苗移植機
【課題】従来、苗移植機に代掻ローターを設けた構成は、前側に溜まる泥土が回転に伴って、走行車の外側に排出されており、隣接の植付苗列の方向に流れ出して、その苗を押し倒したり、折角植え終わった苗を浮き苗にする課題があった。
【解決手段】この発明は、上記課題を解決するために、苗植付装置の下側に設けたセンターフロート(4)の前側に、中央整地作業ロータ(5)を、左右両側のサイドフロート(6)(6)の前側には、左右整地作業ロータ(7)(7)を配置し、該3つの整地作業ロータ(5)(7)(7)は、側面視で前側に中央整地作業ロータ(5)を、後ろ側に左右整地作業ロータ(7)(7)を前後に隔てて配置し、該左右整地作業ロータ(7)(7)は、その表面に泥水案内部(8)を設けて圃場の泥水を前記センタフロート(4)側へ案内する構成とした苗移植機としている。
【解決手段】この発明は、上記課題を解決するために、苗植付装置の下側に設けたセンターフロート(4)の前側に、中央整地作業ロータ(5)を、左右両側のサイドフロート(6)(6)の前側には、左右整地作業ロータ(7)(7)を配置し、該3つの整地作業ロータ(5)(7)(7)は、側面視で前側に中央整地作業ロータ(5)を、後ろ側に左右整地作業ロータ(7)(7)を前後に隔てて配置し、該左右整地作業ロータ(7)(7)は、その表面に泥水案内部(8)を設けて圃場の泥水を前記センタフロート(4)側へ案内する構成とした苗移植機としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車輪等によって荒らされた圃場面を整地する整地作業ロータを、フロートの前側に装備した苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の代掻装置を装備した苗移植機は、既に公知の作業機として知られている。一例を示すと、耕起した圃場の表層土壌の未代掻部分を、凹凸のない状態で、かつ作物の成育条件の良い状態に代掻することができると共に、この代掻と同時に植付けを行うことができ、しかも、中間のフロートにより接地圧感知を良好に行いながら既に植付けた苗を押し倒すことがない代掻同時植付機における代掻装置が公開されている。
【0003】
上記した公開技術は、本件出願前に公開されている特開平6−125617号公開特許公報(特許文献1参照)に、図面と共につぎのとおり記載されている。すなわち、走行輪の後部に、複数の植付体と圃場面を滑走するフロート等を有する植付装置を配設し、該植付装置の前部に強制回転駆動される3個の代掻ローターを横方向に配列し、中間の代掻ローターを両側のものより前方位置に設けた代掻同時植付機における代掻装置が開示されている。
【特許文献1】特開平6−125617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のこの種装置は、上記した特許文献1に見られるように、各植付装置の前側に配置されているフロートの前方位置に代掻ローターが軸架されて強制回転駆動する構成となっているが、この代掻ローターは、圃場の表層土を代掻する機能のみで他に活用する工夫が施されていない。
【0005】
従来のフロートの前方に軸架されている代掻ローターは、回転に伴って前側に溜まる泥土が、走行車の外側に排出され、既に植付けが終わっている隣接の植付け苗列の方向に流れて、その苗を押し倒したり、折角植え終わった苗を浮き苗にする課題があった。
【0006】
特に、特許文献1で開示されている代掻同時植付機は、実施例の説明で述べられているように、代掻幅は、実質的な植付幅(植付条間隔L×条数n)より両側にそれぞれαだけ広くなる構成であるから、次の行程では代掻部分が2αだけラップすることになり、未代掻部分が残らない。と記載されているが、該公開技術の植付機によれば、植付幅より代掻幅が広いために、隣接の苗植付条列側に泥水が押し寄せる率が高くなって、その泥水に押し流されて多くの浮き苗が発生する課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、走行車体(1)の後部に昇降リンク装置(2)によって上下昇降自由に連結した苗植付装置(3)には、その下側に設けたセンターフロート(4)の前側に中央整地作業ロータ(5)を、左右両側のサイドフロート(6)の前側に左右整地作業ロータ(7)をそれぞれ配置して設け、進行方向の前側に中央整地作業ロータ(5)を後側に左右整地作業ロータ(7)をそれぞれ前後方向に隔てて配置し、該左右整地作業ロータ(7)の表面には、回転に伴ない圃場の泥水を前記センタフロート(4)側へ案内する螺旋状の泥水案内部(8)を形成した苗移植機であって、この発明は、苗移植機が走行して整地作業ロータ(5)(7)が駆動されて整地し、そのすぐ後をフロート(4)(6)が均し、その後に植付けしながら移植作業を行う工程において、左右整地作業ロータ(7)は、前方の中央位置にある中央整地作業ローター(5)の左右両端側から流れ出して押し寄せられた状態で溜まる泥水(泥土)を回転に伴い泥水安内部(8)が、走行車体(1)の内側、センターフロート(4)側に案内しながら走行する。この場合、左右整地作業ローター(7)の泥水安内部(8)で内側に案内された泥水は、センターフロート(4)と左右のサイドフロート(6)(6)との間に達して、走行車体(1)の前進に伴って、そのまま後方へ流れて排出される。
【0008】
上記の如く、この発明に係る苗移植機は、移植作業の過程において、既に植え終わっている隣接の植付苗の条列側に泥水が流れ出たり、押し寄せることはほとんどなく植付苗に悪影響を与えず、浮き苗の発生を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した発明は、苗の移植作業にあたり、3つの整地作業ロータ(5)(7)が駆動されて整地した後、3つのフロート(4)(6)がそれぞれ均しながら進んで、その後に移植苗が植付けられる。このような移植作業の工程において、左右整地作業ロータ(7)は、進行方向の前側で中央位置にある中央整地作業ローターの左右両側から排出した泥水が、押し寄せられた状態で前側に溜まるが、これを回転に伴い泥水安内部(8)によって、走行車体(1)の内側、センターフロート(4)側に案内しながら走行する特徴がある。
【0010】
この発明は、上記の如く、左右整地作業ローター(7)の泥水安内部(8)によって内側、センターフロート(4)側に案内された泥水は、センターフロート(4)と左右のサイドフロート(6)との間に達して、そのまま後方に排出される特徴があり、既に植え終わっている隣接の植付苗の条列側に泥水が勢いよく流れ出たり、押し寄せることはほとんどなく、植付苗に悪影響を与えず、浮き苗の発生を未然に防止できる特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、苗植付装置3は、図2、乃至図4に示すように、走行車体1の後部に昇降リンク装置2によって上下昇降自由に装着さた乗用型田植機が構成されている。
【0012】
そして、走行車体1は、駆動輪である左右一対の前輪10,10、及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右両側に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に前記した左右の前輪10,10が軸架されている。そして、前記ミッションケース12の背面部にメインフレーム14の前端部が固着されており、そのメインフレーム14の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース15,15から外向きに突出する後輪車軸に前記した後輪11,11が軸架されている。
【0013】
なお、図1に示す11a,11aは、左右後輪11,11の内側に装着された補助輪である。
つぎに、エンジン16は、図3に示すように、前記メインフレーム14の上に搭載されており、該エンジン16の回転動力がベルト伝動装置17、及びHST18を介して前記したミッションケース12に伝達される構成としている。そして、ミッションケース12に入力された回転動力は、該ケース内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力とに分岐されて取出す構成としている。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動する構成とし、残りが後輪ギヤケース15,15に伝達されて後輪11,11を駆動するように分配伝動する構成をとっている。
【0014】
更に、外部取出動力は、走行車体1の後部に設けた植付クラッチケース19に伝達され、それから植付伝動軸20によって苗植付装置3へ伝動される構成としている。
そして、操縦座席21は、前記エンジン16の上方を覆ったエンジンカバー22の上側に装置し、前方側には各種操作機構を有するフロントカバー23を配置し、その上方位置にステアリングハンドル25を設けて構成している。26はフロアステップ、27は後輪フェンダを示している。
【0015】
そして、走行車体1の前部左右両側には、補給用の予備苗を載置する予備苗載台28,28を機体より側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に構成している。
そして、既に述べた昇降リンク装置2は、図3、及び図4に示すように、上下リンク30,31による平行リンク機構に構成し、基部側をメインフレーム14の後端部に立設した背面視門型のリンクベースフレーム32に上下回動自由に取り付け、先端部を縦リンク33に連結して構成している。そして、苗植付装置3は、前記縦リンク33の下端部分に回転自由に挿入して連結された連結軸34を中心にしてローリング作動自在に連結した構成としている。
【0016】
そして、苗植付装置3は、図3に示すように、走行車体1の後部に装備した昇降油圧シリンダ35のピストン側を前記昇降リンク装置2に接続して設け、詳細な図示は省略したが、これの伸縮作動に伴って略一定の姿勢のまま上下に昇降する構成としている。
【0017】
つぎに、苗植付装置3は、図1、及び図2に示すように、6条植の構成で、フレームを兼ねた伝動ケース36、マット苗を載せて左右往復移動して苗を一株分づつ各条の苗取出口37に供給すると共に、横一列分の苗を全ての苗取出口37に供給する苗送りベルト38により苗を下方に移送する苗載せ台40、前記苗取出口37に供給された苗を圃場に植付ける植付杆41等を装備している。
【0018】
そして、植付杆41は、実施例の場合、ステンレス製の植付フォークからなる構成とし、スリーブとのガタをつめることが可能であって、長期間の使用にも耐え、耐錆性が高く、表面に例え傷が付いても錆が来ず、水の浸入も少ない利点がある。
【0019】
そして、苗植付装置3は、図1、乃至図3に示すように、下側の中央位置にセンターフロート4、その左右両側にサイドフロート6,6をそれぞれ配置して設け、走行車体1の前進に伴って滑走しながら植付け直前の圃場面を均平に均す構成としている。そして、各フロート4,6,6は、圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動できるように後部を枢着して支持されているが、特に、センターフロート4は、接地センサを兼ねており、詳細な説明は省略するが、前部の上下動する迎角を検出して検出情報として制御手段に入力して、苗植付装置3を昇降制御しながら苗の植付深さを常に一定に維持する構成としている。
【0020】
そして、上記3つのフロート4,6,6は、左右の中央位置で若干進行方向側に先行させて前側に位置したセンターフロート4から左右両側に泥水が後方に流動できる程度の間隔を隔ててサイドフロート6,6を配置した構成としている。
【0021】
そして、苗植付装置3は、荒れた圃場の表土を整地して均す3つの整地作業ローター5,7,7を設けるが、図1に示すように、前記センターフロート4の前側に中央整地作業ローター5を軸架して位置させ、左右両側の前記サイドフロート6,6の前側には、左右整地作業ローター7,7を軸架して位置した構成としている。
【0022】
なお、上記各整地作業ローター5,7,7は、広く知られている代掻ローター類似の構造となっており、駆動回転されて表土を整地する構成としている。
つぎに、上記3つの整地作業ローター5,7,7の支持構造について述べる。
【0023】
まず、図5に示すように、苗載せ台40の支持枠体43(左右の支柱44,44に架渡された横向きの支持杆)に基部を固着した左右アーム45,45の先端に回動自在に支持された梁部材46と両端に固着した左右支持アーム47,47と該支持アーム47,47に各々回動自在に取り付けられた左右整地作業ローター支持フレーム48,48が設けられている。そして、該左右整地作業ローター支持フレーム48,48の下端部近くは、図4で解るように、前記伝動ケース36に基部が回動自在に取り付けられた左右連結部材49,49が連結されている。
【0024】
そして、左右整地作業ローター支持フレーム48,48の下端が左右整地作業ローター7,7を回転自在に支持する部位(軸受け部)は、各左右後輪11,11の左右中心線よりも機体中央位置にずれた位置(図5参照)になっており、左右後輪11,11により掻乱された泥土面を左右整地作業ローター7,7により良好に整地され、適切な苗の移植作用が行われる構成としている。
【0025】
そして、左右整地作業ローター7,7は、図1に示すように、駆動軸50,50の内側から機体前方に向けて左右チエンケース51,51を配置し、該左右チエンケース51,51の間に中央整地作業ローター5の駆動軸52を軸支して構成している。
【0026】
そして、左チエンケース51は、図1に示すように、左後輪11の左後輪ギヤケース15内のギヤから伝動自在継手53を介して左整地作業ローター7の駆動軸50側に動力を伝達し、該左駆動軸50から左チエンケース51内のチエンにて中央整地作業ローター5の駆動軸52に伝達し、更に、駆動軸52の右端部から右チエンケース51内のチエンにて右整地作業ローター7の駆動軸50に動力を伝達する構成としている。
【0027】
そして、中央整地作業ローター5は、図5に示すように、上記梁部材46の略中間部位に基部を固着したリンク部材55の先端に上下方向の支持部材56を回動自在に連結し、図4に示すように、該支持部材56に設けた複数の係合孔(調節孔)57,57,57に上部を係合させたスプリング58の下端部を中央整地作業ローター5の後部に接続して左右の中心部位で吊下げられた構成としている。
【0028】
つぎに、整地作業ローター5,7,7を上下位置調節、及び収納位置に操作する構成を、図5に基づいて説明する。
まず、苗載せ台40の前記支持枠体43の左右方向中央部に基部を固着して下方に向けて設けたコ字状支持体59に、機体前方に向けた枢支ピン60を固着し、該枢支ピン60に整地作業ローター5,7,7の上下位置調節レバー61を機体左右方向に回動操作自在に枢支している。そして、該上下位置調節レバー61の下端部には、折曲片62が固着されており、レバー61を機体の左右方向に操作すると、該折曲片62が、回動自在に支持されている梁部材46に固着された突出部63に下方から接当して上下方向に回動する構成となっている。
【0029】
そして、折曲片62は、前記突出部63の下側に接当しているので、該突出部63が、上下位置調節レバー61の機体右方(図5の矢印S方向)の回動で、上向きに梁部材46を中心として回動する構成としている。
【0030】
そして、前記梁部材46の上向き回動により左右支持アーム47,47と左右整地作業ローター支持フレーム48,48とが上向きの回動により左右整地作業ローター7,7は、上方に移動し、且つ、梁部材46に基部が固着されているリンク部材55と支持部材56も上方に移動し、スプリング58を介して中央整地作業ローター5の前部も上方に吊り上げられる構成となっている。
【0031】
逆に、前記上下位置調節レバー61を、前記矢印Sの反対方向に回動操作すると、折曲片62は、突出部63の下側から右側に離れるので整地作業ローター5,7,7の重みで梁部材46を中心に下向きに回動するから、3つの整地作業ローター5,7,7は、全て、下方に移動する構成になっている。
【0032】
そして、前記上下位置調節レバー61は、苗植付装置3の中央位置で操縦座席21と苗載せ台40との間に配置された構成となっている。
又、整地作業ローター5,7,7は、整地しない収納位置まで上動させるときには、前記レバー61を、大きく右方向(収納位置まで)に操作すると、既に説明した上動操作と同じ要領で,苗載せ台40の裏側の収納位置まで上昇させることができる構成としている。なお、上下位置調節レバー61は、案内位置に設けたレバーガイドに沿って移動操作し、途中の適宜位置で係止できる構成としている。
【0033】
以上、説明した実施例は、上下位置調節レバー61の標準位置で圃場面より40mmの高さにある左右整地作業ローター7,7を、図5の矢印S方向への回動操作で標準位置より最大15mm高くなり、矢印Sの逆方向への回動操作で最大15mm低くなる設定としている。この整地作業ローター5,7,7の上下調節は、フロート4,6,6の後部回動支点を上下動させて苗の植付深さの変更を行う際に、同時に行って、適正な整地作用ができるように操作するものとしている。
【0034】
そして、左右整地作業ローター7,7は、図1に示すように、外周面に螺旋状に形成した泥水案内部8を設け、駆動回転に伴って泥水(泥土)に作用しながら強制的に走行車体1の内側、すなわち、左右両側からセンターフロート4側へ案内する構成としている。この場合、圃場で発生する泥水は、走行車体1が前進すると進行方向の前側に位置する中央整地作業ローター5の代掻き作用に伴って、そのローター5の左右両端部分から両側整地作業ローター7,7の前方に流れ出してくる。そして、左右整地作業ローター7,7は、前側に流れ出してきた泥水を受け止める状態になるが、そのとき、回転駆動によって外周面の泥水安内部8が泥水に作用し、螺旋による誘導作用が働いて内側、センターフロート4側に送り出しながら前進する。そして、泥水は、流動する泥土と共にセンターフロート4の外縁に達し、サイドフロート6,6との間に形成されている空間部を後方側に流れながら排出されることになる。
【0035】
このように、実施例の苗移植機は、走行車体1が前進しながら苗の移植作業を行うにあたり、3つの整地作業ロータ5,7,7が駆動されて圃場表面を整地した後、各フロート4,6,6がそれぞれ均しながら進んで、その後に苗載せ台40の苗を植付杆41が植付ける。その移植作業の過程において、左右整地作業ロータ7,7は、進行方向の前側で中央位置にある中央整地作業ローター5の左右両側から排出した泥水、更にはセンターフロート4の側縁から外側に湧き出す泥土も加わり、押し寄せられた状態で前側に溜まるが、これを回転に伴い螺旋状の泥水安内部8が強制的に案内して、走行車体1の内側、センターフロート4側に送る。
【0036】
このようにして内側のセンターフロート4側に案内された泥水は、センターフロート4と左右のサイドフロート6,6との間に達して、そのまま両フロート間を、車体1の前進も関与して後方に流れて排出されるのである。したがって、各ローターやフロートの前進移動と整地作用に伴って発生した多量の泥水は、車体1の外側で、既に植え終わっている隣接の植付苗の条列側に勢いよく流れ出たり、押し寄せることはほとんどなく、植付苗に悪影響を与えず、浮き苗の発生を未然に防止できる。
【0037】
なお、泥土安内部8は、図1に示すように、実施例の構成では螺旋状に製作しているが、これは螺旋形状に拘ることはなく、代掻き作用と泥土の送り作用ができる形状であれば、羽根状等に形成するのは自由である。
【0038】
つぎに、整地作業ローター7の実施例を、図6に基づいて説明する。
まず、整地作業ローター7は、図面に示すように、中心の角軸65に抜き差し自由で分割式として側部に形成したラッチ爪66によって相互に係合するローター片67を組み合わせて構成している。そして、カラー68は、半割り片68a,68bとを合わせて結合する構成として左右にラッチ爪66を形成して、角軸65に一方側から挿し込んでいるローター片67,67の間に外側から合わせて組み込みができる構成としている。この場合、カラー68は、各ローター片67の任意の位置に挿入してラッチ爪66を係合させて取り付けることができる構成としている。
【0039】
以上のように構成した整地作業ローター7は、代掻作業で巻き付いた藁屑の取り除きや、メンテナンスを行う場合には、まず、角軸65上のローター片67を、軸方向に若干移動させてカラー68が外側に抜き取りできるスペースを作り、半割に構成しているカラー68a,68bを分離して外側に外す。すると、角軸65は、軸上にカラー68分の空間ができるため、各ローター片67を左右に移動できるから絡まっている藁屑を取り除いたりメンテナンスが自由にできる。
【0040】
このように実施例は、各ローター片67がラッチ爪66で噛み合っているから、中心部の角軸65に藁くずが直接巻き付くことはなく、しかも、各ローター片67がラッチ爪66で強固に結合して一体構成となっているから、過負荷による破損や磨耗が少なくなる特徴がある。
【0041】
つぎに、苗移植機のスイッチについて、図7に基づき実施例を説明する。
通常、苗移植機は、電気的に切替操作を行うためのスイッチ類が多く、これらを個別に製作すると、スイッチ類の数が増えてコスト高となり、操作パネル(メータパネル)上の配置においても煩雑になってデザイン上の美観を損なう課題があった。
【0042】
そこで、実施例は、図7に示すように、ライトスイッチ70、方向指示器左右切替スイッチ71、ホーンスイッチ72の3個の各スイッチ類を一つにまとめて構成している。そして、方向指示器左右切替スイッチ71は、線引きマーカースイッチ73と兼用にして、作業中に、これの左右切替操作で線引きマーカーの切替ができる構成としている。そして、前記ホーンスイッチ72は、施肥機仕様の苗移植機の場合、施肥機警報ブザー停止スイッチ74として使用できる構成としている。
【0043】
そして、前記ホーンスイッチ72は、植付クラッチが切りの状態にあって、しかも、施肥機警報ブザーが切れているときには、通常のホーンスイッチとして使用できる構成となっている。
【0044】
このように、実施例の各スイッチ70,71,72は、近似した機能装置のスイッチ73,74を兼用としてスイッチの数を減らしてコスト低減と、操作パネル上のデザイン性の向上を図ったものである。
【0045】
つぎに、植付杆41について、図8、乃至図10に基づいて実施例を説明する。
まず、植付杆41は、左右の保持爪で苗を保持した状態で植付軌跡を描きながら圃場面に達すると、内部の押出しフォーク76が下方(外側)に移動して保持苗を押し出して圃場面に植えつける構成となっている。従来の押し出しフォーク76は、図8の従来図に示すように、植付ケース77のグリス溜78の底面78aとスリーブ79の上端面79aとを平らに揃えて形成し、フォークの上下移動に伴ってグリスがスリーブ79の内側に沿って外側に流れ出す損失が発生していた。
【0046】
それに対して、この出願の実施例は、図9、及び図10に示すように、スリーブ79の上端面79aをグリス溜78の底面78aより高く形成している。そして、スリーブ79は、図10に示す実施例にあっては、上端部を斜めにカットして形成し、グリスをケース側に還流する構成としている。
【0047】
以上のように構成すると、押し出しフォーク76は、苗押し出し作用時に下方への摺動に伴なってグリスの機外への連れ出す量を大幅に少なくして、植付杆41の寿命を長くすることができる特徴がある。
【0048】
つぎに、苗移植機において、発進時、及び停車時に走行車体1に発生する衝撃を緩めて同乗している作業者へのショックを和らげて、転落を未然に防止する実施例を、図11、及び図12に基づいて説明する。
【0049】
従来からこの種の苗移植機は、予備苗載せ台から苗載せ台40に苗の補給をする補助作業者が同乗して作業を行うことが知られている。この補助作業者は、運転操作には関与しないから、発進時に急発進したり、停車時に急激に停車して車体に衝撃が発生すると、体がショックを受けて車体1から落下する恐れがあり、これを未然に防止せんとするのが本実施例である。
【0050】
実施例は、補助者用のシート80、又はステップ81に搭乗者検出センサ82を設けて、補助作業者が乗っているとき検出できる構成にしている。そして、エンジン16は、上記センサ82が補助作業者を検出しているときには、図12に2点鎖線で示すように、通常の回転速度より低速で駆動するようにエンジン制御が働く構成としている。
【0051】
このように構成すると、苗移植機は、補助作業者が同乗しているときには、スタート時の速度が制御されてゆっくり発進して、走行車体1の衝撃が少ないから、同乗している補助作業者が落下したりすることなく、安全に走行することができる。
【0052】
そして、実施例の構成は、前記センサ82が補助者を検出すると、車体のスタート時の速度を遅くするだけでなく、高速走行から急に停車するのではなく、ゆっくり停車して同乗している補助作業者を保護することができる。
【0053】
つぎに、苗移植機に搭載しているHSTの良否を判定する方法について実施例を説明する。走行車体1に搭載している油圧式無段変速装置、通称HSTは、シリンダー部の焼き付きによって作業の継続ができなくなる場合がある。この実施例は、圧力検出器が検出する信号に、シリンダーの作動に起因する圧力を検出して良否の指標として判定する方法である。
【0054】
このように、圧力検出器で検出した圧力を、HSTの検査システムに用いることによって、事前に良否の判定を行い、実作業時の不具合を未然に予測して防止することを目的とするものである。
【0055】
まず、HSTに油圧検出器を設け、検出器の信号に含まれている任意に設定したHSTの内部の可動部の動きに基づいて出力される圧力信号の抽出処理部を設け、その圧力の特性値を基準に良否の判定を行う方法である。
【0056】
例えば、測定結果の一例を挙げると、図13のパワースペクトルが示すように、出力側(2241Hz)と入力側(2687Hz)との圧力差が小さい場合、良品であると判定できる。そして、図14のパワースペクトルが示すように、両者の圧力の差が大きい場合、焼付品のおそれが高く、注意を要するものと判定する。
【0057】
そして、図15に示すパワースペクトル値の具体的数値を示しているが、これらは実測に基づくもので油圧モーター側の検出値が、油圧ポンプ側の検出値に対比して比率が大きいほど焼き付きの恐れが高いことを表している。
【0058】
そして、HST内部の可動部の動きによる圧力信号を、バンドパスフィルターによって、抽出を行う方法である。この場合、バンドパスフィルターは、ソフト、又はハードのどちらで構成しても良い。
【0059】
上記によれば、HST内部の機構部品の動きに起因する圧力情報のみを抽出することができるため、HST内部の機構部品の動きを精度良く測定できる特徴がある。
そして、他の圧力信号抽出装置として、複数のバンドパスフィルターを用いる方法がある。
【0060】
HSTは、入力軸と出力軸との回転数の差が小さいために、それぞれのシリンダ回転周波数の差も小さくなる。実施例は、それぞれのシリンダ回転周波数の圧力信号を帯域の重ならないフィルターを構成し、抽出を行うために精度の良い測定が出来る特徴がある。
【0061】
つぎに、育苗マットについて、図17に基づいて実施例を説明する。
実施例は、予め、肥料成分を吸収させた吸水ポリマー85を、混ぜ合わせて育苗培土86を精製しておき、この培土86を育苗トレー87に充填して、播種して育苗するものである。この場合、吸水ポリマー85は、例えば、多糖類をベースにして作ったものなどが適当である。
【0062】
このようにして育苗すると、育苗の過程において、肥料成分は、吸収ポリマー85から容易に溶出しないために、苗の方が必要な量を吸収できることになる。
したがって、肥料成分は、余分に溶出して環境を汚染することはなくなり、一方、苗の肥料吸収力を強くするから、強い苗を育てることが出来る特徴がある。
【0063】
更に、育苗中の水の管理は、吸水ポリマー85の保水作用によって、植え付けまでの水管理が楽になる特徴もある。
つぎに、二連の植付杆14を装備した植付ケース90の取付メタル91について、図18、乃至図20に基づいて実施例を説明する。
【0064】
従来の取付メタルMは、図18の従来図に示すように、取付面を120度ごとに3分割し、凸部Pと凹部Hとで形成し、これに植付ケース90のサンギヤ92を係合して固定状態に取り付ける構成としている。この従来の構成は、凸部Pと凹部Hとが3箇所あって、取付位置を間違えて取り付けて位相が合わない課題があった。しかも、従来型は、植付伝動ケース95の左右両側で使用する取付メタルM、Mの構成が同一でないために、別々に鋳物型で製作する必要があった。
【0065】
それに対して、実施例の取付メタル91は、図19に示すように、非対称にした2つの凸部93と凹部94とを設け、植付伝動ケース95の側面に固着する構成としている。この場合、取付メタル91は、図20に示すように、植付伝動ケース95の側面にねじ締めで固着し、植付伝動軸96を挿し通した状態に設け、凸部93と凹部94とにサンギヤ92を嵌合して固定状態に取り付けている。そして、植付杆41は、上記サンギヤ92に噛合っている偏芯ギヤ97から伝動ギヤ98を介して伝動され、植付伝動軸96の駆動によって植付軌跡を描きながら回動し、圃場面に達すると、押出杆が働いて苗を圃場面に植えつける構成としている。
【0066】
以上のように、実施例は、凸部93と凹部94とを設けた取付メタル91を、従来のように、左右対称に形成する必要がなく、同一型で左右両側に使用できるから製作にあたっても木型(鋳物型)を減らすことができる利点があり、取付作業も誤って組立てることがなくなった特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明の要部の平面図
【図2】苗移植機の平面図
【図3】苗移植機の側面図
【図4】苗移植装置の側面図
【図5】整地作業ローターの支持装置
【図6】整地作業ローターの別実施例の断面図
【図7】スイッチの斜面図
【図8】従来の植付杆の断面図
【図9】植付杆の断面図
【図10】図9の別実施例の拡大図
【図11】乗用型苗移植機の側面図
【図12】エンジン回転数を示すグラフ
【図13】パワースペクトル検出グラフ
【図14】パワースペクトル検出グラフ
【図15】パワースペクトル値(検出データ)
【図16】検出周波数のグラフ
【図17】育苗トレーの断面図
【図18】従来の取付メタルの斜面図
【図19】実施例の取付メタルの斜面図
【図20】植付ケースの一部断面した平面図。
【符号の説明】
【0068】
1 走行車体 2 昇降リンク装置
3 苗植付装置 4 センターフロート
5 中央整地作業ローター 6 サイドフロート
7 左右整地作業ローター 8 泥水案内部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、車輪等によって荒らされた圃場面を整地する整地作業ロータを、フロートの前側に装備した苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の代掻装置を装備した苗移植機は、既に公知の作業機として知られている。一例を示すと、耕起した圃場の表層土壌の未代掻部分を、凹凸のない状態で、かつ作物の成育条件の良い状態に代掻することができると共に、この代掻と同時に植付けを行うことができ、しかも、中間のフロートにより接地圧感知を良好に行いながら既に植付けた苗を押し倒すことがない代掻同時植付機における代掻装置が公開されている。
【0003】
上記した公開技術は、本件出願前に公開されている特開平6−125617号公開特許公報(特許文献1参照)に、図面と共につぎのとおり記載されている。すなわち、走行輪の後部に、複数の植付体と圃場面を滑走するフロート等を有する植付装置を配設し、該植付装置の前部に強制回転駆動される3個の代掻ローターを横方向に配列し、中間の代掻ローターを両側のものより前方位置に設けた代掻同時植付機における代掻装置が開示されている。
【特許文献1】特開平6−125617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のこの種装置は、上記した特許文献1に見られるように、各植付装置の前側に配置されているフロートの前方位置に代掻ローターが軸架されて強制回転駆動する構成となっているが、この代掻ローターは、圃場の表層土を代掻する機能のみで他に活用する工夫が施されていない。
【0005】
従来のフロートの前方に軸架されている代掻ローターは、回転に伴って前側に溜まる泥土が、走行車の外側に排出され、既に植付けが終わっている隣接の植付け苗列の方向に流れて、その苗を押し倒したり、折角植え終わった苗を浮き苗にする課題があった。
【0006】
特に、特許文献1で開示されている代掻同時植付機は、実施例の説明で述べられているように、代掻幅は、実質的な植付幅(植付条間隔L×条数n)より両側にそれぞれαだけ広くなる構成であるから、次の行程では代掻部分が2αだけラップすることになり、未代掻部分が残らない。と記載されているが、該公開技術の植付機によれば、植付幅より代掻幅が広いために、隣接の苗植付条列側に泥水が押し寄せる率が高くなって、その泥水に押し流されて多くの浮き苗が発生する課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、走行車体(1)の後部に昇降リンク装置(2)によって上下昇降自由に連結した苗植付装置(3)には、その下側に設けたセンターフロート(4)の前側に中央整地作業ロータ(5)を、左右両側のサイドフロート(6)の前側に左右整地作業ロータ(7)をそれぞれ配置して設け、進行方向の前側に中央整地作業ロータ(5)を後側に左右整地作業ロータ(7)をそれぞれ前後方向に隔てて配置し、該左右整地作業ロータ(7)の表面には、回転に伴ない圃場の泥水を前記センタフロート(4)側へ案内する螺旋状の泥水案内部(8)を形成した苗移植機であって、この発明は、苗移植機が走行して整地作業ロータ(5)(7)が駆動されて整地し、そのすぐ後をフロート(4)(6)が均し、その後に植付けしながら移植作業を行う工程において、左右整地作業ロータ(7)は、前方の中央位置にある中央整地作業ローター(5)の左右両端側から流れ出して押し寄せられた状態で溜まる泥水(泥土)を回転に伴い泥水安内部(8)が、走行車体(1)の内側、センターフロート(4)側に案内しながら走行する。この場合、左右整地作業ローター(7)の泥水安内部(8)で内側に案内された泥水は、センターフロート(4)と左右のサイドフロート(6)(6)との間に達して、走行車体(1)の前進に伴って、そのまま後方へ流れて排出される。
【0008】
上記の如く、この発明に係る苗移植機は、移植作業の過程において、既に植え終わっている隣接の植付苗の条列側に泥水が流れ出たり、押し寄せることはほとんどなく植付苗に悪影響を与えず、浮き苗の発生を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した発明は、苗の移植作業にあたり、3つの整地作業ロータ(5)(7)が駆動されて整地した後、3つのフロート(4)(6)がそれぞれ均しながら進んで、その後に移植苗が植付けられる。このような移植作業の工程において、左右整地作業ロータ(7)は、進行方向の前側で中央位置にある中央整地作業ローターの左右両側から排出した泥水が、押し寄せられた状態で前側に溜まるが、これを回転に伴い泥水安内部(8)によって、走行車体(1)の内側、センターフロート(4)側に案内しながら走行する特徴がある。
【0010】
この発明は、上記の如く、左右整地作業ローター(7)の泥水安内部(8)によって内側、センターフロート(4)側に案内された泥水は、センターフロート(4)と左右のサイドフロート(6)との間に達して、そのまま後方に排出される特徴があり、既に植え終わっている隣接の植付苗の条列側に泥水が勢いよく流れ出たり、押し寄せることはほとんどなく、植付苗に悪影響を与えず、浮き苗の発生を未然に防止できる特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、苗植付装置3は、図2、乃至図4に示すように、走行車体1の後部に昇降リンク装置2によって上下昇降自由に装着さた乗用型田植機が構成されている。
【0012】
そして、走行車体1は、駆動輪である左右一対の前輪10,10、及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右両側に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に前記した左右の前輪10,10が軸架されている。そして、前記ミッションケース12の背面部にメインフレーム14の前端部が固着されており、そのメインフレーム14の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース15,15から外向きに突出する後輪車軸に前記した後輪11,11が軸架されている。
【0013】
なお、図1に示す11a,11aは、左右後輪11,11の内側に装着された補助輪である。
つぎに、エンジン16は、図3に示すように、前記メインフレーム14の上に搭載されており、該エンジン16の回転動力がベルト伝動装置17、及びHST18を介して前記したミッションケース12に伝達される構成としている。そして、ミッションケース12に入力された回転動力は、該ケース内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力とに分岐されて取出す構成としている。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動する構成とし、残りが後輪ギヤケース15,15に伝達されて後輪11,11を駆動するように分配伝動する構成をとっている。
【0014】
更に、外部取出動力は、走行車体1の後部に設けた植付クラッチケース19に伝達され、それから植付伝動軸20によって苗植付装置3へ伝動される構成としている。
そして、操縦座席21は、前記エンジン16の上方を覆ったエンジンカバー22の上側に装置し、前方側には各種操作機構を有するフロントカバー23を配置し、その上方位置にステアリングハンドル25を設けて構成している。26はフロアステップ、27は後輪フェンダを示している。
【0015】
そして、走行車体1の前部左右両側には、補給用の予備苗を載置する予備苗載台28,28を機体より側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に構成している。
そして、既に述べた昇降リンク装置2は、図3、及び図4に示すように、上下リンク30,31による平行リンク機構に構成し、基部側をメインフレーム14の後端部に立設した背面視門型のリンクベースフレーム32に上下回動自由に取り付け、先端部を縦リンク33に連結して構成している。そして、苗植付装置3は、前記縦リンク33の下端部分に回転自由に挿入して連結された連結軸34を中心にしてローリング作動自在に連結した構成としている。
【0016】
そして、苗植付装置3は、図3に示すように、走行車体1の後部に装備した昇降油圧シリンダ35のピストン側を前記昇降リンク装置2に接続して設け、詳細な図示は省略したが、これの伸縮作動に伴って略一定の姿勢のまま上下に昇降する構成としている。
【0017】
つぎに、苗植付装置3は、図1、及び図2に示すように、6条植の構成で、フレームを兼ねた伝動ケース36、マット苗を載せて左右往復移動して苗を一株分づつ各条の苗取出口37に供給すると共に、横一列分の苗を全ての苗取出口37に供給する苗送りベルト38により苗を下方に移送する苗載せ台40、前記苗取出口37に供給された苗を圃場に植付ける植付杆41等を装備している。
【0018】
そして、植付杆41は、実施例の場合、ステンレス製の植付フォークからなる構成とし、スリーブとのガタをつめることが可能であって、長期間の使用にも耐え、耐錆性が高く、表面に例え傷が付いても錆が来ず、水の浸入も少ない利点がある。
【0019】
そして、苗植付装置3は、図1、乃至図3に示すように、下側の中央位置にセンターフロート4、その左右両側にサイドフロート6,6をそれぞれ配置して設け、走行車体1の前進に伴って滑走しながら植付け直前の圃場面を均平に均す構成としている。そして、各フロート4,6,6は、圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動できるように後部を枢着して支持されているが、特に、センターフロート4は、接地センサを兼ねており、詳細な説明は省略するが、前部の上下動する迎角を検出して検出情報として制御手段に入力して、苗植付装置3を昇降制御しながら苗の植付深さを常に一定に維持する構成としている。
【0020】
そして、上記3つのフロート4,6,6は、左右の中央位置で若干進行方向側に先行させて前側に位置したセンターフロート4から左右両側に泥水が後方に流動できる程度の間隔を隔ててサイドフロート6,6を配置した構成としている。
【0021】
そして、苗植付装置3は、荒れた圃場の表土を整地して均す3つの整地作業ローター5,7,7を設けるが、図1に示すように、前記センターフロート4の前側に中央整地作業ローター5を軸架して位置させ、左右両側の前記サイドフロート6,6の前側には、左右整地作業ローター7,7を軸架して位置した構成としている。
【0022】
なお、上記各整地作業ローター5,7,7は、広く知られている代掻ローター類似の構造となっており、駆動回転されて表土を整地する構成としている。
つぎに、上記3つの整地作業ローター5,7,7の支持構造について述べる。
【0023】
まず、図5に示すように、苗載せ台40の支持枠体43(左右の支柱44,44に架渡された横向きの支持杆)に基部を固着した左右アーム45,45の先端に回動自在に支持された梁部材46と両端に固着した左右支持アーム47,47と該支持アーム47,47に各々回動自在に取り付けられた左右整地作業ローター支持フレーム48,48が設けられている。そして、該左右整地作業ローター支持フレーム48,48の下端部近くは、図4で解るように、前記伝動ケース36に基部が回動自在に取り付けられた左右連結部材49,49が連結されている。
【0024】
そして、左右整地作業ローター支持フレーム48,48の下端が左右整地作業ローター7,7を回転自在に支持する部位(軸受け部)は、各左右後輪11,11の左右中心線よりも機体中央位置にずれた位置(図5参照)になっており、左右後輪11,11により掻乱された泥土面を左右整地作業ローター7,7により良好に整地され、適切な苗の移植作用が行われる構成としている。
【0025】
そして、左右整地作業ローター7,7は、図1に示すように、駆動軸50,50の内側から機体前方に向けて左右チエンケース51,51を配置し、該左右チエンケース51,51の間に中央整地作業ローター5の駆動軸52を軸支して構成している。
【0026】
そして、左チエンケース51は、図1に示すように、左後輪11の左後輪ギヤケース15内のギヤから伝動自在継手53を介して左整地作業ローター7の駆動軸50側に動力を伝達し、該左駆動軸50から左チエンケース51内のチエンにて中央整地作業ローター5の駆動軸52に伝達し、更に、駆動軸52の右端部から右チエンケース51内のチエンにて右整地作業ローター7の駆動軸50に動力を伝達する構成としている。
【0027】
そして、中央整地作業ローター5は、図5に示すように、上記梁部材46の略中間部位に基部を固着したリンク部材55の先端に上下方向の支持部材56を回動自在に連結し、図4に示すように、該支持部材56に設けた複数の係合孔(調節孔)57,57,57に上部を係合させたスプリング58の下端部を中央整地作業ローター5の後部に接続して左右の中心部位で吊下げられた構成としている。
【0028】
つぎに、整地作業ローター5,7,7を上下位置調節、及び収納位置に操作する構成を、図5に基づいて説明する。
まず、苗載せ台40の前記支持枠体43の左右方向中央部に基部を固着して下方に向けて設けたコ字状支持体59に、機体前方に向けた枢支ピン60を固着し、該枢支ピン60に整地作業ローター5,7,7の上下位置調節レバー61を機体左右方向に回動操作自在に枢支している。そして、該上下位置調節レバー61の下端部には、折曲片62が固着されており、レバー61を機体の左右方向に操作すると、該折曲片62が、回動自在に支持されている梁部材46に固着された突出部63に下方から接当して上下方向に回動する構成となっている。
【0029】
そして、折曲片62は、前記突出部63の下側に接当しているので、該突出部63が、上下位置調節レバー61の機体右方(図5の矢印S方向)の回動で、上向きに梁部材46を中心として回動する構成としている。
【0030】
そして、前記梁部材46の上向き回動により左右支持アーム47,47と左右整地作業ローター支持フレーム48,48とが上向きの回動により左右整地作業ローター7,7は、上方に移動し、且つ、梁部材46に基部が固着されているリンク部材55と支持部材56も上方に移動し、スプリング58を介して中央整地作業ローター5の前部も上方に吊り上げられる構成となっている。
【0031】
逆に、前記上下位置調節レバー61を、前記矢印Sの反対方向に回動操作すると、折曲片62は、突出部63の下側から右側に離れるので整地作業ローター5,7,7の重みで梁部材46を中心に下向きに回動するから、3つの整地作業ローター5,7,7は、全て、下方に移動する構成になっている。
【0032】
そして、前記上下位置調節レバー61は、苗植付装置3の中央位置で操縦座席21と苗載せ台40との間に配置された構成となっている。
又、整地作業ローター5,7,7は、整地しない収納位置まで上動させるときには、前記レバー61を、大きく右方向(収納位置まで)に操作すると、既に説明した上動操作と同じ要領で,苗載せ台40の裏側の収納位置まで上昇させることができる構成としている。なお、上下位置調節レバー61は、案内位置に設けたレバーガイドに沿って移動操作し、途中の適宜位置で係止できる構成としている。
【0033】
以上、説明した実施例は、上下位置調節レバー61の標準位置で圃場面より40mmの高さにある左右整地作業ローター7,7を、図5の矢印S方向への回動操作で標準位置より最大15mm高くなり、矢印Sの逆方向への回動操作で最大15mm低くなる設定としている。この整地作業ローター5,7,7の上下調節は、フロート4,6,6の後部回動支点を上下動させて苗の植付深さの変更を行う際に、同時に行って、適正な整地作用ができるように操作するものとしている。
【0034】
そして、左右整地作業ローター7,7は、図1に示すように、外周面に螺旋状に形成した泥水案内部8を設け、駆動回転に伴って泥水(泥土)に作用しながら強制的に走行車体1の内側、すなわち、左右両側からセンターフロート4側へ案内する構成としている。この場合、圃場で発生する泥水は、走行車体1が前進すると進行方向の前側に位置する中央整地作業ローター5の代掻き作用に伴って、そのローター5の左右両端部分から両側整地作業ローター7,7の前方に流れ出してくる。そして、左右整地作業ローター7,7は、前側に流れ出してきた泥水を受け止める状態になるが、そのとき、回転駆動によって外周面の泥水安内部8が泥水に作用し、螺旋による誘導作用が働いて内側、センターフロート4側に送り出しながら前進する。そして、泥水は、流動する泥土と共にセンターフロート4の外縁に達し、サイドフロート6,6との間に形成されている空間部を後方側に流れながら排出されることになる。
【0035】
このように、実施例の苗移植機は、走行車体1が前進しながら苗の移植作業を行うにあたり、3つの整地作業ロータ5,7,7が駆動されて圃場表面を整地した後、各フロート4,6,6がそれぞれ均しながら進んで、その後に苗載せ台40の苗を植付杆41が植付ける。その移植作業の過程において、左右整地作業ロータ7,7は、進行方向の前側で中央位置にある中央整地作業ローター5の左右両側から排出した泥水、更にはセンターフロート4の側縁から外側に湧き出す泥土も加わり、押し寄せられた状態で前側に溜まるが、これを回転に伴い螺旋状の泥水安内部8が強制的に案内して、走行車体1の内側、センターフロート4側に送る。
【0036】
このようにして内側のセンターフロート4側に案内された泥水は、センターフロート4と左右のサイドフロート6,6との間に達して、そのまま両フロート間を、車体1の前進も関与して後方に流れて排出されるのである。したがって、各ローターやフロートの前進移動と整地作用に伴って発生した多量の泥水は、車体1の外側で、既に植え終わっている隣接の植付苗の条列側に勢いよく流れ出たり、押し寄せることはほとんどなく、植付苗に悪影響を与えず、浮き苗の発生を未然に防止できる。
【0037】
なお、泥土安内部8は、図1に示すように、実施例の構成では螺旋状に製作しているが、これは螺旋形状に拘ることはなく、代掻き作用と泥土の送り作用ができる形状であれば、羽根状等に形成するのは自由である。
【0038】
つぎに、整地作業ローター7の実施例を、図6に基づいて説明する。
まず、整地作業ローター7は、図面に示すように、中心の角軸65に抜き差し自由で分割式として側部に形成したラッチ爪66によって相互に係合するローター片67を組み合わせて構成している。そして、カラー68は、半割り片68a,68bとを合わせて結合する構成として左右にラッチ爪66を形成して、角軸65に一方側から挿し込んでいるローター片67,67の間に外側から合わせて組み込みができる構成としている。この場合、カラー68は、各ローター片67の任意の位置に挿入してラッチ爪66を係合させて取り付けることができる構成としている。
【0039】
以上のように構成した整地作業ローター7は、代掻作業で巻き付いた藁屑の取り除きや、メンテナンスを行う場合には、まず、角軸65上のローター片67を、軸方向に若干移動させてカラー68が外側に抜き取りできるスペースを作り、半割に構成しているカラー68a,68bを分離して外側に外す。すると、角軸65は、軸上にカラー68分の空間ができるため、各ローター片67を左右に移動できるから絡まっている藁屑を取り除いたりメンテナンスが自由にできる。
【0040】
このように実施例は、各ローター片67がラッチ爪66で噛み合っているから、中心部の角軸65に藁くずが直接巻き付くことはなく、しかも、各ローター片67がラッチ爪66で強固に結合して一体構成となっているから、過負荷による破損や磨耗が少なくなる特徴がある。
【0041】
つぎに、苗移植機のスイッチについて、図7に基づき実施例を説明する。
通常、苗移植機は、電気的に切替操作を行うためのスイッチ類が多く、これらを個別に製作すると、スイッチ類の数が増えてコスト高となり、操作パネル(メータパネル)上の配置においても煩雑になってデザイン上の美観を損なう課題があった。
【0042】
そこで、実施例は、図7に示すように、ライトスイッチ70、方向指示器左右切替スイッチ71、ホーンスイッチ72の3個の各スイッチ類を一つにまとめて構成している。そして、方向指示器左右切替スイッチ71は、線引きマーカースイッチ73と兼用にして、作業中に、これの左右切替操作で線引きマーカーの切替ができる構成としている。そして、前記ホーンスイッチ72は、施肥機仕様の苗移植機の場合、施肥機警報ブザー停止スイッチ74として使用できる構成としている。
【0043】
そして、前記ホーンスイッチ72は、植付クラッチが切りの状態にあって、しかも、施肥機警報ブザーが切れているときには、通常のホーンスイッチとして使用できる構成となっている。
【0044】
このように、実施例の各スイッチ70,71,72は、近似した機能装置のスイッチ73,74を兼用としてスイッチの数を減らしてコスト低減と、操作パネル上のデザイン性の向上を図ったものである。
【0045】
つぎに、植付杆41について、図8、乃至図10に基づいて実施例を説明する。
まず、植付杆41は、左右の保持爪で苗を保持した状態で植付軌跡を描きながら圃場面に達すると、内部の押出しフォーク76が下方(外側)に移動して保持苗を押し出して圃場面に植えつける構成となっている。従来の押し出しフォーク76は、図8の従来図に示すように、植付ケース77のグリス溜78の底面78aとスリーブ79の上端面79aとを平らに揃えて形成し、フォークの上下移動に伴ってグリスがスリーブ79の内側に沿って外側に流れ出す損失が発生していた。
【0046】
それに対して、この出願の実施例は、図9、及び図10に示すように、スリーブ79の上端面79aをグリス溜78の底面78aより高く形成している。そして、スリーブ79は、図10に示す実施例にあっては、上端部を斜めにカットして形成し、グリスをケース側に還流する構成としている。
【0047】
以上のように構成すると、押し出しフォーク76は、苗押し出し作用時に下方への摺動に伴なってグリスの機外への連れ出す量を大幅に少なくして、植付杆41の寿命を長くすることができる特徴がある。
【0048】
つぎに、苗移植機において、発進時、及び停車時に走行車体1に発生する衝撃を緩めて同乗している作業者へのショックを和らげて、転落を未然に防止する実施例を、図11、及び図12に基づいて説明する。
【0049】
従来からこの種の苗移植機は、予備苗載せ台から苗載せ台40に苗の補給をする補助作業者が同乗して作業を行うことが知られている。この補助作業者は、運転操作には関与しないから、発進時に急発進したり、停車時に急激に停車して車体に衝撃が発生すると、体がショックを受けて車体1から落下する恐れがあり、これを未然に防止せんとするのが本実施例である。
【0050】
実施例は、補助者用のシート80、又はステップ81に搭乗者検出センサ82を設けて、補助作業者が乗っているとき検出できる構成にしている。そして、エンジン16は、上記センサ82が補助作業者を検出しているときには、図12に2点鎖線で示すように、通常の回転速度より低速で駆動するようにエンジン制御が働く構成としている。
【0051】
このように構成すると、苗移植機は、補助作業者が同乗しているときには、スタート時の速度が制御されてゆっくり発進して、走行車体1の衝撃が少ないから、同乗している補助作業者が落下したりすることなく、安全に走行することができる。
【0052】
そして、実施例の構成は、前記センサ82が補助者を検出すると、車体のスタート時の速度を遅くするだけでなく、高速走行から急に停車するのではなく、ゆっくり停車して同乗している補助作業者を保護することができる。
【0053】
つぎに、苗移植機に搭載しているHSTの良否を判定する方法について実施例を説明する。走行車体1に搭載している油圧式無段変速装置、通称HSTは、シリンダー部の焼き付きによって作業の継続ができなくなる場合がある。この実施例は、圧力検出器が検出する信号に、シリンダーの作動に起因する圧力を検出して良否の指標として判定する方法である。
【0054】
このように、圧力検出器で検出した圧力を、HSTの検査システムに用いることによって、事前に良否の判定を行い、実作業時の不具合を未然に予測して防止することを目的とするものである。
【0055】
まず、HSTに油圧検出器を設け、検出器の信号に含まれている任意に設定したHSTの内部の可動部の動きに基づいて出力される圧力信号の抽出処理部を設け、その圧力の特性値を基準に良否の判定を行う方法である。
【0056】
例えば、測定結果の一例を挙げると、図13のパワースペクトルが示すように、出力側(2241Hz)と入力側(2687Hz)との圧力差が小さい場合、良品であると判定できる。そして、図14のパワースペクトルが示すように、両者の圧力の差が大きい場合、焼付品のおそれが高く、注意を要するものと判定する。
【0057】
そして、図15に示すパワースペクトル値の具体的数値を示しているが、これらは実測に基づくもので油圧モーター側の検出値が、油圧ポンプ側の検出値に対比して比率が大きいほど焼き付きの恐れが高いことを表している。
【0058】
そして、HST内部の可動部の動きによる圧力信号を、バンドパスフィルターによって、抽出を行う方法である。この場合、バンドパスフィルターは、ソフト、又はハードのどちらで構成しても良い。
【0059】
上記によれば、HST内部の機構部品の動きに起因する圧力情報のみを抽出することができるため、HST内部の機構部品の動きを精度良く測定できる特徴がある。
そして、他の圧力信号抽出装置として、複数のバンドパスフィルターを用いる方法がある。
【0060】
HSTは、入力軸と出力軸との回転数の差が小さいために、それぞれのシリンダ回転周波数の差も小さくなる。実施例は、それぞれのシリンダ回転周波数の圧力信号を帯域の重ならないフィルターを構成し、抽出を行うために精度の良い測定が出来る特徴がある。
【0061】
つぎに、育苗マットについて、図17に基づいて実施例を説明する。
実施例は、予め、肥料成分を吸収させた吸水ポリマー85を、混ぜ合わせて育苗培土86を精製しておき、この培土86を育苗トレー87に充填して、播種して育苗するものである。この場合、吸水ポリマー85は、例えば、多糖類をベースにして作ったものなどが適当である。
【0062】
このようにして育苗すると、育苗の過程において、肥料成分は、吸収ポリマー85から容易に溶出しないために、苗の方が必要な量を吸収できることになる。
したがって、肥料成分は、余分に溶出して環境を汚染することはなくなり、一方、苗の肥料吸収力を強くするから、強い苗を育てることが出来る特徴がある。
【0063】
更に、育苗中の水の管理は、吸水ポリマー85の保水作用によって、植え付けまでの水管理が楽になる特徴もある。
つぎに、二連の植付杆14を装備した植付ケース90の取付メタル91について、図18、乃至図20に基づいて実施例を説明する。
【0064】
従来の取付メタルMは、図18の従来図に示すように、取付面を120度ごとに3分割し、凸部Pと凹部Hとで形成し、これに植付ケース90のサンギヤ92を係合して固定状態に取り付ける構成としている。この従来の構成は、凸部Pと凹部Hとが3箇所あって、取付位置を間違えて取り付けて位相が合わない課題があった。しかも、従来型は、植付伝動ケース95の左右両側で使用する取付メタルM、Mの構成が同一でないために、別々に鋳物型で製作する必要があった。
【0065】
それに対して、実施例の取付メタル91は、図19に示すように、非対称にした2つの凸部93と凹部94とを設け、植付伝動ケース95の側面に固着する構成としている。この場合、取付メタル91は、図20に示すように、植付伝動ケース95の側面にねじ締めで固着し、植付伝動軸96を挿し通した状態に設け、凸部93と凹部94とにサンギヤ92を嵌合して固定状態に取り付けている。そして、植付杆41は、上記サンギヤ92に噛合っている偏芯ギヤ97から伝動ギヤ98を介して伝動され、植付伝動軸96の駆動によって植付軌跡を描きながら回動し、圃場面に達すると、押出杆が働いて苗を圃場面に植えつける構成としている。
【0066】
以上のように、実施例は、凸部93と凹部94とを設けた取付メタル91を、従来のように、左右対称に形成する必要がなく、同一型で左右両側に使用できるから製作にあたっても木型(鋳物型)を減らすことができる利点があり、取付作業も誤って組立てることがなくなった特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明の要部の平面図
【図2】苗移植機の平面図
【図3】苗移植機の側面図
【図4】苗移植装置の側面図
【図5】整地作業ローターの支持装置
【図6】整地作業ローターの別実施例の断面図
【図7】スイッチの斜面図
【図8】従来の植付杆の断面図
【図9】植付杆の断面図
【図10】図9の別実施例の拡大図
【図11】乗用型苗移植機の側面図
【図12】エンジン回転数を示すグラフ
【図13】パワースペクトル検出グラフ
【図14】パワースペクトル検出グラフ
【図15】パワースペクトル値(検出データ)
【図16】検出周波数のグラフ
【図17】育苗トレーの断面図
【図18】従来の取付メタルの斜面図
【図19】実施例の取付メタルの斜面図
【図20】植付ケースの一部断面した平面図。
【符号の説明】
【0068】
1 走行車体 2 昇降リンク装置
3 苗植付装置 4 センターフロート
5 中央整地作業ローター 6 サイドフロート
7 左右整地作業ローター 8 泥水案内部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(1)の後部に昇降リンク装置(2)によって上下昇降自由に連結した苗植付装置(3)には、その下側に設けたセンターフロート(4)の前側に中央整地作業ロータ(5)を、左右両側のサイドフロート(6)の前側に左右整地作業ロータ(7)をそれぞれ配置して設け、進行方向の前側に中央整地作業ロータ(5)を後側に左右整地作業ロータ(7)をそれぞれ前後方向に隔てて配置し、該左右整地作業ロータ(7)の表面には、回転に伴ない圃場の泥水を前記センタフロート(4)側へ案内する螺旋状の泥水案内部(8)を形成した苗移植機。
【請求項1】
走行車体(1)の後部に昇降リンク装置(2)によって上下昇降自由に連結した苗植付装置(3)には、その下側に設けたセンターフロート(4)の前側に中央整地作業ロータ(5)を、左右両側のサイドフロート(6)の前側に左右整地作業ロータ(7)をそれぞれ配置して設け、進行方向の前側に中央整地作業ロータ(5)を後側に左右整地作業ロータ(7)をそれぞれ前後方向に隔てて配置し、該左右整地作業ロータ(7)の表面には、回転に伴ない圃場の泥水を前記センタフロート(4)側へ案内する螺旋状の泥水案内部(8)を形成した苗移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−148646(P2008−148646A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341509(P2006−341509)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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