説明

茸類の菌糸体加工方法

【課題】茸類の菌糸体の細胞壁を破砕して、該細胞壁を含む菌糸体全体を超微粒子化することにより、菌糸体中の有効成分を、破壊することなく取出す。
【解決手段】茸類の菌糸体を粉砕して得られた微粒子状の菌糸体粒子と、水道水、または天然水を電解して得られた電解還元水、あるいは、アルカリイオン水、ミネラルウォーターまたは純水のいずれかの水とを混合した流状物を超微粒子化装置に投入して、該流状物中の菌糸体粒子同士を高圧で衝突させて、細胞壁を含む菌糸体全体を破砕して、例えばナノメーターサイズにまで超微粒子化すると共に、該超微粒子化された菌糸体粒子から菌糸体成分を流状物中に抽出し、然る後、該流状物を乾燥して水分を蒸発させて除去し、乾燥菌糸体成分として取出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アガリスク茸、メシマコブ茸、キコブ茸、チャユカイオラ茸、松茸、椎茸、カワラ茸、ヒラ茸、コフキサルノコシカケ、フオサルノコシカケ、ベッコウ茸、ナメコ茸、エノキ茸、霊芝茸等の茸類の菌糸体の細胞壁を破砕して、該細胞壁を含む菌糸体全体をナノメーターサイズまで超微粒子化することにより、菌糸体の細胞壁内の菌糸体成分を乾燥菌糸体成分として取出すことができる茸類の菌糸体加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、茸類中、特にアガリスク茸の菌糸体を粉末化する方法として、特開平10−287584号公報に開示されたものが公知である。
【特許文献1】特開平10−287584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アガリスク茸を始めとする茸類の菌糸体は、細胞壁が強固に結合しているので非常に硬く、そのため細胞に含まれる有効成分である多糖類「β−D(1−3)、(1−6)グルカン」等、多糖体のほとんどは、そのまま食べたり、飲んだりしても、消化吸収されないまま、体外に排出されていた。そのため、従来、前記細胞壁を破砕する方法が種々試みられている。
【0004】
前記特許文献1に記載されたアガリスク茸の菌糸体を粉末化する方法は、アガリスク茸の菌糸体をヘミセルラーゼが主体の酵素剤で分解処理するものである。前記酵素剤により処理する方法では、酸素と反応する時間の把握が難しく、例えば、反応時間を短く設定すると、細胞壁が溶けず、また時間を長く設定すると、細胞壁が溶けると同時に、菌糸体内の有効成分も溶解されてしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたもので、粒子状に破砕された、アガリスク茸を含む茸類の菌糸体粒子と、電解還元水、アルカリイオン水、ミネラルウォーターまたは純水のいずれかの水とを混合した流状物を、超微粒子化装置に圧送して、該流状物中の菌糸体粒子同士を高圧で衝突させて菌糸体の細胞壁を破砕して、菌糸体全体を、例えば、ナノメーターサイズにまで超微粒子化すると共に、該超微粒子化された菌糸体粒子から菌糸体成分を前記流状物中に抽出し、然る後、該流状物を乾燥機により乾燥させて、前記流状物中の水分を蒸発させて除去し、菌糸体中の多糖類等の有効成分の破壊を防いで、前記抽出された菌糸体成分を乾燥菌糸体成分として取出すことができる茸類の菌糸体加工方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、微粒子状に破砕された茸類の菌糸体粒子と、水道水、または天然水を電解して得られた電解還元水、あるいは、アルカリイオン水、ミネラルウォーターまたは純水のいずれかの水とを混合した流状物を、超微粒子化装置に圧送して、該流状物中の菌糸体粒子同士を高圧で衝突させて菌糸体の細胞壁を破砕して、菌糸体全体を、例えば、ナノメーターサイズにまで超微粒子化すると共に、該超微粒子化された菌糸体粒子から菌糸体成分を前記流状物中に抽出し、然る後、該流状物を乾燥機により乾燥させて、前記流状物中の水分を蒸発させて除去し、前記抽出された菌糸体成分を乾燥菌糸体成分として取出すという加工方法を採用することにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0007】
本発明の茸類の菌糸体加工方法によれば、菌糸体粒子と、水道水、または天然水を電解して得られた塩素を含まず、酸化還元電位が200mV以下であって、且つ活性水素を含む特性を有する電解還元水、あるいはアルカリイオン水、ミネラルウォーターまたは純水のいずれかの水とを混合した流状物を超微粒子化装置に高圧で圧送して、前記菌糸体粒子同士を高圧のもとで衝突させて、菌糸体の細胞壁を破砕して菌糸体全体を、例えば、ナノメーターサイズにまで超微粒子化すると共に、該超微粒子化された菌糸体粒子中の菌糸体成分を前記流状物中に溶出して抽出し、然る後、該流状物を乾燥機により乾燥させて、前記流状物中の水分を蒸発させて除去し、菌糸体中の多糖類等の有効成分の熱による破壊を防いで、乾燥菌糸体成分として取出すことができる。そして、前記取出された乾燥菌糸体成分を粉末状、または顆粒状等とすることにより、健康食品として採取すると、従来の菌糸体粒子に比して超微粒子化されているので、人体への吸収性が高く、菌糸体の有効成分を効率よく人体に吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
水道水、または天然水を電解して得られた塩素を含まず、酸化還元電位が200mV以下であって、且つ活性水素を含む特性を有する電解還元水、あるいは塩素を含まないアルカリイオン水、ミネラルウォーターまたは純水のいずれかの水に、微粒子状の菌糸体粒子を所定量添加混入して菌糸体粒子を含む流状物とし、これを超微粒子化装置に高圧で圧送して、前記菌糸体粒子同士を高圧のもとで衝突させて、菌糸体の細胞壁を破砕して菌糸体全体を、例えば、ナノメーターサイズにまで超微粒子化すると共に、該超微粒子化された菌糸体粒子中の菌糸体成分を前記流状物中に溶出して抽出し、然る後、超微粒子化した菌糸体粒子を含む流状物を乾燥機により乾燥させて、前記流状物中の水分を蒸発させて除去し、前記抽出された菌糸体成分を乾燥菌糸体成分として取出すことにより、菌糸体中の多糖類等の有効成分の破壊を防いで、菌糸体の内容成分を抽出可能とした。
【実施例1】
【0009】
本発明の実施例1による茸類の菌糸体加工方法について、詳細に説明する。実施例1による茸類の菌糸体加工方法は、塩素を含まず、酸化還元電位が200mV以下であって、且つ活性水素を含む特性を有する電解還元水を使用する加工方法である。そして、本発明において使用することができるのは、アガリスク茸、メシマコブ茸、キコブ茸、チャユカイオラ茸、松茸、椎茸、カワラ茸、ヒラ茸、コフキサルノコシカケ、フオサルノコシカケ、ベッコウ茸、ナメコ茸、エノキ茸、霊芝茸等の茸類の菌糸体である。前記原料となる菌糸体は、茸類の子実体から分離されたものであって、該菌糸体は、有効成分である多糖類「β−D(1−3)、(1−6)グルカン」等の含有量が、子実体の約50倍も含まれている。そして、以下に説明する加工方法は、前記各茸類に適用できるものである。
【0010】
本発明の実施例1による茸類の菌糸体加工方法の第1工程は、菌糸体の洗浄工程である。すなわち、第1工程は、茸類の子実体から分離された菌糸体は、汚れが付着したり、ゴミ等の異物が混入しているので、これを水中に投入して洗浄し、汚れやゴミ等の異物を除去する工程である。
【0011】
本発明の実施例1による茸類の菌糸体加工方法の第2工程は、元々水分を含んでいると共に、前記洗浄工程で洗浄されて更に水分を含む状態となった菌糸体を乾燥させる乾燥工程である。乾燥方法としては、焙煎機やスプレードライヤー等を用いた加熱乾燥、低温乾燥機を用いた低温乾燥、またはフリーズドライによる凍結乾燥等、前記乾燥機を用いてのいずれの乾燥方法も、本発明に採用することができるが、ビタミン等の有効成分の劣化を防止するためには、好ましくは低温乾燥機による低温乾燥、またはフリーズドライによる凍結乾燥が推奨される。
【0012】
本発明の実施例1による茸類の菌糸体加工方法の第3工程は、前記第2工程で乾燥した菌糸体の粉砕および殺菌工程である。すなわち、第3工程は、前記第2工程を経た菌糸体は、長さおよび太さが一定せず、このままでは本発明では採用できないので、例えば、ハンマーミル等の乾式粉砕機により粉砕して、特に限定する必要はないが、好ましくは、50μm程度の微粒子状になるよう粉砕し、然る後、該微粒子状の菌糸体を、例えば、紫外線殺菌ラインに投入して、前記粉砕した菌糸体粒子を殺菌する工程である。
【0013】
本発明の実施例1による茸類の菌糸体加工方法の第4工程は、流状物化工程である。すなわち、第4工程は、前記粉砕および殺菌工程を経た菌糸体粒子を、例えばふるいにかけて、粒径50μm以下の菌糸体粒子を取出し、然る後、前記菌糸体粒子15〜25重量%、好ましくは20重量%を、水道水、または天然水を電解して得られた、塩素を含まず、酸化還元電位が200mV以下であって、且つ活性水素を含む特性を有する電解還元水75〜85重量%、好ましくは80重量%中に添加混入して混合攪拌し、該混合液の調整を行ない、前記菌糸体粒子が、前記電解還元水中に均等に分散するよう調整して、菌糸体粒子と前記電解還元水との流状物とする工程である。
【0014】
なお、本発明において、前記電解還元水を使用するのは、特に水道水の場合、水道水に含まれている塩素によって酸化されて、菌糸体成分が劣化するのを防止すると共に、不純物の混入を防止するためであり、更にまた菌糸体粒子の衝突時に発生する活性酸素を水道水、または天然水を電解して得られた電解還元水が保有する活性水素で除去することにより、菌糸体成分の劣化を防止して、高品質の菌糸体成分を得るためである。
【0015】
本発明で使用する電解還元水としては、特に限定する必要はないが、好ましくは、例えば日本トリム株式会社製の電解還元水整水器である「トリムイオンTI−8000」を使用して水道水を電解して生成された、電解酸性水と電解還元水のうち、電解還元水を使用する。前記「トリムイオンTI−8000」により生成された電解還元水は、pH9.6程度のアルカリ性で、酸化還元電位が−274mV程度で、且つ活性水素を含んでいることが知られている。
【0016】
前記「電解還元水」は、チタンに白金焼成した電極板を用いて水道水を電気分解して得られた水であって、還元力を持つ活性水素を豊富に含む水で、その結果さまざまな活性酸素を消去する力を持った水である。
【0017】
通常、水素原子(H)が2個結合して水素分子(H)として存在しているのが普通であるが、水素が分子として存在せず、原子で存在しているのが活性水素である。
【0018】
一方、活性酸素は、様々な病気を引き起こすと考えられ、その強い酸化力から清浄な細胞を破壊し、病気や老化の原因となる。活性酸素は通常の酸素より電子が1つ少ない電気的に不安定な状態となり、正常な細胞から電子を奪おう(酸化)とする。このように、電子を奪われた細胞は、酸化され死滅する。
【0019】
そして、活性水素は、前記のように、水素が原子状態となることによって、電気的に不安定であるが、該活性水素が様々な病気の原因となる電気的に不安定な活性酸素と結びつき、無害な(H+O=HO)となって体外へ排出されることとなる。すなわち、活性水素は活性酸素を消去する能力がある。
【0020】
本発明の実施例1による茸類の菌糸体加工方法の第5工程は、菌糸体粒子の細胞壁の破砕・菌糸体成分の抽出工程である。すなわち、第5工程は、前記工程で得られた前記菌糸体粒子と前記電解還元水との流状物を、従来公知の超微粒子化装置に投入して、前記流状物中の菌糸体粒子全体を、好ましくは、例えば、ナノメーターサイズにまで超微粒子化して細胞壁を破砕すると共に、該細胞壁で包まれていた菌糸体中の菌糸体成分を抽出する工程である。
【0021】
前記超微粒子化装置としては、従来公知の装置を使用することができる。本発明においては、特に限定する必要はないが、好ましくは、例えば図1〜図8に示す、特許第2788010号として従来公知の「乳化装置」を、本発明の菌糸体加工方法の超微粒子化装置として使用することが推奨される。
【0022】
すなわち、超微粒子化装置Mは、図1に示すように、前記流状物の供給タンク11と、該流状物を加圧する高圧ポンプ12と、該高圧ポンプ12より圧送された流状物中の菌糸体粒子同士を高圧のもとで衝突させて菌糸体の細胞壁を破砕して、該細胞壁を含む菌糸体全体を、好ましくは、例えば、ナノメーターサイズにまで超微粒子化して菌糸体成分を抽出する超微粒子化部材13と、該超微粒子化部材13から排出された細胞壁を破砕されて超微粒子化された菌糸体成分を含む流状物を貯留する貯留槽14とにより構成されている。
【0023】
前記超微粒子化部材13は、ケーシング15内において、第1円板16、第2円板17が密着固定して収納されており、これらの円板16・17には、板面に前記流状物が通過可能な幅の透孔16a・16bおよび17a・17bと、該透孔16a・16bおよび17a・17bを連結するスリット状の案内溝16c・17cがそれぞれ形成され、これらによって後述する流入路18、案内路19、混合室20および流出路21が形成される。
【0024】
前記第1・第2円板16・17を図2〜図6を参照しつつ説明すると、各円板16・17は焼結ダイヤ、単結晶ダイヤ等の耐摩耗性に富む材料によって同径に形成されている。
【0025】
前記第1円板16は、図2、図3および図6に示すように、板面中心に対して上下対称位置に同径の流入用の透孔16a・16bが貫通形成され、また、第2円板17との密着面に前記透孔16a・16bの対面する端部側を連通する第1案内溝16cが刻設されている。
【0026】
前記第2円板17は、図3〜図7に示すように、前記第1円板16との密着対向面に、該第1円板16の前記第1案内溝16cと直交するよう第2案内溝17cが刻設されると共に、該第2案内溝17cの両端に同径の流出用の透孔17a・17bが貫通形成されている。
【0027】
前記構成より成る第1・第2円板16・17は、第1案内溝16cと第2案内溝17cとが十字状に直交するように密に重合して、第1円筒体22と第2円筒体23とをボルト24により一体に連結して形成されたケーシング15内に収納固定されて、超微粒子化部材13が形成される。そして、前記ケーシング15を構成する第1円筒体22の一方側の開口部22aが前記高圧ポンプ12に連結されると共に、第2円筒体23の他方側の開口部23aが前記貯留槽14に連結されている。
【0028】
前記ケーシング15内において、密に重合固定された第1円板16と第2円板17の第1案内溝16cと第2案内溝17cは十字状に直交して、前記第1・第2円板16・17の中心部に混合室20を形成する。また、前記流入用の透孔16a・16bは流入路18を、第1案内溝16cは中心に向かう案内路19を、更に第2案内溝17cと流出用の透孔17a・17bは流出路21をそれぞれ形成する。従って、図8に示すように、流入路18、案内路19、混合室20および流出路21の順序で、前記流状物が流れる液体通路が形成される。
【0029】
なお、図中、16d・17dは、それぞれの第1・第2円板16・17に設けた位置決め用透孔であって、該第1・第2円板16・17を密着重合して固定するときに、前記各位置決め用透孔16d・17dを貫通できるように重合して、図示していないピン等を該各位置決め用透孔16d・17dに貫通固定することにより、前記第1・第2案内溝16c・17cは、正確に十字状に直交して、該第1・第2円板16・17を固定することができる。
【0030】
前記構成より成る超微粒子化装置Mの作用について説明すると、供給タンク11内に投入された前記菌糸体粒子を含む流状物を、130Mpa程度の圧力で、高圧ポンプ12により超微粒子化部材13を構成するケーシング15の一方側の開口部22aに圧送する。前記一方側の開口部22aに圧送された流状物は、第1円板16の2個の流入用の透孔16a・16bより高速となって流入し、更に、前記流入用の透孔16a・16bと第1案内溝16cの両端部とで形成される流入路18に高速流となって流れ、次いで、前記第2円板17の板面と第1案内溝16cとで形成された、圧送方向が対向する案内路19・19へとそれぞれ流れ方向が変換する。
【0031】
そして、第1案内溝16cと第2案内溝17cとの直交する中心部に形成された混合室20において、圧送方向が対向する前記流状物の2つの流れが激しく衝突することにより、該流状物中の菌糸体粒子同士が衝突し、十字状に直交した第2案内溝17cに90度方向を変える際、該流状物が衝突、乱流し、更に前記第2案内溝17cの壁面に衝突して、キャビテーション(空洞化現象)が発生する。
【0032】
そして、このキャビテーションの空洞部が崩壊すると共に、局所的に非常に高い圧力差が引き起こされ、前記流状物中の固体粒子(菌糸体粒子)を破砕する。この固体粒子破砕現象は、数マイクロ秒という極めて短い時間内に生じ、流状物に瞬時に強大なエネルギーが加わり、このエネルギーにより菌糸体粒子全体を超微粒子化して、各菌糸体粒子中の菌糸体成分の抽出が行われる。
【0033】
前記菌糸体粒子を含む流状物が高圧で衝突して、流状物に瞬時に強大なエネルギーが加わると、水分子が分解してOHラジカルのような強力な活性酸素が発生し、該活性酸素が菌糸体成分と反応して菌糸体成分が劣化してしまう。そこで、本発明においては、活性水素を含む電解還元水を使用しているので、前記超微粒子化作業で発生した活性酸素を活性水素で消去することにより、菌糸体成分の劣化を防止している。
【0034】
前記のように、菌糸体の細胞壁を含む菌糸体粒子全体を超微粒子化すると共に、細胞壁が破砕されることにより、菌糸体成分が抽出された流状物は、第2案内溝17cと第1円板16の板面および流出用の透孔17a・17bとで形成された流出路21に、前記ケーシング15の他方側の開口部23aを経て無理なく排出され、貯留槽14に貯留される。前記流出路21を通過する間にも流状物は、第2案内溝17cの壁面、すなわち混合室20と対向する部位の壁面および流出用の透孔17a・17bと連通する端部壁面に衝突して超微粒子化が更に進行する。
【0035】
すなわち、超微粒子化装置Mは、流状物の流路に2つの円板16・17を密に重合固定して配設し、該各円板16・17の重合面に形成したスリット状の案内溝16c・17cに流状物を通過させて、その流れの方向を変えつつ、壁面との衝突および流状物中の菌糸体粒子同士の衝突を行うようにして、菌糸体粒子の細胞壁を破砕すると共に、該細胞壁を含む菌糸体粒子全体を超微粒子化し、ケーシング15外へ排出して貯留槽14に貯留される。
【0036】
前記超微粒子化装置Mに投入された菌糸体粒子の超微粒子化が所定の粒径、例えばナノメーターサイズにまで達しない場合は、一旦貯留槽14に貯留された流状物を、前記高圧ポンプ12により開口部12aに圧送して、複数回超微粒子化装置Mに投入して、超微粒子化工程を繰返すことにより、所定の粒径にまで超微粒子化された菌糸体粒子を得ることができる。
【0037】
なお、前記複数回に亘って超微粒子化工程を繰返す場合、超微粒子化されて行くに従って菌糸体粒子全体の表面積が大きくなることにより、水分比率が減少するため、スムーズに前記開口部12aに圧送できず目詰まりを起こす虞れもあり、更に、前記活性水素は短時間で消滅してしまうので、必要であれば、新たに前記電解還元水を少量、例えば2〜10重量%、好ましくは5重量%程度を前記流状物中に追加混入して、水分比率を高めて前記開口部12aへのスムーズな圧送を図ると共に、新たに追加混入された電解還元水の活性水素で、新たな超微粒子化工程により再度発生した活性酸素を消去するようにして超微粒子化してもよい。
【0038】
更に、前記超微粒子化された菌糸体粒子は、前記電解還元水がpH9〜10程度のアルカリ性である場合、更に菌糸体成分の抽出効率が高められ、前記菌糸体粒子中の菌糸体成分がほとんど流状物中に抽出される。
【0039】
本発明の実施例1による茸類の菌糸体加工方法の第6工程は、乾燥工程である。すなわち、第6工程は、前記第5工程で、超微粒子化された菌糸体粒子から菌糸体成分を抽出した流状物を、乾燥機により乾燥させて、前記流状物中の水分を蒸発させて除去し、前記抽出された菌糸体成分を塊状の乾燥菌糸体成分として取出す工程である。
【0040】
本発明菌糸体加工方法の第6工程における乾燥方法としては、焙煎機やスプレードライヤー等を用いた加熱乾燥、低温乾燥機を用いた低温乾燥、またはフリーズドライによる凍結乾燥等、前記乾燥機を用いてのいずれの乾燥方法も採用することができるが、ビタミン等の有効成分の劣化を防止するためには、好ましくは低温乾燥機による低温乾燥、またはフリーズドライによる凍結乾燥が推奨される。
【0041】
本発明の実施例1による茸類の菌糸体加工方法の第7工程は、乾燥菌糸体成分の解砕工程である。すなわち、第7工程は、前記第6工程の乾燥工程を経た水分が蒸発した後の乾燥菌糸体成分は塊状となっているので、該乾燥菌糸体成分を粉末状の最終製品、あるいは打錠して錠剤状等の最終製品とするため、前記塊状の乾燥菌糸体成分を細かくする解砕は、粉砕機等を用いて所定の粒径とする。
【0042】
前記第7工程終了後は、例えば、前記超微粒子化された菌糸体粒子100%の健康食品とする場合は、超微粒子化された菌糸体粒子をそのまま包装したり、あるいは、超微粒子化された菌糸体粒子に他の成分を添加混入して健康食品とする場合、例えば、打錠機により打錠して錠剤状の製品とする。
【実施例2】
【0043】
次に、本発明の実施例2による菌糸体加工方法は、前記実施例1において使用する電解還元水に代えて、塩素を含まないアルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水のいずれかの水を使用するものである。水道水のように塩素を含んだ水を使用すると、該塩素によって菌糸体成分が酸化されて劣化するので、その劣化を防止すると共に、不純物の混入を防止して、高品質の菌糸体成分を得るために、前記塩素を含まないアルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水のいずれかの水を使用するのである。
【0044】
前記アルカリイオン水は、一般に市販されているアルカリイオン水生成器を使用して水道水を電気分解して生成されたマイナス側の水で、好ましくはpH9〜10程度のアルカリ性であることが推奨され、これを使用することにより、菌糸体成分の抽出効率が高められる。またミネラルウォーターは市販されているものを使用し、更に純水は純水製造装置により製造されたものを使用する。
【0045】
そして、実施例2による菌糸体加工方法としては、実施例1の菌糸体加工方法とは、第5工程が少し異なるだけで、その他の工程は同一である。すなわち、実施例2における第5工程は、実施例1の電解還元水が水道水、または天然水を電解して得られた塩素を含まず、酸化還元電位が200mV以下であって、且つ活性水素を含む水であるのに対し、実施例2において使用するアルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水は、活性水素を含まない水であるため、菌糸体粒子を含む流状物の衝突時に発生する活性酸素を実施例1におけるように消去する作用がないが、品質的には実施例1のものに比して多少劣るだけで、食品として使用しても何等遜色がない。
【0046】
なお、実施例2においても、前記実施例1と同様に、所定の粒径の菌糸体粒子を得るまで、複数回に亘って超微粒子化工程を繰返す場合、超微粒子化されて行くに従って菌糸体粒子全体の表面積が大きくなることにより、水分比率が減少するため、スムーズに前記開口部12aに圧送できず目詰まりを起こす虞れもあるため、必要であれば、新たに前記アルカリイオン水、ミネラルウォーターあるいは純水を少量、例えば2〜10重量%、好ましくは5重量%程度を前記流状物中に追加混入して、水分比率を高めて前記開口部12aへのスムーズな圧送を図り、超微粒子化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明菌糸体加工方法において使用する超微粒子化装置の全体的システム図である。
【図2】本発明菌糸体加工方法において使用する超微粒子化装置の概略縦断面図である。
【図3】本発明菌糸体加工方法において使用する超微粒子化装置を構成する第1円板の右側面図である。
【図4】図3のA−A縦断面図である。
【図5】本発明菌糸体加工方法において使用する超微粒子化装置を構成する第2円板の左側面図である。
【図6】図5のB−B縦断面図である。
【図7】本発明菌糸体加工方法において使用する超微粒子化装置を構成する第1円板と、第2円板の斜視図である。
【図8】本発明菌糸体加工方法において使用する超微粒子化装置の要部の縦断面図である。
【符号の説明】
【0048】
M: 超微粒子化装置
13: 超微粒子化部部材
16: 第1円板
16a・16b: 透孔
16c: 第1案内溝
17: 第2円板
17a・17b: 透孔
17c: 第2案内溝
36: 第1円板
36a: 透孔
36c: 案内溝
37: 第2円板
37a: 透孔
37c: 案内溝


【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子状に破砕された茸類の菌糸体粒子と、水道水、または天然水を電解して得られた電解還元水、あるいは、アルカリイオン水、ミネラルウォーターまたは純水のいずれかの水とを混合した流状物を、超微粒子化装置に圧送して、該流状物中の菌糸体粒子同士を高圧で衝突させて菌糸体の細胞壁を破砕して、菌糸体全体を超微粒子化すると共に、該超微粒子化された菌糸体粒子から菌糸体成分を前記流状物中に抽出し、然る後、該流状物を乾燥機により乾燥させて、前記流状物中の水分を蒸発させて除去し、前記抽出された菌糸体成分を乾燥菌糸体成分として取出すことを特徴とする茸類の菌糸体加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−115833(P2006−115833A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202594(P2005−202594)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(503158671)
【Fターム(参考)】