説明

苗移植機

【課題】ターンテーブル上の苗供給カップへの苗供給を易しくして苗移植を容易に行える苗移植機を提供すること。
【解決手段】複数の苗収容体25をループ状に連接し、複数の苗収容25をループ状に移動させる機構とループ状に連接された複数の苗収容体25の中の任意の苗収容体25から所定の位置で苗収容体25内の苗を苗植付装置5の苗植付体60に投入する苗落下機構27を備えた苗供給装置4を設け、苗落下機構27と苗植付装置5の苗植付体60との間には、苗供給装置4からの苗植付体60へ落下苗を導くシュータ54とを設けた。例えば、走行中の苗移植機の側方に壁がある場合とか、自動苗補給装置を設けている場合、さらに作業者の利き腕等によって苗供給装置4内の所定の位置で苗収容体25に苗を供給しづらいことがあっても、シュータ54により苗収容体25内への苗供給位置を変更して苗の苗供給をし易しくして、苗移植を容易に行えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畝に追従して機体を走行させる歩行型のたばこや野菜の苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
苗供給装置のターンテーブルに載せた苗供給カップ中の苗を前記カップ底蓋を順次開放して苗植付装置の苗植付体に落とし、苗移植機の前進に合わせて上下方向に回動する苗植付装置の苗植付体が回動軌跡の上方位置で受け取った苗を回動軌跡の下方位置で圃場に順に苗植付装置の苗植付体により畝に苗を植え付ける歩行型の苗移植機が知られている。
【特許文献1】特開2002−34310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の歩行型苗移植機において、苗供給装置からの苗を落下させて苗植付体の内部に苗を入れるためには苗の落下位置は苗植付体の上方に位置させなければならないが、仮に作業者による苗供給装置への苗供給位置を作業がしやすい特定の位置に設定したとしても、作業形態や作業者の好み等により、苗供給位置を変更したい場合に変更できなかった。
【0004】
また、ターンテーブル上の苗供給カップ内から定位置で上下方向に回動する苗植付装置が条端部に苗を落下させているが、例えば走行中の苗移植機の側方に壁がある場合とか、自動苗補給装置を設けている場合、さらに作業者の利き腕等によって苗供給装置内の所定の位置で苗収容体に苗を供給しづらいことがある。
【0005】
さらに、苗供給カップ内から苗植付装置の苗植付体に苗を落下させるためには苗を収納した苗供給カップの底蓋が開くタイミングで苗植付装置の苗植付体が、その回動軌跡の上方位置にあれば、苗植付装置の苗植付体は首尾良く苗を受け取ることができる。しかし苗植付装置の苗植付体は上下動しているので、苗供給カップの底蓋が閉まり切らない間に苗植付装置は上方の苗受け取り位置から下方に向けて移動している。従って、カップの底蓋が閉まり切らないタイミングで作業者が苗供給カップに苗を供給すると、底蓋が完全に閉まっていないので苗が苗供給カップから落下することがあり、そのとき苗供給カップの下方には既に苗植付装置の苗植付体はいないので苗が圃場に落下していまい、植え付ることができないことになる。
【0006】
そこで、作業者が新たな苗を底蓋が開ている苗供給カップに供給することがないようにする必要がある。しかし、作業者がどこで苗を供給カップ内に入れたら良いか考えながら作業をする必要があるが、そのような注意をしながらの苗供給作業は負担となる。特に2条植用の野菜移植機であると、複数の苗供給位置があるので作業者は迷い易い。
【0007】
本発明の課題は、2条植用の野菜移植機などにおいても、ターンテーブル上の苗供給カップへの苗供給を易しくして苗移植を容易に行える苗移植機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の課題は次の請求項1記載の解決手段で解決される。
すなわち、複数の苗収容体(25)をループ状に連接して移動させる機構とループ状に連接された複数の苗収容体(25)の中の任意の苗収容体(25)から所定の位置で苗収容体(25)内の苗を落下させ、かつ苗落下位置を変更する苗落下位置変更体(42e,42f)を有する苗落下機構(27)を備えた苗供給装置(4)と、該苗供給装置(4)の前記苗落下機構(27)から落下する苗を受けて圃場へ植え付ける苗植付体(60)を備えた苗植付装置(5)と、前記苗落下機構(27)と苗植付装置(5)との間に、苗供給装置(4)の前記苗落下機構(27)の苗落下位置に合わせて苗植付装置(5)の苗植付体(60)へ落下苗を導くシュータ(54)とを設けた苗移植機である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、苗供給装置(4)の苗収容体(25)内への苗供給位置を変更しても苗を供給し易しくして、苗供給装置(4)の前記苗落下機構から苗植付装置(5)の苗植付体(60)へ落下苗を導くシュータ(54)とを設けたこと、たとえ2条植用の野菜移植機であっても、作業者が苗を供給カップ(25)内に入れ易くなり苗供給作業が簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1の側面図は本発明の苗移植機の一例としての2条植用の野菜移植機の全体構造図である。この野菜移植機1は、走行車輪2、2、3、3を有する走行部1aによって畝を跨いだ状態で機体を進行させながら、苗供給装置4、苗植付装置5等からなる植付部1bで野菜のポット苗を、例えば畝の上面に植付ける構成となっている。作業者は、機体後方に設けた操縦ハンドル6で適宜機体を操向操作すると共に、植付作業時には機体側方を歩きながら苗供給装置4へ苗を補給する。以下、各部の構成について説明する。なお野菜移植機1のハンドル6を持って機体を前進させる方向を前、その反対側を後、前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右ということにする。
【0011】
走行部1aについて説明する。
走行部ミッションケース7の前側にエンジン9が配置されている。エンジン9の左側面部には該エンジン9の動力で駆動する油圧ポンプ10が設けられている。また、エンジン9の上側には燃料タンク11等が設けられ、その上側をボンネット12が覆っている。走行部ミッションケース7の背面部に側面視長方形の左右に長い連結フレーム13が一体に設けられており、この連結フレーム13の背面右端部に走行部1aと操縦ハンドル6をつなぐメインフレーム14の前端部が固着連結されている。メインフレーム14は、植付部1bの平面視右側を通って後方に延び、途中で斜め上向きに湾曲し、そのまま植付部1bの後方位置まで延びている。そして、その後端部に操縦ハンドル6が固着して取り付けられている。
【0012】
走行部ミッションケース7の左右側面から突出する回動筒部に走行伝動ケース16、16が一体に取り付けられ、その走行伝動ケース16、16の先端部に駆動走行車輪である後輪2、2が軸支されている。また、エンジン9の下側に揺動自在に設けた前輪支持フレーム17の左右両端部に前輪支持ロッド18、18が高さ調節可能に取り付けられ、該ロッド18、18の下端部に従動走行車輪である前輪3、3が軸支されている。
【0013】
走行部1aには機体に対し後輪2、2を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構が設けられている。この機体制御機構は、接地プレート28が畝の上面を検知して図示しない感知リンク機構を介して昇降シリンダ21を作動制御するものである。昇降シリンダ21のピストンロッド21aの先端部に天秤杆22が上下方向の軸まわりに回動自在に取り付けられている。
【0014】
次に植付部1bの構成を説明する。
連結フレーム13の上面に走行部ミッションケース7から伝動される植付部ミッションケース30の下部が固着され、植付部ミッションケース30により苗植付装置5の作動機構が連結されている。苗植付装置5の後記苗植付体60は、走行部1aよりも後側に位置している。また、植付部ミッションケース30に基部を固着した上部フレーム34に座席55が取り付けられ、苗供給装置4は座席55の後方に配置され、また苗供給装置4と座席55は苗植付体60の上方に位置するように配置されている。
【0015】
次に苗供給装置4と苗植付装置5の説明を簡単にする。
図2に苗供給装置4の要部平面図を示す。該苗供給装置4は、複数の苗供給カップ25、…を円周上に等間隔で配置したターンテーブル41を備えている。このターンテーブル41は平面視で楕円軌道を回転する構成であり、苗植付装置5の作動と同期して苗供給カップ25、…の取付間隔分づつ間欠的に回転し、各苗供給カップ25、…の底部の開閉自在な底蓋25a(図2)が特定位置の開放することで苗植付装置5の先端が尖ったカップ状の苗植付体60から供給させる苗を畝に植え付けることができる。なお、カップ状の苗植付体60が図1の実線Xに示す軌跡で動き、その上死点近傍で苗供給カップ25から苗を受け取りながら、その下死点近傍で開き、中の苗が畝に植え付ける。
【0016】
人手によりポット苗を各苗供給カップ25、…に補給する。ターンテーブル41の回転により苗の入った苗供給カップ25が苗供給位置まで移動すると、底蓋25aが開き苗が苗植付装置5の苗植付体60の中に落下する。
【0017】
また苗植付位置の後方には、左右一対の鎮圧輪80、80が設けられている。この鎮圧輪80、80は、下部ほど互いの間隔が狭くなるように斜めに取り付けられ、ロッド92に遊嵌させた重り81によって下向きに付勢されており、機体の進行に伴って畝面を転動し、苗が植付けられた後の苗移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、その跡を軽く鎮圧するようになっている。
【0018】
また、ロッド92はメインフレーム14の前後中間部に固着した図示しない支持枠に上下に揺動自在に支持された揺動フレーム87の後端部に取り付けられている。畝面の凹凸に応じて鎮圧輪80、80が機体に対し上下動すると、その鎮圧輪80、80の上下動による接地プレート28が畝の上面を検出して感知リンク機構(図示せず)を介して昇降用油圧バルブ(図示せず)に伝えられ、揺動フレーム87の角度が元に戻る方向に昇降シリンダ21を作動させる。これにより、畝の上面から機体までの高さを一定に維持するように機体を昇降制御する。
【0019】
更に、メインフレーム14の後部には鎮圧輪固定レバー90が回動自在に支持され、鎮圧輪固定レバー90は鎮圧輪80、80を非接地状態まで上昇させた位置で固定するものである。
【0020】
操縦ハンドル6は両端が後方に延びる平面視略コ字形をしており、その両端部にグリップ6a、6aが取り付けられている。旋回時や路上走行時には、作業者がグリップ6a、6aを握って操縦する。
【0021】
グリップ6a、6aの下側にはサイドクラッチレバー100、100が設けられている。また、操縦ハンドル6の基部には操作パネル101が設けられ、該操作パネル101に、苗供給装置4及び苗植付装置5へ伝動する植付クラッチの入・切操作と機体の昇降操作をする植付昇降レバー102、メインクラッチの入・切操作をするメインクラッチレバー103等が設けられている。
また、前輪3が駆動輪で、前後輪3、2が共に上下するタイプの苗移植機では、ハンドル6を持ち上げて後輪3を圃場から浮かせて前輪3で機体を旋回させる。
【0022】
図2には図1の2条植用の苗移植機の苗供給装置4部分の要部平面図を示す。
苗供給装置4には機体前後に2カ所ずつ、合計4カ所の苗落下供給位置39a,39b;40a,40bが設けられており、苗落下供給位置39a,39b;40a,40bにある苗供給カップ25を含めて合計32個の苗供給カップ25が連結して図示しない移動機構により水平方向にループ状の一経路上で互いに同じ移動量で周回移動する平面視で略楕円軌道を構成している。また、連結した32個の苗供給カップ25は図2に矢印Aに示す方向に旋回しながら略楕円形状のループ状軌道を旋回し、該ループ状軌道の内側に2カ所の苗植付体60が、その回動軌跡の上端位置に移動したときの上方開放口が位置するように構成されている。
【0023】
図2に矢印Aに示す方向に旋回しながら機体の前後4カ所に設けられた苗供給カップ25からの苗の落下供給位置39a,39b、40a,40bがループ状の周回軌跡における直線状部分にそれぞれ一対ずつ(39a,40a;39b,40b)設けられている。
【0024】
苗供給カップ25は、一方の落下供給位置39a,39bでそれぞれ落下供給する苗を収容する第一の苗供給カップ25bと、専ら他方の落下供給位置40a,40bでそれぞれ落下供給する苗を収容する第二の苗供給カップ25cとを、各別に各々計16個備え、第一の苗供給カップ25bと第二の苗供給カップ25cとが交互に連結された構成となっている。そして、図2に示すように一方の落下供給位置39a又は39bに第一の苗供給カップ25bが位置するとき、他方の落下供給位置40a又は40bに第二の苗供給カップ25cが位置するように設定している。
【0025】
機体の前進方向(図2の上側)に対して下手側の苗の落下供給位置39a,40aと上手側の苗の落下供給位置39b,40bが苗供給装置4には設けられ、後述するように苗落下供給制御機構27により下手側の苗の落下供給位置39a,40aでそれぞれ同時にカップ25b,25cの底蓋25aが開放している場合には上手側の苗の落下供給位置39b、40bではカップ25b,25cの底蓋25aが閉じており、また下手側の苗の落下供給位置39a,40aでそれぞれカップ25b,25cの底蓋25aが閉じている場合には上手側の苗の落下供給位置39b,40bでは同時にカップ25b,25cの底蓋25aが開放している構成である。
【0026】
そして、下手側の苗の落下供給位置39a,40aの組又は上手側の苗の落下供給位置39b,40bの組のどちらかの対応する底蓋25a,25aが開放する側にシュータ54、54を取り付け、該シュータ54,54が、苗供給カップ25b,25cの下方には落下する苗を苗植付体60,60の上方開放口に誘導する設けている。
【0027】
従って、例えば、前記第一及び第二の苗供給カップ25b,25cは、図示しない移動機構によりループ状の一経路上で互いに同じ移動量で周回移動するから、移動機構による周回移動により各々の落下供給位置39a,40aの組又は落下供給位置39b,40bの組に同じタイミングで且つ同じ回数到達する構成となっている。
【0028】
そして、一方の側の苗植付体60へ落下供給する苗を収容する第一の苗供給カップ25bの底蓋25aには、周回方向に対して周回の外側端に突起25a1を設けている。一方、他方の側の苗植付体60へ落下供給する苗を収容する第二の苗供給カップ25cの底蓋25aには、周回方向に対して周回の内側端に突起25a1を設けている。
【0029】
苗落下供給機構27は、苗供給カップ25の周回軌跡下方で底蓋25aが下方に回動しないように底蓋25aに下方から当接して支持する支持体42を設け、この支持体42を苗植付体60の上方位置には設けないようにすることで、苗植付体60の上方位置(前記落下供給位置39a,39b、40a,40b)を苗供給カップ25が通過するとき、底蓋25aが支持体42による支持状態が解かれて、その自重及び苗の重力により下方回動し、苗を下方に落下するべく苗供給カップ25の下部を開放する構成としている。なお、底蓋25aの回動支点は苗供給カップ25の周回下手側部分に設けられ、底蓋25aは、苗供給カップ25の周回上手側から開く構成となっている。
【0030】
前記支持体42は、機体に固定された固定支持体42a,42b,42c,42dと、機体に対して位置変更できる移動支持体42e,42fとからなる。前記固定支持体42a,42b,42c,42dは、苗供給カップ25のループ状の周回軌跡における左右の円弧状部分並びに前側の直線状部分の全域にわたる主固定支持体42aと、機体前進方向に対して後側の直線状部分の一部に設けた第一、第二並びに第三の副固定支持体42b,42c,42dとを備える。これらの主固定支持体42a及び第一、第二並びに第三の副固定支持体42b,42c,42dは、棒材で構成されている。
【0031】
前記主固定支持体42aは、底蓋25aの中央に当接するように苗供給カップ25の周回軌跡に沿って延設され、第一並びに第二の苗供給カップ25b,25cの底蓋25aを開かないように支持する。第一の副固定支持体42bは、第一の苗供給カップ25bの底蓋25aにおいて周回の外側端に設けた突起25a1に当接するように苗供給カップ25の周回軌跡に沿って直線状に設けられ、第一の苗供給カップ25bの底蓋25aを開かないように支持する。この第一の副固定支持体42bは、苗供給カップ25の周回において直線状部分の途中から第一の苗供給カップ25bの底蓋25aのみを閉じて支持して、この底蓋25aの支持を後続の主固定支持体42aに引き継ぐように、前記直線状部分の周回下手側端部寄りの位置で且つ主固定支持体42aの底蓋25a周回上手側に設けられている。
【0032】
第二の副固定支持体42cは、第二の苗供給カップ25cの底蓋25aの周回の内側端に設けた突起25a1に当接するように苗供給カップ25の周回軌跡に沿って直線状に設けられ、第二の苗供給カップ25cの底蓋25aを開かないように支持する。この第二の副固定支持体42cは、苗供給カップ25の周回において主固定支持体42aの底蓋25aの支持に引き継いで第二の苗供給カップ25cの底蓋25aのみを支持するように、前記直線状部分の端部寄りの位置で且つ主固定支持体42aの底蓋25aの周回下手側に設けられている。
【0033】
第三の副固定支持体42dは、底蓋25aの中央に当接する構成であり、苗供給カップ25の周回において直線状部分の途中から第一の苗供給カップ25bの底蓋25aを閉じるべく周回上手側ほど下位となる傾斜部分を備え、該傾斜部分で開いた第一の苗供給カップ25bの底蓋25aを上側へ案内しながら閉じる構成となっており、前記直線状部分の略中央の位置で且つ第一の副固定支持体42bの底蓋25a周回における始端部(左端部)と並行して設けられている。
【0034】
なお、第三の副固定支持体42dの底蓋25aの周回における終端は、第二の副固定支持体42cの底蓋25aの周回における終端より底蓋25aの周回における上手側に位置している。なお、主固定支持体42aの底蓋25aの周回における始端部は、第二の苗供給カップ25cの底蓋25aを閉じるべく周回上手側ほど下位となる傾斜部分を備え、該傾斜部分で開いた第二の苗供給カップ25cの底蓋25aを上側へ案内しながら閉じる構成となっている。
【0035】
また、第一の副固定支持体42bは、周回下手側端部を支持フレーム(図示せず)から苗供給カップ25の周回に対して前記直線状部分の前記周回下手側端部に延びる第一支持部材43に固着して設けられている。さらに、第二の副固定支持体42cは、一端部を支持フレーム(図示せず)から苗供給カップ25の周回直線状部分の上手側端部に延びる第二支持部材44に固着し、他方の端部を植付伝動ケース22から後方に延びる第三支持部材45に固着して設けられている。また、第三の副固定支持体42dは、前記第三支持部材45に固着して設けられている。なお、主固定支持体42aは、前記第一支持部材43及び第二支持部材44の上面に固着して設けられている。
【0036】
前記移動支持体42e,42fは、それぞれ苗供給カップ25の周回の直線状部分の上手側端部に設けられている。なお、これらの第一移動支持体42e及び第二移動支持体42fは、板材で構成される。前記第一移動支持体42eは、第一の苗供給カップ25bの底蓋25aにおいて周回の外側端に設けた突起25a1に当接するように苗供給カップ25の周回軌跡に沿って直線状に設けられ、第一の苗供給カップ25bの底蓋25aを開かないように支持する構成であり、苗供給カップ25の周回において主固定支持体42aの底蓋25aの支持に引き継いで第一の苗供給カップ25bの底蓋25aのみを支持するように、前記周回直線状部分の端部寄りの位置で且つ主固定支持体42aの底蓋25aの周回下手側に設けられている。
【0037】
この第一移動支持体42eは、第二支持部材44に設けた左右方向に長い長孔46を貫通する取付ボルト47により前記第二支持部材44に固着して支持され、前記長孔46により左右方向の取付位置を変更できる構成となっている。なお、前記取付ボルト47は、苗供給カップ25の周回域より外側(後側)に位置し、苗供給カップ25が邪魔にならずに後側から容易に締付又は弛緩させることができる。
【0038】
前記第二移動支持体42fは、第二の苗供給カップ25cの底蓋25aの周回の内側端に設けた突起25a1に当接するように苗供給カップ25の周回軌跡に沿う直線状部分を備え、第二の苗供給カップ25cの底蓋25aを開かないように支持する構成であり、苗供給カップ25の周回において第二の副固定支持体42cの底蓋25aの支持に引き継いで第二の苗供給カップ25cの底蓋25aを支持するように、後側の直線状部分の右寄りの位置で且つ主固定支持体42aの底蓋25a周回上手側の端部(周回軌跡における右側の円弧状部分の始端部)との間隔を空けて設けられている。
【0039】
この第二移動支持体42fは、該第二移動支持体42fが備える左右方向に長い長孔48を貫通する取付ボルト49により前記第三支持部材45に固着して支持され、前記長孔48により左右方向の取付位置を変更できる構成となっている。なお、第二移動支持体42fは、長孔48を設けた位置調整用部分と底蓋25aを支持する底蓋25a支持部分とで二股に分かれた平面視U字型の形状になっており、この位置調整用部分と底蓋25a支持部分との間に第二の副固定支持体42cを配置して、該第二の副固定支持体42cに引き継いで確実に底蓋25aを支持できる構成としている。また、第二移動支持体42fの取付位置を長孔48により最も底蓋25a周回上手側の位置(左端位置)にしたとき、前記底蓋25a支持部分が第二の副固定支持体42cと第三の副固定支持体42dとの間に位置する構成となっており、これらの第二移動支持体42f及び第二並びに第三の副固定支持体42c,42dをコンパクトに配置している。
【0040】
なお、前記取付ボルト49は、苗供給カップ25の周回域の内側(前側)に位置し、苗供給カップ25が邪魔にならずに上方から容易に締付又は弛緩させることができる。また、苗供給カップ25の周回域の内側に予備の苗を置くための苗台を構成した場合は、該苗台における前記取付ボルト49の上方位置に孔を開け、該孔から取付ボルト49を容易に締付又は弛緩させる構成とすることができる。また、前記孔は、苗台に溜まった水を排水するための水抜き孔と兼用することができる。
【0041】
なお、第一移動支持体42e及び第二移動支持体42fの位置を変更するための長孔46,48及び取付ボルト47,49は、各々左右に2個づつ設けられ、第一移動支持体42e及び第二移動支持体42fを左右真直方向に移動できる構成としている。また、第一移動支持体42e及び第二移動支持体42fの位置変更量は、前記長孔46,48により苗供給カップ25における配列ピッチ分に規制されており、この規制手段により、苗の植付位置の変更で落下供給位置39,40を誤った位置に調節しないように構成している。
【0042】
従って、第一の苗供給カップ25bが第一移動支持体42eの底蓋25a周回下手側の端部で該第一の苗供給カップ25bの底蓋25aが支持されなくなる位置まで移動すると、第一の苗供給カップ25bの底蓋25aが開放される。すなわち、第一移動支持体42eの底蓋25a周回下手側の端部が、第一(左側)の落下供給位置39a,39bとなる。また、第二の苗供給カップ25cが第二移動支持体42fの底蓋25a周回下手側の端部(右端部)で該第二の苗供給カップ25cの底蓋25aが支持されなくなる位置まで移動すると、第二の苗供給カップ25cの底蓋25aが開放される。すなわち、第二移動支持体42fの底蓋25a周回下手側の端部(右端部)が、第二(右側)の落下供給位置40a,40bとなる。なお、第二の副固定支持体42cにより、周回上手側の第一の落下供給位置39a,39bで第二の苗供給カップ25cの底蓋25aが開放しないようにする開放規制手段が構成されている。
【0043】
従って、第一移動支持体42eを長孔46により最も周回下手側に位置させ、第二移動支持体42fを長孔48により最も周回上手側に位置させると、第一の落下供給位置39a,39bと第二の落下供給位置40a,40bとの互いの間隔が最も狭まり、植付条間が最も狭い状態となる。このとき、左右の落下供給位置39a,40aの間隔又は落下供給位置39b,40bの間隔は、苗供給カップ25における配列ピッチの3倍すなわち第一及び第二の苗供給カップ25b,25cにおける配列ピッチの1.5倍となる。逆に、第一移動支持体42eを長孔46により最も周回上手側(左側)に位置させ、第二移動支持体42fを長孔48により最も周回下手側(右側)に位置させると、第一の落下供給位置落下供給位置39a,39bの間隔と第二の落下供給位置40a,40bの間隔との互いの間隔が最も広がり、植付条間が最も広い状態となる。
【0044】
このとき、左右の落下供給位置39a,39b;40a,40bの間隔は、苗供給カップ25における配列ピッチの5倍すなわち第一及び第二の苗供給カップ25b,25cにおける配列ピッチの2.5倍となる。従って、各々の落下供給位置39a,39b;40a,40bは苗供給カップ25における配列ピッチ分だけ位置変更できる構成となっており、左右の落下供給位置39a,39b;40a,40bの互いの間隔が、第一及び第二の苗供給カップ25b,25cにおける配列ピッチの整数倍(1倍)(苗供給カップ25(25b,25c)における配列ピッチの偶数倍(2倍))の距離分変化するようになっている。
【0045】
なお、落下供給位置39aにある底蓋25cが開かない図示のタイミングでは、そのループ状軌跡の1ピッチ分前側のカップ25aの底蓋25bが開いており、前記開いている底蓋25bがシュータ54の上にある時に該底蓋25b上のカップ25aから苗が苗植付体60に既に投入されており、しかもその苗植付体60は図示のタイミングでは180度前進側の位相、すなわち圃場に苗を植え付けている状態にある。一方、落下供給位置40aにある底蓋25cが開いている図示のタイミングでは、当該底蓋25cが開いているカップ25aから苗が苗植付体60に投入される。こうして落下供給位置39aと落下供給位置40aからは位相が異なる二つの苗植付体60,60からそれぞれ千鳥状に苗を圃場に植え付けることができる。また、落下供給位置39bと落下供給位置40bからも同様に二つの苗植付体60,60から千鳥状に苗を圃場に植え付けることができる。
【0046】
上記歩行型苗移植機において、ターンテーブル41上の苗供給カップ25(25b,25c)内に苗を供給し、苗供給カップ25b,25cの各底蓋25a,25aを開いて順調に苗植付装置5の苗植付体60,60内に苗を落下させる場合に、ターンテーブル41上の苗供給カップ25b,25c内に苗を供給しづらいことがあった。例えば、走行中の苗移植機の側方に壁がある場合とか、自動苗補給装置を設けている場合にはターンテーブル41上の苗供給カップ25b,25cへの苗供給位置を前記定位置から変更したいことがある。さらに作業者の利き腕、好み等によって苗供給カップ25b,25c内に苗を供給しづらいことがあった。
【0047】
そこで、図1に点線で示すように苗を供給し易い位置から苗供給装置4の苗供給カップ25に供給された苗を定位置である該苗供給カップ25の底蓋が開放して苗植付体60への落下させる領域に誘導する苗シュータ54を配置する。苗シュータ54はどの位置にでも取り付け可能であるのでターンテーブル41上の苗供給カップ25から適宜の苗植付体60に苗を投入することができる。
【0048】
このように、作業者はカップ底蓋25が開放していない位置でれば、作業者はどこからでも苗を苗供給カップ25に投入できる。なお、落下供給位置39a,40a又は39b,40bから少し進んだループ軌道上の苗供給カップ25のある位置でも、底蓋25b,25cが開いているので、その位置から苗を投入することはできない。
【0049】
このように、機体の前進方向(図2の上側)に対して後側の苗の落下供給位置39a,40aに対応した位置に移動してくるカップ底蓋25a,25aが開放するときには苗落下供給制御機構27による調整により機体前側の苗の落下供給位置39b,40bにおけるカップ底蓋25a,25aは開放しない構成であり、作業者が機体前側(前方側の座席55側から)苗を苗供給カップ25b,25cに供給する場合は、機体後側の苗の落下供給位置39a,40aでカップ底蓋25a,25aに開放する構成する。
【0050】
また逆に、機体の前進方向(図2の上側)に対して機体前側の苗の落下供給位置39b,40bにおけるカップ底蓋25a,25aが開放するときには機体後側の苗の落下供給位置39a,40aにおけるカップ底蓋25a,25bは開放しない構成とする。
【0051】
このように作業者が苗を苗供給カップ25b,25cに供給する位置より遠い位置の落下供給位置39a,40a又は落下供給位置39b,40bの底蓋25a,25aが開放する構成とすることで苗が閉まりかけにカップ底蓋25a,25aとカップ25b,25cの側壁底面に挟まれるおそれがない。
【0052】
そのため、作業者は底蓋25a,25aが閉じた苗供給カップ25b,25cに安心して苗を供給することができる。また、シュータ54,54は、底蓋25a,25aが開いている側の苗落下供給位置39a,40a又は落下供給位置39b,40bで苗を苗植付体60に誘導できるように苗供給位置4の下面に付け替え可能なる構成にしている。
【0053】
また、苗移植機に座席55を設けている場合には、作業者が座席55に着席して乗車している時には、ターンテーブル41の前側部分で苗供給するためにターンテーブル41の後方側の苗落下供給位置39a,40aの下方位置にシュータ54、54を設け、歩行作業時には前方側落下供給位置39b,40bのシュータ54,54を設け、さらに作業者が乗車し、他の補助者が歩行していながら、合計2人で作業しているときには前後に一対、合計4つのシュータ54を設ける。
【0054】
また図3(a)の苗移植機の一部の斜視図に示すように、図1で示すターンテーブル41を有する苗供給装置4を取り付けず、裸苗を直接、苗植付装置5の苗植付体60に投入する装置からなる苗移植機では、図3(b)の側面図に示すように苗植付体60の下から25cmの部位で色分けする。
【0055】
苗植付装置5の苗植付体60を用いて裸苗を圃場に移植する本実施例の苗移植機では、苗適応性は草丈25cmまでであり、前記したように苗植付体60の下端から25cmの部位で色分けしておくと、順次苗植付体60に投入させる苗が植付け可能な苗かどうかを容易に判断できる。草丈25cm以上の苗が苗植付体60に投入されると、苗の圃場への植付が正常に行えない。
【0056】
しかし、苗移植機を使用する前に苗を準備する段階で、どうしても草丈が約25cm以上のものと、草丈が約25cm未満のものが混在してしまうので、草丈が約25cm以上の苗が苗植付体60に投入されると苗の植え付け不良となる苗が苗植付体60に投入されたと容易に目視で分かるので、苗の植え付け前に苗植付体60から取り除くことができる。
【0057】
また、苗植付体60の下端から約25cm近傍の部位までを透明性の樹脂なとを用いて作製すると、外から見て不適合な苗が苗植付体60に供給されたことが容易に分かり、正常に苗が植えられない原因が作業者の苗移植機の操作のためでないことが、苗移植機の回りにいる補助者にも分かる。
【0058】
また、裸苗の移植機の苗植付体60の苗投入口を伸縮自在とし、作業者が苗を苗植付体60に入れ易い位置とすることができる。図4(a)に苗移植機の背面図に示すように、苗植付体60の一部60aを伸縮自在な蛇腹構造とした例を示し、例えば、作業者の身長に合わせて、苗植付体60の高さを調節できるので軽労働化(腰がいたくない)が図れる。なお、図4(a)の苗移植機も苗供給装置4を無くして、裸苗を直接、苗植付装置5の苗植付体60に入れる苗移植機である。
【0059】
また畝がない平床に苗を植え付ける場合には、その分、苗投入口も低くなるので図4(b)のように苗植付体60の蛇腹構造を伸ばして使用し、畝上で苗を植え付ける場合には、その分、苗投入口も高くなるので図4(c)のように苗植付体60の蛇腹を縮めて使用する。
【0060】
図5には苗供給装置4を無くして、苗植付装置5だけを備えた裸苗の移植機の場合の苗植付体60を2段で構成し、上段苗植付体60aを下段苗植付体60bの上に装着し、少なくとも上段苗植付体60aは透明体で構成した時の苗移植機の側面図を示す。なお、この例では、苗植付装置5はメインフレーム14に取り付いている。こうして苗が苗植付体60a,60bで詰まると、即座にその詰まりを確認できる。
【0061】
また、図6には図1に示す苗移植機の操作パネル101部分の変形例を示す。
通常の歩行スピードより遅い、例えば、菊、ネギ、裸大苗などの苗植付速を持つ移植機では、機体旋回時に走行スピードが上がるように、植付油圧レバー58をレバーガイド59の旋回ガイド59aに入れると、図示しないアクセルレバーが引かれて機体の走行速度が高くなる油圧構成とした。こうして、旋回時に植付油圧レバー58一本で植付状態よりスムーズに回れる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、圃場の苗の移植作業条件に合わせて苗を苗供給装置から苗植付装置に落下させることができるので作業性が良い苗移植機となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施例の苗移植機の側面図である。
【図2】図1の苗移植機の平面図である。
【図3】本発明の一実施例の苗移植機の一部の斜視図(図3(a))と苗植付体の側面図(図3(b))である。
【図4】本発明の一実施例の苗移植機の背面図(図4(a))、苗植付体の側面図(蛇腹構造が縮んだとき(図4(b))と伸びたとき(図4(c))である。
【図5】本発明の一実施例の苗移植機の側面図である。
【図6】本発明の一実施例の操作パネルの平面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 野菜移植機 1a 走行部
1b 植付部 2 後輪
3 前輪 4 苗供給装置
5 苗植付装置 6 操縦ハンドル
6a グリップ 7 走行部ミッションケース
7a PTO取出部 9 エンジン
10 油圧ポンプ 11 燃料タンク
12 ボンネット 13 連結フレーム
14 メインフレーム 15 回動筒部
16 走行伝動(チェーン)ケース 17 前輪支持フレーム
18 前輪支持ロッド 21 昇降シリンダ
21a ピストンロッド 22 天秤杆
25(25b,25c) 苗供給カップ
25a 底蓋 25a1 突起
27 苗落下供給機構 28 接地プレート
30 植付部ミッションケース
39a,40a:39b,40b 苗落下供給位置
41 ターンテーブル 42 支持体
42a,42b,42c,42d 固定支持体
42e,42f 移動支持体 43 第一支持部材
44 第二支持部材 45 第三支持部材
47,49 取付ボルト 46,48 長孔
54 シュータ 55 座席
58 植付油圧レバー 59 レバーガイド
60 苗植付体 80 鎮圧輪
81 重り 86 支持枠
87 揺動フレーム 90 鎮圧輪固定レバー
92 ロッド 100 サイドクラッチレバー
101 操作パネル 102 植付昇降レバー
103 メインクラッチレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の苗収容体(25)をループ状に連接して移動させる機構とループ状に連接された複数の苗収容体(25)の中の任意の苗収容体(25)から所定の位置で苗収容体(25)内の苗を落下させ、かつ苗落下位置を変更する苗落下位置変更体(42e,42f)を有する苗落下機構(27)を備えた苗供給装置(4)と、
該苗供給装置(4)の前記苗落下機構(27)から落下する苗を受けて圃場へ植え付ける苗植付体(60)を備えた苗植付装置(5)と、
前記苗落下機構(27)と苗植付装置(5)との間に、苗供給装置(4)の前記苗落下機構(27)の苗落下位置に合わせて苗植付装置(5)の苗植付体(60)へ落下苗を導くシュータ(54)と
を設けたことを特徴とする苗移植機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−153472(P2009−153472A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336826(P2007−336826)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】