説明

荷箱蓋体の開閉装置

【課題】 比較的安価であって、蓋体を開閉するための操作ハンドルの操作量を自由に設計することができ、蓋体の自重等による力によって開閉方向に移動することを確実に防止できる荷箱蓋体の開閉装置を提供すること。
【解決手段】 操作入力部12に装着された操作ハンドル13を操作することによって、荷箱14の上側開口部を開閉するための蓋体を開閉方向に移動させることができ、蓋体が開閉方向に移動することを係止する係止状態と、蓋体を開閉方向に移動させることができる非係止状態とに切り替わる係止機構24を備え、操作ハンドル13を操作入力部12に装着すると、係合部材53が係合溝56から外れて操作ハンドル13を操作することができる非係止状態となり、操作ハンドル13を操作入力部12から取り外すと、係合部材53が係合溝56に係合して蓋体の開閉方向の移動を係止する係止状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に積載することができる荷箱に形成されている開口部を開閉するための蓋体を、開閉方向に移動させることができる荷箱蓋体の開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記従来の荷箱蓋体の開閉装置の一例として、車両に積載することができる荷箱に形成された上側開口部を開閉するための一対の蓋体を、開閉方向に移動させることができる荷箱蓋体の開閉装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この荷箱蓋体の開閉装置を使用して一対の蓋体を開閉移動させるときは、荷箱の側壁外面に設けられている操作ハンドルを、作業者が回動操作することによって行うことができる。
【0004】
そして、この従来の荷箱蓋体の開閉装置には示されてはいないが、例えば蓋体が自重によって開閉方向に移動しないように、セルフロックを採用することができる。
【0005】
このセルフロックは、作業者が操作ハンドルを操作することによって一対の蓋体を開閉方向に移動させることができるが、一対の蓋体の自重や、蓋体に掛かる外力等によっては蓋体が開閉方向に移動しないようにするものであり、例えばウォームとウォームホイールとを組み合わせたウォームギヤ機構を使用して実現することができる。
【0006】
このウォームには、駆動軸が設けられ、この駆動軸に操作ハンドルが取り付けられる。そして、ウォームホイールには、従動軸が設けられ、この従動軸は、一対の蓋体側と連結される。
【特許文献1】特開2004−59121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の荷箱蓋体の開閉装置にウォームギヤ機構を設けたものでは、ウォームギヤ機構が比較的高価であるので、装置全体の費用が嵩む。
【0008】
そして、ウォームギヤ機構を使用して、一対の蓋体の自重等による力によって蓋体が開閉方向に移動することを確実に防止しようとすると、ウォームギヤ機構の減速比を比較的大きくする必要がある。つまり、ウォームのねじり角を安息角(摩擦角)よりも小さくする必要がある。
【0009】
しかし、減速比を大きくすると、蓋体を開閉方向に移動させるときに、作業者が操作ハンドルを回動させる操作量が大きくなり、作業性が低下する。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、比較的安価であって、蓋体を開閉するための操作ハンドルの操作量、及び操作するための力を自由に選択して設計することができ、蓋体の自重等による力によって開閉方向に移動することを確実に防止することができる荷箱蓋体の開閉装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る張力計測装置は、操作入力部に対して着脱自在に装着された操作ハンドルを操作することによって、荷箱に形成されている開口部を開閉するための蓋体を開閉方向に移動させることができる荷箱蓋体の開閉装置において、前記蓋体が開閉方向に移動することを係止する係止状態と、前記蓋体を開閉方向に移動させることができる非係止状態とに切り替わる係止機構を備え、前記操作ハンドルを前記操作入力部に装着すると、前記係止機構が前記非係止状態となって前記操作ハンドルを操作することができ、前記操作ハンドルを前記操作入力部から取り外すと、前記係止機構が前記係止状態となって前記蓋体の開閉方向の移動を係止することができることを特徴とするものである。
【0012】
この発明に係る荷箱蓋体の開閉装置によると、操作ハンドルを操作入力部に装着すると、係止機構が非係止状態となって操作ハンドルを操作することができる。従って、操作ハンドルを操作することによって蓋体を開閉方向に移動させることができる。そして、操作ハンドルを操作入力部から取り外すと、係止機構が係止状態となって蓋体の開閉方向の移動を係止することができる。これによって、蓋体を必要に応じて強制的に例えば開蓋位置、閉蓋位置、又は所定の開口度の開蓋位置に固定して留めておくことができ便利である。
【0013】
そして、この発明に係る荷箱蓋体の開閉装置において、前記係止機構は、固定側部に回動自在に設けられ前記操作入力部を有する入力軸と、前記入力軸に固定して設けられ係合溝を有する被係合部と、前記固定側部に設けられ、前記操作ハンドルを前記操作入力部に装着すると、前記係合溝から引き離された、又は外れた退避外れた位置に移動し、前記操作ハンドルを前記操作入力部から取り外すと、前記係合溝に係合する係合位置に移動する係合部材とを備えるものとすることができる。
【0014】
このようにすると、操作ハンドルを操作入力部に装着すると、係合部材が係合溝から引き離された、又は外れた退避位置に移動して非係止状態となる。よって、操作ハンドルを操作すると、その操作量が入力軸を介して蓋体に伝達されて、蓋体を開閉方向に移動させることができる。そして、操作ハンドルを操作入力部から取り外すと、係合部材が係合溝に係合する係合位置に移動して係止状態となる。この係止状態では、蓋体に対してその自重等によって開閉方向に移動する力が掛かると、その力は、入力軸、被係合部、係合溝、及びその係合溝に係合する係合部材に伝わるが、係合部材が固定側部に設けられているので、蓋体の開閉方向の移動を確実に係止することができる。
【0015】
そして、この発明に係る荷箱蓋体の開閉装置において、前記被係合部は、外周部に複数の前記係合溝が設けられ、これら前記係合溝は、互いに対向する内側面が略平行し、前記入力軸の中心に向かって延びるように形成され、前記係合部材は、前記固定側部に揺動自在に設けられ、前記係合溝に係合可能な板状部材であり、前記係合部材を前記係合溝に係合させる方向に付勢する付勢手段を備えるものとすることができる。
【0016】
このようにすると、例えば操作ハンドルを操作して、蓋体を所望の開口度の開蓋位置に移動させて、その開蓋位置に係止しようとした場合に、その開蓋位置で操作ハンドルを操作入力部から取り外すと、係合部材が付勢手段の付勢力によって被係合部の側に向かい、その被係合部の外周に設けられている複数の係合溝のうちのその係合部材が向かう側に位置する係合溝に係合させることができる。このようにして、蓋体を略所望の開蓋位置に係止することができる。
【0017】
そして、それぞれの係合溝は、互いに対向する内側面が略平行し、入力軸の中心に向かって延びるように形成され、係合部材は、係合溝に係合可能な板状部材であるので、係合部材が係合溝に係合する係止状態において、蓋体に対して開方向及び閉方向のいずれの方向に力が掛かっても、その力が係合部材を係合溝から外す方向に作用することがなく、確実に係止状態を維持することができる。
【0018】
そして、この発明に係る荷箱蓋体の開閉装置において、前記操作ハンドルを前記操作入力部に装着していくと、前記操作ハンドルに設けられている退避操作部が前記係合部材に設けられている突起を押圧して、前記係合部材を前記付勢手段の付勢力に抗して揺動させて、前記退避位置に移動させる構成とすることができる。
【0019】
このようにすると、操作ハンドルを操作入力部に装着していくと、操作ハンドルに設けられている退避操作部が係合部材に設けられている突起を押圧して、係合部材を付勢手段の付勢力に抗して揺動させて退避位置に移動させることができる。このようにして非係止状態とすることができる。そして、操作ハンドルを操作入力部から取り外す方向に移動させていくと、操作ハンドルに設けられている退避操作部が係合部材に設けられている突起から引き離されるので、係合部材が付勢手段に付勢されて、自動的に係合溝に係合する係合位置に揺動することができる。このようにして係止状態となる。
【0020】
この発明に係る荷箱蓋体の開閉装置において、前記被係合部は、外周部に複数の前記係合溝が設けられ、これら前記係合溝は、互いに対向する内側面が略平行し、前記入力軸の中心に向かって延びるように形成され、前記係合部材は、係合縁部及び切欠き部を有し、当該係合縁部及び切欠き部が前記入力軸と略平行する略直線方向に移動するように前記固定側部に移動自在に設けられ、前記操作ハンドルを前記操作入力部に装着すると、前記切欠き部が前記被係合部の外周部を収容する退避位置に移動し、前記操作ハンドルを前記操作入力部から取り外すと、前記係合縁部が前記係合溝に係合する係合位置に移動する板状部材であり、前記係合部材の前記係合縁部を前記係合溝に係合させる方向に付勢する付勢手段を備えるものとすることができる。
【0021】
このようにすれば、操作ハンドルを操作入力部に装着すると、切欠き部が被係合部の外周部を収容する退避位置に移動し、このとき、係止縁部は、係合溝から外れているので、作業者が操作ハンドルを操作して、蓋体を所望の開口度の開蓋位置に移動させることができる。次に、蓋体をその開蓋位置に係止するときは、その開蓋位置で操作ハンドルを操作入力部から取り外せばよい。このとき、係合部材が付勢手段の付勢力によって略直線方向に移動して、その係合部材に形成されている係合縁部を、被係合部の外周に設けられている複数の係合溝のうち、その係合縁部の移動方向の前方に位置する係合溝に係合させることができる。このようにして、蓋体を所望の開蓋位置又は閉蓋位置に係止することができる。
【0022】
そして、それぞれの係合溝は、互いに対向する内側面が略平行し、入力軸の中心に向かって延びるように形成され、係合部材は、その係合縁部が係合溝に係合可能な板状部材であるので、上記したように、確実に係止状態を維持することができる。更に、係合縁部が係合溝に係合した状態で、蓋体に外力が掛かり、係合溝の内側面が係合縁部の上面又は下面を押圧する力が働いたときに、係合溝の内側面が、係合縁部を入力軸と直交する外方向に押し出そうとする力を生じることがあったとしても、係合縁部は、入力軸と略平行する方向にしか移動することができないので、係合縁部が係合溝から外れ難くすることができる。
【0023】
この発明に係る荷箱蓋体の開閉装置において、前記操作ハンドルを前記操作入力部に装着していくと、前記操作ハンドルに設けられている退避操作部が前記係合部材に設けられている退避被操作部を押圧して、前記係合部材を前記付勢手段の付勢力に抗して前記退避位置に移動させる構成とすることができる。
【0024】
このようにすれば、操作ハンドルを操作入力部に装着していくと、操作ハンドルの退避操作部が係合部材の退避被操作部を押圧して、係合部材を付勢手段の付勢力に抗して退避位置に移動させることができる。係合部材が退避位置に移動すると、係合縁部が係合溝から外れた状態となり、非係止状態にすることができる。そして、操作ハンドルを操作入力部から取り外す方向に移動させていくと、操作ハンドルの退避操作部が係合部材の退避被操作部から引き離されるので、係合部材が付勢手段に付勢されて、自動的に係合縁部が係合溝に係合する係合位置に移動することができる。このようにして係止状態となる。
【0025】
そして、この発明に係る荷箱蓋体の開閉装置において、前記蓋体の開閉方向の移動に対して抵抗力を発生するダンパー部を備えるものとすることができる。
【0026】
このようにダンパー部を設けると、例えば蓋体がその自重による力や外力によって、開蓋方向又は閉蓋方向に移動するときに、抵抗力(制動力)を発生してその移動速度を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明に係る荷箱蓋体の開閉装置によると、ウォームギヤ機構を使用せずに、蓋体が開閉方向に移動することを係止する係止状態と、蓋体を開閉方向に移動させることができる非係止状態とに切り替えることができる係止機構を備える構成としたので、この荷箱蓋体の開閉装置の費用を比較的安価にすることができる。
【0028】
そして、係止機構による蓋体に対する係止状態及び非係止状態に切り替わる構成自体は、蓋体を開閉するための操作ハンドルの操作量に影響を与えることがないので、蓋体を開閉するための操作ハンドルの操作量、及び操作するための力が適切な大きさとなるように自由に選択して設計することができ、しかも、蓋体の自重や、蓋体に掛かる外力等による開閉方向の移動を確実に防止することができる。
【0029】
また、請求項3及び5に係る荷箱蓋体の開閉装置によると、係合部材を係合溝に係合させる方向に付勢する付勢手段を備える構成としたので、作業者が操作ハンドルを操作入力部から取り外すと、自動的に係止機構が蓋体に対して係止状態となり、係止機構を係止状態にする操作が不要であり作業性が良い。更に、作業者が操作ハンドルを操作入力部に装着すると、自動的に係止機構が蓋体に対して非係止状態となるので、係止機構を非係止状態にする操作が不要であり作業性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る荷箱蓋体の開閉装置の第1実施形態を、図1〜図9を参照して説明する。この荷箱蓋体の開閉装置11は、図7及び図8に示すように、操作入力部12に対して着脱自在に装着された操作ハンドル13を、作業者が回動操作することによって、荷箱14に形成されている上側開口部14aを開閉するための一対の蓋体15、15を、開閉方向に移動させることができるものである。図7は、閉蓋状態を示し、図8は、開蓋状態を示している。
【0031】
荷箱14は、例えば廃棄物や土砂を積み込むことができるものであり、車両に積載して使用したり、車両から降ろして使用することができるものである。この荷箱14は、図5〜図7に示すように、略直方体の箱体であり、上部には、矩形の上側開口部14aが形成され、後部にも矩形の後部開口部14bが形成されている。この上側開口部14aは、一対の蓋体15、15によって開閉され、後部開口部14bは後部扉16によって開閉されるようになっている。
【0032】
また、この略直方体の荷箱14は、図5〜図7に示すように、前壁部17、左右の側壁部18、18、前後の上壁部19、19、及び底壁部20によって形成されている。そして、4つの各角部には、支柱21、21、21、21が設けられており、内側には、廃棄物等を収容できる空間が形成されている。そして、この荷箱14の上側開口部14aを開閉するための一対の蓋体15、15を開閉移動させるものが、この実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置11である。
【0033】
この実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置11は、図7に示すように、一対の蓋体15、15を開閉動作させるための開閉機構22、この開閉機構22と連結する操作力伝達機構23、この操作力伝達機構23に設けられている係止機構24、及び操作力伝達機構23に操作力を付与するための操作ハンドル13を備えている。
【0034】
開閉機構22は、図5の平面図に示すように、左側蓋体15(図5に示す上側の蓋体15)を開閉するための左前部開閉機構26及び左後部開閉機構27を備え、右側蓋体15(図5に示す下側の蓋体15)を開閉するための右前部開閉機構28及び右後部開閉機構29を備えている。これら左前部開閉機構26、左後部開閉機構27、右前部開閉機構28、及び右後部開閉機構29は、それぞれ同等のものであるので、それぞれの同等部分を同一の図面符号で示すと共に、左前部開閉機構26を説明し、それ以外の開閉機構27、28、29の説明を省略する。
【0035】
この左前部開閉機構26は、図7に示すように、左側蓋体15の先端部に設けられている支持軸30を有し、この支持軸30には、アーム31の先端部が回動自在に連結し、このアーム31の基端部が揺動軸32を介して揺動自在に軸受33に支持されている。そして、この軸受33は、上壁部19に取り付けられている。また、この左側蓋体15は、荷箱14の側壁部18の上部に設けられている案内ローラ34によって、開閉方向に移動自在に支持されている。
【0036】
このように構成された左前部開閉機構26によると、アーム31が図7に示す右側揺動位置の状態で、左側蓋体15が閉蓋位置となる。そして、このアーム31を、揺動軸32を中心にして反時計方向に揺動させて左側揺動位置に移動させると、図8に示すように、左側蓋体15が案内ローラ34上を左方向に移動して、最終的には、側壁部18と間隔を隔てて略平行する開蓋状態となる。逆に、図8に示す左側揺動位置にあるアーム31を、図7に示す右側揺動位置に揺動させると、その開蓋位置にある左側蓋体15を閉蓋位置に移動させることができる。
【0037】
ただし、図9に示すように、左側蓋体15と右側蓋体15とを同期して開閉方向に移動させることができるように、左前部開閉機構26(左後部開閉機構27)及び右前部開閉機構28(右後部開閉機構29)のそれぞれの揺動軸32と32とを、第1スプロケット35、環状の第1チェーン36、及び第1スプロケット35を介して互いに連結している。この第1スプロケット35、35は、それぞれ揺動軸32、32に固着して設けられ、第1チェーン36は、8の字状にこれら2つの第1スプロケット35、35に掛けられている。
【0038】
また、右前部開閉機構28と右後部開閉機構29とが同期して右側蓋体15を開閉方向に移動させることができるように、図5に示すように、それぞれの揺動軸32と32とを、第3スプロケット37、環状の第2チェーン38、第2スプロケット39、連結軸40、第2スプロケット39、第2チェーン38、及び第3スプロケット37を介して互いに連結している。この連結軸40は、揺動自在に軸受41、41に支持されており、この連結軸40の各端部に第2スプロケット39、39が固着して設けられている。更に、各揺動軸32に第3スプロケット37が固着して設けられ、これら2対の第2スプロケット39及び第3スプロケット37のそれぞれに第2チェーン38が掛けられている。
【0039】
更に、図7に示すように、閉蓋状態で、一対の蓋体15、15のそれぞれの先端部が直接に当接しないように、左側及び右側蓋体15、15のそれぞれの先端部にシール部材42を設けてある。そして、この閉蓋状態では、左側及び右側蓋体15、15の各先端部に設けられたシール部材42と、右側及び左側蓋体15、15の各先端部とが互いに当接しており、これによって、一対の蓋体15、15がこの閉蓋位置から更に閉方向に移動しないように係止することができる。
【0040】
そして、図8に示すように、開蓋状態で、一対の蓋体15、15のそれぞれが直接に側壁部18、18に当接しないように、各側壁部18の外面にクッションゴム43を設けてある。そして、この開蓋状態では、一対の蓋体15、15のそれぞれの外面がクッションゴム43に当接しており、これによって、一対の蓋体15、15がこの開蓋位置から更に開方向に移動しないように係止することができる。
【0041】
また、図8に示すように、揺動軸32には、リンク44を介してダンパー部45が連結している。このダンパー部45は、一対の蓋体15、15がその自重による力や外力によって、開蓋方向又は閉蓋方向に移動するときに、制動力を発生してその移動速度を小さくすることができるものである。このダンパー部45は、例えばエアーシリンダ装置を利用して形成され、ピストンロッド45aの先端部がリンク44の先端部と揺動自在に連結し、シリンダ部45bの基端部が上壁部19と揺動自在に連結している。また、リンク44の基端部は、揺動軸32と結合している。
【0042】
次に、操作力伝達機構23を、図7、図3及び図4を参照して説明する。この操作力伝達機構23は、図7に示すように、作業者が操作ハンドル13を回動操作したときに、その操作力を開閉機構22に伝達するためのものであり、この操作ハンドル13が着脱自在に装着される操作入力部12、入力軸46、第4スプロケット47、第3チェーン48、及び第5スプロケット49を備えている。
【0043】
操作入力部12は、図3の拡大側面図に示すように、入力軸46の先端部に形成された略四角柱形状のものである。そして、この操作入力部12に対して操作ハンドル13の先端部に形成されている装着孔13aを嵌め込むことができるように、この装着孔13aは、略四角孔に形成されている。また、この操作入力部12は、作業者が前壁部17の外側から操作ハンドル13の装着孔13aを嵌め込むことができるように、前壁部17に形成されている挿入孔から外側に露出するように配置されている。
【0044】
入力軸46は、図3に示すように、2つの軸受50、50によって回動自在に支持され、この入力軸46には第4スプロケット47が固着して設けられている。また、図7に示すように、揺動軸32には、第5スプロケット49が固着して設けられ、これら第5スプロケット49及び第4スプロケット47に環状の第3チェーン48が掛けられている。なお、入力軸46を回動自在に支持する2つの軸受50、50は、取付台51にボルト(図示せず)で固定して設けられている。
【0045】
この図7に示す操作力伝達機構23によると、作業者が、操作ハンドル13の先端部に形成されている装着孔13aを、操作入力部12に装着してこの操作ハンドル13を回動させると、その回転が操作入力部12、入力軸46、第4スプロケット47、第3チェーン48、及び第5スプロケット49を介して右前部開閉機構28に設けられている揺動軸32に伝達される。そして、この揺動軸32が回動することによって、一対の蓋体15、15を開閉方向に移動させることができる。つまり、図7に示す操作ハンドル13を時計方向に回転させると、一対の蓋体15、15を開蓋方向に移動させることができる。そして、操作ハンドル13を反時計方向に回転させると、一対の蓋体15、15を閉蓋方向に移動させることができる。
【0046】
次に、図1〜図4を参照して係止機構24を説明する。この係止機構24は、図1に示すように、操作ハンドル13を操作入力部12から取り外すと、係止機構24が係止状態となって一対の蓋体15、15の開閉方向の移動を係止することができ、図3に示すように、操作ハンドル13を操作入力部12に装着すると、係止機構24が非係止状態となって操作ハンドル13を操作することができ、一対の蓋体15、15を開閉方向に移動させることができるものである。
【0047】
この係止機構24は、図1に示すように、被係合部52と、係合部材53とを備えており、取付台51に設けられている。この取付台51は、脚部54を介して側板55に設けられ、この側板55は、前壁部17の内面に設けられている。
【0048】
被係合部52は、図1及び図2に示すように、円板状部材であり、その中心に入力軸46が固定して設けられている。この被係合部52の外周部には、例えば合計12個の係合溝56、・・・が外周部に沿って等間隔で形成されている。そして、これらの各係合溝56は、U字形状の溝であり、互いに対向する内側面が略平行し、入力軸46の中心に向かって延びるように形成されている。
【0049】
係合部材53は、図1及び図2に示すように、細長い略長方形の板状部材であり、基端部が枢軸57を介して揺動自在にブラケット58に設けられている。この係合部材53の揺動方向は、鉛直面と平行する面内である。そして、ブラケット58は、取付台51と結合している。
【0050】
この係合部材53は、図3及び図4に示すように、操作ハンドル13を操作入力部12に装着すると、係合溝56から引き離された退避位置に揺動移動することができる。そして、図1及び図2に示すように、操作ハンドル13を操作入力部12から取り外すと、この係合部材53の一方の縁部が、この縁部と対向する位置に配置されている係合溝56に係合する係合位置に揺動移動することができる。従って、この係合部材53の一方の縁部は、U字形状の係合溝56に係合することができる形状及び大きさに形成されている。
【0051】
また、この係合部材53には、図1及び図2に示すように、付勢手段59が取り付けられている。この付勢手段59は、例えば引っ張りコイルばねであり、係合部材53を係合溝56に係合させる方向に付勢するためのものである。付勢手段59は、一方の端部が係合部材53の基端部と連結しており、他方の端部が引止めブラケット60に連結している。この引止めブラケット60は、取付台51に設けられている固定板61に結合している。
【0052】
なお、図1に示す62、62は、テンションボルトである。この2本のテンションボルト62、62は、第3チェーン48にテンションを付与するためのものであり、それぞれの頭部は、固定板61に係合している。そして、2本のテンションボルト62、62のそれぞれの先端部は、引止め板63にナット64、64で締結されて連結している。この引止め板63は、前壁部17及び側板55と結合している。また、取付台51は、テンションを掛ける方向に移動自在に、脚部54にボルト(図示せず)で取り付けられている。
【0053】
更に、図1に示すように、係合部材53の基端部には、突起65が形成されている。この突起65は、操作入力部12に向かう方向に突出している。そして、この突起65は、図3に示すように、操作ハンドル13の装着孔13a内に操作入力部12に装着していくと、この装着孔13aが形成されている短円筒形状の退避操作部66に押圧されるように形成されている。
【0054】
このように退避操作部66が形成された操作ハンドル13によると、図3に示すように、この操作ハンドル13の装着孔13a内に操作入力部12を装着していくと、操作ハンドル13に設けられている退避操作部66が係合部材53に設けられている突起65を押圧して、係合部材53を付勢手段59の付勢力に抗して揺動させて係合位置から退避位置に移動させることができる。このようにして非係止状態とすることができる。この非係止状態では、操作ハンドル13を回動させることができ、操作ハンドル13を回動させることによって、一対の蓋体15、15を開閉移動させることができる。
【0055】
次に、図1に示すように、操作ハンドル13の装着孔13a内から操作入力部12を抜き取る方向に操作ハンドル13を移動させていくと、操作ハンドル13に設けられている退避操作部66が係合部材53に設けられている突起65から引き離されるので、係合部材53が付勢手段59に付勢されて、自動的に係合溝56に係合する係合位置に揺動することができる。このようにして係止状態となる。この係止状態では、操作入力部12を回動させることができないし、一対の蓋体15、15に外力が掛かっても、蓋体15、15が開閉方向に移動しないように係止することができる。
【0056】
次に、上記のように構成された荷箱蓋体の開閉装置11の作用を説明する。今、図7に示すように、一対の蓋体15、15が閉蓋状態であって、図1に示すように、操作入力部12に操作ハンドル13が装着されていない係止状態であるとすると、この一対の蓋体15、15は、それぞれの先端縁部がシール部材42を介して互いに突き合わされているので、蓋体15、15の自重や外力によって閉蓋方向に移動しないようになっている。
【0057】
そして、図1及び図2に示すように、係止機構24の係合部材53が係合溝56に係合しているので、一対の蓋体15、15が閉蓋方向及び開蓋方向のいずれの方向にも移動しないように係止した係止状態となっている。これによって、一対の蓋体15、15の閉蓋方向の移動に対して、2重にロックを掛けることができる。
【0058】
次に、一対の蓋体15、15を開蓋位置に移動させるときは、まず、図3及び図4に示すように、操作ハンドル13を操作入力部12に装着する。これによって、係合部材53が係合溝56から外れる方向に揺動して退避位置に移動して非係止状態となる。
【0059】
そして、この非係止状態で、作業者が図7に示す操作ハンドル13を時計方向に回転させると、この回転が操作力伝達機構23及び開閉機構22を介して一対の蓋体15、15に伝達され、図8に示すように、一対の蓋体15、15を開蓋方向に移動させて開蓋状態にすることができる。この開蓋状態で、操作ハンドル13を操作入力部12から取り外すと、図1に示すように係止状態となり、一対の蓋体15、15が閉蓋方向及び開蓋方向のいずれの方向にも移動しないように係止することができる。
【0060】
次に、一対の蓋体15、15を所望の開口度の開蓋状態にするときは、まず、図3及び図4に示すように、操作ハンドル13を操作入力部12に装着する。これによって、この開閉装置11は、非係止状態となる。そして、この非係止状態で、例えば作業者が図7に示す操作ハンドル13を時計方向に回転させて、一対の蓋体15、15を所望の開口度の開蓋位置に移動させる。この所望の開口度の開蓋状態で、操作ハンドル13を操作入力部12から取り外すと、図1に示すように係止状態となり、所望の開口度の開蓋状態にある一対の蓋体15、15が、閉蓋方向及び開蓋方向のいずれの方向にも移動しないように係止することができる。
【0061】
このように、この図1に示す荷箱蓋体の開閉装置11によると、ウォームギヤ機構を使用せずに、蓋体15、15が開閉方向に移動することを係止する係止状態(図1参照)と、蓋体15、15を開閉方向に移動させることができる非係止状態(図3参照)とに切り替えることができる係止機構24を備える構成としたので、この荷箱蓋体の開閉装置11の費用を比較的安価にすることができる。
【0062】
そして、係止機構24による蓋体15、15に対する係止状態及び非係止状態に切り替わる構成自体は、蓋体15、15を開閉するための操作ハンドル13の操作量に影響を与えることがないので、蓋体15、15を開閉するための操作ハンドル13の操作量、及び操作するための力が適切な大きさとなるように自由に選択して設計することができ、しかも、蓋体15、15の自重や、蓋体15、15に掛かる外力等による開閉方向の移動を確実に防止することができる。
【0063】
また、この荷箱蓋体の開閉装置11によると、図1及び図3に示すように、係合部材53を係合溝56に係合させる方向に付勢する付勢手段59を備える構成としたので、作業者が操作ハンドル13を操作入力部12から取り外すと、付勢手段59の付勢力によって自動的に係合部材53が係合溝56に係合して、蓋体15、15に対して係止状態(図1参照)となり、係合部材53を係合溝56に係合させる操作が不要であり作業性が良い。更に、作業者が操作ハンドル13を操作入力部12に装着すると、退避操作部66が突起65を押圧して移動させることによって自動的に係合部材53が係合溝56から引き離されて、蓋体15、15に対して非係止状態(図3参照)となるので、係合部材53を係合溝56から引き離す操作が不要であり作業性が良い。
【0064】
更に、例えば一対の蓋体15、15を開蓋方向又は閉蓋方向に移動させている途中で、蓋体15、15に対して開蓋方向又は閉蓋方向に移動させる外力や自重による力が働いたときは、一対の蓋体15、15がその外力等が掛かった方向への移動を抑制する制動力をダンパー部45が発生することができる。これによって、操作ハンドル13がその外力等の掛かった方向に速い速度で回転することを防止できる。そして、この状態で、操作ハンドル13を操作入力部12から取り外すと、自動的に係合部材53が付勢手段59に付勢されて揺動して係合溝56に係合する係止状態となる。この係止状態では、一対の蓋体15、15を確実に係止することができる。
【0065】
つまり、例えば操作ハンドル13を操作して、蓋体15、15を所望の開口度の開蓋位置に移動させて、その開蓋位置に係止しようとした場合に、図1及び図2に示すように、その開蓋位置で操作ハンドル13を操作入力部12から取り外すと、係合部材53が付勢手段59に付勢されて被係合部52の側に向かい、その被係合部52の外周に設けられている複数の係合溝56のうちのその係合部材53が向かう側に位置する係合溝56に係合させることができる。このようにして、蓋体15、15を略所望の開蓋位置に係止することができる。
【0066】
そして、それぞれの係合溝56は、図2に示すように、互いに対向する内側面が略平行し、入力軸46の中心に向かって延びるように形成され、係合部材53は、係合溝56に係合可能な板状部材であるので、係合部材53が係合溝56に係合する係止状態において、蓋体15、15に対して開方向及び閉方向のいずれの方向に力が掛かっても、その力が係合部材53を係合溝56から外す方向に作用することがなく、確実に係止状態を維持することができる。
【0067】
また、図1に示す係止状態では、蓋体15、15に対してその自重等によって開閉方向に移動する力が掛かると、その力は、第5スプロケット49、第3チェーン48、第4スプロケット47、入力軸46、被係合部52、係合溝56、及びその係合溝56に係合する係合部材53に伝わるが、係合部材53が固定側の取付台51に設けられているので、蓋体15、15の開閉方向の移動を確実に係止することができる。
【0068】
次に、本発明に係る荷箱蓋体の開閉装置の第2実施形態を、図10〜図14を参照して説明する。この第2実施形態の荷箱蓋体の開閉装置と、第1実施形態の荷箱蓋体の開閉装置11とが相違するところは、図10〜図14に示す第2実施形態の係止機構71と、図3に示す第1実施形態の係止機構24とが相違するところである。
【0069】
つまり、図3に示す第1実施形態の係止機構24は、操作ハンドル13を操作入力部12に着脱することによって、係合部材53が枢軸57を中心にして揺動移動して、係合部材53の縁部が係合溝56に対して係合していない退避位置(非係止状態)と、係合する係合位置(係止状態)とに切り替えることができる構成(揺動移動形式)としたものである。
【0070】
これに対して、図14(a)、(b)に示す第2実施形態の係止機構71は、操作ハンドル13を操作入力部12に着脱することによって、係合部材72が直線往復移動して、係合部材72の係合縁部72aが係合溝56に対して係合していない退避位置(非係止状態)と、係合する係合位置(係止状態)とに切り替えることができる構成(直線移動形式)としたものである。
【0071】
これ以外は、第1実施形態と同等の構成であり同様に作用するので、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの詳細な説明を省略する。図10〜図12は、非係止状態の係止機構71を示し、図10(a)は平面図、図10(b)は右側面図、図11(a)は左側面図、図11(b)は正面図、図12(a)は左側面斜視図、図12(b)は右側面斜視図である。
【0072】
この第2実施形態の係止機構71は、図10(a)、(b)に示すように、被係合部52と、係合部材72とを備えており、これらは取付台51に設けられている。この取付台51は、図1に示す第1実施形態の係止機構24と同様に、脚部54を介して側板55に設けられ、この側板55は、前壁部17の内面に設けられている。
【0073】
被係合部52は、図1に示す第1実施形態のものと同等のものであって、円板状部材であり、その中心に入力軸46が固定して設けられている。そして、この入力軸46は、軸受50、50を介して回動自在に取付台51に設けられている。また、この被係合部52の外周部には、例えば合計12個の係合溝56、・・・が形成されている(図11(b)参照)。
【0074】
係合部材72は、図12(a)に示すように、取付台51の左側面側に配置されている。この係合部材72は、細長い略長方形の板状部材であり、取付台51に向かう側の縁部に係合縁部72a及び切欠き部72bが形成されている。そして、係合部材72は、これら係合縁部72a及び切欠き部72bが入力軸46と略平行する直線方向に移動自在にブラケット(73、73)、(73、73)に設けられている。
【0075】
また、係合部材72を上記直線方向に移動自在に支持する支持構成は、図12(a)に示すように、係合部材72の両方の各端部に、当該直線方向に延びる長孔74、74が形成され、これら各長孔74、74に案内ピン75、75が挿通し、そして、これら各案内ピン75、75が各ブラケット(73、73)、(73、73)に設けられているものである。そして、各ブラケット(73、73)、(73、73)は、取付台51に固定して設けられている。
【0076】
この係合部材72は、図13(a)及び図14(b)に示すように、操作ハンドル13を操作入力部12に装着すると、直線方向に奥側に移動して、係合縁部72aが係合溝56から外れた退避位置(非係止状態)に移動することができる。このとき、切欠き部72bは、被係合部52の係合溝56が形成されている外周部を収容する状態となっている。
【0077】
そして、図12(a)及び図14(a)に示すように、操作ハンドル13を操作入力部12から取り外すと、係合部材72が直線方向に手前側に移動して、係合縁部72aが係合溝56に係合する係合位置(係止状態)に移動することができる。従って、この係合部材72の係合縁部72aは、U字形状の係合溝56に係合することができる形状及び大きさに形成されている。このとき、切欠き部72bは、被係合部52の外周部から離れた位置に移動している。
【0078】
また、この係合部材72には、図12(a)に示すように、付勢手段59が取り付けられている。この付勢手段59は、例えば引っ張りコイルばねであり、係合部材72の係合縁部72aを係合溝56に係合させる方向(操作ハンドル13側である手前方向)に付勢するためのものである。付勢手段59は、一方の端部が係合部材72の先端部と連結しており、他方の端部が操作入力部12側の手前のブラケット73、73に連結している。そして、図12(a)に示すように、係合部材72が付勢手段59に付勢されて係合位置にあるときは、案内ピン75、75が各長孔74、74の内縁に当接してその係合位置で係合部材72が停止している。
【0079】
なお、図10(b)に示す62、62は、テンションボルトである。この2本のテンションボルト62、62は、図1に示す第1実施形態のものと同等のものであって、第3チェーン48にテンションを付与するためのものであり、それぞれの頭部は、固定板61に係合している。そして、2本のテンションボルト62、62のそれぞれの先端部は、図1に示すように、引止め板63にナット64、64で締結されて連結している。
【0080】
更に、操作ハンドル13を操作入力部12に装着していない状態を示す図14(a)の平面図、及び操作ハンドル13を操作入力部12に装着している状態を示す図14(b)の平面図に示すように、係合部材72の基端部には、取付け部材76を介して略円筒形状の退避被操作部77が設けられている。
【0081】
この退避被操作部77は、操作入力部12を内側に収容し、この操作入力部12と隙間を隔てた状態で、操作入力部12と同軸上に設けられている。そして、この退避被操作部77は、図14(b)に示すように、操作ハンドル13の装着孔13aを操作入力部12に装着していくと、この装着孔13aが形成されている短円筒形状の退避操作部66に押圧されて押し込まれるように形成されている。
【0082】
次に、上記のように構成された荷箱蓋体の開閉装置を使用して、例えば閉蓋状態の一対の蓋体15、15を、開閉移動させて所望の開蓋位置に移動させるときの手順、及び作用を説明する。
【0083】
まず、図13(a)、(b)、図14(b)に示すように、操作ハンドル13の装着孔13aを操作入力部12に装着していく。すると、操作ハンドル13に設けられている退避操作部66が係合部材72に設けられている退避被操作部77を押圧して、係合部材72を付勢手段59の付勢力に抗して直線方向の奥側に向かって移動させて、係合位置から退避位置に移動させることができる。このようにして、係合部材72に形成されている切欠き部72bが被係合部52の外周部を収容する非係止状態にすることができる。この非係止状態では、作業者は、操作ハンドル13を回動させることができ、操作ハンドル13を回動させることによって、一対の蓋体15、15を開閉移動させることができる。よって、蓋体15、15を所望の開蓋位置に移動させることができる。
【0084】
次に、図12(a)、(b)、図14(a)に示すように、作業者が、操作ハンドル13の装着孔13a内から操作入力部12を抜き取る方向に操作ハンドル13を移動させていくと、操作ハンドル13に設けられている退避操作部66が係合部材72に設けられている退避被操作部77から引き離されるので、係合部材72が付勢手段59に付勢されて、自動的に直線方向の手前側に向かって移動して、退避位置から係合位置にすることができる。このようにして、係合部材72に形成されている係合縁部72aが係合溝56に係合する係止状態となる。この係止状態では、作業者は、操作ハンドル13(操作入力部12)を回動させることができないし、一対の蓋体15、15に外力が掛かっても、蓋体15、15が開閉方向に移動しないように係止することができる。よって、蓋体15、15を所望の開蓋位置に固定することができる。
【0085】
そして、図12(a)、(b)等に示すように、被係合部52に形成されているそれぞれの係合溝56は、互いに対向する内側面が略平行し、入力軸46の中心に向かって延びるように形成され、係合部材72は、その係合縁部72aが係合溝56に係合可能な一定の厚みの板状部材であるので、第1実施形態と同様に、確実に係止状態を維持することができる。
【0086】
更に、図12(a)に示す係合縁部72aが係合溝56に係合した状態で、蓋体15に外力が掛かり、係合溝56の内側面が係合縁部72aの上面又は下面を押圧する力が働いたときに、係合溝56の内側面が、係合縁部72aを入力軸46と直交する外方向に押し出そうとする力を生じることがあったとしても、係合縁部72aは、入力軸46と略平行する方向にしか移動することができないので、係合縁部72aが係合溝56から外れることを防止できる。
【0087】
また、第2実施形態では、図14(a)、(b)に示すように、係合部材72は、係合縁部72aが入力軸46と略平行する略直線方向に移動して、係合縁部72aが図14(a)に示す係合位置と、図14(b)に示す退避位置とに切り替わる直線移動形式の構成としているので、図3に示す第1実施形態のように、係合部材53を揺動させて切り替える揺動移動形式と比較して、係合部材72を切り替えるために必要とする係合部材72の直線方向の移動スペース(直線方向の移動距離d)を小さくすることができ、係止機構71を小型にすることができる。
【0088】
そして、係合部材72の移動スペースを小さくできるので、その移動スペースに係合部材72の切り替え移動を妨げる物が介在する可能性を低くすることができ、操作の確実性を向上させることができる。また、係合部材72を切り替えるための移動距離dを、揺動移動形式と比較して短くすることができるので、切替え操作の安定性、確実性を向上させることができる。
【0089】
更に、図12(a)に示すように、係合部材72は、その両端部を案内ピン75、75及びブラケット(73、73)、(73、73)によって略直線方向に摺動自在に支持されている直線移動形式の構成としてあり、このように、係合部材72の両端部を支持する構成とすると、比較的簡単で安価に係合部材72の取付け構造の剛性を高めることができる。
【0090】
ただし、上記第1及び第2実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置11は、荷箱14の上側開口部14aを開閉するための一対の蓋体15、15に適用したが、これに代えて、荷箱14のこれ以外の蓋体、例えば後部開口部14bを開閉するための後部扉16に適用することができる。
【0091】
そして、上記第1及び第2実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置11では、車両に積載される荷箱14に設けられている蓋体15、15に適用したが、これに代えて、車両に積載されない荷箱に設けられている蓋体に適用することができる。
【0092】
また、図10(a)に示すように、上記第2実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置が備える係止機構71の係合部材72は、細長い略長方形の板状部材において、その一方の直線状の縁部であってその略中央部分を係合縁部72aとし、その左側方に矩形の切欠き部72bを形成したものとしたが、これに代えて、図には示さないが、係合部材が細長い略長方形の板状部材とし、その一方の直線状の縁部であってその略中央部分に矩形の凸部を設けてこれを係合縁部とし、その左側方の空間を切欠き部として使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上のように、本発明に係る荷箱蓋体の開閉装置は、比較的安価であって、蓋体を開閉するための操作ハンドルの操作量、及び操作するための力を自由に選択して設計することができ、蓋体の自重等による力によって開閉方向に移動することを確実に防止することができる優れた効果を有し、このような荷箱蓋体の開閉装置に適用するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】この発明の第1実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置が備える係止機構の係止状態を示す拡大側面図である。
【図2】同第1実施形態に係る同係止機構の係止状態を示す拡大正面図である。
【図3】同第1実施形態に係る同係止機構の非係止状態を示す拡大側面図である。
【図4】同第1実施形態に係る同係止機構の非係止状態を示す拡大正面図である。
【図5】同第1実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置が設けられている荷箱を示す平面図である。
【図6】同第1実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置が設けられている荷箱を示す側面図である。
【図7】同第1実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置が設けられている荷箱の閉蓋状態を示す正面図である。
【図8】同第1実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置が設けられている荷箱の開蓋状態を示す正面図である。
【図9】同第1実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置を示す正面図である。
【図10】同発明の第2実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置が備える係止機構の係止状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は右側面図である。
【図11】同第2実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置が備える係止機構の係止状態を示す図であり、(a)は左側面図、(b)は正面図である。
【図12】同第2実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置が備える係止機構の係止状態を示す図であり、(a)は左側面斜視図、(b)は右側面斜視図である。
【図13】同第2実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置が備える係止機構の非係止状態を示す図であり、(a)は左側面斜視図、(b)は右側面斜視図である。
【図14】同第2実施形態に係る荷箱蓋体の開閉装置が備える係止機構を示す図であり、(a)は係止状態を示す平面図、(b)は非係止状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0095】
11 荷箱蓋体の開閉装置
12 操作入力部
13 操作ハンドル
13a 装着孔
14 荷箱
14a 上側開口部
14b 後部開口部
15 蓋体
16 後部扉
17 前壁部
18 側壁部
19 上壁部
20 底壁部
21 支柱
22 開閉機構
23 操作力伝達機構
24 係止機構
26 左前部開閉機構
27 左後部開閉機構
28 右前部開閉機構
29 右後部開閉機構
30 支持軸
31 アーム
32 揺動軸
33、41、50 軸受
34 案内ローラ
35 第1スプロケット
36 第1チェーン
37 第3スプロケット
38 第2チェーン
39 第2スプロケット
40 連結軸
42 シール部材
43 クッション部材
44 リンク
45 ダンパー部
45a ピストンロッド
45b シリンダ部
46 入力軸
47 第4スプロケット
48 第3チェーン
49 第5スプロケット
51 取付台
52 被係合部
53 係合部材
54 脚部
55 側板
56 係合溝
57 枢軸
58 ブラケット
59 付勢手段
60 引止めブラケット
61 固定板
62 テンションボルト
63 引止め板
64 ナット
65 突起
66 退避操作部
71 係止機構
72 係合部材
72a 係合縁部
72b 切欠き部
73 ブラケット
74 長孔
75 案内ピン
76 取付け部材
77 退避被操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作入力部に対して着脱自在に装着された操作ハンドルを操作することによって、荷箱に形成されている開口部を開閉するための蓋体を開閉方向に移動させることができる荷箱蓋体の開閉装置において、
前記蓋体が開閉方向に移動することを係止する係止状態と、前記蓋体を開閉方向に移動させることができる非係止状態とに切り替わる係止機構を備え、
前記操作ハンドルを前記操作入力部に装着すると、前記係止機構が前記非係止状態となって前記操作ハンドルを操作することができ、
前記操作ハンドルを前記操作入力部から取り外すと、前記係止機構が前記係止状態となって前記蓋体の開閉方向の移動を係止することができることを特徴とする荷箱蓋体の開閉装置。
【請求項2】
前記係止機構は、固定側部に回動自在に設けられ前記操作入力部を有する入力軸と、
前記入力軸に固定して設けられ係合溝を有する被係合部と、
前記固定側部に設けられ、前記操作ハンドルを前記操作入力部に装着すると、前記係合溝から引き離された、又は外れた退避位置に移動し、前記操作ハンドルを前記操作入力部から取り外すと、前記係合溝に係合する係合位置に移動する係合部材とを備えることを特徴とする請求項1記載の荷箱蓋体の開閉装置。
【請求項3】
前記被係合部は、外周部に複数の前記係合溝が設けられ、これら前記係合溝は、互いに対向する内側面が略平行し、前記入力軸の中心に向かって延びるように形成され、
前記係合部材は、前記固定側部に揺動自在に設けられ、前記係合溝に係合可能な板状部材であり、
前記係合部材を前記係合溝に係合させる方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項2記載の荷箱蓋体の開閉装置。
【請求項4】
前記操作ハンドルを前記操作入力部に装着していくと、前記操作ハンドルに設けられている退避操作部が前記係合部材に設けられている突起を押圧して、前記係合部材を前記付勢手段の付勢力に抗して揺動させて、前記退避位置に移動させる構成としたことを特徴とする請求項3記載の荷箱蓋体の開閉装置。
【請求項5】
前記被係合部は、外周部に複数の前記係合溝が設けられ、これら前記係合溝は、互いに対向する内側面が略平行し、前記入力軸の中心に向かって延びるように形成され、
前記係合部材は、係合縁部及び切欠き部を有し、当該係合縁部及び切欠き部が前記入力軸と略平行する略直線方向に移動するように前記固定側部に移動自在に設けられ、前記操作ハンドルを前記操作入力部に装着すると、前記切欠き部が前記被係合部の外周部を収容する退避位置に移動し、前記操作ハンドルを前記操作入力部から取り外すと、前記係合縁部が前記係合溝に係合する係合位置に移動する板状部材であり、
前記係合部材の前記係合縁部を前記係合溝に係合させる方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項2記載の荷箱蓋体の開閉装置。
【請求項6】
前記操作ハンドルを前記操作入力部に装着していくと、前記操作ハンドルに設けられている退避操作部が前記係合部材に設けられている退避被操作部を押圧して、前記係合部材を前記付勢手段の付勢力に抗して前記退避位置に移動させる構成としたことを特徴とする請求項5記載の荷箱蓋体の開閉装置。
【請求項7】
前記蓋体の開閉方向の移動に対して抵抗力を発生するダンパー部を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の荷箱蓋体の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−255977(P2009−255977A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318252(P2008−318252)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】