説明

苗箱押圧機

【課題】従来、育苗施設内に並べられた苗箱を押圧する苗箱押圧があるが、その作業工程は、先ず、押圧板を上動させてから走行部を前進させ、次に、押圧板を苗箱の上に接当するまで下げ、次に、横移動体を移動させて苗箱を押圧するという作業工程を繰り返して行わなければならず、作業効率があまり良いものではなかった。
【解決手段】左右原動機12で各々駆動される左右鎮圧ローラ10を取り付けるフレーム8を走行車輪3・4に対する左右方向への移動を融通して支持する融通支持機構Aを設けて、融通支持機構Aによる走行車輪3・4に対するフレーム8の左右方向の移動を検出する左右移動検出手段Bを設け、走行車輪3・4に対してフレーム8が所望の左右位置となるように左右移動検出手段Bの検出に基づいて左右原動機12を駆動制御する制御装置61を設けた苗箱押圧機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、育苗施設において並べられた苗箱を上方から押圧する農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水稲や野菜等の苗の育苗方法として、育苗ハウス等の育苗施設内に苗箱を敷き詰めるように並べて育苗することが知られている。そして、育苗施設内に並べられた苗箱で苗を育苗するにあたり、苗の根を苗箱の下方の置床(育苗施設の土壌内)にまで伸長させて苗が前記置床内の養分を吸収して良好に生育するように、苗箱押圧機にて並べられた苗箱を上方から押圧して苗箱と置床とを密着させて苗の育苗時に苗の根が置床内に円滑に伸長するようにしたものがある。
【特許文献1】特開2002−136225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術によると、育苗施設内に並べられた苗箱を押圧する作業が機械で行えて作業労力は軽減される。しかしながら、その作業工程は、先ず、押圧板を上動させてから走行部を前進させ、次に、押圧板を苗箱の上に接当するまで下げ、次に、横移動体を移動させて苗箱を押圧するという作業工程を繰り返して行わなければならず、作業効率があまり良いものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、走行車輪3・4の左右に苗箱aを上方から押圧するための鎮圧ローラ10を各々設けて、該鎮圧ローラ10を駆動させる原動機12を左右各々設けると共に、鎮圧ローラ10を取り付けるフレーム8を走行車輪3・4に対する左右方向への移動を融通して支持する融通支持機構Aを設けて、該融通支持機構Aによる走行車輪3・4に対するフレーム8の左右方向の移動を検出する左右移動検出手段Bを設け、走行車輪3・4に対してフレーム8が所望の左右位置となるように左右移動検出手段Bの検出に基づいて左右原動機12を駆動制御する制御装置61を設けた苗箱押圧機としたものである。
【0005】
従って、左右鎮圧ローラ10は、各々原動機12により駆動回転して、走行車輪3・4の左右に並べた苗箱a上を押圧作用をしながら進み、苗箱押圧作業が作業性良く簡単に行える。また、左右鎮圧ローラ10の進行速度が異なって、左右鎮圧ローラ10全体が斜めになった場合には、鎮圧ローラ10を取り付けるフレーム8を走行車輪3・4に対する左右方向への移動を融通して支持する融通支持機構Aを設けて、該融通支持機構Aによる走行車輪3・4に対するフレーム8の左右方向の移動を検出する左右移動検出手段Bを設け、走行車輪3・4に対してフレーム8が所望の左右位置となるように左右移動検出手段Bの検出に基づいて左右原動機12を駆動制御する制御装置61を設けたので、簡潔な構成でありながら、適正に左右鎮圧ローラ10の進行姿勢を制御できて、良好な苗箱押圧作業が行える。
【0006】
請求項2記載の発明は、機体が所定の位置まで走行したことを検出する走行位置検出手段Cと、左右移動検出手段Bの検出に拘らず走行位置検出手段Cの検出により左右鎮圧ローラ10の駆動を停止させる駆動停止手段とを設けた請求項1に記載の苗箱押圧機としたものである。
【0007】
従って、請求項1記載の発明の作用に加えて、機体が苗箱押圧作業して所定の位置まで走行してくると、自動的に走行位置検出手段Cがその位置を検出して、優先的に左右鎮圧ローラ10の駆動を停止させて、機体の進行が止まる。よって、作業者が機体の停止操作をしなくても、機体は自動的に所定の位置で停止するので、作業性が良い。
【0008】
請求項3記載の発明は、走行車輪3・4、融通支持機構A及び左右移動検出手段Bを機体の前後に各々設け、機体進行方向側の左右移動検出手段Bの検出に基づいて左右原動機12を駆動制御する制御手段61を設けた請求項1又は2に記載の苗箱押圧機としたものである。
【0009】
従って、請求項1又は2に記載の発明の作用に加えて、例えば、機体の前進での苗箱押圧作業には、前進方向前側の走行車輪3に対する左右移動検出手段Bの検出に基づいて左右原動機12を駆動制御するので、前進時の左右鎮圧ローラ10の進行姿勢を適正に制御でき、逆に、機体の後進での苗箱押圧作業には、後進方向側の走行車輪4に対する左右移動検出手段Bの検出に基づいて左右原動機12を駆動制御するので、後進時の左右鎮圧ローラ10の進行姿勢を適正に制御でき、進行方向に拘らず良好な苗箱押圧作業が行える。
【発明の効果】
【0010】
この発明によると、左右鎮圧ローラ10は、各々原動機12により駆動回転して、走行車輪3・4の左右に並べた苗箱a上を押圧作用をしながら適正な姿勢で進んで、苗箱押圧作業が能率良く簡単に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
1は苗箱押圧機1であって、育苗ハウス内の地面に並行に敷設された2本の走行レ−ル2上を走行する前後左右計4個の走行車輪3,4を備える走行部5と、該走行部5の左右にそれぞれ5個の鎮圧ローラ6を各々設けた鎮圧体7とから構成されている。
【0012】
先ず、鎮圧体7の構成を詳述する。尚、左右の鎮圧体7は、走行部5を中心に左右対称な構成となっているので、右鎮圧体7について説明する。
8は平面視で横長い長方形の枠フレームであって、中途部を5箇の縦フレーム9aと2個のL型横フレーム9bで補強した枠フレーム構成となっている。
【0013】
10は円筒形状の鎮圧ローラであって、枠フレーム8内に5個回転自在に軸支されている。そして、外側端部の支持部近傍に、各鎮圧ローラ10の支軸に固定した従動スプロケット11を各々設けている。
【0014】
また、前後端の2個の鎮圧ローラ10は、中央部の3個の鎮圧ローラ10よりも、その下端位置が6mm上方位置になるように配置されており、鎮圧体7が育苗ハウス内の地面に置かれた苗箱上を鎮圧しながら進むときに、苗箱に鎮圧ローラ10が引っ掛からないようにして次々と苗箱上を転動して進める構成となっている。
【0015】
12は電動モータであって、枠フレーム8外側端部上に固定されており、その駆動スプロケット13と上記5個の従動スプロケット11とには駆動チェーン14が巻き掛けられている。尚、15はアイドラースプロケット(遊転スプロケット)であり、各従動スプロケット11の間に各々1個づつと枠フレーム8の上側に2個設け、合計6個設けている。
【0016】
16はベアリングよりなる中間受けローラであって、枠フレーム8の左右中央部に設けた縦フレーム9に遊転自在に軸支されている。この中間受けローラ16は、各鎮圧ローラ10の左右中央部の上側に2個づつ設けられており、左右に長い鎮圧ローラ10が上下に撓むのを防止している。
【0017】
17は鉄製のウエイトであって、枠フレーム8の2個のL型横フレーム9b間上に4個設置されており、鎮圧体7が育苗ハウス内の地面に置かれた苗箱上を適正に鎮圧できる重さに設定している。尚、このウエイト17には、コ字状の把持部18が2つ設けてあり、作業者がこの把持部18を持って、枠フレーム8上に載置したり、除けたりすることが容易に行なえる。
【0018】
19は平面視でコ字状に構成された連結アームであって、2本の前後アーム19aの基部を枠フレーム8に枢支し、その先端部に連結棒19bを枢支した構成となっている。
次に、走行部5の構成を詳述する。
【0019】
角筒の下面に左右方向の貫通溝20aを設けた前フレーム20と角筒の下面に左右方向の貫通溝21aを設けた後フレーム21とを左右連結フレーム22で連結固定して車体23が構成されている。そして、左右前輪3を回転自在に軸支した車軸24に上部にベアリング25を回転自在に軸支した2本のボルト軸26を各々ナット27にて固定して、該2本のボルト軸26が前フレーム20の貫通溝20aを貫通した状態で2個のベアリング25を前フレーム20内の空間に遊びのある状態で設け、また、左右後輪4を回転自在に軸支した車軸25に上部にベアリング25を回転自在に軸支した2本のボルト軸26を各々ナット27にて固定して、該2本のボルト軸26が後フレーム21の貫通溝21aを貫通した状態で2個のベアリング25を後フレーム21内の空間に遊びのある状態で設けて、走行部5が構成されている。従って、車体23は、前後車軸24・25に対して左右傾動自在な構成となっている。
【0020】
尚、この左右前輪3の車軸24に対する前フレーム20の遊びのある支持機構及び左右後輪4の車軸25に対する後フレーム21の遊びのある支持機構が、融通支持機構Aを構成している。
【0021】
LS1・LS2・LS3は、車体23に設けたリミットスイッチで、そのスイッチレバーL1・L2・L3は前方に向けて設けられている。一方、左右前輪3の車軸24に上部に凹状のスイッチレバー作動体30を固定して設けたボルト軸31をナット32にて固定し、該スイッチレバー作動体30の凹部の中央位置にスイッチレバーL2を配置し、スイッチレバー作動体30の左右側方部近傍にスイッチレバーL1・L3を配置している。
【0022】
従って、前進作業で走行レ−ル2上を転動する左右前輪3に対して車体23が右よりに傾いた場合には、スイッチレバー作動体30の左側面にてスイッチレバーL1が押されてリミットスイッチLS1がONになる。逆に、走行レ−ル2上を転動する左右前輪3に対して車体23が左よりに傾いた場合には、スイッチレバー作動体30の右側面にてスイッチレバーL3が押されてリミットスイッチLS3がONになる。そして、スイッチレバーL2は、傾き量が小さい間は、スイッチレバー作動体30の凹部内で遊んだ状態であるが、傾き量が大きくなると、スイッチレバー作動体30の凹部内面で押されてリミットスイッチLS2がONになる。
【0023】
車体23の後部にも、同様の構成のスイッチレバーL5・L6・L7を設けたリミットスイッチLS5・LS6・LS7とスイッチレバー作動体30が設けられており、後進作業で走行レ−ル2上を転動する左右後輪4に対して車体23が左よりに傾いた場合には、スイッチレバー作動体30の右側面にてスイッチレバーL7が押されてリミットスイッチLS7がONになる。逆に、走行レ−ル2上を転動する左右後輪4に対して車体23が右よりに傾いた場合には、スイッチレバー作動体30の左側面にてスイッチレバーL5が押されてリミットスイッチLS5がONになる。そして、スイッチレバーL6は、傾き量が小さい間は、スイッチレバー作動体30の凹部内で遊んだ状態であるが、傾き量が大きくなると、スイッチレバー作動体30の凹部内面で押されてリミットスイッチLS6がONになる。
【0024】
40は停止用レバーで、作業者がこの停止用レバー40を足で踏むと、リミットスイッチLS8がONになる。
41は後進用レバーで、作業者がこの後進用レバー41を足で踏むと、リミットスイッチLS4がONになる。
【0025】
50は左右連結アーム受けであって、基部が車体23の左右連結フレーム22に固定されており、その各フック部に前記左右鎮圧体7の各連結アーム19の連結棒19bが引っ掛けられた状態で、左右鎮圧体7が走行部5の車体23に連結されている。
【0026】
また、60はバッテリーであり、61は制御装置である。尚、制御装置61の上面には、自動走行用のONスイッチSW1とOFFスイッチSW2、手動走行用の右電動モータ前進スイッチSW3と右電動モータ後進スイッチSW4、及び、手動走行用の左電動モータ前進スイッチSW5と左電動モータ後進スイッチSW6が設けられている。
【0027】
ここで、育苗ハウス内に並べた一株毎に分離した所謂セルポット苗箱aを苗箱押圧機1で上方から押圧する作業に基づいて、苗箱押圧機1の制御装置61の作用について説明する。
【0028】
先ず、苗箱aを並べた育苗ハウス内に苗箱押圧機1を入れて、左右前輪3及び左右後輪4を走行レ−ル2上に乗せる。そして、自動走行用のONスイッチSW1を押す。すると、左右電動モータ12がイ方向に正転して、その駆動スプロケット13により駆動チェーン14を介して各従動スプロケット11がイ方向に正転駆動されて、各鎮圧ローラ10もイ方向に正転駆動される。従って、左右鎮圧体7は各々並べられた苗箱a上を押圧しながら前進するので、左右鎮圧体7が連結されている走行部5も前進する。
【0029】
この時、育苗ハウス内に並べられた苗箱aは均一な状態で並べられてはおらず、また、左右鎮圧体7の前進速度も種々の条件によりことなるので、左鎮圧体7が右鎮圧体7よりも先に進んで(または、右鎮圧体7が左鎮圧体7よりも先に進んで)全体が斜めになったり、大きく斜めになった場合には脱輪する恐れもあるが、この苗箱押圧機1は全体が傾斜すると真っ直ぐに戻す機能と、脱輪する恐れがある場合には機体を停止させる機能とがある。
【0030】
即ち、例えば、左鎮圧体7が右鎮圧体7よりも先に進んで全体が斜めになると、左右前輪3に対して車体23が右よりに傾いた状態になるので、スイッチレバー作動体30の左側面にてスイッチレバーL1が押されてリミットスイッチLS1がONになる。このリミットスイッチLS1のONにより、制御装置61にて左電動モータ12が停止する。すると、右鎮圧体7は駆動前進しているので、機体は真っ直ぐな状態になる。そして、機体が真っ直ぐな状態になるとリミットスイッチLS1がOFFになり、再び、左電動モータ12が駆動されて、機体は左右電動モータ7にて前進する。
【0031】
逆に、右鎮圧体7が左鎮圧体7よりも先に進んで全体が斜めになると、左右前輪3に対して車体23が左よりに傾いた状態になるので、スイッチレバー作動体30の右側面にてスイッチレバーL3が押されてリミットスイッチLS3がONになる。このリミットスイッチLS3のONにより、制御装置61にて右電動モータ12が停止する。すると、左鎮圧体7は駆動前進していので、機体は真っ直ぐな状態になる。そして、機体が真っ直ぐな状態になるとリミットスイッチLS3がOFFになり、再び、右電動モータ12が駆動されて、機体は左右電動モータ7にて前進する。
【0032】
また、左右前輪3に対して車体23が大きく傾いてしまった状態になると、スイッチレバーL2がスイッチレバー作動体30の凹部内面で押されてリミットスイッチLS2がONになる。すると、制御装置61にて左右電動モータ12を共に停止されて機体は停止する。従って、脱輪が未然に防止できる。
【0033】
機体停止後は、手動走行用の右電動モータ前進スイッチSW3、右電動モータ後進スイッチSW4、手動走行用の左電動モータ前進スイッチSW5、または、左電動モータ後進スイッチSW6を操作して、手動により左右の電動モータ12を駆動して機体の修正をする。または、作業者が機体を持ち上げて真っ直ぐに修正しても良い。
【0034】
また、前進での鎮圧作業時に機体が異常な状態になって適正な鎮圧作業が行えないと作業者が判断した場合には、作業者が停止用レバー40を足で踏むと、リミットスイッチLS8がONになって、このリミットスイッチLS8のONにより、制御装置61にて左右電動モータ12が共に停止して、機体を停止させることができる。
【0035】
尚、リミットスイッチLS1・リミットスイッチLS2・リミットスイッチLS3とスイッチレバー作動体30とが、前進側の左右移動検出手段Bを構成している。また、機体前進時には、リミットスイッチLS5・リミットスイッチLS6・リミットスイッチLS7がONになっても、制御装置61は無視する。
【0036】
また、左右走行レ−ル2両端部の中央位置に停止用レバー40及び後進用レバー41に接当する杭を設けておけば、前進鎮圧作業で機体が走行レール2の他端まで達すると、後進用レバー41が該杭に接当して押されて、リミットスイッチLS4がONになる。このリミットスイッチLS4のONにより、制御装置61にて左右電動モータ12が共に反イ方向に逆転して、その駆動スプロケット13により駆動チェーン14を介して各従動スプロケット11が反イ方向に逆転駆動されて、各鎮圧ローラ10も反イ方向に逆転駆動される。従って、左右鎮圧体7は各々並べられた苗箱a上を押圧しながら後進するので、左右鎮圧体7が連結されている走行部5も後進して、後進での鎮圧作業をする。
【0037】
この後進での鎮圧作業時には、リミットスイッチLS1・リミットスイッチLS2・リミットスイッチLS3がONになっても制御装置61は無視し、リミットスイッチLS5・リミットスイッチLS6・リミットスイッチLS7のONにより制御装置61は左右電動モータ12の駆動及び停止を制御する。
【0038】
即ち、前進での鎮圧作業と同様に後進での鎮圧作業でも、左鎮圧体7が右鎮圧体7よりも先に進んで(または、右鎮圧体7が左鎮圧体7よりも先に進んで)全体が斜めになったり、大きく斜めになった場合には脱輪する恐れもあるが、苗箱押圧機1は全体が傾斜すると真っ直ぐに戻す機能と、脱輪する恐れがある場合には機体を停止させる機能とがある。
【0039】
例えば、後進時に左鎮圧体7が右鎮圧体7よりも先に進んで全体が斜めになると、スイッチレバー作動体30の左側面にてスイッチレバーL5が押されてリミットスイッチLS5がONになる。このリミットスイッチLS5のONにより、制御装置61にて左電動モータ12が停止する。すると、右鎮圧体7は駆動前進しているので、機体は真っ直ぐな状態になる。そして、機体が真っ直ぐな状態になるとリミットスイッチLS5がOFFになり、再び、左電動モータ12が駆動されて、機体は左右電動モータ7にて前進する。
【0040】
逆に、右鎮圧体7が左鎮圧体7よりも先に進んで全体が斜めになると、スイッチレバー作動体30の右側面にてスイッチレバーL7が押されてリミットスイッチLS7がONになる。このリミットスイッチLS7のONにより、制御装置61にて右電動モータ12が停止する。すると、左鎮圧体7は駆動前進していので、機体は真っ直ぐな状態になる。そして、機体が真っ直ぐな状態になるとリミットスイッチLS7がOFFになり、再び、右電動モータ12が駆動されて、機体は左右電動モータ7にて前進する。
【0041】
また、左右前輪3に対して車体23が大きく傾いてしまった状態になると、スイッチレバーL6がスイッチレバー作動体30の凹部内面で押されてリミットスイッチLS6がONになる。すると、制御装置61にて左右電動モータ12を共に停止されて機体は停止する。従って、脱輪が未然に防止できる。
【0042】
尚、リミットスイッチLS5・リミットスイッチLS6・リミットスイッチLS7とスイッチレバー作動体30とが、後進側の左右移動検出手段Bを構成している。
そして、後進での鎮圧作業が進んで、機体が走行レール2の始端部まで達すると、停止用レバー40が杭に接当して押されて、リミットスイッチLS8がONになる。このリミットスイッチLS8のONにより、制御装置61の駆動停止手段にて左右電動モータ12が共に停止して、機体は停止する。尚、この左右レール2の始端部に設けた杭と停止用レバー40とで走行位置検出手段Cが構成されている。
【0043】
このようにして、育苗ハウス内に並べた一株毎に分離した所謂セルポット苗箱aを苗箱押圧機1で上方から押圧(鎮圧)する作業が行える。
尚、育苗ハウス内に苗箱aを並べる前に、予め地面に根切りネットを敷いておくと、苗が生育した後に、苗箱aを地面から剥がし取る時に、苗箱a底面から土中に延びた根を容易に切ることができて、苗箱aの取り出し作業が容易に行なえる。
【0044】
また、上記の実施の形態はセルポット苗箱の押圧について説明したが、長方形の浅い箱状の苗箱(マット苗を育成する水稲用苗箱)を押圧する場合についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】苗箱押圧機を示す全体平面図である。
【図2】苗箱押圧機を示す一部拡大平面図である。
【図3】苗箱押圧機を示す一部拡大正面図である。
【図4】苗箱押圧機の走行部の簡略側面図である。
【図5】苗箱押圧機の右押圧体の簡略平面図である。
【図6】苗箱押圧機の右押圧体の先端部側からの簡略側面図である。
【図7】苗箱押圧機の右押圧体の基端部側からの簡略側面図である。
【図8】図7のS1−S1断面図である。
【図9】苗箱押圧機の走行部の要部正面図である。
【図10】苗箱押圧機の走行部の作用説明用平面図である。
【図11】苗箱押圧機の制御装置の平面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 苗箱押圧機
3 走行車輪(左右前輪)
4 走行車輪(左右後輪)
5 走行部
8 フレーム
10 鎮圧ローラ
12 原動機(電動モータ)
61 制御装置
A 融通支持機構
B 左右移動検出手段
C 走行位置検出手段
a 苗箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車輪(3)(4)の左右に苗箱(a)を上方から押圧するための鎮圧ローラ(10)を各々設けて、該鎮圧ローラ(10)を駆動させる原動機(12)を左右各々設けると共に、鎮圧ローラ(10)を取り付けるフレーム(8)を走行車輪(3)(4)に対する左右方向への移動を融通して支持する融通支持機構(A)を設けて、該融通支持機構(A)による走行車輪(3)(4)に対するフレーム(8)の左右方向の移動を検出する左右移動検出手段(B)を設け、走行車輪(3)(4)に対してフレーム(8)が所望の左右位置となるように左右移動検出手段(B)の検出に基づいて左右原動機(12)を駆動制御する制御装置(61)を設けたことを特徴とする苗箱押圧機。
【請求項2】
機体が所定の位置まで走行したことを検出する走行位置検出手段(C)と、左右移動検出手段(B)の検出に拘らず走行位置検出手段(C)の検出により左右鎮圧ローラ(10)の駆動を停止させる駆動停止手段とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の苗箱押圧機。
【請求項3】
走行車輪(3)(4)、融通支持機構(A)及び左右移動検出手段(B)を機体の前後に各々設け、機体進行方向側の左右移動検出手段(B)の検出に基づいて左右原動機(12)を駆動制御する制御手段(61)を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の苗箱押圧機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−246856(P2006−246856A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−71960(P2005−71960)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【出願人】(597007101)有限会社ピポリー技研製作所 (10)
【出願人】(591070990)本田農機工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】