説明

荷重変動機構及びこれを用いた砥石結合度試験装置

【課題】簡単な構造で被検体に加える荷重を変動可能な荷重変動機構及びこれを用いた砥石結合度試験装置を提供する。
【解決手段】昇降可能な錘支持体10と、鉛直方向にそれぞれ離間し、それぞれ鉛直下方向への移動が規制されて前記錘支持体に支持される複数の錘22〜29と、を備える。錘の下方に配置される被検体101に向けて錘支持体10が降下し、最も下位に位置する錘22が直接或いは間接的に被検体101に接触して最も下位に位置する錘22の荷重を被検体101に加え、更に錘支持体10が降下し、下方から順に離間していた錘22〜29同士が接触して被検体101に加えられる荷重が大きくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重変動機構及びこれを用いた砥石結合度試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
砥石の結合度を測定する大越式砥石結合度試験においては、砥石にビットを接触させ、このビットに所定の荷重を加えた状態で、ビットを所定角度回転させ、その食い込み深さを測定することが行われている。大越式砥石結合度試験においては、被検体である砥石の種類に応じ、砥石に加える荷重が異なる。このことから、加える荷重を変動可能であり、種々の試験方式に対応可能な砥石結合度試験装置が望まれている。
【0003】
また、種々のサンプルの圧縮強度や曲げ強度等の機械的強度を測定すべく、圧縮荷重試験や曲げ試験等が行われる。圧縮荷重や曲げ試験では、サンプルに徐々に大きな荷重を掛けていき、サンプルが破壊した際や屈曲した際に掛けられていた荷重を測定するものである。
【0004】
このような試験装置において、サンプルに加える荷重を変動可能な機構を備える装置が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【0005】
特許文献1に開示の荷重試験機は、錘支持フレームに複数個の荷重用錘が鉛直方向に並べて配置され、この荷重用錘は着脱自在なピン等により配置された装置である。
【0006】
特許文献2に開示の荷重載荷切換装置は、異なる重さの複数のウエイトリングを下位から軽い順に或る間隔をおいて同心上に静置するようにした複数個の掛止段部を有する階段状保持片と、各掛止段部に保持されたウエイトリングの中央部を縦貫し且つ上部を試験機の荷重載荷レバー端に垂下した案内筒と、最下位のウエイトリングの下側にあって電動機により上昇或は下降するように案内筒の外周に緩嵌保持されたウエイト掛止環とから構成される。そして、電動機の回動によりウエイト掛止環を上昇する時、最下位のウエイトリングによって順次上位ウエイトリングを重ねて受載するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】登録実用新案第3072735号公報
【特許文献2】特開平6−194286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示の装置では、人為的にピンを脱着することで、加える荷重を変更しており、操作が煩わしいとともに、時間を要するという課題を有する。また、人為的に荷重の変動を操作するものゆえ、荷重用錘の重量が大きい場合、荷重用錘の間に指を挟む等のおそれがある。
【0009】
特許文献2に開示の装置では、水平断面がそれぞれ異なるウエイトリングを備えること、また、階段状保持片を備えることから、構造が複雑化してしまう。
【0010】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構造で被検体に加える荷重を変動可能な荷重変動機構及びこれを用いた砥石結合度試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一の観点に係る荷重変動機構は、
昇降可能な錘支持体と、
鉛直方向にそれぞれ離間し、それぞれ鉛直下方向への移動が規制されて前記錘支持体に支持される複数の錘と、を備え、
前記錘の下方に配置される被検体に向けて前記錘支持体が降下し、最も下位に位置する前記錘が直接的或いは間接的に前記被検体に接触して、最も下位に位置する前記錘の荷重が前記被検体に加えられ、
更に前記錘支持体が降下し、下位から順に離間していた前記錘同士が接触していくことで前記被検体に加えられる荷重が変動する、
ことを特徴とする。
【0012】
また、前記錘支持体は前記錘の鉛直下方向への移動をそれぞれ規制する係止突起を有し、
それぞれの前記錘は前記係止突起によって係止されて支持されており、
前記錘にはその上方に位置する前記係止突起が通過可能な溝が設けられており、
前記錘は前記錘支持体が降下する際に、前記錘支持体に対して上方向へ相対移動が可能であることが好ましい。
【0013】
また、前記錘支持体の降下量を制御し、前記被検体に加える荷重を制御する制御装置を備えることが好ましい。
【0014】
本発明の第二の観点に係る砥石結合度試験装置は、
昇降可能な錘支持体と、
鉛直方向にそれぞれ離間し、それぞれ鉛直下方向への移動が規制されて前記錘支持体に支持される複数の錘と、
最も下位に位置する前記錘に直接的又は間接的に取り付けられるビットと、を備え、
前記錘支持体の下方に配置される砥石に対して前記錘支持体が降下し、前記ビットが前記砥石に接触して、前記砥石に最下位の前記錘の荷重を加えられ、
更に前記錘支持体が降下し、下位から順に離間していた前記錘同士が接触していくことで前記砥石に加えられる荷重が変動する、
ことを特徴とする。
【0015】
また、前記錘支持体は前記錘の鉛直下方向への移動をそれぞれ規制する係止突起を有し、
それぞれの前記錘は前記係止突起によって係止されて支持されており、
前記錘にはその上方に位置する前記係止突起が通過可能な溝が設けられており、
前記錘は前記錘支持体が降下する際に、前記錘支持体に対して上方向へ相対移動が可能であることが好ましい。
【0016】
また、前記錘支持体の降下量を制御し、前記被検体に加える荷重を制御する制御装置を備えることが好ましい。
【0017】
また、前記ビットを回転させる回転駆動装置を備え、
所定量の荷重を前記砥石に加えた後、前記ビットを所定角度回転させることが好ましい。
【0018】
また、前記回転駆動装置を所定角度回転させる制御装置を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る荷重変動機構では、錘支持体を被検体に向けて降下させるだけで、錘支持体に支持されている錘が下位から順に接触して被検体上に載置される。このように、簡単な構造で、被検体に加える荷重を変動させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】砥石結合度試験装置の側面図である。
【図2】砥石結合度試験装置の部分断面図である。
【図3】(A)は錘支持体の構造を示す側面図であり、(B)は(A)の白抜き矢印方向に見た錘支持体の構造を示す正面図である。
【図4】錘支持体にそれぞれ離間して錘が支持されている様子を示す側面図である。
【図5】錘支持体に支持される錘の斜視図である。
【図6】砥石結合度試験装置の動作を説明する部分断面図である。
【図7】砥石結合度試験装置の動作を説明する部分断面図である。
【図8】砥石結合度試験装置の動作を説明する部分断面図である。
【図9】(A)〜(D)は砥石結合度試験装置の動作を説明する断面図である。
【図10】砥石結合度試験装置の動作を説明する部分断面図である。
【図11】(A)、(B)は圧縮試験装置の動作を説明する正面図である。
【図12】(A)、(B)は曲げ試験装置の動作を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、砥石結合度試験装置を例にとりつつ、荷重変動機構について説明する。
【0022】
まず、図1〜図5を参照して砥石結合度試験装置1の構造について説明する。図1の側面図、及び、図2の内部構成図に示すように、砥石結合度試験装置1は、錘支持体10と、初期錘21と、錘22〜28と、ビット駆動装置30と、ビット31と、下部スライドベース40と、上部スライドベース41と、主軸ベース50と、ガイドレール60と、ボールネジ駆動装置70と、ボールネジ71と、ナットブロック72と、ナット73と、制御装置80とから構成される。
【0023】
錘支持体10は、図3(A)、(B)に示すように、上下の底板11a、11bと、底板11a、11bを繋ぐ側板12、13、14とを備えている。錘支持体10の側板14は、上部スライドベース41に連結しており、錘支持体10は上部スライドベース41の上下方向の移動に追随して上下動する構造である。また、錘支持体10は、内包する複数の錘22〜28を、鉛直下方向の移動をそれぞれ規制するよう支持している。
【0024】
初期錘21及び錘22〜28は、それぞれ砥石90に載置される荷重用錘である。初期錘20は略円柱体形状をしている。一方、錘22〜28は四角柱形状であり、下方に位置する錘22〜25は、錘支持体10内部に配置されている初期錘21やビット駆動装置30等に干渉しないよう、一部切り欠かれた構造である。
【0025】
最も下位に位置する初期錘21の下方には、被検体である砥石90に接触させるビット31が配置されている。初期錘21は、後述するように、錘22が係止されて載置される凸部21aを備える。また、初期錘21は、下部スライドベース40のストッパー40aに係止される凸部21bを備える。
【0026】
初期錘21の上方にはビット31を回転させるビット駆動装置30が配置されている。ビット駆動装置30の駆動は制御装置80により制御される。
【0027】
錘支持体10において、対向して配置されている側板12、13には、図3に示すように、係止突起12a〜12f及び係止突起13a〜13fが、それぞれ錘22〜28を向くように突出して設けられている。この係止突起12a〜12f、係止突起13a〜13fに、対応する錘23〜28の底面がそれぞれ係止され、錘23〜28の鉛直下方向への移動が規制されている。係止突起12a〜12fは、それぞれ互い違いに設けられている。係止突起13a〜13fもそれぞれ互い違いに設けられている。
【0028】
そして、初期錘21を除き、各錘22〜28は隣接する錘22〜28と離間した状態で支持されている。また、初期錘21と錘22も離間した状態で支持されている。
【0029】
また、図4に示すように、最も下位に位置する初期錘21及び最も上位に位置する錘28を除き、他の錘22〜27には、溝22a〜27a、22b〜27bが設けられている。溝22a〜27aは互い違いに設けられている。溝22b〜27bも同様に互い違いに設けられている。これにより、錘22〜27が錘支持体10に対して上方向へ相対移動する際に、側板12、13に形成されている係止突起12a〜12fが干渉しないようになっている。
【0030】
一例として、隣接して配置されている錘26、27の溝を図5に示している。溝26aと溝27aの位置が紙面上左右方向へずれている。溝26bと溝27bの位置についても同様である。これにより、錘26が錘支持体10に対して上方向へ相対移動する際に、錘27を係止している係止突起12e、13eに干渉しない。
【0031】
上部スライドベース41はガイドレール60に沿って、上下動可能に接続している。また、下部スライドベース40も同様にガイドレール60に沿って、上下動可能に接続している。
【0032】
下部スライドベース40及び上部スライドベース41は、不図示の連結部材、連結ベルトや連結チェーン等を介してナットブロック72に連結している。ナットブロック72にはナット73が内包されている。そして、ナット73はボールネジ71と螺合している。ボールネジ71の上方にはボールネジ71を回転させるボールネジ駆動装置70が備えられている。
【0033】
ボールネジ駆動装置70が駆動すると、ボールネジ71が回転するが、ボールネジ71に螺合しているナット73はナットブロック72によって自身の回転が規制されているため、ナット73は回転せずボールネジ71に沿って上下動する構成である。
【0034】
また、初期錘20はビット31を回転させるビット駆動装置30と接続しており、これらの初期錘20、ビット31、ビット駆動装置30は主軸ベース50に接続されている。主軸ベース50はガイドレール60に摺動可能に接続している。そして、主軸ベース50はガイドレール60に沿って上下動可能である。
【0035】
主軸ベース50は、下部スライドベース40及び上部スライドベース41の間に位置しており、上部スライドベース41の上下動に基づく初期錘21等の上下動に追随し、上下動するよう構成されている。
【0036】
続いて、図2、及び、図6〜図10を参照しつつ、砥石結合度試験装置1の動作について詳細に説明する。
【0037】
まず、図2に示すように、ビット31の下方に測定に供する砥石90を配置し、不図示の電源を入れると、駆動装置70の回転し、駆動装置70に連結しているボールネジ71が回転する。
【0038】
ボールネジ71の回転により、ナット73が内包されているナットブロック72が下降し、ナットブロック72に連結している下部スライドベース40及び上部スライドベース41が下降する。そして、上部スライドベース41に連結している錘支持体10が降下する。
【0039】
また、下部スライドベース40の下降に伴い、下部スライドベース40のストッパー40aに係止されている初期錘21、及び、初期錘21と連結しているビット駆動装置30やビット31も同期して下降する。なお、ビット駆動装置30等は主軸ベース50に連結しているので、主軸ベース50もガイドレール60に沿って下降する。
【0040】
なお、下部スライドベース40と上部スライドベース41はともに不図示の連結部材でナットブロック72にそれぞれ連結されているため、同じ速度で下降する。
【0041】
下部スライドベース40が下降していくと、図6に示すように、ビット31の先端が砥石90に接触する。
【0042】
そして、更に下部スライドベース40及び上部スライドベース41が下降し、ビット31が砥石90に当接すると、下部スライドベース40のストッパー40aに係止されていた初期錘21の下降が停止し、ビット31を介して初期錘21が砥石90に載置された状態、即ち砥石90に初期錘21の荷重が加わった状態になる。
【0043】
そして、初期錘21は、それ以上下降しないため、初期錘21に間接的に接続している主軸ベース50の下降も停止する。なお、この状態において、初期錘21に接続しているビット駆動装置30等の荷重は砥石90に加わらないよう構成されている。例えば、主軸ベース50は初期錘21の重量が加わらなければ降下しないよう、適度な負荷を持ってガイドレール60に接続されているとよい。
【0044】
ビット31が砥石90に接触した後、更に、下部スライドベース40及び上部スライドベース41が下降を続けると、上部スライドベース41に連結している錘支持体10も降下する。すると、図7に示すように、初期錘21に形成されている凸部21aに、錘支持体10の最下位に支持されている錘22の底面が引っかかり、載置される。この状態では、砥石90にはビット31を介して初期錘21及び錘22の荷重が加わっている。
【0045】
更に、上部スライドベース41が下降を続けると、錘支持体10も更に降下し、図8に示すように、錘支持体10の最下位に支持されていた錘22と錘22の上に離間して支持されていた錘23が接触する。錘22の上に錘23が載置されるので、砥石90には、ビット31を介して初期錘21、錘22及び錘23の荷重が加わる。
【0046】
上記の錘支持体10に支持されている錘22〜28の動きについて、図9を参照して更に詳述する。図9(A)は、錘22が初期錘21の凸部21aに係止されていない状態である。図9(B)に示すように錘支持体10が下降していくと、錘22の底面が初期錘21の凸部21aに係止され、錘支持体10が下降しても追随して下降せず、錘支持体10に対し相対的に上方へ移動する。この際、錘22には溝22a、22bが形成されているため、係止突起12a、12bが干渉することなく、錘支持体10に対して上方へ相対移動する。このため、錘22が初期錘21に載置された状態となり、初期錘21及び錘22の合計荷重がビット31を介して砥石90に加わる。
【0047】
更に、錘支持体10が下降して、図9(C)に示すように錘22と錘23が接触し、更に錘支持体10が下降すると、錘23の底面が係止突起12a、13aから離間し、図9(D)に示すように、錘23が錘22の上に載置された状態となる。この状態では、初期錘21及び錘22、23の合計荷重がビット31を介して砥石90に加わる。なお、この際も、錘23は形成されている溝23a、23bによって、係止突起12b、13bと干渉することなく、錘支持体10に対して上方へ相対移動する。
【0048】
図10に、更に上部スライドベース41が最大限下降し、錘支持体10にそれぞれ離間して支持されていた全ての錘22〜28同士が接触した状態を示す。錘24〜28が接触する動作については、上述した錘22〜23が接触する動作と同様である。それぞれの錘22〜27の上には錘23〜28が載置されており、初期錘21、及び、錘22〜28の荷重がビット31を介して砥石90に加えられている状態である。
【0049】
上記のように、砥石90に所定の荷重が加えられた後、制御装置80は、駆動装置70を停止させた後、ビット駆動装置30を回転駆動させる。これによりビット31が回転する。そして、ビット31が所定角度回転した後、制御装置80がビット駆動装置30の回転駆動を停止させる。
【0050】
ビット31の回転が停止した後、制御装置80は、ボールネジ50が上記とは逆向きに回転するよう、ボールネジ駆動装置70を駆動させる。すると、ナットブロック72が上昇するので、下部スライドベース40及び上部スライドベース41がガイドレール60に沿って上昇し、上部スライドベース41に連結している錘支持体10が上昇する。
【0051】
それぞれの錘23〜28が側板12、13の係止突起12a〜12f、13a〜13fに係止されて、上位に位置する錘28から順に引き上げられていく。また、錘22は錘支持体10の底板11bに載置されて引き上げられていく。
【0052】
更に、下部スライドベース40のストッパー41aに初期錘21の凸部21aが当接して係止され、初期錘22が引き上げられていく。初期錘22の上昇に伴い、ビット31が砥石90から離間していき、図2に示す元の状態に戻る。
【0053】
そして、ビット31によって砥石90に形成された食い込みの深さを測定することで、砥石結合度が測定される。
【0054】
なお、大越式砥石結合度試験においては、同一試料について、その平行する2平面上で互いに24mm以上離れた3ヶ所以上の各点について測定を行うよう規定されている。したがって、砥石90を不図示のサンプル台に載置する構成とし、サンプル台が水平面上を移動可能な構成とさせてもよい。そして、制御装置80にて、測定ごとに24mm以上サンプル台を移動させるように制御すれば、砥石90にはビット31による3ヶ所以上の食い込みが形成される。
【0055】
なお、ビット31を介し、砥石90に加える荷重は、試験の規格ごとに定められており、一例として、大越式砥石結合度試験では、JIS R6240に定められているように、ビトリファイド研削砥石の結合度を測定する場合は490N、レジノイド研削砥石の結合度を測定する場合は785Nである。ビット31を介して砥石90に加えられる荷重の合計が、初期錘21及び錘22〜28の組み合わせによって490N及び785Nを取り得るように、初期21錘及び錘22〜28の重量を適宜設定すればよい。そして、制御装置80による下部スライドベース40及び上部スライドベース41の下降量の制御により、490N及び785Nの荷重が加えられるようにすればよい。
【0056】
また、ビット31の回転角度は、一例として、大越式砥石結合度試験では、120°である。したがって、大越式砥石結合度試験に用いる場合、制御装置80によりビット駆動装置30の回転角度が120°に制御されるよう構成すればよい。
【0057】
以上、説明したように、砥石結合度試験装置1に応用した荷重変動機構では、初期錘21及び複数の錘22〜28を備え、下部スライドベース40及び上部スライドベース41を下降させるだけで、初期錘21及び錘支持体10も追随して下降してゆき、下位に位置する初期錘21から順にビット31を介して砥石90に加えられる。このように、所望の荷重を砥石90に加えることができる。
【0058】
上述のように、砥石結合度試験装置を例にとり、荷重変動機構について説明したが、荷重変動機構は様々な用途に応用することができる。
【0059】
例えば、徐々に被検体に荷重圧力を加えていく圧縮試験装置や曲げ試験装置等にも応用することが可能である。
【0060】
図11に圧縮試験装置100の動作を示す模式図を示している。圧縮試験装置100は、錘支持体10と、錘支持体10に支持される複数の錘22〜29を備えている。
【0061】
上述の砥石結合度試験装置1と同様、錘22〜29はそれぞれ離間して錘支持体10に支持されている。また、上述の砥石結合度試験装置1と同様、錘支持体10を上下動させる機構を備えている。
【0062】
図11(A)に示すように、錘支持体10の下方に被検体101を配置し、錘支持体10を下降させる。すると、下位に位置する錘22が被検体101に接触し、被検体101には錘22の荷重が加わる。更に錘支持体10を下降させると、錘22の上に錘23が載置されて被検体101には錘22及び錘23の荷重が加えられる。そして、離間して支持されていた錘22〜29錘同士が下方から順に接触してゆき、最終的に図11(B)に示すように、全ての錘22〜29の荷重が被検体101に加えられる。
【0063】
このように、荷重変動機構を圧縮試験装置100に応用する場合、被検体101がどの程度の荷重で破壊されたのかを検出できるよう、被検体101の破壊を検出する検出装置を備えていることが好ましい。
【0064】
また、図12に変動荷重機構を曲げ試験装置110に応用した例について示している。曲げ試験装置110は、錘支持体10と、錘支持体10に支持される複数の錘22〜29と、最下位に位置する錘22に設置された押圧部材111とを備えている。
【0065】
上述の圧縮試験装置100と同様、錘22〜29はそれぞれ離間して錘支持体10に支持されている。また、上述の砥石結合度試験装置1と同様、錘支持体10を上下動させる機構を備えている。
【0066】
図12(A)に示すように、押圧部材111の下方に被検体112を配置し、錘支持体10を下降させる。すると、押圧部材111が被検体112に接触し、被検体112は錘22の荷重で押圧される。更に錘支持体10を下降させると、錘22の上に錘23が載置されて被検体112には錘22及び錘23の荷重で押圧される。そして、離間して支持されていた錘22〜29錘同士が下方から順に接触してゆき、最終的に図12(B)に示すように、全ての錘22〜29の荷重によって被検体112が押圧されることになる。
【0067】
このように、荷重変動機構を曲げ試験装置110に応用する場合、被検体112がどの程度の荷重でどの程度曲がったのかを検出できるよう、被検体112のたわみ量を検出する検出装置を備えていることが好ましい。
【符号の説明】
【0068】
1 砥石結合度試験装置
10 錘支持体
11a 底板
11b 底板
12 側板
12a〜12f 係止突起
13 側板
13a〜13f 係止突起
14 側板
21 初期錘
21a 凸部
21b 凸部
22〜29 錘
22a〜27a 溝
22b〜27b 溝
30 ビット駆動装置
31 ビット
40 下部スライドベース
40a ストッパー
41 上部スライドベース
50 主軸ベース
60 ガイドレール
70 ボールネジ駆動装置
71 ボールネジ
72 ナットブロック
73 ナット
80 制御装置
90 砥石
100 圧縮試験装置
101 被検体
110 曲げ試験装置
111 押圧部材
112 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能な錘支持体と、
鉛直方向にそれぞれ離間し、それぞれ鉛直下方向への移動が規制されて前記錘支持体に支持される複数の錘と、を備え、
前記錘の下方に配置される被検体に向けて前記錘支持体が降下し、最も下位に位置する前記錘が直接的或いは間接的に前記被検体に接触して、最も下位に位置する前記錘の荷重が前記被検体に加えられ、
更に前記錘支持体が降下し、下位から順に離間していた前記錘同士が接触していくことで前記被検体に加えられる荷重が変動する、
ことを特徴とする荷重変動機構。
【請求項2】
前記錘支持体は前記錘の鉛直下方向への移動をそれぞれ規制する係止突起を有し、
それぞれの前記錘は前記係止突起によって係止されて支持されており、
前記錘にはその上方に位置する前記係止突起が通過可能な溝が設けられており、
前記錘は前記錘支持体が降下する際に、前記錘支持体に対して上方向へ相対移動が可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の荷重変動機構。
【請求項3】
前記錘支持体の降下量を制御し、前記被検体に加える荷重を制御する制御装置を備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の荷重変動機構。
【請求項4】
昇降可能な錘支持体と、
鉛直方向にそれぞれ離間し、それぞれ鉛直下方向への移動が規制されて前記錘支持体に支持される複数の錘と、
最も下位に位置する前記錘に直接的又は間接的に取り付けられるビットと、を備え、
前記錘支持体の下方に配置される砥石に対して前記錘支持体が降下し、前記ビットが前記砥石に接触して、前記砥石に最下位の前記錘の荷重を加えられ、
更に前記錘支持体が降下し、下位から順に離間していた前記錘同士が接触していくことで前記砥石に加えられる荷重が変動する、
ことを特徴とする砥石結合度試験装置。
【請求項5】
前記錘支持体は前記錘の鉛直下方向への移動をそれぞれ規制する係止突起を有し、
それぞれの前記錘は前記係止突起によって係止されて支持されており、
前記錘にはその上方に位置する前記係止突起が通過可能な溝が設けられており、
前記錘は前記錘支持体が降下する際に、前記錘支持体に対して上方向へ相対移動が可能である、
ことを特徴とする請求項4に記載の砥石結合度試験装置。
【請求項6】
前記錘支持体の降下量を制御し、前記被検体に加える荷重を制御する制御装置を備える、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の砥石結合度試験装置。
【請求項7】
前記ビットを回転させる回転駆動装置を備え、
所定量の荷重を前記砥石に加えた後、前記ビットを所定角度回転させる、
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の砥石結合度試験装置。
【請求項8】
前記回転駆動装置を所定角度回転させる制御装置を備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の砥石結合度試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−57959(P2012−57959A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198681(P2010−198681)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【特許番号】特許第4665060号(P4665060)
【特許公報発行日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(591182950)大宮工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】