説明

茶葉選別方法

【課題】多種多様な飲食品・化粧品等に利用できる抗アレルギー素材を提供するとともに、その原料となる希少茶葉の有効利用を図る。
【解決手段】メチル化カテキンを含有する希少茶葉の選別方法であって、茶葉中のメチル化カテキン量を測定し、所定濃度以上のメチル化カテキンを含有する茶葉を選別する第1の工程と、前記第1の工程で選別された、所定濃度以上のメチル化カテキンを含有する茶葉に対して香味の評価を行い、香味に優れている茶葉を選別する第2の工程と、前記第2の工程で選別された、香味に優れている茶葉に対して外観の評価を行い、外観に優れている茶葉を抗アレルギー作用を有する飲食品の製造用原料として選別する第3の工程と、前記第2の工程で選別されなかった茶葉及び/又は第3の工程で選別されなかった茶葉を、抗アレルギー作用を有するエキス又はパウダーの製造用原料として選別する第4の工程と、を有する茶葉選別方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗アレルギー作用を有するメチル化カテキンを含む希少茶葉の選別方法に関し、特に、メチル化カテキンを高濃度で含むべにふうき茶葉の選別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のアレルギー患者数は、潜在的な患者を含めると4,000万人とも言われ、その数は増加の一途を辿っている。このため、抗アレルギー作用を有する成分を手軽に且つ安心して摂取・使用できる飲食品・化粧品等の開発に対する消費者の期待や関心は高い。このため、アレルギー症状を発症した場合に、摂取・使用することによって症状を軽減できるような飲食品・化粧品等の開発が望まれている。
【0003】
このような背景の下、べにふうき、べにふじ、べにほまれ等のアッサム雑種の茶葉が、メチル化カテキンを特異的に高い濃度で含有し、高い抗アレルギー効果を有することが報告されている(例えば、特許文献1参照)。これらの茶葉から得られる抗アレルギー素材を利用することにより、抗アレルギー作用を有する飲食品等を提供できる。
【特許文献1】特開2000−159670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これまでの抗アレルギー素材は、茶葉を抽出することにより得られる抽出液それ自体であり、このような形態の抗アレルギー素材では、多種多様な飲食品・化粧品等への利用が困難であるのが現状である。このため、エキスやパウダーといった形態を採用することにより、多種多様な飲食品・化粧品等に利用できる抗アレルギー素材の開発が求められている。
【0005】
また、抗アレルギー素材の原料となるべにふうき等の茶葉は、生産量が少なく、希少価値の高い茶葉である。上述したような近年のアレルギー患者数の増大を考慮すれば、抗アレルギー素材の安定供給といった観点に基づいて、上記べにふうき等の希少茶葉の有効利用を図ることは有益である。
【0006】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、多種多様な飲食品・化粧品等に利用できる抗アレルギー素材を提供するとともに、その原料となる希少茶葉の有効利用を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、抗アレルギー飲食品向けの茶葉においてはメチル化カテキン量及び香味が重視される一方で、サプリメント等の香味が重視されない食品や抗アレルギー化粧品等向けの茶葉においてはメチル化カテキン量のみが重視されることに着目し、べにふうき等の希少茶葉の選別方法に工夫を凝らすことにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0008】
(1) メチル化カテキンを含有する希少茶葉の選別方法であって、茶葉中のメチル化カテキン量を測定し、所定濃度以上のメチル化カテキンを含有する茶葉を選別する第1の工程と、前記第1の工程で選別された、所定濃度以上のメチル化カテキンを含有する茶葉に対して香味の評価を行い、香味に優れている茶葉を選別する第2の工程と、前記第2の工程で選別された、香味に優れている茶葉に対して外観の評価を行い、外観に優れている茶葉を抗アレルギー作用を有する飲食品の製造用原料として選別する第3の工程と、前記第2の工程で選別されなかった茶葉及び/又は第3の工程で選別されなかった茶葉を、抗アレルギー作用を有するエキス又はパウダーの製造用原料として選別する第4の工程と、を有することを特徴とする茶葉選別方法。
【0009】
(2) 前記希少茶葉を、べにふうきとする(1)記載の茶葉選別方法。
【0010】
(3) 前記第1の工程におけるメチル化カテキン量の測定を、高速液体クロマトグラフィー又は近赤外分析方法により行う(1)又は(2)記載の茶葉選別方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、多種多様な飲食品・化粧品等に利用できる抗アレルギー素材を提供できるとともに、その原料となる希少茶葉の有効利用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0013】
本発明に係る茶葉選別方法は、メチル化カテキンを含有する希少茶葉の選別方法である。より詳しくは、茶葉中のメチル化カテキン量を測定し、所定濃度以上のメチル化カテキンを含有する茶葉を選別する第1の工程と、前記第1の工程で選別された、所定濃度以上のメチル化カテキンを含有する茶葉に対して香味の評価を行い、香味に優れている茶葉を選別する第2の工程と、前記第2の工程で選別された、香味に優れている茶葉に対して外観の評価を行い、外観に優れている茶葉を抗アレルギー作用を有する飲食品の製造用原料として選別する第3の工程と、前記第2の工程で選別されなかった茶葉及び/又は第3の工程で選別されなかった茶葉を、抗アレルギー作用を有するエキス又はパウダーの製造用原料として選別する第4の工程と、を有することを特徴とする茶葉選別方法である。
【0014】
[茶葉]
本発明で用いられる茶葉は、メチル化カテキンを含有する希少価値の高い茶葉である。好ましくは、べにふうき、べにふじ、べにほまれ等のアッサム雑種の茶葉であり、最も好ましくは、べにふうきである。また、本発明における茶葉は、生葉ではなく製茶された茶葉(荒茶を含む)を意味し、木茎等も含まれる。
【0015】
上記べにふうき等の希少茶葉には、抗アレルギー作用を有するメチル化カテキンが含有されている。具体的には、メチル化カテキンは下記の化学式で示される。
【化1】

[上記式中、R,R,R,Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基のいずれかであり、X,Xは、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基のどちらかである。]
【0016】
本発明においては、主として、エピガロカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレート(以下、EGCG3”Meという)、エピカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレート(以下、ECG3”Meという)、エピカテキン−3−O−(4−O−メチル)ガレート(以下、ECG4”Meという)、エピガロカテキン−3−O−(4−O−メチル)ガレート(以下、EGCG4”Meという)、ガロカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレート(以下、GCG3”Meという)、カテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレート(以下、CG3”Meという)、カテキン−3−O−(4−O−メチル)ガレート(以下、CG4”Meという)、又は、ガロカテキン−3−O−(4−O−メチル)ガレート(以下、GCG4”Meという)及びこれらの異性化体を含む茶葉であることが好ましい。
【0017】
[第1の工程]
本発明における第1の工程は、茶葉中のメチル化カテキン量を測定し、所定濃度以上のメチル化カテキンを含有する茶葉を選別する工程である。通常の茶葉ではメチル化カテキンは含有されていないことから、この工程はメチル化カテキンを含有する希少茶葉に特有の工程である。メチル化カテキンの含有量は、抗アレルギー効果に直接影響を及ぼすものであるため、抗アレルギー効果をコントロールするうえで本工程は重要な工程である。また、メチル化カテキンの含有量は、茶葉の生育状態や葉位により変化するものであるため、本工程を経ることにより、所望のアレルギー効果を有する抗アレルギー素材が得られる。
【0018】
メチル化カテキン量の測定は、高速液体クロマトグラフィー又は近赤外分析方法により行うことが好ましい。これらの測定方法によれば、茶葉を粉砕して分析することが可能であるため、茶葉中のメチル化カテキン量をより正確に測定することができる。具体的には、所定の量に分別された複数のロット毎に、1ロット当たり1回〜5回の測定を行い、これらの平均値をメチル化カテキン濃度とすることが好ましい。例えば、メチル化カテキンの最低濃度を10g/kgと定め、茶葉中のメチル化カテキンが10g/kg以上のロットが選別される。
【0019】
[第2の工程]
本発明における第2の工程は、上記第1の工程で選別された、所定濃度以上のメチル化カテキンを含有する茶葉に対して、香味の評価を行い、香味に優れている茶葉を選別する工程である。香味の評価は、官能試験を行うことによりなされる。本工程は、メチル化カテキンを所定濃度以上含有する茶葉のうち、香味に優れた茶葉を飲食品の製造用原料として利用し、香味に劣る茶葉をエキス又はパウダーの製造用原料として利用するために必要な工程である。
【0020】
官能試験においては、茶種特有の香味を有するもの、異味・異臭の無いものが選別される。具体的には、茎茶の割合が少なく、茶葉が砕け過ぎていないものが好ましく選別される。また、茶葉の色が緑茶特有の色を有しているものや、茶葉の香りが茶葉固有の香りを有するものが好ましく選別される。さらには、抽出液の水色が赤味を帯びておらず、黄金色〜黄緑色のものが好ましく選別される。例えば、上記第1の工程で選別された複数のロット毎に官能試験を行うことにより、香味の優劣の評価がなされる。
【0021】
[第3の工程]
本発明における第3の工程は、上記第2の工程で選別された、香味に優れている茶葉に対して外観の評価を行い、外観に優れている茶葉を抗アレルギー作用を有する飲食品の製造用原料として選別する工程である。例えば、外観の評価は、目視あるいは機械を用いて行われる。このような外観評価により、具体的には茶葉の色のわるいものや、木茎・粉末等が除外される。従って、本工程により、抗アレルギー作用を有するのみならず、外観及び香味にも優れた飲食品を安定して提供できる。
【0022】
本工程を経た茶葉は、必要に応じてブレンドされて飲食品の製造に供される。例えば、本工程を経て選別された茶葉を飲料の製造用原料として用いる場合には、選別された茶葉を高温で抽出した後、容器に充填し、加熱殺菌することで飲料が得られる。具体的には、茶葉の抽出温度は60℃以上の湯を用いて行われ、90℃以上で行われることがより好ましく、95℃〜100℃で行われることが最も好ましい。メチル化カテキンは、高温で熱異性化して熱異性化体となり、この熱異性化体は通常のメチル化カテキンに比してより高い薬理作用(特に、抗アレルギー作用)を奏する。このため、同じメチル化カテキン含有量で、より高い薬理作用を奏する飲料を提供できる。また、茶葉の抽出は、例えば茶葉100kgに対して、約5〜50倍、好ましくは20〜30倍程度の量の湯で、約1〜30分間、好ましくは5〜10分間撹拌することにより行われる。
【0023】
加熱殺菌方法としては、例えば、調合液を80℃〜90℃に保温しながら容器に詰めるホットパックや、調合液をF=5〜50の加熱殺菌を行う超高温瞬間殺菌(UHT)や、調合液をF=5〜50の加熱殺菌を行うレトルト殺菌等が挙げられる。ここで、Fとは、殺菌温度と殺菌時間とで決定される必要な殺菌価を意味する。加熱殺菌を行うことにより、調合液中の菌を失活させ、衛生的に安全な飲料を提供できる。また、加熱することにより、メチル化カテキンの熱異性化をより促進させることができる。このため、同じメチル化カテキン含有量で、より高い薬理作用を奏する飲料を提供できる。
【0024】
飲料に使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、密封容器、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等が挙げられる。加熱殺菌は、調合液及び容器の両方に対して行われることが好ましいが、容器に調合液を充填する前に行うか、充填した後に行うかは、容器の材質によって適宜選択することが可能である。例えば、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、例えばプレート式熱交換器等で調合液を高温短時間殺菌後、一定の温度まで冷却して、別途滅菌した容器に充填することが好ましい。
【0025】
[第4の工程]
本発明における第4の工程は、上記第2の工程で選別されなかった茶葉及び/又は第3の工程で選別されなかった茶葉を、抗アレルギー作用を有するエキス又はパウダーの製造用原料として選別する工程である。第2の工程で選別されなかった茶葉とは、香味に劣る茶葉を意味し、第3の工程で選別されなかった茶葉とは、外観に劣る茶葉を意味する。即ち、本工程は、外観や香味には劣るがメチル化カテキンを含有する茶葉を、抗アレルギー作用を有するエキス又はパウダー製造用原料として有効利用するための工程である。従来、メチル化カテキンを含有しているにも関わらず、外観や香味に劣る茶葉(例えば、木茎や粉末等)は廃棄処分とされていたところ、本工程ではそれを有効利用するものである。このため、本工程を採用することにより、メチル化カテキンを含有するべにふうき等の希少茶葉の有効利用を図ることができる。
【0026】
本工程を経て選別された茶葉を、抗アレルギー作用を有するエキス(以下、抗アレルギーエキスともいう)の製造用原料として用いる場合には、茶葉を所定の条件で抽出した後、所定の条件で濃縮する操作が行われる。例えば、本工程で選別された茶葉に対して、5〜50倍量で40〜150℃の温水・熱水を用いて6〜180分間抽出を行う。抽出の際には、アスコルビン酸やアスコルビン酸Na等の酸化防止剤を含む温水・熱水を用いてもよい。抽出後、減圧濃縮法やRO膜濃縮法等の従来公知の濃縮方法を利用して、所定条件下で抽出液の濃縮を行う。次いで、UHT殺菌機等で殺菌することにより、メチル化カテキンを高濃度で含有する抗アレルギーエキスが得られる。抗アレルギーエキス中のメチル化カテキン濃度は、上記濃縮操作の条件を適宜変更することにより調整され、所望のメチル化カテキン濃度を有する抗アレルギーエキスが得られる。具体的には、エキス100g中に、メチル化カテキンを5mg〜1,500mg含有する抗アレルギーエキスが得られる。
【0027】
また、本工程を経て選別された茶葉を、抗アレルギー作用を有するパウダー(以下、抗アレルギーパウダーともいう)の製造用原料として用いる場合には、上記の抽出、濃縮操作に加えて、得られた抗アレルギーエキスを乾燥させる乾燥操作が行われる。乾燥は、スプレードライ法や凍結乾燥法等の従来公知の乾燥方法が利用でき、所定条件下で乾燥させることにより、所望の抗アレルギーパウダーが得られる。具体的には、パウダー100g中に、メチル化カテキンを40mg〜5,000mg含有する抗アレルギーパウダーが得られる。
【0028】
上記の各操作を経て得られた抗アレルギーエキスや抗アレルギーパウダーは、メチル化カテキンを非常に高い濃度で含有する。このため、これらを製品中に少量添加するだけで高い抗アレルギー効果を有する製品が容易に得られる。また、エキスやパウダーの形態であるので、肌用塗布剤等の多種多様な化粧品等にも利用できる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0030】
収穫後のべにふうき茶葉(荒茶)を、仕入先の農家毎にそれぞれ1ロット(10kg〜2000kg)とし、複数の小ロットを準備した。各小ロットそれぞれから、茶葉を0.25gずつ量り取って溶媒抽出した後、高速液体クロマトグラフィーを用いて茶葉中のメチル化カテキン含有量を測定した。このときの平均メチル化カテキン量は、16g/kgであった。これら各小ロットのうち、茶葉中のメチル化カテキン量が10g/kg未満の小ロットを除外し、10g/kg以上のメチル化カテキンを含有する小ロットを選別した。
【0031】
上記で選別された、10g/kg以上のメチル化カテキンを含有する茶葉に対して、官能試験を実施し、香味に優れた茶葉を選別した。この工程で除外された茶葉中のメチル化カテキン含量は16g/kgであった。
【0032】
次いで、選別された各小ロットを10〜20個まとめて大ロットとし、この大ロットを一定割合ブレンドすることでメチル化カテキン量が均一である茶葉群3,000kgを複数群作成した。この茶葉群中の平均メチル化カテキン量は、16g/kgであった。また、この茶葉群に対して外観の評価を行い、香味に優れるうえ外観も良好である茶葉を選別した。これにより選別された、外観及び香味に優れた茶葉(本茶)の量は、91.7%であり、除外された茶葉(茎茶等)は8.3%であった。
【0033】
[飲料化]
上記のような工程を経て選別された、外観及び香味に優れた茶葉100kgに対し、90℃以上の湯を20倍量用いて約6分間抽出した。抽出液を製品液相当に希釈したときのメチル化カテキン量は、20mg/L〜50mg/Lであった。この抽出液を所定量に加水し、調合液を得た。この調合液をUHTで加熱殺菌(F=5〜50)後、350mlPETボトルに充填した。これにより、PETボトル一本当たりメチル化カテキンを15mg〜30mg含有する飲料が得られた。
【0034】
[エキス化]
上記官能試験で除外された、香味に劣る茶葉を、茶葉に対して7倍量の95℃の湯で1時間抽出後、抽出液をクラリファイアにかけて固液分離を行った。分離液は可溶性固形分が6.0g/100gとなるように純水で調製し、殺菌後、容器に充填した。その結果、エキス100g当たり、メチル化カテキンを113mg含有するべにふうきエキスが得られた。
【0035】
また、上記官能試験で除外された、香味に劣る茶葉を、茶葉に対して30倍量の90℃の湯で10分間抽出後、抽出液をクラリファイアにかけて固液分離を行った。分離液は可溶性固形分が15g/100gとなるまでロータリーエバポレーターで濃縮し、殺菌後、容器に充填した。その結果、エキス100gあたり、メチル化カテキンを225mg含有するべにふうきエキスが得られた。
【0036】
一方、上記外観評価により除去された、外観に劣る茶葉(茎茶等)を、茶葉に対して30倍量の90℃の湯で10分間抽出後、抽出液をクラリファイアにかけて固液分離を行った。分離液は可溶性固形分が30g/100gとなるようにロータリーエバポレーターで濃縮し、殺菌後、容器に充填した。その結果、エキス100gあたり、メチル化カテキンを219mg含有するべにふうきエキスが得られた。
【0037】
[パウダー化]
上記官能試験で除外された、香味に劣る茶葉を、茶葉に対して15倍量の95℃の湯で1時間抽出後、抽出液をクラリファイアにかけて固液分離を行った。その後、可溶性固形分濃度が35g/100gとなるまで減圧濃縮を行った。減圧濃縮は65℃、10kPaで行った。濃縮液を殺菌後、容器に充填した。その結果、エキス100g当り、メチル化カテキンを770mg含有するべにふうきエキスが得られた。次いで、このべにふうきエキスをスプレードライ法によって粉末化することにより、パウダー100g当りメチル化カテキンを2677mg含有するべにふうきパウダーが得られた。
【0038】
また、上記官能試験で除外された、香味に劣る茶葉を、茶葉に対して15倍量の95℃純水で1時間抽出後、抽出液をクラリファイアにかけて固液分離を行った。その後、分離液の可溶性固形分濃度が35g/100gとなるまで減圧濃縮を行った。減圧濃縮は65℃、10kPaで行った。濃縮液をスプレードライ法によって粉末化することにより、パウダー100g当りメチル化カテキンを2698mg含有するべにふうきパウダーが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチル化カテキンを含有する希少茶葉の選別方法であって、
茶葉中のメチル化カテキン量を測定し、所定濃度以上のメチル化カテキンを含有する茶葉を選別する第1の工程と、
前記第1の工程で選別された、所定濃度以上のメチル化カテキンを含有する茶葉に対して香味の評価を行い、香味に優れている茶葉を選別する第2の工程と、
前記第2の工程で選別された、香味に優れている茶葉に対して外観の評価を行い、外観に優れている茶葉を抗アレルギー作用を有する飲食品の製造用原料として選別する第3の工程と、
前記第2の工程で選別されなかった茶葉及び/又は第3の工程で選別されなかった茶葉を、抗アレルギー作用を有するエキス又はパウダーの製造用原料として選別する第4の工程と、を有することを特徴とする茶葉選別方法。
【請求項2】
前記希少茶葉を、べにふうきとする請求項1記載の茶葉選別方法。
【請求項3】
前記第1の工程におけるメチル化カテキン量の測定を、高速液体クロマトグラフィー又は近赤外分析方法により行う請求項1又は2記載の茶葉選別方法。

【公開番号】特開2008−259462(P2008−259462A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105539(P2007−105539)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(596126465)アサヒ飲料株式会社 (84)
【Fターム(参考)】