説明

苗移植機

【課題】凹凸の比較的多い圃場で左右クローラ走行装置が上下動した場合でも、比較的長い接地面を保ち、スリップの発生を防止できる苗移植機の提供である。
【解決手段】クローラ走行装置2の駆動輪16aと従動転輪16b間に前後輪支持部(16hなど)を設け、前後輪支持部(16hなど)に、上端部を揺動支点Pとして前後に揺動可能な第2転輪支持プレート16mと、第2転輪支持プレート16mの下部に前後に複数個回動可能に支持された転輪(16d、16e)を設けた苗移植機である。クローラ走行装置2が凹凸により上下動しても前後に揺動する第2転輪支持プレート16mに支持された複数個の転輪(16d、16e)により常にクローラ16jが接地し、スリップの発生を防止できる。また、機体旋回時には後方転輪16eのみ接地する旋回下動機構を設けるとクローラ走行装置2の接地面積が少なくなって、容易且つ良好な旋回が行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、種々な畝に対して苗の植付けが行える苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クローラなどの走行装置上に野菜などの苗を載置する苗載置部から苗を受け取って苗を植え付ける苗植付装置を備える苗移植機が知られている。
このような苗移植機では、種々な畝に対して苗の植付けが行えるように、広幅に固定された左右車輪に対して、苗植付装置等を有する機体を左右移動するものがある。
【0003】
しかし、固定された左右車輪では一定の畝幅のみしか対応できないため、畝幅が種々異なる場合でも汎用性に富むように、下記特許文献1には、苗植付装置を有する機体に対して、該機体左右両側に設けた左右クローラ走行装置を各々左右方向に位置調節自在に設けたり、該左右クローラ走行装置を駆動軸回りに上下回動調節可能に構成された苗移植機が開示されている。
この構成によると、種々な畝幅の畝に対応した苗の植付けが行なえると共に、左右クローラ走行装置であるから、安定した走行性能が発揮されて苗の植付け株間が一定となり、特に、山間地等の傾斜した圃場での苗の植付け性能が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−287510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の構成により、種々な畝幅の畝に対応した苗の植付けが行なえると共に、左右クローラ走行装置であるから、安定した走行性能が発揮されて苗の植付け株間が一定となり、特に、山間地等の傾斜した圃場での苗の植付け性能が向上する。
【0006】
しかし、凹凸のある圃場で左右クローラ走行装置が上下動した場合に、圃場面に接地する車輪の数が少なくなって、スリップが生じ易くなる。特許文献1記載の構成のように、前輪と後輪とを連結するフレームに遊転輪を設けた場合は、ある程度クローラ走行装置の接地部分を長くすることができるが、凹凸の比較的多い圃場では、左右クローラ走行装置の上下動が頻繁になる。この場合、遊転輪は前輪と後輪とを連結するフレームと共に上下動するため、クローラを接地させる遊転輪の数が少なくなってクローラ走行装置の接地部分を長く保つことは難しい。
【0007】
そこで、本発明の課題は、凹凸の比較的多い圃場で左右クローラ走行装置が上下動した場合でも、比較的長い接地面を保ち、スリップの発生を防止できる苗移植機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、下記構成によって達成される。
すなわち、請求項1に係る発明は、左右の駆動前輪(16a)と左右の従動後輪(16b)と該左右の駆動前輪(16a)と左右の従動後輪(16b)との外側に巻き掛けられたクローラ(16j)とを備えた左右クローラ走行装置(2)と、該左右クローラ走行装置(2)の上方に苗を植え付ける植付部(1b)とを設けた苗移植機において、前記左右の駆動前輪(16a)及び左右の従動後輪(16b)間に設けられ、前記前輪(16a)及び従動後輪(16b)を支持するための前後輪支持部(16f、16h)と、該前後輪支持部(16f、16h)に上端部が連結し、該上端部を揺動支点(P)として前後方向に揺動可能である転輪支持部(16m)と、前記転輪支持部(16m)の下部であって前後方向に複数個、回動自在に支持されて、前記植付部(1b)によって苗を植付ける際の左右クローラ走行装置(2)による走行時に前記転輪支持部(16m)の揺動に連動して前後方向に揺動し、クローラ(16j)の内側に接してクローラ(16j)を接地させる転輪(16d、16e)とを設けた苗移植機である。
【0009】
請求項2に係る発明は、前後輪支持部(16f、16h)の前記転輪支持部(16m)との連結部である揺動支点(P)の前方及び後方に、前記転輪支持部(16m)の揺動を妨げるストッパ(75)を設け、苗移植機の旋回時に、左右クローラ走行装置(2)の前記左右の従動後輪(16b)側が下動すると、前記前後輪支持部(16f、16h)の後端部側が下動して前記後方側のストッパ(75b)が前記転輪支持部(16m)の後部に当たると共に、前記転輪支持部(16m)の前部及び該転輪支持部(16m)により支持された転輪(16d、16e)のうち、前方側の転輪(16d)が前記前後輪支持部(16f、16h)に連動して上動し、前記前方側の転輪(16d)によるクローラ(16j)の接地状態が解かれ、後方側の転輪(16e)のみによりクローラ(16j)を接地させる旋回下動機構を設けた請求項1記載の苗移植機である。
【0010】
請求項3に係る発明は、前後輪支持部(16f、16h)の下部であって前記複数個の転輪(16d、16e)よりも前方に、前記クローラ(16j)の内側に接してクローラ(16j)を接地させる前方転輪(16c)を、該前方転輪(16c)の下端部が、前記左右クローラ走行装置(2)の略水平状態における前記複数個の転輪(16d、16e)の下端部と上下高さが略同じ高さとなるように回動可能に設けた請求項1又は2に記載の苗移植機である。
【0011】
請求項4に係る発明は、苗移植機の旋回時に、左右クローラ走行装置(2)の前記左右の従動後輪(16b)側を下動させるほど、前記前後輪支持部(16f、16h)の後端部側が下動し、該前後輪支持部(16f、16h)の前端部及び前方転輪(16c)が上動して、該前方転輪(16c)によるクローラ(16j)の接地状態が解かれ、前記前方転輪(16c)の下端部と前記転輪支持部(16m)により支持された転輪(16d、16e)のうち、後方側の転輪(16e)の下端部とを結ぶ接線(Q)から前方側の転輪(16d)の下端部が下方に突出することで、クローラ(16j)を強く張るクローラ張度変化機構を設けた請求項3記載の苗移植機である。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記左右クローラ走行装置(2)の前記左右の従動後輪(16b)側が下動して、前記転輪支持部(16m)により支持された転輪(16d、16e)のうち最後部の転輪(16e)と前記左右の従動後輪(16b)との間のクローラ(16j)を接地させた場合に、機体側面視で該クローラ(16j)の接地部の上方位置に苗移植機の重心位置がある構成とした請求項1から4のいずれかに記載の苗移植機である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の苗移植機によれば、植え付け作業範囲でクローラ走行装置(2)が上下動しても、転輪支持部(16m)が前後方向に揺動することで、該転輪支持部(16m)に支持された複数個の転輪(16d、16e)も前後に揺動してクローラ(16j)を接地させるため、常に複数個の転輪(16d、16e)によってクローラ(16j)を圃場面に接地できる。したがって、前後に長い接地部を形成することができ、スリップの発生を防止できる。そして、スリップの少ない良好な走行性能を発揮して、適切な移植作業を行うことができる。
【0014】
請求項2記載の苗移植機によれば、上記請求項1記載の苗移植機の効果に加えて、機体旋回時には後方の転輪(16e)のみ接地してクローラ走行装置(2)の接地面積が少なくなるため、容易且つ良好な旋回が行える。
【0015】
請求項3記載の苗移植機によれば、上記請求項1又は2記載の苗移植機の効果に加えて、前後輪支持部(16f、16h)により支持された転輪(16c)と転輪支持部(16m)により支持された複数個の転輪(16d、16e)の下端部が略同じ高さであるため、平畝等の比較的低い畝では転輪支持部(16m)により支持された複数の転輪(16d、16e)のみならず、前後輪支持部(16f、16h)によって支持された転輪(16c)によってもクローラ(16j)を圃場面に接地できる。したがって、前後に長い接地部を形成することができ、更にスリップの発生を防止でき、適切な移植作業が行うことができる。
【0016】
請求項4記載の苗移植機によれば、上記請求項3記載の苗移植機の効果に加えて、クローラ張度変化機構によりクローラ走行装置(2)を下動させるほど、クローラ(16j)が強く張る。傾斜地でクローラ走行装置(2)を下動させて機体を水平状態にして移植作業をする場合に、谷側のクローラ(16j)の方が下動した状態なので、クローラ(16j)が強く張っており、谷側のクローラの方が山側のクローラに比べて接地推進力が大きくなる。したがって、駆動前輪(16a)、従動後輪(16b)、転輪(16c、16d、16e)の全てとクローラ(16j)とのスリップが減り、機体が低い谷側に下降するように進行方向が曲がって前進することを防止し、良好な直進性を発揮して適切な移植作業が行うことができる。
【0017】
請求項5記載の苗移植機によれば、上記請求項1から4のいずれかに記載の苗移植機の効果に加えて、最後部の転輪(16e)と従動後輪(16b)との間のクローラ(16j)の接地部の上方に苗移植機の重心位置があるため、機体が後傾した状態の姿勢で安定姿勢とすることができ、機体下部のメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の野菜移植機の全体側面図である。
【図2】図1の野菜移植機の平面図である。
【図3】図1の野菜移植機の油圧回路図である。
【図4】図1の野菜移植機の左右クローラ走行装置の後部を下動させた場合の作動状態を示した図(側面図)である(下動初期状態)。
【図5】図1の野菜移植機の左右クローラ走行装置の後部を下動させた場合の作動状態を示した図(側面図)である(下動終期状態)。
【図6】図1の野菜移植機の左右クローラ走行装置の後部を下動させた場合の作動状態を示した図(側面図)である(最下動状態)。
【図7】図3の油圧バルブユニット内の振り子の動きを説明するための図である。
【図8】図2の野菜移植機に苗トレイを設置した場合の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の一実施例として苗移植機の一例である野菜移植機を図面に基づき詳細に説明する。図1には野菜移植機1の全体側面図を示し、図2には野菜移植機1の全体平面図を示す。また、図3には野菜移植機1の油圧回路図(平面図)を示す。
この野菜移植機1は、左右クローラ走行装置2及び左右前輪3を有する走行部1aによって畝Uを跨いだ状態で機体を進行させながら、苗供給装置4、苗植付装置5等からなる植付部1bで苗トレイ内の野菜のポット苗を畝Uの上面に植付ける構成となっている。作業者Nは、畝U間を歩きながら機体後方に設けた操縦ハンドル6で適宜機体を操向操作する。以下、各部の構成について説明する。
【0020】
走行部1aは、走行部ミッションケース7の前部にエンジン9が配置されている。エンジン9の左側面部には該エンジンの動力で駆動する油圧ポンプ10(図3)が設けられている。また、エンジン9の上側には燃料タンク(図示せず)等が設けられ、その上部をボンネット12が覆っている。作業者は燃料タンクキャップ(蓋)11aを開けて燃料タンクに燃料を入れる。
また、走行部1aと操縦ハンドル6はメインフレーム14によって繋がっており、メインフレーム14の後端部に操縦ハンドル6の前端部が回動調節自在に取り付けられており、操縦ハンドル6の左右グリップ6aは高さ調節できるようになっている。
【0021】
走行部ミッションケース7の左右側面から突出する左右回動筒部15内に左右駆動軸7aを走行部ミッションケース7の左右に突出して設け、該左右駆動軸7aにより左右クローラ走行装置2の前輪である駆動輪16aを駆動する。
駆動輪16aの駆動軸7aには支持アーム16fの前端部が回動自在に設けられ、支持アーム16fの後部には、側面視で略三角形状の第1転輪支持プレート16hが連結している。第1転輪支持プレート16hに設けた長穴16haにピン70を挿入して支持アーム16fと第1転輪支持プレート16hが遊動自在に連結している。
【0022】
そして、第1転輪支持プレート16hの後端部(三角形状の後方角部)には、左右クローラ走行装置2の後輪である従動転輪16bの回転軸8aが回動自在に連結しており、ピン70が第1転輪支持プレート16hの長穴16ha内を前後に動くことで、支持アーム16fが矢印A−B方向に進退可能である。また、ピン70をきつく閉めることで、支持アーム16fと第1転輪支持プレート16hが一体となり、固定される。このように、支持アーム16fが矢印A−B方向に進退調節して固定自在に設けられることで、駆動輪16aと従動転輪16b間の距離を調節して、クローラ16jを緩みが無いように張る構成である。これら支持アーム16f、ピン70、第1転輪支持プレート16hなどによって駆動輪16aと従動転輪16bは連結しており、これらをまとめて前後輪支持部と言う場合がある。
【0023】
そして、第1転輪支持プレート16hの前方下端部(三角形状の前方下部の頂点部)には遊転輪16cが回動自在に連結している。なお、複数個の遊転輪を第1転輪支持プレート16hに支持させて設けても良い。また、本実施例では駆動輪16aと従動転輪16b間に、この遊転輪16cを含めて3つの遊転輪16c〜16eを設けている。
そして、合成ゴムよりなる外周面にラグ16kが一体形成されたクローラ16jが、駆動輪16a及び従動転輪16b及び遊転輪16c〜16eの外側に巻き掛けられて左右クローラ走行装置2を構成している。
【0024】
このように、左右クローラ走行装置2の各々3つの遊転輪16c〜16eがクローラ16jを接地させるため、クローラ16jの接地面積が広くなって、滑りにくくなる。
また、左右クローラ走行装置2の後端部は後述の苗供給装置4の苗載台90(図2)の前部下方位置に配置し、左右クローラ走行装置2は機体前部の走行部ミッションケース7部から機体後部の苗供給装置4の下方位置まで前後方向に長く配置した構成となっている。したがって、前後方向に長く配置した左右クローラ走行装置2は圃場面を確りと捉えて、スリップや機体の蛇行を防止して、機体を直進させ安定した走行が行える。
【0025】
また、機体を旋回させる場合には、左右クローラ走行装置2の後部を下動させて機体を上昇させて旋回するが、この旋回時には、左右クローラ走行装置2の後方側の遊転輪16eの最も設置面積が少ない部分が接地するので、圃場の土の横押し量も少なく、安定した小回り旋回が行なえ、旋回作業が効率よく且つ容易に行なえる。旋回時の左右クローラ走行装置2の作動については後に詳細に説明する。
また、エンジン9の下側に設けた前輪支持フレーム17の左右両端部に左右前輪支持ロッド18が高さ調節可能に取り付けられ、該ロッド18の下端部に各々従動走行車輪である左右前輪3が軸支されている。
【0026】
走行部1aには機体に対し左右クローラ走行装置2の後部を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構Sが設けられている。この機体制御機構(上下動機構)Sは、走行部ミッションケース7の上に配置した油圧バルブユニット20(図2)から後方に向けて昇降シリンダ21が設けられ、該昇降シリンダ21のピストンロッドの先端部に天秤杆22が上下方向の軸まわりに回動自在に取り付けられている。ピストンロッドは、前後両端が前後方向に摺動するようになっている。天秤杆22の左右両端部と、左右回動筒部15に固着した左右スイングアーム25(図3)とが、左右連結ロッド26(図3)を介して連結されている。左側の連結ロッド26は、ローリングシリンダ27(図3)が組み込まれており、該シリンダ27を伸縮作動させることにより長さを変えられるようになっている。左右連結ロッド26が縮むと左右クローラ走行装置2の後部が下動する。
【0027】
昇降シリンダ21及びローリングシリンダ27は、前記油圧ポンプ10から供給される作動油を油圧バルブユニット20内の制御バルブ20a・20bで制御して作動させられる。昇降シリンダ21を伸縮作動させると、左右のクローラ走行装置2が同方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が昇降する。また、ローリングシリンダ27を伸縮作動させると、左右のクローラ走行装置2が逆方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が左右に傾斜する。なお、この左右クローラ走行装置2の後部を上下動させて機体位置を制御する上下動機構Sである油圧バルブユニット20や昇降シリンダ21や昇降シリンダ21のピストンロッドの先端部に設けた天秤杆22や左右回動筒部15に固着した左右スイングアーム25や左右連結ロッド26やローリングシリンダ27により、接地部を変更できる。
【0028】
そして、左右クローラ走行装置2の駆動輪16aと従動転輪16b間には、3つの遊転輪16c〜16eが第1転輪支持プレート16hにより回動自在に支持されている。第1転輪支持プレート16hの下部には、側面視で三角形状の第2転輪支持プレート16mが前後方向に揺動自在に連結している。第2転輪支持プレート16mの上端部(上方頂点部)が第1転輪支持プレート16hの後方下部にピン73を介して連結し、第2転輪支持プレート16mの下端部(下方頂点部)に、二つの遊転輪16d、16eが回動自在に連結している。以下、これら3つの遊転輪16c〜16eは、前方から前方遊転輪16c、中央遊転輪16d、後方遊転輪16eと言うことにする。
【0029】
そして、このように、前方遊転輪16cと従動転輪16bは第1転輪支持プレート16hに支持されて、その間に位置する中央遊転輪16dと後方遊転輪16eは第1転輪支持プレート16hの下部に連結した第2転輪支持プレート16mによって支持されているため、前方遊転輪16cと従動転輪16bは中央遊転輪16dと後方遊転輪16eよりも上方に位置することになる。したがって、4つの転輪のうち、両端の転輪(前方遊転輪16cと従動転輪16b)と中央部の転輪(中央遊転輪16dと後方遊転輪16e)の上下位置が異なる配置になっているため、圃場面に段差があっても上りやすく、走行性能が良い。
【0030】
また、凹凸のある圃場で左右クローラ走行装置2が上下動した場合に、圃場面に接地する車輪の数が少なくなると、スリップが生じ易くなる。従来の前輪と後輪とを連結するフレームに直接遊転輪を設けた場合は、ある程度クローラ走行装置の接地部分を長くすることができるが、凹凸の比較的多い圃場では、左右クローラ走行装置の上下動が頻繁になって、遊転輪がフレームと共に上下動するため、クローラを接地させる遊転輪の数が少なくなってクローラ走行装置2の接地部分を長く保つことは難しい。
【0031】
本構成では、左右クローラ走行装置2が上下動した場合、その作動に合わせて第1転輪支持プレート16hは支持アーム16fと共に上下動するため、前方遊転輪16cも第1転輪支持プレート16hの作動にしたがって上下動する。しかし、中央遊転輪16dと後方遊転輪16eは第1転輪支持プレート16hに直接連結しているのではなく、第1転輪支持プレート16hとは別の第2転輪支持プレート16mに回動自在に連結しており、第2転輪支持プレート16mは第1転輪支持プレート16hとの連結部を揺動支点Pとして前後方向に揺動する。
【0032】
したがって、第1転輪支持プレート16hが上下動しても、駆動輪16aと従動転輪16bとの間に位置する中央遊転輪16dと後方遊転輪16eは直接第1転輪支持プレート16hに連結していないため、駆動輪16aや従動転輪16bが圃場の凹凸により激しく上下動しても、第2転輪支持プレート16mの前後方向の揺動に連動して前後に揺動し、クローラ16jを確実に接地させる。
なお、第2転輪支持プレート16mには、図示した二つの遊転輪16d、16eのみならず、それ以上の数の遊転輪を設けても良いし、第1転輪支持プレート16hに複数の第2転輪支持プレート16mを設けても良い。
【0033】
このように、本実施形態によれば、植え付け作業範囲でクローラ走行装置2が圃場の凹凸により上下動しても、常に複数個(図示例では二つ、中央遊転輪16dと後方遊転輪16e)の遊転輪によってクローラ16jを圃場面に接地できるため、前後に長い接地部を形成することができ、スリップの発生を防止できる。そして、スリップの少ない良好な走行性能を発揮して、適切な移植作業が行うことができる。
【0034】
そして、第2転輪支持プレート16mの揺動支点P(ピン73の位置)を中央遊転輪16dと後方遊転輪16eの回転軸を結んだ線の垂直2等分線上に位置するように設けても良い。
第2転輪支持プレート16mの揺動支点を中央遊転輪16dと後方遊転輪16eからバランス良く配置することで、圃場面の凹凸を吸収し、すなわち吸収度合いが同じとなり、機体の安定した走行が可能となる。
【0035】
そして、図示していないが、第2転輪支持プレート16mの揺動支点Pを前方遊転輪16cと従動転輪16bの回転軸を結んだ線よりも上方に位置するように設けると、第2転輪支持プレート16mの揺動支点Pが前方遊転輪16cと従動転輪16bの回転軸を結んだ線よりも下方に位置している場合に比べて、中央遊転輪16dと後方遊転輪16eの回動軸と揺動支点P間の距離が長くなる。したがって、左右クローラ走行装置2が圃場面の凹凸により上下動して第2転輪支持プレート16mが揺動しても、クローラ16jの張りが強くならずクローラ16jの周長があまり変わらないため、これらの中央遊転輪16dと後方遊転輪16eが自由に動く。
比較的凹凸が少なく広い圃場の場合は、作業性が良好となる。
【0036】
一方、図1に示すように、第2転輪支持プレート16mの揺動支点Pが前方遊転輪16cと従動転輪16bの回転軸を結んだ線よりも下方に位置している場合は、中央遊転輪16dと後方遊転輪16eの回動軸と揺動支点P間の距離が短くなる。したがって、上記とは反対に第2転輪支持プレート16mが揺動すると、クローラ16jの張りが強くなってクローラ16jの周長が長くなるため、中央遊転輪16dと後方遊転輪16eの位置を戻すためのスプリングなどがなくても、中央遊転輪16dと後方遊転輪16eとの距離が縮まって、両転輪が第2転輪支持プレート16mの中央部に寄る。
比較的凹凸が多い圃場の場合は、クローラ16jの張りが強くなることで駆動力が増し、作業性が良好となる。
第2転輪支持プレート16mの揺動支点Pの位置は、圃場の状態や作業条件に応じて適宜変更しても良い。
【0037】
そして、図1に示すように、第1転輪支持プレート16hの第2転輪支持プレート16mとの連結部近傍にはストッパ75を設けている。ストッパ75は第2転輪支持プレート16mの揺動支点Pの前後に二箇所設け、前方ストッパ75aと後方ストッパ75b間を第2転輪支持プレート16mが揺動可能な構成としている。この揺動範囲が第2転輪支持プレート16mの遊び部分となる。すなわち、第2転輪支持プレート16mが前後に揺動して前方ストッパ75aに当たった場合は第2転輪支持プレート16mの前端部に連結している中央遊転輪16dの上動は阻害され、後方ストッパ75bに当たった場合は第2転輪支持プレート16mの後端部に連結している後方遊転輪16eの上動は阻害される。
【0038】
図4及び図5には、図1の野菜移植機の左右クローラ走行装置2の後部を下動させた場合の左右クローラ走行装置2の作動状態を示す。また、図6には、図1の野菜移植機の左右クローラ走行装置の後部を最下動させた場合の側面図を示す。機体を旋回させる場合には、左右クローラ走行装置2の後部を下動させて機体を上昇させて旋回する。
【0039】
図4(a)は、圃場面がほぼ水平で平畝等の低い畝の時の野菜移植機の側面図である。この時、左右クローラ走行装置2は略水平状態であり、前方遊転輪16c、中央遊転輪16d、後方遊転輪16eの3つの転輪の下端部は略同じ高さ位置にあり、前方遊転輪16cから後方遊転輪16e間のクローラ16jは接地状態にある。水平面におけるこれら転輪16c〜16eの下端部の高さ位置をほぼ同じ位置にすれば、平畝等の低い畝を走行する場合は、接地する転輪の数が多くなって、前後方向に長いクローラ16jの接地部が形成されて、スリップを防止して適切な移植作業を行うことができる。
【0040】
そして、機体の旋回時には、左右クローラ走行装置2の後部は左右駆動軸7aを支点として矢印K方向に回動(下動)する。第1転輪支持プレート16hの後部が矢印K方向に回動すると、第1転輪支持プレート16hの前部に連結した前方遊転輪16cは上動して前方遊転輪16cによるクローラ16jの接地状態が解かれる。
一方、第2転輪支持プレート16mは第1転輪支持プレート16hと揺動自在に連結しているため、第2転輪支持プレート16mに連結する中央遊転輪16dと後方遊転輪16eはクローラ16jを接地させたままであり、前方遊転輪16cと中央遊転輪16d(又は後方遊転輪16e)間の距離が次第に開く。
【0041】
そして、第1転輪支持プレート16hに連結した前方遊転輪16cの下端部と後方遊転輪16eの下端部を結ぶ接線Q(図4(d))から中央遊転輪16dの下端部が下方に突出し、前方遊転輪16c、中央遊転輪16d、後方遊転輪16eとクローラ16jとの接点を結ぶと三角形状を形成するようになる。
したがって、左右クローラ走行装置2の上下動により、左右の従動後輪16b側を下動させるほど、前方遊転輪16cの下端部と後方遊転輪16eの下端部を結ぶ接線Qから中央遊転輪16dの下端部が下方に突出することで、クローラ16jが徐々に強く張ってクローラ16jの張度が変化し、周長が長くなる(L2>L1となる)。
【0042】
そして、第2転輪支持プレート16mが後方側ストッパ75bに当たり(図5(c)の状態)第2転輪支持プレート16mの遊びがなくなると、第2転輪支持プレート16mは第1転輪支持プレート16hと一体となって、第2転輪支持プレート16mと第1転輪支持プレート16hが後方下り傾斜となるように矢印K方向に回動する(図5(d)の状態)。
更に左右クローラ走行装置2を下動させると、第2転輪支持プレート16mの前端部に連結している中央遊転輪16dが上動して中央遊転輪16dによるクローラ16jの接地状態が解かれ、後方遊転輪16eのみがクローラ16jを接地させ、この状態で機体を旋回させる(図5(d)の状態)。
このように、機体旋回時にはクローラ走行装置2の接地面積が少なくなるため、容易且つ良好な旋回が行える
そして、更に後傾させた最下動状態では、図6に示すように、後方遊転輪16e及び従動転輪16bの二つの転輪によりクローラ16jを接地させた状態となる。
最下動状態では、後方遊転輪16eと従動転輪16bがちょうど地面に接するように傾斜角度θを設定し、後方遊転輪16e及び従動転輪16b間のクローラ16jが接地した時に、側面視でこのクローラ16jの接地部の上方、すなわち後方遊転輪16eの回転軸と従動転輪16bの回転軸8aとの間(W)に機体の重心位置がある構成とすると良い。例えば、後方遊転輪16eの回転軸と従動転輪16bの回転軸8aを結んだ線の垂直線上に機体中心(重心位置)がくるように、後方遊転輪16e及び従動転輪16bを配置する。
【0043】
本構成を採用することにより、機体の最大上昇時の機体が後傾した状態の姿勢で後方遊転輪16e及び従動転輪16b間のクローラ16jが接地するため、安定姿勢となり安全である。また、クローラ16jの接地部上方に機体の重心位置があることで、作業者の操縦ハンドル6を支える力が少なくて済み、安定した旋回ができる。更に、安定姿勢であるため左右前輪3間の距離調節(トレッド調節)や機体下部のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0044】
また、図1に示すように、第2転輪支持プレート16mの揺動支点P(ピン73の位置)を、中央遊転輪16dと後方遊転輪16eの回転軸を結んだ線の垂直2等分線上よりも後方遊転輪16e側に寄せた位置としても良い。
第2転輪支持プレート16mの回動支点Pを後方の後方遊転輪16e側に寄せることで、第2転輪支持プレート16mの揺動支点Pを前方の前方遊転輪16d側に寄せた場合と比べて中央遊転輪16dの回転軸と揺動支点P間の距離が長くなるため、機体の旋回時に接線Qからの中央遊転輪16dの下方への突出度合いが大きくなり、クローラ16jの張りが強くなって周長が長く伸びるため、谷側のクローラ16jの駆動力が強くなって機体が低い谷側に下降するように進行方向が曲がって前進することを防止できる。したがって、機体が水平の時に谷側のクローラ16jを下げると走行速度が速くなり、直進性が良好となる。
【0045】
また、前記のように、第2転輪支持プレート16mの揺動支点Pの前後にストッパ75が二箇所設けられていることで、機体の上昇時に後方側ストッパ75bによって中央遊転輪16d及び後方遊転輪16eが固定されるため、操縦ハンドル6を押し下げて機体を上昇させやすい。
そして、この機体の上昇時には、第2転輪支持プレート16mの揺動支点Pが後方遊転輪16eの回転軸より前方に位置するように後方側ストッパ75bを設けると、後方遊転輪16eは支点越えをしないため、後方側ストッパ75bにより固定される。
【0046】
また、クローラ16jを張るためのテンションローラ(図示せず)をクローラ16jの内側に設けても良い。テンションローラを設けることで、簡単にクローラ16jの張り具合を調節できる。
また、このテンションローラのローラ(図示せず)はクローラ16jの上部中央(前後方向の中央部)の内側に接してクローラ16jを内側から押さえるように配置すると良い。クローラ16jの上部中央を押すことで比較的弱い力で張り具合を調節できる。
【0047】
更に、このテンションローラは、一端がローラの回転軸に回動可能に連結し、他端が機体のメインフレーム14などに連結して、機体の連結側を支点としてローラを回動させるテンションアーム(図示せず)を有するものでよい。テンションローラの張り具合はテンションアームを調節することで容易にできる。
本構成とすれば、クローラ16jの張り具合を調節することで、左右クローラ走行装置2の走行速度を変えることができ、ハンドル操作の微調整も可能となる。
【0048】
そして、テンションアームはワイヤーで操縦ハンドル6近傍に設けたテンション調節用ハンドル(図示せず)と繋がっている構成としても良い。テンション調節用ハンドルを操作することで手元で容易にクローラ16jの張り具合を調節できる。
そして、テンション調節用ハンドルは右に回すとワイヤーが引かれてクローラ16jが張り、左に回すとワイヤーが戻ってクローラ16jが弛むような構成にしても良い。操縦ハンドル6を右に回すと機体が右に寄り、操縦ハンドル6を左に回すと機体が左に寄るので、本構成とすることでクローラ16jの張り具合の調節操作がしやすくなる。
そして、テンションアームのワイヤーをサブシリンダー(図示せず)に繋げて、サブシリンダーを作動させることでテンションがかけられるようにすると、確実にテンションがかかって、クローラ16jが張り、傾斜地で機体が谷側に移動することを防止できる。
【0049】
一方、苗植付位置5の後方には、左右一対の鎮圧輪80が配置されている。この左右鎮圧輪80は、下部ほど互いの間隔が狭くなるように斜めに取り付けられ、機体の進行に伴って畝面を転動し、苗が植付けられた後の苗移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、その跡を軽く鎮圧するようになっている。また、畝上面を検出するセンサ92(図3)を設け、センサ92が上下回動すると、その回動を上下制御バルブ20aに伝え、センサ92の角度が元に戻る方向に昇降シリンダ21を作動させる。これにより、畝の上面から機体までの高さを一定に維持するように機体を昇降制御し、畝の高さの変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御され、植付後の苗の成育が良い。
【0050】
そして、油圧バルブユニット20(図3)内の左右傾斜制御バルブ20bは左右傾斜検出用の振り子100の動きに連動して切り替わるようになっている。
図7には、図3の油圧バルブユニット20(図3)内の振り子100の動きを説明するための図を示す。図7(a)は側面図を示し、図7(b)は正面図を示す。
図3に示すように、機体が左右に傾斜すると振り子100が傾斜を検出して左右傾斜制御バルブ20bを切替えてローリングシリンダ27が適宜作動し、機体を左右水平に戻すように制御する。
【0051】
この左右傾斜制御バルブ20bを手動で切替え可能な手動レバー101(図1)を設ける。手動レバー101の先端はアーム102の一端部に固定され、アーム102の他端部が左右連結軸104の左端部に回動可能に連結している。そして、左右連結軸104の右端部は側面視でL字型のロックアーム105に固着している。
ロックアーム105はL字の折れ曲がり部で第1支持部材107aに回動可能に連結しており、ロックアーム105は第1支持部材107aとの連結部Rを支点として矢印E−F方向に回動可能である。また、第1支持部材107aには振り子100の上端部が固着連結している。更に、ロックアーム105の上端部にはロックワイヤー109が連結しており、ロックワイヤー109を操作(引く、戻す)することでロックアーム105が矢印E−F方向に回動する。
【0052】
ロックワイヤー109が矢印G方向に作動するとワイヤーが弛んで、ロックアーム105が矢印E方向に回動する。そして、第1支持部材107aの下部に設けられ、振り子100とボルト106により固着した第2支持部材107bの図示しないフックにロックアーム105の下端部が引っかかってロックアーム105は第2支持部材107bに係合し、振り子100と一体化する。
一方、ロックワイヤー109が矢印G方向とは反対方向に作動するとワイヤーが引かれてロックアーム105が矢印F方向に回動し、ロックアーム105と第2支持部材107bとの係合が解除される。
【0053】
ロックアーム105が第2支持部材107bに係合していないときは、左右傾斜制御(水平制御)は手動操作により行う。手動レバー101を矢印H方向又は矢印H方向とは反対方向に操作することで、アーム102の下端部及び左右連結軸104の左端部が矢印I方向又は矢印I方向とは反対方向に作動して、左右連結軸104の右端部が矢印J方向又は矢印J方向とは反対方向に作動し、振り子100が矢印M方向又は矢印M方向とは反対方向に作動する。
【0054】
一方、ロックアーム105が第2支持部材107bに係合し、振り子100と一体化したときは、手動レバー101によらずに圃場の凹凸によって振り子100が作動することで、自動的に左右傾斜制御が行われる。
このように、簡易な構成で機体の左右傾斜制御を手動レバー101による手動操作と自動制御とに切り換えることができる。
【0055】
また、ロックアーム105を作動させるためのロックワイヤー109をロックアーム105の回動支点である第1支持部材107aとの連結部R(L字の折れ曲がり部)の近傍に設けると、ロックワイヤー109の動きが少なくてもロックアーム105を作動させることができるため、ロックワイヤー109が振り子100や第1支持部材107aの動きの妨げとならない。
【0056】
また、ロックアーム105の下端部にはスプリング110の一端部が連結し、スプリング110の他端部は、油圧バルブユニット20本体に固定されている。ロックアーム105が第2支持部材107bに係合していない、すなわち手動操作時ではスプリング110が伸びた状態であり、スプリング110の張力で中立状態に戻る。一方、ロックアーム105が第2支持部材107bに係合した自動制御時ではスプリング110が弛んだ状態となり、スプリングの張力が弱くなって振り子100の動きが優先されて、振り子100による左右傾斜制御が行える。
【0057】
そして、ロックワイヤー109を植付昇降レバー103(図1)に繋げても良い。植付昇降レバー103により植付クラッチを入操作すると、ロックワイヤー109が引かれてロックアーム105と第2支持部材107bの係合は解除され、手動レバー101によって振り子100を操作できる。植付時には水平制御を手動操作にすることで、傾斜地でも畦の中央に植え付けが可能となる。一方、植付昇降レバー103により植付クラッチを切操作すると、ロックワイヤー109が弛んで(戻り)ロックアーム105が第2支持部材107bに係合し、自動で水平制御が行える。植付切り時は旋回時または路上走行時であるため、振り子100の動きで左右傾斜を自動制御することで機体を水平にして安定旋回ができ、運転がし易くなる。
【0058】
植付部1bでは、走行部ミッションケース7から植付部ミッションケース30(図2)及び第一植付伝動ケース31(図2)を介して第二植付伝動ケース32(図1、図2)により苗植付装置5へ動力が伝動される。苗植付装置5の苗植付具42は、走行部1aの後部側に配置している。
そして、苗載台90上には縦方向と横方向とに多数収容した苗トレイ(図示せず)を後側が高くなるように傾斜して載置支持しており、前方側に配置されている苗取出爪41によって苗トレイから苗を一つずつ取出して苗植付具42へと搬送する。そして、苗植付具42により苗が植え付けられる。
【0059】
図8には、図2の野菜移植機に苗トレイTを設置した場合の平面図を示す。
また、植付部ミッションケース30の上部に基部を固着した左右フレーム34(図2)に、機体の左右に苗トレイTを段状(2段)に載せられる左右予備苗載台36及び中央に苗トレイTを載せられる中央予備苗載台37が取り付けられている。
【0060】
図2に示すように、中央予備苗載台37は左右方向に長手方向を有する横置きとし、左右予備苗載台36は前後方向に長手方向を有する縦置きとすることで、予備苗載台が左右に出っ張らずコンパクトな構成となる。したがって、燃料タンクに燃料を供給する際に予備苗載台36、37が邪魔にならず作業性が良い。また、エンジン9や走行部ミッションケース7等のメンテナンス性に優れる。
さらに、左右予備苗載台36が中央予備苗載台37の上部に重なるように、左右予備苗載台36をそれぞれ内側に折り畳み可能な構成とすれば、野菜収穫機1の収納時に嵩張らない。
【符号の説明】
【0061】
1 野菜移植機 1a 走行部
1b 植付部 2 左右クローラ走行装置
3 左右前輪 4 苗供給装置
5 苗植付装置 6 操縦ハンドル
6a 左右グリップ 7 走行部ミッションケース
7a 左右駆動軸 8a 回転軸
9 エンジン 10 油圧ポンプ
11a 蓋 12 ボンネット
13 連結フレーム 14 メインフレーム
15 左右回動筒部 16 クローラフレーム
16a 駆動輪 16b 従動転輪
16c 前方遊転輪 16d 中央遊転輪
16e 後方遊転輪 16f 支持アーム
16h 第1転輪支持プレート
16ha 長穴 16j クローラ
16k ラグ 16m 第2転輪支持プレート
17 前輪支持フレーム 18 左右前輪支持ロッド
20 油圧バルブユニット 20a・20b 制御バルブ
21 昇降シリンダ 22 天秤杆
23 取付部材 25 左右スイングアーム
26 連結ロッド 27 ローリングシリンダ
30 植付部ミッションケース
31 第一植付伝動ケース 32 第二植付伝動ケース
34 左右フレーム 36 左右予備苗載台
37 中央予備苗載台 41 苗取出爪
42 苗植付具 70,73 ピン
75 ストッパ 80 左右鎮圧輪
90 苗載台 92 センサ
100 振り子 101 手動レバー
102 アーム 103 植付昇降レバー
104 左右連結軸 105 ロックアーム
106 ボルト 107a 第1支持部材
107b 第2支持部材 109 ロックワイヤー
110 スプリング
U 畝
S 機体制御機構(上下動機構)
T 苗トレイ
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の苗移植機は、野菜移植機に限らず、田植機などのその他の苗を植え付ける苗移植機として利用可能性がある。また、乗用型の苗移植機でも歩行型の苗移植機でもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の駆動前輪(16a)と左右の従動後輪(16b)と該左右の駆動前輪(16a)と左右の従動後輪(16b)との外側に巻き掛けられたクローラ(16j)とを備えた左右クローラ走行装置(2)と、該左右クローラ走行装置(2)の上方に苗を植え付ける植付部(1b)とを設けた苗移植機において、
前記左右の駆動前輪(16a)及び左右の従動後輪(16b)間に設けられ、前記前輪(16a)及び従動後輪(16b)を支持するための前後輪支持部(16f、16h)と、
該前後輪支持部(16f、16h)に上端部が連結し、該上端部を揺動支点(P)として前後方向に揺動可能である転輪支持部(16m)と、
前記転輪支持部(16m)の下部であって前後方向に複数個、回動自在に支持されて、前記植付部(1b)によって苗を植付ける際の左右クローラ走行装置(2)による走行時に前記転輪支持部(16m)の揺動に連動して前後方向に揺動し、クローラ(16j)の内側に接してクローラ(16j)を接地させる転輪(16d、16e)と
を設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前後輪支持部(16f、16h)の前記転輪支持部(16m)との連結部である揺動支点(P)の前方及び後方に、前記転輪支持部(16m)の揺動を妨げるストッパ(75)を設け、
苗移植機の旋回時に、左右クローラ走行装置(2)の前記左右の従動後輪(16b)側が下動すると、前記前後輪支持部(16f、16h)の後端部側が下動して前記後方側のストッパ(75b)が前記転輪支持部(16m)の後部に当たると共に、前記転輪支持部(16m)の前部及び該転輪支持部(16m)により支持された転輪(16d、16e)のうち、前方側の転輪(16d)が前記前後輪支持部(16f、16h)に連動して上動し、前記前方側の転輪(16d)によるクローラ(16j)の接地状態が解かれ、後方側の転輪(16e)のみによりクローラ(16j)を接地させる旋回下動機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
前後輪支持部(16f、16h)の下部であって前記複数個の転輪(16d、16e)よりも前方に、前記クローラ(16j)の内側に接してクローラ(16j)を接地させる前方転輪(16c)を、該前方転輪(16c)の下端部が、前記左右クローラ走行装置(2)の略水平状態における前記複数個の転輪(16d、16e)の下端部と上下高さが略同じ高さとなるように回動可能に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の苗移植機。
【請求項4】
苗移植機の旋回時に、左右クローラ走行装置(2)の前記左右の従動後輪(16b)側を下動させるほど、前記前後輪支持部(16f、16h)の後端部側が下動し、該前後輪支持部(16f、16h)の前端部及び前方転輪(16c)が上動して、該前方転輪(16c)によるクローラ(16j)の接地状態が解かれ、前記前方転輪(16c)の下端部と前記転輪支持部(16m)により支持された転輪(16d、16e)のうち、後方側の転輪(16e)の下端部とを結ぶ接線(Q)から前方側の転輪(16d)の下端部が下方に突出することで、クローラ(16j)を強く張るクローラ張度変化機構を設けたことを特徴とする請求項3記載の苗移植機。
【請求項5】
前記左右クローラ走行装置(2)の前記左右の従動後輪(16b)側が下動して、前記転輪支持部(16m)により支持された転輪(16d、16e)のうち最後部の転輪(16e)と前記左右の従動後輪(16b)との間のクローラ(16j)を接地させた場合に、機体側面視で該クローラ(16j)の接地部の上方位置に苗移植機の重心位置がある構成としたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の苗移植機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−45280(P2011−45280A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195788(P2009−195788)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】