説明

草刈機

【課題】トラクタに装着する装着部と草刈り作業を行う作業部の間を接続するジョイントの折れ角を緩和することのできる草刈機を提供することを目的とする。
【解決手段】トラクタ200に装着する装着部110と、装着部110とオフセット可能に連結され草刈作業を行う作業部150と、トラクタ200からの動力を装着部110と作業部150間で伝達するジョイントとを備え、作業部150は、ジョイント140と接続される入力軸161と、入力軸161を保持するミッションケース165と、草刈爪176を具備しミッションケース165から動力が伝達されて回転する草刈軸175と、草刈軸175の上部を覆うカバー151とを有し、ミッションケース165は、カバー151の前後方向における中央部分151aより後方の上部に配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈機に関し、特に、トラクタに装着する装着部と草刈り作業を行う作業部の間を接続するジョイントの折れ角を緩和することのできる草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の草刈機について説明する。
【0003】
図6は、従来の草刈機の例を示す平面図であり、図7は、同じく側面図である。従来の草刈機100は、装着部110と作業部150とこれらの間を連結するアーム120、125や取付部材130、ジョイント140等によって構成されている。装着部110を図示を省略したトラクタ200の後部に装着して作業部150で草刈作業を行う。
【0004】
トラクタ200からの動力は、装着部110に取り付けられる第1入力軸115、ジョイント140、作業部150側の第2入力軸161とに伝達される。ジョイント140は、第1入力軸115と第2入力軸161の間に取り付けられている。第2入力軸161は、カバー151上のミッションケース165に保持されており、ミッションケース165より前方に突出してジョイント140に連結されている。第2入力軸161からの動力は、ミッションケース165内のベベルギア162、163、駆動軸164を介して作業部150の側部に送られる。
【0005】
ミッションケース165の位置は、カバー151上の一番高い中央部分151aに設置されている。この部分は、草刈軸175の回転中心のほぼ上側に位置している。駆動軸164の回転中心軸は、少なくとも、草刈軸175の回転中心よりも前側(装着部110側)に位置している。また、横方向について、ミッションケース165は、オフセット時のジョイント140の折れ角を考慮して、左側端部付近に設置されている。
【0006】
伝達された動力は、作業部150の側部のベルトカバー152内で、第1プーリー170、ベルト171、第2プーリー172を介して、カバー151下部の横方向に配置された草刈軸175へ伝達される。草刈軸175には、草刈爪176が取り付けられており、草刈軸175を回転させると、地面上の草をカットしていく。このとき、後方のローラ159を接地して作業機を地面に受けることができる。
【0007】
第1アーム120と第2アーム125は、装着部110に備える取付部111と、作業部150側とに取り付けられる取付部材130の間に、それぞれ水平方向に回動可能に支持される。これら2つのアームにより平行リンクを形成している。
【0008】
図8は、従来の草刈機のオフセット移動の状態例を示す平面図である。図8に示すように、オフセットシリンダ128を作動させると平行リンクが動き、装着部110に対して、作業部150の位置を横方向に変化させることができる。
【0009】
また、動力はジョイント140により作業部150の位置が変わっても一定範囲内であれば伝達でき、トラクタ200に対しての作業部150の位置を変更して作業可能となる。ジョイント140は、継手構造を有する2箇所の折れ部141、142で角度を変更でき、これらの間の中央部143では、スライド構造により長さ変更が可能となっている。このため、回転中心軸がずれた2つの軸間(第1入力軸115、第2入力軸161)で動力を伝達可能となっている。そして、一定範囲内(例えば、折れ部142の折れ角Aが一定角度以内)でこれらの軸間の位置や方向を変更しても動力を伝達できるようになっている。
【0010】
また、特許文献1には、作業部の水平回動により、走行機の前進による側方作業と後進による後方作業ができる草刈取り装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−11796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したようにジョイントは、折れ角(図6のA)には制限があり、さらに、折れ角が小さいほど、ジョイントにかかる振動や負荷が少なくなり耐久性が増す。このため、従来と同じ状態でジョイントの折れ角を緩和できれば、様々な利点を有する。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに装着する装着部と草刈り作業を行う作業部の間を接続するジョイントの折れ角を緩和することのできる草刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の草刈機は、トラクタに装着して草刈作業を行う草刈機において、トラクタに装着する装着部と、前記装着部とオフセット可能に連結され草刈作業を行う作業部と、前記トラクタからの動力を前記装着部と前記作業部間で伝達する動力伝達部材とを備え、前記作業部は、前記動力伝達部材と接続される入力軸と、前記入力軸を保持するミッションケースと、草刈爪を具備し前記ミッションケースから動力が伝達されて回転する草刈軸と、前記草刈軸の上部を覆うカバーとを有し、前記ミッションケースは、前記カバーの前後方向における中央部分より後方の上部に配置していることを特徴とする。
【0015】
さらに本発明の草刈機は、前記装着部と前記作業部は、2本のアームによる平行リンクを介してオフセット可能に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、草刈機において、トラクタに装着する装着部と草刈り作業を行う作業部の間を接続する動力伝達部材であるジョイントの折れ角を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1の草刈機を示す平面図である。
【図2】本発明の実施例1の草刈機を示す側面図である。
【図3】本発明の実施例1の草刈機のオフセット移動の状態例を示す平面図である。
【図4】本発明の実施例2の草刈機を示す平面図である。
【図5】本発明の実施例2の草刈機と従来例の草刈機の比較を示す平面図である。
【図6】従来の草刈機の例を示す平面図である。
【図7】従来の草刈機の例を示す側面図である。
【図8】従来の草刈機のオフセット移動の状態例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施例1の草刈機を示す平面図である。図2は、本発明の実施例1の草刈機を示す側面図である。図3は、本発明の実施例1の草刈機のオフセット移動の状態例を示す平面図である。実施例1では、図6〜図8で示した従来例と異なる点について説明し、同一の箇所には同一の符号を付してある。実施例1は、従来例と異なる部分は、第2入力軸161の位置が異なり、ミッションケース165の取り付けが変更される。
【0020】
図2に示すように、カバー151は、草刈爪176が装着された草刈軸175の上部を覆い、草刈軸175の回転中心のほぼ上部に位置する一番高い(前後方向における)中央部分151aがあり、その後方に後部傾斜部151bを有しており下側に傾斜している。また、中央部分151aの前方も下側に傾斜した傾斜部となっている。これは、カバー151が草刈爪176の回転時の外周177に沿わせた形状となっているためである。
【0021】
そして、この後部傾斜部151bの上に、ミッションケース取付板66を取り付け、その上に、ミッションケース165を固定する。これにより、ミッションケース165は、少なくとも、中央部分151a、すなわちカバー151の頂点部よりは後ろに配置され、第2入力軸161の位置が従来例より後方に位置する。また、駆動軸164の回転中心軸が、草刈軸175の回転中心より後方に位置していることになる。なお、カバー151は、図2では、中央部分151aや後部傾斜部151bは平らな面で示してあるが、湾曲した形状でも同様に適用可能である。
【0022】
これらの構成により、作業部150の横方向のオフセット量が同じ場合、第1入力軸115と、第2入力軸161の前後方向の距離(図1では上下方向の距離)が少なくとも数十mm以上は長くなり、図1に示すジョイント140の折れ角Bは、従来の図6で示された折れ角Aよりも小さい値となる。これにより、この位置で作業する場合のジョイント140の耐久性を増すことができる。また、同じ耐久性なら、ジョイントの小型化も可能となる。
【0023】
なお、ミッションケース165は、カバー151の側面に接続される側板57にも固定して固定強度を保ってもよい。また、ミッションケース165の位置の変更に応じて、ベルト71やベルトカバー52は従来例と変更される。
【実施例2】
【0024】
図4は、本発明の実施例2の草刈機を示す平面図である。図5は、本発明の実施例2の草刈機と従来例の草刈機の比較を示す平面図である。実施例2では、実施例1と異なる点について説明し、同一の箇所には同一の符号を付してある。実施例2は、第1アーム20、第2アーム25の長さを短くした点が実施例1と異なる。ミッションケース165の取り付けは実施例1と同様である。
【0025】
本実施例では、従来例と同じ横方向のオフセット量において、ジョイント140の折れ角Aを従来例と同じにするように第1アーム20、第2アーム25の長さを短くする。このようにすることで、図5に示すように、横方向は同じ位置でCの距離だけ本実施例の作業部150が従来例より前に来る。このCの距離は、第2入力軸161が従来例より後方に移動した距離と同じ距離となる。
【0026】
これにより、作業部150の位置が前に来るので、トラクタとの重量バランスがよくなり、同じトラクタに対して大きな草刈機も装着することが可能となる。
【0027】
以上、実施例1と実施例2では、平行リンクについて述べたが、これ以外に、平行リンクの一方のアームの長さを変更したリンクでも本発明は適用可能である。また、ジョイント140は、例えば、ユニバーサルジョイントやドライブシャフト等の角度が変化し伸縮が可能な動力伝達部材であればよい。
【符号の説明】
【0028】
20、120 第1アーム
25、125 第2アーム
66 ミッションケース取付板
110 装着部
115 第1入力軸
128 オフセットシリンダ
140 ジョイント
150 作業部
151 カバー
151a 中央部分
151b 後部傾斜部
161 第2入力軸
164 駆動軸
165 ミッションケース
175 草刈軸
176 草刈爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着して草刈作業を行う草刈機において、
トラクタに装着する装着部と、前記装着部とオフセット可能に連結され草刈作業を行う作業部と、前記トラクタからの動力を前記装着部と前記作業部間で伝達する動力伝達部材とを備え、
前記作業部は、前記動力伝達部材と接続される入力軸と、前記入力軸を保持するミッションケースと、草刈爪を具備し前記ミッションケースから動力が伝達されて回転する草刈軸と、前記草刈軸の上部を覆うカバーとを有し、
前記ミッションケースは、前記カバーの前後方向における中央部分より後方の上部に配置していることを特徴とする草刈機。
【請求項2】
請求項1記載の草刈機において、
前記装着部と前記作業部は、2本のアームによる平行リンクを介してオフセット可能に連結されていることを特徴とする草刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−39941(P2012−39941A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184049(P2010−184049)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】