説明

苗植機

【課題】本発明では、路上走行や旋回操作時に面倒な操作をすることなく、植付切換操作具を単に苗の植え付けから植付終了に切り換えるだけで、接地センサと鎮圧輪を地面から浮かせた支持状態になるようにして苗植機の路上走行性や旋回走行性を良くし作業効率を向上させる構成を提供することを課題とする。
【解決手段】接地センサ5R,5Lの畝面検出により車体2を昇降制御すると共に鎮圧輪4で植付後の苗を培土する苗植機において、苗植付具3の駆動を断続する植付切換操作具8bの駆動入操作に連動して接地センサ5R,5Lと鎮圧輪4を降下接地させ、植付切換操作具8bの駆動切操作に連動して接地センサ5R,5Lと鎮圧輪4を上昇収納すべくして苗植機を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体の昇降を制御して苗の植え付け深さを一定に維持する姿勢制御装置を備えた苗植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
畝面に野菜苗などを移植する苗植機は、特開2002ー46661号公報に記載の如く、畝面から植付装置までの高さを一定に維持するために接地センサで畝面を検出して植付装置を装着した機体を昇降させ、機体の後部に鎮圧輪(培土ディスク)を設けて畝に植え付けた苗を培土して倒れないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002ー46661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の如く、苗植機は、走行するための前後車輪の他に接地センサと鎮圧輪が畝面に接地しているために、路上での移動走行や旋回時には、接地センサと鎮圧輪を地面から浮かせて支持した状態にする必要がある。
【0005】
本発明では、路上走行や旋回操作時に面倒な操作をすることなく、植付切換操作具を単に苗の植え付けから植付終了に切り換えるだけで、接地センサと鎮圧輪を地面から浮かせた支持状態になるようにして苗植機の路上走行性や旋回走行性を良くし作業効率を向上させる構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、接地センサ5R,5Lの畝面検出により車体2を昇降制御すると共に鎮圧輪4で植付後の苗を培土する苗植機において、苗植付具3の駆動を断続する植付切換操作具8bの駆動入操作に連動して接地センサ5R,5Lと鎮圧輪4を降下接地させ、植付切換操作具8bの駆動切操作に連動して接地センサ5R,5Lと鎮圧輪4を上昇収納すべくして苗植機を構成した。
【0007】
この構成で、植付切換操作具8bを入操作するだけで、接地センサ5R,5Lと鎮圧輪4が接地作用状態に切り換わり、植付切換操作具8bを切操作するだけで、接地センサ5R,5Lと鎮圧輪4が接地作用状態に切り換わる。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、車体2の左右に二つの苗植付具3を並設した苗植機において、それぞれの苗植付具3に対応して畝検出手段80を設け、畝検出手段80が畝無を検出した側の接地センサ5R,5Lと鎮圧輪4は植付切換操作具8bの入・切操作に関わらず常に上昇収納位置に保持すべくして苗植機を構成した。
【0009】
この構成で、畝検出手段80が畝Aが存在するのを検出して苗の植付が作動する側の苗植付具3に必要な接地センサ5R,5Lと鎮圧輪4を接地させる。
【発明の効果】
【0010】
よって、請求項1の発明は、圃場での苗植付作業に適した接地センサ5R,5Lと鎮圧輪4を接地した状態と、路上走行や旋回が容易な接地センサ5R,5Lと鎮圧輪4を上昇収納した状態が植付切換操作具8bの入り切りだけで切り換わり、他の特別な操作をする必要が無いので、操作作業性が良い。
【0011】
また、請求項2の発明は、二つの畝Aに同時に苗植付作業を行える苗植機で、一つの畝Aだけに苗の植え付けを軽快に行える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】苗植機全体の側面図である。
【図2】苗植機全体の平面図である。
【図3】油圧回路図である。
【図4】苗植付ホッパーの斜視図である。
【図5】要部の作用説明用拡大平面図である。
【図6】植付け例を示す作用説明用平面図である。
【図7】鎮圧輪部分の斜視図である。
【図8】鎮圧輪要部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の実施の一実施形態として二条植え苗植機を以下に説明する。尚、以下の説明では、操縦ハンドル8を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン6を配置した側を前とする。そして、機体後部において機体前部側に向って立つ作業者の右手側を右とし、左手側を左とする。
【0014】
図1から図3に示す如く、車体2は、主フレーム2aの前部にエンジン6、及びミッションケース7を配置して、主フレーム2aの後端部に操縦ハンドル8を設け、このミッションケース7の両側に張出する左右アクスルハウジング9周りに回動する回動筒部9aに各々上下揺動する左右車輪ケース1を設け、この車輪ケース1の後端部に設けた車軸11に車輪としての後輪10を軸装して、これら左右の後輪10と、車体2前端部に設けた前輪軸12に軸装した左右の前輪13とによって畝Aを跨いで走行する構成にしている。
【0015】
尚、エンジン6の左側面部には該エンジン6の動力で駆動する油圧ポンプ6aが設けられている。また、エンジン6の上側には燃料タンク6bが設けられ、その上部をボンネット6cが覆っている。また、7aは、ミッションケース7の左右両側に基部が固定された左右回動筒部9aを回動自在に支持する左右支持フレームである。
【0016】
車体2には機体に対し左右の後輪10を上下動させて機体位置を制御する姿勢制御装置が設けられている。この姿勢制御装置は、ミッションケース7の上に配置した油圧バルブユニットBUから後方に向けて昇降アクチュエータとしての昇降油圧シリンダ15が設けられ、該昇降油圧シリンダ15のピストンロッドの先端部に機体左右方向に長いアームとしての連動アーム16が上下方向の軸まわりに回動自在に取り付けられている。ピストンロッドは、前部が油圧バルブユニットBUに支持され後部が車体2に固着された取付部材2aに支持されたガイド軸2bに沿って摺動するようになっている。
【0017】
連動アーム16の左右両端部と、回動筒部9aに固着した左右ハウジングアーム14とが、連結体としての左右ロッド18を介して連結されている。左側の左ロッド18は、ローリングアクチュエータとしてのローリングシリンダ17が組み込まれており、該ローリングシリンダ17を伸縮作動させることにより長さを変えられるようになっている。
【0018】
昇降油圧シリンダ15及びローリングシリンダ17は、各々前記油圧ポンプ6aから供給される作動油を油圧バルブユニットBU内の昇降制御バルブ49とローリング制御バルブ48とで制御して作動させられる。昇降油圧シリンダ15を伸縮作動させると、左右後輪10が同方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が昇降する。また、ローリングシリンダ17を伸縮作動させると、左後輪10が機体に対し上下動し、機体が左右に傾斜する。
【0019】
5R,5Lは二畝Aの上面に接触して畝の高さを検出する接地センサであって、該接地センサ5R,5Lが上下回動すると、その回動を連結ロッド5dにて昇降制御バルブ49に伝え、接地センサ5R,5Lの角度が元に戻る方向に昇降油圧シリンダ15を作動させる(昇降制御)。これにより、畝Aの上面から左右苗植付具3までの高さを一定に維持するように機体を昇降制御し、畝の高さが変動しても常に苗の植付深さが一定になるように制御され、一定深さに植え付けられた苗は成育が良い。
【0020】
なお、油圧バルブユニットBU内のローリング制御バルブ48は後述の左右鎮圧輪4の相対高さの変動による畝A上面の左右傾斜検出に連動して切り替わるようになっており、機体が左右に傾斜するとローリングシリンダ17が適宜作動し、機体を左右水平に戻すように制御する。
【0021】
即ち、一方のハウジングアーム14と連動アーム16の側端部との間を連結する一側部の前記ローリングシリンダ17の伸縮によって、この側の後輪10を、他側部の前記ロッド18によって連結された側の後輪10に対して昇降させて、車体2をローリングさせて、車体2の左右傾斜を水平にしたり、土壌面に対して平行状にしたりすることができ、車体2の左右傾斜姿勢を制御することができる。そして、このような昇降制御は、前述の接地センサ5R,5Lの畝A上面検出により行い、ローリング制御は、苗植位置の植付けた苗に対して左右側部から鎮圧作用を行なう鎮圧輪4によって左右傾斜状態を検出して行うものである。
【0022】
ここにおいて、左右車輪ケース1を、車体2に対して上下揺動可能に設けた苗植機において、機体左右方向に2つ並列して配置した左右苗植付具としての左右苗植付ホッパー3による左右各苗植付位置を鎮圧する左右鎮圧輪4の上下揺動によってローリング制御する構成である。苗植付ホッパー3の昇降によって圃場に植付けた苗の左右側方を鎮圧輪4によって鎮圧し、苗植付姿勢を安定した状態とする。
【0023】
このとき、左右の苗植付位置を各々鎮圧する左右鎮圧輪4を、苗植付土壌面の左右傾斜を検出するセンサとして機能する構成にしている。左右の各鎮圧輪4は、左右の苗植位置毎に独立的に上下揺動して、この揺動位置の高さの差異によって植付土壌面の左右傾斜を検出して、これらの土壌面の傾斜検出によって前記一方の車輪ケース1を上下に揺動させて、車体2を土壌面と左右平行状に維持するようにローリング制御する。
【0024】
また、前記左右車輪ケース1の非苗植位置への揺動(左右後輪10を最下動させて機体を最も上昇させた状態)によって、左右両鎮圧輪4を非接地高さへ上昇するように連動構成している。即ち、機体を高く上昇させるときは、左右車輪ケース1を最下動させて車体2を非苗植姿勢に上昇させ、左右鎮圧輪4が非作用姿勢位置へ連動して上昇され、車体2の走行旋回の邪魔にならない状態となり、容易に機体の旋回が行える。
【0025】
操縦ハンドル8の基部には操作パネル8aが設けられ、該操作パネル8aに、左右苗植付具3の駆動を断続する植付切換操作具8bとしての植付レバーと、後輪10の駆動を断続するメインクラッチの入・切操作をするメインクラッチレバー8cが設けられている。
【0026】
植付レバー8bは、左右の苗植付具3の駆動を同時に断続するレバーで、左右苗植付具3を個別に断続する左右植付レバー35R、35Lを座席33の前側下部に設け、一条で苗の植え付けを行う場合には他方の左右植付レバー35R、35Lの一方を切り操作すると、一条で植え付けを行うようになる。この時には切られた側の接地センサ5R,5Lの一方は、接地信号を検出しないようにする。植付レバー8bで左右苗植付具3の駆動を切って機体を上昇させた場合には、接地センサ5R,5Lのセンサ機能を停止して不測に接触しても昇降油圧シリンダ15を作動させない。
【0027】
尚、植付レバー8bの入・切操作で畝Aの無い側の左右苗植付具3を駆動しないように自動制御にすることも可能で、自動制御にした場合には、後述する畝終端センサ80の畝A無し検出で作動する左右苗植付具3を決定する。この際に、畝Aが無いことを検出した側の接地センサ5R,5Lと左右鎮圧輪4R,4Lを上昇収納状態にしてすべて作動を停止する。
【0028】
植付レバー8bは、左右苗植付具3を駆動にすると昇降制御バルブ49を手動操作して機体と左右鎮圧輪4を降下させ、左右苗植付具3の駆動を断つと機体を上昇させ、左右鎮圧輪4を畝Aから浮かせて旋回走行が行えるようにする。なお、植付レバー8bと左右鎮圧輪4の昇降連動機構は、後述する。
【0029】
前記車体2には座席33や、ステップ34等を配置して、作業者が搭乗して補助苗受台21の苗を苗供給装置20の苗カップ19へ補給することができる構成としている。
車体2の後部には、ターンテーブル構成に複数の苗カップ19を連接して回転搬送する苗供給装置20を設け、この苗供給装置20の後側下側に苗植付ホッパー3を左右に2つ配置している。苗植付ホッパー3は、左右一定間隔位置に配置の二条植え構成として、左右後輪10,10の後側に配置している。
【0030】
補助苗受台21は、苗供給装置20の中央から後上がりの傾斜状態で苗トレイ52を受けるように設け、その下部にばね36で苗トレイ52を受ける受板37を設けている。この補助苗受台21に載せた苗は上側から取り出して苗カップ19に順次供給するが、苗が少なくなるとばね36の弾力で受板37を押し上げて苗トレイ52内の苗を作業者が取り出し易い位置になる。なお、苗の種類によって苗トレイ52の重量が異なるためばね36は適宜に交換する。
【0031】
また、苗の植え付け作業中にばね36に加わる荷重を検出して、荷重が軽くなるとエンジン回転数を低下させ走行速度を遅くして、走行しながら補助苗受台21へ苗トレイ52の交換を行い易くする。
【0032】
苗カップ19が左右方向へ回転することによって、車体2上部の補助苗受台21に予め搭載されている苗トレイ52から苗を取出しながら各苗カップ19へ供給する。各苗カップ19の底部に苗落下防止杆54がループ状に設けられ、この苗落下防止杆54が苗植付ホッパー3の上方で切欠かれ、代わりにシャッタ53R,53Lで苗の底を受けるようにしている。そして、各苗カップ19が回転して苗植付ホッパー3の上側に位置したときは、カップ底部のシャッタ53R,53Lが開かれて、収容していた苗を下側の苗植付ホッパー3に落下供給する構成である。
【0033】
シャッタ53R,53Lは、苗カップ19への苗供給を検出して開閉するようにソレノイド56で作動し、苗植付ホッパー3の条間隔変更に応じて左右の間隔を変更可能にしている。さらに、左右の片側の苗植付ホッパー3のみを作動して一条植えを行う場合には、作動しない他方の苗植付ホッパー3側のシャッタ53R,53Lを開かなくして苗が落下しないようにする。
【0034】
また、機体を走行させないで苗供給装置20の全苗カップ19に苗を補給する空植えを行う場合には、シャッタ53R,53Lは、開き動作しないようにしている。
この苗植付ホッパー3は、図4に示す如く、苗植ブラケット22に対して左右へ開閉回動可能に設けられて、上側に前記苗カップ19から供給される苗を落下案内するホッパー23を有し、苗植伝動ケース24に対して平行リンクアーム25、26を介して昇降駆動する構成としている。前記苗植伝動ケース24は車体2フレーム部に固着して、前記ミッションケース7部から伝動構成される。この伝動機構の一部によって回転されるクランクアーム軸27によってロッド28を介して上側のリンクアーム25が昇降回動されて、苗植付ホッパー3を上下方向に軌跡Pにて植付作動する。
【0035】
前記苗植ブラケット22のレバー29と下側のリンクアーク26の基端部に形成のアーム30との間は操作ワイヤ31で連結して、苗植付ホッパー3の昇降に伴って、この苗植付ホッパー3を開閉するものである。前記クランクアーム軸27の回転によって苗植付ホッパー3を略楕円形状の植付軌跡Pを描いて昇降させると共に、この上死点直前位置から下降する行程ではこの苗植付ホッパー3を閉鎖状態とし、最下降位置で開き上昇行程は開いたままである。
【0036】
左右苗植付ホッパー3は、苗植伝動ケース24に装着した位置から大きく左右外側方に変位した位置になるように構成している。即ち、左苗植付ホッパー3は、苗植伝動ケース24に対して平行リンクアーム25、26を介して昇降駆動する構成としているが、該平行リンクアーム25、26は苗植伝動ケース24に装着された基部から機体左外側に向けて折り曲げた構成としており、該平行リンクアーム25、26の先端部に装着される左苗植付ホッパー3の前方には空間部Kが構成された構造となっている。
【0037】
後述の左後輪10の左右位置調節(トレッド調節)により、この空間部Kに左後輪10を位置させることができ、左苗植付位置のすぐ近傍に左後輪10を配置することができる。同様に、右苗植付ホッパー3は、苗植伝動ケース24に対して平行リンクアーム25、26を介して昇降駆動する構成としているが、該平行リンクアーム25、26は苗植伝動ケース24に装着された基部から機体右外側に向けて折り曲げた構成としており、該平行リンクアーム25、26の先端部に装着される右苗植付ホッパー3の前方には空間部Kが構成された構造となっている。後述の右後輪10の左右位置調節(トレッド調節)により、この空間部Kに右後輪10を位置させることができ、右苗植付位置のすぐ近傍に右後輪10を配置することができる。従って、畝Aの左右端のぎりぎりの位置に苗を植付けが行える。
【0038】
次に、左右後輪10の左右位置調節(トレッド調節)の構成について図5で説明する。
ミッションケース7の両側に張出する左右アクスルハウジング9周りに回動する左右回動筒部9aに各々上下揺動する左右車輪ケース1を設け、この左右車輪ケース1の後端部に各々設けた左右車軸11に後輪10を設けているが、左右回動筒部9aの左右両端部側の内部には各々左右車輪ケース1の基部に各々固定した左右移動筒体9cが嵌入支持されており、左右取手付きボルト9dにて左右移動を固定している。左右後輪10の左右位置調節(トレッド調節)を行う場合には、左右取手付きボルト9dを緩めて、左右回動筒部9aに対して左右移動筒体9cを機体左右方向に移動させて左右後輪10の位置調節を行い、再び左右取手付きボルト9dを締めて左右回動筒部9aに左右移動筒体9cを固定する。このようにして、左右後輪10は、自由にその左右位置調節(トレッド調節)を行うことができる。図に示すように、後輪10を車輪ケース1の内側に付ければトレッドは最短となる。
【0039】
ここで、1畝に往復4条植えを行う例を図6で説明すると、左後輪10は左車輪ケース1の内側に装着して機体中心からの距離を450mmとし(このとき、左後輪10は左苗植付ホッパー3の平行リンクアーム25、26前方の空間部Kに位置させて、左苗植付位置のすぐ近傍に左後輪10は配置される)、右後輪10は機体中心からの距離を725mmに設定する。そして、左右植付ホッパー3の植付位置及び左右鎮圧輪4の苗鎮圧位置は、機体中心から250mmに設定する。そして、左右後輪10を畝Aを跨がして各々畝溝を走行するようにして、各部を駆動し往路行程で1条目と3条目を植付け、復路行程で2条目と4条目を植付けて、1畝に往復で4条を植付けることができる。
【0040】
左右苗植付ホッパー3の後方には、各々、これら左右苗植付ホッパー3によって土壌面(畝)Aに植付けられた苗の左右側方を鎮圧及び覆土する左右鎮圧輪4を設ける。この鎮圧輪4は、各苗植付位置に対して左右一対の、左右対称状の配置構成とし、支軸32の周りに回転自在に構成して、前側及び上側を左右に開くように傾斜させた構成としている。
【0041】
前記車体2には座席33や、ステップ34等を配置して、作業者が搭乗して補助苗受台21の苗を苗供給装置20の苗カップ19へ補給することができる構成としている。
尚、鎮圧輪4の前側の開き角度をボルト4aを緩めて調節できる構成としており、圃場条件や苗条件に応じて、鎮圧輪4の圃場に植付けた苗に対する土寄せ量を変更できるようにして、圃場の条件や色々な苗に対応できるようにしている。
【0042】
次に、主として図7から図8に基づいて、左右鎮圧輪4の装着構成及び作用について説明する。
前記車体2の後部に左右取付ブラケット38によって取付ける鎮圧フレーム39に、横方向に沿って外周面が正六角軸で内部に円形状の貫通孔を形成した左右一対の左右鎮圧アーム軸40L・40Rを、内側端を向かい合わせた状態で断面が円形状の回動軸40aに回動自在に設けている。そして、左右鎮圧輪4は、この左右鎮圧アーム軸40L・40Rに各々正六角穴で嵌合した左右アームボス42に前端を溶接固定した左右鎮圧アーム41の後端に設けている。この左右アームボス42を左右セットボルト43の締め付けによって、横軸方向へ移動固定可能に設け、左右鎮圧輪4の鎮圧位置を左右に移動調節することができる。また、左右鎮圧輪4は、上記の構成により各々独立して上下動できる。尚、左右鎮圧アーム軸40L・40Rの内側端を向かい合わせた位置には座金40bを回動軸40aに回動自在に設け、左右鎮圧アーム軸40L・40Rが互いに干渉しないで回動できる構成としている。また、回動軸40aは、鎮圧フレーム39の左右両端部に設けた前記左右取付ブラケット38を下方に延設した左右支持アーム38aにて支持架設して固定している。
【0043】
左右鎮圧アーム41の後端部を各々背面視で門形状のリヤフレーム44に形成して、このリヤフレーム44の左右両側部に左右一対の鎮圧輪4を配置して、支軸32で回転自在に支持している。このリヤフレーム44は、畝Aに植付けた苗の上部を左右に跨いで前進方向へ移動することができる構成となっている。又、このリヤフレーム44上には支持アーム46によって、複数個のバランスウエイト45を嵌合支持して、バランスウエイト45の装着数を変えて鎮圧圧力を調整できる構成としている。
【0044】
また、鎮圧アーム41は、前側の基端側アーム41aと後側の主アーム41bとで構成されており、基端側アーム41aの後端部に溶接固着した前支持フランジ41a’と後側の主アーム41bの前端部に溶接固着した後支持フランジ41b’に各々設けた縦長の長孔41cを貫通して設けた固定用ボルト及びナット41dで、前支持フランジ41a’と後支持フランジ41b’を固定して、基端側アーム41aと主アーム41bが一体で作動する構成となっている。従って、固定用ボルト及びナット41dを緩めて、基端側アーム41aに対して主アーム41bの上下位置を調節できる構成となっている。
【0045】
即ち、前支持フランジ41a’に対して後支持フランジ41b’を下げた位置で固定用ボルト及びナット41dを締付ければ、基端側アーム41aに対して主アーム41bは下がった位置となり、鎮圧アーム41後部に設けた鎮圧輪4は下降した位置で畝A上面に接地する状態となる。逆に、前支持フランジ41a’に対して後支持フランジ41b’を上げた位置で固定用ボルト及びナット41dを締付ければ、基端側アーム41aに対して主アーム41bは上がった位置となり、鎮圧アーム41後部に設けた鎮圧輪4は上動した位置で畝A上面に接地する状態となる。
【0046】
従って、接地センサ5R,5Lの基準位置を変更して苗の植付け深さを変えた場合に、その植付け深さ変更に応じて左右の鎮圧輪4を上下に位置調節することができて、適切な鎮圧作用が行えて苗の植付け姿勢が良くなり、適正な苗の移植作業が行える。
【0047】
また、左右後輪10及び左右前輪13が2つの畝Aを跨いで走行して、各畝Aに1条ずつ苗の植付けを行なう場合に、跨いだ2つの畝Aの高さが各々異なる場合、各々の畝A高さに合わせて左右の鎮圧輪4を上下に位置調節すると、跨いだ2つの畝Aの高さが各々異なる場合でも、各畝Aに植付けた苗に対して各々適切な鎮圧作用が行えて苗の植付け姿勢が良くなり、適正な苗の移植作業が行える。
【0048】
更に、この実施例では左右鎮圧輪4の接地高さの差で機体をローリング制御する構成であるが、跨いだ2つの畝Aの高さが各々異なる場合、各々の畝A高さに合わせて左右の鎮圧輪4を上下に位置調節すると、ローリング制御のローリング基準を同時に変更して跨いだ2つの畝Aの高さが各々異なる状態の基準に変更されることとなり、圃場全体が機体左右方向で傾斜している時に、跨いだ2つの畝Aの高さが各々異なる状態の基準で機体のローリング制御が行われて、高さが各々異なる2つの畝Aの両方に適切な苗の植付け深さで適正に苗を移植することができる。
【0049】
尚、左右アームボス42を各々左右鎮圧アーム軸40L・40Rに固定する左右セットボルト43をグリスニップルが一体に装備されたボルトにすると、左右アームボス42と左右鎮圧アーム軸40L・40Rとの間にグリスを容易に装填することができ、条間調節時の左右鎮圧輪4の左右移動が容易に行える。
【0050】
前記左右各鎮圧アーム軸40L・40Rの外端部(左右支持アーム38aの外側に延設した部位)には各々一体回動する左右センサアーム47を設け、各センサアーム47の上端部は各々が平行状になるように構成されており、一方のセンサアーム47にローリング制御バルブ48を切替え作動させるセンサワイヤ50のアウターワイヤ受け50aを装着し、他方のセンサアーム47にセンサワイヤ50のインナーワイヤ受け50bを装着している。従って、左右鎮圧輪4が同方向に上下動する時は、各センサアーム47の上端部間隔が変化しないので、センサワイヤ50はローリング制御バルブ48を切替え作動しない。
【0051】
また、左右の畝A上面の高さが異なって左右鎮圧輪40の上下移動量が異なる場合には、各センサアーム47の上端部間隔が変化するので、センサワイヤ50はローリング制御バルブ48を切替え作動する。例えば、右鎮圧輪4が左鎮圧輪4の位置よりも上動した場合(畝Aは機体左右方向で右側が高い場合)には、各センサアーム47の上端部間隔が狭まり、センサワイヤ50のインナーワイヤIN−Wが押されてローリング制御バルブ48を切替え作動して、ローリングシリンダ17を縮小作動させ、左後輪10を下動させて機体が畝に機体左右方向で平行になるようにローリング制御する。逆に、左鎮圧輪4が右鎮圧輪4の位置よりも上動した場合(畝Aは機体左右方向で左側が高い場合)には、各センサアーム47の上端部間隔が広がり、センサワイヤ50のインナーワイヤIN−Wが引かれてローリング制御バルブ48を切替え作動して、ローリングシリンダ17を伸ばす方向に作動させ、左後輪10を上動させて機体が畝に機体左右方向で平行になるようにローリング制御する。
【0052】
また、各センサアーム47の平行状に設けられた上端部には、各々上下方向の長穴47aが各々設けられており、該各長穴47aに各々上記のアウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bが上下方向に移動調節自在且つ締め付けボルト50cにて位置固定自在に設けられている。
【0053】
従って、締め付けボルト50cを緩めて、各アウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bを各センサアーム47の下方向に移動させて固定すると、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化に対して、インナーワイヤIN−Wの押し引き量が少なくなるので(各センサアーム47の回動支点とアウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bとの距離KLが短くなり、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化が大きくてもインナーワイヤIN−Wの押し引き量は小さくなるので)、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化が大きくないとローリング制御が作動しないような鈍感なローリング制御状態となり、逆に、締め付けボルト50cを緩めて、各アウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bを各センサアーム47の上方向に移動させて固定すると、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化に対して、インナーワイヤIN−Wの押し引き量が多くなるので(各センサアーム47の回動支点とアウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bとの距離KLが長くなり、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化が小さくてもインナーワイヤIN−Wの押し引き量は大きくなるので)、左右鎮圧輪4の上下作動量の変化が小さくてもローリング制御が作動するような敏感なローリング制御状態となる。
【0054】
よって、センサワイヤ50を各センサアーム47から外すことなく、単に各アウターワイヤ受け50a及びインナーワイヤ受け50bを各センサアーム47上でスライド移動させるだけで簡単にローリング制御の感度調節を行うことができる。尚、各センサアーム47には、感度調節位置を示すマークMが刻印されている。
【0055】
尚、アウターワイヤ受け50aにはインナーワイヤIN−Wの張り方向に沿って凹み部50a’が設けてあり、該凹み部50a’にインナーワイヤ受け50bの係合片部50b’が嵌り込んだ状態となっており、左右鎮圧輪4の上下作動量が大きく変動しても、インナーワイヤ受け50bの係合片部50b’がアウターワイヤ受け50aの凹み部50a’の前後端に接当して、各センサアーム47の平行状に設けられた上端部の開き量は規制された構成となっている。即ち、各センサアーム47は、ローリング制御検出に必要な量だけ作動する構成となっている(各センサアーム47が大きく開いて、インナーワイヤIN−Wを切ってしまうような事態を回避できる)。
【0056】
上記のように鎮圧フレーム39の左右外側に設けた左右支持アーム38aの内側に左右鎮圧アーム軸40L・40Rを設けて、この左右鎮圧アーム軸40L・40Rに各々嵌合した左右アームボス42に前端を溶接固定した左右鎮圧アーム41の後端に左右鎮圧輪4を設け、この左右アームボス42を左右セットボルト43の締め付けによって、横軸方向へ移動固定可能に設けて、左右鎮圧輪4の鎮圧位置を左右に移動調節することができる構成とし、且つ、左右センサアーム47を左右鎮圧アーム軸40L・40Rの外側端に配置させた構成としたので、左右鎮圧輪4を鎮圧フレーム39の幅内で大きく左右移動調節することができ、条間調節の領域が広がり、色々な畝や色々な苗に対応して苗植付作業が行える。即ち、多様な圃場条件や苗条件に応じた苗植付作業が行える。
【0057】
また、左右センサアーム47を上方に向けて設けその上端部は各々が平行状になるように構成し、一方のセンサアーム47にローリング制御バルブ48を切替え作動させるセンサワイヤ50のアウターワイヤ受け50aを装着し、他方のセンサアーム47にセンサワイヤ50のインナーワイヤ受け50bを装着してローリング制御バルブ48を切替え作動する構成とし、この左右センサアーム47とセンサワイヤ50の連結部を鎮圧フレーム39の左右中央位置で主フレーム2aの上方位置としたので、左右傾斜を検出する部位の前後長さを短く構成できて機体をコンパクトで簡潔な構成とすることができ、且つ、主フレーム2aが左右センサアーム47とセンサワイヤ50の連結部を保護する作用をし、機体の左右ローリング制御が適切に行える。
【0058】
また、センサワイヤ50の中途部には、インナーワイヤ50dに対するアウターワイヤ50eの位置を変更して、左右鎮圧輪4の相対上下高さ変動によってローリング制御バルブ48を切替えてローリング制御するローリング制御基準を変更するローリング制御変更操作具50fを設けている。よって、ローリング制御変更操作具50fを機体の左右方向である矢印(チ)−矢印(リ)方向に操作してガイド50gにて係止すると、操作した側にローリング制御の基準が移動し(ローリング制御バルブ48の中立位置が移動し)、即ち、左矢印チ方向に操作すると機体の左傾斜を補正するローリング制御が敏感となり、逆に、左矢印リ方向に操作すると機体の右傾斜を補正するローリング制御が敏感となる。
【0059】
そして、このローリング制御変更操作具50fは、作業者が着座する座席33の後方で苗供給装置20前側の座席側に設けられているので、作業者は苗供給装置20に苗供給作業をしながら容易に圃場条件に応じてローリング制御変更操作具50fを操作してローリング制御基準を変更することができ、適正な苗の移植作業が行えると共に作業性及び作業効率が良い。
【0060】
一方、昇降油圧シリンダ15を伸縮することによって左右両後輪10を車体2に対して同時に昇降させる昇降制御は、機体と圃場面(畝A上面)との間隔を検出する接地センサ5R,5Lの検出により、昇降制御バルブ49を切替えて行う。
【0061】
即ち、鎮圧フレーム39の前部に溶接固定した支持アーム39aの先端に昇降センサ支持板5aを機体左右方向に設けた支持軸5bにて回動自在に支持し、該昇降センサ支持板5aの右側に接地センサ5R,5Lをボルト5cにて左右位置調節自在に設けている。そして、接地センサ5R,5Lの圃場面(畝A面)の高さ変動検出にて、支持軸5b回りに昇降センサ支持板5aが回動すると、その回動で連結ロッド5dを介して昇降制御バルブ49が切替え作動する構成となっている。
【0062】
即ち、接地センサ5R,5Lの下端の圃場接地部5’が圃場面(畝A面)と接地しており、圃場面(畝A面)が高くなると、接地センサ5R,5Lの下端の圃場接地部5’が上動して、昇降センサ支持板5aを支持軸5b回りにイ方向に回動させ、連結ロッド5dを押して昇降制御バルブ49を切替え作動し、昇降油圧シリンダ15を伸びる方向に作動させて左右後輪10を下動させて、機体と圃場面(畝A面)との間隔が適切な位置になるように昇降制御する。逆に、圃場面(畝A面)が低くなると、接地センサ5R,5Lの下端の圃場接地部5’が下動して、昇降センサ支持板5aを支持軸5b回りに反イ方向に回動させ、連結ロッド5dを引いて昇降制御バルブ49を切替え作動し、昇降油圧シリンダ15を縮小する方向に作動させて左右後輪10を上動させて、機体と圃場面(畝A面)との間隔が適切な位置になるように昇降制御する。
【0063】
そして、接地センサ5R,5Lの下端の圃場接地部5’は、右鎮圧輪4の前方に位置するように左右位置調節して設け、接地センサ5R,5Lの下端の圃場接地部5’が接地する圃場面(畝A面)に右苗植付ホッパー3が苗を植付け、その後を右鎮圧輪4が鎮圧作用する。
【0064】
一方、前記各左右センサアーム47の基端部には、各リフトワイヤ51のインナーワイヤ51a後端を連結して、各リフトワイヤ51のインナーワイヤ51a前端を機体に固定し、アウターワイヤ51b前端を左右回動筒部9aに基部を固定した左右ハウジングアーム14の中途部に位置調節自在に連結している。尚、各リフトワイヤ51の各アウターワイヤ51bの後端は、各々左右支持アーム38aに位置調節自在に固定されている。
【0065】
従って、この各リフトワイヤ51の連結によって、前記左右車輪ケース1の下動(左右後輪10の下動)により、左右回動筒部9aが回動して左右ハウジングアーム14が後方に回動するので左右インナーワイヤ51aを引き、左右のセンサアーム47がロ方向に回動し、左右各鎮圧アーム41を上方に向けて強制回動することができ、機体旋回時に左右後輪10を最下動させて機体を上昇させた時、自動的に左右鎮圧輪4が上方に収納回動されて機体の旋回が容易に行える。
【0066】
尚、各リフトワイヤ51のインナーワイヤ51a後端と左右センサアーム47の連結部には、長穴51cで構成した融通機構が設けられており、通常の左右後輪10の昇降制御及びローリング制御による下動では左右鎮圧輪4が上方に収納回動されず、機体旋回時の左右後輪10を大きく下動させた時にのみ自動的に左右鎮圧輪4が上方に収納回動される構成となっている。
【0067】
そして、各リフトワイヤ51は鎮圧フレーム39の左右外側に配置した左右センサアーム47に連結しているので、各リフトワイヤ51の調節部が鎮圧フレーム39の左右外側に位置し、左右鎮圧輪4の上動作用位置調節が容易に行えて、作業性が良い。
【0068】
また、右鎮圧輪4に連結された右センサアーム47を引く右リフトワイヤ51は、左後輪10を上下動させる左回動筒部9a側に連結されており、左鎮圧輪4に連結された左センサアーム47を引く左リフトワイヤ51は、右後輪10を上下動させる右回動筒部9a側に連結されている。即ち、左後輪10の下動で右センサアーム47(右鎮圧具10)を上動させ、右後輪10の下動で左センサアーム47(左鎮圧具10)を上動させる構成としている。
【0069】
これは、前記のように左右鎮圧具10の相対上下高さ変動による左右センサアーム47の相対位置変動にてローリング制御バルブ48を切替えてローリングシリンダ17を作動させてローリング制御を行なう構成としたから、もし、左後輪10の下動で左センサアーム47(左鎮圧具10)を上動させ、右後輪10の下動で右センサアーム47(右鎮圧具10)を上動させる構成にすると、右鎮圧輪4が上動して右センサアーム47が変位した状態でローリング制御が作動して機体が水平状態になっている時に、機体旋回の為に左右後輪10を下動させると前記ローリング制御でローリングシリンダ17が作動したままで左右後輪10は下動し、機体最上昇時に機体が傾斜した状態となってしまう。そこで、左後輪10の下動で右センサアーム47(右鎮圧具10)を上動させ、右後輪10の下動で左センサアーム47(左鎮圧具10)を上動させる構成とすることにより、機体旋回又は機体移動の為に左右後輪10を下動させると、左右リフトワイヤ51にて左右センサアーム47がローリングシリンダ17を中立位置に戻すようにローリング制御バルブ48を切替えて、機体は水平状態で上昇する。
【0070】
従って、旋回時に機体は水平状態となり良好に且つ容易に旋回作業が行える。また、機体をリフトして圃場間を移動する場合(路上走行の場合)も機体は水平状態となり良好に且つ容易に機体を走行させることができる。
【0071】
前記鎮圧アーム41を左右に移動調節する時は、この調節操作を容易にするために、鎮圧アーム軸40の周りに切欠目印55を形成しておき、この切欠目印55の位置にアームボス42の位置をあわせることによって的確な植付条位置への鎮圧位置決めを行うことができる。
【0072】
60は左右苗植付ホッパー3の各々の内側に供給する灌水用の水を蓄える左右灌水タンクであって、左右車輪ケース1に各々固着した左右タンク支持フレーム61内に載置されている。即ち、左右灌水タンク60は、左右車輪ケース1に各々固着した左右タンク支持フレーム61に各々支持されて左右車輪ケース1上面に載置された状態となっている。従って、左右灌水タンク60の重量が各々左右車輪ケース1にて支えられた状態で機体は走行して苗植付け作業を行なうので、灌水タンク60内の水量の変動により重量変化が激しい灌水タンク60の重量が機体本体部に掛からず左右車輪ケース1に軸架した左右後輪10にて支えられた構造となり、灌水タンク60の重量変動が機体側に影響を与えることが極力防止されて、良好な走行性能を発揮し適切な苗の植付け作業が行える。
【0073】
更に、灌水タンク60の前後方向中央位置は車軸11よりも若干前方で、苗植付け作業時には車輪ケース1は緩やかに後傾斜した状態なので、灌水タンク60の重心は車軸11よりも前方にあり、左右灌水タンク60の重量が機体側面視で前輪13と後輪10との間に掛かることになるので、機体の走行性能が安定し適切な苗の植付け作業が行える。そして、機体を旋回する際には、車輪ケース1を急傾斜にして左右後輪10を最下動させた状態(機体を上昇させた状態)で旋回走行するので、灌水タンク60の重心は車軸11よりも後方になり、左右灌水タンク60の重量が機体側面視で後輪10よりも後ろに掛かることになり、操縦ハンドル8を作業者が押し下げて機体の後部を下げる操作が容易に行えて、旋回操作が容易で効率良く行える。
【0074】
62は左右灌水タンク60内の水を灌水パイプ63を介して吸い上げて左右苗植付ホッパー3の内側に灌水パイプ63で供給する灌水用のプランジャポンプであって、基部を主フレーム2aに枢支し、プランジャポンプ62のピストンロッド62aの先端部をクランクアーム軸27に設けた灌水用駆動クランク27aに係合させている。
【0075】
従って、プランジャポンプ62は左右灌水タンク60から水を吸い上げて左右苗植付ホッパー3の内側に灌水する。その灌水タイミングは、左右苗植付ホッパー3が苗の植付けを終えた上昇初期に左右苗植付ホッパー3の内側に灌水されるようになっており、左右苗植付ホッパー3の内側に付着した泥土を洗い流すと共に、洗い流した水が植付けた苗の上方から灌水できるようになっている。なお、プランジャポンプ62基部を主フレーム2aに枢支する位置を調節可能に構成して、枢支位置とクランクアーム軸27との距離を変更できる構成にすれば、プランジャポンプ62の水の吐出量を変更して苗や圃場条件に応じた適切な灌水が行える。
【0076】
左右の前輪13の間となる機体の前端部には畝Aの上面に接地して該畝Aの終端を検出する畝終端センサ80を設け、該畝終端センサ80は下方に向けてバネで付勢した状態となっており、機体の前進により畝Aのないところに到達して畝終端センサ80がバネの付勢力で下動して、畝Aの終端に到達したことを検出する構成となっている。この畝終端センサ80による畝Aの終端の検出に基づいて、主クラッチを自動的に切って左右の後輪10の駆動と左右苗植付ホッパー3並びに苗供給装置20の駆動を停止し、機体を停止させると共に、警報(例えばブザー等の警音)を出して作業者に告知する。
【0077】
これにより、座席33に座る作業者は、機体の進行方向に対して後ろ向きとなり、苗補給作業に集中しているため機体の前方を確認しにくく、機体が畝の終端に達したことに気づかず、周囲の構造物への衝突等の事故を発生させるおそれがあるが、前記畝終端センサ80により畝の終端で機体を自動停止すると共に警報で畝の終端に達したことを告知するため、安全に作業が行え、また機体の前方の状況及び畝の終端の位置を気にせずに苗供給装置20への苗補給作業を集中して行え、植付作業能率が向上する。
【0078】
この畝終端センサ80は、機体の左右方向右側位置で接地センサ5R,5L下端の圃場接地部5’及び右苗植付ホッパー3が苗を植付ける位置及び右鎮圧輪4の前方に配置されている。即ち、畝終端センサ80及び接地センサ5R,5L下端の圃場接地部5’及び右苗植付ホッパー3が苗を植付ける位置及び右鎮圧輪4は、機体左側に配置されたローリングシリンダ17とは機体左右方向で反対側の機体右側に機体前後方向で一直線上に配置された構成となっている。
【0079】
従って、ローリングシリンダ17を配置した側と機体左右方向で反対側の右側(機体のローリング制御で上下動する左後輪10と機体左右方向で反対側の右側)に畝終端センサ80及び接地センサ5R,5L下端の圃場接地部5’及び右苗植付ホッパー3が苗を植付ける位置及び右鎮圧輪4を機体前後方向で一直線上に配置することにより、ローリング制御時に機体の右側は大きく上下動しないので、畝終端センサ80にて正確な畝Aの終端を検出でき、接地センサ5R,5Lにて正確な圃場面(畝A面)の検出が行えて、ローリング制御にあまり影響を受けずに正確な畝Aの終端を検出による各部停止や報知が行え、また、適正な機体の昇降制御が行えて、適切な苗植付け深さで適切に苗の植付け作業が行える。尚、畝終端センサ80も他の部材と同様に、ボルト80aを緩めて畝終端センサ80の基部を機体左右方向に移動調節して再びボルト80aにて固定することにより、機体左右方向に位置調節をすることができる。
【符号の説明】
【0080】
2 車体
3 苗植付具
4 鎮圧輪
5R,5 接地センサ
8b 植付切換操作具(植付レバー)
80 畝検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地センサ(5R),(5L)の畝面検出により車体(2)を昇降制御すると共に鎮圧輪(4)で植付後の苗を培土する苗植機において、苗植付具(3)の駆動を断続する植付切換操作具(8b)の駆動入操作に連動して接地センサ(5R),(5L)と鎮圧輪(4)を降下接地させ、植付切換操作具(8b)の駆動切操作に連動して接地センサ(5R),(5L)と鎮圧輪(4)を上昇収納すべくした苗植機。
【請求項2】
車体(2)の左右に二つの苗植付具(3)を並設した苗植機において、それぞれの苗植付具(3)に対応して畝検出手段(80)を設け、畝検出手段(80)が畝無を検出した側の接地センサ(5R),(5L)と鎮圧輪(4)は植付切換操作具(8b)の入・切操作に関わらず常に上昇収納位置に保持すべくした請求項1に記載の苗植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−67135(P2011−67135A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220958(P2009−220958)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】