説明

苗移植機

【課題】後進した後で苗の植付を開始する場合に、苗が植えられていない圃場領域をなくした苗移植機を提供すること。
【解決手段】走行車両1の後部の苗植付装置3と変速操作レバー17と植付速、中立速及び移動速に切替操作する植付操作レバー26と植付操作レバー26の操作に従って移動速、中立速と植付速にそれぞれ切り替える作業シフタ56を設け、苗植付装置3の上昇または下降を検出する上下動センサ48と植付操作レバー26の操作位置を検出するセンサ50と変速操作レバー17が前進位置または後進位置にあることを検出するセンサ52の信号により制御装置100が苗植付装置3の上昇状態でかつ車両1が後進中であることを検知すると植付具41を作動させる作業シフタ56を中立状態に切り替える切替モータ57を設け、前進時に苗の植付を速やかに行うことがきるので、苗を植え付け損なった箇所に手作業で苗を植え直す必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場に苗を植え付けるための苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の苗移植機の従来技術としては、枕地に苗を植え付ける際に苗移植機の機体を畦際まで後退させ、苗植付装置を下ろしてから前進して苗植付具により苗の植付を行っている。
【特許文献1】特開2005−323528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載の苗移植機では、枕地に苗を植え付ける際、機体を畦際まで後退させ、苗植付装置を下ろしてから前進して植付を行うため、後進時の苗植付具の停止位置や植付クラッチが「入」状態になるタイミング等の条件により植付が遅れてしまうことがあるため、作業者は苗の植えられていない圃場領域に手作業で苗を植え付けねばならず、作業者の労力が増大すると共に作業能率が低下するという問題がある。
そこで、本発明の課題は、後進したあとで苗の植付を開始する場合に、苗が植えられていない圃場領域をなくした苗移植機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、次の解決手段により解決できる。
請求項1記載の発明は、圃場を走行する走行車両(1)と、該走行車両(1)の後部にリンク機構(2)を介して上下動自在に設けた苗植付装置(3)と、走行車両(1)に設けた変速装置により進行方向を前後に切り替える変速操作レバー(17)と、圃場に苗を植え付ける植付速、走行しない中立速及び路上走行時の移動速に前記変速装置を切替操作する植付操作レバー(26)とを設けた苗移植機において、植付操作レバー(26)の操作に従って前記移動速と中立速と植付速とにそれぞれ切り替える作業シフタ(56)と、苗植付装置(3)の上昇位置または下降位置を検出する苗植付装置上下動センサ(48)と、植付操作レバー(26)の操作位置を検出する植付操作レバーセンサ(50)と、変速操作レバー(17)が前進位置または後進位置にあることを検出する変速操作レバーセンサ(52)と作業シフタ(56)が植付速位置にある場合にだけ作動して作業シフタ(56)を植付速位置から中立速に切り替える切替手段(57)と、前記上下動センサ(48)により苗植付装置(3)が上昇状態にあることが検知され、かつ変速操作レバーセンサ(52)により走行車両(1)が後進状態にあることを検出されると、植付操作レバーセンサ(50)により植付操作レバー(26)が植付速を選択していても切替手段(57)を作動させて作業シフタ(56)を中立状態に切り替える制御装置(100)とを設けたことを特徴とする苗移植機である。
【0005】
請求項2記載の発明は、制御装置(100)は、苗植付装置(3)が上昇状態にあり、走行車両(1)が後進状態にあるときに植付操作レバー(26)が植付速を選択して切替手段(57)が作業シフタ(56)を中立状態にした状態で、変速操作レバーセンサ(52)が走行車両(1)を前進状態に切り替えたことを検知すると、所定時間経過後(例えば2〜5秒程度)に切替手段(57)を作動させて作業シフタ(56)を中立状態から植付速位置に切り替える制御構成を有することを特徴とする請求項1記載の苗移植機である。
【0006】
請求項3記載の発明は、走行車両(1)の前後方向の傾斜角度を検知する機体傾斜センサ(109)と、該傾斜センサ(109)が所定角度(例えば3度〜15度)以上の走行車両(1)の傾斜を検出すると制御装置(100)は切替手段(57)を作動させない制御構成を有することを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、制御装置(100)は、上下動センサ(48)により苗植付装置(3)の上昇状態にあることが検知され、かつ変速操作レバーセンサ(52)により走行車両(1)が後進状態にあることが検出されると、植付操作レバーセンサ(50)により植付操作レバー(26)が植付速を選択していても切替手段(57)を作動させて作業シフタ(56)を中立状態に切り替えるので、次に前進動作を選択した場合に速やかに苗の植え付けを始めることができ、苗の植えられない箇所が生じることが防止され、作業者の労力が軽減される。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、制御装置(100)は、苗植付装置(3)が上昇状態にあり、走行車両(1)が後進状態にあるときに植付操作レバー(26)が植付速を選択して切替手段(57)が作業シフタ(56)を中立状態にした状態で、変速操作レバーセンサ(52)が走行車両(1)を前進状態に切り替えると、前記所定時間後に切替手段(57)が作動して作業シフタ(56)を中立状態から植付速位置に切り替えるので、確実に苗植付装置(3)を始動させることができ、空ら植え箇所に手作業で苗を植え直す必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。
【0009】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、傾斜センサ(109)が走行車両(1)が所定角度(例えば3度〜15度)以上の走行車両(1)の前後方向の傾斜角度を検出すると制御装置(100)は切替手段(57)を作動させないので、傾斜地で中立状態となることを防止でき、走行車両(1)が傾斜地に沿って滑り落ちてしまうことが防止され、作業の安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例の施肥装置付き乗用型田植機の側面図である。
【図2】図1の施肥装置付き乗用型田植機の平面図である。
【図3】図1に示す乗用型田植機の後輪の伝動部の構成を示す側面図である。
【図4】図1に示す乗用型田植機の制御ブロック図である。
【図5】図1に示す乗用型田植機の植付操作レバーと該植付操作レバーにより副変速伝動軸の作動位置を切り替える副変速装置の一部を示す構成図である。
【図6】図1に示す乗用型田植機の前輪部分の正面図(図6(a)は本発明の構成、図6(b)は従来技術の構成)である。
【図7】図1に示す乗用型田植機の前輪部分の正面図(前輪をポジティブキャンバ状態にする構成図)である。
【図8】図1に示す乗用型田植機の泥濘部脱出機構Eを備えた後輪伝動部の側面図である。
【図9】図1に示す乗用型田植機の泥濘部脱出機構Eを備えた後輪伝動部の断面図である。
【図10】図1に示す乗用型田植機の後輪伝動部の側面図脱出用バーの使用方法を説明する側面図である。
【図11】図1に示す乗用型田植機のフロート正面図(図11(a))と背面図(図11(b))である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の苗移植機の一実施例である4条植え乗用型田植機について図面に基づき詳細に説明する。
図1の側面図と図2の平面図に示すように、乗用型田植機は走行車両1に昇降用リンク装置2で作業装置の一種である苗植付装置3を装着すると共に施肥装置4を設け、全体で乗用施肥田植機として機能するように構成されている。走行車両1は、駆動輪である左右各一対の前輪6,6及び後輪7,7を有する四輪駆動車両である。
なお、本明細書では田植機の前進方向に向かって左右をそれぞれ左側と右側といい、前進方向を前側、後進方向を後側という。
図1に示すように、メインフレーム10a,10bにミッションケース11とエンジン12が配設されており、該ミッションケース11の後部側面に油圧ポンプ13がケース11と一体に組み付けられ、ミッションケース11の前部上方にステアリングポスト14が突設されている。
【0012】
そして、ステアリングポスト14の上端部にステアリングハンドル16が設けられている。機体の上部には操縦用のフロアとなるステップフロア19が取り付けられ、エンジン12の上方部に操縦席20が設置されている。ステアリングハンドル16の右側には変速操作レバー17が設けられ、操縦席20の右側には畦クラッチレバー18が設けられている。前輪6,6はミッションケース11の側方に向きを変更可能に設けた前輪支持ケース22,22に軸支されている。また、後輪7,7は、左右フレーム37の左右両端部に取り付けた後輪伝動ケース24,24に後輪支持体30を介して軸支されている。左右フレーム37はメインフレーム10a,10bの後端部に支持されている。
【0013】
図1と図2に後輪7への動力伝動機構の一部を示すように、エンジン12の回転動力は、プーリ27、ベルト28及びプーリ29を順次経由して油圧式無段変速装置(HST)31の入力軸32aに伝えられ、HST31の出力軸32bからミッションケース11内に伝えられる。
リヤ出力軸11a,11bの後端部はミッションケース11の後方に突出し、この突出端部に前記後輪伝動ケース24,24に伝動する左右後輪伝動軸35,35が接続されている。そして、この左右後輪伝動軸35,35により各々左右後輪7,7が駆動回転される構成となっている。
【0014】
苗植付装置3は、走行車両1に昇降用リンク装置2で昇降自在に装着されている。
走行車両1に基部が回動自在に設けられた一般的なリフトシリンダ36(図1)のピストン上端部を昇降用リンク装置2に連結し、走行車両1に設けた油圧ポンプ13にて昇降バルブ(図示せず)を介してリフトシリンダ36に圧油を供給・排出して、リフトシリンダ36のピストンを伸進・縮退させて昇降用リンク装置2に連結した苗植付装置3が上下動されるように構成されている。
苗植付装置3は、左右フレーム37を介して昇降用リンク装置2の後部にローリング自在に装着されたフレームを兼ねる植付伝動ケース38と、該植付伝動ケース38に設けられた支持部材に支持されて機体左右方向に往復動する苗載台39と、植付伝動ケース38の後端部に装着され、苗載台39の下端より1株づつ苗を圃場に植え付ける苗植付具41と、植付伝動ケース38の下部にその後部が枢支されてその前部が上下揺動自在に装着された整地体であるセンター(センサー)フロート42とサイドフロート43等にて構成されている。センターフロート42とサイドフロート43は、圃場を整地すると共に苗植付具41にて苗が植え付けられる圃場の前方を整地すべく設けられている。
【0015】
PTO伝動軸45(図1)は両端にユニバーサルジョイントを有し、ミッションケース11からの動力を苗植付装置3の植付伝動ケース38に伝達すべく設けている。また、仰角センサ51(図1)は、メインフレーム10a,10bに立設した昇降リンク基部フレーム15と昇降用リンク装置2の上下動する昇降用の平行リンク部材2a,2bの間に設けられ、リンク79の動きを検出するポテンショメータであり、手動操作等により苗植付装置3を最上昇位置へ上昇したことを検出できる。
図4に示す制御装置100は、下記のセンサ・スイッチ類からの入力信号により後述する作業シフタ56の切り替え用モータ57と苗植付装置3のリフトシリンダ36を作動制御する。
【0016】
センターフロート42の前部に設けられた仰角センサ51は、苗植付装置3の対地高さを検出するものであり、該仰角センサ51の検出値に基づいて、制御装置100により昇降バルブを制御してリフトシリンダ36にて苗植付装置3の上下位置を制御するように構成されている。
即ち、センターフロート42の前部が外力にて適正範囲以上に持ち上げられたことを仰角センサ51により検出した時には油圧ポンプ13にてミッションケース11内から汲み出された圧油をリフトシリンダ36に送り込んでピストンを突出させて昇降用リンク装置2を上動させて苗植付装置3を所定位置まで上昇させ、また、センターフロート42の前部が適正範囲以下に下がったことを仰角センサ51により検出した時にはリフトシリンダ36内の圧油をミッションケース11内に戻して昇降用リンク装置2を下動させて苗植付装置3を所定位置まで下降させる。
【0017】
そして、センターフロート42の前部が適正範囲にあるとき(仰角センサ51の検出値が適正範囲にあり、苗植付装置3が適正な対地高さであるとき)には、リフトシリンダ36内の圧油の出入りを止めて苗植付装置3を一定位置に保持させている。
このように、センターフロート42を苗植付装置3の自動高さ制御のための接地センサーとして用いている。
苗植付装置3は4条植の構成で、フレームを兼ねる植付伝動ケース38、苗を載せて左右往復動し苗を一株づつ各条の苗取出口39a(図2)に供給する苗載台39、苗取出口39aに供給された苗を圃場に植え付ける苗植付具41等を備えている。
【0018】
図1に示すように、センターフロート42の前方にはロータ70aが配置され、該ロータ70aはサイドフロート43の前方にあるロータ70bより前方に配置されている。ロータ70aは後輪7の伝動ケース24内のギアから伝動軸25を介して動力が伝達され、ロータ70bは両方のロータ70a,70aの駆動軸(図示せず)からそれぞれ動力が伝達される左右一対のチェーンケース71,71内の一対のチェーン(図示せず)から動力伝達される。
また、ロータ70aは梁部材73に上端部が支持された一対のリンク部材76,77によりスプリング78を介して吊り下げられている。
【0019】
前記一対のリンク部材76,77は梁部材73に一端部が固着支持された第一リンク部材76と該第一リンク部材76の他端部に一端が回動自在に連結した第二リンク部材77からなり、該第二リンク部材77の他端部と図示しない補強部材に回動自在に支持された取付片との間に前記スプリング78が接続している。
また、ロータ上下位置調節レバー81の下端部は支持枠体72に回動自在に支持されている。第一リンク部材76の上方への回動により第二リンク部材77とスプリング78を介してロータ70aを上方に上げることができる。詳細は省略するが、ロータ70aを上方に移動させると、ロータ70bも同時に上方に移動する機構になっている。
【0020】
施肥装置4は、肥料タンク67内の肥料を肥料繰出部68によって一定量ずつ下方に繰り出し、その繰り出された肥料をブロア69により施肥ホース62を通して施肥ガイド80まで移送し、該施肥ガイド80の前側に設けた作溝体82によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込むようになっている。
また、ペダル86(図2)はメインクラッチと左右後輪ブレーキ装置(図示せず)を共に操作することができ、ステアリングハンドル16の右下側に配置されており、このペダル86を踏み込むとメインクラッチが切れ、続いて左右後輪ブレーキがかかり、機体は停止する。
また、機体の前方にはフロントアーム88を突設し、フロントアーム88の先端部からフロントアーム88内にセンターマスコット89を挿脱自在に取り付けて、フロントアーム88とセンターマスコット89を一体化し、センターマスコット89の先端にランプ89aを設けて、フロントアーム88とセンターマスコット89を1本のレバーとする。また、ステップフロア19の前方両サイドにはサイドマーカ44が設けられている。
【0021】
後輪7の伝動ケース24は左右フレーム37の左右両端部に取り付けて、後輪支持体30に軸支されている。
昇降リンク基部フレーム15には後輪強制下降用の油圧シリンダ92の一端が連結されている。前記油圧シリンダ92のピストン92aの先端部は伝動ケース24に係止されている。
後輪伝動ケース24の回動により後輪7の車軸23は後輪伝動ケース24と一体で上下動する。なお後輪伝動ケース24にはミッションケース11から左右後輪伝動軸35を介して動力が伝達される。
また、左右の後輪支持体30に後方に向けて取り付けられた弾性ゴム支持アーム93の先端と後輪伝動ケース24の上面との間にスプリング94を設け、該アーム93と後輪伝動ケース24の上方部位との間に弾性ゴム体96を取り付ける。
従って前進高負荷時に後輪7を左右独立して進行方向に回動させる際に生じる駆動反力(図3の矢印A方向に作用)により、後輪伝動ケース24が回動支点軸24aを中心に下方に駆動されて自動的に走行車両1の後部側が上昇する。
【0022】
例えば、登り坂での走行時又は畦際での旋回時など前進高負荷時に後輪7に働く駆動反力(図3の矢印A方向に作用)により後輪伝動ケース24が回動支点軸24aの回りに回動しようとするが、この力が後輪7を路面に押圧する圧力は後輪支持体30に設けた弾性ゴム体96でさらに付勢され、後輪伝動ケース24が下側に回動する。
この後輪7を路面に押圧する力を弾性ゴム体96で付勢することで走行車両1の後部が持ち上げられ、これにより走行車両1の前部が浮き上がるのを抑制して、前後輪6,7が確実に路面をとらえることができる。こうして前進高負荷時における田植機の走行性が良くなり、特に湿田時の泥押し防止効果が高い。
また、上記構成は機体重量が大きくても前記駆動反力を弾性ゴム体96が補うので後輪7を十分下動させることができる。
【0023】
また、アーム93の先端と後輪伝動ケース24の上面との間に設けたスプリング94が伝動ケース24の後部上面を弾性的に支持し、該スプリング94の先端には弾性ゴム支持アーム93の先端を貫通するケーブル98が連結している。このスプリング94は後輪7の上下動を伝動ケース24を介して走行車両1側に伝達しやすくしたり(張力小のとき)、あるいは伝達し難くする(張力大のとき)機能がある。
弾性ゴム体96は下向きに伝動ケース24を押圧しているが、スプリング94は上向きに伝動ケース24を押圧している。また、ケーブル98でスプリング94を引っ張ると後輪7が下降し難くなる。
上記構成で、本実施例の走行車両1のハンドル16をある一定角度以上旋回方向に切った時に、旋回時の外側後輪7の負荷が小さくても、旋回時の外側後輪7だけ下降するように強制的に動かす制御を行うことができる。
【0024】
従来の構成では、旋回時に外側後輪7の負荷が小さいと、駆動負荷によるだけで外側後輪7を下降させて車高を上げるだけであったため駆動が不安定になりやすかったが、本実施例では小回り旋回を安定的に行うことができる。
また、従来の構成では、苗植付時に機体の後部が上下動すると(苗植付時に後輪7が下がると)、センターフロート42の仰角センサ51(図4)の検出値が変化し、苗植付装置3の昇降制御が不安定になったり、該昇降制御の制御感度が不安定になったり、植付姿勢が傾いたりする問題があった。しかし、左右独立懸架方式の機体で後輪7が下方に付勢される力を抑えるスプリング94を設けた前記構成においては、そのスプリング94を図3に示すように油圧シリンダ92の近傍に設けているので、後輪7が通常状態である苗植付状態(植付装置3は下げ)で機体の後部が上昇しにくい。一方、苗植付装置3を上昇させた場合は機体の後部が上昇しやすくなる。
【0025】
なお、変速操作レバー17のグリップ部分には、リフトシリンダ36の作動により苗植付装置3の上昇または下降のいずれかを選択する切替スイッチ46と、苗植付具41の作動・停止を選択する切替スイッチ47を設ける構成としてもよい。
上記の構成により、苗植付装置3の上昇または下降を作業者の指で行うことができるようになり、機体の操作性が向上する。
また、ステアリングポスト14を中心として変速操作レバー17の反対側に路上走行を選択するための田植機を路上走行させるときの「移動速」、中立位置を選択する「中立」及び苗植付装置3による苗植付作業などの「植付速」のいずれかを選択できる植付操作レバー(副変速操作レバー)26を設けている。
【0026】
またリフトシリンダ36に接触する位置に苗植付装置3の上昇または下降を検出する苗植付装置上下動センサ48としての接触センサまたはスイッチを設けている。また植付操作レバー26の操作を検出する植付操作レバーセンサ50としてを該レバー26のポジションを認識可能な接触センサまたはスイッチを植付操作レバー26が接触する位置に設けている。さらに変速操作レバー17が前進位置または後進位置にあることを検出する変速操作レバーセンサ52として変速操作レバー17の操作位置を検出する接触センサまたはスイッチを変速操作レバー17が接触する位置に設けている。
【0027】
また、図5に植付操作レバー(副変速操作レバー)26と該植付操作レバー(副変速操作レバー)26により副変速伝動軸55の作動位置を切り替える副変速装置の一部を示す。
副変速伝動軸55のシフタ56がモータ57とカム58により副変速操作レバー26とは別に動かせるようにする。また、モータ57の作動により、副変速操作レバー26の操作でシフタ56は苗植付装置3が苗を植え付けるのに適した車両走行速度である「植付速」にあるときにシフタ56が中立位置に移動して車両(田植機)を停止させることができる構成とし、その後、走行車両1が前進動作を検出すると、一定時間後(例えば、約2〜5秒後)に、苗植付装置3の苗植付具41が苗の植付動作を開始できる構成としたものである。
【0028】
図5に基づき上記作動機構を詳細に説明する。
ミッションケース11内に設けられたシフタ56は副変速伝動軸55と該副変速伝動軸55に並列配置されたロッド59にそれぞれ摺動自在に貫通して遊嵌されている。ロッド59の一端はミッションケース11に固定され、ロッド59の他端にはロッド59に対して直交する方向に平面が向いたプレート59aを取り付けている。またロッド59のミッションケース11の内壁部側とロッド59を貫通させたシフタ56の表面にそれぞれ両端を固着させたスプリング61が取り付けられ、シフタ56がスプリング61とロッド59により中立位置に弾性支持されている。
【0029】
またプレート59aと前記スプリング61の間のロッド59の先端の小径部にはミッションケース11に回転中心64aを有するアーム64の先端が遊嵌している。また該アーム64の他端は植付操作(副変速)レバー26の中間部に一端部が回動自在に連結したロッド65の中間部に回動自在に接続している。ロッド65の他端は機体にスプリング75を介して摺動(挿脱)自在に支持されている。
【0030】
ミッションケース11内の副変速装置のギア機構の一部を図5には図示しているが、ミッションケース11の壁面に設けられた軸受け101に副変速伝動軸55の一端が回動自在に取り付けられており、該ケース11の内壁側の副変速伝動軸55には走行速時に作動する第1ギア102と植付時に作動する第2ギア107が遊嵌している。また、走副変速伝動軸55に平行する位置に走行軸103が設けられており、該走行軸103に固着した第3ギア104と第4ギア105が副変速伝動軸55に固着した第1ギア102と第2ギア107にそれぞれ常時噛合している。また前記2つの第1ギア102と第2ギア107の係合用孔102a,107aが設けられている。
【0031】
そしてシフタ56の両面には回転体54a,54bが配置され、該回転体54a,54bは走副変速伝動軸55にスプライン係合している。従って回転体54a,54bは、シフタ56が走副変速伝動軸55に沿って摺動すると、その動きに連動して走副変速伝動軸55に沿って摺動する。また回転体54a,54bの前記2つの第1ギア102と第2ギア107に対向する側には係合用孔102a,107aに係脱自在の爪がそれぞれ設けられている。
従って、シフタ56が副変速伝動軸55に沿って摺動して第1ギア102の係合孔に回転体54aの爪が挿入されると、第1ギア102は副変速伝動軸55と一体となって副変速伝動軸55の周りを回転する。そして、該第1ギア102の回転により副変速伝動軸55の回転動力が第3ギア104を経由して走行軸103に伝達され、出力軸103から図示しないギア伝動系を経由して走行車両1が走行速で移動可能となる。
【0032】
また、シフタ56が副変速伝動軸55に沿って摺動して第2ギア107の係合孔107aに回転体54bの爪が挿入されると、第2ギア107は副変速伝動軸55と一体となって副変速伝動軸55の周りを回転する。該第2ギア107の回転により副変速伝動軸55の回転動力が第4ギア105を経由して走行軸103に伝達され、走行軸103から図示しないギア伝動系を経由して走行車両1が植付速で移動可能となる。
また、回転体54aと回転体54bの爪が副変速伝動軸55の第1ギア102と第2ギア107のいずれにも係合しない位置にシフタ56の摺動により回転体54aと回転体54bがあると中立位置にあり、副変速伝動軸55の回転動力は走行軸103には伝達されない。
【0033】
上記シフタ56の副変速伝動軸55上の摺動は植付操作(副変速)レバー26を操作することでロッド65、アーム64及びロッド59を介して行われ、植付操作(副変速)レバー26を操作で副変速装置は走行速、中立、植付速のいずれかを次のようにして選択可能になる。
また、ロッド59の先端のプレート59aの近傍にはモータ57(図5ではモータ57の底面が見えている。)が配置されており、該モータ57の回転軸57aにカム58の一側端部を軸着し、該カム58の他側端部には円筒状の突起体58aを取り付ける。そして、モータ57を回転させると、カム58が連動して回転する構成とする。
【0034】
ロッド59が植付操作(副変速)レバー26の操作に連動して移動速(プレート59aが一点鎖線位置)及び中立位置(プレート59aが破線位置)にあるときは、モータ57の作動があってもロッド59の先端のプレート59aにはカム58の円筒状突起58aが当接しない。しかし植付操作(副変速)レバー26が植付速(プレート59aが実線位置)にあるときは、モータ57の作動があるとロッド59の先端のプレート59aにカム58の円筒状突起58aが当接する。従って、モータ57の作動があると植付操作(副変速)レバー26が操作されなくても、植付速から中立位置にロッド59を移動させる。
【0035】
従ってシフタ56の位置が植付時にあるときに、走行車両1を中立位置に戻したい場合に植付操作レバー(副変速操作レバー)26を中立位置に戻す操作を忘れていても、モータ57の作動によりカム58がシフタ56を中立位置に動かすことでミッションケース11内の副変速装置(図5の副変速伝動軸55、走行軸103,ギア102,104,105,107などで構成される)を中立状態にすることができる。例えば苗植付装置3を上昇させておき、走行車両1を後退させ後に苗植付装置3を圃場に降ろした時(植付時)に、モータ57が作動するように設定しておけば、苗植付装置3が中立位置に戻るので、走行車両1を前進させるべく植付操作レバー26を『植付入』に操作したことを変速操作レバーセンサ52が検出すると一定時間後(例えば、約2〜5秒後)に『植付入』とすることにより、車両が「前進し始める」と一定時間後に苗の圃場への植付が開始され、苗が植え付けられない部分が生じなくなる。
こうして走行車両1の後退後の前進動作で苗の植付がすぐにはじめられることになり、圃場端で苗の植え残し領域をなくすことができ、苗を植え付け損なった箇所に手作業で苗を植え直す必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。
【0036】
従来、枕地での植付において、できるだけ端から植え付けるように畦いっぱいまで後進し、苗植付装置3を下ろし、植え付けする。しかし、この時、植付(畦)クラッチの「入」タイミングや走行車両1の停止位置等の関係により苗の植付タイミングが遅れて、畦際に未植付部分ができることがあった。
未植付部分が生じた場合には、後で補植をせねばならないので、これを防止するために、走行を止めて苗植付具41をその場で作動させる操作を行うが、作業者は複雑な操作を行わねばならず、失敗して結局補植を行わねばならなくなり、植付作業の能率が低下することがあった。しかし、本実施例により上記操作を自動で行うことができ、作業性が向上する。
【0037】
また、上記構成において車両の前後方向の傾きを検出する傾斜角度センサ109を設け、該傾斜角度センサ109の検出により機体の傾きが一定値(例えば、30〜50度)以上の場合は、制御装置100がシフタ56を「中立」にするモータ57が作動しないような制御構成にすると、傾斜地でのオート隅植え作動時に機体が傾斜面に沿って滑り落ちることを防止できるので作業の安全性が従来より向上する。
【0038】
図6(図6(a)に本発明の構成、図6(b)に従来技術の構成、)及び図7の前輪をポジティブキャンバ状態にする構成図に示すとおり、左右の前輪支持ケース22を上側のキャスタ回動ケース22aと、該キャスタ回動ケース22aに左右方向に回動自在なステアリング回動ケース22bで構成する。そして、該ステアリング回動ケース22bに油圧で動作する上下一対の傾動用アクチュエータ120a,120bをそれぞれ伸縮自在に内装し、該傾動用アクチュエータ120a,120bの一側端部を回動ケース22bから機体外側に向けて延出させる。また、該傾動用アクチュエータ120a,120bの一側端部に円形のガイドプレート121を取り付け、上下の傾動用アクチュエータ120a,120bの内の伸びた方が機体外側に向かって移動し、縮んだ方が機体内側に移動する構成とする。
このとき、前輪6,6は、前輪支持ケース22,22に設けた前輪車軸(図示せず)に密接させず、若干の間隔を空けて取り付けて左右方向に回動可能に構成する。
【0039】
ハンドル16の所定角度以上の操舵角度を内装したポテンショメータ(図示省略)が検出し、圃場端等で旋回していることを検出すると、旋回内側のステアリング回動ケース22bに設けた上側傾動アクチュエータ120aが伸び、下側傾動アクチュエータ120bが縮んで、ガイドプレート121の上部を機体外側に移動させ、下部を機体内側に移動させる。このとき、ガイドプレート121の上部が前輪6に接触して、該前輪6の上部が機体外側に突出する状態、いわゆるポジティブキャンバ状態とする。
なお、前記傾動用アクチュエータ120a,120bを標準位置にすると、ガイドプレート121,121は前輪6,6と略平行姿勢となる構成とする。
そして、前記固定支持ケース22aと回動支持ケース22bに図6(a)に示すタイロッド122を設け、該タイロッド122の固定支持ケース22a側にリンクアーム123の一側端部を取り付け、該リンクアーム123の他側端部を前記ハンドル16の操作を伝達するピットマンアーム(図示せず)に取り付ける。
【0040】
上記構成により、ハンドル16の操作量に合わせてリンクアーム123が移動し、タイロッド122を押引することにより、従来のようにステアリング回動ケース22bが回転して機体内側の前輪6の向きを変えると共に、キャスタ回動ケース22aが回転して機体内側の前輪6をポジティブキャンバ状態にできるようにする。この動作に連動して、例えばハンドル16の操舵角度を検出するポテンショメータ(図示せず)の信号を受ける、またはキャスタ回動ケース22aの回転をリミットスイッチ(図示せず)検出すると上下の傾動様アクチュエータ120a,120bが作動することにより、前輪6の上部側が機体外側方に移動し、可部側が機体内側方に移動するポジティブキャンバ状態に移行する。
こうして、左右の前輪6,6の傾斜角度に差がつくので、圃場端での旋回時に土壌の抵抗がかかりにくく、旋回速度が低下したり、旋回途中で走行が停止することが防止され、作業能率が向上する。
【0041】
次に図8〜図10により苗移植機の泥濘脱出機構について、リヤミッションケースにクラッチで入切できる減速比の大きいギアを設け、回転半径が車輪径より大きい脱出用バーを取り付けた構成により説明する。
図8には泥濘部脱出機構Eを備えた後輪伝動部の側面図を示し、図9には泥濘部脱出機構Eを備えた後輪伝動部の駆動部の断面図を示す。図10には泥濘部脱出機構Eの機能を説明する苗移植機の全体概略図を示す。
【0042】
図8、図9に示すように、左右の後輪伝動ケース24,24の機体前部内側にピニオンギア(図示せず)を内装したピニオンケース124,124の回転軸125,125を取り付け、該ピニオンケース124,124にピニオンギアを回転させる駆動モータ126,126を取り付ける。そして、前記ピニオンケース124,124の空洞部に脱出用バー110,110の基部側を挿入することにより、泥濘部脱出機構Eを構成する。
前記脱出用バー110,110の基部側にはラック部124a,124aを構成し、ピニオンケース124,124に内装したピニオンギアと噛み合わせ、駆動モータ126,126の駆動により突出距離を変更自在に構成する。
なお、図9に示す後輪車軸23と回転軸125との間に並列配置された回動軸127はミッションケース内の伝動系からの動力を後輪伝動系に伝達するための回転軸である。
また、後輪伝動ケース24,24に取り付ける回転軸125,125と後輪伝動ケース24,24の回動支持軸24aとの間には、クラッチ機構(図示省略)を形成して、不要なときにはピニオンケース124,124への駆動力を切断できる構成とする。
【0043】
上記構成により、図10(a)に示すように圃場の泥濘部に入り込んで機体が走行不能に陥った場合、駆動モータ126,126を作動させて脱出バー110,110を移動させ、脱出バーの端部が後輪7,7の縁部よりも外側に突出させると共に、クラッチを繋いでピニオンケース124,124へ駆動力を供給して回転軸125,125を中心にしてピニオンケース124,124を回転させ、図10(b)に示すように脱出用バー110を地面に垂直に立てて車輪7が浮いている間に地面の泥を掻き出すと、図10(c)に示すように脱出用バー110の先端を車輪7の後ろ側の硬目の地面に倒して泥濘を脱出させることができるので、作業場所が超湿田(極めて水分が多く、泥に走行が妨げられやすい圃場)であっても走行速度が低下したり、走行を妨げられたりすることが無く、作業能率が向上する。
【0044】
図示しないが、EC値の検出センサ用の電極を左右の前輪6の内側部分に設けて土壌分析をしながら、かつ該土壌分析の結果に応じて施肥量を調整しながら圃場に肥料を供給できる可変施肥部を備えた田植機が知られているが、土壌のEC値を検出する回路の電源を、田植機のその他の電動装置の電源とは分離するように構成することができる。こうして、EC値を検出する回路の電源が田植機の他の電動装置の電源回路を同じレベル(アースを共通)にすると電極間の金属部分の影響を受けないので、正確なEC値を検出することができようになる。
また、EC値の検出センサ111(図11)の信号出力回路と可変施肥部の駆動を行うコントローラ部の回路の間も分離する構成とすると、可変施肥部の駆動を行うコントローラ部が田植機から電源を取っているため、可変施肥部の駆動を行うコントローラ部がEC値の検出センサ111の回路側に影響を与えることを防き、EC値の検出精度を従来より向上させることができる。
【0045】
図11(a)のフロート正面図と図11(b)の背面図に示すように、EC値の検出センサ111をセンターフロート42の底面に設けた凹部にセンターフロート42の上下面を貫通させて配置することでセンタフロート42の整地作業に支障を来さずに、EC値の検出センサ111も正確に圃場のEC値を計測できる。
また、図11にフロート部分の側面図を示すようにEC値の検出センサ111をセンターフロート42の作溝体82の前に配置することで作溝体82より圃場に向けて供給される肥料による誤感知を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、乗用型田植機などの作業機に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 走行車両 2 昇降用リンク装置
2a,2b 平行リンク部材 3 苗植付装置
4 施肥装置 6 前輪
7 後輪 10a,10b メインフレーム
11 ミッションケース 11a,11b リヤ出力軸
12 エンジン 13 油圧ポンプ
14 ステアリングポスト 15 昇降リンク基部フレーム
16 ステアリングハンドル 17 変速操作レバー
18 畦クラッチレバー 19 ステップフロア
20 操縦席 22 前輪支持ケース
23 後輪車軸 24 後輪伝動ケース
24a 回動支点軸 25 伝動軸
26 副変速操作レバー 27 プーリ
28 ベルト 29 プーリ
30 後輪支持体
31 油圧式無段変速装置(HST)
32a 入力軸 32b 出力軸
35 左右後輪伝動軸 36 リフトシリンダ
37 左右フレーム 38 植付伝動ケース
39 苗載台 39a 苗取出口
41 苗植付具 42 センターフロート
43 サイドフロート 44 サイドマーカ
45 PTO伝動軸
46 苗植付部昇降切替スイッチ
47 苗植付部作動停止切替スイッチ
48 苗植付装置上下動センサ
50 植付操作レバーセンサ 51 仰角センサ
52 変速操作レバーセンサ
54a,54b 回転体 55 副変速伝動軸
56 シフタ 57 切り替え用モータ
58 カム 58a 突起
59 ロッド 59a プレート
61 引っ張りスプリング 62 施肥ホース
64 アーム 65 ロッド
67 肥料タンク 68 肥料繰出部
69 ブロア 70a,70b ロータ
71 チェーンケース 72 支持枠体
73 梁部材 75 スプリング
76 第一リンク部材 77 第二リンク部材
78 スプリング 79 リンク
80 施肥ガイド
81 ロータ上下位置調節レバー
82 作溝体 86 ペダル
88 フロントアーム 89 センターマスコット
89a マスコットランプ 92 油圧シリンダ
92a ピストン 93 弾性ゴム支持アーム
94 スプリング 96 弾性ゴム体
98 ケーブル 100 制御装置
101 軸受け 102 第1ギア
102a 係合孔 103 走行軸
104 第3ギア 105 第4ギア
107 第2ギア 107a 係合孔
109 機体傾斜角度センサ
110 脱出用バー 111 EC値検出センサ
120a,120b 傾動用アクチュエータ
121 ガイドプレート 122 タイロッド
123 リンクアーム 124 ピニオンケース
124a ラック部 125 回転軸
126 駆動モータ 127 回動軸
E 泥濘部脱出機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を走行する走行車両(1)と、該走行車両(1)の後部にリンク機構(2)を介して上下動自在に設けた苗植付装置(3)と、走行車両(1)に設けた変速装置により進行方向を前後に切り替える変速操作レバー(17)と、圃場に苗を植えつける植付速、走行しない中立速及び路上走行時の移動速に前記変速装置を切替操作する植付操作レバー(26)とを設けた苗移植機において、
植付操作レバー(26)の操作に従って前記移動速と中立速と植付速とにそれぞれ切り替える作業シフタ(56)と、苗植付装置(3)の上昇位置または下降位置を検出する苗植付装置上下動センサ(48)と、植付操作レバー(26)の操作位置を検出する植付操作レバーセンサ(50)と、変速操作レバー(17)が前進位置または後進位置にあることを検出する変速操作レバーセンサ(52)と
作業シフタ(56)が植付速位置にある場合にだけ作動して作業シフタ(56)を植付速位置から中立速に切り替える切替手段(57)と、
前記上下動センサ(48)により苗植付装置(3)が上昇状態にあることが検知され、かつ変速操作レバーセンサ(52)により走行車両(1)が後進状態にあることを検出されると、植付操作レバーセンサ(50)により植付操作レバー(26)が植付速を選択していても切替手段(57)を作動させて作業シフタ(56)を中立状態に切り替える制御装置(100)と
を設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
制御装置(100)は、苗植付装置(3)が上昇状態にあり、走行車両(1)が後進状態にあるときに植付操作レバー(26)が植付速を選択して切替手段(57)が作業シフタ(56)を中立状態にした状態で、変速操作レバーセンサ(52)が走行車両(1)を前進状態に切り替えたことを検知すると、所定時間経過後(例えば2〜5秒程度)に切替手段(57)を作動させて作業シフタ(56)を中立状態から植付速位置に切り替える制御構成を有することを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
走行車両(1)の前後方向の傾斜角度を検知する機体傾斜センサ(109)と、該傾斜センサ(109)が所定角度(例えば3度〜15度)以上の走行車両(1)の傾斜を検出すると制御装置(100)は切替手段(57)を作動させない制御構成を有することを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−70663(P2012−70663A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217448(P2010−217448)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】