説明

茸栽培用装置及び茸栽培方法

【課題】本発明は、電気刺激を加える茸栽培体毎に電極を刺しなおす作業を不要にでき、作業者の負担を低減できる茸栽培用装置及び茸栽培方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明による茸栽培用装置及び茸栽培方法は、放電極20がほだ木1から離間された状態で高電圧発生器10から放電極20に高電圧が印加されることで、放電極20からの火花放電21によりほだ木1に電気刺激が加えられる構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば椎茸等の茸の栽培に用いる茸栽培用装置及び茸栽培方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば椎茸等の茸を栽培する際に、茸の菌糸が培養されたほだ木(茸栽培体)に電気刺激を加えることで、茸の育成を促進できることが注目されている。このような茸の栽培に用いられる構成を提案するものとして、例えば下記の特許文献1,2等が挙げられる。すなわち、従来構成では、高電圧発生器に接続された高電圧印加用の電極をほだ木に突き刺した状態で、電極にインパルス状の高電圧を印加することで、ほだ木に電気刺激を加えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−70696号公報
【特許文献2】特公平3−71842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来構成では、高電圧発生器に接続された電極をほだ木に突き刺した状態で高電圧を印加するので、1つのほだ木に電気刺激を加えた後に他のほだ木に電気刺激を加える場合に、電気刺激を加えたほだ木から電極を引抜くとともに、次のほだ木に電極を改めて突き刺す必要がある。すなわち、従来構成では、電気刺激を加えるほだ木毎に電極を刺しなおす作業が必要となり、作業者の負担が増大している。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電気刺激を加える茸栽培体毎に電極を刺しなおす作業を不要にでき、作業者の負担を低減できる茸栽培用装置及び茸栽培方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る茸栽培用装置は、高電圧を発生する高電圧発生部と、前記高電圧発生部に接続され、茸栽培体から離間された状態で前記高電圧発生部から高電圧が印加されることで、火花放電により前記茸栽培体に電気刺激を加える球状の放電極とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る茸栽培方法は、高電圧発生部に接続された球状の放電極を茸栽培体から離間させた状態で、高電圧発生部から放電極に高電圧を印加することで、放電極からの火花放電により茸栽培体に電気刺激を加えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の茸栽培用装置及び茸栽培方法によれば、放電極が茸栽培体から離間された状態で高電圧発生部から放電極に高電圧が印加されることで、放電極からの火花放電により茸栽培体に電気刺激が加えられるようになっているので、電気刺激を加える茸栽培体毎に電極を刺しなおす作業を不要にでき、作業者の負担を低減できる。また、茸栽培体に電気刺激が正常に加えられたことを目視及び音によって確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1による茸栽培用装置を示す構成図である。
【図2】図1の高電圧発生器の構成を示すブロック図である。
【図3】図2の高電圧発生器の放電等価回路を示す回路図である。
【図4】図2の限流器の動作を示す説明図である。
【図5】図1の茸栽培用装置による放電動作を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態2による茸栽培用装置を示す構成図である。
【図7】図6の電極基体及びコントローラの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態3による茸栽培用装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による茸栽培用装置を示す構成図である。図において、茸栽培用装置は、例えば椎茸等の茸の菌糸が培養されたほだ木1(茸栽培体)に電気刺激を加えることで、茸の育成を促進するためのものである。なお、本実施の形態では、茸の栽培にほだ木1を用いる例を説明するが、例えばおがくずが固められた菌床等を茸の栽培に用いてもよい。すなわち、茸栽培体は、ほだ木1に限定されず、例えば菌床等でもよい。
【0011】
図に示すように、茸栽培用装置には、高電圧発生器10(高電圧発生部)、放電極20、同軸ケーブル30、及び電極基体40が設けられている。高電圧発生器10は、アース50に接続されており、後述の回路構成(図2参照)により高電圧を発生するものである。なお、高電圧発生器10としては、作業者による持ち運びが可能なように小型なもの採用されている。放電極20は、同軸ケーブル30及び電極基体40を介して高電圧発生器10に接続されている。この放電極20は、球状に形成されており、高電圧が印加された場合に近接する物体との間に火花放電21を発生させるものである。すなわち、放電極20は、ほだ木1から離間された状態で高電圧発生器10から高電圧が印加されることで、火花放電21により茸栽培体に電気刺激を加えることができるものである。
【0012】
同軸ケーブル30は、高電圧発生器10及び電極基体40のケーブルコネクタ11,41に対して着脱自在に設けられており、必要に応じて取り替えることが可能とされている。ここで、火花放電21によりほだ木1に加えられる電気刺激のエネルギーE[J]は、同軸ケーブル30の静電容量をC[F]とし、放電極20に印加される高電圧の電圧値をV[V]とすれば、CV/2と表すことができる。周知のように、同軸ケーブル30は、長さに応じた静電容量を有している。すなわち、現在の同軸ケーブル30を、異なる長さを有する他の同軸ケーブル30に取り替えることで、ほだ木1に加えられる電気刺激のエネルギーEを変更及び調節できる。
【0013】
電極基体40は、ピストル形状に形成されたものであり、先端に放電極20が一体に設けられたものである。作業者によって把持される電極基体40の把持部42は、放電極20とは電気的に絶縁された導電体で形成されており、同軸ケーブル30及び高電圧発生器10を介してアース50に接続されている。把持部42がアース50に接続されるのは、作業者の帯電を回避するためである。
【0014】
電極基体40は、作業者によって操作されるトリガスイッチ43(図2参照)を有している。トリガスイッチ43は、作業者によって操作された際に高電圧発生器10に対して高電圧印加指令44を入力するものである。高電圧発生器10は、高電圧印加指令44の入力を検出した場合に放電極20に高電圧を印加する。すなわち、作業者は、手元にある電極基体40のトリガスイッチ43を操作することで、ほだ木1に電気刺激を加えるか否かを制御できる。
【0015】
次に、図2は、図1の高電圧発生器10の構成を示すブロック図であり、図3は、図2の高電圧発生器10の放電等価回路を示す回路図であり、図4は、図2の限流器18の動作を示す説明図である。図2において、高電圧発生器10には、AC/DC変換回路12、電池13、電源切換スイッチ14、発振回路15、コッククロフト・ウォルトン回路16、高電圧保護抵抗17、限流器18、及び放電条件設定スイッチ19が設けられている。
【0016】
AC/DC変換回路12は、商用電源からの交流電圧を例えば24V等の直流電圧に変換するものである。電池13は、両端電圧が例えば24V等の化学電池である。電源切換スイッチ14は、AC/DC変換回路12及び電池13の一方を発振回路15の入力端に選択的に接続するものである。すなわち、本実施の形態の高電圧発生器10は、商用電源のコンセントが無い屋外での使用にも対応している。発振回路15は、外部(トリガスイッチ43)からの高電圧印加指令44の入力を検出した際に、AC/DC変換回路12又は電池13からの直流電圧を用いて、例えば20KHz,24V等の交流電圧を発振するものである。なお、この実施の形態では、AC/DC変換回路12、電池13、電源切換スイッチ14、及び発振回路15によって発振部が構成されている。
【0017】
コッククロフト・ウォルトン回路16は、周知のように複数のコンデンサと複数の整流素子(ダイオード)とを含む昇圧回路であり、発振回路15からの交流電圧をもとに例えば100KV程度の直流の高電圧を生成するものである。コッククロフト・ウォルトン回路16からの高電圧は、例えば100MΩ程度の抵抗値を有する高電圧保護抵抗17を介して放電極20に印加される。なお、この実施の形態では、コッククロフト・ウォルトン回路16によって昇圧部が構成されている。
【0018】
限流器18は、発振回路15とコッククロフト・ウォルトン回路16とに接続されており、図3の等価回路で示されるコッククロフト・ウォルトン回路16の出力電流値Icを監視するものである。この限流器18は、監視している出力電流値が例えば30〜100μA程度の予め設定された限流動作電流値を超えた場合に、限流指令18aを発振回路15に入力する。発振回路15は、限流器18からの限流指令18aの入力を検出した場合に、発振する交流電圧の電圧値Vdを図4に示すように抑えて、出力エネルギーを制限する。このように、出力電流値が限流動作電流値を超えた場合に、出力エネルギーを制限するのは、万が一、放電極20が人体に触れた場合への対策である。
【0019】
放電条件設定スイッチ19は、作業者によって操作されるスイッチであり、ほだ木1に電気刺激を加える放電処理時間を設定するためのスイッチである。作業者は、ほだ木1の原木の種類や大きさに応じて放電条件設定スイッチ19を操作することで、放電処理時間を適宜変更できる。
【0020】
次に、図5は、図1の茸栽培用装置による放電動作を示す説明図である。図に示すように、トリガスイッチ43からパルス状の高電圧印加指令44が発振回路15に入力されると、発振回路15からの交流電圧の発振が開始される。このとき、同軸ケーブル30の電位Vcは、茸栽培用装置全体の静電容量C及び抵抗値Rによって決定される時定数に従って上昇する。その後、電位Vcが所定の電位Vsに達すると、放電極20からほだ木1に火花放電21が発生される。高電圧発生器10は、高電圧印加指令44の入力を検出した場合に、放電条件設定スイッチ19によって設定された放電処理時間Tsの間、放電極20に高電圧を印加する。すなわち、放電条件設定スイッチ19によって設定された放電処理時間Tsの間に、同軸ケーブル30の電位Vcが所定の電位Vsに達する数だけ、火花放電21が繰り返し発生される。
【0021】
次に、茸栽培方法について説明する。まず、予めほだ木1の浸水処理を行っておき、例えば15時間程度の所定時間が経過した後に、図1に示すようにほだ木1を地面の上に立てる。次に、放電極20をほだ木1から離間させた状態で、高電圧発生器10から放電極20に高電圧を印加することで、放電極20からの火花放電21によりほだ木1に電気刺激を加える。このように、火花放電21によりほだ木1に電気刺激を加えるようにすることで、高電圧発生器に接続された電極をほだ木に突き刺した状態で高電圧を印加する従来構成と比べて、電気刺激を加えるほだ木1毎に電極を刺しなおす作業を不要にでき、作業者の負担を低減できる。
【0022】
なお、ほだ木1の外表面と放電極20との間に火花放電21を発生させてもよいし、ほだ木1に例えば釘等の栽培体側電極1aを打ち込んでおき、栽培体側電極1aと放電極20との間に火花放電21を発生させてもよい。栽培体側電極1aを打ち込む場合でも、ほだ木1毎に栽培体側電極1aを刺しなおす必要はなく、従来構成に比べて作業者の負担を低減できる。
【0023】
次に、作用について説明する。本出願人は、上述の茸栽培用装置及び茸栽培方法の適用条件、すなわち茸の栽培の仕方、浸水処理の後から高電圧処理(放電処理)までの時間、同軸ケーブル30の長さ、印加電圧の高さ、及び高電圧処理の時間を適宜変更して、茸(椎茸)の収穫量の増加率を調べた。その結果、下記の表1に示す適用条件を採用した場合に、高電圧処理を施さないものと比較して、約1.5〜2.0倍の増加率が得られることを確認できた。すなわち、火花放電21による高電圧処理を行うことで、茸の収穫量を増やすことができることを確認できた。
【0024】
【表1】

【0025】
このような茸栽培用装置及び茸栽培方法では、放電極20がほだ木1から離間された状態で高電圧発生器10から放電極20に高電圧が印加されることで、放電極20からの火花放電21によりほだ木1に電気刺激が加えられるようになっているので、電気刺激を加えるほだ木1毎に電極を刺しなおす作業を不要にでき、作業者の負担を低減できる。
また、高電圧発生器に接続された電極をほだ木1に突き刺した状態で高電圧を印加する従来構成では、ほだ木1に電気刺激が正常に加えられたか否かが分りにくいという問題もあるが、本実施の形態の茸栽培用装置及び茸栽培方法では、火花放電21が発生した際に光及び音が発生するので、ほだ木1に電気刺激が正常に加えられたことを目視及び音によって確認できる。これにより、作業者に安心感を与えることができるとともに、望まれる電気刺激をより確実にほだ木1に加えることができる。
【0026】
また、放電極20は、高電圧発生器10に対して高電圧印加指令44を入力するためのトリガスイッチ43を有する電極基体40に一体に設けられているので、作業者は手元にある電極基体40のトリガスイッチ43を操作することで、ほだ木1に電気刺激を加えることができ、作業者の利便性を向上できる。
【0027】
さらに、電極基体40の把持部42は、放電極20とは電気的に絶縁された導電体で形成されるとともに、アース50に接続されているので、作業者の帯電を回避できる。
【0028】
さらにまた、高電圧発生器10は、外部からの高電圧印加指令44の入力を検出した場合に、設定された放電処理時間Tsの間、放電極20に高電圧を印加するので、複数本のほだ木1に電気刺激を加える場合でも、各ほだ木1に同程度の電気刺激を加えることができ、ほだ木1に加える電気刺激のバラツキを低減できる。
【0029】
また、放電極20は、取替え可能な同軸ケーブル30を介して高電圧発生器10に接続されているので、同軸ケーブル30を取り替えることでほだ木1に加えられる電気刺激のエネルギーEを変更及び調節できる。これにより、高電圧発生器10の内部の静電容量を変更するための機能を不必要とすることができ、コストを低減できる。
【0030】
実施の形態2.
次に、図6は、本発明の実施の形態2による茸栽培用装置を示す構成図であり、図7は図6の電極基体60及びコントローラ80の構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1の構成と同一又は同等の構成については、同一の符号を付して説明する。実施の形態1の構成は、コッククロフト・ウォルトン回路16によって構成される昇圧部が、AC/DC変換回路12、電池13、電源切換スイッチ14、及び発振回路15によって構成される発振部とともに高電圧発生器10に内蔵される構成であったが、この実施の形態2の構成では、図6及び図7に示すように、コッククロフト・ウォルトン回路16によって構成される昇圧部は、放電極20とともに電極基体60に一体に設けられている。
【0031】
電極基体60には、低電圧ケーブル70を介してコントローラ80が接続されている。コントローラ80は、AC/DC変換回路12、電池13、電源切換スイッチ14、及び発振回路15によって構成される発振部と、限流器18と、放電条件設定スイッチ19とを内蔵するものである。すなわち、このコントローラ80は、実施の形態1の高電圧発生器10からコッククロフト・ウォルトン回路16及び高電圧保護抵抗17が除かれた構成とされている。
【0032】
また、電極基体60には、放電極20及びコッククロフト・ウォルトン回路16に接続されるコンデンサ61が着脱自在に取付けられている。すなわち、実施の形態1では、同軸ケーブル30を取り替えることで、ほだ木1に加えられる電気刺激のエネルギーEを変更及び調節できるようにしていたが、この実施の形態2では、コンデンサ61を取り替えることで、ほだ木1に加えられる電気刺激のエネルギーEを変更及び調節できるようにしている。電極基体60には、必要とされる電気刺激のエネルギーEの変更幅及び調節幅によっては複数のコンデンサ61が取付けられる。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0033】
このような茸栽培用装置では、放電極20及びコッククロフト・ウォルトン回路16に接続されるコンデンサ61が電極基体60に着脱自在に取付けられているので、同軸ケーブル30を取り替えることで電気刺激のエネルギーEを変更及び調節する構成に比べて、電気刺激のエネルギーEの変更幅及び調節幅を大きくできる。
【0034】
実施の形態3.
次に、図8は、本発明の実施の形態3による茸栽培用装置を示す構成図である。なお、実施の形態1の構成と同一又は同等の構成については、同一の符号を付して説明する。図8に示すように、実施の形態3の茸栽培用装置には、高電圧発生器10及び放電極20に加えて、搬送装置100、支持体110、近接センサ120、及び制御手段130がさらに設けられている。
【0035】
搬送装置100は、茸栽培体であるほだ木1を搬送するものであり、無端状のアースベルト101と、このアースベルト101を循環駆動させる駆動モータ102と、これらアースベルト101及び駆動モータ102を支持する支持台103とを含んでいる。
【0036】
支持体110は、搬送装置100によって搬送されるほだ木1に対向するように放電極20を支持するものであり、支持体本体111と可動片112とを含んでいる。支持体本体111は、図示しない固定物又は地面に支持されるものである。可動片112は、アースベルト101の搬送面101aに対して近づく方向及び離れる方向に進退できるように、支持体本体111に取付けられている。放電極20は、可動片112の先端部(下端部)に取付けられている。
【0037】
接近センサ120は、放電極20の下方にほだ木1が位置していることを検出するセンサである。制御手段130は、高電圧発生器10、駆動モータ102、及び接近センサ120に接続されており、接近センサ120からの検出信号120aに基づいて高電圧発生器10及び駆動モータ102の動作を制御するものである。なお、この実施の形態では、制御手段130は、高電圧発生器10と別体に設けられているように説明しているが、制御手段は、高電圧発生器に内蔵されていてもよい。
【0038】
次に、本発明の実施の形態3の茸栽培用装置の動作について説明する。まず、搬送装置100によって搬送されるほだ木1の大きさに応じて、作業者の操作により可動片112が進退されて、放電極20とほだ木1との離間距離が調節される。その次に、搬送装置100によるほだ木1の搬送が開始されるととともに、ほだ木1が放電極20の下方に位置したことが接近センサ120によって検出された場合に、接近センサ120から制御手段130に検出信号120aが入力される。このとき、制御手段130から駆動モータ102に停止指令130aが入力されてほだ木1の搬送が停止される。また、接近センサ120から制御手段130に検出信号120aが入力されると、制御手段130から高電圧発生器10に高電圧印加指令130bが入力され、高電圧発生器10から放電極20に高電圧が印加されて、放電極20からの火花放電21によりほだ木1に電気刺激が加えられる。
【0039】
このような茸栽培用装置では、放電極20は、搬送装置100で搬送されるほだ木1との間に火花放電21を発生させるので、自動化により作業者の負担をさらに低減できる。すなわち、実施の形態1の構成に比べて、並べて配置されたほだ木1の前にそれぞれ移動して各ほだ木1に個別に電気刺激を加える必要を無くすことができ、作業者の負担をさらに低減できる。
【符号の説明】
【0040】
1 ほだ木(茸栽培体)
10 高電圧発生器
20 放電極
21 火花放電
30 同軸ケーブル
40 電極基体
42 把持部
43 トリガスイッチ
44 高電圧印加指令
50 アース
100 搬送装置
110 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧を発生する高電圧発生部と、
前記高電圧発生部に接続され、茸栽培体から離間された状態で前記高電圧発生部から高電圧が印加されることで、火花放電により前記茸栽培体に電気刺激を加える球状の放電極と
を備えることを特徴とする茸栽培用装置。
【請求項2】
前記放電極は、前記高電圧発生部に対して高電圧印加指令を入力するためのトリガスイッチを有する電極基体に一体に設けられていることを特徴とする請求項1記載の茸栽培用装置。
【請求項3】
前記電極基体には、作業者によって把持される把持部が設けられており、
前記把持部は、前記放電極とは電気的に絶縁された導電体で形成されるとともに、アースに接続されていることを特徴とする請求項2記載の茸栽培用装置。
【請求項4】
前記高電圧発生部は、外部からの高電圧印加指令の入力を検出した場合に、設定された放電処理時間の間、前記放電極に高電圧を印加することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の茸栽培用装置。
【請求項5】
前記放電極は、取替え可能な同軸ケーブルを介して前記高電圧発生部に接続されていることを特徴とする請求項1記載の茸栽培用装置。
【請求項6】
前記高電圧発生部には、交流電圧を出力する発振部と、前記発振部からの交流電圧をもとに高電圧を発生する昇圧部とが含まれており、
前記放電極及び前記昇圧部は、電極基体に一体に設けられており、
前記電極基体には、前記放電極及び前記昇圧部に接続されるコンデンサが着脱自在に取付けられていることを特徴とする請求項1記載の茸栽培用装置。
【請求項7】
前記茸栽培体を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送される前記茸栽培体に対向するように前記放電極を支持する支持体と
を備え、
前記放電極は、前記搬送装置で搬送される前記茸栽培体との間に火花放電を発生させることを特徴とする請求項1記載の茸栽培用装置。
【請求項8】
高電圧発生部に接続された球状の放電極を茸栽培体から離間させた状態で、前記高電圧発生部から前記放電極に高電圧を印加することで、前記放電極からの火花放電により前記茸栽培体に電気刺激を加えることを特徴とする茸栽培方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−54(P2012−54A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138147(P2010−138147)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(504442805)株式会社グリーンテクノ (4)
【出願人】(592134583)愛媛県 (53)
【Fターム(参考)】