説明

荷役車両

【課題】 コンテナの積み降ろし作業中にコンテナの前部が可動バンパに接触するのを防止することができる荷役車両を提供することを目的とする。
【解決手段】 固定バンパ10の車幅方向両側に配置された左右一対の可動バンパ11を、バンパシリンダ41により前後回動可能とする。コンテナCの積み降ろし作業時に降ろしスイッチ63を操作すると、フックアーム5bを後方回動させるとともに、バンパシリンダ41を収縮動作させて可動バンパ11を格納位置に移動させ、コンテナCの前壁Cdおよび脚部Cbが可動バンパ11と接触するのを回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンテナを積み降ろしすることができる荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の荷役車両は、車体フレームに荷役アームが前後回動可能に設けられており、この荷役アームの先部には、コンテナの前部に設けられた係合部に係脱可能なフックが設けられている(例えば、特許文献1参照)。この荷役車両は、図22および図23実線で示すように、荷役車両100をコンテナ200の前方に縦列停車し、荷役アーム101のフック102をコンテナ200の係合部201に係合させた状態から荷役アーム101を前方回動させることにより、コンテナ200を車体フレーム103上に積み込むことができる。また、この積み込み状態から荷役アーム101を後方回動させれば、コンテナ200を荷役車両100後方の地上に降ろすことができる。
また、荷役アーム101は、後方回動位置において、フック102が車体フレーム103の後方に突出したリヤバンパ104よりも、さらに後方に位置するまで回動させるようになっている(例えば、特許文献2参照)。これにより、コンテナ200の積み降ろし作業中に、コンテナ200前部の前壁202や脚部203,204がリヤバンパ104に接触して当該リヤバンパ104が破損するのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−56397号公報
【特許文献2】特開2006−96066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンテナ200の積み降ろし場所によっては、荷役車両100をコンテナ200の前方に縦列停車するスペースを確保することができない場合がある。この場合は、図23二点鎖線に示すように荷役アーム101を後方回動させた状態で荷役車両100をコンテナ200の斜め前方位置に停車してコンテナ200の積み降ろし作業を行うことが一般的に行われている。
しかし、荷役車両100をコンテナ200の斜め前方位置に停車させると、コンテナ200前部の前壁202の一側部や脚部203が、リヤバンパ104の車幅方向の外端部(図23下側)に接近した状態となる。このため、コンテナ200の積み降ろし作業をする際に、コンテナ200の前壁202や脚部203がリヤバンパ104に更に接近することによりリヤバンパ104の外端部に接触し、リヤバンパ104が破損するという問題があった。
【0005】
そこで、本願出願人は、リヤバンパを固定バンパと可動バンパとにより構成し、コンテナの積み降ろし作業をする際に、固定バンパの車幅方向の外側方に配置されている可動バンパを、コンテナの前部と非接触となる格納位置に移動可能とした荷役車両を既に提案している(特願 2008−219837号)。
しかしながら、上記荷役車両にあっては、手動により可動バンパを格納位置へ移動させているため、コンテナの積み降ろし作業をする際に、可動パンパの移動操作を忘れると、依然として可動バンパがコンテナの前壁等に接触して破損するという問題があった。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、コンテナの積み降ろし作業中にコンテナの前部が可動バンパに接触するのを防止することができる荷役車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明の荷役車両は、前部に係合部を有するコンテナを搭載可能な車体フレームと、前記車体フレーム側に基端部が前後回動可能に取り付けられているとともに、先端部に前記係合部に係脱可能なフックを有する荷役アームと、前記フックを前記係合部に係合させた状態で前記荷役アームを前後回動させることにより前記コンテナを前記車体フレーム上と当該車体フレーム後方の地上との間で積み降ろしするための荷役駆動手段と、前記車体フレームの後方に突出した状態で当該車体フレームに固定されている固定バンパ、および前記固定バンパの車幅方向の外側方に配置される張出位置と積み降ろし作業中の前記コンテナの前部と非接触となる格納位置との間で移動可能な可動バンパを有するリヤバンパと、を備えた荷役車両であって、前記可動バンパを前記張出位置と前記格納位置との間で移動させるバンパ駆動手段と、前記荷役アームを回動させるための操作指令を出力する荷役操作手段と、前記荷役操作手段により前記荷役アームを後方回動させるための操作指令が出力されると、前記バンパ駆動手段を駆動させて前記可動バンパを前記格納位置に移動させる制御装置と、を備えているものである。
【0007】
この構成によれば、荷役操作手段により荷役アームを後方回動させる操作指令が出力されると、可動バンパを自動的に格納位置に移動させることができるので、荷役アームを後方回動させたときにコンテナの前部が可動バンパに接触するのを防止することができる。したがって、コンテナの積み降ろし作業中に、コンテナの前部が可動バンパに接触して可動バンパが破損するのを防止することができる。
【0008】
また、前記制御装置は、前記バンパ駆動手段を駆動させながら、前記荷役駆動手段を駆動させて前記荷役アームを後方回動させることが好ましい。
これによれば、可動バンパを格納位置に移動させながら、荷役アームを後方回動させることができるので、コンテナの積み降ろし作業を迅速に行うことができる。
【0009】
また、前記荷役車両は、前記荷役アームが、積み込み作業中の前記コンテナの前部と前記可動バンパとが非接触となる回動範囲内にあることを検知する回動位置検知手段をさらに備え、前記制御装置は、前記荷役操作手段により前記荷役アームを前方回動させるための操作指令が出力され、かつ前記回動位置検知手段が検知状態のときに、前記可動バンパを前記張出位置に移動させるように前記バンパ駆動手段を駆動させるのが好ましい。
これによれば、荷役アームがコンテナの前部と可動バンパとが非接触となる回動範囲内で前方回動する場合に、可動バンパを自動的に張出位置に移動させることができる。これにより、コンテナの積み込み作業終了後に可動バンパを張出位置に移動し忘れるのを防止することができる。
【0010】
また、前記制御装置は、前記バンパ駆動手段を駆動させながら、前記荷役駆動手段を駆動させて前記荷役アームを前方回動させることが好ましい。
これによれば、可動バンパを張出位置に移動させながら、荷役アームを前方回動させることができるので、コンテナの積み降み作業を迅速に行うことができる。
【0011】
また、前記制御装置は、前記荷役操作手段の操作指令により前記荷役アームを前方回動または後方回動させる際に、前記回動位置検知手段の検知状態に基づいて前記荷役駆動手段を駆動制御するのが好ましい。
これによれば、回動位置検知手段を、荷役駆動手段を駆動制御するための検知手段として兼用することができるので、荷役車両の構成を簡略化でき、その製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の荷役車両によれば、荷役アームを後方回動させたときにコンテナの前部が可動バンパに接触するのを防止することができるので、コンテナの積み降ろし作業中に、コンテナの前部が可動バンパに接触して可動バンパが破損するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の荷役車両の実施の一形態を示し、コンテナの積み込み作業完了時(走行時)の状態を示す側面図である。
【図2】図1の荷役車両により縦列停車位置からコンテナを積み込む途中の状態を示す側面図である。
【図3】図1の荷役車両により縦列停車位置からコンテナを積み込む途中であって、当該コンテナ後部の走行ローラが地面に接触した状態を示す側面図である。
【図4】図1の荷役車両により縦列停車位置からコンテナを積み込む途中であって、当該コンテナ前部の脚部が地面から浮いている状態を示す側面図である。
【図5】図1の荷役車両によりコンテナをダンプさせた状態を示す側面図である。
【図6】各近接センサの取り付け位置を示す模式図である。
【図7】図1の荷役車両の実施の形態を示している図であり、車体フレームの後部を示す平面図である。
【図8】車体フレームの後部左側を示す正面図である。
【図9】車体フレームの後部左側を示す側面図である。
【図10】張出位置にある左側の可動バンパを示す平面図である。
【図11】格納位置にある左側の可動バンパを示す平面図である。
【図12】ロック装置を示す図9の要部拡大断面図である。
【図13】車体フレームの後部を示す正面図である。
【図14】バンパシリンダのロッド側の連動機構を示す図13の要部拡大図である。
【図15】可動バンパの格納途中の状態を示す全体平面図である。
【図16】格納位置にある可動バンパを示す全体平面図である。
【図17】制御装置の構成を示すブロック図である。
【図18】図2の平面図である。
【図19】荷役車両により斜め前方位置からコンテナを積み降ろしする途中の状態を示す側面図である。
【図20】制御装置において実行される降ろし制御の処理を示すフローチャートである。
【図21】制御装置において実行される積み込み制御の処理を示すフローチャートである。
【図22】従来の荷役車両によりコンテナを積み込む途中の状態を示す側面図である。
【図23】図22の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[荷役車両の全体構成]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の荷役車両の実施の一形態を示す側面図である。図2〜図5は、この荷役車両の機能を説明するための側面図である。この荷役車両Vは、車体フレーム1と、コンテナCを車体フレーム1上と地上との間で積み降ろし(図2〜図4参照)したり、このコンテナCを車体フレーム1上で後方へ下傾させたダンプ状態(図5参照)とする荷役装置2とを備えている。
【0015】
車体フレーム1は、左右一対のシャシフレーム1aと、各シャシフレーム1aの上面に固定された荷役フレーム1bと、各シャシフレーム1aの後端部に該シャシフレーム1aに直交して固定された垂下フレーム1cとを有している。各荷役フレーム1bの後端には、コンテナC底部の主桁Caを案内する案内ローラ3が回転自在に軸支されている。これらの案内ローラ3によって、車体フレーム1上に積み降ろし可能に搭載されるコンテナCが円滑に誘導案内される。コンテナCの底部には、その前端部に左右一対の脚部Cbが固定され、後端部に左右一対の走行ローラCcが回転可能に取り付けられている。また、コンテナCの前壁Cd上部の幅方向略中央部には係合部としてのリフトバーCeが固定されている。上記脚部Cbと前壁CdとによりコンテナCの前部Cfを構成している。
なお、車体フレーム1は、荷役フレーム1bを使用せずに、シャシフレーム1aと垂下フレーム1cとにより構成することも可能である。
【0016】
上記荷役装置2は、荷役フレーム1bの後部において基端部が案内ローラ3の回転軸線と同じ軸線回りに前後回動自在に取り付けられた一対のダンプアーム4と、車体フレーム1側であるダンプアーム4の先端部側において基端部が前後回動自在に取り付けられた荷役アーム5と、荷役アーム5の途中部において一端部が回動自在に取り付けられ車体フレーム1の前寄り部において他端部が回動自在に取り付けられた復動油圧シリンダからなるリフトシリンダ6とを備えている。このリフトシリンダ6を伸縮させることにより、リフトアーム5aは、荷役フレーム1b上に着床してコンテナCを荷役フレーム1b上に載置させる着床位置(図1参照)と、地上に載置されているコンテナCにフック5cを係脱可能な係脱位置(図2参照)との間で前後回動可能となる。
【0017】
荷役アーム5は、ダンプアーム4の先端部側において基端部が前後回動自在に取り付けられたリフトアーム5aと、このリフトアーム5aの先端部において基端部が前後回動自在に取り付けられたフックアーム5bと、このフックアーム5bの先端部に固定されたフック5cとを有している。リフトアーム5aの先端部には、復動油圧シリンダからなるフックシリンダ7の基端部が回動自在に取り付けられ、フックシリンダ7の先端部はフックアーム5bの途中部に回動自在に取り付けられている。上記フック5cは、コンテナCのリフトバーCeに係脱可能となっている。
また、上記リフトシリンダ6とフックシリンダ7とにより荷役アーム5の荷役駆動手段Sを構成している。
なお、荷役アーム5の基端部(リフトアーム5a)はダンプアーム4に回動自在に取り付けられているが、ダンプアーム4を設けていない荷役車両の場合は、荷役アーム5の基端部を車体フレーム1に回動自在に取り付けることも可能である。
【0018】
上記構成により、フックシリンダ7の伸長作動により、フックアーム5bを後方回動させて車体フレーム1の後方へ移動させ、ダンプアーム4とリフトアーム5aとの間に設けた固縛装置(図示せず)によってダンプアーム4とリフトアーム5aとの間を回動可能とした固縛解除状態で、リフトシリンダ6を伸長させると、荷役アーム5のフック5cにリフトバーCeが係合したコンテナCを地上へ降ろすことができる(図2参照)。また、上記固縛装置によって両アーム4,5aの回動を規制した固縛状態で、リフトシリンダ6を伸長させると、荷役アーム5のフック5cがリフトバーCeに係合されているコンテナCは、後方へ下傾したダンプ状態となる(図5参照)。
【0019】
図6は、荷役アーム5のリフトアーム5aとフックアーム5bの各回動位置を検知する荷役検知手段35である近接センサ32〜34の取り付け位置を示す模式図である。
図6において、リフトシリンダ6には、当該リフトシリンダ6が最収縮した状態、すなわちリフトアーム5aが荷役フレーム1b上に着床している状態を検知する第一近接センサ32が設けられている。第一近接センサ32は、リフトシリンダ6のシリンダ本体6aの先部に設けられており、リフトシリンダ6が最収縮したときに、そのピストンロッド6bの先端部を検知するようになっている。
【0020】
これらの各近接センサ32〜34は、コンテナCを積み降ろしする際に、リフトシリンダ6およびフックシリンダ7を順次作動制御するために用いられるほか、後述する降ろし位置の修正や積込姿勢の修正を行った後など、荷役アーム5を回動途中で停止させた状態から再び回動させるときに、荷役アーム5がどの回動範囲に位置するのかを判別してフックシリンダ6またはリフトシリンダ7を駆動制御する場合にも用いられる。
【0021】
また、第一近接センサ32が検知状態のときは、コンテナCが荷役フレーム4上に載置された状態となる。したがって、本実施形態では、第一近接センサ32は、リフトアーム5aの回動位置が、積み込み作業中のコンテナCの前部Cfと可動バンパ11とが非接触となる回動範囲A内にあることを検知する回動位置検知手段としても使用される。本実施形態では、回動範囲Aは、図3に示すように、リフトアーム5aが上記着床位置と、この着床位置に対して後方に約110度回動させた位置との間の範囲となる。
【0022】
また、リフトアーム5aには、フックアーム5bが走行位置(図6の実線)まで前方回動したことを検知する第二近接センサ33と、フックアーム5bが傾動位置(図6の二点鎖線)まで後方回動したことを検知する第三近接センサ34とが取り付けられている。第二近接センサ33および第三近接センサ34は、各回動位置にてフックアーム5bの基端部に固定されたドグ5b1を検知するようになっている。
【0023】
車体フレーム1の後部には、コンテナCの積み降ろし中に車体フレーム1の後部を支持するジャッキ8が設けられている。ジャッキ8は、垂下フレーム1cの下端部寄りの位置に回動自在に取り付けられており、垂下フレーム1cの下方へ突出させて接地ローラ8aが地面に近づく突出位置(図2参照)と、車両前方へ略90°回動して突出位置よりも上方へ接地ローラ8aが地面から退避した収納位置(図1参照)との間を回動可能としている。
【0024】
[本実施の形態に係る荷役車両]
図7は、本発明の実施の形態の要部を示している図であり、車体フレーム1の後部を示す平面図である。図8は、車体フレーム1の後部左側を示す正面図であり、図9は、車体フレーム1の後部左側を示す側面図である。
図7において、上記車体フレーム1の後部には、車幅方向に延びるリアバンパ9が配置されている。リアバンパ9は、車体フレーム1の後方に突出した状態で、垂下フレーム1cの後面下部に固定された固定バンパ10と、この固定バンパ10の車幅方向の両側において、車体フレーム1に鉛直軸線回りに前後回動可能に取り付けられた左右一対の可動バンパ11とを備えている。
【0025】
上記固定バンパ10は、本体部10aと、この本体部10aを支持する左右一対の支持部10bとを有している。本体部10aは、図9に示すように、断面ボックス状に形成されている。各支持部10bは、一端部が垂下フレーム1cの下部後面に固定された上下一対の水平板10b1と、この両水平板10b1の他端部に直交して固定された垂直板10b2とを有している。上下の水平板10b1は、車幅方向の中間部を連結板10b3により連結されている(図10参照)。各支持部10bの垂直板10b2には、上記本体部10aの車幅方向の両端部が、取付板10a1を介してボルト10c・ナット10dにより固定されている。
【0026】
上記可動バンパ11は、図7に示すように、本体部11aと、この本体部11aを回動可能に支持するアーム部11bとを有している。本体部11aは、図9に示すように、固定バンパ10の本体部10aと同一形状の断面ボックス状に形成されている。アーム部11bは、上下一対の水平板11b1と、この両水平板11b1の一端部に直交して固定された垂直板11b2とを有している。垂直板11b2には、本体部11aの端部前面が固定されている。水平板11b1の長手方向の中間部は、固定バンパ10の上下の水平板10bに上下方向へ貫通して固定されたボス部10eに、ピン12により回動可能に取り付けられている(図10参照)。一対の水平板11bは、固定バンパ10の一対の水平板10bよりもボス部10eの軸方向(上下方向)両端側に配置されており、水平板10bと干渉することなく回動させることができる。
【0027】
上記構成により、アーム部11bをピン12を中心として前後回動させることにより、可動バンパ11は、その本体部11aが固定バンパ10の本体部10aの車幅方向両側の外側方にて該本体部10aの長手方向(車幅方向)の延長線上に配置される張出位置(図10参照)と、この張出位置に対して車体フレーム1の前部側に約30度傾斜した格納位置(図11参照)との間で回動可能である。上記張出位置は、荷役車両Vに対する可動バンパ11の配置位置が、法令上定められているリヤバンパの配置位置の基準を満たしている位置である。上記格納位置は、コンテナCの積み降ろし作業中にコンテナCの前部Cfが可動バンパ10に接触するのを回避することができる位置である。
【0028】
図7および図9において、各垂下フレーム1cの車幅方向内側には、左右の可動バンパ11のアーム部11bを、それぞれ張出位置で車体フレーム1側にロックする左右一対のロック装置13が設けられている。
図12は、ロック装置13を示す図9の要部拡大断面図である。
アーム部11bの上側の水平板11b1の上面には貫通孔14が形成され、この貫通孔14の上方にはボス部15の下端部が水平板11b1の上面に固定されている。このボス部15には、ロックピン16が上下移動可能に取り付けられている。ロックピン16は、ボス部15内に設けられた弾性部材であるスプリング17の付勢力により、常に下方側に付勢されている。一方、上記水平板11b1の下方に位置する固定バンパ10の上側の水平板10b1には、ロックピン16を係脱可能な係合孔18が形成されている。これにより、可動バンパ11が張出位置にあるときは、ロックピン16の下端を係合孔18に係合させることにより、可動バンパ11は張出位置で車体フレーム1側にロックされ、その回動が規制される。
【0029】
図7において、左右の垂下フレーム1c間には、左右の可動バンパ11を張出位置と格納位置との間で回動させるバンパ駆動手段としてのバンパシリンダ41が配置されている。バンパシリンダ41は、複動油圧シリンダからなり、シリンダ本体41aの下部に固定された油圧モータ42を駆動することにより、車幅方向に伸縮動作するようになっている。
【0030】
上記バンパシリンダ41のシリンダ本体41aの基部およびピストンロッド41bの先部は、左右のロック装置13を連動してロックおよびロック解除するとともに、左右の可動バンパ11を連動して回動させるための左右一対の連動機構40に連結されている。以下、この連動機構40について詳しく説明する。
図13は、車体フレーム1の後部を示す正面図であり、図14は、バンパシリンダ41のピストンロッド41b側の連動機構40を示す図13の要部拡大図である。
図13において、シリンダ本体41aの基部およびピストンロッド41bの先部は、それぞれ連結ブラケット43の一端にピン44により連結されている。
【0031】
図14および図12において、連結ブラケット43は、左右一対の平板からなる連結部45、この左右の連結部45同士を連結固定する係止部46および規制部47を備えている。上記バンパシリンダ41のピストンロッド41bは、その先部を左右の連結部45の間に配置した状態で上記ピン44により左右の連結部45に連結されている。
各連結部45の下面45aは、ロック装置13の一部であるボス部15の天板15aの上面に載置されており、バンパシリンダ41の伸縮動作時に連結ブラケット43が天板15aに対して車幅方向(図14の左右方向)に摺動するようになっている。
【0032】
係止部46には、上記天板15aの外周部に係脱可能な係止孔46bが形成されている。これにより、連結ブラケット43が車幅方向外側(図14の右側)に摺動したときに、上記天板15aの外周部が係止孔46bに嵌り込むとともに、係止部46の外側の端面46aが、ボス部15の外周面に当接するようになっている。
規制部47は、連結部45の外側端面に固定されており、連結ブラケット43が車幅方向内側(図14の左側)に摺動したときに、規制部47の内側の端面47aが天板15aの外周面に当接するようになっている。
【0033】
図12において、ロック装置13の一部であるロックピン16の上端部16aは、前後(図12の左右方向)の連結部45間に配置されている。その上端部16aの前後には、各連結部45の上面を転動する一対のローラ48がピン49を中心に回転自在に取り付けられている。上記連動機構40は、スプリング17、連結ブラケット43、ローラ48およびピン49により構成されている。
図14において、各連結部45の上面には、ローラ48の転動を案内するための水平案内面45b、この水平案内面62bよりも高い位置に形成された水平案内面45c、および両案内面62b、62c間において外側上がりに傾斜した傾斜案内面45dが形成されている。
【0034】
これにより、バンパシリンダ41を図13の状態から収縮動作させると、その収縮初期において、連結ブラケット43が車幅方向内側へ摺動し、ローラ48が案内面45bから案内面45cに移動するとともに、ロックピン16が上方移動することにより、ロック装置13をロック解除してこの状態に保持することができる。さらに、バンパシリンダ41を収縮動作させると、規制部47の端面47aがボス部15を押し付けることにより、可動バンパ11を前方回動させて格納位置に移動させることができる。
なお、本実施の形態は、左右のロックピン16が上下移動する際の摺動抵抗差等によって、ピストンロッド41b側の先部がシリンダ本体41aの基部よりも低圧で動作するため、ピストンロッド41b側の連結ブラケット43が、先行して車幅方向へ移動する。したがって、図15に示すように右側の可動バンパ11が先行して格納位置に移動したあと、図16に示すように左側の可動バンパ11が格納位置に移動する。
【0035】
また、図16の状態からバンパシリンダ41を伸長動作させると、連結ブラケット43が車幅方向外側へ摺動し、係止部46の端面46aがボス部15を押し付ける(図14参照)。すると、可動バンパ11が後方回動して張出位置に移動するとともに、スプリング17の付勢力によりロックピン16が下方移動してロック装置13がロックされる。この場合も、上述のバンパシリンダ41を収縮動作させる場合と同様に、図7右側の可動バンパ11が先行して張出位置に移動したあと、図7左側の可動バンパ11が張出位置に移動する。
【0036】
図13および図9において、左右の垂下フレーム1cの下端同士を連結する補強フレーム1c1の上面には、L字型の前カバー部材50が固定されている。この前カバー部材の鉛直部50aは、バンパシリンダ41のピストンロッド41bの前方にて当該ピストンロッド41bより高い位置まで延びるように形成されている。これにより、車両走行中に後輪が跳ね上げる石や泥水等により、ピストンロッド41bが損傷するのを防止している。前カバー部材50の水平部50bには、荷役車両Vの走行中の振動等により油圧モータ42が補強フレーム1c1の上面に接触するのを防止するための平板状の緩衝部材51が固定されている。
【0037】
また、左右の垂下フレーム1cの後面には、略逆L字型の後カバー部材52の左右両端が固定されている(図13および図9参照)。この後カバー部材52は、車両後方から見てバンパシリンダ41の全体および左右のロック装置13を覆うように配置されている。これにより、コンテナCをダンプさせてコンテナC内の収容物を排出するときに(図5参照)、その収容物が車両後方からバンパシリンダ41やロック装置13に付着することにより、バンパシリンダ41およびロック装置13が損傷するのを防止している。なお、後カバー部材52の車幅方向中央部には、ナンバープレート(図示せず)が取り付けられている。
【0038】
図7および図8において、各垂下フレーム1の車幅方向外側には、左右一対のランプ装置25が設けられている。ランプ装置25は、基端部を垂下フレーム1cに回動可能に取り付けた取付部25aと、この取付部25aの先端部に固定されたランプ部25bとを備えている。
取付部25aは、チャンネル材にて形成されており、垂下フレーム1c上部の外側面に固定されたチャンネル材からなる取付ブラケット26に、ピン27によって鉛直軸線回りに前後回動可能に取り付けられている。ランプ部25bは、方向指示器用ランプおよびブレーキランプを有し、取付部25aの自由端側に垂下固定されている。取付部25aの上面には反射板28が固定されている。
上記構成により、ランプ装置25は、車体フレーム1後部の車幅方向の外側方に配置される適正位置(図10)と、この適正位置に対して車体フレーム1の前部側に約30度傾斜した退避位置(図11)との間で回動可能である。上記適正位置は、荷役車両Vに対するランプ部25aの配置位置が、法令上定められているランプの配置位置の基準を満たしている位置である。また、上記退避位置は、コンテナCの積み降ろし作業中に、コンテナCの前部Cfがランプ装置25に接触するのを回避することができる位置である。
【0039】
図8および図9において、上記ランプ装置25と可動バンパ11との間には、ランプ装置25の前後回動と可動バンパ11の前後回動とを連動させる連結機構29が設けられている。
この連結機構29は、ランプ装置25の取付部25aと、可動バンパ11のアーム部11bとを連結している連結部材29aを有している。連結部材29aは、逆Z形に形成されており、その上端部は、取付部25aの回動中心側の下面にボルト29b・ナット29cにより回動可能に連結されている。連結部材29aの下端部は、可動バンパ11のアーム部11bの上面にボルト29d・ナット29eにより回動可能に連結されている。
上記構成により、可動バンパ11を張出位置まで前方回動させると、ランプ装置25は、連結機構29を介して可動バンパ11とともに前方回動し、適正位置まで移動可能となる(図10参照)。また、可動バンパ11を格納位置まで後方回動させると、ランプ装置25は、連結機構29を介して可動バンパ11とともに後方回動し、退避位置まで移動可能となる(図11参照)。
【0040】
図9および図10おいて、可動バンパ11のアーム部11bの上下の水平板11b1間には、取付板11b3を介して近接センサ30が取り付けられている。この近接センサ30の検知部30aは、可動バンパ11が張出位置にあるときに固定バンパ10の連結板10b3を検知するようになっている。近接センサ30は、B接点型のセンサ(通常ONで、検知対象を検知するとOFFとなるセンサ)であり、図11に示すように、近接センサ30が検知状態でないとき、すなわち可動バンパ11が張出位置以外の回動位置にあるときには、荷役車両Vの運転室内に設置されている警告ランプ31(図17参照)を点灯させ、作業者に注意を促すようになっている。なお、警告ランプ31の代わりに、または警告ランプ31とともにブザーを鳴動させるようにしてもよい。
【0041】
図17は、荷役車両Vの運転室内に備えられているスイッチボックスSB、荷役車両Vに備えられている有線のリモコンスイッチRS、上述の各近接センサ30,32〜34、および上記各シリンダ6,7,41、およびプログラマブルロジック コントローラ(PLC)からなる制御装置60の構成を示すブロック図である。
スイッチボックスSBは、動力取出装置であるPTO(図示せず)の断接を切り換えるPTO切換スイッチ61と、上述の警告ランプ31とが設けられている。
【0042】
PTO切換スイッチ61は、「接続」位置および「切断」位置の2位置に切り換え可能である。PTO切換スイッチ61が「接続」位置のときは、荷役車両Vの走行用エンジン(図示せず)が、PTOを介してリフトシリンダ6およびフックシリンダ7の駆動源である油圧ユニット(図示せず)および油圧モータ42に接続される。また、PTO切換スイッチ61が「切断」位置のときは、PTOによる上記走行用エンジンと上記油圧ユニットおよび油圧モータ42との接続が切断され、油圧ユニットおよび油圧モータ42の駆動が規制されるとともに、荷役車両Vが走行可能な状態となる。
【0043】
上記リモコンスイッチRSには、荷役アーム5を前方回動させる操作指令が出力される積込スイッチ62と、荷役アーム5を後方回動させる操作指令が出力される降ろしスイッチ63とが設けられている。上記PTO切換スイッチ61、積込スイッチ62および降ろしスイッチ63は、荷役操作手段64として構成されている。
【0044】
上記第一近接センサ32〜第三近接センサ34の出力は、制御装置60に入力される。また、スイッチボックスSBのPTO切換スイッチ61、リモコンRSの積込スイッチ62および降ろしスイッチ63の各操作指令が制御装置60に入力される。
リフトシリンダ6およびフックシリンダ7は、制御装置60によって電磁弁(図示せず)を切り換えることにより、各シリンダ6,7をそれぞれ個別に伸縮動作する。
バンパシリンダ41は、降ろしスイッチ63により荷役アーム5を後方回動させる操作指令が出力されたときに、制御装置60によって電磁弁(図示せず)を切り換えることにより、伸長動作する。
また、バンパシリンダ41は、積込スイッチ62により荷役アーム5を前方回動させる操作指令が出力され、かつ上記第一近接センサ32が検知状態のときに、制御装置60によって電磁弁(図示せず)を切り換えることにより、収縮動作する。
スイッチボックスSBの警告ランプ31は、制御装置60によって点灯および消灯される。
【0045】
[コンテナCの降ろし作業]
次に、上記荷役車両VによるコンテナCの積み降ろし作業について説明する。
ここでは、図19に示すように、コンテナCの前方に荷役車両Vを縦列停車することができない狭い場所において、荷役車両VをコンテナCの斜め前方位置に停車させた状態、すなわち、荷役車両Vの車幅方向の中心線Xsと、コンテナCの幅方向の中心線Xcとの傾斜角度がθとなる状態で、コンテナCの積み降ろしを行う場合について説明する。以下、図1〜図5、図18および図19を参照しながら、図20および図21のフローチャートに沿って荷役車両Vの全体的動作について説明する。
【0046】
図1の状態からコンテナCを荷役車両Vの斜め後方位置の地上へ降ろす作業では、まず車体フレーム1上にコンテナCが搭載されている状態から、図18の如く、一旦、コンテナCを荷役車両Vの真後ろへ、すなわち、上記中心線Xsと中心線Xcとが略一直線上に配置される位置に降ろす。
図20において、処理開始により制御装置60のCPU(以下単にCPUという。)は、PTO切換スイッチ61が「接続」位置に選択されるのを待ち(ステップS101)、「接続」位置に選択されると、CPUは降ろしスイッチ63がオンになるか否かをチェックする(ステップS102)。
【0047】
降ろしスイッチ63がオンになると、CPUはフックシリンダ7を伸長動作させてフックアーム5bを後方へ回動させる。これと同時に、バンパシリンダ41を収縮させ、左右のロック装置16をロック解除するとともに左右の可動バンパ11を張出位置から前方へ回動させる(ステップS103)。その際、連結機構29によって左右のランプ装置25および反射板28も前方回動する。
【0048】
可動バンパ11が前方回動すると、その回動初期において近接センサ30が非検知状態となり(ステップS104)、運転室内の警告ランプ31が点灯する(ステップS105)。これにより、作業者は可動バンパ11が張出位置にあることを確認することができる。
バンパシリンダ41が最収縮すると(ステップS106)、各可動バンパ11は格納位置にて回動停止する。また、左右のランプ装置25および反射板28も退避位置にて回動停止する(図16参照)。
【0049】
一方、フックシリンダ5bの伸長動作は、バンパシリンダ41が最収縮した後も、第三近接センサ34がオンになるまで継続される(ステップS107)。第三近接センサ34がオンになり、フックアーム5bが傾動位置まで後方回動すると(図6参照)、CPUはフックシリンダ7の伸長動作を停止させる(ステップS108)。その際、上記固縛装置による固縛が解除されることにより、リフトアーム11はダンプアーム10に対して自由に回動できるようになる。
【0050】
続いてCPUは、リフトシリンダ6を伸長動作させて(ステップS109)、着床位置にあるリフトアーム5aをフックアーム5bとともに後方へ回動させる。これにより、コンテナCは、案内ローラ3に案内されて荷役フレーム1b上を後方に移動するとともに、コンテナCの後部が案内ローラ3の回転中心を支点として下方に回動し、走行ローラCcが地上に着地する(図4参照)。さらに、リフトシリンダ6を伸長動作させ、図3に示すように、コンテナC前部の脚部Cbが接地する直前位置まで移動すると、降ろしスイッチ63をオフにして(ステップS110)、リフトシリンダ6の伸長動作を一旦停止させ、リフトアーム5aの後方回動を係脱位置の直前で停止させる(ステップS111)。
【0051】
次に、上記直前位置にあるコンテナCを、荷役車両Vの真後ろに配置させた状態から、荷役車両Vの斜め後方位置に配置させる作業(降ろし位置の修正)を行う(ステップS112)。この降ろし位置の修正は、PTO切換スイッチ61を「切断」位置に切り換え、荷役車両Vを図3の状態を維持しながらコンテナCの斜め前方に前後移動させる。この前後移動を複数回繰り返すと、コンテナCは、フック5cにて前後方向に押し引きされることにより、その向きが徐々に変化する。すなわち、荷役車両Vの中心線XsとコンテナCの中心線Xcとの傾斜角度θが徐々に大きくなり、図19に示すようにコンテナCは荷役車両Vの斜め後方に配置される。この配置状態になると、荷役車両Vを停車し、PTO切換スイッチ61を「接続」位置に切り換える。
その際、左側(図19の下側)の可動バンパ11およびランプ装置25が、徐々にコンテナCの前壁Cdの左側角部に接近するが、可動バンパ11およびランプ装置25は格納位置および退避位置にあるため、コンテナCの前壁Cdが、可動バンパ11やランプ装置25の左側端部に接触するのを防止することができる。
【0052】
図20において、降ろし位置の修正を行った後は、降ろしスイッチ63をオンにして(ステップS113)、再びリフトシリンダ6を伸長動作させる(ステップS114)。リフトアーム5aがさらに後方回動して係脱位置に至れば、フックアーム5bは下向きとなって、コンテナCは荷役車両Vの斜め後方位置の地上に降ろされる(図2参照)。
この状態で降ろしスイッチ63をオフにすると(ステップS115)、CPUはリフトシリンダ6の伸長動作を停止させる(ステップS116)。ここで、PTO切換スイッチ61を「切断」位置に切り換え(ステップS117)、荷役車両Vを前方へ移動させれば、フックアーム5b先端のフック5cがリフトバーCeから外れ、コンテナCは荷役車両Vから分離される。これにより、コンテナCの降ろし作業が完了する。
[コンテナCの積み込み作業]
【0053】
次に、荷役車両VをコンテナCの斜め前方位置から当該コンテナCを積み込む作業について説明する。
まず、荷役車両Vのリフトアーム5aをフックアーム5bとともに後方終端位置まで回動させる。このとき、左右の可動バンパ11は、上述のコンテナCの降ろし作業の場合と同様に、フックアーム5bの後方回動時に、左右のランプ装置25および反射板28とともに格納位置および退避位置に移動する。この状態から、荷役車両VをコンテナCの斜め前方から後退させ、フックアーム5b先端のフック5cをコンテナCのリフトバーCeに係合させる(図19参照)。
その際、左側の可動バンパ11およびランプ装置25が、徐々にコンテナCの前壁Cdの左側角部に接近するが、可動バンパ11およびランプ装置25は格納位置および退避位置にあるため、コンテナCの前壁Cdが、可動バンパ11やランプ装置25の左側端部に接触するのを防止することができる。
【0054】
次に、制御装置60にてコンテナCの積み込み制御が行われる。
図21において、制御装置60のCPUは、処理開始によりPTO切換スイッチ61が「接続」位置に選択されるのを待ち(ステップS201)、「接続」位置に選択されると、CPUは積込スイッチ62がオンになるか否かをチェックする(ステップS202)。積込スイッチ62がオンになると、CPUはリフトシリンダ6を収縮動作させ(ステップS203)、リフトアーム5aをフックアーム5bとともに前方へ回動させる。
その際、第一近接センサ(回動位置検知手段)32は非検知状態であるため、バンパシリンダ41が伸長動作することはない。このため、可動バンパ11が格納位置から張出位置へ移動して、可動バンパ11やランプ装置25が、コンテナCの前壁Cdに接触するのを防止することができる。
【0055】
リフトアーム5aが少しだけ前方回動し、コンテナCの脚部Cbが地上から浮いた状態(図3参照)になると、積込スイッチ62をオフにして(ステップS204)、リフトシリンダ6の収縮動作を一旦停止させ、リフトアーム5aを所定の前方回動位置(上述の係脱位置の直前と略同一位置)で停止させる(ステップS205)。
【0056】
次に、コンテナCを、荷役車両Vの斜め後方位置に配置させた状態から、荷役車両Vの真後ろに配置させる作業(積込姿勢の修正)を行う(ステップS206)。この積込姿勢の修正は、PTO切換スイッチ61を「切断」位置に切り換え、荷役車両VをコンテナCの斜め前方に前後移動させる。この前後移動を複数回繰り返すと、コンテナCは、フック5cにて前後方向に押し引きされることにより、その向きが徐々に変化する。すなわち、荷役車両Vの中心線XsとコンテナCの中心線Xcとの傾斜角度θが徐々に小さくなり、やがて図18に示すように、中心線Xcと中心線Xsとが一直線上に位置し、コンテナCは荷役車両Vの真後ろに配置される。この配置状態になると、荷役車両Vを停車し、PTO切換スイッチ61を「接続」位置に切り換える。
【0057】
ところで、上記ステップ205において、コンテナCの脚部Cbを地上から少し浮かせた状態で停止すると、この脚部Cbが可動バンパ11またはランプ装置25と略同じ高さ(またはそれより高い高さ)になるが、可動バンパ11およびランプ装置25は格納位置および退避位置にあるため、この状態で、上記ステップ206において荷役車両Vを前後移動させても、コンテナCの左側の脚部Cbが、左側の可動バンパ10やランプ装置25と接触するのを防止することができる。
また、バンパシリンダ41を最収縮状態で保持することにより、可動バンパ11とランプ装置25が格納位置および退避位置から後方回動するのを規制することができる。したがって、荷役車両Vの前後移動中に、可動バンパ11とランプ装置25が上記脚部Cbと干渉するのを防止することができる。
【0058】
図21において、積込姿勢の修正を行った後は、積込スイッチ62をオンにして(ステップS207)、再びリフトシリンダ6を収縮動作させる(ステップS208)。このとき、第一近接センサ(回動位置検知手段)32は非検知状態のため、バンパシリンダ41が伸長動作することはない。リフトアーム5aが前方回動すると、コンテナCの前部が持ち上げられつつ荷役車両V側に移動し、やがてコンテナCの底部が案内ローラ4cに接触して、当該案内ローラ4cに案内されつつさらに前方へ移動する(図4参照)。
リフトシリンダ6の収縮動作は、第一近接センサ32がオンになるまで継続させる(ステップS209)。第一近接センサ32がオンになり、リフトアーム5aが着床位置まで前方回動すると(図6参照)、CPUはリフトシリンダ6の収縮動作を停止させる(ステップS210)。
【0059】
続いてCPUは、フックシリンダ7を収縮動作させて傾動位置にあるフックアーム5cを前方へ回動させる(図6参照)。このとき、積込スイッチ62はオン操作中であって、かつ第一近接センサ(回動位置検知手段)32がオン状態であるため、CPUは、フックシリンダ7の伸縮動作と同時に、バンパシリンダ41を伸長させ、左右の可動バンパ11を格納位置から後方へ回動させる(ステップS211)。その際、連結機構29によって左右のランプ装置25および反射板28も後方回動する。
【0060】
バンパシリンダ41が最伸長すると(ステップS212)、各可動バンパ11は張出位置にて回動停止するとともに、左右のロック装置16がロックされる。また、左右のランプ装置25および反射板28も適正位置にて回動停止する(図7参照)。
その際、近接センサ30は検知状態となり(ステップS213)、運転室内の警告ランプ31が消灯する(ステップS214)。これにより、作業者は荷役車両Vが走行可能な状態であることを確認することができる。
【0061】
一方、フックシリンダ7の収縮動作は、バンパシリンダ41が最伸長した後も、第二近接センサ33がオンになるまで継続される(ステップS215)、第二近接センサ33がオンになり、フックアーム5bが走行位置まで前方回動すると(図1参照)、CPUはフックシリンダ7の収縮動作を停止させる(ステップS216)。最後に、PTO切換スイッチ61を「切断」位置に切り換えれば(ステップS217)、荷役車両Vは走行可能な状態となり、コンテナCの積み込み作業が完了する。
【0062】
なお、車体フレーム1上にコンテナCが搭載されている状態、すなわちフックアーム5bを傾動させない状態(図1参照)でリフトシリンダ6を伸長すれば、図示しない固縛装置は固縛状態を維持してダンプアーム4とリフトアーム5aとを一体に固縛しているので、図5に示されるように、両アーム4、5aは一体となって後方に傾動し、コンテナCをダンプさせて、当該コンテナC内の収容物を外部に排出することができる。
【0063】
上記のように構成された本実施形態の荷役車両Vによれば、降ろしスイッチ63により荷役アーム5を後方回動させる操作指令が出力されたときに、可動バンパ11を自動的に格納位置に移動させるようにしたので、コンテナCの斜め前方に位置する荷役車両VにてコンテナCの積み降ろし作業をする際に、荷役アーム5の後方回動によりコンテナCの前部Cfが可動バンパ11に接触するのを防止することができる。これにより、コンテナCの積み降ろし作業中に、コンテナCの前部Cfが可動バンパ11に接触して可動バンパ11が破損するのを防止することができる。
【0064】
また、荷役アーム5がコンテナCの前部Cfと可動バンパ11とが非接触となる回動範囲A内で積込スイッチ62により前方回動する場合に、可動バンパ11を張出位置に移動させるようにしたので、コンテナCの斜め前方に位置する荷役車両VにてコンテナCの積み込み作業をする際に、荷役アーム5の前方回動により可動バンパ11をコンテナCの前部Cfに接触させることなく自動的に張出位置に移動させることができる。これにより、コンテナCの積み込み作業終了後に可動バンパ11を張出位置に移動し忘れるのを防止することができる。
【0065】
また、可動バンパ11を移動させながら、荷役アーム5(フックアーム5b)を前後回動させることができるので、コンテナCの積み降ろし作業を迅速に行うことができる。
また、回動位置検知手段である第一近接センサ32を、リフトシリンダ6およびフックシリンダ7を駆動制御するための検知手段として兼用することができるので、荷役車両Vの構成を簡略化でき、その製造コストを低減することができる。
【0066】
なお、本発明の荷役車両は、上記実施形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであっても良い。例えば、可動バンパ11を格納位置に回動させる制御は、降ろしスイッチ63の操作指令が出力されたときに行っているが、PTO切換スイッチ61を「接続」に切り換えたときの操作指令が出力されたときに行うようにしてもよい。
また、可動バンパ11を格納位置に移動する制御は、フックアーム5bを後方回動させながら行っているが、フックアーム5bの後方回動前や後方回動後に行ったり、後方回動途中に一旦停止させてから行うことも可能である。また、回動位置検知手段が検知状態であれば、リフトアーム5aの後方回動中やその後方回動途中に一旦停止させてから、可動バンパ11を格納位置に移動させることも可能である。
【0067】
さらに、可動バンパ11を張出位置に移動する制御は、フックアーム5bを前方回動させながら行っているが、フックアーム5bの前方回動前や前方回動後に行ったり、前方回動途中に一旦停止させてから行うことも可能である。また、回動位置検知手段が検知状態であれば、リフトアーム5aの前方回動中やその前方回動途中に一旦停止させてから、可動バンパ11を張出位置に移動させることも可能である。
また、可動バンパ11を張出位置に回動させる制御条件の一つとして、積込スイッチ62の操作指令が出力されることを条件としているが、この積込スイッチ62に代えてPTO切換スイッチ61を「切断」に切り換えたときの操作指令が出力されたことを条件としてもよい。
【0068】
また、回動位置検知手段を第一近接センサ32が兼用しているが、他の荷役検知手段35を兼用させたり、別途専用の回動位置検知手段により荷役アーム5の回動位置が上記回動範囲A内の所定の回動位置にあることを検知してもよい。
また、回動位置検知手段として、近接センサを用いているが、タイマを用いてもよい。この場合は、積込スイッチ62をオン操作している合計時間をタイマで計測すれば、荷役アーム5が回動範囲Aにあることを検知することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 車体フレーム
5 荷役アーム
5c フック
9 リアバンパ
10 固定バンパ
11 可動バンパ
32 第一近接センサ(回動位置検知手段)
41 バンパシリンダ(バンパ駆動手段)
60 制御装置
64 荷役操作手段
A 回動範囲
C コンテナ
Ce リフトバー(係合部)
S 荷役駆動手段
V 荷役車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部に係合部を有するコンテナを搭載可能な車体フレームと、
前記車体フレーム側に基端部が前後回動可能に取り付けられているとともに、先端部に前記係合部に係脱可能なフックを有する荷役アームと、
前記フックを前記係合部に係合させた状態で前記荷役アームを前後回動させることにより前記コンテナを前記車体フレーム上と当該車体フレーム後方の地上との間で積み降ろしするための荷役駆動手段と、
前記車体フレームの後方に突出した状態で当該車体フレームに固定されている固定バンパ、および前記固定バンパの車幅方向の外側方に配置される張出位置と積み降ろし作業中の前記コンテナの前部と非接触となる格納位置との間で移動可能な可動バンパを有するリヤバンパと、を備えた荷役車両であって、
前記可動バンパを前記張出位置と前記格納位置との間で移動させるバンパ駆動手段と、
前記荷役アームを回動させるための操作指令を出力する荷役操作手段と、
前記荷役操作手段により前記荷役アームを後方回動させるための操作指令が出力されると、前記バンパ駆動手段を駆動させて前記可動バンパを前記格納位置に移動させる制御装置と、
を備えていることを特徴とする荷役車両。
【請求項2】
前記制御装置は、前記バンパ駆動手段を駆動させながら、前記荷役駆動手段を駆動させて前記荷役アームを後方回動させる請求項1に記載の荷役車両。
【請求項3】
前記荷役アームが、積み込み作業中の前記コンテナの前部と前記可動バンパとが非接触となる回動範囲内にあることを検知する回動位置検知手段をさらに備え、
前記制御装置は、前記荷役操作手段により前記荷役アームを前方回動させるための操作指令が出力され、かつ前記回動位置検知手段が検知状態のときに、前記可動バンパを前記張出位置に移動させるように前記バンパ駆動手段を駆動させる請求項1または2に記載の荷役車両。
【請求項4】
前記制御装置は、前記バンパ駆動手段を駆動させながら、前記荷役駆動手段を駆動させて前記荷役アームを前方回動させる請求項3に記載の荷役車両。
【請求項5】
前記制御装置は、前記荷役操作手段の操作指令により前記荷役アームを前方回動または後方回動させる際に、前記回動位置検知手段の検知状態に基づいて前記荷役駆動手段を駆動制御する請求項3または4に記載の荷役車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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