萎縮性膣炎の治療のためのエストロゲンを含有する組成物の製造におけるエストロゲンの使用
【課題】エストラジオールの全身性吸収はないか、または全身性吸収は僅かであり、膣粘膜に改善を与え、萎縮性膣上皮に陽性効果を与え、骨粗鬆症の危険性を低下させ、膣成熟を与え、表在性膣細胞の割合を増加させ、および萎縮性膣炎の治療に使用できるエストラジオール組成物の提供。
【解決手段】約10から30μgの1週間量のエストラジオールを、ポリエチレングリコール6000NFからなるフィルムで被覆したヒドロキシプロピルメチルセルロース、乳糖一水和物、トウモロコシデンプン、ステアリン酸マグネシウムなどを含有する錠剤で経膣投与する。
【解決手段】約10から30μgの1週間量のエストラジオールを、ポリエチレングリコール6000NFからなるフィルムで被覆したヒドロキシプロピルメチルセルロース、乳糖一水和物、トウモロコシデンプン、ステアリン酸マグネシウムなどを含有する錠剤で経膣投与する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[発明の詳細な説明]
[発明の背景]
膣萎縮は、実際には何れの全身的ホルモン代替療法も必要としないが、適切な局部的療法は必要とする閉経後の女性、およびエストロゲンの欠乏した女性において生じる。従って、これは長期に亘るエストロゲン療法に起因した全身性の副作用を回避するために局部、局所療法が好まれる。この目的のための局部療法が長い期間研究されており、当該ホルモンは、クリーム、ゲルおよびシラスティックリングとして投与されている。
【0002】
大凡二人に一人の閉経後の女性が、エストロゲン欠乏に関連する泌尿生殖器の不快を経験する。先の研究では、これらの女性の多くが経口ホルモン代替療法を使用しているが、泌尿生殖器の症状は根強く続いていることが示されている。
【0003】
一般的に使用されている組成物は、ノボ・ノルディスク・A/Sにより市場に出されているバジフェム(Vagifem(登録商標))である。バジフェムはエストロゲン欠乏−不足した萎縮性膣炎の治療のために開発された。バジフェムは、25μgの17β-エストラジオールを含有する小型の錠剤である。例えば、Maturitas 14(1991),23-31を参照することができるが、そこでは、女性が初期に25μgのエストラジオールを2週間投与され、その後、25μgのエストラジオールを週1回または週2回投与されている。一般的な治療は、25μgのエストラジオールを含有するバジフェムを治療の最初の2週間に亘り毎日1錠ずつ、その後、週2回1錠ずつである。
【0004】
都合のよいことに、バジフェムは細長い棒状の使い捨てのアプリケーターの先端に錠剤を配置することによって投与される。当該アプリケーターの膣への挿入によって、バジフェム錠はバジフェムの粘着性に起因して膣中に留まる。
【0005】
特に更年期の女性における膣乾燥の、必然的に非全身的な、局所療法のための医薬品であって、多くとも15μg、好ましくは10μg未満の17β-エストラジオールと等価の1単位量に相当するエストロゲン含有量で、親油性剤中で溶液または懸濁液中の17β-エストラジオール並びにその塩およびその誘導体からなる群より選択された天然エストロゲンと、親水性ゲル形成生物学的接着剤(hydrophilic gel-forming bioadhesive agent)と、親油性剤用ゲル化剤と、水分散剤とを含有する単位ガレニカル処方により特徴付けられた医薬品が、米国特許明細書第6,060,077号に記載される。
【0006】
このことから、当該第6,060,077号明細書に従うと、17β-エストラジオール並びにその塩およびその誘導体は、溶液または懸濁液中で存在する。従って、それは錠剤ではあり得ない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の1つの目的は、週2回のバジフェムの投与により得られるのと同等な膣症状における臨床効果を与えるホルモン組成物を提供することである。
本発明の更なる目的は、全身性吸収はないか、または全身性吸収は僅かであるに過ぎないホルモン組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、膣粘膜における顕著な改善を与えるホルモン組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、全身性作用はないか、または全身性作用は僅かであるに過ぎない組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、低吸収でエストロゲンを与えるホルモン組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、低血清濃度でエストロゲンを与える組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、循環するエストラジオールの蓄積はないか、低蓄積のみである組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、萎縮性膣上皮に陽性効果を与える組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、完全または十分な膣成熟を与えるホルモン組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、骨粗鬆症の危険性を低下する組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、表在性膣細胞の割合を増加する組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、萎縮性膣炎の治療に使用できるホルモン組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、約5.5以下の膣pH値を与えるホルモン組成物を提供することである。
本発明の極めて特殊な目的は、以下の特徴:膣症状の緩和、泌尿生殖器萎縮の改善、膣pHの低下、並びに膣および尿道粘膜両方の細胞学的成熟の改善の全てまたは多くを与えるホルモン組成物を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】0週でのエストラジオールの血清濃度。
【0009】
白四角は25μgE2、黒丸は10μgE2。
【図2】12週でのエストラジオールの血清濃度。
【0010】
白四角は25μgE2、黒丸は10μgE2。
【図3】0週および12週での血清エストラジオール曲線下面積。
【0011】
白四角は25μgE2、黒丸は10μgE2。
【図4】12週での血清エストラジオール曲線下面積と血清FSH濃度。
【0012】
白四角は25μgE2、黒丸は10μgE2。
【図5】12週での血清エストラジオール曲線下面積と成熟値。ベースラインでの成熟値は25μgE2群においては52.4であり、10μgE2群では51.0であった。
【0013】
白四角は25μgE2、黒丸は10μgE2。
【図6】膣症状の複合スコアプロフィール。少なくとも1投与の試験薬剤を受けた対象は、ベースラインでの評価を受け、且つ少なくとも1回のベースライン後の評価を受けた。
【0014】
黒丸はプラセボ、白四角は10μgまでのE2、黒三角は25μgまでのE2。
【図7】膣健康状態の複合スコアプロフィール。少なくとも1投与の試験薬剤を受けた対象は、ベースラインでの評価を受け、且つ少なくとも1回のベースライン後の評価を受けた。
【0015】
黒丸はプラセボ、白四角は10μgまでのE2、黒三角は25μgまでのE2。
【図8】膣細胞学的成績(表在性細胞の割合)。少なくとも1投与の試験薬剤を受けた対象は、ベースラインでの評価を受け、且つ少なくとも1回のベースライン後の評価を受けた。
【0016】
斜線四角は10μgE2、白四角は表在性、黒四角は25μgE2。
【図9】成熟値。少なくとも1投与の試験薬剤を受けた対象は、ベースラインでの評価を受け、且つ少なくとも1回のベースライン後の評価を受けた。
【0017】
黒丸はプラセボ、白四角は10μgまでのE2、黒三角は25μgまでのE2。
【図10】尿道の細胞学的成績。少なくとも1投与の試験薬剤を受けた対象は、ベースラインでの評価を受け、且つ少なくとも1回のベースライン後の評価を受けた。斜線四角は10μgE2、白四角はプラセボ、黒四角は25μgE2。
【図11a】表在性膣細胞と尿道細胞の割合。(a)25μgE2。0週と12週に表在性膣細胞と尿道細胞評価を受けた対象。
【図11b】表在性膣細胞と尿道細胞の割合。(b)10μgE2。0週と12週に表在性膣細胞と尿道細胞評価を受けた対象。
【図11c】表在性膣細胞と尿道細胞の割合。(c)プラセボ。0週と12週に表在性膣細胞と尿道細胞評価を受けた対象。
【図12a】膣の細胞学的成績。(a)プラセボ。vは基底付近、斜線四角は中間、白四角は表在性。
【図12b】膣の細胞学的成績。(b)10μgE2。vは基底付近、斜線四角は中間、白四角は表在性。
【図12c】膣の細胞学的成績。(c)25μgE2。vは基底付近、斜線四角は中間、白四角は表在性。
【図13a】尿道の細胞学的成績。(a)プラセボ。vは基底付近、斜線四角は中間、白四角は表在性。
【図13b】尿道の細胞学的成績。(b)10μgE2。vは基底付近、斜線四角は中間、白四角は表在性。
【図13c】尿道の細胞学的成績。(c)25μgE2。vは基底付近、斜線四角は中間、白四角は表在性。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[発明の詳細な記述]
本発明に従う使用により治療される膣症状は、乾燥、痛み、炎症および性交困難である。泌尿生殖器の健康は、分泌、上皮のインテグリティ、表層の厚みおよび膣のpH値により特徴付けられる。
【0019】
驚くべきことに、上述の請求項に従う使用が、類似する組成物の公知の使用に比較して薬学的および臨床的に有利であることが明らかになった。
【0020】
幾分高い投与量のエストロゲン、例えば、エストラジオールでの治療に関する上述の請求項に従う使用を先行することが多くの場合に推奨される。そのような治療を、本明細書では前処置と称する。好ましい態様において、この前処置は、上述の請求項に従う週2回の使用に用いられるのと同用量を用いた毎日の治療である。
【0021】
本発明は、1週間量の約10から約30μgのエストラジオールを女性に対して投与することによって女性における萎縮性膣炎を治療するための、エストロゲンを含有する組成物の製造におけるエストロゲンの使用に関する。好ましい態様に従うと、本発明は、当該治療される女性が閉経期または閉経後の女性である使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は、約15から約25μgの1週間量のエストラジオールが投与される使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は、1日当たり約1.5から約4μgのエストラジオールが投与される使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は1日当たり約2から約3μgのエストラジオールが投与される使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は週2回で約5から約15μgのエストラジオールが投与される使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は週2回で約7から約13μgのエストラジオールが投与される使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は週2回で約9から約11μgのエストラジオールを投与する使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明はプロゲストゲン(progestogen)は投与されない当該使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は当該組成物が経膣で投与されるべきである使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は、2週間よりも長く、好ましくは1ヶ月よりも長く、更に好ましくは2ヶ月よりも長く、更により好ましくは3ヶ月よりも長くの期間に亘って用いられる使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は投与が錠剤を用いて実行される使用に関する。更に、本発明は、先の使用の請求項の何れかに記載の組成物を投与することを具備する、萎縮性膣炎の治療方法に関する。
【0022】
本発明に従って使用される組成物は、例えばバジフェムなどの同種の組成物の製造と類似して製造されてもよい。本発明に従って使用される組成物は、同種の組成物において使用される、または使用されることが示唆される何れの成分を含有してもよい。本発明に従って使用される組成物は、同種の組成物の投与と類似して投与されてもよい。これらの側面は全て当業者に公知である。
【0023】
本発明の好ましい態様に従うと、本明細書において扱われる組成物は錠剤である。好ましい態様に従うと、本明細書において扱われる組成物は、約60%から約80%のヒプロメロース(または他の都合のよい基質形成剤)、約20%から約25%の乳糖(または他の都合のよい賦形剤)、約5%から約15%のトウモロコシデンプン(または他の都合のよい賦形剤)、約0.2%から約1.5%のステアリン酸マグネシウム(または他の都合のよい滑沢剤)および約0.2%から約5%のフィルムコーティング、並びにE2からなる。より好ましい態様において、当該組成物は、約65%から約70%のヒプロメロース(または他の都合のよい基質形成剤)、約20%から約24%の乳糖(または他の都合のよい賦形剤)、約8%から約12%のトウモロコシデンプン(または他の都合のよい賦形剤)、約0.3%から約1.3%のステアリン酸マグネシウム(または他の都合のよい滑沢剤)および約0.3%から約3%のフィルムコーティング、並びにE2からなる。更により好ましい態様において、当該組成物は、約67%のヒプロメロース、約22%の乳糖、約10%のトウモロコシデンプン、約0.5%のステアリン酸マグネシウムおよび約1%のフィルムコーティングからなる。本発明の好ましい態様に従うと、各錠剤は、当該活性物質に加えて、約53.7mgのヒプロメロース、約17.9mgの乳酸一水和物、約8mgのトウモロコシデンプン、約0.4mgのステアリン酸マグネシウム、および約0.5mgのヒプロメロースと約0.06mgのマクロゲル6000(ポリエチレングリコール6000NF)からなるフィルムコーティングを含有する。
【0024】
乾燥基準について。最終的な錠剤において、水含有量は好ましくは10%以下であり、より好ましくは7%以下である。ここで示した全てのパーセンテージは、重量基準による。
【0025】
当該錠剤を製造する1つの方法は、以下の工程を経るものである:エストラジオールの懸濁、粒状化、混合、圧搾、フィルムコーティング溶液の準備、およびフィルムコーティング。
【0026】
本発明を以下の例によって更に説明するが、これらは保護の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。上述の記載および次に述べる例において開示された特徴は、その何れの組み合わせであっても、その異なる形態における本発明を理解するための資料としてもよい。特に、興味深く且つ予期しなかった効果が、例2および3において扱われ、記述されている。
【0027】
例1
58人の閉経後の女性が10または25μg何れかの17β-エストラジオールを含有する錠剤で処置された。当該女性は、1錠を膣内に、当該試験の最初の2週間は1日1回で、更に続く10週間は週2回(日曜日と木曜日)で挿入した。従って、当該女性の何人かは10μgの17β-エストラジオールを含有する錠剤のみを投与され、残りの女性は25μgの17β-エストラジオールを含有する錠剤のみを投与された。25μgまたは10μgの17β-エストラジオールを投与した場合のエストラジオールのプロフィールは、最初の投薬後(処置の0週)と、上述の25または10μgの17β-エストラジオールを10週間に亘って週2回で連続して処置の後で類似した。
【0028】
例2
本発明に従う低用量の17β-エストラジオール錠を用いた萎縮性膣炎の治療によって、蓄積を伴わないエストラジオールの低吸収が安定して得られた。
【0029】
目的:
17β-エストラジオール(以下E2と称する)の経膣吸収を評価し、2つの低用量E2(25μgおよび10μg)を萎縮性膣炎を患う閉経後の女性において比較した。
【0030】
デザイン:
二重盲検、無作為抽出した並行群(parallel-group)の試験において、58人の閉経後女性を25または10μg何れか一方のE2で12週間に亘って処置した。血清中のE2および卵胞刺激ホルモン(以下FSHと称す)の濃度を、当該試験を通して特定の間隔で測定した。曲線下面積、最高濃度および最高濃度までの時間を血清中E2濃度について測定した。膣粘膜細胞の成熟値を、処置に対する反応における膣粘膜状態の変化の指標として評価した。
【0031】
結果:
両処置群についてのE2プロフィールは0週および12週で類似していた。平均E2濃度、曲線下面積および最高濃度は25μgE2群が10μgE2群よりも高かった。各処置群における患者の多くは、各時点での曲線下面積は600pg・hr/mL以下のままであり、平均FSH濃度は正常な閉経後の範囲であった。各処置群の患者は膣粘膜の状態に有意な改善(P≦0.01)を示した。
【0032】
結論:
25または10μgE2膣錠の何れかでの処置は、膣粘膜の改善と、多くの場合ERTに関連する全身性作用を伴わないエストロゲンの低吸収を生じた。萎縮性膣炎の治療の12週間後で、吸収パターンは依然として安定したままであり、患者は循環E2の蓄積を経験しなかった。
【0033】
試験は、膣ERT製剤が迅速で且つ効率のよい体循環へのE2の吸収を生じることを示している。しかしながら、10および25μgE2を含有する低用量製剤は、望ましくない全身性副作用を伴わずに萎縮性膣炎の症状を効果的に軽減する。低用量(25μg)E2膣錠(バジフェム(登録商標);ノボ・ノルディスク、デンマーク)は、エストロゲン欠乏由来萎縮性膣炎を治療するために開発されてきた。これらの膣剤は、膣粘膜に対して良好に付着し、且つ徐々に水和され、制御されたE2放出を提供するように、フィルムコーティングされた親水性のセルロース基質を含む。それらは、膣粘膜のエストロゲン処理(estrogenization)を提供し、その一方で血清エストロゲン濃度の有意な上昇は防止するように設計された。
【0034】
この試験では、萎縮性膣炎を患う閉経後の女性において、E2の膣吸収が評価され、E2の2つの低用量(25μgおよび10μg)が比較された。
【0035】
<材料および方法>
このシングルセンター(single-center)、無作為抽出、二重盲検、並行群の試験はジョージア州アトランタにおいて実施された。当該試験は、適切な審査委員会により承認され、書面でのインフォームド・コンセントを各患者から得た。当該試験は、1975年のヘルシンキ宣言1983年修正版に従って実施された。
【0036】
この試験では、一般的に健康な閉経後の女性(子宮を摘出または非摘出)、45歳以上を登録した。子宮の細胞学的評価によって評価を行ったところ、患者は5%以下の表在性細胞を有し、血清E2濃度は20pg/mL以下であった。骨盤超音波診断により測定したところ、非子宮摘出の患者は子宮内膜の厚みが4mm以下であった。乳癌または他のホルモン依存性腫瘍、以前のエストロゲンの使用に関連した急性血栓静脈炎または血栓塞栓性疾患、または(ベースラインで)更なる治療を必要とする膣感染の病歴が既知または疑われた患者は、当該試験から除外し、同様に、(スクリーニング前の12ヶ月の間に)原因不明の生殖器出血のある患者も除外した。患者は、スクリーニング前の7日間には何れ種類の経膣、経口若しくは経陰門製剤も;ベースラインの前8週間には何れの外因性副腎皮質ホルモン若しくは性ホルモンも;過去30日間は何れの研究中の新規薬物も;またはジエチルスチルベストロールを使用してはいけないことにした。
【0037】
スクリーニング診察の後、患者は、ベースライン診察前の4週間の準備期間中は何れの試験処置も受けなかった。ベースラインの診察で、患者は、コンピュータで発生させたスキームを使用して1:1の基準で無作為に抽出され、25または10μgの何れかのE2を含有する膣錠を投与された。当該膣錠は外見的には同一だった。患者は、膣内に1錠を、当該試験の最初の2週間は1日1回で、次に残りの10週間は週2回(日曜日と木曜日)で挿入した。患者は毎日一定した時間、好ましくは朝、に彼らの薬剤を使用するように指導された。ベースライン診察の後に、患者は、1、2、4、8および12週で血清中E2およびFSHの測定と、同時に膣の細胞学的評価のために当該外来診療所を再訪した。
【0038】
各診察のための当該外来診療所への再訪では、膣細胞学標本が採取された。その後、患者は当該錠剤を挿入した。血液試料は、錠剤挿入前の30分と、挿入後の1、2、4、5、6、7、8、10、12および24時間後に採取し、ラジオイムノアッセイによって血清E2濃度を測定した。また挿入前30分と挿入後6、12および24時間に得た当該血液試料を使用して、ラジオイムノアッセイによってFSH濃度も測定した。
【0039】
膣粘膜細胞の成熟値は、以下の方程式に従って、基底付近、中間および表在性細胞の割合から算出した:
成熟値=0x[基底付近の細胞、%]+0.5x[中間の細胞、%]+1.0x[表在性細胞]。
【0040】
錠剤挿入前30分から錠剤挿入後24時間までの濃度-時間曲線下面積の薬物動態パラメータ、最高濃度、および最高濃度までの時間をE2の血清濃度について測定した。当該曲線下面積と最高濃度のデータは対数尺に変換し、当該対数尺における(ベースラインの診察での)初回投与からの変化を、95%信頼区間を使用した一標本t検定(paired t-tests)により評価した。E2の吸収の程度に関する処置群間の相違は、二標本t検定に由来する95%信頼区間を用いて、観察された当該曲線下面積および最高濃度の対数の平均値を基に決定した。FSH濃度における処置群中の相違は、ウィルコクソン符号別順位和検定(Wilcoxon signed-ranks test)を使用してベースラインからの変化を基に2週および12週での平均濃度について決定した。平均濃度は、錠剤挿入前30分と挿入後6、12および24時間で得た平均濃度として定義した。E2およびFSHのベースライン濃度はベースライン診察での錠剤挿入前30分に観察された値として定義した。
【0041】
本明細書では、評価可能な患者集団、即ち、ベースラインで20pg/mL以下の血清E2濃度を有し、且つベースライン診察と2週および12週で入手可能な完全なデータを有する患者として定義される、についてのデータを示す。
【0042】
<結果>
計58人の女性が25μgE2(28人)または10μgE2(30人)の何れかを含有する膣錠で処置された。10人の女性は当該試験の前に中止した。当該評価可能な患者集団は42人の女性からなる;19人の女性は25μgのE2を投与され、23人の女性は10μgのE2を投与された。当該評価可能な患者集団の人口学およびベースラインの特徴を表1に示す。患者の特徴は処置群間で等しいが、ベースラインでの基底付近の細胞の割合に例外があり、これは10μgE2群に比較して25μgE2群における患者の方が有意に低かった(P=.027、t検定)。
【0043】
0および12週での血清E2についての24時間濃度プロフィールは、図1および2に夫々示し、関連する薬物動態特性は表2に示す。0週および12週での血清E2プロフィールは各処置群において類似していた。当該血清E2濃度、並びに対応する平均曲線下面積および最高濃度は、25μgE2を投与された患者の方が、10μgE2を投与された患者に比べて高かった。24時間に亘る血清E2濃度の平均もまた、10μgE2群に比べて25μgE2群において高かった。
【0044】
0週および12週での血清E2の曲線下面積の比較を図3に示す。各処置群における患者の大多数は、両時点で600pg・hr/mL以下の曲線下面積を有していた(25および10μgE2群で夫々14患者[74%]および22患者[94%])。12週での血清E2の曲線下面積とFSH濃度の平均値との比較は図4に示す。12週では、各処置群における患者の大多数は、閉経後の正常範囲に平均FSH濃度(少なくとも35pg/mL)があり;25μgE2群の3患者は平均FSH濃度が35pg/mL以下であった。
【0045】
平均成熟値および成熟値におけるベースラインからの平均変化は表3に示す。各処置群において、患者はベースライン値を超える成熟値の顕著な増加を経験した(1週および2週でP≦.001、12週でP≦.01;両側一標本t検定)。全ての時点で、平均成熟値および成熟値におけるベースラインからの平均変化を処置群間で比較した。12週での血清E2の曲線下面積と成熟値の間の比較を図5に示す。各処置群の患者の大多数(25および10μgE2群において夫々13患者[68%]と14患者[64%])は、対応するベースライン値からの成熟値の上昇を示した(25および10μgE2群において夫々53.4および51.0)。
【0046】
<結論>
最も好ましい膣内治療は、膣症状の十分な緩和があり、全身性吸収と関連する副作用を伴わない安定したエストロゲン吸収を提供するであろう。この試験で使用された低用量膣錠はこれらの基準にかなうものである。
【0047】
この試験は、25または10μgE2膣錠の何れかでの12週間に亘る処置を受けた患者におけるE2の全身性吸収を試験した。何れの処置群でも患者の大多数(25μgE2群では74%、10μgE2群では96%)は、12週の処置期間の開始と終わりの両方で、E2の低い全身性吸収を経験しており、何れの時点でも600pg-hr/mL以下のE2濃度曲線下面積によって示される通りである。残りの6人の患者のうち、12週でより高いE2吸収を経験した4人は、0および12週の何れでも600pg・hr/mLよりも高い曲線下面積を有し、これらの患者は特徴として高いE2吸収を有する者であると示唆された。これらの患者は何れのERTの結果であっても、高いE2吸収を経験するだろう。
【0048】
0および12週での24時間の血清E2プロフィールは何れの処置群でも類似しており、繰り返しになるが、これは全般的に女性が処置期間の初めと終わりでの安定したE2吸収パターンを有することを示している。各時点での平均E2濃度は、閉経後の正常範囲内であった(閉経後のE2濃度の正常範囲:≦40pg/mL)。この試験からの前途有望な結果は、処置の12週に亘り安定したE2吸収を示した。
【0049】
この試験において、25または10μgE2の何れかの処置の12週後に、FSH濃度は滅多に月経閉止前の程度にまでに抑制されることはなく、観察された血清E2濃度の上昇は臨床的に顕著な全身性のE2効果には関与しないことが示唆された。25および10μgE2の何れの用量レベルでも、萎縮性膣上皮において陽性効果が示され、同時にE2の低血清濃度は維持された。膣健康状態における改善は、膣上皮を経た局部的E2の直接的灌流および/またはリンパ性吸収に帰因するであろう。この試験においては、膣成熟は成熟値に限って測定した。膣反応は膣のグリコーゲン化と酸性化を大抵強化するので、膣pHのモニタリングは膣健康状態の別の有用な基準を提供する。低濃度の循環E2での膣成熟は局部膣ERTの第1の治療目標である。閉経後の女性における骨粗鬆症の危険率の低下も観察されている。これらの利点は、骨における内因性のE2産生に加えて循環E2の濃度に依存しており、これは、年配者、正常な閉経後の女性において特に当てはまることである。平均血清E2濃度は、10μgE2を受けた患者よりも、25μgE2を受けた患者の方で高かったことから、より低い用量を受けた患者は、何れの全身性影響も非常に可能性が低いので、付加的な利点を受けられる可能性がある。
【表A1】
【表A2】
【表A3】
【0050】
例3
本発明に従う低用量17β-エストラジオール錠を用いた処置は膣症状を軽減し、泌尿生殖器の萎縮(膣健康状態)を改善し、且つ異常な子宮内膜の成長を伴わない膣および尿道上皮(粘膜)の成熟を増強する。
【0051】
目的:
25または10μgの17β-エストラジオール(以下E2と記す)を含有する膣錠またはプラセボを、萎縮性膣炎を患う閉経後の女性において評価および比較した。
【0052】
方法:
マルチセンター(multicenter)、無作為抽出、二重盲検、プラセボコントロール、並行群の試験において、230人の閉経後の女性が25若しくは10μgE2またはプラセボでの処置を12週間に亘って受けた。有効性は、膣症状(乾燥、痛み、および炎症)並びに膣健康状態(分泌、上皮のインテグリティ、表層の厚み、およびpH)の複合スコアで測定した。膣および尿道の細胞学的分析も実施し、膣成熟値を測定した。安全評価には子宮内膜の生検が含まれた。
【0053】
結果:
膣症状および膣健康状態特性のための複合スコアにおけるより顕著な改善は、プラセボ群よりも活性処置群の患者について報告された。有意なより顕著な改善は、7週および12週で報告された(P≦.05)。12週では、活性処置群における75%以上の患者は、5.5以下の膣pH値を有し、比較すると、プラセボ群における患者の約40%であった。膣および尿道両方の細胞学的分析は、活性処置群の方がプラセボ群よりも表在性細胞の割合におけるより大きな増加を示した。それに伴って、膣成熟値における増加は、プラセボ群におけるよりも活性処置群における方がより高かった。25μgE2を受けた1人の患者は異常な生検結果を示した。
【0054】
結論;
25および10μgE2膣錠は共に、膣症状の緩和、膣健康状態の改善、並びに異常な子宮内膜成長のない膣および尿道粘膜両方の成熟の増加を提供した。
【0055】
序論;
内因性のエストロゲン産生は閉経期に低下するので、膣および他のエストロゲン依存性の組織は徐々に萎縮性の変化を経験する。エストロゲンに影響された細胞成熟の欠損は、萎縮性膣炎として知られる状態を生じる。当該萎縮性膣炎の症状は、乾燥、痛み、炎症および性交困難を含む。加えて、膣上皮は感染および二次的炎症に罹りやすくなる。経口エストロゲン療法は、代謝性副作用、並びに乳房および子宮内膜の過形成に関与している。
【0056】
ノボ・ノルディスクはバジフェム(Vagifem(登録商標))、即ち、親水性セルロースベース基質中に25μgE2を含む低用量エストロゲン膣錠、を開発してきた。バジフェム(登録商標)の薬物動態学試験は、萎縮性膣上皮において経膣投与されたE2は直ちに吸収され、しかし上皮の正常化および成熟の後で、E2吸収は顕著に減少することを示している。
【0057】
この試験は、25または10μgE2を含有する膣錠とプラセボの有効性および安全性を12週間の膣萎縮治療を通して評価および比較した。
【0058】
<方法および材料>
このフェーズIII、マルチセンター、無作為抽出、二重盲検、プラセボコントロール、並行群試験は、アメリカ合衆国の9の総合施設で実施された。当該試験は、適切な審査委員会により承認され、試験手順の開始に先立ってインフォームド・コンセントを各患者から得た。当該試験は、1975年のヘルシンキ宣言、1983年修正、に従って実施された。
【0059】
少なくとも45歳またはそれ以上の年齢の女性で中度から重度の膣乾燥および痛みをもつ女性が登録された。全ての患者は、血清E2濃度が20pg/mL以下であり、5%以下の表在性細胞を有することが必要とされた。インタクトの子宮をもつ患者もまた、正常な閉経期を少なくとも12ヶ月は過ぎており、5mm以下の子宮内膜の厚みであることが必要とされた。
【0060】
クレアチニン濃度が1.4mg/dLより高い、ビリルビン濃度が1.2mg/dLよりも高い、アスパルテートトランスアミナーゼ濃度が50U/Lよりも高い、またはヘモグロビン濃度が11.5g/dLよりも低い患者は、当該試験から除外された。乳癌、ホルモン依存性の腫瘍、原因不明の生殖器出血、急性血栓静脈炎またはエストロゲン使用に関連する血栓塞栓性疾患の病歴、治療を必要とする膣感染、試験薬若しくはその成分に対するアレルギー、または何れかの重篤な疾患若しくは試験の応諾を妨げる慢性状態の知られたまたは疑われる患者もまた、当該試験から除外された。スクリーニング前の30日以内の研究薬の使用、試験薬開始前7日以内の何れかの類似療法製剤の使用、試験薬開始前8週間以内の外因性副腎皮質ホルモン若しくは性ホルモンの使用、またはジエチルスチルベストロールの使用は禁止された。
【0061】
この試験の目的は、25および10μgE2並びにプラセボを比較することである。コンピュータで発生させて任意抽出した計画を使用して、25μgE2、10μgE2、またはプラセボを含む膣錠の投与のために、対象(患者)を2:2:1の割合で無作為に選択した。全ての膣錠の外見は全く同じでだった。患者は1日1錠を14日間挿入した。その後、患者は1錠を1週間に2回(日曜および木曜)、当該試験の残りの日に挿入した。患者は、各日の同じ時刻(好ましくは就寝時刻)に当該錠剤を挿入することとした。患者は、-4週(スクリーニング)、0週(ベースライン)並びに2、7および12週で有効性と安全性を評価された。
【0062】
有効性評価には、萎縮性膣炎症状の患者評価、膣健康状態の調査員評価、並びに膣および尿道細胞学が含まれた。患者は、なし、軽度、中度、または重度の強度格付けを使用し、萎縮性膣炎症状(乾燥、痛み、炎症、性交困難および膣分泌物)を評価した。強度格付けは、0(なし)から3(重度)に上行するスコアに割り当てた。萎縮性膣炎症状の複合スコアは、乾燥、痛みおよび炎症の個別の症状スコアの平均と定義した。この複合スコアには、性交困難(これは、全ての患者によっては評価されなかった)または膣分泌物(これは、大部分の患者により、なしまたは軽度と評価された)が含まれなかった。当該複合スコアおよび複合スコアのベースラインからの変化は、各時点で検査された。処置群内および処置群間の相違は分散分析(ANOVA)を用いて分析した。
【0063】
調査員は、なし、軽度、中度および重度の重大さの尺度を使用し、膣健康状態特徴(分泌物、上皮インテグリティ、表層の厚み、色およびpH)を評価した。重大さのカテゴリーは、分析のために0(なし)から3(重度)に上行するスコアに割り当てた。多数の終点結果(multiple endopoint issues)を回避するために、複合スコアは定義された。膣健康状態のための複合スコアは、個別の膣健康状態の特徴スコアの平均と定義した。当該複合スコアと当該複合スコアのベースラインからの変化は、各時点で検査された。処置群内および処置群間の相違は分散分析(ANOVA)を用いて分析した。
【0064】
膣および尿道細胞サンプルを、採取し、独立した細胞学者により分析して、基底付近、中間および表在性細胞の割合を決定した。成熟値は以下の方程式に従って計算した;
成熟値=1.0x[表在性細胞、%]+0.5x[中間の細胞、%]。
【0065】
子宮内膜生検は、完全な子宮を有する患者において当該試験の最後に行った。異常な生検試料の患者数を処置群間で比較した。
【0066】
<結果>
計91人の女性が25μgE2を受け、92人の女性が10μgE2を受け、47人の女性がプラセボを受けた。人口学およびベースラインの特徴は、人種を除いて、処置群間で有意な差はなかった(表4)。非白人患者の割合は、プラセボ群よりも25μgE2群の方が有意に低かった(P=.026、コクラン-マントル-ヘンゼルテスト(Cochran-Mantel-Haenszel test))。25μgE2群の9患者(9.9%)、10μgE2群の18患者(19.6%)およびプラセボ群の8患者(17.0%)は、早期に当該試験を中止した。
【0067】
0週から12週の間の膣症状複合スコアプロフィールを図6に示す。0週では、膣症状複合スコアは各処置群で約1.9が測定された。2、7および12週では、膣症状複合スコアは各処置群で対応するベースライン値よりも有意に低かった(P≦.001;両側一標本t検定)。活性処置群(25および10μgE2群)において、膣症状複合スコアは0週の後から下がり続け、12週では各々約0.5および0.6と判定された。それに対してプラセボ群では、膣症状スコアは0週後から殆ど一定したままであり、約1.1と判定された。7および12週では、当該活性処置群において観察されたベースラインからの違いは、プラセボ群において観察されたものよりも有意に大きかった(25および10μgE2群において夫々P≦.01、P≦.05;両側線形モデル解析(two-tailed linear model analysis))。
【0068】
0から12週の間の泌尿生殖器(膣)健康状態複合スコアプロフィールを図7に示した。0週での膣健康状態複合スコアは、各処置群において約1.7と判定された。2、7および12週での膣健康状態複合スコアは、各処置群の対応するベースライン値よりも有意に低かった(P≦.01;両側一標本t検定)。2、7および12週で、活性処置群において観察された膣健康状態複合スコアの低下は、プラセボ群において観察されたものよりも有意に大きかった(P≦0.01;両側線形モデル解析)。7週での膣健康状態複合スコアの減少は、10μgE2よりも25μgE2における方が有意に大きかった(P=.004、両側線形モデル解析)。
【0069】
0、2、7および12週で膣pH値が5.5以下の患者の数および割合を表5に示す。0週では、各処置群における約35%の患者が5.5以下の膣pHであった。2、7および12週では、膣pHが5.5以下である患者の割合は、各処置群のベースラインでの割合よりも増加した。これらの増加は、プラセボ群よりも活性処置群における患者の方が有意に大きかった(P≦.05;両側線形モデル解析)。12週では、活性処置群の75%を超える患者およびプラセボ群の約40%の患者が5.5以下のpH値を示した。
【0070】
0、2、7および12週での膣細胞学的分析による表在性細胞の割合を図8に示す。0週後の全ての時点で、プラセボ群の対象に比べて活性処置群の対象は、表在性細胞の割合の有意な増加(P≦.05)または増加の傾向の何れかを示した。これらの増加を表7に示す。
【0071】
0週から12週での成熟値を図9に示す。0週での成熟値は、各処置群で約45%と判定された。各時点での成熟値は、各処置群の対応するベースライン値よりも有意に高かった(P≦.01;両側一標本t検定)。ベースライン値からの増加は、プラセボ群よりも活性処置群においてより大きかった。12週での成熟値は、活性処置群では約60%、プラセボ群では約55%と判定された。2および7週での25μgE2群において観察された成熟値の増加は、プラセボ群で観察されたよりも有意に大きかった(P≦.05;両側線形モデル解析)。2週での10μgE2群において観察された成熟値の増加は、プラセボ群において観察されたよりも有意に大きかった(P=.001;両側線形モデル解析)。
【0072】
0、2、7および12週での尿道細胞学的分析からの表在性細胞の割合を図10に示す。0週の後の全ての時点で、プラセボ群における対象に比較して活性処置群の対象は、表在性細胞の割合の有意な増加(P≦.05)または増加傾向を示した。これらの増加を表8に示す。
【0073】
0週および12週での表在性膣および尿道細胞の割合は、図11(a)、(b)および(c)に、25および10μgE2群並びにプラセボ群について夫々示す。0週での各処置群における対象の大部分は、表在性膣および尿道細胞の両方の割合が、5%以下(25および10μgE2群ならびにプラセボ群の夫々で、57対象[81%]、53対象[85%]および34対象[97%])であった。12週では、プラセボ群に比べて、活性処置群におけるより多くの対象が、表在性膣および尿道細胞の両方の割合が増加した(25および10μgE2群並びにプラセボ群で夫々52対象[74%]、44対象[71%]および21対象[60%])。
【0074】
12週での子宮内膜生検結果を表6に示す。生検で十分な組織の得られた対象のうち、25μgE2群の1対象は、異型性のない単純な過形成を示した。しかしながら、比較のための処置前生検はなかった。
【0075】
0、2、7および12週での膣細胞学的分析による基底付近、中間および表在性細胞の割合を図12に示す。大抵の場合、各カテゴリーにおける細胞の割合は、対応するベースライン値から有意に変化した(P≦.01;両側一標本t検定)。各時点で、表在性細胞の割合は増加した。2および7週では、25μgE2群において観察された表在性細胞の割合の増加は、プラセボ群において観察されたよりも有意に大きかった(P≦.003;両側線形モデル解析)。2および12週では、10μgE2群において観察された表在性細胞の割合の相違は、プラセボ群において観察されたよりも有意に大きかった(P≦.035;両側線形モデル解析)。
【0076】
0、2、7および12週での尿道細胞学的分析による基底付近、中間および表在性細胞の割合を図13に示す。大抵の場合、表在性および基底付近の細胞の割合は、対応するベースライン値から有意に変化した(P≦.05;両側線形モデル解析)。一般的に、表在性細胞の割合は増加し、中間および基底付近の細胞の割合は減少した。2および7週では、25μgE2群で観察された表在性細胞の割合における増加は、プラセボ群で観察された増加よりも有意に大きかった(P≦.044;両側線形モデル解析)。2週では、10μgE2群において観察された表在性細胞の割合の増加は、プラセボにおいて観察されたよりも有意に大きかった(P≦.018;両側線形モデル解析)。
【0077】
<結論>
この12週の試験において、25または10μgE2錠での処置は、プラセボでの処置に比べて、(患者による評価としての)膣症状と(試験者による評価としての)膣健康状態において、より大きな改善が得られた。ベースラインの後の各時点での泌尿生殖器(膣)健康状態複合スコアにおける改善は、プラセボ群におけるよりも活性(25μgおよび10μgE2)群における方が、有意に大きかった(P≦.01)。処置の2週間後の各時点では、膣症状複合スコアにおける改善もまた有意に増加した(P≦.05)。加えて、活性処置群の対象は、プラセボ群における対象に比較して、表在性膣細胞の割合が統計学的に有意に増加(P≦.05)または増加の傾向があった。この試験での25または10μgE2での処置で、患者および調査員の何れに評価された場合であっても同様に改善が得られた。
【0078】
萎縮性膣炎の症状の改善は、膣粘膜における変化として、物理的に明白且つ一目瞭然となった。膣粘膜の状態は、膣細胞学的測定と成熟値を通して測定された。この試験において、未発達の基底付近および中間の細胞の割合は減少し、結果として、各処置群におけるより成熟した表在性細胞の割合が増加した。これらの変化は、各処置群における成熟値のベースライン値を超える有意な増加に反映される(P≦.01)。処置の12週後、25または10μgのE2群の患者の成熟値は約60%であったのに対し、プラセボ群の患者の成熟値は約55%であった。
【0079】
膣活性の第二の臨床的尺度は膣pH{泌尿生殖器(膣)健康状態複合スコアの要素}である。閉経期後のエストロゲン産生の減少した場合、膣グリコーゲンから乳酸を産生する乳酸菌が膣細菌叢から姿を消し膣、pHが上昇する。従って、高い膣pH値は膣粘膜におけるエストロゲンの欠乏と関連する。この試験では、プラセボを投与された患者よりも約2倍多い人数の25または10μgE2を投与された患者が、処置の12週間後も5.5以下の膣pH値を有していた(夫々、75%に対して40%)。膣細胞学およびpHの分析の結果は、膣上皮(粘膜)のエストロゲン化(estrogenation)における25および10μgE2膣錠の陽性効果を示す。
【0080】
下部の膣および尿道は同一の発生学的起源を有し、萎縮性膣炎などの生殖路疾患(genital tract disorders)は、多くの場合、排尿障害、緊張性失禁および尿路感染症を含む尿路における萎縮性変化を随伴する。従って、エストロゲン療法はまた、尿道上皮における効果を有してもよい。この試験では、尿道上皮の状態を尿道細胞学を通して測定した。膣細胞学分析と同様に、各処置群で尿道上皮における基底付近の細胞の割合は減少し、表在性細胞の割合は増加した。この試験では、尿路に対する利点を更に確認するための計画はないが、この尿道成熟は尿道粘膜のエストロゲン化の結果であると考えられた。
【0081】
このように、この試験において使用された25μgE2膣錠は膣および尿道上皮に確かに作用するように見えるが、それらは子宮内膜の異常と関連するものではなかった。
【表A4】
【表A5】
【表A6】
【表1】
【表2】
【表3】
【0082】
例3
本発明に従う低用量17β-エストラジオール錠を用いた処置は膣症状を軽減し、泌尿生殖器の萎縮(膣健康状態)を改善し、且つ異常な子宮内膜の成長を伴わない膣および尿道上皮(粘膜)の成熟を増強する。
【0083】
目的:
25または10μgの17β-エストラジオール(以下E2と記す)を含有する膣錠またはプラセボを、萎縮性膣炎を患う閉経後の女性において評価および比較した。
【0084】
方法:
マルチセンター(multicenter)、無作為抽出、二重盲検、プラセボコントロール、並行群の試験において、230人の閉経後の女性が25若しくは10μgE2またはプラセボでの処置を12週間に亘って受けた。有効性は、膣症状(乾燥、痛み、および炎症)並びに膣健康状態(分泌、上皮のインテグリティ、表層の厚み、およびpH)の複合スコアで測定した。膣および尿道の細胞学的分析も実施し、膣成熟値を測定した。安全評価には子宮内膜の生検が含まれた。
【0085】
結果:
膣症状および膣健康状態特性のための複合スコアにおけるより顕著な改善は、プラセボ群よりも活性処置群の患者について報告された。有意なより顕著な改善は、7週および12週で報告された(P≦.05)。12週では、活性処置群における75%以上の患者は、5.5以下の膣pH値を有し、比較すると、プラセボ群における患者の約40%であった。膣および尿道両方の細胞学的分析は、活性処置群の方がプラセボ群よりも表在性細胞の割合におけるより大きな増加を示した。それに伴って、膣成熟値における増加は、プラセボ群におけるよりも活性処置群における方がより高かった。25μgE2を受けた1人の患者は異常な生検結果を示した。
【0086】
結論;
25および10μgE2膣錠は共に、膣症状の緩和、膣健康状態の改善、並びに異常な子宮内膜成長のない膣および尿道粘膜両方の成熟の増加を提供した。
【0087】
序論;
内因性のエストロゲン産生は閉経期に低下するので、膣および他のエストロゲン依存性の組織は徐々に萎縮性の変化を経験する。エストロゲンに影響された細胞成熟の欠損は、萎縮性膣炎として知られる状態を生じる。当該萎縮性膣炎の症状は、乾燥、痛み、炎症および性交困難を含む。加えて、膣上皮は感染および二次的炎症に罹りやすくなる。経口エストロゲン療法は、代謝性副作用、並びに乳房および子宮内膜の過形成に関与している。
【0088】
ノボ・ノルディスクはバジフェム(Vagifem(登録商標))、即ち、親水性セルロースベース基質中に25μgE2を含む低用量エストロゲン膣錠、を開発してきた。バジフェム(登録商標)の薬物動態学試験は、萎縮性膣上皮において経膣投与されたE2は直ちに吸収され、しかし上皮の正常化および成熟の後で、E2吸収は顕著に減少することを示している。
【0089】
この試験は、25または10μgE2を含有する膣錠とプラセボの有効性および安全性を12週間の膣萎縮治療を通して評価および比較した。
【0090】
<方法および材料>
このフェーズIII、マルチセンター、無作為抽出、二重盲検、プラセボコントロール、並行群試験は、アメリカ合衆国の9の総合施設で実施された。当該試験は、適切な審査委員会により承認され、試験手順の開始に先立ってインフォームド・コンセントを各患者から得た。当該試験は、1975年のヘルシンキ宣言、1983年修正、に従って実施された。
【0091】
少なくとも45歳またはそれ以上の年齢の女性で中度から重度の膣乾燥および痛みをもつ女性が登録された。全ての患者は、血清E2濃度が20pg/mL以下であり、5%以下の表在性細胞を有することが必要とされた。インタクトの子宮をもつ患者もまた、正常な閉経期を少なくとも12ヶ月は過ぎており、5mm以下の子宮内膜の厚みであることが必要とされた。
【0092】
クレアチニン濃度が1.4mg/dLより高い、ビリルビン濃度が1.2mg/dLよりも高い、アスパルテートトランスアミナーゼ濃度が50U/Lよりも高い、またはヘモグロビン濃度が11.5g/dLよりも低い患者は、当該試験から除外された。乳癌、ホルモン依存性の腫瘍、原因不明の生殖器出血、急性血栓静脈炎またはエストロゲン使用に関連する血栓塞栓性疾患の病歴、治療を必要とする膣感染、試験薬若しくはその成分に対するアレルギー、または何れかの重篤な疾患若しくは試験の応諾を妨げる慢性状態の知られたまたは疑われる患者もまた、当該試験から除外された。スクリーニング前の30日以内の研究薬の使用、試験薬開始前7日以内の何れかの類似療法製剤の使用、試験薬開始前8週間以内の外因性副腎皮質ホルモン若しくは性ホルモンの使用、またはジエチルスチルベストロールの使用は禁止された。
【0093】
この試験の目的は、25および10μgE2並びにプラセボを比較することである。コンピュータで発生させて任意抽出した計画を使用して、25μgE2、10μgE2、またはプラセボを含む膣錠の投与のために、対象(患者)を2:2:1の割合で無作為に選択した。全ての膣錠の外見は全く同じでだった。患者は1日1錠を14日間挿入した。その後、患者は1錠を1週間に2回(日曜および木曜)、当該試験の残りの日に挿入した。患者は、各日の同じ時刻(好ましくは就寝時刻)に当該錠剤を挿入することとした。患者は、-4週(スクリーニング)、0週(ベースライン)並びに2、7および12週で有効性と安全性を評価された。
【0094】
有効性評価には、萎縮性膣炎症状の患者評価、膣健康状態の調査員評価、並びに膣および尿道細胞学が含まれた。患者は、なし、軽度、中度、または重度の強度格付けを使用し、萎縮性膣炎症状(乾燥、痛み、炎症、性交困難および膣分泌物)を評価した。強度格付けは、0(なし)から3(重度)に上行するスコアに割り当てた。萎縮性膣炎症状の複合スコアは、乾燥、痛みおよび炎症の個別の症状スコアの平均と定義した。この複合スコアには、性交困難(これは、全ての患者によっては評価されなかった)または膣分泌物(これは、大部分の患者により、なしまたは軽度と評価された)が含まれなかった。当該複合スコアおよび複合スコアのベースラインからの変化は、各時点で検査された。処置群内および処置群間の相違は分散分析(ANOVA)を用いて分析した。
【0095】
調査員は、なし、軽度、中度および重度の重大さの尺度を使用し、膣健康状態特徴(分泌物、上皮インテグリティ、表層の厚み、色およびpH)を評価した。重大さのカテゴリーは、分析のために0(なし)から3(重度)に上行するスコアに割り当てた。多数の終点結果(multiple endopoint issues)を回避するために、複合スコアは定義された。膣健康状態のための複合スコアは、個別の膣健康状態の特徴スコアの平均と定義した。当該複合スコアと当該複合スコアのベースラインからの変化は、各時点で検査された。処置群内および処置群間の相違は分散分析(ANOVA)を用いて分析した。
【0096】
膣および尿道細胞サンプルを、採取し、独立した細胞学者により分析して、基底付近、中間および表在性細胞の割合を決定した。成熟値は以下の方程式に従って計算した;
成熟値=1.0x[表在性細胞、%]+0.5x[中間の細胞、%]。
【0097】
子宮内膜生検は、完全な子宮を有する患者において当該試験の最後に行った。異常な生検試料の患者数を処置群間で比較した。
【0098】
<結果>
計91人の女性が25μgE2を受け、92人の女性が10μgE2を受け、47人の女性がプラセボを受けた。人口学およびベースラインの特徴は、人種を除いて、処置群間で有意な差はなかった(表4)。非白人患者の割合は、プラセボ群よりも25μgE2群の方が有意に低かった(P=.026、コクラン-マントル-ヘンゼルテスト(Cochran-Mantel-Haenszel test))。25μgE2群の9患者(9.9%)、10μgE2群の18患者(19.6%)およびプラセボ群の8患者(17.0%)は、早期に当該試験を中止した。
【0099】
0週から12週の間の膣症状複合スコアプロフィールを図6に示す。0週では、膣症状複合スコアは各処置群で約1.9が測定された。2、7および12週では、膣症状複合スコアは各処置群で対応するベースライン値よりも有意に低かった(P≦.001;両側一標本t検定)。活性処置群(25および10μgE2群)において、膣症状複合スコアは0週の後から下がり続け、12週では各々約0.5および0.6と判定された。それに対してプラセボ群では、膣症状スコアは0週後から殆ど一定したままであり、約1.1と判定された。7および12週では、当該活性処置群において観察されたベースラインからの違いは、プラセボ群において観察されたものよりも有意に大きかった(25および10μgE2群において夫々P≦.01、P≦.05;両側線形モデル解析(two-tailed linear model analysis))。
【0100】
0から12週の間の泌尿生殖器(膣)健康状態複合スコアプロフィールを図7に示した。0週での膣健康状態複合スコアは、各処置群において約1.7と判定された。2、7および12週での膣健康状態複合スコアは、各処置群の対応するベースライン値よりも有意に低かった(P≦.01;両側一標本t検定)。2、7および12週で、活性処置群において観察された膣健康状態複合スコアの低下は、プラセボ群において観察されたものよりも有意に大きかった(P≦0.01;両側線形モデル解析)。7週での膣健康状態複合スコアの減少は、10μgE2よりも25μgE2における方が有意に大きかった(P=.004、両側線形モデル解析)。
【0101】
0、2、7および12週で膣pH値が5.5以下の患者の数および割合を表5に示す。0週では、各処置群における約35%の患者が5.5以下の膣pHであった。2、7および12週では、膣pHが5.5以下である患者の割合は、各処置群のベースラインでの割合よりも増加した。これらの増加は、プラセボ群よりも活性処置群における患者の方が有意に大きかった(P≦.05;両側線形モデル解析)。12週では、活性処置群の75%を超える患者およびプラセボ群の約40%の患者が5.5以下のpH値を示した。
【0102】
0、2、7および12週での膣細胞学的分析による表在性細胞の割合を図8に示す。0週後の全ての時点で、プラセボ群の対象に比べて活性処置群の対象は、表在性細胞の割合の有意な増加(P≦.05)または増加の傾向の何れかを示した。これらの増加を表7に示す。
【0103】
0週から12週での成熟値を図9に示す。0週での成熟値は、各処置群で約45%と判定された。各時点での成熟値は、各処置群の対応するベースライン値よりも有意に高かった(P≦.01;両側一標本t検定)。ベースライン値からの増加は、プラセボ群よりも活性処置群においてより大きかった。12週での成熟値は、活性処置群では約60%、プラセボ群では約55%と判定された。2および7週での25μgE2群において観察された成熟値の増加は、プラセボ群で観察されたよりも有意に大きかった(P≦.05;両側線形モデル解析)。2週での10μgE2群において観察された成熟値の増加は、プラセボ群において観察されたよりも有意に大きかった(P=.001;両側線形モデル解析)。
【0104】
0、2、7および12週での尿道細胞学的分析からの表在性細胞の割合を図10に示す。0週の後の全ての時点で、プラセボ群における対象に比較して活性処置群の対象は、表在性細胞の割合の有意な増加(P≦.05)または増加傾向を示した。これらの増加を表8に示す。
【0105】
0週および12週での表在性膣および尿道細胞の割合は、図11(a)、(b)および(c)に、25および10μgE2群並びにプラセボ群について夫々示す。0週での各処置群における対象の大部分は、表在性膣および尿道細胞の両方の割合が、5%以下(25および10μgE2群ならびにプラセボ群の夫々で、57対象[81%]、53対象[85%]および34対象[97%])であった。12週では、プラセボ群に比べて、活性処置群におけるより多くの対象が、表在性膣および尿道細胞の両方の割合が増加した(25および10μgE2群並びにプラセボ群で夫々52対象[74%]、44対象[71%]および21対象[60%])。
【0106】
12週での子宮内膜生検結果を表6に示す。生検で十分な組織の得られた対象のうち、25μgE2群の1対象は、異型性のない単純な過形成を示した。しかしながら、比較のための処置前生検はなかった。
【0107】
0、2、7および12週での膣細胞学的分析による基底付近、中間および表在性細胞の割合を図12に示す。大抵の場合、各カテゴリーにおける細胞の割合は、対応するベースライン値から有意に変化した(P≦.01;両側一標本t検定)。各時点で、表在性細胞の割合は増加した。2および7週では、25μgE2群において観察された表在性細胞の割合の増加は、プラセボ群において観察されたよりも有意に大きかった(P≦.003;両側線形モデル解析)。2および12週では、10μgE2群において観察された表在性細胞の割合の相違は、プラセボ群において観察されたよりも有意に大きかった(P≦.035;両側線形モデル解析)。
【0108】
0、2、7および12週での尿道細胞学的分析による基底付近、中間および表在性細胞の割合を図13に示す。大抵の場合、表在性および基底付近の細胞の割合は、対応するベースライン値から有意に変化した(P≦.05;両側線形モデル解析)。一般的に、表在性細胞の割合は増加し、中間および基底付近の細胞の割合は減少した。2および7週では、25μgE2群で観察された表在性細胞の割合における増加は、プラセボ群で観察された増加よりも有意に大きかった(P≦.044;両側線形モデル解析)。2週では、10μgE2群において観察された表在性細胞の割合の増加は、プラセボにおいて観察されたよりも有意に大きかった(P≦.018;両側線形モデル解析)。
【0109】
<結論>
この12週の試験において、25または10μgE2錠での処置は、プラセボでの処置に比べて、(患者による評価としての)膣症状と(試験者による評価としての)膣健康状態において、より大きな改善が得られた。ベースラインの後の各時点での泌尿生殖器(膣)健康状態複合スコアにおける改善は、プラセボ群におけるよりも活性(25μgおよび10μgE2)群における方が、有意に大きかった(P≦.01)。処置の2週間後の各時点では、膣症状複合スコアにおける改善もまた有意に増加した(P≦.05)。加えて、活性処置群の対象は、プラセボ群における対象に比較して、表在性膣細胞の割合が統計学的に有意に増加(P≦.05)または増加の傾向があった。この試験での25または10μgE2での処置で、患者および調査員の何れに評価された場合であっても同様に改善が得られた。
【0110】
萎縮性膣炎の症状の改善は、膣粘膜における変化として、物理的に明白且つ一目瞭然となった。膣粘膜の状態は、膣細胞学的測定と成熟値を通して測定された。この試験において、未発達の基底付近および中間の細胞の割合は減少し、結果として、各処置群におけるより成熟した表在性細胞の割合が増加した。これらの変化は、各処置群における成熟値のベースライン値を超える有意な増加に反映される(P≦.01)。処置の12週後、25または10μgのE2群の患者の成熟値は約60%であったのに対し、プラセボ群の患者の成熟値は約55%であった。
【0111】
膣活性の第二の臨床的尺度は膣pH{泌尿生殖器(膣)健康状態複合スコアの要素}である。閉経期後のエストロゲン産生の減少した場合、膣グリコーゲンから乳酸を産生する乳酸菌が膣細菌叢から姿を消し膣、pHが上昇する。従って、高い膣pH値は膣粘膜におけるエストロゲンの欠乏と関連する。この試験では、プラセボを投与された患者よりも約2倍多い人数の25または10μgE2を投与された患者が、処置の12週間後も5.5以下の膣pH値を有していた(夫々、75%に対して40%)。膣細胞学およびpHの分析の結果は、膣上皮(粘膜)のエストロゲン化(estrogenation)における25および10μgE2膣錠の陽性効果を示す。
【0112】
下部の膣および尿道は同一の発生学的起源を有し、萎縮性膣炎などの生殖路疾患(genital tract disorders)は、多くの場合、排尿障害、緊張性失禁および尿路感染症を含む尿路における萎縮性変化を随伴する。従って、エストロゲン療法はまた、尿道上皮における効果を有してもよい。この試験では、尿道上皮の状態を尿道細胞学を通して測定した。膣細胞学分析と同様に、各処置群で尿道上皮における基底付近の細胞の割合は減少し、表在性細胞の割合は増加した。この試験では、尿路に対する利点を更に確認するための計画はないが、この尿道成熟は尿道粘膜のエストロゲン化の結果であると考えられた。
【0113】
このように、この試験において使用された25μgE2膣錠は膣および尿道上皮に確かに作用するように見えるが、それらは子宮内膜の異常と関連するものではなかった。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0114】
例4
10μg錠剤の製造
エストラジオールの懸濁
10.3gのエストラジオール半水化物(10.0gの無水エストラジオールと等価)を精製水(15.6L)中のヒプロメロース(14.8g)溶液に攪拌しながら懸濁する。
【0115】
粒状化
混合、粒状化および乾燥を流体床において行う。
【0116】
ヒプロメロース(53.69kg)、乳糖一水和物(17.90kg)およびトウモロコシデンプン(8.00kg)を篩を通して当該流体床に吸い込ませ、次に混合する。
【0117】
当該粒状化は、賦形剤の混合物にエストラジオールの懸濁液を噴霧することにより行う。噴霧の後に、当該粒状体を乾燥する。
【0118】
混合
篩い分けを行い、ステアリン酸マグネシウム(400g)を当該粒状体に混合する。
【0119】
圧搾
当該錠剤を回転式錠剤圧搾機を使用して圧搾する。
【0120】
フィルムコーティング溶液の準備
ヒプロメロース(400g)とマクロゴール6000(50g)を精製水(9.55kg)に溶解する。
【0121】
フィルムコーティング
コーティング用鍋(coating pan)で、エア・アトマイジング・スプレー・システム(air atomizing spray system)を使用して、当該錠剤をコーティング溶液でコーティングする(1錠当たり0.576mgの乾燥材料)。コーティングの後、放出試験のためのサンプリングを行う。
【背景技術】
【0001】
[発明の詳細な説明]
[発明の背景]
膣萎縮は、実際には何れの全身的ホルモン代替療法も必要としないが、適切な局部的療法は必要とする閉経後の女性、およびエストロゲンの欠乏した女性において生じる。従って、これは長期に亘るエストロゲン療法に起因した全身性の副作用を回避するために局部、局所療法が好まれる。この目的のための局部療法が長い期間研究されており、当該ホルモンは、クリーム、ゲルおよびシラスティックリングとして投与されている。
【0002】
大凡二人に一人の閉経後の女性が、エストロゲン欠乏に関連する泌尿生殖器の不快を経験する。先の研究では、これらの女性の多くが経口ホルモン代替療法を使用しているが、泌尿生殖器の症状は根強く続いていることが示されている。
【0003】
一般的に使用されている組成物は、ノボ・ノルディスク・A/Sにより市場に出されているバジフェム(Vagifem(登録商標))である。バジフェムはエストロゲン欠乏−不足した萎縮性膣炎の治療のために開発された。バジフェムは、25μgの17β-エストラジオールを含有する小型の錠剤である。例えば、Maturitas 14(1991),23-31を参照することができるが、そこでは、女性が初期に25μgのエストラジオールを2週間投与され、その後、25μgのエストラジオールを週1回または週2回投与されている。一般的な治療は、25μgのエストラジオールを含有するバジフェムを治療の最初の2週間に亘り毎日1錠ずつ、その後、週2回1錠ずつである。
【0004】
都合のよいことに、バジフェムは細長い棒状の使い捨てのアプリケーターの先端に錠剤を配置することによって投与される。当該アプリケーターの膣への挿入によって、バジフェム錠はバジフェムの粘着性に起因して膣中に留まる。
【0005】
特に更年期の女性における膣乾燥の、必然的に非全身的な、局所療法のための医薬品であって、多くとも15μg、好ましくは10μg未満の17β-エストラジオールと等価の1単位量に相当するエストロゲン含有量で、親油性剤中で溶液または懸濁液中の17β-エストラジオール並びにその塩およびその誘導体からなる群より選択された天然エストロゲンと、親水性ゲル形成生物学的接着剤(hydrophilic gel-forming bioadhesive agent)と、親油性剤用ゲル化剤と、水分散剤とを含有する単位ガレニカル処方により特徴付けられた医薬品が、米国特許明細書第6,060,077号に記載される。
【0006】
このことから、当該第6,060,077号明細書に従うと、17β-エストラジオール並びにその塩およびその誘導体は、溶液または懸濁液中で存在する。従って、それは錠剤ではあり得ない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の1つの目的は、週2回のバジフェムの投与により得られるのと同等な膣症状における臨床効果を与えるホルモン組成物を提供することである。
本発明の更なる目的は、全身性吸収はないか、または全身性吸収は僅かであるに過ぎないホルモン組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、膣粘膜における顕著な改善を与えるホルモン組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、全身性作用はないか、または全身性作用は僅かであるに過ぎない組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、低吸収でエストロゲンを与えるホルモン組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、低血清濃度でエストロゲンを与える組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、循環するエストラジオールの蓄積はないか、低蓄積のみである組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、萎縮性膣上皮に陽性効果を与える組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、完全または十分な膣成熟を与えるホルモン組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、骨粗鬆症の危険性を低下する組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、表在性膣細胞の割合を増加する組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、萎縮性膣炎の治療に使用できるホルモン組成物を提供することである。
また本発明の更なる目的は、約5.5以下の膣pH値を与えるホルモン組成物を提供することである。
本発明の極めて特殊な目的は、以下の特徴:膣症状の緩和、泌尿生殖器萎縮の改善、膣pHの低下、並びに膣および尿道粘膜両方の細胞学的成熟の改善の全てまたは多くを与えるホルモン組成物を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】0週でのエストラジオールの血清濃度。
【0009】
白四角は25μgE2、黒丸は10μgE2。
【図2】12週でのエストラジオールの血清濃度。
【0010】
白四角は25μgE2、黒丸は10μgE2。
【図3】0週および12週での血清エストラジオール曲線下面積。
【0011】
白四角は25μgE2、黒丸は10μgE2。
【図4】12週での血清エストラジオール曲線下面積と血清FSH濃度。
【0012】
白四角は25μgE2、黒丸は10μgE2。
【図5】12週での血清エストラジオール曲線下面積と成熟値。ベースラインでの成熟値は25μgE2群においては52.4であり、10μgE2群では51.0であった。
【0013】
白四角は25μgE2、黒丸は10μgE2。
【図6】膣症状の複合スコアプロフィール。少なくとも1投与の試験薬剤を受けた対象は、ベースラインでの評価を受け、且つ少なくとも1回のベースライン後の評価を受けた。
【0014】
黒丸はプラセボ、白四角は10μgまでのE2、黒三角は25μgまでのE2。
【図7】膣健康状態の複合スコアプロフィール。少なくとも1投与の試験薬剤を受けた対象は、ベースラインでの評価を受け、且つ少なくとも1回のベースライン後の評価を受けた。
【0015】
黒丸はプラセボ、白四角は10μgまでのE2、黒三角は25μgまでのE2。
【図8】膣細胞学的成績(表在性細胞の割合)。少なくとも1投与の試験薬剤を受けた対象は、ベースラインでの評価を受け、且つ少なくとも1回のベースライン後の評価を受けた。
【0016】
斜線四角は10μgE2、白四角は表在性、黒四角は25μgE2。
【図9】成熟値。少なくとも1投与の試験薬剤を受けた対象は、ベースラインでの評価を受け、且つ少なくとも1回のベースライン後の評価を受けた。
【0017】
黒丸はプラセボ、白四角は10μgまでのE2、黒三角は25μgまでのE2。
【図10】尿道の細胞学的成績。少なくとも1投与の試験薬剤を受けた対象は、ベースラインでの評価を受け、且つ少なくとも1回のベースライン後の評価を受けた。斜線四角は10μgE2、白四角はプラセボ、黒四角は25μgE2。
【図11a】表在性膣細胞と尿道細胞の割合。(a)25μgE2。0週と12週に表在性膣細胞と尿道細胞評価を受けた対象。
【図11b】表在性膣細胞と尿道細胞の割合。(b)10μgE2。0週と12週に表在性膣細胞と尿道細胞評価を受けた対象。
【図11c】表在性膣細胞と尿道細胞の割合。(c)プラセボ。0週と12週に表在性膣細胞と尿道細胞評価を受けた対象。
【図12a】膣の細胞学的成績。(a)プラセボ。vは基底付近、斜線四角は中間、白四角は表在性。
【図12b】膣の細胞学的成績。(b)10μgE2。vは基底付近、斜線四角は中間、白四角は表在性。
【図12c】膣の細胞学的成績。(c)25μgE2。vは基底付近、斜線四角は中間、白四角は表在性。
【図13a】尿道の細胞学的成績。(a)プラセボ。vは基底付近、斜線四角は中間、白四角は表在性。
【図13b】尿道の細胞学的成績。(b)10μgE2。vは基底付近、斜線四角は中間、白四角は表在性。
【図13c】尿道の細胞学的成績。(c)25μgE2。vは基底付近、斜線四角は中間、白四角は表在性。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[発明の詳細な記述]
本発明に従う使用により治療される膣症状は、乾燥、痛み、炎症および性交困難である。泌尿生殖器の健康は、分泌、上皮のインテグリティ、表層の厚みおよび膣のpH値により特徴付けられる。
【0019】
驚くべきことに、上述の請求項に従う使用が、類似する組成物の公知の使用に比較して薬学的および臨床的に有利であることが明らかになった。
【0020】
幾分高い投与量のエストロゲン、例えば、エストラジオールでの治療に関する上述の請求項に従う使用を先行することが多くの場合に推奨される。そのような治療を、本明細書では前処置と称する。好ましい態様において、この前処置は、上述の請求項に従う週2回の使用に用いられるのと同用量を用いた毎日の治療である。
【0021】
本発明は、1週間量の約10から約30μgのエストラジオールを女性に対して投与することによって女性における萎縮性膣炎を治療するための、エストロゲンを含有する組成物の製造におけるエストロゲンの使用に関する。好ましい態様に従うと、本発明は、当該治療される女性が閉経期または閉経後の女性である使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は、約15から約25μgの1週間量のエストラジオールが投与される使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は、1日当たり約1.5から約4μgのエストラジオールが投与される使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は1日当たり約2から約3μgのエストラジオールが投与される使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は週2回で約5から約15μgのエストラジオールが投与される使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は週2回で約7から約13μgのエストラジオールが投与される使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は週2回で約9から約11μgのエストラジオールを投与する使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明はプロゲストゲン(progestogen)は投与されない当該使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は当該組成物が経膣で投与されるべきである使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は、2週間よりも長く、好ましくは1ヶ月よりも長く、更に好ましくは2ヶ月よりも長く、更により好ましくは3ヶ月よりも長くの期間に亘って用いられる使用に関する。更なる好ましい態様に従うと、本発明は投与が錠剤を用いて実行される使用に関する。更に、本発明は、先の使用の請求項の何れかに記載の組成物を投与することを具備する、萎縮性膣炎の治療方法に関する。
【0022】
本発明に従って使用される組成物は、例えばバジフェムなどの同種の組成物の製造と類似して製造されてもよい。本発明に従って使用される組成物は、同種の組成物において使用される、または使用されることが示唆される何れの成分を含有してもよい。本発明に従って使用される組成物は、同種の組成物の投与と類似して投与されてもよい。これらの側面は全て当業者に公知である。
【0023】
本発明の好ましい態様に従うと、本明細書において扱われる組成物は錠剤である。好ましい態様に従うと、本明細書において扱われる組成物は、約60%から約80%のヒプロメロース(または他の都合のよい基質形成剤)、約20%から約25%の乳糖(または他の都合のよい賦形剤)、約5%から約15%のトウモロコシデンプン(または他の都合のよい賦形剤)、約0.2%から約1.5%のステアリン酸マグネシウム(または他の都合のよい滑沢剤)および約0.2%から約5%のフィルムコーティング、並びにE2からなる。より好ましい態様において、当該組成物は、約65%から約70%のヒプロメロース(または他の都合のよい基質形成剤)、約20%から約24%の乳糖(または他の都合のよい賦形剤)、約8%から約12%のトウモロコシデンプン(または他の都合のよい賦形剤)、約0.3%から約1.3%のステアリン酸マグネシウム(または他の都合のよい滑沢剤)および約0.3%から約3%のフィルムコーティング、並びにE2からなる。更により好ましい態様において、当該組成物は、約67%のヒプロメロース、約22%の乳糖、約10%のトウモロコシデンプン、約0.5%のステアリン酸マグネシウムおよび約1%のフィルムコーティングからなる。本発明の好ましい態様に従うと、各錠剤は、当該活性物質に加えて、約53.7mgのヒプロメロース、約17.9mgの乳酸一水和物、約8mgのトウモロコシデンプン、約0.4mgのステアリン酸マグネシウム、および約0.5mgのヒプロメロースと約0.06mgのマクロゲル6000(ポリエチレングリコール6000NF)からなるフィルムコーティングを含有する。
【0024】
乾燥基準について。最終的な錠剤において、水含有量は好ましくは10%以下であり、より好ましくは7%以下である。ここで示した全てのパーセンテージは、重量基準による。
【0025】
当該錠剤を製造する1つの方法は、以下の工程を経るものである:エストラジオールの懸濁、粒状化、混合、圧搾、フィルムコーティング溶液の準備、およびフィルムコーティング。
【0026】
本発明を以下の例によって更に説明するが、これらは保護の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。上述の記載および次に述べる例において開示された特徴は、その何れの組み合わせであっても、その異なる形態における本発明を理解するための資料としてもよい。特に、興味深く且つ予期しなかった効果が、例2および3において扱われ、記述されている。
【0027】
例1
58人の閉経後の女性が10または25μg何れかの17β-エストラジオールを含有する錠剤で処置された。当該女性は、1錠を膣内に、当該試験の最初の2週間は1日1回で、更に続く10週間は週2回(日曜日と木曜日)で挿入した。従って、当該女性の何人かは10μgの17β-エストラジオールを含有する錠剤のみを投与され、残りの女性は25μgの17β-エストラジオールを含有する錠剤のみを投与された。25μgまたは10μgの17β-エストラジオールを投与した場合のエストラジオールのプロフィールは、最初の投薬後(処置の0週)と、上述の25または10μgの17β-エストラジオールを10週間に亘って週2回で連続して処置の後で類似した。
【0028】
例2
本発明に従う低用量の17β-エストラジオール錠を用いた萎縮性膣炎の治療によって、蓄積を伴わないエストラジオールの低吸収が安定して得られた。
【0029】
目的:
17β-エストラジオール(以下E2と称する)の経膣吸収を評価し、2つの低用量E2(25μgおよび10μg)を萎縮性膣炎を患う閉経後の女性において比較した。
【0030】
デザイン:
二重盲検、無作為抽出した並行群(parallel-group)の試験において、58人の閉経後女性を25または10μg何れか一方のE2で12週間に亘って処置した。血清中のE2および卵胞刺激ホルモン(以下FSHと称す)の濃度を、当該試験を通して特定の間隔で測定した。曲線下面積、最高濃度および最高濃度までの時間を血清中E2濃度について測定した。膣粘膜細胞の成熟値を、処置に対する反応における膣粘膜状態の変化の指標として評価した。
【0031】
結果:
両処置群についてのE2プロフィールは0週および12週で類似していた。平均E2濃度、曲線下面積および最高濃度は25μgE2群が10μgE2群よりも高かった。各処置群における患者の多くは、各時点での曲線下面積は600pg・hr/mL以下のままであり、平均FSH濃度は正常な閉経後の範囲であった。各処置群の患者は膣粘膜の状態に有意な改善(P≦0.01)を示した。
【0032】
結論:
25または10μgE2膣錠の何れかでの処置は、膣粘膜の改善と、多くの場合ERTに関連する全身性作用を伴わないエストロゲンの低吸収を生じた。萎縮性膣炎の治療の12週間後で、吸収パターンは依然として安定したままであり、患者は循環E2の蓄積を経験しなかった。
【0033】
試験は、膣ERT製剤が迅速で且つ効率のよい体循環へのE2の吸収を生じることを示している。しかしながら、10および25μgE2を含有する低用量製剤は、望ましくない全身性副作用を伴わずに萎縮性膣炎の症状を効果的に軽減する。低用量(25μg)E2膣錠(バジフェム(登録商標);ノボ・ノルディスク、デンマーク)は、エストロゲン欠乏由来萎縮性膣炎を治療するために開発されてきた。これらの膣剤は、膣粘膜に対して良好に付着し、且つ徐々に水和され、制御されたE2放出を提供するように、フィルムコーティングされた親水性のセルロース基質を含む。それらは、膣粘膜のエストロゲン処理(estrogenization)を提供し、その一方で血清エストロゲン濃度の有意な上昇は防止するように設計された。
【0034】
この試験では、萎縮性膣炎を患う閉経後の女性において、E2の膣吸収が評価され、E2の2つの低用量(25μgおよび10μg)が比較された。
【0035】
<材料および方法>
このシングルセンター(single-center)、無作為抽出、二重盲検、並行群の試験はジョージア州アトランタにおいて実施された。当該試験は、適切な審査委員会により承認され、書面でのインフォームド・コンセントを各患者から得た。当該試験は、1975年のヘルシンキ宣言1983年修正版に従って実施された。
【0036】
この試験では、一般的に健康な閉経後の女性(子宮を摘出または非摘出)、45歳以上を登録した。子宮の細胞学的評価によって評価を行ったところ、患者は5%以下の表在性細胞を有し、血清E2濃度は20pg/mL以下であった。骨盤超音波診断により測定したところ、非子宮摘出の患者は子宮内膜の厚みが4mm以下であった。乳癌または他のホルモン依存性腫瘍、以前のエストロゲンの使用に関連した急性血栓静脈炎または血栓塞栓性疾患、または(ベースラインで)更なる治療を必要とする膣感染の病歴が既知または疑われた患者は、当該試験から除外し、同様に、(スクリーニング前の12ヶ月の間に)原因不明の生殖器出血のある患者も除外した。患者は、スクリーニング前の7日間には何れ種類の経膣、経口若しくは経陰門製剤も;ベースラインの前8週間には何れの外因性副腎皮質ホルモン若しくは性ホルモンも;過去30日間は何れの研究中の新規薬物も;またはジエチルスチルベストロールを使用してはいけないことにした。
【0037】
スクリーニング診察の後、患者は、ベースライン診察前の4週間の準備期間中は何れの試験処置も受けなかった。ベースラインの診察で、患者は、コンピュータで発生させたスキームを使用して1:1の基準で無作為に抽出され、25または10μgの何れかのE2を含有する膣錠を投与された。当該膣錠は外見的には同一だった。患者は、膣内に1錠を、当該試験の最初の2週間は1日1回で、次に残りの10週間は週2回(日曜日と木曜日)で挿入した。患者は毎日一定した時間、好ましくは朝、に彼らの薬剤を使用するように指導された。ベースライン診察の後に、患者は、1、2、4、8および12週で血清中E2およびFSHの測定と、同時に膣の細胞学的評価のために当該外来診療所を再訪した。
【0038】
各診察のための当該外来診療所への再訪では、膣細胞学標本が採取された。その後、患者は当該錠剤を挿入した。血液試料は、錠剤挿入前の30分と、挿入後の1、2、4、5、6、7、8、10、12および24時間後に採取し、ラジオイムノアッセイによって血清E2濃度を測定した。また挿入前30分と挿入後6、12および24時間に得た当該血液試料を使用して、ラジオイムノアッセイによってFSH濃度も測定した。
【0039】
膣粘膜細胞の成熟値は、以下の方程式に従って、基底付近、中間および表在性細胞の割合から算出した:
成熟値=0x[基底付近の細胞、%]+0.5x[中間の細胞、%]+1.0x[表在性細胞]。
【0040】
錠剤挿入前30分から錠剤挿入後24時間までの濃度-時間曲線下面積の薬物動態パラメータ、最高濃度、および最高濃度までの時間をE2の血清濃度について測定した。当該曲線下面積と最高濃度のデータは対数尺に変換し、当該対数尺における(ベースラインの診察での)初回投与からの変化を、95%信頼区間を使用した一標本t検定(paired t-tests)により評価した。E2の吸収の程度に関する処置群間の相違は、二標本t検定に由来する95%信頼区間を用いて、観察された当該曲線下面積および最高濃度の対数の平均値を基に決定した。FSH濃度における処置群中の相違は、ウィルコクソン符号別順位和検定(Wilcoxon signed-ranks test)を使用してベースラインからの変化を基に2週および12週での平均濃度について決定した。平均濃度は、錠剤挿入前30分と挿入後6、12および24時間で得た平均濃度として定義した。E2およびFSHのベースライン濃度はベースライン診察での錠剤挿入前30分に観察された値として定義した。
【0041】
本明細書では、評価可能な患者集団、即ち、ベースラインで20pg/mL以下の血清E2濃度を有し、且つベースライン診察と2週および12週で入手可能な完全なデータを有する患者として定義される、についてのデータを示す。
【0042】
<結果>
計58人の女性が25μgE2(28人)または10μgE2(30人)の何れかを含有する膣錠で処置された。10人の女性は当該試験の前に中止した。当該評価可能な患者集団は42人の女性からなる;19人の女性は25μgのE2を投与され、23人の女性は10μgのE2を投与された。当該評価可能な患者集団の人口学およびベースラインの特徴を表1に示す。患者の特徴は処置群間で等しいが、ベースラインでの基底付近の細胞の割合に例外があり、これは10μgE2群に比較して25μgE2群における患者の方が有意に低かった(P=.027、t検定)。
【0043】
0および12週での血清E2についての24時間濃度プロフィールは、図1および2に夫々示し、関連する薬物動態特性は表2に示す。0週および12週での血清E2プロフィールは各処置群において類似していた。当該血清E2濃度、並びに対応する平均曲線下面積および最高濃度は、25μgE2を投与された患者の方が、10μgE2を投与された患者に比べて高かった。24時間に亘る血清E2濃度の平均もまた、10μgE2群に比べて25μgE2群において高かった。
【0044】
0週および12週での血清E2の曲線下面積の比較を図3に示す。各処置群における患者の大多数は、両時点で600pg・hr/mL以下の曲線下面積を有していた(25および10μgE2群で夫々14患者[74%]および22患者[94%])。12週での血清E2の曲線下面積とFSH濃度の平均値との比較は図4に示す。12週では、各処置群における患者の大多数は、閉経後の正常範囲に平均FSH濃度(少なくとも35pg/mL)があり;25μgE2群の3患者は平均FSH濃度が35pg/mL以下であった。
【0045】
平均成熟値および成熟値におけるベースラインからの平均変化は表3に示す。各処置群において、患者はベースライン値を超える成熟値の顕著な増加を経験した(1週および2週でP≦.001、12週でP≦.01;両側一標本t検定)。全ての時点で、平均成熟値および成熟値におけるベースラインからの平均変化を処置群間で比較した。12週での血清E2の曲線下面積と成熟値の間の比較を図5に示す。各処置群の患者の大多数(25および10μgE2群において夫々13患者[68%]と14患者[64%])は、対応するベースライン値からの成熟値の上昇を示した(25および10μgE2群において夫々53.4および51.0)。
【0046】
<結論>
最も好ましい膣内治療は、膣症状の十分な緩和があり、全身性吸収と関連する副作用を伴わない安定したエストロゲン吸収を提供するであろう。この試験で使用された低用量膣錠はこれらの基準にかなうものである。
【0047】
この試験は、25または10μgE2膣錠の何れかでの12週間に亘る処置を受けた患者におけるE2の全身性吸収を試験した。何れの処置群でも患者の大多数(25μgE2群では74%、10μgE2群では96%)は、12週の処置期間の開始と終わりの両方で、E2の低い全身性吸収を経験しており、何れの時点でも600pg-hr/mL以下のE2濃度曲線下面積によって示される通りである。残りの6人の患者のうち、12週でより高いE2吸収を経験した4人は、0および12週の何れでも600pg・hr/mLよりも高い曲線下面積を有し、これらの患者は特徴として高いE2吸収を有する者であると示唆された。これらの患者は何れのERTの結果であっても、高いE2吸収を経験するだろう。
【0048】
0および12週での24時間の血清E2プロフィールは何れの処置群でも類似しており、繰り返しになるが、これは全般的に女性が処置期間の初めと終わりでの安定したE2吸収パターンを有することを示している。各時点での平均E2濃度は、閉経後の正常範囲内であった(閉経後のE2濃度の正常範囲:≦40pg/mL)。この試験からの前途有望な結果は、処置の12週に亘り安定したE2吸収を示した。
【0049】
この試験において、25または10μgE2の何れかの処置の12週後に、FSH濃度は滅多に月経閉止前の程度にまでに抑制されることはなく、観察された血清E2濃度の上昇は臨床的に顕著な全身性のE2効果には関与しないことが示唆された。25および10μgE2の何れの用量レベルでも、萎縮性膣上皮において陽性効果が示され、同時にE2の低血清濃度は維持された。膣健康状態における改善は、膣上皮を経た局部的E2の直接的灌流および/またはリンパ性吸収に帰因するであろう。この試験においては、膣成熟は成熟値に限って測定した。膣反応は膣のグリコーゲン化と酸性化を大抵強化するので、膣pHのモニタリングは膣健康状態の別の有用な基準を提供する。低濃度の循環E2での膣成熟は局部膣ERTの第1の治療目標である。閉経後の女性における骨粗鬆症の危険率の低下も観察されている。これらの利点は、骨における内因性のE2産生に加えて循環E2の濃度に依存しており、これは、年配者、正常な閉経後の女性において特に当てはまることである。平均血清E2濃度は、10μgE2を受けた患者よりも、25μgE2を受けた患者の方で高かったことから、より低い用量を受けた患者は、何れの全身性影響も非常に可能性が低いので、付加的な利点を受けられる可能性がある。
【表A1】
【表A2】
【表A3】
【0050】
例3
本発明に従う低用量17β-エストラジオール錠を用いた処置は膣症状を軽減し、泌尿生殖器の萎縮(膣健康状態)を改善し、且つ異常な子宮内膜の成長を伴わない膣および尿道上皮(粘膜)の成熟を増強する。
【0051】
目的:
25または10μgの17β-エストラジオール(以下E2と記す)を含有する膣錠またはプラセボを、萎縮性膣炎を患う閉経後の女性において評価および比較した。
【0052】
方法:
マルチセンター(multicenter)、無作為抽出、二重盲検、プラセボコントロール、並行群の試験において、230人の閉経後の女性が25若しくは10μgE2またはプラセボでの処置を12週間に亘って受けた。有効性は、膣症状(乾燥、痛み、および炎症)並びに膣健康状態(分泌、上皮のインテグリティ、表層の厚み、およびpH)の複合スコアで測定した。膣および尿道の細胞学的分析も実施し、膣成熟値を測定した。安全評価には子宮内膜の生検が含まれた。
【0053】
結果:
膣症状および膣健康状態特性のための複合スコアにおけるより顕著な改善は、プラセボ群よりも活性処置群の患者について報告された。有意なより顕著な改善は、7週および12週で報告された(P≦.05)。12週では、活性処置群における75%以上の患者は、5.5以下の膣pH値を有し、比較すると、プラセボ群における患者の約40%であった。膣および尿道両方の細胞学的分析は、活性処置群の方がプラセボ群よりも表在性細胞の割合におけるより大きな増加を示した。それに伴って、膣成熟値における増加は、プラセボ群におけるよりも活性処置群における方がより高かった。25μgE2を受けた1人の患者は異常な生検結果を示した。
【0054】
結論;
25および10μgE2膣錠は共に、膣症状の緩和、膣健康状態の改善、並びに異常な子宮内膜成長のない膣および尿道粘膜両方の成熟の増加を提供した。
【0055】
序論;
内因性のエストロゲン産生は閉経期に低下するので、膣および他のエストロゲン依存性の組織は徐々に萎縮性の変化を経験する。エストロゲンに影響された細胞成熟の欠損は、萎縮性膣炎として知られる状態を生じる。当該萎縮性膣炎の症状は、乾燥、痛み、炎症および性交困難を含む。加えて、膣上皮は感染および二次的炎症に罹りやすくなる。経口エストロゲン療法は、代謝性副作用、並びに乳房および子宮内膜の過形成に関与している。
【0056】
ノボ・ノルディスクはバジフェム(Vagifem(登録商標))、即ち、親水性セルロースベース基質中に25μgE2を含む低用量エストロゲン膣錠、を開発してきた。バジフェム(登録商標)の薬物動態学試験は、萎縮性膣上皮において経膣投与されたE2は直ちに吸収され、しかし上皮の正常化および成熟の後で、E2吸収は顕著に減少することを示している。
【0057】
この試験は、25または10μgE2を含有する膣錠とプラセボの有効性および安全性を12週間の膣萎縮治療を通して評価および比較した。
【0058】
<方法および材料>
このフェーズIII、マルチセンター、無作為抽出、二重盲検、プラセボコントロール、並行群試験は、アメリカ合衆国の9の総合施設で実施された。当該試験は、適切な審査委員会により承認され、試験手順の開始に先立ってインフォームド・コンセントを各患者から得た。当該試験は、1975年のヘルシンキ宣言、1983年修正、に従って実施された。
【0059】
少なくとも45歳またはそれ以上の年齢の女性で中度から重度の膣乾燥および痛みをもつ女性が登録された。全ての患者は、血清E2濃度が20pg/mL以下であり、5%以下の表在性細胞を有することが必要とされた。インタクトの子宮をもつ患者もまた、正常な閉経期を少なくとも12ヶ月は過ぎており、5mm以下の子宮内膜の厚みであることが必要とされた。
【0060】
クレアチニン濃度が1.4mg/dLより高い、ビリルビン濃度が1.2mg/dLよりも高い、アスパルテートトランスアミナーゼ濃度が50U/Lよりも高い、またはヘモグロビン濃度が11.5g/dLよりも低い患者は、当該試験から除外された。乳癌、ホルモン依存性の腫瘍、原因不明の生殖器出血、急性血栓静脈炎またはエストロゲン使用に関連する血栓塞栓性疾患の病歴、治療を必要とする膣感染、試験薬若しくはその成分に対するアレルギー、または何れかの重篤な疾患若しくは試験の応諾を妨げる慢性状態の知られたまたは疑われる患者もまた、当該試験から除外された。スクリーニング前の30日以内の研究薬の使用、試験薬開始前7日以内の何れかの類似療法製剤の使用、試験薬開始前8週間以内の外因性副腎皮質ホルモン若しくは性ホルモンの使用、またはジエチルスチルベストロールの使用は禁止された。
【0061】
この試験の目的は、25および10μgE2並びにプラセボを比較することである。コンピュータで発生させて任意抽出した計画を使用して、25μgE2、10μgE2、またはプラセボを含む膣錠の投与のために、対象(患者)を2:2:1の割合で無作為に選択した。全ての膣錠の外見は全く同じでだった。患者は1日1錠を14日間挿入した。その後、患者は1錠を1週間に2回(日曜および木曜)、当該試験の残りの日に挿入した。患者は、各日の同じ時刻(好ましくは就寝時刻)に当該錠剤を挿入することとした。患者は、-4週(スクリーニング)、0週(ベースライン)並びに2、7および12週で有効性と安全性を評価された。
【0062】
有効性評価には、萎縮性膣炎症状の患者評価、膣健康状態の調査員評価、並びに膣および尿道細胞学が含まれた。患者は、なし、軽度、中度、または重度の強度格付けを使用し、萎縮性膣炎症状(乾燥、痛み、炎症、性交困難および膣分泌物)を評価した。強度格付けは、0(なし)から3(重度)に上行するスコアに割り当てた。萎縮性膣炎症状の複合スコアは、乾燥、痛みおよび炎症の個別の症状スコアの平均と定義した。この複合スコアには、性交困難(これは、全ての患者によっては評価されなかった)または膣分泌物(これは、大部分の患者により、なしまたは軽度と評価された)が含まれなかった。当該複合スコアおよび複合スコアのベースラインからの変化は、各時点で検査された。処置群内および処置群間の相違は分散分析(ANOVA)を用いて分析した。
【0063】
調査員は、なし、軽度、中度および重度の重大さの尺度を使用し、膣健康状態特徴(分泌物、上皮インテグリティ、表層の厚み、色およびpH)を評価した。重大さのカテゴリーは、分析のために0(なし)から3(重度)に上行するスコアに割り当てた。多数の終点結果(multiple endopoint issues)を回避するために、複合スコアは定義された。膣健康状態のための複合スコアは、個別の膣健康状態の特徴スコアの平均と定義した。当該複合スコアと当該複合スコアのベースラインからの変化は、各時点で検査された。処置群内および処置群間の相違は分散分析(ANOVA)を用いて分析した。
【0064】
膣および尿道細胞サンプルを、採取し、独立した細胞学者により分析して、基底付近、中間および表在性細胞の割合を決定した。成熟値は以下の方程式に従って計算した;
成熟値=1.0x[表在性細胞、%]+0.5x[中間の細胞、%]。
【0065】
子宮内膜生検は、完全な子宮を有する患者において当該試験の最後に行った。異常な生検試料の患者数を処置群間で比較した。
【0066】
<結果>
計91人の女性が25μgE2を受け、92人の女性が10μgE2を受け、47人の女性がプラセボを受けた。人口学およびベースラインの特徴は、人種を除いて、処置群間で有意な差はなかった(表4)。非白人患者の割合は、プラセボ群よりも25μgE2群の方が有意に低かった(P=.026、コクラン-マントル-ヘンゼルテスト(Cochran-Mantel-Haenszel test))。25μgE2群の9患者(9.9%)、10μgE2群の18患者(19.6%)およびプラセボ群の8患者(17.0%)は、早期に当該試験を中止した。
【0067】
0週から12週の間の膣症状複合スコアプロフィールを図6に示す。0週では、膣症状複合スコアは各処置群で約1.9が測定された。2、7および12週では、膣症状複合スコアは各処置群で対応するベースライン値よりも有意に低かった(P≦.001;両側一標本t検定)。活性処置群(25および10μgE2群)において、膣症状複合スコアは0週の後から下がり続け、12週では各々約0.5および0.6と判定された。それに対してプラセボ群では、膣症状スコアは0週後から殆ど一定したままであり、約1.1と判定された。7および12週では、当該活性処置群において観察されたベースラインからの違いは、プラセボ群において観察されたものよりも有意に大きかった(25および10μgE2群において夫々P≦.01、P≦.05;両側線形モデル解析(two-tailed linear model analysis))。
【0068】
0から12週の間の泌尿生殖器(膣)健康状態複合スコアプロフィールを図7に示した。0週での膣健康状態複合スコアは、各処置群において約1.7と判定された。2、7および12週での膣健康状態複合スコアは、各処置群の対応するベースライン値よりも有意に低かった(P≦.01;両側一標本t検定)。2、7および12週で、活性処置群において観察された膣健康状態複合スコアの低下は、プラセボ群において観察されたものよりも有意に大きかった(P≦0.01;両側線形モデル解析)。7週での膣健康状態複合スコアの減少は、10μgE2よりも25μgE2における方が有意に大きかった(P=.004、両側線形モデル解析)。
【0069】
0、2、7および12週で膣pH値が5.5以下の患者の数および割合を表5に示す。0週では、各処置群における約35%の患者が5.5以下の膣pHであった。2、7および12週では、膣pHが5.5以下である患者の割合は、各処置群のベースラインでの割合よりも増加した。これらの増加は、プラセボ群よりも活性処置群における患者の方が有意に大きかった(P≦.05;両側線形モデル解析)。12週では、活性処置群の75%を超える患者およびプラセボ群の約40%の患者が5.5以下のpH値を示した。
【0070】
0、2、7および12週での膣細胞学的分析による表在性細胞の割合を図8に示す。0週後の全ての時点で、プラセボ群の対象に比べて活性処置群の対象は、表在性細胞の割合の有意な増加(P≦.05)または増加の傾向の何れかを示した。これらの増加を表7に示す。
【0071】
0週から12週での成熟値を図9に示す。0週での成熟値は、各処置群で約45%と判定された。各時点での成熟値は、各処置群の対応するベースライン値よりも有意に高かった(P≦.01;両側一標本t検定)。ベースライン値からの増加は、プラセボ群よりも活性処置群においてより大きかった。12週での成熟値は、活性処置群では約60%、プラセボ群では約55%と判定された。2および7週での25μgE2群において観察された成熟値の増加は、プラセボ群で観察されたよりも有意に大きかった(P≦.05;両側線形モデル解析)。2週での10μgE2群において観察された成熟値の増加は、プラセボ群において観察されたよりも有意に大きかった(P=.001;両側線形モデル解析)。
【0072】
0、2、7および12週での尿道細胞学的分析からの表在性細胞の割合を図10に示す。0週の後の全ての時点で、プラセボ群における対象に比較して活性処置群の対象は、表在性細胞の割合の有意な増加(P≦.05)または増加傾向を示した。これらの増加を表8に示す。
【0073】
0週および12週での表在性膣および尿道細胞の割合は、図11(a)、(b)および(c)に、25および10μgE2群並びにプラセボ群について夫々示す。0週での各処置群における対象の大部分は、表在性膣および尿道細胞の両方の割合が、5%以下(25および10μgE2群ならびにプラセボ群の夫々で、57対象[81%]、53対象[85%]および34対象[97%])であった。12週では、プラセボ群に比べて、活性処置群におけるより多くの対象が、表在性膣および尿道細胞の両方の割合が増加した(25および10μgE2群並びにプラセボ群で夫々52対象[74%]、44対象[71%]および21対象[60%])。
【0074】
12週での子宮内膜生検結果を表6に示す。生検で十分な組織の得られた対象のうち、25μgE2群の1対象は、異型性のない単純な過形成を示した。しかしながら、比較のための処置前生検はなかった。
【0075】
0、2、7および12週での膣細胞学的分析による基底付近、中間および表在性細胞の割合を図12に示す。大抵の場合、各カテゴリーにおける細胞の割合は、対応するベースライン値から有意に変化した(P≦.01;両側一標本t検定)。各時点で、表在性細胞の割合は増加した。2および7週では、25μgE2群において観察された表在性細胞の割合の増加は、プラセボ群において観察されたよりも有意に大きかった(P≦.003;両側線形モデル解析)。2および12週では、10μgE2群において観察された表在性細胞の割合の相違は、プラセボ群において観察されたよりも有意に大きかった(P≦.035;両側線形モデル解析)。
【0076】
0、2、7および12週での尿道細胞学的分析による基底付近、中間および表在性細胞の割合を図13に示す。大抵の場合、表在性および基底付近の細胞の割合は、対応するベースライン値から有意に変化した(P≦.05;両側線形モデル解析)。一般的に、表在性細胞の割合は増加し、中間および基底付近の細胞の割合は減少した。2および7週では、25μgE2群で観察された表在性細胞の割合における増加は、プラセボ群で観察された増加よりも有意に大きかった(P≦.044;両側線形モデル解析)。2週では、10μgE2群において観察された表在性細胞の割合の増加は、プラセボにおいて観察されたよりも有意に大きかった(P≦.018;両側線形モデル解析)。
【0077】
<結論>
この12週の試験において、25または10μgE2錠での処置は、プラセボでの処置に比べて、(患者による評価としての)膣症状と(試験者による評価としての)膣健康状態において、より大きな改善が得られた。ベースラインの後の各時点での泌尿生殖器(膣)健康状態複合スコアにおける改善は、プラセボ群におけるよりも活性(25μgおよび10μgE2)群における方が、有意に大きかった(P≦.01)。処置の2週間後の各時点では、膣症状複合スコアにおける改善もまた有意に増加した(P≦.05)。加えて、活性処置群の対象は、プラセボ群における対象に比較して、表在性膣細胞の割合が統計学的に有意に増加(P≦.05)または増加の傾向があった。この試験での25または10μgE2での処置で、患者および調査員の何れに評価された場合であっても同様に改善が得られた。
【0078】
萎縮性膣炎の症状の改善は、膣粘膜における変化として、物理的に明白且つ一目瞭然となった。膣粘膜の状態は、膣細胞学的測定と成熟値を通して測定された。この試験において、未発達の基底付近および中間の細胞の割合は減少し、結果として、各処置群におけるより成熟した表在性細胞の割合が増加した。これらの変化は、各処置群における成熟値のベースライン値を超える有意な増加に反映される(P≦.01)。処置の12週後、25または10μgのE2群の患者の成熟値は約60%であったのに対し、プラセボ群の患者の成熟値は約55%であった。
【0079】
膣活性の第二の臨床的尺度は膣pH{泌尿生殖器(膣)健康状態複合スコアの要素}である。閉経期後のエストロゲン産生の減少した場合、膣グリコーゲンから乳酸を産生する乳酸菌が膣細菌叢から姿を消し膣、pHが上昇する。従って、高い膣pH値は膣粘膜におけるエストロゲンの欠乏と関連する。この試験では、プラセボを投与された患者よりも約2倍多い人数の25または10μgE2を投与された患者が、処置の12週間後も5.5以下の膣pH値を有していた(夫々、75%に対して40%)。膣細胞学およびpHの分析の結果は、膣上皮(粘膜)のエストロゲン化(estrogenation)における25および10μgE2膣錠の陽性効果を示す。
【0080】
下部の膣および尿道は同一の発生学的起源を有し、萎縮性膣炎などの生殖路疾患(genital tract disorders)は、多くの場合、排尿障害、緊張性失禁および尿路感染症を含む尿路における萎縮性変化を随伴する。従って、エストロゲン療法はまた、尿道上皮における効果を有してもよい。この試験では、尿道上皮の状態を尿道細胞学を通して測定した。膣細胞学分析と同様に、各処置群で尿道上皮における基底付近の細胞の割合は減少し、表在性細胞の割合は増加した。この試験では、尿路に対する利点を更に確認するための計画はないが、この尿道成熟は尿道粘膜のエストロゲン化の結果であると考えられた。
【0081】
このように、この試験において使用された25μgE2膣錠は膣および尿道上皮に確かに作用するように見えるが、それらは子宮内膜の異常と関連するものではなかった。
【表A4】
【表A5】
【表A6】
【表1】
【表2】
【表3】
【0082】
例3
本発明に従う低用量17β-エストラジオール錠を用いた処置は膣症状を軽減し、泌尿生殖器の萎縮(膣健康状態)を改善し、且つ異常な子宮内膜の成長を伴わない膣および尿道上皮(粘膜)の成熟を増強する。
【0083】
目的:
25または10μgの17β-エストラジオール(以下E2と記す)を含有する膣錠またはプラセボを、萎縮性膣炎を患う閉経後の女性において評価および比較した。
【0084】
方法:
マルチセンター(multicenter)、無作為抽出、二重盲検、プラセボコントロール、並行群の試験において、230人の閉経後の女性が25若しくは10μgE2またはプラセボでの処置を12週間に亘って受けた。有効性は、膣症状(乾燥、痛み、および炎症)並びに膣健康状態(分泌、上皮のインテグリティ、表層の厚み、およびpH)の複合スコアで測定した。膣および尿道の細胞学的分析も実施し、膣成熟値を測定した。安全評価には子宮内膜の生検が含まれた。
【0085】
結果:
膣症状および膣健康状態特性のための複合スコアにおけるより顕著な改善は、プラセボ群よりも活性処置群の患者について報告された。有意なより顕著な改善は、7週および12週で報告された(P≦.05)。12週では、活性処置群における75%以上の患者は、5.5以下の膣pH値を有し、比較すると、プラセボ群における患者の約40%であった。膣および尿道両方の細胞学的分析は、活性処置群の方がプラセボ群よりも表在性細胞の割合におけるより大きな増加を示した。それに伴って、膣成熟値における増加は、プラセボ群におけるよりも活性処置群における方がより高かった。25μgE2を受けた1人の患者は異常な生検結果を示した。
【0086】
結論;
25および10μgE2膣錠は共に、膣症状の緩和、膣健康状態の改善、並びに異常な子宮内膜成長のない膣および尿道粘膜両方の成熟の増加を提供した。
【0087】
序論;
内因性のエストロゲン産生は閉経期に低下するので、膣および他のエストロゲン依存性の組織は徐々に萎縮性の変化を経験する。エストロゲンに影響された細胞成熟の欠損は、萎縮性膣炎として知られる状態を生じる。当該萎縮性膣炎の症状は、乾燥、痛み、炎症および性交困難を含む。加えて、膣上皮は感染および二次的炎症に罹りやすくなる。経口エストロゲン療法は、代謝性副作用、並びに乳房および子宮内膜の過形成に関与している。
【0088】
ノボ・ノルディスクはバジフェム(Vagifem(登録商標))、即ち、親水性セルロースベース基質中に25μgE2を含む低用量エストロゲン膣錠、を開発してきた。バジフェム(登録商標)の薬物動態学試験は、萎縮性膣上皮において経膣投与されたE2は直ちに吸収され、しかし上皮の正常化および成熟の後で、E2吸収は顕著に減少することを示している。
【0089】
この試験は、25または10μgE2を含有する膣錠とプラセボの有効性および安全性を12週間の膣萎縮治療を通して評価および比較した。
【0090】
<方法および材料>
このフェーズIII、マルチセンター、無作為抽出、二重盲検、プラセボコントロール、並行群試験は、アメリカ合衆国の9の総合施設で実施された。当該試験は、適切な審査委員会により承認され、試験手順の開始に先立ってインフォームド・コンセントを各患者から得た。当該試験は、1975年のヘルシンキ宣言、1983年修正、に従って実施された。
【0091】
少なくとも45歳またはそれ以上の年齢の女性で中度から重度の膣乾燥および痛みをもつ女性が登録された。全ての患者は、血清E2濃度が20pg/mL以下であり、5%以下の表在性細胞を有することが必要とされた。インタクトの子宮をもつ患者もまた、正常な閉経期を少なくとも12ヶ月は過ぎており、5mm以下の子宮内膜の厚みであることが必要とされた。
【0092】
クレアチニン濃度が1.4mg/dLより高い、ビリルビン濃度が1.2mg/dLよりも高い、アスパルテートトランスアミナーゼ濃度が50U/Lよりも高い、またはヘモグロビン濃度が11.5g/dLよりも低い患者は、当該試験から除外された。乳癌、ホルモン依存性の腫瘍、原因不明の生殖器出血、急性血栓静脈炎またはエストロゲン使用に関連する血栓塞栓性疾患の病歴、治療を必要とする膣感染、試験薬若しくはその成分に対するアレルギー、または何れかの重篤な疾患若しくは試験の応諾を妨げる慢性状態の知られたまたは疑われる患者もまた、当該試験から除外された。スクリーニング前の30日以内の研究薬の使用、試験薬開始前7日以内の何れかの類似療法製剤の使用、試験薬開始前8週間以内の外因性副腎皮質ホルモン若しくは性ホルモンの使用、またはジエチルスチルベストロールの使用は禁止された。
【0093】
この試験の目的は、25および10μgE2並びにプラセボを比較することである。コンピュータで発生させて任意抽出した計画を使用して、25μgE2、10μgE2、またはプラセボを含む膣錠の投与のために、対象(患者)を2:2:1の割合で無作為に選択した。全ての膣錠の外見は全く同じでだった。患者は1日1錠を14日間挿入した。その後、患者は1錠を1週間に2回(日曜および木曜)、当該試験の残りの日に挿入した。患者は、各日の同じ時刻(好ましくは就寝時刻)に当該錠剤を挿入することとした。患者は、-4週(スクリーニング)、0週(ベースライン)並びに2、7および12週で有効性と安全性を評価された。
【0094】
有効性評価には、萎縮性膣炎症状の患者評価、膣健康状態の調査員評価、並びに膣および尿道細胞学が含まれた。患者は、なし、軽度、中度、または重度の強度格付けを使用し、萎縮性膣炎症状(乾燥、痛み、炎症、性交困難および膣分泌物)を評価した。強度格付けは、0(なし)から3(重度)に上行するスコアに割り当てた。萎縮性膣炎症状の複合スコアは、乾燥、痛みおよび炎症の個別の症状スコアの平均と定義した。この複合スコアには、性交困難(これは、全ての患者によっては評価されなかった)または膣分泌物(これは、大部分の患者により、なしまたは軽度と評価された)が含まれなかった。当該複合スコアおよび複合スコアのベースラインからの変化は、各時点で検査された。処置群内および処置群間の相違は分散分析(ANOVA)を用いて分析した。
【0095】
調査員は、なし、軽度、中度および重度の重大さの尺度を使用し、膣健康状態特徴(分泌物、上皮インテグリティ、表層の厚み、色およびpH)を評価した。重大さのカテゴリーは、分析のために0(なし)から3(重度)に上行するスコアに割り当てた。多数の終点結果(multiple endopoint issues)を回避するために、複合スコアは定義された。膣健康状態のための複合スコアは、個別の膣健康状態の特徴スコアの平均と定義した。当該複合スコアと当該複合スコアのベースラインからの変化は、各時点で検査された。処置群内および処置群間の相違は分散分析(ANOVA)を用いて分析した。
【0096】
膣および尿道細胞サンプルを、採取し、独立した細胞学者により分析して、基底付近、中間および表在性細胞の割合を決定した。成熟値は以下の方程式に従って計算した;
成熟値=1.0x[表在性細胞、%]+0.5x[中間の細胞、%]。
【0097】
子宮内膜生検は、完全な子宮を有する患者において当該試験の最後に行った。異常な生検試料の患者数を処置群間で比較した。
【0098】
<結果>
計91人の女性が25μgE2を受け、92人の女性が10μgE2を受け、47人の女性がプラセボを受けた。人口学およびベースラインの特徴は、人種を除いて、処置群間で有意な差はなかった(表4)。非白人患者の割合は、プラセボ群よりも25μgE2群の方が有意に低かった(P=.026、コクラン-マントル-ヘンゼルテスト(Cochran-Mantel-Haenszel test))。25μgE2群の9患者(9.9%)、10μgE2群の18患者(19.6%)およびプラセボ群の8患者(17.0%)は、早期に当該試験を中止した。
【0099】
0週から12週の間の膣症状複合スコアプロフィールを図6に示す。0週では、膣症状複合スコアは各処置群で約1.9が測定された。2、7および12週では、膣症状複合スコアは各処置群で対応するベースライン値よりも有意に低かった(P≦.001;両側一標本t検定)。活性処置群(25および10μgE2群)において、膣症状複合スコアは0週の後から下がり続け、12週では各々約0.5および0.6と判定された。それに対してプラセボ群では、膣症状スコアは0週後から殆ど一定したままであり、約1.1と判定された。7および12週では、当該活性処置群において観察されたベースラインからの違いは、プラセボ群において観察されたものよりも有意に大きかった(25および10μgE2群において夫々P≦.01、P≦.05;両側線形モデル解析(two-tailed linear model analysis))。
【0100】
0から12週の間の泌尿生殖器(膣)健康状態複合スコアプロフィールを図7に示した。0週での膣健康状態複合スコアは、各処置群において約1.7と判定された。2、7および12週での膣健康状態複合スコアは、各処置群の対応するベースライン値よりも有意に低かった(P≦.01;両側一標本t検定)。2、7および12週で、活性処置群において観察された膣健康状態複合スコアの低下は、プラセボ群において観察されたものよりも有意に大きかった(P≦0.01;両側線形モデル解析)。7週での膣健康状態複合スコアの減少は、10μgE2よりも25μgE2における方が有意に大きかった(P=.004、両側線形モデル解析)。
【0101】
0、2、7および12週で膣pH値が5.5以下の患者の数および割合を表5に示す。0週では、各処置群における約35%の患者が5.5以下の膣pHであった。2、7および12週では、膣pHが5.5以下である患者の割合は、各処置群のベースラインでの割合よりも増加した。これらの増加は、プラセボ群よりも活性処置群における患者の方が有意に大きかった(P≦.05;両側線形モデル解析)。12週では、活性処置群の75%を超える患者およびプラセボ群の約40%の患者が5.5以下のpH値を示した。
【0102】
0、2、7および12週での膣細胞学的分析による表在性細胞の割合を図8に示す。0週後の全ての時点で、プラセボ群の対象に比べて活性処置群の対象は、表在性細胞の割合の有意な増加(P≦.05)または増加の傾向の何れかを示した。これらの増加を表7に示す。
【0103】
0週から12週での成熟値を図9に示す。0週での成熟値は、各処置群で約45%と判定された。各時点での成熟値は、各処置群の対応するベースライン値よりも有意に高かった(P≦.01;両側一標本t検定)。ベースライン値からの増加は、プラセボ群よりも活性処置群においてより大きかった。12週での成熟値は、活性処置群では約60%、プラセボ群では約55%と判定された。2および7週での25μgE2群において観察された成熟値の増加は、プラセボ群で観察されたよりも有意に大きかった(P≦.05;両側線形モデル解析)。2週での10μgE2群において観察された成熟値の増加は、プラセボ群において観察されたよりも有意に大きかった(P=.001;両側線形モデル解析)。
【0104】
0、2、7および12週での尿道細胞学的分析からの表在性細胞の割合を図10に示す。0週の後の全ての時点で、プラセボ群における対象に比較して活性処置群の対象は、表在性細胞の割合の有意な増加(P≦.05)または増加傾向を示した。これらの増加を表8に示す。
【0105】
0週および12週での表在性膣および尿道細胞の割合は、図11(a)、(b)および(c)に、25および10μgE2群並びにプラセボ群について夫々示す。0週での各処置群における対象の大部分は、表在性膣および尿道細胞の両方の割合が、5%以下(25および10μgE2群ならびにプラセボ群の夫々で、57対象[81%]、53対象[85%]および34対象[97%])であった。12週では、プラセボ群に比べて、活性処置群におけるより多くの対象が、表在性膣および尿道細胞の両方の割合が増加した(25および10μgE2群並びにプラセボ群で夫々52対象[74%]、44対象[71%]および21対象[60%])。
【0106】
12週での子宮内膜生検結果を表6に示す。生検で十分な組織の得られた対象のうち、25μgE2群の1対象は、異型性のない単純な過形成を示した。しかしながら、比較のための処置前生検はなかった。
【0107】
0、2、7および12週での膣細胞学的分析による基底付近、中間および表在性細胞の割合を図12に示す。大抵の場合、各カテゴリーにおける細胞の割合は、対応するベースライン値から有意に変化した(P≦.01;両側一標本t検定)。各時点で、表在性細胞の割合は増加した。2および7週では、25μgE2群において観察された表在性細胞の割合の増加は、プラセボ群において観察されたよりも有意に大きかった(P≦.003;両側線形モデル解析)。2および12週では、10μgE2群において観察された表在性細胞の割合の相違は、プラセボ群において観察されたよりも有意に大きかった(P≦.035;両側線形モデル解析)。
【0108】
0、2、7および12週での尿道細胞学的分析による基底付近、中間および表在性細胞の割合を図13に示す。大抵の場合、表在性および基底付近の細胞の割合は、対応するベースライン値から有意に変化した(P≦.05;両側線形モデル解析)。一般的に、表在性細胞の割合は増加し、中間および基底付近の細胞の割合は減少した。2および7週では、25μgE2群で観察された表在性細胞の割合における増加は、プラセボ群で観察された増加よりも有意に大きかった(P≦.044;両側線形モデル解析)。2週では、10μgE2群において観察された表在性細胞の割合の増加は、プラセボにおいて観察されたよりも有意に大きかった(P≦.018;両側線形モデル解析)。
【0109】
<結論>
この12週の試験において、25または10μgE2錠での処置は、プラセボでの処置に比べて、(患者による評価としての)膣症状と(試験者による評価としての)膣健康状態において、より大きな改善が得られた。ベースラインの後の各時点での泌尿生殖器(膣)健康状態複合スコアにおける改善は、プラセボ群におけるよりも活性(25μgおよび10μgE2)群における方が、有意に大きかった(P≦.01)。処置の2週間後の各時点では、膣症状複合スコアにおける改善もまた有意に増加した(P≦.05)。加えて、活性処置群の対象は、プラセボ群における対象に比較して、表在性膣細胞の割合が統計学的に有意に増加(P≦.05)または増加の傾向があった。この試験での25または10μgE2での処置で、患者および調査員の何れに評価された場合であっても同様に改善が得られた。
【0110】
萎縮性膣炎の症状の改善は、膣粘膜における変化として、物理的に明白且つ一目瞭然となった。膣粘膜の状態は、膣細胞学的測定と成熟値を通して測定された。この試験において、未発達の基底付近および中間の細胞の割合は減少し、結果として、各処置群におけるより成熟した表在性細胞の割合が増加した。これらの変化は、各処置群における成熟値のベースライン値を超える有意な増加に反映される(P≦.01)。処置の12週後、25または10μgのE2群の患者の成熟値は約60%であったのに対し、プラセボ群の患者の成熟値は約55%であった。
【0111】
膣活性の第二の臨床的尺度は膣pH{泌尿生殖器(膣)健康状態複合スコアの要素}である。閉経期後のエストロゲン産生の減少した場合、膣グリコーゲンから乳酸を産生する乳酸菌が膣細菌叢から姿を消し膣、pHが上昇する。従って、高い膣pH値は膣粘膜におけるエストロゲンの欠乏と関連する。この試験では、プラセボを投与された患者よりも約2倍多い人数の25または10μgE2を投与された患者が、処置の12週間後も5.5以下の膣pH値を有していた(夫々、75%に対して40%)。膣細胞学およびpHの分析の結果は、膣上皮(粘膜)のエストロゲン化(estrogenation)における25および10μgE2膣錠の陽性効果を示す。
【0112】
下部の膣および尿道は同一の発生学的起源を有し、萎縮性膣炎などの生殖路疾患(genital tract disorders)は、多くの場合、排尿障害、緊張性失禁および尿路感染症を含む尿路における萎縮性変化を随伴する。従って、エストロゲン療法はまた、尿道上皮における効果を有してもよい。この試験では、尿道上皮の状態を尿道細胞学を通して測定した。膣細胞学分析と同様に、各処置群で尿道上皮における基底付近の細胞の割合は減少し、表在性細胞の割合は増加した。この試験では、尿路に対する利点を更に確認するための計画はないが、この尿道成熟は尿道粘膜のエストロゲン化の結果であると考えられた。
【0113】
このように、この試験において使用された25μgE2膣錠は膣および尿道上皮に確かに作用するように見えるが、それらは子宮内膜の異常と関連するものではなかった。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0114】
例4
10μg錠剤の製造
エストラジオールの懸濁
10.3gのエストラジオール半水化物(10.0gの無水エストラジオールと等価)を精製水(15.6L)中のヒプロメロース(14.8g)溶液に攪拌しながら懸濁する。
【0115】
粒状化
混合、粒状化および乾燥を流体床において行う。
【0116】
ヒプロメロース(53.69kg)、乳糖一水和物(17.90kg)およびトウモロコシデンプン(8.00kg)を篩を通して当該流体床に吸い込ませ、次に混合する。
【0117】
当該粒状化は、賦形剤の混合物にエストラジオールの懸濁液を噴霧することにより行う。噴霧の後に、当該粒状体を乾燥する。
【0118】
混合
篩い分けを行い、ステアリン酸マグネシウム(400g)を当該粒状体に混合する。
【0119】
圧搾
当該錠剤を回転式錠剤圧搾機を使用して圧搾する。
【0120】
フィルムコーティング溶液の準備
ヒプロメロース(400g)とマクロゴール6000(50g)を精製水(9.55kg)に溶解する。
【0121】
フィルムコーティング
コーティング用鍋(coating pan)で、エア・アトマイジング・スプレー・システム(air atomizing spray system)を使用して、当該錠剤をコーティング溶液でコーティングする(1錠当たり0.576mgの乾燥材料)。コーティングの後、放出試験のためのサンプリングを行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1週間量の約10から30μgのエストラジオールを女性に投与することによって女性における萎縮性膣炎を治療するための、エストロゲンを含有する組成物の製造におけるエストロゲンの使用。
【請求項2】
請求項1に記載の使用であって、前記治療される女性が閉経期または閉経後の女性である使用。
【請求項3】
請求項1または2の何れか1項に記載の使用であって、1週間量の約15から約25μgのエストラジオールが投与される使用。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の使用であって、1日当たり約1.5から約4μgのエストラジオールが投与される使用。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の使用であって、1日当たり約2から約3μgのエストラジオールが投与される使用。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の使用であって、週2回で約5から約15μgのエストラジオールが投与される使用。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の使用であって、週2回で約7から約13μgのエストラジオールが投与される使用。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1項に記載の使用であって、週2回で約9から約11μgのエストラジオールが投与される使用。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項に記載の使用であって、プロゲスチンは投与されない使用。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の使用であって、前記組成物が経膣で投与されるべき使用。
【請求項11】
請求項1から10の何れか1項に記載の使用であって、それが、2週間よりも長く、好ましくは1ヶ月よりも長く、より好ましくは2ヶ月よりも長く、更により好ましくは3ヶ月よりも長くの期間に亘って用いられる使用。
【請求項12】
請求項1から11の何れか1項に記載の使用であって、投与が錠剤を用いて実行される使用。
【請求項13】
請求項1から12の何れか1項に記載の使用であって、各錠剤が、当該活性物質に加えて、約53.7mgのヒプロメロース、約17.9mgの乳糖一水和物、約8mgのトウモロコシデンプン、約0.4mgのステアリン酸マグネシウムを含有する使用。
【請求項14】
請求項1から13の何れか1項に記載の使用であって、各錠剤が、約0.5mgのヒプロメロースと約0.06mgのマクロゲル6000(ポリエチレングリコール6000NF)からなるフィルムで被覆されている使用。
【請求項15】
請求項1から14の何れか1項に記載の使用であって、全身性吸収はないか、または全身性吸収は僅かであるに過ぎない使用。
【請求項16】
請求項1から15の何れか1項に記載の使用であって、膣粘膜における顕著な改善を与える使用。
【請求項17】
請求項1から16の何れか1項に記載の使用であって、全身性作用はないか、または全身性作用は僅かであるに過ぎない使用。
【請求項18】
請求項1から17の何れか1項に記載の使用であって、エストロゲンの低吸収を与える使用。
【請求項19】
請求項1から18の何れか1項に記載の使用であって、エストロゲンの低血清濃度を与える使用。
【請求項20】
請求項1から19の何れか1項に記載の使用であって、循環するエストラジオールの蓄積はないか、蓄積は僅かであるに過ぎない使用。
【請求項21】
請求項1から20の何れか1項に記載の使用であって、萎縮性膣上皮における陽性効果を与える使用。
【請求項22】
請求項1から21の何れか1項に記載の使用であって、完全または十分な膣成熟を与える使用。
【請求項23】
請求項1から22の何れか1項に記載の使用であって、骨粗鬆症の危険性を低下する使用。
【請求項24】
請求項1から23の何れか1項に記載の使用であって、表在性膣細胞の割合を増加する使用。
【請求項25】
請求項1から24の何れか1項に記載の使用であって、約5.5以下の膣pH値を与える使用。
【請求項26】
請求項1から25の何れか1項に記載の使用であって、以下の特徴の全てまたは多くを与える使用:膣症状の緩和、泌尿生殖器萎縮の改善、膣pHの低下、並びに膣および尿道粘膜両方の細胞学的成熟の改善。
【請求項27】
請求項1から26の何れか1項に記載の使用であって、バジフェム(登録商標)の週2回の投与により得られる効果と同程度の膣症状における臨床効果を与える使用。
【請求項28】
請求項1から27の何れか1項の使用に記載される組成物を投与することを具備する萎縮性膣炎を治療する方法。
【請求項29】
15μg以下の17β-エストラジオールまたは等量のその塩若しくは誘導体、並びにヒプロメロース、乳糖一水和物、トウモロコシデンプンおよびステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤。
【請求項30】
15μg以下の17β-エストラジオールまたは等量のその塩若しくは誘導体、並びに約53.7mgのヒプロメロース、約17.9mgの乳糖一水和物、約8mgのトウモロコシデンプンおよび約0.4mgのステアリン酸マグネシウムを含有する請求項29に記載の錠剤。
【請求項31】
17β-エストラジオールまたは等量のその塩若しくは誘導体の含有量が約8から約12μgの範囲である請求項29または30の何れか1項に記載の錠剤。
【請求項32】
約10μgの17β-エストラジオールまたは等量のその塩若しくは誘導体を含有する前2項の何れか1項に記載の錠剤。
【請求項33】
本明細書に記載された何れかの新規の特徴または特徴の組み合わせ。
【請求項1】
1週間量の約10から30μgのエストラジオールを女性に投与することによって女性における萎縮性膣炎を治療するための、エストロゲンを含有する組成物の製造におけるエストロゲンの使用。
【請求項2】
請求項1に記載の使用であって、前記治療される女性が閉経期または閉経後の女性である使用。
【請求項3】
請求項1または2の何れか1項に記載の使用であって、1週間量の約15から約25μgのエストラジオールが投与される使用。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の使用であって、1日当たり約1.5から約4μgのエストラジオールが投与される使用。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の使用であって、1日当たり約2から約3μgのエストラジオールが投与される使用。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の使用であって、週2回で約5から約15μgのエストラジオールが投与される使用。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の使用であって、週2回で約7から約13μgのエストラジオールが投与される使用。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1項に記載の使用であって、週2回で約9から約11μgのエストラジオールが投与される使用。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項に記載の使用であって、プロゲスチンは投与されない使用。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の使用であって、前記組成物が経膣で投与されるべき使用。
【請求項11】
請求項1から10の何れか1項に記載の使用であって、それが、2週間よりも長く、好ましくは1ヶ月よりも長く、より好ましくは2ヶ月よりも長く、更により好ましくは3ヶ月よりも長くの期間に亘って用いられる使用。
【請求項12】
請求項1から11の何れか1項に記載の使用であって、投与が錠剤を用いて実行される使用。
【請求項13】
請求項1から12の何れか1項に記載の使用であって、各錠剤が、当該活性物質に加えて、約53.7mgのヒプロメロース、約17.9mgの乳糖一水和物、約8mgのトウモロコシデンプン、約0.4mgのステアリン酸マグネシウムを含有する使用。
【請求項14】
請求項1から13の何れか1項に記載の使用であって、各錠剤が、約0.5mgのヒプロメロースと約0.06mgのマクロゲル6000(ポリエチレングリコール6000NF)からなるフィルムで被覆されている使用。
【請求項15】
請求項1から14の何れか1項に記載の使用であって、全身性吸収はないか、または全身性吸収は僅かであるに過ぎない使用。
【請求項16】
請求項1から15の何れか1項に記載の使用であって、膣粘膜における顕著な改善を与える使用。
【請求項17】
請求項1から16の何れか1項に記載の使用であって、全身性作用はないか、または全身性作用は僅かであるに過ぎない使用。
【請求項18】
請求項1から17の何れか1項に記載の使用であって、エストロゲンの低吸収を与える使用。
【請求項19】
請求項1から18の何れか1項に記載の使用であって、エストロゲンの低血清濃度を与える使用。
【請求項20】
請求項1から19の何れか1項に記載の使用であって、循環するエストラジオールの蓄積はないか、蓄積は僅かであるに過ぎない使用。
【請求項21】
請求項1から20の何れか1項に記載の使用であって、萎縮性膣上皮における陽性効果を与える使用。
【請求項22】
請求項1から21の何れか1項に記載の使用であって、完全または十分な膣成熟を与える使用。
【請求項23】
請求項1から22の何れか1項に記載の使用であって、骨粗鬆症の危険性を低下する使用。
【請求項24】
請求項1から23の何れか1項に記載の使用であって、表在性膣細胞の割合を増加する使用。
【請求項25】
請求項1から24の何れか1項に記載の使用であって、約5.5以下の膣pH値を与える使用。
【請求項26】
請求項1から25の何れか1項に記載の使用であって、以下の特徴の全てまたは多くを与える使用:膣症状の緩和、泌尿生殖器萎縮の改善、膣pHの低下、並びに膣および尿道粘膜両方の細胞学的成熟の改善。
【請求項27】
請求項1から26の何れか1項に記載の使用であって、バジフェム(登録商標)の週2回の投与により得られる効果と同程度の膣症状における臨床効果を与える使用。
【請求項28】
請求項1から27の何れか1項の使用に記載される組成物を投与することを具備する萎縮性膣炎を治療する方法。
【請求項29】
15μg以下の17β-エストラジオールまたは等量のその塩若しくは誘導体、並びにヒプロメロース、乳糖一水和物、トウモロコシデンプンおよびステアリン酸マグネシウムを含有する錠剤。
【請求項30】
15μg以下の17β-エストラジオールまたは等量のその塩若しくは誘導体、並びに約53.7mgのヒプロメロース、約17.9mgの乳糖一水和物、約8mgのトウモロコシデンプンおよび約0.4mgのステアリン酸マグネシウムを含有する請求項29に記載の錠剤。
【請求項31】
17β-エストラジオールまたは等量のその塩若しくは誘導体の含有量が約8から約12μgの範囲である請求項29または30の何れか1項に記載の錠剤。
【請求項32】
約10μgの17β-エストラジオールまたは等量のその塩若しくは誘導体を含有する前2項の何れか1項に記載の錠剤。
【請求項33】
本明細書に記載された何れかの新規の特徴または特徴の組み合わせ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【公開番号】特開2010−189409(P2010−189409A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−89241(P2010−89241)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【分割の表示】特願2002−549263(P2002−549263)の分割
【原出願日】平成13年12月13日(2001.12.13)
【出願人】(505457215)ノボ・ノルディスク・フェムケア・アーゲー (4)
【氏名又は名称原語表記】Novo Nordisk FemCare AG
【住所又は居所原語表記】Andreasstrasse 15, CH−8050 Zurich,Switzerland
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89241(P2010−89241)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【分割の表示】特願2002−549263(P2002−549263)の分割
【原出願日】平成13年12月13日(2001.12.13)
【出願人】(505457215)ノボ・ノルディスク・フェムケア・アーゲー (4)
【氏名又は名称原語表記】Novo Nordisk FemCare AG
【住所又は居所原語表記】Andreasstrasse 15, CH−8050 Zurich,Switzerland
【Fターム(参考)】
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