落橋防止構造用桁連結装置
【課題】構造が複雑で施工が困難であったり、部品点数が多く高価である。
【解決手段】連結されるべき橋梁構造体同士の一面のそれぞれに、ピン挿通孔を有する保持板を備えた鋼製の連結用ブラケットを固定し、それぞれの保持板間に、両端をループ状に形成した補強繊維からなる連結ベルトのループ状の両端のそれぞれを一対のそれぞれのデフレクションブッシュに巻回し、ループ状の端部で巻回された一対のデフレクションブッシュのそれぞれを挟持させ、保持板のピン挿通孔からピンを挿通してデフレクションブッシュを保持板に固定することにより、連結されるべき構造体同士を連結ベルトで連結することを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置を提供する。
【解決手段】連結されるべき橋梁構造体同士の一面のそれぞれに、ピン挿通孔を有する保持板を備えた鋼製の連結用ブラケットを固定し、それぞれの保持板間に、両端をループ状に形成した補強繊維からなる連結ベルトのループ状の両端のそれぞれを一対のそれぞれのデフレクションブッシュに巻回し、ループ状の端部で巻回された一対のデフレクションブッシュのそれぞれを挟持させ、保持板のピン挿通孔からピンを挿通してデフレクションブッシュを保持板に固定することにより、連結されるべき構造体同士を連結ベルトで連結することを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高架道路、河川、渓谷等における橋梁構造物において、橋梁が地震時の逸脱によって落下するのを防止するための落橋防止構造用桁連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
橋台や橋脚に載置された橋梁上部構造は、地震により激しい力を受け、上下、橋軸方向、橋軸直角方向に移動するようになり、最悪の場合は落橋するという事態を免れない。これらを回避するため道路橋示方書や指針等でその対策を施すよう詳細が規定されている。
【0003】
これらを受けて、橋梁上部構造と橋台、橋梁上部構造と橋脚とを連結する装置や上部構造同士を連結する装置等が多数開発されている。
【0004】
たとえば、特許文献1乃至特許文献4等に見られるように、橋脚上で隣り合う橋梁同士の腹板をゴム内蔵型鋼製チェーンを連結したり、PC鋼棒で連結したり、また、橋台上に位置する橋梁と橋台パラペットにPC鋼棒で連結したりする方法が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特許第3713313号特許公報
【特許文献2】特開平8−333718公開特許公報
【特許文献3】特開平9−53205公開特許公報
【特許文献4】特開2001−64914公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これまでの連結装置の多くは、たとえば特許文献1に見られるように隣り合う橋梁主桁の垂直鋼板間の桁端に取り付けるため施工が困難であったり、ブラケット間の変動があった場合には取り付けが不可能になるおそれもあり、また、特許文献3等では構造が複雑であり、また重量があるため施工に多少の難があったり、高価でもある。
【0007】
本発明は、上述したような課題を以下述べるところにより解決しようとするものであり、また、より良い効果を有する新規な構造の落橋防止構造用桁連結装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、基本的には、連結されるべき橋梁構造体同士の一面のそれぞれに、ピン挿通孔を有する保持板を備えた鋼製の連結用ブラケットを固定し、それぞれの保持板間に、両端をループ状に形成した補強繊維からなる連結ベルトのループ状の両端のそれぞれを一対のそれぞれのデフレクションブッシュに巻回し、ループ状の端部で巻回された一対のデフレクションブッシュのそれぞれを挟持させ、保持板のピン挿通孔からピンを挿通してデフレクションブッシュを保持板に固定することにより、連結されるべき構造体同士を連結ベルトで連結することを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置を提供する。
【0009】
橋脚上で隣り合う橋梁主桁同士の連結にあっては、橋脚上で隣り合う橋梁主桁の腹板のそれぞれに、ピン挿通孔を有する保持板の一対を備えた鋼製連結用ブラケットを固定し、それぞれの保持板間に、両端をループ状に形成した補強繊維からなる連結ベルトのループ状の両端のそれぞれを一対のそれぞれのデフレクションブッシュに巻回し、ループ状の端部で巻回された一対のデフレクションブッシュのそれぞれを挟持させ、保持板のピン挿通孔からピンを挿通してデフレクションブッシュを保持板に固定することにより、橋脚上で隣り合う橋梁の主桁同士を連結ベルトで連結することを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置を提供する。
【0010】
橋梁主桁の端部が橋台に位置する個所では、橋台の壁面と橋梁主桁のフランジ下面のそれぞれにピン挿通孔を有する保持板の一対を備えた鋼製の連結用ブラケットを固定し、それぞれの保持板間に、両端をループ状に形成した補強繊維からなる連結ベルトのループ状の両端のそれぞれを一対のそれぞれのデフレクションブッシュに巻回し、ループ状の端部で巻回された一対のデフレクションブッシュのそれぞれを挟持させ、保持板のピン挿通孔からピンを挿通してデフレクションブッシュを保持板に固定することにより橋台と主桁を連結ベルトで連結することを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置を提供する。
【0011】
上記において、好ましくは橋脚上で隣り合う橋梁の主桁の腹板のそれぞれに取り付けられている垂直補剛材の外側に位置するようにして外側に凸の曲面を有する角当り防止板を取り付けたことを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置を提供する。
【0012】
上記において、デフレクションブッシュは、鋼管にゴム管を嵌挿してなり、ゴム管は、両端に厚みを貫通する小円孔が形成されてなることを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置を提供する。
【0013】
上記において好ましくは、連結ベルトの外側にプラスチック製カバーを配したことを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明はつぎのような効果を有する。
【0015】
請求項1、請求項2、請求項3において、落橋防止構造用桁連結装置は、連結されるべき橋梁構造体同士すなわち橋脚上で隣り合う橋梁主桁同士又は橋台と橋台上の橋梁主桁とに対して、保持部を有する鋼製の連結用ブラケット、保持板に挟持して保持されるデフレクションブッシュ、ピン、デフレクションブッシュに端部が巻回される両端部がループ状に形成された補強織物繊維とからなり、部品点数が少ないので、連結されるべき橋梁構造体への取り付けが容易であり、また、経済的でもある。
【0016】
請求項4において、主桁の腹板の端部に取り付けられている垂直補剛材に垂直補剛材のの外側に位置するように外側に凸の曲面を有する角当り防止板を取り付けてあるので、地震等で橋桁が移動しても連結ベルトが直接補剛材の小口の角に当ることがないので、摩擦を減少し、連結ベルトの破損を防止することができる。
【0017】
請求項5において、デフレクションブッシュは、鋼管にゴム管の本体部を嵌挿してゴム管両端に厚みを貫通する小孔を配置してフランジが形成されているので、連結用ブラケットへの挟持が容易である。
【0018】
連結ベルトに力が作用したとき、小孔によりピン直角方向に柔らかくなるため、ピン直角方向に作用させることができ、変形の方向性を保持できる。また、外周面外側に鋼管を配したことにより、本体部のゴムに面一に荷重が作用する。したがって、片利き(ベルト方向に不均等な応力が発生する状態)を抑制できる。
【0019】
請求項6において、連結ベルトの外側にプラスチック製カバーを配したことにより、連結ベルトの耐候性、汚濁防止用及びタレ下り防止用、移動可能量の確保、主桁の伸縮に追従することができる。また、美観上の配慮にもなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は橋脚上で隣り合う橋梁主桁に本発明に係る落橋防止構造用桁連結装置を設置した状態を示す側面図、図2は一端が橋台に載置されている橋梁主桁と橋台に本発明に係る落橋防止構造用桁連結装置を設置した状態を示す側面図である。
【0022】
図3乃至図5はそれぞれ本発明に用いられるブラケット、デフレクションブッシュ、連結ベルトを示す斜視図である。
【0023】
図6乃至図8は落橋防止構造用桁連結装置の設置手順を示す斜視図である。
【0024】
まず、図3乃至図5に基づき、落橋防止構造用桁連結装置に用いられるブラケット、デフレクションブッシュ、連結ベルトについて説明する。
【0025】
ブラケット1は鋼製にしてなり、図3に示すように多数のボルト挿通孔1cを有する板材1aに後述するデフレクションブッシュを挟持する一対の保持板1bを溶接等により固着してなる。保持板1bには、後述するピン挿通孔1dが穿孔されている。1eは必要により固着されたピン頭をボルトにより固定するためのピン固定板である。
【0026】
デフレクションブッシュ2は、図4に示すように鋼管2aと両端に肉厚部を貫通する小孔2dを多数形成したフランジ2cを持つゴム管2bとからなり、ゴム管2bは本体部が鋼管2a内面に嵌挿されて形成されている(本体部は鋼管2aの内面に嵌挿されているため図には表れていない。)。
【0027】
連結ベルト3は、補強繊維織物からなり、両端部3aがループ状に形成され、後述するように連結すべき構造体同士に設置されたブラケットのデフレクションブッシュを両端が巻回されて構造体同士を結合する長さ及び余長を有する。
【0028】
つぎに、図1、図6乃至図8に基づき、これらを用いて橋脚上で隣り合う橋梁主桁同士を連結する手順を説明する。
【0029】
橋梁主桁5は上フランジ5a、下フランジ5d、腹板5b、補剛材5cとにより公知の構成をしてなり(図6乃至図8において上フランジ5aは省略してある。)、隣接する主桁5同士は端部が橋脚4上に沓7を介して載置固定されている。
【0030】
ブラケット1は、主桁5同士の端部で向い合う補剛材5cの外側に板体1aのボルト挿通孔1cを介してボルト6を用いて腹板5bに固定される。図はいずれも腹板5bの片面のみしか見えないが、その反対面においても同様の構造となる(以下同じ。)。
【0031】
一対のデフレクションブッシュ2の鋼管2aの周面に連結ベルト3のループ状端部3aを巻回したのち、それぞれのデフレクションブッシュ2を橋脚4上で隣接する主桁5に取り付けたそれぞれのブラケット1の保持板1b間に挟持させ、ピン12をピン挿通孔1dに挿通し、ピン固定板1eをボルト固定する。
【0032】
以上の手順により橋脚上で隣り合う橋梁主桁同士を連結する。
【0033】
つぎに、橋台上に端部を載置した橋梁主桁と橋台の連結について図2に基づき説明する。
【0034】
主桁5と橋台8に固定されるブラケット1は、主桁5同士を結合する場合と異なり、保持板1bは板材1aに直接固定されず方向性を考慮して他の部材1f、1gを介して一体化されてなる。
【0035】
ブラケット1は、主桁5にあっては主桁5のフランジ5dに固定され、橋台8にあっては対向する橋脚又は橋台との対向する壁面8aに固定される。連結ベルト3のループ状端部3aをデフレクションブッシュ2に巻回し、デフレクションブッシュ2をブラケット1の保持板1bに嵌挿する手順は、橋脚で隣り合う橋梁主桁同士を連結する場合と同様である。
【0036】
このようにして橋台と橋台に端部が載置した橋梁主桁とは連結する。
【0037】
図9は、橋梁主桁の腹板の補鋼板の外側に凸の曲面を有する板材を取り付けた水平断面図である。
【0038】
角当り防止板11は、外側に凸の板材からなり、主桁5の腹板5bに取り付け部材11aにボルト、ナットにより取り付けられている。図示してないが、隣り合う主桁の腹板5bにも角当り防止板11は取り付けられる。そのため、主桁5の横ずれ等が生じても連結ベルト3は補剛材5cに直接接触しない。
【0039】
図10は、補強繊維織物からなる連結ベルトの保護カバーを示す。
【0040】
保護カバー9は、中央のインナー部9a、その両側に連接するアウター部9b、その両側に連接するアイ部9cとからなり、断面コ字乃至半円弧状に形成されるとともに、互いに密接する外面と内面の径を有する断面コ字乃至楕円弧又は半円弧状に形成されている。アイ部9cにあっては、連結ベルト3のループ状端部3aの覆部9dが外に凸の形状により形成されている。インナー部9a、アウター部9b、アイ部9cは図11に示すようにいずれも連結ベルトを内にして向い合わせて設置されるので、接続しろ9eが形成されている。
【0041】
図12乃至図15は、連結されるべき構造体同士設置された連結ベルトへの保護カバーの取り付け手順を示す。構造体について図示してないが、連結ベルトを構造体同士を連結しているものとする。
【0042】
取り付けは連結ベルト3の両側に向い合わせて、アイ部9c、インナー部9a、アウター部9bの順で行う。各部材の接合には、たとえば粘着テープなどで仮固定したのち向い合わせた各部の接続しろ9e同士をリベット10で固定する。
【0043】
このようにして、補強繊維織物からなる連続ベルトに保護カバーを取り付ける。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】橋脚上で隣り合う橋梁主桁に本発明に係る落橋防止構造用桁連結装置を設置した状態を示す側面図である。
【図2】一端が橋台に載置されている橋梁主桁と橋台に本発明に係る落橋防止構造用桁連結装置を設置した状態を示す側面図である。
【図3】本発明に用いられるブラケットの斜視図である。
【図4】本発明に用いられるデフレクションブッシュの斜視図である。
【図5】本発明に用いられる連結ベルトの斜視図である。
【図6】落橋防止構造用桁連結装置の設置手順を示す斜視図である。
【図7】落橋防止構造用桁連結装置の設置手順を示す斜視図である。
【図8】落橋防止構造用桁連結装置の設置手順を示す斜視図である。
【図9】橋梁主桁の腹板の補鋼板の外側に凸の曲面を有する板材を取り付けた水平断面図である。
【図10】本発明に用いられる保護カバーの斜視図である。
【図11】保護カバーを向い合わせた状態を示す断面図である。
【図12】保護カバーの連結ベルトへの取り付け手順を示す。
【図13】保護カバーの連結ベルトへの取り付け手順を示す。
【図14】保護カバーの連結ベルトへの取り付け手順を示す。
【図15】保護カバーの連結ベルトへの取り付け手順を示す。
【符号の説明】
【0045】
1 ブラケット
1a 板材
1b 保持板
1c ボルト挿通孔
1d ピン挿通孔
1e ピン固定板
1f 他部材
1g 他部材
2 デフレクションブッシュ
2a 鋼管
2b ゴム管
2c フランジ
2d 小孔
3 補強繊維織物からなる連結ベルト
3a ループ状端部
4 橋脚
5 橋梁主桁
5a 上フランジ
5b 腹板
5c 補剛材
5d 下フランジ
6 ボルト
7 沓
8 橋台
8a 壁面
9 保護カバー
9a インナー部
9b アウター部
9c アイ部
9d 覆部
9e 接続しろ
10 リベット
11 角当り防止板
11a 取り付け部材
12 ピン
【技術分野】
【0001】
本発明は、高架道路、河川、渓谷等における橋梁構造物において、橋梁が地震時の逸脱によって落下するのを防止するための落橋防止構造用桁連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
橋台や橋脚に載置された橋梁上部構造は、地震により激しい力を受け、上下、橋軸方向、橋軸直角方向に移動するようになり、最悪の場合は落橋するという事態を免れない。これらを回避するため道路橋示方書や指針等でその対策を施すよう詳細が規定されている。
【0003】
これらを受けて、橋梁上部構造と橋台、橋梁上部構造と橋脚とを連結する装置や上部構造同士を連結する装置等が多数開発されている。
【0004】
たとえば、特許文献1乃至特許文献4等に見られるように、橋脚上で隣り合う橋梁同士の腹板をゴム内蔵型鋼製チェーンを連結したり、PC鋼棒で連結したり、また、橋台上に位置する橋梁と橋台パラペットにPC鋼棒で連結したりする方法が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特許第3713313号特許公報
【特許文献2】特開平8−333718公開特許公報
【特許文献3】特開平9−53205公開特許公報
【特許文献4】特開2001−64914公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これまでの連結装置の多くは、たとえば特許文献1に見られるように隣り合う橋梁主桁の垂直鋼板間の桁端に取り付けるため施工が困難であったり、ブラケット間の変動があった場合には取り付けが不可能になるおそれもあり、また、特許文献3等では構造が複雑であり、また重量があるため施工に多少の難があったり、高価でもある。
【0007】
本発明は、上述したような課題を以下述べるところにより解決しようとするものであり、また、より良い効果を有する新規な構造の落橋防止構造用桁連結装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、基本的には、連結されるべき橋梁構造体同士の一面のそれぞれに、ピン挿通孔を有する保持板を備えた鋼製の連結用ブラケットを固定し、それぞれの保持板間に、両端をループ状に形成した補強繊維からなる連結ベルトのループ状の両端のそれぞれを一対のそれぞれのデフレクションブッシュに巻回し、ループ状の端部で巻回された一対のデフレクションブッシュのそれぞれを挟持させ、保持板のピン挿通孔からピンを挿通してデフレクションブッシュを保持板に固定することにより、連結されるべき構造体同士を連結ベルトで連結することを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置を提供する。
【0009】
橋脚上で隣り合う橋梁主桁同士の連結にあっては、橋脚上で隣り合う橋梁主桁の腹板のそれぞれに、ピン挿通孔を有する保持板の一対を備えた鋼製連結用ブラケットを固定し、それぞれの保持板間に、両端をループ状に形成した補強繊維からなる連結ベルトのループ状の両端のそれぞれを一対のそれぞれのデフレクションブッシュに巻回し、ループ状の端部で巻回された一対のデフレクションブッシュのそれぞれを挟持させ、保持板のピン挿通孔からピンを挿通してデフレクションブッシュを保持板に固定することにより、橋脚上で隣り合う橋梁の主桁同士を連結ベルトで連結することを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置を提供する。
【0010】
橋梁主桁の端部が橋台に位置する個所では、橋台の壁面と橋梁主桁のフランジ下面のそれぞれにピン挿通孔を有する保持板の一対を備えた鋼製の連結用ブラケットを固定し、それぞれの保持板間に、両端をループ状に形成した補強繊維からなる連結ベルトのループ状の両端のそれぞれを一対のそれぞれのデフレクションブッシュに巻回し、ループ状の端部で巻回された一対のデフレクションブッシュのそれぞれを挟持させ、保持板のピン挿通孔からピンを挿通してデフレクションブッシュを保持板に固定することにより橋台と主桁を連結ベルトで連結することを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置を提供する。
【0011】
上記において、好ましくは橋脚上で隣り合う橋梁の主桁の腹板のそれぞれに取り付けられている垂直補剛材の外側に位置するようにして外側に凸の曲面を有する角当り防止板を取り付けたことを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置を提供する。
【0012】
上記において、デフレクションブッシュは、鋼管にゴム管を嵌挿してなり、ゴム管は、両端に厚みを貫通する小円孔が形成されてなることを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置を提供する。
【0013】
上記において好ましくは、連結ベルトの外側にプラスチック製カバーを配したことを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明はつぎのような効果を有する。
【0015】
請求項1、請求項2、請求項3において、落橋防止構造用桁連結装置は、連結されるべき橋梁構造体同士すなわち橋脚上で隣り合う橋梁主桁同士又は橋台と橋台上の橋梁主桁とに対して、保持部を有する鋼製の連結用ブラケット、保持板に挟持して保持されるデフレクションブッシュ、ピン、デフレクションブッシュに端部が巻回される両端部がループ状に形成された補強織物繊維とからなり、部品点数が少ないので、連結されるべき橋梁構造体への取り付けが容易であり、また、経済的でもある。
【0016】
請求項4において、主桁の腹板の端部に取り付けられている垂直補剛材に垂直補剛材のの外側に位置するように外側に凸の曲面を有する角当り防止板を取り付けてあるので、地震等で橋桁が移動しても連結ベルトが直接補剛材の小口の角に当ることがないので、摩擦を減少し、連結ベルトの破損を防止することができる。
【0017】
請求項5において、デフレクションブッシュは、鋼管にゴム管の本体部を嵌挿してゴム管両端に厚みを貫通する小孔を配置してフランジが形成されているので、連結用ブラケットへの挟持が容易である。
【0018】
連結ベルトに力が作用したとき、小孔によりピン直角方向に柔らかくなるため、ピン直角方向に作用させることができ、変形の方向性を保持できる。また、外周面外側に鋼管を配したことにより、本体部のゴムに面一に荷重が作用する。したがって、片利き(ベルト方向に不均等な応力が発生する状態)を抑制できる。
【0019】
請求項6において、連結ベルトの外側にプラスチック製カバーを配したことにより、連結ベルトの耐候性、汚濁防止用及びタレ下り防止用、移動可能量の確保、主桁の伸縮に追従することができる。また、美観上の配慮にもなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は橋脚上で隣り合う橋梁主桁に本発明に係る落橋防止構造用桁連結装置を設置した状態を示す側面図、図2は一端が橋台に載置されている橋梁主桁と橋台に本発明に係る落橋防止構造用桁連結装置を設置した状態を示す側面図である。
【0022】
図3乃至図5はそれぞれ本発明に用いられるブラケット、デフレクションブッシュ、連結ベルトを示す斜視図である。
【0023】
図6乃至図8は落橋防止構造用桁連結装置の設置手順を示す斜視図である。
【0024】
まず、図3乃至図5に基づき、落橋防止構造用桁連結装置に用いられるブラケット、デフレクションブッシュ、連結ベルトについて説明する。
【0025】
ブラケット1は鋼製にしてなり、図3に示すように多数のボルト挿通孔1cを有する板材1aに後述するデフレクションブッシュを挟持する一対の保持板1bを溶接等により固着してなる。保持板1bには、後述するピン挿通孔1dが穿孔されている。1eは必要により固着されたピン頭をボルトにより固定するためのピン固定板である。
【0026】
デフレクションブッシュ2は、図4に示すように鋼管2aと両端に肉厚部を貫通する小孔2dを多数形成したフランジ2cを持つゴム管2bとからなり、ゴム管2bは本体部が鋼管2a内面に嵌挿されて形成されている(本体部は鋼管2aの内面に嵌挿されているため図には表れていない。)。
【0027】
連結ベルト3は、補強繊維織物からなり、両端部3aがループ状に形成され、後述するように連結すべき構造体同士に設置されたブラケットのデフレクションブッシュを両端が巻回されて構造体同士を結合する長さ及び余長を有する。
【0028】
つぎに、図1、図6乃至図8に基づき、これらを用いて橋脚上で隣り合う橋梁主桁同士を連結する手順を説明する。
【0029】
橋梁主桁5は上フランジ5a、下フランジ5d、腹板5b、補剛材5cとにより公知の構成をしてなり(図6乃至図8において上フランジ5aは省略してある。)、隣接する主桁5同士は端部が橋脚4上に沓7を介して載置固定されている。
【0030】
ブラケット1は、主桁5同士の端部で向い合う補剛材5cの外側に板体1aのボルト挿通孔1cを介してボルト6を用いて腹板5bに固定される。図はいずれも腹板5bの片面のみしか見えないが、その反対面においても同様の構造となる(以下同じ。)。
【0031】
一対のデフレクションブッシュ2の鋼管2aの周面に連結ベルト3のループ状端部3aを巻回したのち、それぞれのデフレクションブッシュ2を橋脚4上で隣接する主桁5に取り付けたそれぞれのブラケット1の保持板1b間に挟持させ、ピン12をピン挿通孔1dに挿通し、ピン固定板1eをボルト固定する。
【0032】
以上の手順により橋脚上で隣り合う橋梁主桁同士を連結する。
【0033】
つぎに、橋台上に端部を載置した橋梁主桁と橋台の連結について図2に基づき説明する。
【0034】
主桁5と橋台8に固定されるブラケット1は、主桁5同士を結合する場合と異なり、保持板1bは板材1aに直接固定されず方向性を考慮して他の部材1f、1gを介して一体化されてなる。
【0035】
ブラケット1は、主桁5にあっては主桁5のフランジ5dに固定され、橋台8にあっては対向する橋脚又は橋台との対向する壁面8aに固定される。連結ベルト3のループ状端部3aをデフレクションブッシュ2に巻回し、デフレクションブッシュ2をブラケット1の保持板1bに嵌挿する手順は、橋脚で隣り合う橋梁主桁同士を連結する場合と同様である。
【0036】
このようにして橋台と橋台に端部が載置した橋梁主桁とは連結する。
【0037】
図9は、橋梁主桁の腹板の補鋼板の外側に凸の曲面を有する板材を取り付けた水平断面図である。
【0038】
角当り防止板11は、外側に凸の板材からなり、主桁5の腹板5bに取り付け部材11aにボルト、ナットにより取り付けられている。図示してないが、隣り合う主桁の腹板5bにも角当り防止板11は取り付けられる。そのため、主桁5の横ずれ等が生じても連結ベルト3は補剛材5cに直接接触しない。
【0039】
図10は、補強繊維織物からなる連結ベルトの保護カバーを示す。
【0040】
保護カバー9は、中央のインナー部9a、その両側に連接するアウター部9b、その両側に連接するアイ部9cとからなり、断面コ字乃至半円弧状に形成されるとともに、互いに密接する外面と内面の径を有する断面コ字乃至楕円弧又は半円弧状に形成されている。アイ部9cにあっては、連結ベルト3のループ状端部3aの覆部9dが外に凸の形状により形成されている。インナー部9a、アウター部9b、アイ部9cは図11に示すようにいずれも連結ベルトを内にして向い合わせて設置されるので、接続しろ9eが形成されている。
【0041】
図12乃至図15は、連結されるべき構造体同士設置された連結ベルトへの保護カバーの取り付け手順を示す。構造体について図示してないが、連結ベルトを構造体同士を連結しているものとする。
【0042】
取り付けは連結ベルト3の両側に向い合わせて、アイ部9c、インナー部9a、アウター部9bの順で行う。各部材の接合には、たとえば粘着テープなどで仮固定したのち向い合わせた各部の接続しろ9e同士をリベット10で固定する。
【0043】
このようにして、補強繊維織物からなる連続ベルトに保護カバーを取り付ける。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】橋脚上で隣り合う橋梁主桁に本発明に係る落橋防止構造用桁連結装置を設置した状態を示す側面図である。
【図2】一端が橋台に載置されている橋梁主桁と橋台に本発明に係る落橋防止構造用桁連結装置を設置した状態を示す側面図である。
【図3】本発明に用いられるブラケットの斜視図である。
【図4】本発明に用いられるデフレクションブッシュの斜視図である。
【図5】本発明に用いられる連結ベルトの斜視図である。
【図6】落橋防止構造用桁連結装置の設置手順を示す斜視図である。
【図7】落橋防止構造用桁連結装置の設置手順を示す斜視図である。
【図8】落橋防止構造用桁連結装置の設置手順を示す斜視図である。
【図9】橋梁主桁の腹板の補鋼板の外側に凸の曲面を有する板材を取り付けた水平断面図である。
【図10】本発明に用いられる保護カバーの斜視図である。
【図11】保護カバーを向い合わせた状態を示す断面図である。
【図12】保護カバーの連結ベルトへの取り付け手順を示す。
【図13】保護カバーの連結ベルトへの取り付け手順を示す。
【図14】保護カバーの連結ベルトへの取り付け手順を示す。
【図15】保護カバーの連結ベルトへの取り付け手順を示す。
【符号の説明】
【0045】
1 ブラケット
1a 板材
1b 保持板
1c ボルト挿通孔
1d ピン挿通孔
1e ピン固定板
1f 他部材
1g 他部材
2 デフレクションブッシュ
2a 鋼管
2b ゴム管
2c フランジ
2d 小孔
3 補強繊維織物からなる連結ベルト
3a ループ状端部
4 橋脚
5 橋梁主桁
5a 上フランジ
5b 腹板
5c 補剛材
5d 下フランジ
6 ボルト
7 沓
8 橋台
8a 壁面
9 保護カバー
9a インナー部
9b アウター部
9c アイ部
9d 覆部
9e 接続しろ
10 リベット
11 角当り防止板
11a 取り付け部材
12 ピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結されるべき橋梁構造体同士の一面のそれぞれに、ピン挿通孔を有する保持板を備えた鋼製の連結用ブラケットを固定し、それぞれの保持板間に、両端をループ状に形成した補強繊維からなる連結ベルトのループ状の両端のそれぞれを一対のそれぞれのデフレクションブッシュに巻回し、ループ状の端部で巻回された一対のデフレクションブッシュのそれぞれを挟持させ、保持板のピン挿通孔からピンを挿通してデフレクションブッシュを保持板に固定することにより、連結されるべき構造体同士を連結ベルトで連結することを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置。
【請求項2】
橋脚上で隣り合う橋梁主桁の腹板のそれぞれに、ピン挿通孔を有する保持板の一対を備えた鋼製連結用ブラケットを固定し、それぞれの保持板間に、両端をループ状に形成した補強繊維からなる連結ベルトのループ状の両端のそれぞれを一対のそれぞれのデフレクションブッシュに巻回し、ループ状の端部で巻回された一対のデフレクションブッシュのそれぞれを挟持させ、保持板のピン挿通孔からピンを挿通してデフレクションブッシュを保持板に固定することにより、橋脚上で隣り合う橋梁の主桁同士を連結ベルトで連結することを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置。
【請求項3】
橋台の壁面と橋梁主桁のフランジ下面のそれぞれにピン挿通孔を有する保持板の一対を備えた鋼製の連結用ブラケットを固定し、それぞれの保持板間に、両端をループ状に形成した補強繊維からなる連結ベルトのループ状の両端のそれぞれを一対のそれぞれのデフレクションブッシュに巻回し、ループ状の端部で巻回された一対のデフレクションブッシュのそれぞれを挟持させ、保持板のピン挿通孔からピンを挿通してデフレクションブッシュを保持板に固定することにより橋台と主桁を連結ベルトで連結することを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置。
【請求項4】
橋脚上で隣り合う橋梁の主桁の腹板のそれぞれに取り付けられている垂直補剛材の外側に位置するようにして外側に凸の曲面を有する角当り防止板を取り付けたことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の落橋防止構造用桁連結装置。
【請求項5】
デフレクションブッシュは、鋼管にゴム管を嵌挿してなり、ゴム管は、両端に厚みを貫通する小円孔が形成されてなることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の落橋防止構造用桁連結装置。
【請求項6】
連結ベルトの外側にプラスチック製カバーを配したことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の落橋防止構造用桁連結装置。
【請求項1】
連結されるべき橋梁構造体同士の一面のそれぞれに、ピン挿通孔を有する保持板を備えた鋼製の連結用ブラケットを固定し、それぞれの保持板間に、両端をループ状に形成した補強繊維からなる連結ベルトのループ状の両端のそれぞれを一対のそれぞれのデフレクションブッシュに巻回し、ループ状の端部で巻回された一対のデフレクションブッシュのそれぞれを挟持させ、保持板のピン挿通孔からピンを挿通してデフレクションブッシュを保持板に固定することにより、連結されるべき構造体同士を連結ベルトで連結することを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置。
【請求項2】
橋脚上で隣り合う橋梁主桁の腹板のそれぞれに、ピン挿通孔を有する保持板の一対を備えた鋼製連結用ブラケットを固定し、それぞれの保持板間に、両端をループ状に形成した補強繊維からなる連結ベルトのループ状の両端のそれぞれを一対のそれぞれのデフレクションブッシュに巻回し、ループ状の端部で巻回された一対のデフレクションブッシュのそれぞれを挟持させ、保持板のピン挿通孔からピンを挿通してデフレクションブッシュを保持板に固定することにより、橋脚上で隣り合う橋梁の主桁同士を連結ベルトで連結することを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置。
【請求項3】
橋台の壁面と橋梁主桁のフランジ下面のそれぞれにピン挿通孔を有する保持板の一対を備えた鋼製の連結用ブラケットを固定し、それぞれの保持板間に、両端をループ状に形成した補強繊維からなる連結ベルトのループ状の両端のそれぞれを一対のそれぞれのデフレクションブッシュに巻回し、ループ状の端部で巻回された一対のデフレクションブッシュのそれぞれを挟持させ、保持板のピン挿通孔からピンを挿通してデフレクションブッシュを保持板に固定することにより橋台と主桁を連結ベルトで連結することを特徴とする落橋防止構造用桁連結装置。
【請求項4】
橋脚上で隣り合う橋梁の主桁の腹板のそれぞれに取り付けられている垂直補剛材の外側に位置するようにして外側に凸の曲面を有する角当り防止板を取り付けたことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の落橋防止構造用桁連結装置。
【請求項5】
デフレクションブッシュは、鋼管にゴム管を嵌挿してなり、ゴム管は、両端に厚みを貫通する小円孔が形成されてなることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の落橋防止構造用桁連結装置。
【請求項6】
連結ベルトの外側にプラスチック製カバーを配したことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の落橋防止構造用桁連結装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−266970(P2008−266970A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110482(P2007−110482)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000107044)ショーボンド建設株式会社 (71)
【出願人】(000201490)前田工繊株式会社 (118)
【出願人】(303013268)帝人テクノプロダクツ株式会社 (504)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000107044)ショーボンド建設株式会社 (71)
【出願人】(000201490)前田工繊株式会社 (118)
【出願人】(303013268)帝人テクノプロダクツ株式会社 (504)
【Fターム(参考)】
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