説明

若葉組成物

【課題】栄養素および食物繊維を十分な量摂取することができ、かつ青汁特有の青臭さがないため飲みやすく継続して摂取することができ、しかも機能性の栄養素を豊富に含有する若葉組成物を提供する
【解決手段】本発明は、若葉処理物、すり胡麻、いり胡麻、およびきな粉を含む若葉組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青汁成分を含む組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
青汁は小麦等の若葉を原料にした搾り汁であるが、ビタミン類、不溶性食物繊維に富み、有害物質の吸着、腸内環境の改善、コレステロールの吸収抑制、食後血糖値の急上昇防止、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)を活性化するなどの効果を有する健康食品として注目を浴びている。青汁においては、小麦若葉が磨りつぶされた状態で含まれ、植物の細胞壁が破壊されているため、細胞内の栄養素が吸収されやすい形態にある。従って、青汁を摂取することにより、葉をそのまま食べるよりも効率よく栄養素を吸収することができる。そして青汁に大量に含まれる不溶性の食物繊維は、腸の働きを促進させ体内の老廃物を排出し、便秘を解消すると共に、血行をよくする働きがある。また、若葉に含まれる葉緑素は、口臭を消す消臭効果も有する。
【0003】
しかしながら青汁は若葉を原料にした搾り汁であるため、植物特有の青臭さがあって飲みづらいという難点がある。この青臭さ、飲みにくさを解消するために、例えば錠剤の形状にする方法も試みられているが、この場合、必要量の栄養素を摂取するためには大量の錠剤を服用しなければならないという問題がある。
【0004】
大豆は、植物性タンパク質を非常に豊富に含み、「畑の肉」とも呼ばれている。大豆タンパク質は、大豆100g中に35.3gと非常に多く含まれ、しかも体内合成できない9種類の必須アミノ酸をバランスよく含み、現代社会の問題の一つである生活習慣病の引き金ともなる悪玉コレステロールや、総コレステロール値を下げる働きをもっている。大豆は、ビタミン、ミネラル等の栄養素も豊富に含み、体内の酸化を防ぎ老化を防止するビタミンEをはじめとして、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンK、カリウム、カルシウム、食物繊維も含み、疲労回復の効果がある。他に、大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンの代用とされ、更年期障害を改善したり、骨からのカルシウムの溶出を防止して骨粗鬆症を予防する効果がある。さらに大豆は、不飽和脂肪酸のリノール酸を豊富に含み、総コレステロール値を下げる働きをもっている。
【0005】
胡麻は古来より健康食品として食されている。胡麻は、リノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸を約50%と豊富に含み、悪玉コレステロールや、総コレステロール値を下げる働きをもっており、動脈硬化を予防する効果がある。また胡麻は、ビタミンEやセサミノールなどの抗酸化成分を含有し、過酸化脂質の生成を抑制し、老化防止、ガンの予防に効果がある。
【0006】
上記のような優れた機能を有する食品を、合わせて摂取しようとする試みがなされており、例えば特許文献1には、麦類緑葉乾燥粉末とゴマを含む、ゴマ青麦処方物が記載されている。また、特許文献2には、ケール青汁と豆乳を混合した食品が記載されている。しかしながら、青汁成分に胡麻およびきな粉を配合したものはこれまで報告されていない。
【0007】
【特許文献1】特開2002−45147号
【特許文献2】特開2004−215607号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、栄養素および食物繊維を十分な量摂取することができ、かつ青汁特有の青臭さがないため飲みやすく継続して摂取することができ、しかも機能性の栄養素を豊富に含有する若葉組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、若葉成分に胡麻およびきな粉を配合すると青汁特有の青臭さが気にならないほど軽減し、しかも好ましい香気および風味が付与されることを見出した。さらに検討を重ね、胡麻としてすり胡麻といり胡麻を用いるとさらに風味が増すことを見出して本発明を完成させた。
【0010】
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
(1)若葉処理物、すり胡麻、いり胡麻、およびきな粉を含む若葉組成物。
(2)若葉処理物が若葉の乾燥粉末であり、すり胡麻を15質量%以上含む(1)記載の若葉組成物。
(3)若葉の乾燥粉末40〜80質量%、いり胡麻1〜8質量%、すり胡麻15〜50質量%およびきな粉1〜20質量%を含む(2)記載の若葉組成物。
(4)若葉処理物が若葉の搾り汁であり、すり胡麻を0.6質量%以上含む(1)記載の若葉組成物。
(5)いり胡麻0.04〜1.6質量%、すり胡麻0.6〜10質量%およびきな粉0.04〜4質量%を含む(4)記載の若葉組成物。
(6)若葉の乾燥粉末、すり胡麻およびきな粉を含む混合物の水分含量を、造粒後の顆粒の水分値が2〜6%となるように調節し、該混合物を35〜50℃で造粒した後、いり胡麻を配合することを特徴とする若葉組成物の製造方法。
(7)いり胡麻を、若葉組成物の全量に対し15質量%以上となるように配合する、(6)記載の方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、独特の味、においおよび食感を有するため飲みにくい青汁を、極めて風味が良好で、継続して飲用可能なものとすることができる。また、本発明により、胡麻ときな粉が有する機能性成分をも同時に摂取できる優れた若葉組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の若葉組成物は、青汁成分、すなわち若葉処理物に、すり胡麻、いり胡麻およびきな粉を配合したものである。胡麻を配合することにより、胡麻の風味が加わり、非常に風味のよい若葉組成物を得ることができる。胡麻としてすり胡麻だけでなくいり胡麻を加えることで、胡麻を噛み締めた際に、特有の香気成分が加わり、さらに風味がよくなる。また、きな粉を配合することにより、コク味が加わり飲みやすい若葉組成物を得ることができる。胡麻としてすり胡麻およびいり胡麻、ならびにきな粉を配合した本発明の若葉組成物は、風味がよくコクがあり飲みやすい。
【0013】
本発明の若葉組成物の原料である植物としては、例えば、イネ科植物(例えば、大麦、小麦、えん麦、ライ麦等の麦類、イネ、あわ、笹、ひえ、きび、とうもろこし、ソルガム、さとうきび等)、キク科植物(例えば、ヨモギ等)、セリ科植物(アシタバ、パセリ、セロリ等)、クワ科植物(例えば、クワ等)、ドクダミ科植物(例えば、ドクダミ等)、シソ科植物(例えば、シソ等)、アブラナ科植物(小松菜、ケール、キャベツ、ブロッコリー等)、ユリ科植物(例えば、アスパラガス等)、シナノキ科植物(例えば、モロヘイヤ等)のような緑色植物の若葉(茎を含んでもよい)が挙げられるがこれらに限定されない。これらは単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
有機栽培法を用いて栽培された若葉は栄養分が多く含まれ、しかも残留農薬による健康障害の不安が少ないため好ましい。好ましくはイネ科植物の若葉、より好ましくは麦類の若葉、さらに好ましくは小麦の若葉が用いられる。分けつ開始期または出穂開始前期に収穫した若葉を用いるのが最適である。
【0015】
本発明の若葉組成物に含まれる若葉処理物には、例えば、若葉の搾り汁(すなわち、青汁)および若葉の乾燥粉末が包含される。若葉の乾燥粉末は、若葉(茎を含んでもよい)を原料として得られる乾燥粉末であれば特に制限されず、例えば、若葉乾燥物の粉砕物、若葉破砕物の乾燥物、若葉の搾り汁の乾燥物などが含まれる。また、粉末には顆粒も含まれる。若葉組成物が粉末以外の形態であっても、若葉の乾燥粉末がその成分として含まれる限り、若葉処理物として若葉の乾燥粉末を含む若葉組成物に包含される。
【0016】
若葉は、収穫後、時間が経つに従って、若葉の緑色が退色して褪色化するので、なるべく迅速に処理するのが好ましい。若葉は、収穫後、泥や塵埃等を除去するために水等で洗浄し、水気を切って、そのまま処理するか、あるいは適切な長さ(例えば10cm)に切断した上で処理する。
【0017】
若葉の乾燥粉末の調製においては、次いで、若葉の緑色の褪色や栄養成分の変質に関与する酵素を失活させるために、熱水処理や蒸熱処理のようなブランチング処理を行うことが好ましい。このときの処理の温度および時間は、処理する若葉の量および熱水のpHに応じて適宜決定すればよい。ブランチング処理後、直ちに冷却すると、緑色および風味を維持することができ好ましい。ブランチング処理を行わない場合でも、風味が損なわれることはないが、ブランチング処理を行うことにより、若葉の緑色および風味が長時間維持される若葉の乾燥粉末が得られる。ブランチング処理のかわりに、マイクロウェーブの照射により、酵素を失活させてもよい。
【0018】
ブランチング処理を行った場合は、冷却後、乾燥に先だって脱水工程を行う。脱水は、遠心分離などの脱水装置を用いて行われる。乾燥工程は、例えば、熱風乾燥、温風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの当業者が通常用いる任意の方法により行われる。こうして得られた若葉の乾燥物は、次に粉砕工程を経て、粉末化することができる。
【0019】
若葉の乾燥物は、粉砕工程に供する前に、細片化するのが好ましい。細片化は、当業者が通常使用するスライサー、カッター等を用いた、細断などの植物体を細片化する方法により行うことができる。また、粉砕工程に供する前に、加熱処理を行うのが好ましい。加熱処理は、殺菌処理を兼ねるために110℃以上で行うのが好ましい。そのような方法としては、高圧殺菌、加熱殺菌、加圧蒸気殺菌などが挙げられる。加熱処理を施すことにより、若葉の香味を良好にすることができる。
【0020】
粉砕工程は、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの当業者が通常使用する任意の機械または道具を用いて行われる。その際、90質量%以上が200メッシュの篩を通過するように粉砕すると、食感がよくなるため好ましい。
【0021】
あるいは、若葉の乾燥粉末は、若葉の搾り汁を得て、これを乾燥、粉末化して調製することもできる。この場合の具体的な乾燥方法としては、特に制限されず、例えば、濃縮、濾過、遠心分離、遠心濾過、スプレードライ、スプレークール、ドラムドライ、真空乾燥、凍結乾燥等のいずれかの方法を単独でまたは組み合わせて採用できる。その際、必要に応じて通常用いられる賦形剤を添加してもよい。
若葉の乾燥粉末における水分値は、通常10%以下、好ましくは8%以下である。
【0022】
本発明において水分値は、規定の条件のもとに、試料を加熱乾燥したときに生じる試料の質量減少率をさし、例えば、試料1gを107℃で1時間加熱乾燥したときにその減量の試料に対する百分率として測定できる。
【0023】
本発明で用いる若葉は、ブランチング処理前に、GABA富化処理を行ってもよい。GABA富化処理は、若葉原料にグルタミン酸および/またはその塩を添加する方法、嫌気処理した後、蒸熱し、次いで乾燥する方法、または加熱作用のある波長域の赤外線を照射する方法などによって行うことができる。GABA(γ−アミノ酪酸)は、広く生物界に存在する非タンパク質構成アミノ酸の一つであり、高等動物において、神経の主要な抑制性伝達物質として重要であるとともに、血圧降下作用を示すことが知られている。したがって、このGABAが富化された若葉を原料として用いることにより、GABAの有する機能が強化された若葉組成物を得ることができる。
【0024】
若葉の搾り汁は、収穫した若葉を、泥や塵埃等を除去するために水等で洗浄し、水気を切ったもの、または適切な長さ(例えば10cm)に切断したものに適宜水を加えた後、当業者が通常用いる任意の方法、例えば、ミキサー、ジューサー等の機械的破砕手段および遠心分離、濾過等の固−液分離手段を組合せることにより容易に得ることができる。
【0025】
本発明の若葉組成物の原料である胡麻としては、ゴマ科(Pedaliaceae)に分類される植物の種子であればいずれの物でも用いることができ、白胡麻、黒胡麻、金胡麻、茶胡麻などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。白胡麻は油の含有量が多く、黒胡麻は風味が強いという特徴があり、求める風味に合わせて使用する胡麻を決定すればよい。有機栽培法を用いて栽培された胡麻は風味がよく、しかも残留農薬による健康障害の不安が少ないため好ましい。
【0026】
いり胡麻は胡麻を炒ったもので、炒ることにより胡麻種子の外皮がやわらかくなり、加熱することにより生成する独特の香気が加わり、香りや風味もよくなる。いり胡麻の製造方法としては、例えば、胡麻を選別して水洗し、脱水後170℃で焙煎し、その後篩処理(例えば約3.5mm;5〜6メッシュ程度、を追加し、16メッシュで残ったもの)を行ったものを用いる方法が挙げられる。
【0027】
本発明の若葉組成物における若葉処理物の配合量は若葉組成物の形態により異なるが、若葉処理物を若葉の乾燥粉末として配合する乾燥形態の場合、通常40〜80質量%、好ましくは50〜75質量%である。
【0028】
すり胡麻は、胡麻をそのまま、または炒った後にすり鉢等を用いて粉末状になるまですったものであり、胡麻種子の外皮が破壊され、種子内の香気成分や味成分が効果的に利用できる状態にある。すり胡麻の製造方法としては、例えば、いり胡麻をすり鉢ですり、篩(例えば5メッシュ)を通過したものを用いる方法が挙げられる。いり胡麻、すり胡麻とも、市販されている物を使用してもよい。
【0029】
本発明の若葉組成物における、いり胡麻およびすり胡麻の配合量は、若葉組成物の形態により異なる。本発明の若葉組成物が若葉処理物として若葉の乾燥粉末を含み、粉末、顆粒または錠剤などの乾燥形態である場合、当該組成物は、いり胡麻を1〜8質量%、好ましくは2〜5質量%含み、すり胡麻を15〜50質量%、好ましくは15〜30質量%含む。本発明の若葉組成物が若葉処理物として若葉の搾り汁を含む非乾燥形態、例えば液状や半固形状である場合、当該組成物は、いり胡麻を0.04〜1.6質量%、好ましくは0.08〜1.0質量%含み、すり胡麻を0.6〜10質量%、好ましくは0.6〜6質量%含む。いり胡麻の量が多すぎると、胡麻の粒子感により食感が悪くなる。また、すり胡麻の量が少なすぎると胡麻の風味が低下し、多すぎると胡麻臭くなる。従って、上記の含有量とすることが好ましい。
【0030】
本発明の若葉組成物の原料であるきな粉としては、大豆を炒って皮をむき、粉砕したものであれば、いずれのものでも用いることができる。きな粉の原料となる大豆としては、マメ科ダイズ属(Glycine)の植物の種子であればいずれの物でも用いることができ、黒豆、赤豆、だだちゃ豆、青大豆、白大豆、雁食豆などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。有機栽培法を用いて栽培された大豆は風味がよく、しかも残留農薬による健康障害の不安が少ないため好ましい。
【0031】
きな粉の製造方法としては、例えば、大豆をほうろう鍋等で炒り、その後外皮を除き、ミキサー等を用いて粉砕し、最後に篩(例えば20メッシュ)にかけて夾雑する外皮等を除く方法が挙げられる。きな粉は市販されているものを使用してもよい。本発明の若葉組成物におけるきな粉の配合量は、若葉組成物の形態により異なる。本発明の若葉組成物が若葉処理物として若葉の乾燥粉末を含み、粉末、顆粒または錠剤などの乾燥形態である場合、当該組成物は、きな粉を1〜20質量%、好ましくは3〜10質量%含む。本発明の若葉組成物が若葉処理物として若葉の搾り汁を含む非乾燥形態、例えば液状や半固形状である場合、当該組成物は、きな粉を0.04〜4質量%、好ましくは0.12〜2質量%含む。きな粉の配合量が多すぎると、胡麻の風味と相殺しあううえ、粉っぽくなる。
【0032】
好ましい実施形態において、本発明の若葉組成物は、若葉の乾燥粉末40〜80質量%、いり胡麻1〜8質量%、すり胡麻15〜50質量%およびきな粉1〜20質量%を含む。また、別の好ましい実施形態において、本発明の若葉組成物は、若葉の搾り汁、いり胡麻0.04〜1.6質量%、すり胡麻0.6〜10質量%およびきな粉0.04〜4質量%を含む。
【0033】
本発明の若葉組成物の製造方法としては、上記の原料を全て配合する方法であれば特に制限されず、あらゆる方法を用いることができる。例えば、若葉を搾汁して得られる青汁に、いり胡麻、すり胡麻およびきな粉を直接配合して液状組成物とする方法でもよいし、若葉の乾燥粉末にいり胡麻、すり胡麻およびきな粉を配合して乾燥粉末組成物とする方法でもよい。本発明の若葉組成物には、乾燥形態のもの、非乾燥形態のもの、例えば液状および半固形状のものが包含される。乾燥形態には、粉末(顆粒を含む)、錠剤、粉末を封入したカプセルなどが含まれる。乾燥形態は、飲料に容易に分散または溶解可能で、容易に青汁飲料を調製できるものが好ましい。乾燥形態の本発明の若葉組成物における水分値は、通常10%以下、好ましくは2〜6%、好ましくは3〜5%である。また、本発明の若葉組成物には、飲料形態のものや、通常の食品形態のものも包含される。飲料形態には、例えば乾燥形態の若葉組成物を飲料と混合して得られる青汁飲料や、若葉の搾り汁にいり胡麻、すり胡麻およびきな粉を直接配合して得られる青汁飲料が含まれる。
【0034】
保存安定性、保管性、ハンドリングの点を考慮すると、本発明の若葉組成物は、若葉の乾燥粉末、いり胡麻、すり胡麻およびきな粉を含む乾燥形態であることが好ましい。特に原料となる成分を造粒して得られる顆粒の形態、または錠剤の形態であることが好ましい。その際、いり胡麻を造粒に供すると、造粒時の圧力によりいり胡麻が破壊され、外皮のかす等が混入して本発明の若葉組成物に好ましくない食感を与えることがあるため、その他の成分、すなわち、若葉の乾燥粉末、すり胡麻およびきな粉を含む混合物を造粒工程に付した後に、いり胡麻を配合し、攪拌・混合するのが好ましい。
【0035】
造粒方法としては、通常用いられる方法、例えば、流動槽造粒法、湿式造粒法、押出し造粒法などが挙げられ、好ましくは流動槽造粒法を用いる。その際、すり胡麻の配合量が若葉組成物の全量に対して15質量%以上となるようにすると、胡麻の油分が浮き出して流動性が変化し、造粒するのが極めて困難になる場合がある。このような場合、造粒時の乾燥温度を35〜50℃、好ましくは40〜46℃に設定することにより、効果的に造粒することが可能になる。また、造粒後の顆粒の水分値が2〜6%、好ましくは3〜5%、より好ましくは3.5〜4.5%となるように、原料、すなわち、若葉の乾燥粉末、すり胡麻およびきな粉を含む混合物における水分含量を調節すると、造粒が良好に進められると共に、顆粒の比重を調節することができ、包装時に飛沫が飛散しない良好な顆粒を製造することができる。その場合、造粒工程に付すための若葉の乾燥粉末、すり胡麻およびきな粉を含む混合物における水分含量は、通常8〜2質量%、好ましくは8〜4質量%である。顆粒状の若葉組成物は、ブロック状やペレット状でもよい。
【0036】
造粒の際、通常用いられる賦形剤を添加してもよい。賦形剤としては、例えば、白糖、ブドウ糖、コーンスターチ、リン酸カルシウム、乳糖、デキストリン、澱粉、結晶セルロース、サイクロデキストリン等が挙げられる。
【0037】
本発明の若葉組成物の製造方法としては、例えば、小麦若葉の乾燥粉末にすり胡麻およびきな粉、必要に応じて賦形剤を配合して造粒し、10メッシュの篩にかけて整粒し、ついでいり胡麻を混合・攪拌する方法が挙げられる。
【0038】
このようにして得られた乾燥形態の若葉組成物を、飲料に混合して飲むと、風味がよくコクがあり、青汁特有の青臭さがないため飲みやすく継続して摂取することができる。すなわち、従来にはなかった極めて飲みやすい青汁が提供される。飲料としては、例えば、水、湯、乳飲料、茶飲料、清涼飲料、ゼリー飲料、スポーツ飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、発酵乳飲料、スープ、ココア飲料等が挙げられる。特に牛乳と混ぜて飲む場合には、従来の青汁では青臭さと牛乳の臭みが合わさって非常に飲みにくいものであったが、本発明の若葉組成物は、牛乳と極めて相性がよく、若葉成分、胡麻、きな粉および牛乳の栄養成分を一度に摂取することができる。また、乾燥形態の若葉組成物を、食品、例えば、ヨーグルト、プリン、ゼリーなどの半固形食品に混合して摂取してもよい。若葉処理物として若葉の搾り汁を含み、これにすり胡麻、いり胡麻およびきな粉を添加して得られる液状の若葉組成物も同様に、風味がよくコクがあり、青汁特有の青臭さがないため飲みやすく継続して摂取することができる。
【0039】
本発明の若葉組成物には、その他の食品形態のものも包含され、例えば、パン、菓子、うどんなどの麺類、クッキー、チョコレート、キャンディ、せんべいなどの菓子、ふりかけ、バター、ジャムなどのスプレッド類の形態が挙げられる。
【0040】
本発明の若葉組成物には、上記成分の他に、食品において使用される添加剤を適宜配合してもよい。配合できる成分としては、特に制限されないが、例えば、各種油脂類、脂肪酸類、アルコール類、ガム質等の高分子化合物、界面活性剤、着色料、防腐・抗菌・殺菌剤、pH調整剤、キレート剤、賦形剤、増粘剤、安定化剤、保存剤、等張化剤、結合剤、分散剤、滑沢剤、崩壊剤、矯味剤、甘味剤、防湿剤、香料、清涼化剤、抗酸化剤、還元剤、可溶化剤、溶解補助剤、発泡剤、粘稠化剤、溶剤、基剤、流動化剤、乳化剤、可塑剤、緩衝剤、光沢化剤、コーティング剤等を挙げることができる。
【0041】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0042】
原料として、有機栽培された小麦の若葉を用いた。これを水洗いし、付着した泥などを除去し、10cm程度の大きさに切断した。切断した小麦若葉100kgを、90〜95℃の熱水(1000L)に3分間浸漬した後、直ちに約20℃の冷却水に5分間浸漬して、冷却した。続いて、冷却した小麦若葉を30秒間遠心分離してある程度まで脱水した後、乾燥機で80℃にて4時間温風乾燥した。得られた小麦若葉を約5mmの大きさにカッターを用いて切断し、次いで、150℃の飽和水蒸気圧を用いて3秒間加圧蒸気殺菌した。蒸気殺菌による若葉に含まれた水を乾燥した後、200メッシュ区分を90質量%が通過するようにハンマーミルを用いて微粉砕して、若葉の乾燥粉末として小麦若葉末を得た。別に、いり胡麻(有機いり胡麻:みたけ食品工業製)、すり胡麻(有機すり胡麻:みたけ食品工業製)およびきな粉(有機きな粉:日の出製粉製)は市販品を用いた。
【0043】
(実施例1)
小麦若葉末、すり胡麻、きな粉およびデキストリンを表1の分量で混合し、温度を44℃に調節した流動槽を用いて、流動槽造粒法により顆粒とした。その際、得られた顆粒の水分値が4%になるように、小麦若葉末、すり胡麻、きな粉およびデキストリンの混合物の水分含量を調節した。ついでこの顆粒を10メッシュの篩にかけた。得られた顆粒にいり胡麻を加え、攪拌・混合して若葉組成物を製造した。
【0044】
(実施例2)
表1の配合で、実施例1と同様の方法により若葉組成物を製造した。
【0045】
(比較例1〜6)
表1の配合で、実施例1と同様の方法により若葉組成物を製造した。
【0046】
(試験例)
実施例1〜2、比較例1〜6の若葉組成物のそれぞれ4gを、別個に100mLの浄水器を通した水道水、または牛乳と混合し、粉末が完全に溶解するまで攪拌し、各青汁飲料を調製した。各青汁飲料をそれぞれ飲み比べて香り、味、飲み易さを検討した。
【0047】
評価項目および結果の表示
記号 風味評価(水道水、牛乳で共通)
+ :香り、味、飲み易さすべて悪い
++ :香り、味、飲み易さのいずれか2つが悪い
+++ :香り、味、飲み易さのいずれか1つが悪い
++++ :香り、味、飲み易さすべてよい
【0048】
【表1】

【0049】
以上の結果より、本発明の若葉組成物は、いり胡麻、すり胡麻、きな粉のいずれかのみ配合した比較例4〜6、いり胡麻を配合しない比較例1、いり胡麻を配合せず、きな粉の配合量が多く、すり胡麻の配合量が少ない比較例2、およびすり胡麻の配合量が少ない比較例3に比べて、香り、味、飲みやすさいずれもが向上し、特に牛乳に溶かした場合に極めて良好であることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
若葉処理物、すり胡麻、いり胡麻、およびきな粉を含む若葉組成物。
【請求項2】
若葉処理物が若葉の乾燥粉末であり、すり胡麻を15質量%以上含む請求項1記載の若葉組成物。
【請求項3】
若葉の乾燥粉末40〜80質量%、いり胡麻1〜8質量%、すり胡麻15〜50質量%およびきな粉1〜20質量%を含む請求項2記載の若葉組成物。
【請求項4】
若葉処理物が若葉の搾り汁であり、すり胡麻を0.6質量%以上含む請求項1記載の若葉組成物。
【請求項5】
いり胡麻0.04〜1.6質量%、すり胡麻0.6〜10質量%およびきな粉0.04〜4質量%を含む請求項4記載の若葉組成物。
【請求項6】
若葉の乾燥粉末、すり胡麻およびきな粉を含む混合物の水分含量を、造粒後の顆粒の水分値が2〜6%となるように調節し、該混合物を35〜50℃で造粒した後、いり胡麻を配合することを特徴とする若葉組成物の製造方法。
【請求項7】
いり胡麻を、若葉組成物の全量に対し15質量%以上となるように配合する、請求項6記載の方法。