落橋防止装置
【課題】ボルトや溶接によらずに簡単に橋桁に取り付けることが可能で、作業性を向上させることができる落橋防止装置を提供する。
【解決手段】フレーム11と、このフレーム11に取り付けられたピン15に回動可能に支持された圧着部材16と、フレーム11に一端が連結される接続ワイヤWとを備える。圧着部材16は、スプリング17の弾性力により、橋桁の側面32bに常時当接している。地震が発生して接続ワイヤWに引張り力が加わると、この力がフレーム11とピン15を介して圧着部材16に伝達され、圧着部材16は橋桁の側面32bに圧着する。接続ワイヤWに加わる引張り力が強くなればなるほど、圧着部材16はより強力に橋桁の側面32bに圧着する。この強力な圧着により、圧着部材16の歯部16aが側面32bに食い込み、圧着部材16が橋桁3に強固に固着される。
【解決手段】フレーム11と、このフレーム11に取り付けられたピン15に回動可能に支持された圧着部材16と、フレーム11に一端が連結される接続ワイヤWとを備える。圧着部材16は、スプリング17の弾性力により、橋桁の側面32bに常時当接している。地震が発生して接続ワイヤWに引張り力が加わると、この力がフレーム11とピン15を介して圧着部材16に伝達され、圧着部材16は橋桁の側面32bに圧着する。接続ワイヤWに加わる引張り力が強くなればなるほど、圧着部材16はより強力に橋桁の側面32bに圧着する。この強力な圧着により、圧着部材16の歯部16aが側面32bに食い込み、圧着部材16が橋桁3に強固に固着される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震発生時に橋梁の橋桁が落下するのを防止するための落橋防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路や各種高架橋においては、強い地震が発生した場合に橋脚や橋台から橋桁が落下するのを防止するため、橋桁に落橋防止装置が取り付けられている。このような落橋防止装置は、1995年の阪神・淡路大震災以後、法律によって道路橋への設置が義務付けられている。
【0003】
図15は従来から採用されている落橋防止装置の一例を示した図である。図において、100は橋脚(または橋台)、101は橋脚100の上に隣接して設置される橋桁、102は橋桁101と橋脚100との間に介在する支承部材、103は橋桁101の上に設置される道路の床板である。104は隣接する橋桁101同士を連結する鋼製の連結板であって、各橋桁101にボルト105によって締着されている。このように、隣接する橋桁101を連結板104で連結することにより、地震による過大な力が加わっても、橋桁101が橋脚100から落下するのを防止することができる。
【0004】
図16は落橋防止装置の他の例を示した図であって、図15と同一部分には同一符号を付してある。106は隣接する橋桁101同士を連結する連結ケーブルであって、鋼線の束を合成樹脂で被覆したものである。107は連結ケーブル106の両端部を支持するブラケットであって、図示しないボルトにより各橋桁101に固着されている。このように、隣接する橋桁101を連結ケーブル106で連結することにより、地震による過大な力が加わっても、橋桁101が橋脚100から落下するのを防止することができる。
【0005】
上述したような落橋防止装置に関しては、例えば下記の特許文献1に記載されている。この特許文献1には、伸縮自在・曲げ自在な金属製のベローズで橋桁同士を連結することも記載されている。
【特許文献1】特開2001−40616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、橋桁101の内部には鋼材または鉄筋が埋設されているので、図15のように連結板104をボルト105で固着したり、図16のように連結ケーブル106を支持するためのブラケット107をボルトで固着したりする場合に、橋桁101にボルト穴を穿孔することによって内部の鋼材や鉄筋が損傷されるおそれがある。鋼材等が損傷されると、コンクリートの圧縮応力が低下して引張り力に対する強度が低下し、亀裂が発生しやすくなる。また、橋桁101への穿孔やボルト締着などの作業が必要となり、時間と工数がかかるという問題もある。一方、鋼製の橋桁の場合には、橋桁101にボルト穴の穿孔を行わず、溶接により連結板104やブラケット107を固着する方法もあるが、この場合でも時間と工数がかかる点に変わりはない。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するもので、その目的とするところは、ボルトや溶接によらずに簡単に橋桁に取り付けることが可能で、作業性を向上させることができる落橋防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る落橋防止装置は、橋脚または橋台上に設置される橋桁に取り付けられ、橋桁が橋脚または橋台から落下するのを防止するための落橋防止装置であって、フレームと、このフレームに変位可能に支持され、橋桁の側面に当接する圧着部材と、一端が当該落橋防止装置に連結され、他端が他の落橋防止装置に連結される接続部材と、この接続部材に加わる引張り力を圧着部材に伝達して、当該圧着部材を橋桁の側面に圧着させる伝達機構とを備えたものである。
【0009】
本発明の第1実施形態では、圧着部材は、フレームに取り付けられたピンに回動自在に支持されており、フレームとピンにより伝達機構が構成される。そして、接続部材の一端はフレームまたは圧着部材に連結されている。
【0010】
本発明の第2実施形態では、圧着部材は、橋桁の側面に対して垂直方向に変位可能なようにフレームに支持されている。また、圧着部材を橋桁の側面に圧着させるための偏芯カムが設けられ、この偏芯カムにより伝達機構が構成される。そして、接続部材の一端は上記偏芯カムに連結されている。
【0011】
本発明の第3実施形態では、圧着部材は、楔形に形成されていて、橋桁の側面に対して垂直方向に変位可能なようにフレームに支持されている。また、圧着部材を橋桁の側面に圧着させるための楔状部材が設けられ、この楔状部材により伝達機構が構成される。そして、接続部材の一端は上記楔状部材またはフレームに連結されている。
【0012】
本発明では、接続部材に加わる引張り力を圧着部材に伝達して、圧着部材を橋桁の側面に圧着させるようにしているので、地震の発生により橋桁が横に揺れて橋脚や橋台から外れようとしても、接続部材に引張り力が作用し、この力が強ければ強いほど、圧着部材はより強力に橋桁の側面に圧着しようとする。このため、圧着部材が橋桁に一体的に固定され、接続部材による橋桁同士の連結、または橋桁と橋脚・橋台との連結が外れることはないので、橋桁の落下を確実に防止することができる。また、落橋防止装置を橋桁に取り付けるためのボルトや溶接が不要となり、設置作業をきわめて簡単に行うことができる。さらに、橋桁にボルト穴を穿孔する必要がないので、橋桁に鋼材や鉄筋が埋設されていても、これらを損傷するおそれがなく、橋桁の強度を維持することができる。
【0013】
本発明において、圧着部材は、橋桁の側面と対向する面に歯部を有していることが好ましい。これによると、圧着部材を橋桁の側面に圧着させた際に、圧着部材の歯部が橋桁に食い込むので、圧着部材を一層強固に橋桁に固着することができる。
【0014】
また、本発明においては、圧着部材を橋桁の側面に常時当接させておくための押圧力を付与する押圧力付与手段を設けることが好ましい。これによると、圧着部材が橋桁の側面に常時当接した状態となるので、地震発生時に接続部材に引張り力が加わるのと同時に、圧着部材が橋桁に圧着し、圧着部材と橋桁とを瞬時に一体化して、橋桁の落下を確実に防止することができる。
【0015】
さらに、本発明においては、フレームを橋桁に落下しないよう保持するための保持手段を設けることが好ましい。これによると、保持手段によってフレームを橋桁に仮止めした状態で、接続部材の連結作業を行うことができ、設置作業がやり易くなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、接続部材の引張り力により圧着部材を橋桁に圧着させるようにしたので、圧着部材が橋桁に一体的に固定され、橋桁の落下を確実に防止することができる。また、ボルトや溶接によらずに落橋防止装置を簡単に橋桁に取り付けることができ、作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の落橋防止装置を取り付けた橋梁を示す一部断面図、図2(a)は落橋防止装置の取付部を上方から見た図、図2(b)は落橋防止装置の取付部を側方から見た図である。図において、1は地面Gに埋設された橋脚、2は橋脚1の上部に横方向へ張り出した橋台、3は橋台2の上に設置される橋桁、4は橋桁3と橋台2との間に介在する支承部材、5は橋桁3の上に設置される道路の床板、6はその側板、10Aは橋桁3に取り付けられた固定具である。
【0018】
図2(b)に示されるように、橋台2の上には、隣接する橋桁3の端部が一定間隔をおいて対向するように配置されており、それぞれの橋桁3の端部近傍に固定具10Aが取り付けられている。そして、各固定具10Aは接続ワイヤWで相互に連結されている。この固定具10Aと接続ワイヤWとにより、本発明の第1実施形態に係る落橋防止装置が構成される。
【0019】
図3は、固定具10Aの取付部分の拡大図であって、(a)は橋桁3の断面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(b)におけるX−Xで切断した場合の平面図である。橋桁3は、埋設された鋼線により予め圧縮応力が与えられたプレストレスト・コンクリート(Prestressed Concrete;以下「PC」と記す。)からなり、図3(a)のように、断面がI字形をしている。そして、上側膨出部31、下側膨出部32、中間部33のいずれの部分にも、鋼線7が複数本埋設されている。下側膨出部32における鋼線7の本数が多いのは、荷重に基因して橋桁3の下部に生じる引張り力に対抗する圧縮応力を高めるためである。固定具10Aは、後述する保持金具によって、下側膨出部32の肩部32aに保持されている。
【0020】
図4および図5は、固定具10Aの詳細構造を示した図である。図4は、図3(a)の部分拡大図である。図5(a)は、図3(b)のX−Xで切断した場合の拡大平面図、図5(b)は、図4の右側から見た固定具10Aの側面図である。
【0021】
図4において、11は金属製のフレームであって、橋桁3の下側膨出部32を両側から抱持するような形状に形成されている。フレーム11は、橋桁3を挟んで両側に、垂直片11aと水平片11b,11cとを備えており、垂直片11aは、図5(b)に示されるように、1対設けられている。それぞれの垂直片11aには、中空のパイプ13が溶接等により固着されており、このパイプ13に保持金具12が挿通されている。保持金具12の外周にはネジ部が形成されていて、このネジ部がナット14の内周のネジ部と螺合しており、ナット14を回すことにより、保持金具12の位置(図4で左右方向の位置)を調節できるようになっている。また、保持金具12の先端にはテーパ部12aが形成されており、このテーパ部12aが図4のように橋桁3の下側膨出部32の肩部32aに係止することにより、フレーム11は橋桁3に落下しないよう保持される。
【0022】
フレーム11の水平片11b,11cには、ピン15が取り付けられており、このピン15に圧着部材16が回動自在に支持されている。圧着部材16は、金属体からなり、橋桁3の下側膨出部32の側面32bと対向する面に、図5(a)に示すような歯部16aを有している。また、圧着部材16は、歯部16aと反対側に、図5(b)に示すように1対の突片16bを有している。突片16bにはピン18が取り付けられており、このピン18にスプリング17の一端が掛止されている。スプリング17の他端は、リング19に掛止されている。このリング19は、フレーム11に設けられた調整ネジ20の先端に固着されている。
【0023】
スプリング17は、ピン18に対して、図5(b)の左方向への引張り力を与えるので、この力により、圧着部材16には図5(a)に示すa方向の回動力が作用し、圧着部材16は常時、実線で示すように、橋桁の側面32bに当接している。なお、本実施形態では、圧着部材16の歯部16aが形成されている面は、若干の曲率をもった円弧状に形成されているので、当該面の右寄りの部分が側面32bに当接し、左寄りの部分は側面32bからわずかに浮いた状態となっている。スプリング17の引張り力は、調整ネジ20によりリング19を変位させることで変えることができ、これによって、圧着部材16の橋桁3への当接力を調節することができる。ここでは、押圧力付与手段としてスプリング17を用いたが、これに代えてボルト等を用い、その先端で圧着部材16の突片16bを押圧することにより、圧着部材16を橋桁の側面32bに常時当接させるようにしてもよい。
【0024】
図5(a)に示すように、接続ワイヤWの一端には接続金具22がカシメにより固着されており、この接続金具22には孔22aが形成されている。一方、フレーム11には、接続金具22を連結するためのリング21が設けられており、このリング21が接続金具22の孔22aと係合することにより、接続ワイヤWの一端が固定具10Aに連結される。また、図示は省略するが、接続ワイヤWの他端にも、接続金具22と同じ接続金具が固着されており、この接続金具は、隣接する橋桁に取り付けられている他の固定具(例えば、図2における左側の固定具10A)に連結される。
【0025】
以上の構成において、接続ワイヤWは、本発明における接続部材の一実施形態を構成し、フレーム11およびピン15は、本発明における伝達機構の一実施形態を構成し、スプリング17は、本発明における押圧力付与手段の一実施形態を構成し、保持金具12は、本発明における保持手段の一実施形態を構成している。
【0026】
上述した落橋防止装置を橋桁3に設置するにあたっては、まず、固定具10Aにおけるナット14(図4)を回して、保持金具12の先端を、橋桁3の下側膨出部32の側面32bよりも後退させておく。そして、圧着部材16を図5(a)のb方向に手で回動し、圧着部材16を橋桁の側面32bから離間した状態に把持したまま、固定具10Aを図4の下方向から橋桁3の下側膨出部32へあてがうように挿入する。挿入後、圧着部材16の把持を解除すると、圧着部材16はスプリング17の弾性力により図5のa方向に回動し、実線で示すように橋桁の側面32bに当接した状態となる。次に、ナット14を回して保持金具12を前進させ、図4のように、保持金具12の先端のテーパ部12aを橋桁3の肩部32aに係止させる。これによって、フレーム11が橋桁3に落下しないよう保持され、固定具10Aが橋桁3に仮止めされる。なお、保持金具12は肩部32aに軽く当接させるだけでよく、テーパ部12aを肩部32aに強い力で圧着させる必要はない。また、最初の作業段階ではスプリング17を取り外しておき、固定具10Aを橋桁3に仮止めした後に、スプリング17を取り付けるようにしてもよい。以上と同様の作業を、隣接する橋桁に取り付けられる固定具についても行う。その後、接続ワイヤWを前述のように各固定具10Aに連結する。このとき、固定具10Aが橋桁3に仮止めされているので、接続ワイヤWの連結作業がやり易くなる。以上で落橋防止装置の設置作業は終了する。なお、接続ワイヤWは、一方または両方の固定具10Aに予め連結しておいてもよい。
【0027】
次に、上述した第1実施形態による落橋防止装置の作用について説明する。図2で示したように、隣接する橋桁3は、それぞれに取り付けられた固定具10Aおよび接続ワイヤWにより連結されている。今、この状態で強い地震が発生し、橋桁3が横に揺れて橋台2から外れようとすると、接続ワイヤWに引張り力が加わる。このため、図5(a)において、フレーム11が左方向へ移動しようとし、これとともに、フレーム11に取り付けられているピン15も左方向へ移動しようとする。しかるに、ピン15に支持されている圧着部材16は、その一部(歯部16aの形成されている面の右寄り部分)が橋桁の側面32bに当接しているため、ピン15が左方向へ動こうとすると、圧着部材16には上記当接部位を支点とするa方向の回動力が作用する。この結果、圧着部材16はa方向へ変位しようとするので、橋桁の側面32bに対する圧着部材16の圧着力が強まる。そして、接続ワイヤWに加わる引張り力が強くなればなるほど、この圧着力が増強されて、圧着部材16はより強力に橋桁の側面32bに圧着する。この強力な圧着により、圧着部材16の歯部16aが側面32bに食い込み、圧着部材16が橋桁3に強固に固着されるので、接続ワイヤWによる橋桁3同士の連結が外れることはなく、橋桁3の落下を確実に防止することができる。
【0028】
また、落橋防止装置の設置に際して、固定具10Aを保持金具12で橋桁3に保持し、固定具10A同士を接続ワイヤWで連結しておくだけで、地震発生時には、接続ワイヤWに加わる引張り力により圧着部材16が橋桁3に強固に圧着するので、固定具10Aを橋桁3に取り付けるためのボルトや溶接が一切不要となり、設置作業をきわめて簡単に行うことができる。さらに、橋桁3にボルト穴を穿孔する必要がないので、橋桁3が鋼線の埋設されたPCから構成されていても、内部の鋼線を損傷するおそれがなく、橋桁3の強度を維持することができる。
【0029】
また、本実施形態では、スプリング17の弾性力により、圧着部材16を橋桁の側面32bに常時当接させているので、地震発生時に接続ワイヤWに引張り力が加わるのと同時に、圧着部材16が橋桁3に圧着し、圧着部材16と橋桁3とを瞬時に一体化して、橋桁3の落下を確実に防止することができる。さらに、本実施形態では、圧着部材16の回動によって、歯部16aを橋桁の側面32bに食い込ませ易くなり、圧着を強固なものとすることができる。
【0030】
図6は、上述した固定具10Aを橋桁3の長手方向に複数個(ここでは3個)連設した例を示している。(a)は平面図、(b)は側面図である。各固定具10Aは、例えばボルトにより連結されている。固定具10Aを1つだけ設けた場合は、圧着部材16の圧着力が1箇所に集中するため、地震により接続ワイヤWに加わる力が過大になると、橋桁3に亀裂が生じるおそれがあるが、図6のように固定具10Aを複数個連設すると、接続ワイヤWに加わる力が各固定具10Aに分配されるので、圧着部材16の圧着力の集中を回避して、橋桁3に亀裂が生じるのを防止することができる。なお、図6では、複数個の固定具10Aを隙間なく連結した例を示したが、複数個の固定具10Aを一定間隔をおいて配設し、相互間を適当な連結部材で連結してもよい。
【0031】
図7は、本発明の第2実施形態を示す図であって、第1実施形態の図3に対応する図である。図7において、図3と同一部分には同一符号を付してある。図7(a)は橋桁3の断面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(b)におけるY−Yで切断した場合の平面図である。橋桁3に関しては、第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。第2実施形態では、第1実施形態の固定具10Aに代えて、固定具10Bが用いられる。
【0032】
図8および図9は、固定具10Bの詳細構造を示した図である。図8は、図7(a)の部分拡大図である。図9(a)は、図7(b)のY−Yで切断した場合の拡大平面図、図9(b)は、図8の右側から見た固定具10Bの側面図である。図8、図9において、図4、図5と同一部分には同一符号を付してある。
【0033】
図8において、25は金属製のフレームであって、橋桁3の下側膨出部32を両側から抱持するような形状に形成されている。フレーム25は、橋桁3を挟んで両側に、垂直片25aと水平片25b,25cとを備えており、垂直片25aは、図9(b)に示されるように、1対設けられている。それぞれの垂直片25aには、中空のパイプ13が溶接等により固着されており、このパイプ13に保持金具12が挿通されている。保持金具12の外周にはネジ部が形成されていて、このネジ部がナット14の内周のネジ部と螺合しており、ナット14を回すことにより、保持金具12の位置(図8で左右方向の位置)を調節できるようになっている。また、保持金具12の先端にはテーパ部12aが形成されており、このテーパ部12aが図8のように橋桁3の下側膨出部32の肩部32aに係止することにより、フレーム25は橋桁3に落下しないよう保持される。保持金具12、パイプ13およびナット14は、図4に示したものと同じものである。
【0034】
フレーム25の水平片25b,25cには、ピン28が取り付けられており、このピン28に偏芯カム27が回動自在に支持されている。26は金属体からなる圧着部材であって、図9(a)に示すように、フレーム25に形成された1対の案内壁25dの間に、橋桁の側面32bと垂直方向(図では上下方向)に変位可能に配設されている。圧着部材26は先端側に押圧板26aを備えており、この押圧板26aは、橋桁の側面32bと対向する面に、歯部26bを有している。また、圧着部材26は、押圧板26aと反対側の面が偏芯カム27と当接するようになっており、偏芯カム27の回動に伴って変位する。偏芯カム27は、図9(b)に示すように1対の突片27aを有しており、この突片27aにはピン29が取り付けられている。ピン29には、接続ワイヤWの一端にカシメにより固着された接続金具22が係合しており、接続ワイヤWに加わる引張り力が、ピン29と突片27aを介して偏芯カム27に伝達される。
【0035】
30は、押圧力付与用のボルトであって、図9で左右方向に進退可能なようにフレーム25に取り付けられている。ボルト30の先端は、偏芯カム27の突片27aに当接するようになっている。このため、ボルト30を図9(a)の左方向に前進させて突片27aを押すと、偏芯カム27はピン28を中心として時計回り方向へ回動する。そして、この偏芯カム27の回動により、圧着部材26が押されて、押圧板26aが常時、橋桁の側面32bに当接した状態となる。ここでは、押圧力付与手段としてボルト30を用いたが、これに代えてスプリングを用い、その弾性力を偏芯カム27に作用させることにより、押圧板26aを橋桁の側面32bに常時当接させるようにしてもよい。
【0036】
以上の構成において、接続ワイヤWは、本発明における接続部材の一実施形態を構成し、偏芯カム27は、本発明における伝達機構の一実施形態を構成し、ボルト30は、本発明における押圧力付与手段の一実施形態を構成し、保持金具12は、本発明における保持手段の一実施形態を構成している。
【0037】
上述した落橋防止装置を橋桁3に設置するにあたっては、まず、固定具10Bにおけるナット14(図8)を回して、保持金具12の先端を、橋桁3の下側膨出部32の側面32bよりも後退させておく。そして、ボルト30(図9)を調整して、圧着部材26の押圧板26aと橋桁の側面32bとの当接を解除した状態にし、固定具10Bを図8の下方向から橋桁3の下側膨出部32へあてがうように挿入する。挿入後、ナット14を回して保持金具12を前進させ、図8のように、保持金具12の先端のテーパ部12aを橋桁3の肩部32aに係止させる。この場合も、保持金具12は肩部32aに軽く当接させるだけでよい。これによって、フレーム25が橋桁3に落下しないよう保持され、固定具10Bが橋桁3に仮止めされる。この状態でボルト30を再調整し、偏芯カム27の回動により、圧着部材26の押圧板26aを橋桁の側面32bに当接させる。以上と同様の作業を、隣接する橋桁に取り付けられる固定具についても行う。その後、接続ワイヤWを各固定具10Bに連結する。このとき、固定具10Bが橋桁3に仮止めされているので、接続ワイヤWの連結作業がやり易くなる。以上で落橋防止装置の設置作業は終了する。なお、接続ワイヤWは、一方または両方の固定具10Bに予め連結しておいてもよい。
【0038】
次に、上述した第2実施形態による落橋防止装置の作用について説明する。固定具10Bは、図2で示した固定具10Aと同様に、隣接する橋桁3のそれぞれに取り付けられ、各固定具10Bが接続ワイヤWにより連結される。今、この状態で強い地震が発生し、橋桁3が横に揺れて橋台2から外れようとすると、接続ワイヤWに引張り力が加わる。このため、図9(a)において、接続ワイヤWが連結されているピン29に左方向の力が作用し、この力が突片27aを介して偏芯カム27に伝わるので、偏芯カム27にはピン28を中心とする時計回り方向の回動力が働く。この回動力により、圧着部材26は偏芯カム27で押されて橋桁の側面32bの方向へ変位しようとするので、これに伴って側面32bに対する押圧板26aの圧着力が強まる。そして、接続ワイヤWに加わる引張り力が強くなればなるほど、偏芯カム27に働く回動力が大きくなって押圧板26aの圧着力が増強され、押圧板26aはより強力に橋桁の側面32bに圧着する。この強力な圧着により、押圧板26aの歯部26bが側面32bに食い込み、圧着部材26が橋桁3に強固に固着されるので、接続ワイヤWによる橋桁3同士の連結が外れることはなく、橋桁3の落下を確実に防止することができる。
【0039】
また、落橋防止装置の設置に際して、固定具10Bを保持金具12で橋桁3に保持し、固定具10B同士を接続ワイヤWで連結しておくだけで、地震発生時には、接続ワイヤWに加わる引張り力により圧着部材26が橋桁3に強固に圧着するので、固定具10Bを橋桁3に取り付けるためのボルトや溶接が一切不要となり、設置作業をきわめて簡単に行うことができる。さらに、橋桁3にボルト穴を穿孔する必要がないので、橋桁3が鋼線の埋設されたPCから構成されていても、内部の鋼線を損傷するおそれがなく、橋桁3の強度を維持することができる。
【0040】
また、本実施形態では、ボルト30により偏芯カム27を回動させて、圧着部材26の押圧板26aを橋桁の側面32bに常時当接させているので、地震発生時に接続ワイヤWに引張り力が加わるのと同時に、押圧板26aが橋桁3に圧着し、圧着部材26と橋桁3とを瞬時に一体化して、橋桁3の落下を確実に防止することができる。さらに、本実施形態では、圧着部材26が押圧板26aを備えているため、押圧板26aの面積を大きくすることで、広い領域にわたって圧着部材26を圧着させることができる。
【0041】
以上述べた第2実施形態においても、図6の場合と同様に、固定具10Bを橋桁3の長手方向に複数個連設してもよい。これにより、接続ワイヤWに加わる力が各固定具10Bに分配され、圧着部材26の圧着力の集中を回避して、橋桁3に亀裂が生じるのを防止することができる。また、複数個の固定具10Bを一定間隔をおいて配設してもよい。
【0042】
図10は、本発明の第3実施形態を示す図であって、第1実施形態の図3および第2実施形態の図7に対応する図である。図10において、図3および図7と同一部分には同一符号を付してある。図10(a)は橋桁3の断面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(b)におけるZ−Zで切断した場合の平面図である。橋桁3に関しては、第1および第2実施形態と同じであるので、説明は省略する。第3実施形態では、第1実施形態の固定具10Aおよび第2実施形態の固定具10Bに代えて、固定具10Cが用いられる。
【0043】
固定具10Cは、図10(a)に示すように、金属製のフレーム35と、このフレーム35に取り付けられた保持金具12を備えている。フレーム35は、橋桁3の下側膨出部32を両側から抱持するような形状に形成されており、橋桁3を挟んで両側に、保持部35aを有している。保持金具12は、図4や図8に示したものと同じである。また、図10(a)では符号を省略してあるが、固定具10Cには、図4や図8で示したパイプ13、ナット14と同じものが備わっている。40は楔状部材、41は圧着部材であって、これらは、フレーム35の各保持部35aに保持されている。
【0044】
図11は、固定具10Cの詳細構造を示した図であって、図10(b)のZ−Zで切断した場合の拡大平面図である。図11において、図5、図9と同一部分には同一符号を付してある。楔状部材40は、フレーム35の保持部35aの内壁に当接していて、図の左右方向に移動可能となっており、この楔状部材40と、橋桁の側面32bとの間に、金属体からなる楔形の圧着部材41が配設されている。圧着部材41は、フレーム35の保持部35aに形成されたストッパ片35bに当接して、橋桁の側面32bと垂直方向(図では上下方向)に変位可能となっており、常時は、楔状部材40により押圧されて、橋桁の側面32bに当接した状態にある。また、圧着部材41は、側面32bと対向する面に歯部41aを有している。楔状部材40はリング42を備えており、このリング42には、接続ワイヤWの一端にカシメにより固着された接続金具22が係合している。これにより、接続ワイヤWに加わる引張り力が、リング42と楔状部材40を介して圧着部材41に伝達される。なお、本実施形態においても、第1および第2実施形態のように、スプリングやボルト等を用いて、圧着部材41を橋桁の側面32bに常時当接させるようにしてもよい。
【0045】
以上の構成において、接続ワイヤWは、本発明における接続部材の一実施形態を構成し、楔状部材40は、本発明における伝達機構および押圧力付与手段の一実施形態を構成し、保持金具12は、本発明における保持手段の一実施形態を構成している。
【0046】
上述した落橋防止装置を橋桁3に設置するにあたっては、まず、固定具10Cにおける保持金具12の先端を、橋桁3の下側膨出部32の側面32bよりも後退させておく。そして、楔状部材40を図11の右方向へ若干移動させて、圧着部材41と橋桁の側面32bとの当接を解除した状態にし、固定具10Cを図10(a)の下方向から橋桁3の下側膨出部32へあてがうように挿入する。挿入後、保持金具12を前進させ、図10(a)のように、保持金具12の先端を橋桁3の肩部32aに係止させる。この場合も、保持金具12は肩部32aに軽く当接させるだけでよい。これによって、フレーム35が橋桁3に落下しないよう保持され、固定具10Cが橋桁3に仮止めされる。この状態で楔状部材40を図11の左方向へ移動させ、圧着部材41を橋桁の側面32bに当接させる。以上と同様の作業を、隣接する橋桁に取り付けられる固定具についても行う。その後、接続ワイヤWを各固定具10Cに連結する。このとき、固定具10Cが橋桁3に仮止めされているので、接続ワイヤWの連結作業がやり易くなる。以上で落橋防止装置の設置作業は終了する。なお、接続ワイヤWは、一方または両方の固定具10Cに予め連結しておいてもよい。
【0047】
次に、上述した第3実施形態による落橋防止装置の作用について説明する。固定具10Cは、図2で示した固定具10Aと同様に、隣接する橋桁3のそれぞれに取り付けられ、各固定具10Cが接続ワイヤWにより連結される。今、この状態で強い地震が発生し、橋桁3が横に揺れて橋台2から外れようとすると、接続ワイヤWに引張り力が加わる。このため、図11において、接続ワイヤWが連結されている楔状部材40に左方向の力が作用し、楔状部材40は左方向へ移動しようとする。この結果、圧着部材41は、楔状部材40から押圧力を受け、橋桁の側面32bの方向へ変位しようとするので、これに伴って、側面32bに対する圧着部材41の圧着力が強まる。そして、接続ワイヤWに加わる引張り力が強くなればなるほど、楔状部材40から圧着部材41に加わる押圧力が大きくなって、圧着部材41の圧着力が増強され、圧着部材41はより強力に橋桁の側面32bに圧着する。この強力な圧着により、圧着部材41の歯部41aが側面32bに食い込み、圧着部材41が橋桁3に強固に固着されるので、接続ワイヤWによる橋桁3同士の連結が外れることはなく、橋桁3の落下を確実に防止することができる。
【0048】
また、落橋防止装置の設置に際して、固定具10Cを保持金具12で橋桁3に保持し、固定具10C同士を接続ワイヤWで連結しておくだけで、地震発生時には、接続ワイヤWに加わる引張り力により圧着部材41が橋桁3に強固に圧着するので、固定具10Cを橋桁3に取り付けるためのボルトや溶接が一切不要となり、設置作業をきわめて簡単に行うことができる。さらに、橋桁3にボルト穴を穿孔する必要がないので、橋桁3が鋼線の埋設されたPCから構成されていても、内部の鋼線を損傷するおそれがなく、橋桁3の強度を維持することができる。
【0049】
また、本実施形態では、圧着部材41を橋桁の側面32bに常時当接させているので、地震発生時に接続ワイヤWに引張り力が加わるのと同時に、圧着部材41が橋桁3に圧着し、圧着部材41と橋桁3とを瞬時に一体化して、橋桁3の落下を確実に防止することができる。さらに、本実施形態では、圧着部材41の当接面積を大きくすることで、広い領域にわたって圧着部材41を圧着させることができ、また、第1および第2実施形態に比べて機構を簡略化することができる。
【0050】
以上述べた第3実施形態においても、図6の場合と同様に、固定具10Cを橋桁3の長手方向に複数個連設してもよい。これにより、接続ワイヤWに加わる力が各固定具10Cに分配され、圧着部材41の圧着力の集中を回避して、橋桁3に亀裂が生じるのを防止することができる。また、複数個の固定具10Cを一定間隔をおいて配設してもよい。
【0051】
本発明では、以上述べた以外にも、以下のような種々の実施形態を採用することができる。
【0052】
例えば、第1実施形態(図5)においては、ワイヤWの一端をフレーム11に連結した例を挙げたが、この変形例として、図12に示すように、ワイヤWの接続金具22を、圧着部材16の突片16bに形成した穴16cに掛止することにより、ワイヤWの一端を圧着部材16に連結してもよい。図12では、圧着部材16を橋桁32の側面32bに当接させるための押圧力付与手段として、ボルト43が設けられているが、ボルト43に代えてスプリングを用いることも可能である。
【0053】
また、第3実施形態(図11)においては、ワイヤWの一端を楔状部材40に連結した例を挙げたが、この変形例として、図13に示すように、ワイヤWの接続金具22を、フレーム35の保持部35aに設けられた突片45の穴46に掛止することにより、ワイヤWの一端をフレーム35に連結してもよい。図13では、圧着部材41を橋桁32の側面32bに当接させるための押圧力付与手段として、ボルト44が設けられているが、ボルト44に代えてスプリングを用いることも可能である。
【0054】
また、図14に示すように、接続ワイヤWにクッション性を付与するような構造を採用してもよい。図14において、50は接続ワイヤWの一端に取り付けられたフランジ部材、51はフランジ部材50とフレーム52との間に介装された圧縮型のコイルスプリングである。この構造によれば、地震発生時に接続ワイヤWに過大な引張り力が急激に加わるのをコイルスプリング51によって緩和することができ、接続ワイヤWの連結部が破損するのを防止できる。なお、コイルスプリング51に代えて、ゴムなどの緩衝部材を用いてもよい。
【0055】
また、前記各実施形態では、固定具10A〜10Cに一端が連結されている接続ワイヤWの他端を、隣接する橋桁3に取り付けられる他の固定具に連結したが、接続ワイヤWの他端を、橋台2または橋脚1に取り付けられる他の固定具に連結してもよい。この場合、当該他の固定具は、前記各実施形態の固定具10A〜10Cとは別の固定具であってもよい。
【0056】
また、前記各実施形態では、接続部材の例として、接続ワイヤWを例に挙げたが、接続ワイヤWに代えて、ボルト、ケーブル、ピンなどの接続部材を用いることも可能である。
【0057】
また、前記各実施形態では、鋼線を埋設したプレストレスト・コンクリートにより橋桁3を構成した例を挙げたが、本発明は、鋼線を有しないコンクリートで橋桁3を構成した場合や、鉄筋を埋設したコンクリートで橋桁3を構成した場合にも適用することができ、この場合も、ボルトや溶接を用いずに落橋防止装置を簡単に設置できるという利点がある。
【0058】
さらに、図1においては、橋脚1の上部に橋台2を備えたものを例示したが、橋脚1の幅が広く橋脚が橋台を兼用している場合にも、本発明が適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の落橋防止装置を取り付けた橋梁を示す一部断面図である。
【図2】落橋防止装置の取付部を上方および側方から見た図である。
【図3】第1実施形態による固定具の取付部分の拡大図である。
【図4】同固定具の詳細構造を示した図である。
【図5】同固定具の詳細構造を示した図である。
【図6】同固定具を複数個連設した例である。
【図7】第2実施形態による固定具の取付部分の拡大図である。
【図8】同固定具の詳細構造を示した図である。
【図9】同固定具の詳細構造を示した図である。
【図10】第3実施形態による固定具の取付部分の拡大図である。
【図11】同固定具の詳細構造を示した図である。
【図12】第1実施形態の変形例を示す図である。
【図13】第3実施形態の変形例を示す図である。
【図14】他の実施形態を示す要部断面図である。
【図15】従来から採用されている落橋防止装置の一例を示した図である。
【図16】同落橋防止装置の他の例を示した図である。
【符号の説明】
【0060】
1 橋脚
2 橋台
3 橋桁
10A,10B,10C 固定具
11,25,35 フレーム
12 保持金具
15 ピン
16,26,41 圧着部材
16a,26b,41a 歯部
17 スプリング
27 偏芯カム
30 ボルト
40 楔状部材
32b 橋桁の側面
W 接続ワイヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震発生時に橋梁の橋桁が落下するのを防止するための落橋防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路や各種高架橋においては、強い地震が発生した場合に橋脚や橋台から橋桁が落下するのを防止するため、橋桁に落橋防止装置が取り付けられている。このような落橋防止装置は、1995年の阪神・淡路大震災以後、法律によって道路橋への設置が義務付けられている。
【0003】
図15は従来から採用されている落橋防止装置の一例を示した図である。図において、100は橋脚(または橋台)、101は橋脚100の上に隣接して設置される橋桁、102は橋桁101と橋脚100との間に介在する支承部材、103は橋桁101の上に設置される道路の床板である。104は隣接する橋桁101同士を連結する鋼製の連結板であって、各橋桁101にボルト105によって締着されている。このように、隣接する橋桁101を連結板104で連結することにより、地震による過大な力が加わっても、橋桁101が橋脚100から落下するのを防止することができる。
【0004】
図16は落橋防止装置の他の例を示した図であって、図15と同一部分には同一符号を付してある。106は隣接する橋桁101同士を連結する連結ケーブルであって、鋼線の束を合成樹脂で被覆したものである。107は連結ケーブル106の両端部を支持するブラケットであって、図示しないボルトにより各橋桁101に固着されている。このように、隣接する橋桁101を連結ケーブル106で連結することにより、地震による過大な力が加わっても、橋桁101が橋脚100から落下するのを防止することができる。
【0005】
上述したような落橋防止装置に関しては、例えば下記の特許文献1に記載されている。この特許文献1には、伸縮自在・曲げ自在な金属製のベローズで橋桁同士を連結することも記載されている。
【特許文献1】特開2001−40616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、橋桁101の内部には鋼材または鉄筋が埋設されているので、図15のように連結板104をボルト105で固着したり、図16のように連結ケーブル106を支持するためのブラケット107をボルトで固着したりする場合に、橋桁101にボルト穴を穿孔することによって内部の鋼材や鉄筋が損傷されるおそれがある。鋼材等が損傷されると、コンクリートの圧縮応力が低下して引張り力に対する強度が低下し、亀裂が発生しやすくなる。また、橋桁101への穿孔やボルト締着などの作業が必要となり、時間と工数がかかるという問題もある。一方、鋼製の橋桁の場合には、橋桁101にボルト穴の穿孔を行わず、溶接により連結板104やブラケット107を固着する方法もあるが、この場合でも時間と工数がかかる点に変わりはない。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するもので、その目的とするところは、ボルトや溶接によらずに簡単に橋桁に取り付けることが可能で、作業性を向上させることができる落橋防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る落橋防止装置は、橋脚または橋台上に設置される橋桁に取り付けられ、橋桁が橋脚または橋台から落下するのを防止するための落橋防止装置であって、フレームと、このフレームに変位可能に支持され、橋桁の側面に当接する圧着部材と、一端が当該落橋防止装置に連結され、他端が他の落橋防止装置に連結される接続部材と、この接続部材に加わる引張り力を圧着部材に伝達して、当該圧着部材を橋桁の側面に圧着させる伝達機構とを備えたものである。
【0009】
本発明の第1実施形態では、圧着部材は、フレームに取り付けられたピンに回動自在に支持されており、フレームとピンにより伝達機構が構成される。そして、接続部材の一端はフレームまたは圧着部材に連結されている。
【0010】
本発明の第2実施形態では、圧着部材は、橋桁の側面に対して垂直方向に変位可能なようにフレームに支持されている。また、圧着部材を橋桁の側面に圧着させるための偏芯カムが設けられ、この偏芯カムにより伝達機構が構成される。そして、接続部材の一端は上記偏芯カムに連結されている。
【0011】
本発明の第3実施形態では、圧着部材は、楔形に形成されていて、橋桁の側面に対して垂直方向に変位可能なようにフレームに支持されている。また、圧着部材を橋桁の側面に圧着させるための楔状部材が設けられ、この楔状部材により伝達機構が構成される。そして、接続部材の一端は上記楔状部材またはフレームに連結されている。
【0012】
本発明では、接続部材に加わる引張り力を圧着部材に伝達して、圧着部材を橋桁の側面に圧着させるようにしているので、地震の発生により橋桁が横に揺れて橋脚や橋台から外れようとしても、接続部材に引張り力が作用し、この力が強ければ強いほど、圧着部材はより強力に橋桁の側面に圧着しようとする。このため、圧着部材が橋桁に一体的に固定され、接続部材による橋桁同士の連結、または橋桁と橋脚・橋台との連結が外れることはないので、橋桁の落下を確実に防止することができる。また、落橋防止装置を橋桁に取り付けるためのボルトや溶接が不要となり、設置作業をきわめて簡単に行うことができる。さらに、橋桁にボルト穴を穿孔する必要がないので、橋桁に鋼材や鉄筋が埋設されていても、これらを損傷するおそれがなく、橋桁の強度を維持することができる。
【0013】
本発明において、圧着部材は、橋桁の側面と対向する面に歯部を有していることが好ましい。これによると、圧着部材を橋桁の側面に圧着させた際に、圧着部材の歯部が橋桁に食い込むので、圧着部材を一層強固に橋桁に固着することができる。
【0014】
また、本発明においては、圧着部材を橋桁の側面に常時当接させておくための押圧力を付与する押圧力付与手段を設けることが好ましい。これによると、圧着部材が橋桁の側面に常時当接した状態となるので、地震発生時に接続部材に引張り力が加わるのと同時に、圧着部材が橋桁に圧着し、圧着部材と橋桁とを瞬時に一体化して、橋桁の落下を確実に防止することができる。
【0015】
さらに、本発明においては、フレームを橋桁に落下しないよう保持するための保持手段を設けることが好ましい。これによると、保持手段によってフレームを橋桁に仮止めした状態で、接続部材の連結作業を行うことができ、設置作業がやり易くなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、接続部材の引張り力により圧着部材を橋桁に圧着させるようにしたので、圧着部材が橋桁に一体的に固定され、橋桁の落下を確実に防止することができる。また、ボルトや溶接によらずに落橋防止装置を簡単に橋桁に取り付けることができ、作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の落橋防止装置を取り付けた橋梁を示す一部断面図、図2(a)は落橋防止装置の取付部を上方から見た図、図2(b)は落橋防止装置の取付部を側方から見た図である。図において、1は地面Gに埋設された橋脚、2は橋脚1の上部に横方向へ張り出した橋台、3は橋台2の上に設置される橋桁、4は橋桁3と橋台2との間に介在する支承部材、5は橋桁3の上に設置される道路の床板、6はその側板、10Aは橋桁3に取り付けられた固定具である。
【0018】
図2(b)に示されるように、橋台2の上には、隣接する橋桁3の端部が一定間隔をおいて対向するように配置されており、それぞれの橋桁3の端部近傍に固定具10Aが取り付けられている。そして、各固定具10Aは接続ワイヤWで相互に連結されている。この固定具10Aと接続ワイヤWとにより、本発明の第1実施形態に係る落橋防止装置が構成される。
【0019】
図3は、固定具10Aの取付部分の拡大図であって、(a)は橋桁3の断面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(b)におけるX−Xで切断した場合の平面図である。橋桁3は、埋設された鋼線により予め圧縮応力が与えられたプレストレスト・コンクリート(Prestressed Concrete;以下「PC」と記す。)からなり、図3(a)のように、断面がI字形をしている。そして、上側膨出部31、下側膨出部32、中間部33のいずれの部分にも、鋼線7が複数本埋設されている。下側膨出部32における鋼線7の本数が多いのは、荷重に基因して橋桁3の下部に生じる引張り力に対抗する圧縮応力を高めるためである。固定具10Aは、後述する保持金具によって、下側膨出部32の肩部32aに保持されている。
【0020】
図4および図5は、固定具10Aの詳細構造を示した図である。図4は、図3(a)の部分拡大図である。図5(a)は、図3(b)のX−Xで切断した場合の拡大平面図、図5(b)は、図4の右側から見た固定具10Aの側面図である。
【0021】
図4において、11は金属製のフレームであって、橋桁3の下側膨出部32を両側から抱持するような形状に形成されている。フレーム11は、橋桁3を挟んで両側に、垂直片11aと水平片11b,11cとを備えており、垂直片11aは、図5(b)に示されるように、1対設けられている。それぞれの垂直片11aには、中空のパイプ13が溶接等により固着されており、このパイプ13に保持金具12が挿通されている。保持金具12の外周にはネジ部が形成されていて、このネジ部がナット14の内周のネジ部と螺合しており、ナット14を回すことにより、保持金具12の位置(図4で左右方向の位置)を調節できるようになっている。また、保持金具12の先端にはテーパ部12aが形成されており、このテーパ部12aが図4のように橋桁3の下側膨出部32の肩部32aに係止することにより、フレーム11は橋桁3に落下しないよう保持される。
【0022】
フレーム11の水平片11b,11cには、ピン15が取り付けられており、このピン15に圧着部材16が回動自在に支持されている。圧着部材16は、金属体からなり、橋桁3の下側膨出部32の側面32bと対向する面に、図5(a)に示すような歯部16aを有している。また、圧着部材16は、歯部16aと反対側に、図5(b)に示すように1対の突片16bを有している。突片16bにはピン18が取り付けられており、このピン18にスプリング17の一端が掛止されている。スプリング17の他端は、リング19に掛止されている。このリング19は、フレーム11に設けられた調整ネジ20の先端に固着されている。
【0023】
スプリング17は、ピン18に対して、図5(b)の左方向への引張り力を与えるので、この力により、圧着部材16には図5(a)に示すa方向の回動力が作用し、圧着部材16は常時、実線で示すように、橋桁の側面32bに当接している。なお、本実施形態では、圧着部材16の歯部16aが形成されている面は、若干の曲率をもった円弧状に形成されているので、当該面の右寄りの部分が側面32bに当接し、左寄りの部分は側面32bからわずかに浮いた状態となっている。スプリング17の引張り力は、調整ネジ20によりリング19を変位させることで変えることができ、これによって、圧着部材16の橋桁3への当接力を調節することができる。ここでは、押圧力付与手段としてスプリング17を用いたが、これに代えてボルト等を用い、その先端で圧着部材16の突片16bを押圧することにより、圧着部材16を橋桁の側面32bに常時当接させるようにしてもよい。
【0024】
図5(a)に示すように、接続ワイヤWの一端には接続金具22がカシメにより固着されており、この接続金具22には孔22aが形成されている。一方、フレーム11には、接続金具22を連結するためのリング21が設けられており、このリング21が接続金具22の孔22aと係合することにより、接続ワイヤWの一端が固定具10Aに連結される。また、図示は省略するが、接続ワイヤWの他端にも、接続金具22と同じ接続金具が固着されており、この接続金具は、隣接する橋桁に取り付けられている他の固定具(例えば、図2における左側の固定具10A)に連結される。
【0025】
以上の構成において、接続ワイヤWは、本発明における接続部材の一実施形態を構成し、フレーム11およびピン15は、本発明における伝達機構の一実施形態を構成し、スプリング17は、本発明における押圧力付与手段の一実施形態を構成し、保持金具12は、本発明における保持手段の一実施形態を構成している。
【0026】
上述した落橋防止装置を橋桁3に設置するにあたっては、まず、固定具10Aにおけるナット14(図4)を回して、保持金具12の先端を、橋桁3の下側膨出部32の側面32bよりも後退させておく。そして、圧着部材16を図5(a)のb方向に手で回動し、圧着部材16を橋桁の側面32bから離間した状態に把持したまま、固定具10Aを図4の下方向から橋桁3の下側膨出部32へあてがうように挿入する。挿入後、圧着部材16の把持を解除すると、圧着部材16はスプリング17の弾性力により図5のa方向に回動し、実線で示すように橋桁の側面32bに当接した状態となる。次に、ナット14を回して保持金具12を前進させ、図4のように、保持金具12の先端のテーパ部12aを橋桁3の肩部32aに係止させる。これによって、フレーム11が橋桁3に落下しないよう保持され、固定具10Aが橋桁3に仮止めされる。なお、保持金具12は肩部32aに軽く当接させるだけでよく、テーパ部12aを肩部32aに強い力で圧着させる必要はない。また、最初の作業段階ではスプリング17を取り外しておき、固定具10Aを橋桁3に仮止めした後に、スプリング17を取り付けるようにしてもよい。以上と同様の作業を、隣接する橋桁に取り付けられる固定具についても行う。その後、接続ワイヤWを前述のように各固定具10Aに連結する。このとき、固定具10Aが橋桁3に仮止めされているので、接続ワイヤWの連結作業がやり易くなる。以上で落橋防止装置の設置作業は終了する。なお、接続ワイヤWは、一方または両方の固定具10Aに予め連結しておいてもよい。
【0027】
次に、上述した第1実施形態による落橋防止装置の作用について説明する。図2で示したように、隣接する橋桁3は、それぞれに取り付けられた固定具10Aおよび接続ワイヤWにより連結されている。今、この状態で強い地震が発生し、橋桁3が横に揺れて橋台2から外れようとすると、接続ワイヤWに引張り力が加わる。このため、図5(a)において、フレーム11が左方向へ移動しようとし、これとともに、フレーム11に取り付けられているピン15も左方向へ移動しようとする。しかるに、ピン15に支持されている圧着部材16は、その一部(歯部16aの形成されている面の右寄り部分)が橋桁の側面32bに当接しているため、ピン15が左方向へ動こうとすると、圧着部材16には上記当接部位を支点とするa方向の回動力が作用する。この結果、圧着部材16はa方向へ変位しようとするので、橋桁の側面32bに対する圧着部材16の圧着力が強まる。そして、接続ワイヤWに加わる引張り力が強くなればなるほど、この圧着力が増強されて、圧着部材16はより強力に橋桁の側面32bに圧着する。この強力な圧着により、圧着部材16の歯部16aが側面32bに食い込み、圧着部材16が橋桁3に強固に固着されるので、接続ワイヤWによる橋桁3同士の連結が外れることはなく、橋桁3の落下を確実に防止することができる。
【0028】
また、落橋防止装置の設置に際して、固定具10Aを保持金具12で橋桁3に保持し、固定具10A同士を接続ワイヤWで連結しておくだけで、地震発生時には、接続ワイヤWに加わる引張り力により圧着部材16が橋桁3に強固に圧着するので、固定具10Aを橋桁3に取り付けるためのボルトや溶接が一切不要となり、設置作業をきわめて簡単に行うことができる。さらに、橋桁3にボルト穴を穿孔する必要がないので、橋桁3が鋼線の埋設されたPCから構成されていても、内部の鋼線を損傷するおそれがなく、橋桁3の強度を維持することができる。
【0029】
また、本実施形態では、スプリング17の弾性力により、圧着部材16を橋桁の側面32bに常時当接させているので、地震発生時に接続ワイヤWに引張り力が加わるのと同時に、圧着部材16が橋桁3に圧着し、圧着部材16と橋桁3とを瞬時に一体化して、橋桁3の落下を確実に防止することができる。さらに、本実施形態では、圧着部材16の回動によって、歯部16aを橋桁の側面32bに食い込ませ易くなり、圧着を強固なものとすることができる。
【0030】
図6は、上述した固定具10Aを橋桁3の長手方向に複数個(ここでは3個)連設した例を示している。(a)は平面図、(b)は側面図である。各固定具10Aは、例えばボルトにより連結されている。固定具10Aを1つだけ設けた場合は、圧着部材16の圧着力が1箇所に集中するため、地震により接続ワイヤWに加わる力が過大になると、橋桁3に亀裂が生じるおそれがあるが、図6のように固定具10Aを複数個連設すると、接続ワイヤWに加わる力が各固定具10Aに分配されるので、圧着部材16の圧着力の集中を回避して、橋桁3に亀裂が生じるのを防止することができる。なお、図6では、複数個の固定具10Aを隙間なく連結した例を示したが、複数個の固定具10Aを一定間隔をおいて配設し、相互間を適当な連結部材で連結してもよい。
【0031】
図7は、本発明の第2実施形態を示す図であって、第1実施形態の図3に対応する図である。図7において、図3と同一部分には同一符号を付してある。図7(a)は橋桁3の断面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(b)におけるY−Yで切断した場合の平面図である。橋桁3に関しては、第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。第2実施形態では、第1実施形態の固定具10Aに代えて、固定具10Bが用いられる。
【0032】
図8および図9は、固定具10Bの詳細構造を示した図である。図8は、図7(a)の部分拡大図である。図9(a)は、図7(b)のY−Yで切断した場合の拡大平面図、図9(b)は、図8の右側から見た固定具10Bの側面図である。図8、図9において、図4、図5と同一部分には同一符号を付してある。
【0033】
図8において、25は金属製のフレームであって、橋桁3の下側膨出部32を両側から抱持するような形状に形成されている。フレーム25は、橋桁3を挟んで両側に、垂直片25aと水平片25b,25cとを備えており、垂直片25aは、図9(b)に示されるように、1対設けられている。それぞれの垂直片25aには、中空のパイプ13が溶接等により固着されており、このパイプ13に保持金具12が挿通されている。保持金具12の外周にはネジ部が形成されていて、このネジ部がナット14の内周のネジ部と螺合しており、ナット14を回すことにより、保持金具12の位置(図8で左右方向の位置)を調節できるようになっている。また、保持金具12の先端にはテーパ部12aが形成されており、このテーパ部12aが図8のように橋桁3の下側膨出部32の肩部32aに係止することにより、フレーム25は橋桁3に落下しないよう保持される。保持金具12、パイプ13およびナット14は、図4に示したものと同じものである。
【0034】
フレーム25の水平片25b,25cには、ピン28が取り付けられており、このピン28に偏芯カム27が回動自在に支持されている。26は金属体からなる圧着部材であって、図9(a)に示すように、フレーム25に形成された1対の案内壁25dの間に、橋桁の側面32bと垂直方向(図では上下方向)に変位可能に配設されている。圧着部材26は先端側に押圧板26aを備えており、この押圧板26aは、橋桁の側面32bと対向する面に、歯部26bを有している。また、圧着部材26は、押圧板26aと反対側の面が偏芯カム27と当接するようになっており、偏芯カム27の回動に伴って変位する。偏芯カム27は、図9(b)に示すように1対の突片27aを有しており、この突片27aにはピン29が取り付けられている。ピン29には、接続ワイヤWの一端にカシメにより固着された接続金具22が係合しており、接続ワイヤWに加わる引張り力が、ピン29と突片27aを介して偏芯カム27に伝達される。
【0035】
30は、押圧力付与用のボルトであって、図9で左右方向に進退可能なようにフレーム25に取り付けられている。ボルト30の先端は、偏芯カム27の突片27aに当接するようになっている。このため、ボルト30を図9(a)の左方向に前進させて突片27aを押すと、偏芯カム27はピン28を中心として時計回り方向へ回動する。そして、この偏芯カム27の回動により、圧着部材26が押されて、押圧板26aが常時、橋桁の側面32bに当接した状態となる。ここでは、押圧力付与手段としてボルト30を用いたが、これに代えてスプリングを用い、その弾性力を偏芯カム27に作用させることにより、押圧板26aを橋桁の側面32bに常時当接させるようにしてもよい。
【0036】
以上の構成において、接続ワイヤWは、本発明における接続部材の一実施形態を構成し、偏芯カム27は、本発明における伝達機構の一実施形態を構成し、ボルト30は、本発明における押圧力付与手段の一実施形態を構成し、保持金具12は、本発明における保持手段の一実施形態を構成している。
【0037】
上述した落橋防止装置を橋桁3に設置するにあたっては、まず、固定具10Bにおけるナット14(図8)を回して、保持金具12の先端を、橋桁3の下側膨出部32の側面32bよりも後退させておく。そして、ボルト30(図9)を調整して、圧着部材26の押圧板26aと橋桁の側面32bとの当接を解除した状態にし、固定具10Bを図8の下方向から橋桁3の下側膨出部32へあてがうように挿入する。挿入後、ナット14を回して保持金具12を前進させ、図8のように、保持金具12の先端のテーパ部12aを橋桁3の肩部32aに係止させる。この場合も、保持金具12は肩部32aに軽く当接させるだけでよい。これによって、フレーム25が橋桁3に落下しないよう保持され、固定具10Bが橋桁3に仮止めされる。この状態でボルト30を再調整し、偏芯カム27の回動により、圧着部材26の押圧板26aを橋桁の側面32bに当接させる。以上と同様の作業を、隣接する橋桁に取り付けられる固定具についても行う。その後、接続ワイヤWを各固定具10Bに連結する。このとき、固定具10Bが橋桁3に仮止めされているので、接続ワイヤWの連結作業がやり易くなる。以上で落橋防止装置の設置作業は終了する。なお、接続ワイヤWは、一方または両方の固定具10Bに予め連結しておいてもよい。
【0038】
次に、上述した第2実施形態による落橋防止装置の作用について説明する。固定具10Bは、図2で示した固定具10Aと同様に、隣接する橋桁3のそれぞれに取り付けられ、各固定具10Bが接続ワイヤWにより連結される。今、この状態で強い地震が発生し、橋桁3が横に揺れて橋台2から外れようとすると、接続ワイヤWに引張り力が加わる。このため、図9(a)において、接続ワイヤWが連結されているピン29に左方向の力が作用し、この力が突片27aを介して偏芯カム27に伝わるので、偏芯カム27にはピン28を中心とする時計回り方向の回動力が働く。この回動力により、圧着部材26は偏芯カム27で押されて橋桁の側面32bの方向へ変位しようとするので、これに伴って側面32bに対する押圧板26aの圧着力が強まる。そして、接続ワイヤWに加わる引張り力が強くなればなるほど、偏芯カム27に働く回動力が大きくなって押圧板26aの圧着力が増強され、押圧板26aはより強力に橋桁の側面32bに圧着する。この強力な圧着により、押圧板26aの歯部26bが側面32bに食い込み、圧着部材26が橋桁3に強固に固着されるので、接続ワイヤWによる橋桁3同士の連結が外れることはなく、橋桁3の落下を確実に防止することができる。
【0039】
また、落橋防止装置の設置に際して、固定具10Bを保持金具12で橋桁3に保持し、固定具10B同士を接続ワイヤWで連結しておくだけで、地震発生時には、接続ワイヤWに加わる引張り力により圧着部材26が橋桁3に強固に圧着するので、固定具10Bを橋桁3に取り付けるためのボルトや溶接が一切不要となり、設置作業をきわめて簡単に行うことができる。さらに、橋桁3にボルト穴を穿孔する必要がないので、橋桁3が鋼線の埋設されたPCから構成されていても、内部の鋼線を損傷するおそれがなく、橋桁3の強度を維持することができる。
【0040】
また、本実施形態では、ボルト30により偏芯カム27を回動させて、圧着部材26の押圧板26aを橋桁の側面32bに常時当接させているので、地震発生時に接続ワイヤWに引張り力が加わるのと同時に、押圧板26aが橋桁3に圧着し、圧着部材26と橋桁3とを瞬時に一体化して、橋桁3の落下を確実に防止することができる。さらに、本実施形態では、圧着部材26が押圧板26aを備えているため、押圧板26aの面積を大きくすることで、広い領域にわたって圧着部材26を圧着させることができる。
【0041】
以上述べた第2実施形態においても、図6の場合と同様に、固定具10Bを橋桁3の長手方向に複数個連設してもよい。これにより、接続ワイヤWに加わる力が各固定具10Bに分配され、圧着部材26の圧着力の集中を回避して、橋桁3に亀裂が生じるのを防止することができる。また、複数個の固定具10Bを一定間隔をおいて配設してもよい。
【0042】
図10は、本発明の第3実施形態を示す図であって、第1実施形態の図3および第2実施形態の図7に対応する図である。図10において、図3および図7と同一部分には同一符号を付してある。図10(a)は橋桁3の断面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は(b)におけるZ−Zで切断した場合の平面図である。橋桁3に関しては、第1および第2実施形態と同じであるので、説明は省略する。第3実施形態では、第1実施形態の固定具10Aおよび第2実施形態の固定具10Bに代えて、固定具10Cが用いられる。
【0043】
固定具10Cは、図10(a)に示すように、金属製のフレーム35と、このフレーム35に取り付けられた保持金具12を備えている。フレーム35は、橋桁3の下側膨出部32を両側から抱持するような形状に形成されており、橋桁3を挟んで両側に、保持部35aを有している。保持金具12は、図4や図8に示したものと同じである。また、図10(a)では符号を省略してあるが、固定具10Cには、図4や図8で示したパイプ13、ナット14と同じものが備わっている。40は楔状部材、41は圧着部材であって、これらは、フレーム35の各保持部35aに保持されている。
【0044】
図11は、固定具10Cの詳細構造を示した図であって、図10(b)のZ−Zで切断した場合の拡大平面図である。図11において、図5、図9と同一部分には同一符号を付してある。楔状部材40は、フレーム35の保持部35aの内壁に当接していて、図の左右方向に移動可能となっており、この楔状部材40と、橋桁の側面32bとの間に、金属体からなる楔形の圧着部材41が配設されている。圧着部材41は、フレーム35の保持部35aに形成されたストッパ片35bに当接して、橋桁の側面32bと垂直方向(図では上下方向)に変位可能となっており、常時は、楔状部材40により押圧されて、橋桁の側面32bに当接した状態にある。また、圧着部材41は、側面32bと対向する面に歯部41aを有している。楔状部材40はリング42を備えており、このリング42には、接続ワイヤWの一端にカシメにより固着された接続金具22が係合している。これにより、接続ワイヤWに加わる引張り力が、リング42と楔状部材40を介して圧着部材41に伝達される。なお、本実施形態においても、第1および第2実施形態のように、スプリングやボルト等を用いて、圧着部材41を橋桁の側面32bに常時当接させるようにしてもよい。
【0045】
以上の構成において、接続ワイヤWは、本発明における接続部材の一実施形態を構成し、楔状部材40は、本発明における伝達機構および押圧力付与手段の一実施形態を構成し、保持金具12は、本発明における保持手段の一実施形態を構成している。
【0046】
上述した落橋防止装置を橋桁3に設置するにあたっては、まず、固定具10Cにおける保持金具12の先端を、橋桁3の下側膨出部32の側面32bよりも後退させておく。そして、楔状部材40を図11の右方向へ若干移動させて、圧着部材41と橋桁の側面32bとの当接を解除した状態にし、固定具10Cを図10(a)の下方向から橋桁3の下側膨出部32へあてがうように挿入する。挿入後、保持金具12を前進させ、図10(a)のように、保持金具12の先端を橋桁3の肩部32aに係止させる。この場合も、保持金具12は肩部32aに軽く当接させるだけでよい。これによって、フレーム35が橋桁3に落下しないよう保持され、固定具10Cが橋桁3に仮止めされる。この状態で楔状部材40を図11の左方向へ移動させ、圧着部材41を橋桁の側面32bに当接させる。以上と同様の作業を、隣接する橋桁に取り付けられる固定具についても行う。その後、接続ワイヤWを各固定具10Cに連結する。このとき、固定具10Cが橋桁3に仮止めされているので、接続ワイヤWの連結作業がやり易くなる。以上で落橋防止装置の設置作業は終了する。なお、接続ワイヤWは、一方または両方の固定具10Cに予め連結しておいてもよい。
【0047】
次に、上述した第3実施形態による落橋防止装置の作用について説明する。固定具10Cは、図2で示した固定具10Aと同様に、隣接する橋桁3のそれぞれに取り付けられ、各固定具10Cが接続ワイヤWにより連結される。今、この状態で強い地震が発生し、橋桁3が横に揺れて橋台2から外れようとすると、接続ワイヤWに引張り力が加わる。このため、図11において、接続ワイヤWが連結されている楔状部材40に左方向の力が作用し、楔状部材40は左方向へ移動しようとする。この結果、圧着部材41は、楔状部材40から押圧力を受け、橋桁の側面32bの方向へ変位しようとするので、これに伴って、側面32bに対する圧着部材41の圧着力が強まる。そして、接続ワイヤWに加わる引張り力が強くなればなるほど、楔状部材40から圧着部材41に加わる押圧力が大きくなって、圧着部材41の圧着力が増強され、圧着部材41はより強力に橋桁の側面32bに圧着する。この強力な圧着により、圧着部材41の歯部41aが側面32bに食い込み、圧着部材41が橋桁3に強固に固着されるので、接続ワイヤWによる橋桁3同士の連結が外れることはなく、橋桁3の落下を確実に防止することができる。
【0048】
また、落橋防止装置の設置に際して、固定具10Cを保持金具12で橋桁3に保持し、固定具10C同士を接続ワイヤWで連結しておくだけで、地震発生時には、接続ワイヤWに加わる引張り力により圧着部材41が橋桁3に強固に圧着するので、固定具10Cを橋桁3に取り付けるためのボルトや溶接が一切不要となり、設置作業をきわめて簡単に行うことができる。さらに、橋桁3にボルト穴を穿孔する必要がないので、橋桁3が鋼線の埋設されたPCから構成されていても、内部の鋼線を損傷するおそれがなく、橋桁3の強度を維持することができる。
【0049】
また、本実施形態では、圧着部材41を橋桁の側面32bに常時当接させているので、地震発生時に接続ワイヤWに引張り力が加わるのと同時に、圧着部材41が橋桁3に圧着し、圧着部材41と橋桁3とを瞬時に一体化して、橋桁3の落下を確実に防止することができる。さらに、本実施形態では、圧着部材41の当接面積を大きくすることで、広い領域にわたって圧着部材41を圧着させることができ、また、第1および第2実施形態に比べて機構を簡略化することができる。
【0050】
以上述べた第3実施形態においても、図6の場合と同様に、固定具10Cを橋桁3の長手方向に複数個連設してもよい。これにより、接続ワイヤWに加わる力が各固定具10Cに分配され、圧着部材41の圧着力の集中を回避して、橋桁3に亀裂が生じるのを防止することができる。また、複数個の固定具10Cを一定間隔をおいて配設してもよい。
【0051】
本発明では、以上述べた以外にも、以下のような種々の実施形態を採用することができる。
【0052】
例えば、第1実施形態(図5)においては、ワイヤWの一端をフレーム11に連結した例を挙げたが、この変形例として、図12に示すように、ワイヤWの接続金具22を、圧着部材16の突片16bに形成した穴16cに掛止することにより、ワイヤWの一端を圧着部材16に連結してもよい。図12では、圧着部材16を橋桁32の側面32bに当接させるための押圧力付与手段として、ボルト43が設けられているが、ボルト43に代えてスプリングを用いることも可能である。
【0053】
また、第3実施形態(図11)においては、ワイヤWの一端を楔状部材40に連結した例を挙げたが、この変形例として、図13に示すように、ワイヤWの接続金具22を、フレーム35の保持部35aに設けられた突片45の穴46に掛止することにより、ワイヤWの一端をフレーム35に連結してもよい。図13では、圧着部材41を橋桁32の側面32bに当接させるための押圧力付与手段として、ボルト44が設けられているが、ボルト44に代えてスプリングを用いることも可能である。
【0054】
また、図14に示すように、接続ワイヤWにクッション性を付与するような構造を採用してもよい。図14において、50は接続ワイヤWの一端に取り付けられたフランジ部材、51はフランジ部材50とフレーム52との間に介装された圧縮型のコイルスプリングである。この構造によれば、地震発生時に接続ワイヤWに過大な引張り力が急激に加わるのをコイルスプリング51によって緩和することができ、接続ワイヤWの連結部が破損するのを防止できる。なお、コイルスプリング51に代えて、ゴムなどの緩衝部材を用いてもよい。
【0055】
また、前記各実施形態では、固定具10A〜10Cに一端が連結されている接続ワイヤWの他端を、隣接する橋桁3に取り付けられる他の固定具に連結したが、接続ワイヤWの他端を、橋台2または橋脚1に取り付けられる他の固定具に連結してもよい。この場合、当該他の固定具は、前記各実施形態の固定具10A〜10Cとは別の固定具であってもよい。
【0056】
また、前記各実施形態では、接続部材の例として、接続ワイヤWを例に挙げたが、接続ワイヤWに代えて、ボルト、ケーブル、ピンなどの接続部材を用いることも可能である。
【0057】
また、前記各実施形態では、鋼線を埋設したプレストレスト・コンクリートにより橋桁3を構成した例を挙げたが、本発明は、鋼線を有しないコンクリートで橋桁3を構成した場合や、鉄筋を埋設したコンクリートで橋桁3を構成した場合にも適用することができ、この場合も、ボルトや溶接を用いずに落橋防止装置を簡単に設置できるという利点がある。
【0058】
さらに、図1においては、橋脚1の上部に橋台2を備えたものを例示したが、橋脚1の幅が広く橋脚が橋台を兼用している場合にも、本発明が適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の落橋防止装置を取り付けた橋梁を示す一部断面図である。
【図2】落橋防止装置の取付部を上方および側方から見た図である。
【図3】第1実施形態による固定具の取付部分の拡大図である。
【図4】同固定具の詳細構造を示した図である。
【図5】同固定具の詳細構造を示した図である。
【図6】同固定具を複数個連設した例である。
【図7】第2実施形態による固定具の取付部分の拡大図である。
【図8】同固定具の詳細構造を示した図である。
【図9】同固定具の詳細構造を示した図である。
【図10】第3実施形態による固定具の取付部分の拡大図である。
【図11】同固定具の詳細構造を示した図である。
【図12】第1実施形態の変形例を示す図である。
【図13】第3実施形態の変形例を示す図である。
【図14】他の実施形態を示す要部断面図である。
【図15】従来から採用されている落橋防止装置の一例を示した図である。
【図16】同落橋防止装置の他の例を示した図である。
【符号の説明】
【0060】
1 橋脚
2 橋台
3 橋桁
10A,10B,10C 固定具
11,25,35 フレーム
12 保持金具
15 ピン
16,26,41 圧着部材
16a,26b,41a 歯部
17 スプリング
27 偏芯カム
30 ボルト
40 楔状部材
32b 橋桁の側面
W 接続ワイヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋脚または橋台上に設置される橋桁に取り付けられ、橋桁が橋脚または橋台から落下するのを防止するための落橋防止装置であって、
フレームと、
前記フレームに変位可能に支持され、前記橋桁の側面に当接する圧着部材と、
一端が当該落橋防止装置に連結され、他端が他の落橋防止装置に連結される接続部材と、
前記接続部材に加わる引張り力を前記圧着部材に伝達して、当該圧着部材を前記橋桁の側面に圧着させる伝達機構と、
を備えたことを特徴とする落橋防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の落橋防止装置において、
前記圧着部材は、前記フレームに取り付けられたピンに回動自在に支持されており、
前記フレームと前記ピンにより前記伝達機構が構成され、
前記接続部材の一端が、前記フレームまたは前記圧着部材に連結されていることを特徴とする落橋防止装置。
【請求項3】
請求項1に記載の落橋防止装置において、
前記圧着部材は、前記橋桁の側面に対して垂直方向に変位可能なように前記フレームに支持されており、
前記圧着部材を前記橋桁の側面に圧着させるための偏芯カムが設けられ、
前記偏芯カムにより前記伝達機構が構成され、
前記接続部材の一端が前記偏芯カムに連結されていることを特徴とする落橋防止装置。
【請求項4】
請求項1に記載の落橋防止装置において、
前記圧着部材は、楔形に形成されていて、前記橋桁の側面に対して垂直方向に変位可能なように前記フレームに支持されており、
前記圧着部材を前記橋桁の側面に圧着させるための楔状部材が設けられ、
前記楔状部材により前記伝達機構が構成され、
前記接続部材の一端が、前記楔状部材または前記フレームに連結されていることを特徴とする落橋防止装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の落橋防止装置において、
前記圧着部材は、前記橋桁の側面と対向する面に歯部を有していることを特徴とする落橋防止装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の落橋防止装置において、
前記圧着部材を前記橋桁の側面に常時当接させておくための押圧力を付与する押圧力付与手段を設けたことを特徴とする落橋防止装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の落橋防止装置において、
前記フレームを前記橋桁に落下しないよう保持するための保持手段を設けたことを特徴とする落橋防止装置。
【請求項1】
橋脚または橋台上に設置される橋桁に取り付けられ、橋桁が橋脚または橋台から落下するのを防止するための落橋防止装置であって、
フレームと、
前記フレームに変位可能に支持され、前記橋桁の側面に当接する圧着部材と、
一端が当該落橋防止装置に連結され、他端が他の落橋防止装置に連結される接続部材と、
前記接続部材に加わる引張り力を前記圧着部材に伝達して、当該圧着部材を前記橋桁の側面に圧着させる伝達機構と、
を備えたことを特徴とする落橋防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の落橋防止装置において、
前記圧着部材は、前記フレームに取り付けられたピンに回動自在に支持されており、
前記フレームと前記ピンにより前記伝達機構が構成され、
前記接続部材の一端が、前記フレームまたは前記圧着部材に連結されていることを特徴とする落橋防止装置。
【請求項3】
請求項1に記載の落橋防止装置において、
前記圧着部材は、前記橋桁の側面に対して垂直方向に変位可能なように前記フレームに支持されており、
前記圧着部材を前記橋桁の側面に圧着させるための偏芯カムが設けられ、
前記偏芯カムにより前記伝達機構が構成され、
前記接続部材の一端が前記偏芯カムに連結されていることを特徴とする落橋防止装置。
【請求項4】
請求項1に記載の落橋防止装置において、
前記圧着部材は、楔形に形成されていて、前記橋桁の側面に対して垂直方向に変位可能なように前記フレームに支持されており、
前記圧着部材を前記橋桁の側面に圧着させるための楔状部材が設けられ、
前記楔状部材により前記伝達機構が構成され、
前記接続部材の一端が、前記楔状部材または前記フレームに連結されていることを特徴とする落橋防止装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の落橋防止装置において、
前記圧着部材は、前記橋桁の側面と対向する面に歯部を有していることを特徴とする落橋防止装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の落橋防止装置において、
前記圧着部材を前記橋桁の側面に常時当接させておくための押圧力を付与する押圧力付与手段を設けたことを特徴とする落橋防止装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の落橋防止装置において、
前記フレームを前記橋桁に落下しないよう保持するための保持手段を設けたことを特徴とする落橋防止装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−150885(P2008−150885A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340883(P2006−340883)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(505216391)酒井工業株式会社 (5)
【出願人】(000107044)ショーボンド建設株式会社 (71)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(505216391)酒井工業株式会社 (5)
【出願人】(000107044)ショーボンド建設株式会社 (71)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]