説明

荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置

【課題】回転ガントリを用いないで安価な粒子線ビームのスキャニング照射装置を得る。
【解決手段】粒子線ビームの偏向面が同一であり、水平方向に対して略45度の入射ビーム軸角度を有する粒子線ビームを互いに逆方向に曲げる第一のスキャニング電磁石と第二のスキャニング電磁石、第一及び第二のスキャニング電磁石を一体にして前記入射ビーム軸の周りで回転させる電磁石回転駆動機構、治療台を備え、第一及び第二のスキャニング電磁石によって偏向された粒子線ビームは入射ビーム軸方向からの偏向角度が−45度〜+45度の範囲で得られるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速器から出射された荷電粒子線ビームを第一のスキャニング電磁石及び第二のスキャニング電磁石により偏向させて照射ターゲットに照射する荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の粒子線治療装置における荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置では、荷電粒子線ビーム(例えば電子,陽子,重イオンのビーム)を出射する加速器と、加速器から取り出されるビームを輸送する四極電磁石や偏向電磁石などの電磁石群と、ビームの偏向面が同一面上にあり、互いに逆極性に励磁される2台のスキャニング電磁石(スキャニング電磁石対)と、スキャニング電磁石対を入射ビーム軸周りで回転させる磁石回転駆動機構と、水と等価な密度を持つポリエチレン等の材質で厚みの異なる板を複数枚入射ビーム軸上に出し入れすることでビームのエネルギーを低下させて任意の体内深さでビームを止めるレンジシフタと、スキャニング電磁石対,レンジシフタを制御するスキャニング照射制御装置と、フラットな寝台である臥位治療台と、臥位治療台を任意の位置へ移動させる治療台駆動機構を備えている。さらに、荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置では、ビームを輸送する電磁石群,スキャニング電磁石対,磁石回転駆動機構,レンジシフタ,及びスキャニング照射制御装置を搭載した回転構造体(回転ガントリ)と、照射ターゲットへの照射方向を決定するガントリ回転機構から構成される。
【0003】
次に動作について説明する。臥位治療台上に患者を乗せ、治療台駆動機構により患者を任意の位置に移動させ、ビームを照射ターゲットに正確に照射できるよう患者の位置を調整する。加速器から取り出されたビームは、上流側のスキャニング電磁石にて入射ビーム軸から外れる方向に偏向され、下流側のスキャニング電磁石にて反対方向に偏向され、最終的に入射ビーム軸と平行に照射ターゲットに照射される。上流側及び下流側の2台のスキャニング電磁石は、一体となって入射ビーム軸回りで任意の角度に回転されるので、ビームは、照射ターゲットに2次元平面の任意の形状に分布されて照射される。
【0004】
次に、レンジシフタにて水と等価な密度を持つ厚みの異なる複数の板を出し入れすることにより任意のエネルギーにビームのエネルギーを減衰させ、ビームが止まる深さを変更させ、同様に2次元平面の任意の形状に分布されて、ビームが照射される。このようにして、ビームのスポットを3次元に配置していくことにより、照射ターゲットに、その3次元形状に合わせて均一な線量分布で照射していく。スキャニング照射制御装置では、前述の一連の動きを各機器が連携して動作するよう制御する。
【0005】
照射ターゲットの近傍に照射してはならない重要臓器があるとき、一方向からの照射だけでは、重要臓器への線量を抑えながら照射ターゲットへ十分な線量を与えることが困難な場合があり、その場合には、ビームを輸送する電磁石群,スキャニング電磁石対,及びレンジシフタを回転構造体(回転ガントリ)に組み込み、回転ガントリを回転させることで、重要臓器を避けるように、複数の任意の角度方向から照射(多門照射と呼ぶ)を行う。なお、前述の荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置に関連する従来技術を示すものとして次の特許文献がある。
【0006】
【特許文献1】特開平10−263098号公報
【特許文献2】特開平11−309220号公報
【特許文献3】特開2002−113118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置は、重要臓器への線量を低く抑えるため多門照射する場合、四極電磁石や偏向電磁石などのビームを輸送する電磁石群,スキャニング電磁石,及びレンジシフタ等のビームライン機器を一体で回転させる回転ガントリが必要であった。回転ガントリは、直径10m程度の回転構造体となってしまう為、高価な照射装置となっていた。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、回転ガントリを用いないで安価な荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係わる荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置は、荷電粒子線ビームの偏向面が同一であり、励磁が制御されて、水平方向に対して略45度の入射ビーム軸角度を有する荷電粒子線ビームを互いに逆方向に曲げる第一のスキャニング電磁石とその電磁石の下流の第二のスキャニング電磁石、前記第一及び第二のスキャニング電磁石を一体にして前記入射ビーム軸の周りで回転させる電磁石回転駆動機構、前記第一及び第二のスキャニング電磁石の励磁を制御すると共に、前記電磁石回転駆動機構の回転を制御するスキャニング照射制御装置、並びに前記第二のスキャニング電磁石の下流に移動され、床に垂直方向と前記入射ビーム軸を含む平面に直交する方向が患者の体軸方向となるように設置される治療台を備え、前記第二のスキャニング電磁石の最大偏向角度は前記第一のスキャニング電磁石の最大偏向角度より大きく、前記第一及び第二のスキャニング電磁石によって偏向された荷電粒子線ビームは前記入射ビーム軸方向からの偏向角度が−45度〜+45度の範囲で得られるように前記第一及び第二のスキャニング電磁石を構成したものである。
【0009】
また、本発明に係わる荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置は、荷電粒子線ビームの偏向面が同一であり、励磁が制御されて、水平方向に対して略22.5度の第一入射ビーム軸角度を有する荷電粒子線ビームを互いに逆方向に曲げる第一のスキャニング電磁石とその電磁石の下流の第二のスキャニング電磁石、前記第一及び第二のスキャニング電磁石を一体にして前記第一入射ビーム軸の周りで回転させる第一の電磁石回転駆動機構、荷電粒子線ビームの偏向面が同一であり、励磁が制御され、床に垂直方向と前記第一入射ビーム軸を含む平面内で水平方向に対して略112.5度の第二入射ビーム軸角度を有する荷電粒子線ビームを互いに逆方向に曲げる第三のスキャニング電磁石とその電磁石の下流の第四のスキャニング電磁石、前記第三及び第四のスキャニング電磁石を一体にして前記第二入射ビーム軸の周りで回転させる第二の電磁石回転駆動機構、前記第一,第二,第三及び第四のスキャニング電磁石の励磁を制御すると共に、前記第一及び第二の電磁石回転駆動機構の回転を制御するスキャニング照射制御装置、並びに前記第二及び第四のスキャニング電磁石の下流に移動され、床に垂直方向と前記入射ビーム軸を含む平面に直交する方向が患者の体軸方向となるように設置される治療台を備え、前記第二のスキャニング電磁石の最大偏向角度は前記第一のスキャニング電磁石の最大偏向角度より大きく、前記第一及び第二のスキャニング電磁石によって偏向された荷電粒子線ビームは前記第一入射ビーム軸方向からの偏向角度が−22.5度〜+22.5度の範囲で得られるように前記第一及び第二スキャニング電磁石を構成し、前記第四のスキャニング電磁石の最大偏向角度は前記第三のスキャニング電磁石の最大偏向角度より大きく、前記第三及び第四のスキャニング電磁石によって偏向された荷電粒子線ビームは前記第二入射ビーム軸方向からの偏向角度が−22.5度〜+22.5度の範囲で得られるように前記第三及び第四スキャニング電磁石を構成したものである。
【0010】
さらにまた、本発明に係わる荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置は、荷電粒子線ビームの偏向面が同一であり、励磁が制御されて、水平方向に対して略90度の入射ビーム軸角度を有する荷電粒子線ビームを互いに逆方向に曲げる第一のスキャニング電磁石とその電磁石の下流の第二のスキャニング電磁石、前記第一及び第二のスキャニング電磁石を一体にして前記入射ビーム軸の周りで回転させる電磁石回転駆動機構、前記第一及び第二のスキャニング電磁石の励磁を制御すると共に、前記電磁石回転駆動機構の回転を制御するスキャニング照射制御装置、並びに前記第二のスキャニング電磁石の下流に、床に垂直方向に配置され、背もたれを前後に−45度〜+45度の範囲で傾かせ得る座位治療台を備え、前記第二のスキャニング電磁石の最大偏向角度は前記第一のスキャニング電磁石の最大偏向角度より大きく、前記第一及び第二のスキャニング電磁石によって偏向された荷電粒子線ビームは前記入射ビーム軸方向からの偏向角度が−45度〜+45度の範囲で得られるように前記第一及び第二のスキャニング電磁石を構成したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置によれば、治療台上の患者の臥位の方向を変えることで、患者の体軸に対して360度の任意の角度で照射することができ、ガントリを使用しなくても任意の照射角度で多門照射することができる。
【0012】
また、本発明の荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置によれば、座位治療台の背もたれを前後に−45度〜+45度の範囲で傾かせ得ることで頭頸部に対し水平より上部の任意の角度で照射することができ、頭頸部の多門照射可能な照射装置を安価に供給できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。加速器から取り出され、四極電磁石や偏向電磁石などの電磁石群を経て輸送される荷電粒子線ビーム(ビームと称す)1は、床(水平方向)6に対し略45度の入射ビーム軸角度から入射する。第一のスキャニング電磁石2aはビーム1を入射ビーム軸1aに対し−45度〜+45度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度で偏向する。第二のスキャニング電磁石2bは、第一のスキャニング電磁石2aの下流に配置され、ビームの偏向面が第一のスキャニング電磁石2aのそれと同一面上にあり、第一のスキャニング電磁石2aと逆方向に−90度〜+90度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度でビーム1を偏向する。第二のスキャニング電磁石2aの最大偏向角度は第一のスキャニング電磁石2aの最大偏向角度より大きくして、ビーム1を照射ターゲット4bに集めるようにしている。
【0014】
電磁石回転駆動機構20(図2参照)は、第一のスキャニング電磁石2aと第二のスキャニング電磁石2bを一体にして、入射ビーム軸1a周りで回転させる。レンジシフタ7aは第2のスキャニング電磁石2bの下流に配置され、水と等価な密度を持つポリエチレン等の材質で厚みの異なる板を複数枚入射ビーム軸1a上に出し入れすることで、ビーム1のエネルギーを所望量低下させる。レンジシフタ7aの入射ビーム軸1a上への出し入れは、スキャニング照射制御装置10で制御される。臥位治療台3aはレンジシフタ7aの下流に移動して配置され、床に垂直方向と入射ビーム軸1aを含む平面に直交する方向が患者4aの体軸方向となるように設置される。スキャニング照射制御装置10は第一及び第二のスキャニング電磁石2a,2bの励磁とレンジシフタ7aの出し入れと電磁石回転駆動機構20の回転を制御する。なお、臥位治療台3aの移動配置はスキャニング照射制御装置10で制御してもよい。
【0015】
図2は実施の形態1における電磁石回転駆動機構20を示す構成図である。第一のスキャニング電磁石2aと第二のスキャニング電磁石2bは、それらのビームの偏向面が同一面上になるように連結支持体8aで一体に支持されている。連結支持体8aは回転サポートリング8b、8cに固定される。回転サポートリング8b、8cは、サポートローラ9a,9b,9dにて回転できるように保持され、スキャニング照射制御装置10で制御されるモータ9cで回転駆動される。
【0016】
次に動作について説明する。床6から略45度の角度で入射されたビーム1は、第一のスキャニング電磁石2aを正又は負方向にその励磁の強さを制御することにより、偏向面内で入射ビーム軸1aに対し−45度〜+45度の範囲の任意の角度に偏向される。次に第二のスキャニング電磁石2bにて負又は正方向にその励磁の強さを制御することにより、逆方向に偏向面(即ち、第一のスキャニング電磁石2aの偏向面と同一面)内で−90度〜+90度の範囲の任意の角度に偏向される。このようにして、ビーム1は、患者の照射ターゲット4bへ、入射ビーム軸1aに対して同一偏向面内で−45度〜+45度の範囲(その範囲を超えてもよい)で任意の角度に照射される。
【0017】
連結支持体8aにて一体に支持されたスキャニング電磁石2a、2bは、スキャニング照射制御装置10によりモータ9cを介して回転駆動され、入射ビーム軸1aを中心に回転し、任意の回転角度に設定される。このようにして任意の照射角度、任意の回転角度で照射することにより、患者4aの体軸回りの0度から90度までの照射角度で、入射ビーム軸1aに垂直な2次元平面上に任意の形状で照射できる。次に、レンジシフタ7aにて水と等価な密度を持つ厚みの異なる複数の板を出し入れすることにより、ビーム1のエネルギーを任意のエネルギーに減衰させ、ビーム1が止まる深さを変更させ、同様に2次元平面の任意の形状に分布されて、ビーム1が照射される。
【0018】
このようにして、ビーム1のスポットを3次元に配置していくことにより、照射ターゲット4bに、その3次元形状に合わせて均一な線量分布で照射していくことができる。ここで、臥位治療台3a上の、患者4aの臥位の方向(頭/足の方向、うつぶせ/仰向けの方向)を変えることで、患者の体軸に対して360度の任意の角度で照射することができる。実施の形態1では上述のように照射を行うので、ガントリを使用しなくても任意の照射角度で多門照射することが可能な荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を得ることができる。なお実施の形態1では、レンジシフタ7aを第二のスキャニング電磁石2bの下流に設置したが、第一のスキャニング電磁石2aの下流または、上流に設置してもよく、同一効果を得ることができる。また、加速器にて出射する粒子線ビームのビームエネルギーを変化させることでレンジシフタ7aを省くこともでき、その場合も同一の効果を得ることができる。
【0019】
実施の形態2.
実施の形態1では、臥位治療台3aは水平のままであったが、患者4aの体軸の周りで約−15度〜+15度の範囲であれば、患者がずれ落ちないよう固定することは容易であり、傾かせてもよい。図3は実施の形態2である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。なお、各図において、同一符号は同一又は相当部分を示し、説明を省略する。図3に示すように、床(水平方向)6に対し略45度の入射ビーム軸角度から荷電粒子線ビーム1を入射する。第一のスキャニング電磁石2aはビーム1を入射ビーム軸1aに対し−30度〜+30度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度で偏向する。第2のスキャニング電磁石2bは、第一のスキャニング電磁石2aの下流に配置され、ビームの偏向面が第一のスキャニング電磁石2aのそれと同一面上にあり、第一のスキャニング電磁石2aと逆方向に−60度〜+60度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度でビーム1を偏向する。
【0020】
電磁石回転駆動機構20(図2参照)は、第一のスキャニング電磁石2aと第二のスキャニング電磁石2bを一体にして、入射ビーム軸1a周りで回転させる。臥位治療台3aは、レンジシフタ7aの下流に、床6に垂直方向と入射ビーム軸1aを含む平面に直交する方向が患者4aの体軸方向となるように移動して配置され、前記直交する方向の周り、望ましくは前記体軸の周りで−15度〜+15度の範囲(その範囲を超えてもよい)で傾かせることが可能な治療台回転機構21を有する。スキャニング照射制御装置10は、第一及び第二のスキャニング電磁石2a,2bの励磁、レンジシフタ7aの出し入れ,及び電磁石回転駆動機構20の回転を制御すると共に、必要があれば、治療台回転機構21の回転を制御する。
【0021】
次に動作について説明する。床から略45度の角度で入射されたビーム1は、第一のスキャニング電磁石2aを正又は負方向にその励磁の強さを制御することにより、偏向面内で入射ビーム軸1aに対し−30度〜+30度の範囲の任意の角度に偏向される。次に第二のスキャニング電磁石2bにて負又は正方向にその励磁の強さを制御することにより、逆方向に偏向面内で−60度〜+60度の範囲の任意の角度に偏向される。このようにして、ビーム1は、患者の照射ターゲット4bへ、入射ビーム軸1aに対して同一偏向面内で−30度〜+30度の範囲(その範囲を超えてもよい)で任意の角度に照射される。
【0022】
連結支持体8aにて一体に支持されたスキャニング電磁石2a,2bが、モータ9cにて回転駆動され、入射ビーム軸1aを中心に回転し、任意の角度に設定される。このようにして任意の照射角度、任意の回転角度で照射することにより、患者4aの体軸回りの0度から60度までの照射角度で、入射ビーム軸1aに垂直な2次元平面上に任意の形状で照射できる。次に、レンジシフタ7aにより、ビーム1のエネルギーを任意のエネルギーに減衰させ、ビーム1が止まる深さを変更させ、同様に2次元平面の任意の形状に分布されて、ビーム1が照射される。
【0023】
このようにして、ビーム1のスポットを3次元に配置していくことにより、照射ターゲット4bに、その3次元形状に合わせて均一な線量分布で照射していくことができる。ここで、臥位治療台3a上の患者4aの臥位の方向(頭/足の方向、うつぶせ/仰向けの方向)及び治療台の傾きを変えることで、患者の体軸に対して360度の任意の角度で照射することができる。実施の形態2では上述のように照射を行うので、ガントリを使用しなくても任意の照射角度で多門照射することが可能な荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を得ることができる。第一及び第二のスキャニング電磁石2a,2bの最大偏向角度を入射ビーム軸1aに対して−30度〜+30度の範囲とすることにより、最大偏向角度を−45度〜+45度の範囲にするものより、第一及び第二のスキャニング電磁石2a,2bを小形化でき安価にすることができる。
【0024】
実施の形態3.
実施の形態1及び2では、入射ビーム軸1aが1方向だけの場合について説明したが、図4に示すように、入射ビーム軸を2方向、つまり2系統設けてもよい。図4は実施の形態3である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。第一の系統において、第一入射ビーム1は、床(水平方向)6に対し略22.5度の第一入射ビーム軸角度から入射する。第一のスキャニング電磁石2aはビーム1を第一入射ビーム軸1aに対し−22.5度〜+22.5度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度で偏向する。第二のスキャニング電磁石2bは、第一のスキャニング電磁石2aの下流に配置され、ビームの偏向面が第一のスキャニング電磁石2aのそれと同一面上にあり、第一のスキャニング電磁石2aと逆方向に−45度〜+45度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度でビーム1を偏向する。さらに、図1と同様に、第一及び第二のスキャニング電磁石2a,2bを一体にして、第一入射ビーム軸1a周りで回転させる第一の電磁石回転駆動機構を備えると共に、第二のスキャニング電磁石2bの下流にレンジシフタ7aを備える。
【0025】
第二の系統においては、第一の系統と同様なものを水平方向からの角度を変えて設置する。即ち、床に垂直方向と第一入射ビーム軸1aを含む平面内で第二入射ビーム22が、床(水平方向)6に対し略112.5度の第二入射ビーム軸角度から入射する。第三のスキャニング電磁石2cはビーム22を第二入射ビーム軸1bに対し−22.5度〜+22.5度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度で偏向する。第四のスキャニング電磁石2dは、ビームの偏向面が第三のスキャニング電磁石2cのそれと同一面上にあり、第三のスキャニング電磁石2cと逆方向に−45度〜+45度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度でビーム22を偏向する。そして、同様に、第三及び第四のスキャニング電磁石2c,2dを一体にして、第二入射ビーム軸1b周りで回転させる第二の電磁石回転駆動機構を備えると共に、レンジシフタ7bを備える。
【0026】
さらに、臥位治療台3aは、第二のスキャニング電磁石2bと第四のスキャニング電磁石2dの下流に、床に垂直方向と第一,第二入射ビーム軸1a,1bを含む平面に直交する方向が患者4aの体軸方向となるように移動して設置される。スキャニング照射制御装置10は第一,第二,第三及び第四のスキャニング電磁石2a,2b,2c,2dの励磁を制御すると共に、第一及び第二の電磁石回転駆動機構の回転を制御する。スキャニング照射制御装置10は治療台3aの移動を制御してもよい。
【0027】
そして、第二のスキャニング電磁石2bの最大偏向角度は第一のスキャニング電磁石2aの最大偏向角度より大きく、第一及び第二のスキャニング電磁石2a,2bによって偏向された荷電粒子線ビームは第一入射ビーム軸方向からの偏向角度が−22.5度〜+22.5度の範囲(その範囲を超えてもよい)となるように第一及び第二スキャニング電磁石2a,2bを構成する。第四のスキャニング電磁石2dの最大偏向角度は第三のスキャニング電磁石2cの最大偏向角度より大きく、第三及び第四のスキャニング電磁石2c,2dによって偏向された荷電粒子線ビームは第二入射ビーム軸方向からの偏向角度が−22.5度〜+22.5度の範囲(その範囲を超えてもよい)となるように第三及び第四スキャニング電磁石2c,2dを構成する。
【0028】
第一系統の第一及び第二のスキャニング電磁石2a,2bによるビーム照射角、約45度(−22.5度〜+22.5度の範囲)、並びに第二系統の第三及び第四のスキャニング電磁石2c,2dによるビーム照射角、約45度(−22.5度〜+22.5度の範囲)は、図4で判るように離れているが、合わせて約90度のビーム照射角をカバーできる。第一系統の入射ビーム軸角度22.5度に対して第二系統の入射ビーム軸角度が112.5度と離れることにより、両系統の間隔を大きくでき、両系統の配置が容易になる。
【0029】
患者4aの臥位の方向(頭/足の方向、うつぶせ/仰向けの方向)を変えることで、患
部4aの照射ターゲット4bに対するビームの照射方向を360度の任意の角度で照射でき、回転ガントリが不要になり、任意の照射角度で多門照射することができる。実施の形態2のスキャニング電磁石2a,2bより、実施の形態3のスキャニング電磁石2a,2b,2c,2dの方が小型化でき、製作性が向上する。
【0030】
実施の形態4.
実施の形態3における臥位治療台3aは、軸の周りで傾かせないものであるが、実施の形態2のように臥位治療台3aを軸の周りで傾かせるようにしてもよい。実施の形態4を実施の形態3と異なる部分を中心に説明する。図5は実施の形態4である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。図5において、臥位治療台3aは、床6に垂直方向と第一及び第二入射ビーム軸1a,1bを含む平面に直交する方向が患者4aの体軸方向となるように移動して配置され、前記直交する方向の周り、望ましくは前記体軸の周りで−15度〜+15度の範囲(その範囲を超えてもよい)で傾かせることが可能な治療台回転機構21を有している。臥位治療台3aの傾きは、スキャニング照射制御装置10で制御することもできる。
【0031】
第一の系統において、第一入射ビーム1は、床(水平方向)6に対し略22.5度の第一入射ビーム軸角度から入射するが、第一のスキャニング電磁石2aはビーム1を第一入射ビーム軸1aに対し−15度〜+15度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度で偏向し、第二のスキャニング電磁石2bは、第一のスキャニング電磁石2aと逆方向に−30度〜+30度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度でビーム1を偏向する。第一の電磁石回転駆動機構と共に、レンジシフタ7aを備える。
【0032】
第二の系統において、第二入射ビーム22は、床(水平方向)6に対し略112.5度の第二入射ビーム軸角度から入射するが、第三のスキャニング電磁石2cはビーム22を第二入射ビーム軸1bに対し−15度〜+15度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度で偏向し、第四のスキャニング電磁石2dは、第三のスキャニング電磁石2cと逆方向に−30度〜+30度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度でビーム22を偏向する。第二の電磁石回転駆動機構と共に、レンジシフタ7bを備える。
【0033】
そして、第二のスキャニング電磁石2bの最大偏向角度は第一のスキャニング電磁石2aの最大偏向角度より大きく、第一及び第二のスキャニング電磁石2a,2bによって偏向された荷電粒子線ビームは第一入射ビーム軸方向からの偏向角度が−15度〜+15度の範囲(その範囲を超えてもよい)となるように第一及び第二スキャニング電磁石2a,2bを構成する。第四のスキャニング電磁石2dの最大偏向角度は第三のスキャニング電磁石2cの最大偏向角度より大きく、第三及び第四のスキャニング電磁石2c,2dによって偏向された荷電粒子線ビームは第二入射ビーム軸方向からの偏向角度が−15度〜+15度の範囲(その範囲を超えてもよい)となるように第三及び第四スキャニング電磁石2c,2dを構成する。
【0034】
第一系統の第一及び第二のスキャニング電磁石2a,2bによるビーム照射角、約30度(−15度〜+15度の範囲)、並びに第二系統の第三及び第四のスキャニング電磁石2c,2dによるビーム照射角、約30度(−15度〜+15度の範囲)は、図5で判るように離れているが、合わせて約60度のビーム照射角をカバーできる。
【0035】
患者4aの臥位の方向(頭/足の方向、うつぶせ/仰向けの方向)と臥位治療台3aの
傾きを変えることで、患部4aの照射ターゲット4bに対するビームの照射方向を360度の任意の角度で照射でき、回転ガントリが不要になる。実施の形態3の第一,第二,第三及び第四のスキャニング電磁石2a,2b,2c,2dより、実施の形態4の第一,第二,第三及び第四のスキャニング電磁石2a,2b,2c,2dの方が小型化でき、製作性が向上する。
【0036】
実施の形態5.
実施の形態1では、スキャニング電磁石におけるビームを偏向させるポール(電極)は、ヨーク枠部内の全体に及び幅広形状であったが、ヨーク枠部を移動できる幅狭なポールを用いて構成してもよい。図6は実施の形態5である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。図6において、第二のスキャニング電磁石2bは、固定ヨーク枠部5bと、その固定ヨーク枠部5b内側でスライドする一対のポール5aと、ポール5aに巻回されたコイル5cで構成されている。ポール5aを固定ヨーク枠部5b内でビームの振り角に応じてスキャニング照射制御装置で制御してスライドする。
【0037】
図6では、第二のスキャニング電磁石2bに適用したが、図4の第一,第二,第三及び第四のスキャニング電磁石2a,2b,2c,2dの少なくともいずれかにも同様に適用できる。図4の第二及び第四のスキャニング電磁石2b,2dに適用した場合を図7に示す。さらに、後述する実施の形態6の図8,実施の形態7の図9及び実施の形態8の図10のスキャニング電磁石2a,2bの少なくともいずれかにも適用できる。適用したスキャニング電磁石においては、ポール幅を狭くすることができるため、スキャニング電磁石を軽くすることができ、安価なスキャニング照射装置を供給できる。
【0038】
実施の形態6.
実施の形態1〜5では、患者を乗せる治療台として、臥位治療台を使用した場合について説明したが、座位治療台を使用してもよい。図8は実施の形態6である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。荷電粒子線ビーム1は床(水平方向)6に対し略90度の入射ビーム軸角度から入射する。第一のスキャニング電磁石2aはビーム1を入射ビーム軸1aに対し−45度〜+45度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度で偏向する。第二のスキャニング電磁石2bは、第一のスキャニング電磁石2aの下流に配置され、ビームの偏向面が第一のスキャニング電磁石2aのそれと同一面上にあり、第一のスキャニング電磁石2aと逆方向に−90度〜+90度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度でビーム1を偏向する。第二のスキャニング電磁石2aの最大偏向角度は第一のスキャニング電磁石2aの最大偏向角度より大きくして、ビーム1を照射ターゲット4bに集めるようにしている。レンジシフタ7aは実施の形態1と同様に有している。
【0039】
電磁石回転駆動機構20(図2参照)は、第一及び第二のスキャニング電磁石2a,2
bを一体にして、入射ビーム軸1a周りで回転させる。スキャニング照射制御装置10は第一及び第二のスキャニング電磁石2a,2bの励磁、電磁石回転駆動機構の回転、レン
ジシフタ7aの出し入れを制御する。座位治療台3bは、その向きをスキャニング照射装置の正面向きと同じにして移動し配置し、その座位治療台3bに患者4aが座ったときの体軸が概ね入射ビーム軸1aと一致するように設置され、その背もたれが前後(つまり正面裏面方向)に、−45度〜+45度の範囲(その範囲を超えてもよい)に傾けることができる。座位治療台3bの移動や傾きは、スキャニング照射制御装置10で制御してもよい。
【0040】
第一及び第二のスキャニング電磁石によって偏向された荷電粒子線ビームは入射ビーム軸方向からの偏向角度が−45度〜+45度の範囲(その範囲を超えてもよい)となるように第一及び第二のスキャニング電磁石が構成される。このようにして、ビーム1は、照射ターゲット4bへ、入射ビーム軸1aに対して−45度〜+45度の範囲の任意の角度に照射される。一体に連結されたスキャニング電磁石2a,2bが回転駆動され、入射ビーム軸1aを中心に回転し任意の角度に設定される。このようにして任意の照射角度、任意の回転角度で照射することにより、患者の体軸回りの0度から90度までの照射角度で、入射ビーム軸1aに垂直な2次元平面上に任意の形状で照射できる。
【0041】
次に、レンジシフタ7aを出し入れすることにより、任意のエネルギーにビーム1のエネルギーを減衰させ、ビーム1が止まる深さを変更させ、同様に2次元平面の任意の形状に分布されて、ビーム1が照射される。このようにして、ビーム1のスポットを3次元に配置していくことにより、照射ターゲットに、その3次元形状に合わせて均一な線量分布で照射していく。ここで、座位治療台3bの背もたれを−45度〜+45度の範囲で前後に傾けることで頭頸部に対し水平より上部の任意の角度で照射することができる。これにより、既に固定照射ポートを持つ既設施設への頭頸部専用の多門照射可能な照射装置を安価に供給できる。
【0042】
実施の形態7.
なお、座位治療台を用いる場合、荷電粒子線ビーム1は床から略90度の入射ビーム軸角度で入射することとしたが、水平方向、つまり床から略0度の入射ビーム軸角度で入射するようにしてもよい。図9は実施の形態7である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。荷電粒子線ビーム1は床(水平方向)6に対し略0度の入射ビーム軸角度から入射する。第一及び第二のスキャニング電磁石2a,2b、電磁石回転駆動機構20,及びレンジシフタ7aは実施の形態6と同様な構成である。スキャニング照射制御装置10は、第一及び第二のスキャニング電磁石2a,2bの励磁、電磁石回転駆動機構の回転、レンジシフタ7aの出し入れを制御する。
【0043】
座位治療台3bは、その向きを入射ビーム軸に対向させて、入射ビーム軸に対して垂直な2次元平面上に、床に垂直に移動し配置され、その背もたれが前後(つまり入射ビーム軸方向の前後方向)に、−45度〜+45度の範囲(その範囲を超えてもよい)に傾けることができる。さらに座位治療台3bは、上下に移動できる。座位治療台3bはスキャニング照射制御装置10で制御してもよい。このようにして患者前面の任意の照射角度、任意の回転角度で照射することにより、患者前面の0度から90度までの照射角度で、入射ビーム軸1aに垂直な2次元平面上に任意の形状で照射できる。ここで、座位治療台3bの背もたれを−45度〜+45度の範囲で前後に傾けることで患者前面に対して任意の角度で照射することができ、多門照射可能な照射装置を安価に供給できる。
【0044】
実施の形態8.
実施の形態6では、電磁石回転駆動機構20を持つスキャニング電磁石の場合について説明したが、図10に示すように、スキャニング電磁石は固定として、座位治療台3bを床に垂直な軸周りに回転させてもよい。実施の形態6と異なる部分を中心に説明する。図10は実施の形態8である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。荷電粒子線ビーム1は床6に対し略90度の入射ビーム軸角度から入射する。入射したビーム1は第一のスキャニング電磁石2aで入射ビーム軸1aに対し−45度〜+45度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度に偏向され、次に第二のスキャニング電磁石2bにて逆方向に−90度〜+90度の範囲(その範囲を超えてもよい)の任意の角度に偏向される。電磁石回転駆動機構は備えていない。
【0045】
座位治療台3bは、その向きをスキャニング照射装置の正面向きと同じにして移動し配置し、その座位治療台3bに患者4aが座ったときの体軸が概ね入射ビーム軸1aと一致するように設置され、その背もたれが前後(つまり正面裏面方向)に、−45度〜+45度の範囲(その範囲を超えてもよい)に傾けることができる。さらに、床に垂直方向な回転軸の周りで、望ましくは体軸の周りに−90度〜+90度の範囲(その範囲を超えてもよい)で回転させることができる。座位治療台3bの移動,傾きや回転は、スキャニング照射制御装置10で制御される。
【0046】
このようにして、ビーム1は、照射ターゲット4bへ、入射ビーム軸1aに対して−45度〜+45度の範囲(その範囲を超えてもよい)で任意の角度に照射される。ここで、座位治療台3bは、背もたれを−45度〜+45度の範囲(その範囲を超えてもよい)で前後に傾けると共に、座位治療台3bを床に垂直方向な回転軸の周りで−90度〜+90度の範囲(その範囲を超えてもよい)で回転させることで、スキャニング電磁石を回転させる必要が無く、実施の形態6と同様な効果を得ることができると共に、安価な照射装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。
【図2】実施の形態1における電磁石回転駆動機構を示す構成図である。
【図3】実施の形態2である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。
【図4】実施の形態3である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。
【図5】実施の形態4である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。
【0048】
【図6】実施の形態5である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。
【図7】実施の形態5である他の荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。
【図8】実施の形態6である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。
【図9】実施の形態7である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。
【図10】実施の形態8である荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ビーム 1a,1b 入射ビーム軸
2a 第一のスキャニング電磁石 2b 第二のスキャニング電磁石
2c 第三のスキャニング電磁石 2d 第四のスキャニング電磁石
3a 臥位治療台 3b 座位治療台
4a 患者 4b 患部の照射ターゲット
5a ポール 5b 固定ヨーク枠部
5c コイル 6 床
7a,7b レンジシフタ 8a 連結支持体
8b、8c 回転サポートリング 9a、9b,9d サポートローラ
9c モータ 10 スキャニング照射制御装置
20 電磁石回転駆動機構 21 治療台回転機構
22 ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子線ビームの偏向面が同一であり、励磁が制御されて、水平方向に対して略45度の入射ビーム軸角度を有する荷電粒子線ビームを互いに逆方向に曲げる第一のスキャニング電磁石とその電磁石の下流の第二のスキャニング電磁石、
前記第一及び第二のスキャニング電磁石を一体にして前記入射ビーム軸の周りで回転させる電磁石回転駆動機構、
前記第一及び第二のスキャニング電磁石の励磁を制御すると共に、前記電磁石回転駆動機構の回転を制御するスキャニング照射制御装置、並びに
前記第二のスキャニング電磁石の下流に移動され、床に垂直方向と前記入射ビーム軸を含む平面に直交する方向が患者の体軸方向となるように設置される治療台を備え、
前記第二のスキャニング電磁石の最大偏向角度は前記第一のスキャニング電磁石の最大偏向角度より大きく、前記第一及び第二のスキャニング電磁石によって偏向された荷電粒子線ビームは前記入射ビーム軸方向からの偏向角度が−45度〜+45度の範囲で得られるように前記第一及び第二のスキャニング電磁石を構成したことを特徴とする荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置。
【請求項2】
前記治療台は、床に垂直方向と前記入射ビーム軸を含む平面に直交する軸の周りで−15度〜+15度の範囲で回転させることができ、
前記第一及び第二のスキャニング電磁石は、前記第一及び第二のスキャニング電磁石によって偏向された荷電粒子線ビームが前記入射ビーム軸方向からの偏向角度が−30度〜+30度の範囲で得られるように構成したことを特徴とする請求項1記載の荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置。
【請求項3】
荷電粒子線ビームの偏向面が同一であり、励磁が制御されて、水平方向に対して略22.5度の第一入射ビーム軸角度を有する荷電粒子線ビームを互いに逆方向に曲げる第一のスキャニング電磁石とその電磁石の下流の第二のスキャニング電磁石、
前記第一及び第二のスキャニング電磁石を一体にして前記第一入射ビーム軸の周りで回転させる第一の電磁石回転駆動機構、
荷電粒子線ビームの偏向面が同一であり、励磁が制御され、床に垂直方向と前記第一入射ビーム軸を含む平面内で水平方向に対して略112.5度の第二入射ビーム軸角度を有する荷電粒子線ビームを互いに逆方向に曲げる第三のスキャニング電磁石とその電磁石の下流の第四のスキャニング電磁石、
前記第三及び第四のスキャニング電磁石を一体にして前記第二入射ビーム軸の周りで回転させる第二の電磁石回転駆動機構、
前記第一,第二,第三及び第四のスキャニング電磁石の励磁を制御すると共に、前記第一及び第二の電磁石回転駆動機構の回転を制御するスキャニング照射制御装置、並びに
前記第二及び第四のスキャニング電磁石の下流に移動され、床に垂直方向と前記入射ビーム軸を含む平面に直交する方向が患者の体軸方向となるように設置される治療台を備え、前記第二のスキャニング電磁石の最大偏向角度は前記第一のスキャニング電磁石の最大偏向角度より大きく、前記第一及び第二のスキャニング電磁石によって偏向された荷電粒子線ビームは前記第一入射ビーム軸方向からの偏向角度が−22.5度〜+22.5度の範囲で得られるように前記第一及び第二スキャニング電磁石を構成し、前記第四のスキャニング電磁石の最大偏向角度は前記第三のスキャニング電磁石の最大偏向角度より大きく、前記第三及び第四のスキャニング電磁石によって偏向された荷電粒子線ビームは前記第二入射ビーム軸方向からの偏向角度が−22.5度〜+22.5度の範囲で得られるように前記第三及び第四スキャニング電磁石を構成したことを特徴とする荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置。
【請求項4】
前記治療台は、床に垂直方向と前記入射ビーム軸を含む平面に直交する軸の周りで−15度〜+15度の範囲で回転させることができ、
前記第一及び第二スキャニング電磁石は、前記第一及び第二のスキャニング電磁石によって偏向された荷電粒子線ビームが前記第一入射ビーム軸方向からの偏向角度が−15度〜+15度の範囲で得られるように構成し、
前記第三及び第四スキャニング電磁石は、前記第三及び第四のスキャニング電磁石によって偏向された荷電粒子線ビームが前記第二入射ビーム軸方向からの偏向角度が−15度〜+15度の範囲で得られるように構成したことを特徴とする請求項3記載の荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置。
【請求項5】
荷電粒子線ビームの偏向面が同一であり、励磁が制御されて、水平方向に対して略90度の入射ビーム軸角度を有する荷電粒子線ビームを互いに逆方向に曲げる第一のスキャニング電磁石とその電磁石の下流の第二のスキャニング電磁石、
前記第一及び第二のスキャニング電磁石を一体にして前記入射ビーム軸の周りで回転させる電磁石回転駆動機構、
前記第一及び第二のスキャニング電磁石の励磁を制御すると共に、前記電磁石回転駆動機構の回転を制御するスキャニング照射制御装置、並びに
前記第二のスキャニング電磁石の下流に、床に垂直方向に配置され、背もたれを前後に−45度〜+45度の範囲で傾かせ得る座位治療台を備え、
前記第二のスキャニング電磁石の最大偏向角度は前記第一のスキャニング電磁石の最大偏向角度より大きく、前記第一及び第二のスキャニング電磁石によって偏向された荷電粒子線ビームは前記入射ビーム軸方向からの偏向角度が−45度〜+45度の範囲で得られるように前記第一及び第二のスキャニング電磁石を構成したことを特徴とする荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置。
【請求項6】
荷電粒子線ビームの偏向面が同一であり、励磁が制御されて、水平方向に対して略0度の入射ビーム軸角度を有する荷電粒子線ビームを互いに逆方向に曲げる第一のスキャニング電磁石とその電磁石の下流の第二のスキャニング電磁石、
前記第一及び第二のスキャニング電磁石を一体にして前記入射ビーム軸の周りで回転させる電磁石回転駆動機構、
前記第一及び第二のスキャニング電磁石の励磁を制御すると共に、前記電磁石回転駆動機構の回転を制御するスキャニング照射制御装置、並びに
前記第二のスキャニング電磁石の下流に、荷電粒子ビームに対向し床に垂直方向に配置され、背もたれを前後に−45度〜+45度の範囲で傾かせ得る座位治療台を備え、
前記第二のスキャニング電磁石の最大偏向角度は前記第一のスキャニング電磁石の最大偏向角度より大きく、前記第一及び第二のスキャニング電磁石によって偏向された荷電粒子線ビームは前記入射ビーム軸方向からの偏向角度が−45度〜+45度の範囲で得られるように前記第一及び第二のスキャニング電磁石を構成したことを特徴とする荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置。
【請求項7】
荷電粒子線ビームの偏向面が同一であり、励磁が制御されて、水平方向に対して略90度の入射ビーム軸角度を有する荷電粒子線ビームを互いに逆方向に曲げる第一のスキャニング電磁石とその電磁石の下流の第二のスキャニング電磁石、
前記第一及び第二のスキャニング電磁石の励磁を制御するスキャニング照射制御装置、
並びに前記第二のスキャニング電磁石の下流に、床に垂直方向に配置され、背もたれを前後に−45度〜+45度の範囲で傾かせ得ると共に、床に垂直方向の回転軸の周りで−90度〜+90度の範囲で回転させ得る座位治療台を備え、
前記第二のスキャニング電磁石の最大偏向角度は前記第一のスキャニング電磁石の最大偏向角度より大きく、前記第一及び第二のスキャニング電磁石によって偏向された荷電粒子線ビームは前記入射ビーム軸方向からの偏向角度が−45度〜+45度の範囲で得られるように前記第一及び第二のスキャニング電磁石を構成したことを特徴とする荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置。
【請求項8】
前記スキャニング電磁石は、矩形状をした固定ヨーク枠部と、前記固定ヨーク枠部の内側に配置され前記固定ヨーク枠部内をスライドするコイルが巻回された一対のポールから構成され、前記一対のポールが荷電粒子ビームの偏向角度に応じて前記固定ヨーク枠部内をスライドするようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の荷電粒子線ビームのスキャニング照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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