた収納状態係止用貫通孔115a−1に係止用のスナップピン117を嵌めて、収納状態で固定し、左右苗箱収納部73,73の前端が機体側面視で機体前端部と略同じ位置になるようにする。
【0064】
上記のように左右予備苗載台38,38(左右予備苗載部72,72及び苗箱収納部73,73)を収納状態にすると、各部を収納状態にした機体幅L9内に左右予備苗載台38,38(左右予備苗載部72,72及び苗箱収納部73,73)は収まり、且つ、機体前端から大きく突出しないので、路上走行する場合やトラックに機体を載せる場合や納屋等に機体を入れる場合に左右予備苗載台38,38(左右予備苗載部72,72及び苗箱収納部73,73)が邪魔にならず、路上走行及びトラックへの積み込み作業及び納屋内への機体収納が容易に行なえる。また、左右予備苗載台38,38(左右予備苗載部72,72及び苗箱収納部73,73)を収納状態にすると、機体がコンパクトになると共に、座席31に着座した操縦者の視界の邪魔にならないので、操縦が容易となり安全である。
【0065】
更に、左右予備苗載台38,38(左右予備苗載部72,72及び苗箱収納部73,73)を収納状態にした時に、機体前後方向で機体前端とハンドル34後端との間L10に収まるように構成すると、更に、機体がコンパクトになると共に、座席31に着座した操縦者の視界の邪魔にならないので、更に、操縦が容易となり安全である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、田植機以外に、野菜移植機やイ草移植機等の色々な苗植機に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】乗用型田植機の側面図である。
【図2】乗用型田植機の平面図である。
【図3】予備苗載台の側面図である。
【図4】予備苗載台の平面図である。
【図5】予備苗載台の要部拡大側面図である。
【図6】予備苗載台の要部拡大平面図である。
【図7】苗箱収納部の要部拡大正面図である。
【図8】予備苗載台の一部断面正面図である。
【図9】乗用型田植機の作用説明用平面図である。
【図10】乗用型田植機の作用説明用平面図である。
【符号の説明】
【0068】
2 走行車体
4 苗植付部
5 施肥装置
60 肥料ホッパ
72 予備苗載部
73 苗箱収納部
73a 固定収納部
73b 可動収納部
91 左右外枠
92 連結材
95 回動ローラ
C 苗箱
L1 左右予備苗載部前部の左右間隔
L2 左右予備苗載部後部の左右間隔
S 空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の後部に苗植付部(4)を設け、走行車体(2)の側部に機体前端側から苗箱(C)又は苗を載せた苗掬い板を供給する予備苗載部(72)を設けた苗植機において、該予備苗載部(72)を左右外枠(91)と該左右外枠(91)を連結する連結材(92)でフレームを構成し、該左右外枠(91)に苗箱(C)又は苗を載せた苗掬い板の左右側部の底面を受ける回動ローラ(95)を各々設け、左右外枠(91)間には広い空間部(S)を設けたことを特徴とする苗植機。
【請求項2】
予備苗載部(72)を走行車体(2)の左右両側部に各々設け、機体前端よりも前方に突出させて配置すると共に、該左右予備苗載部(72)を平面視で前部の左右間隔(L1)が後部の左右間隔(L2)よりも小さいハの字状に配置したことを特徴とする請求項1記載の苗植機。
【請求項3】
予備苗載部(72)を機体前端よりも前方に突出させて配置し、予備苗載部(72)の機体前端からの突出長さを変更自在に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の苗植機。
【請求項4】
走行車体(2)の後部に施肥装置(5)の肥料ホッパ(60)を配置し、該肥料ホッパ(60)の上端面と予備苗載部(72)の回動ローラ(95)の上端とを略々同じ高さにすると共に、予備苗載部(72)の後端を肥料ホッパ(60)の左右外側部近くに配置したことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の苗植機。
【請求項5】
予備苗載部(72)の機体内側に苗箱(C)を収納する部位を前下がり傾斜状態にした苗箱収納部(73)を設け、該苗箱収納部(73)を固定収納部(73a)と可動収納部(73b)で構成し、可動収納部(73b)を固定収納部(73a)側に収納した収納状態と機体前端よりも前方に突出した機体前後方向に長い作業状態とに変更自在に設け、可動収納部(73b)は作業状態で固定収納部(73a)に対して収納方向に移動自在に構成したことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の苗植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−106178(P2009−106178A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280570(P2007−280570)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】